タカラモノズ ◆KKELIaaFJU


 国立音ノ木坂学院。
 穂乃果たち、スクールアイドル『μ'』sの活躍により廃校を免れた学校である。

「ここが私が生徒会長を務める音ノ木坂学院です!」

 ランサーはその話をここにくる道中で何度も聞いた。
 しかし、穂乃果は熱心に何度でも話す。

「そうか、穂乃果はこの音ノ木坂が大好きなのだな」
「はい! 大事な皆で守った学校ですから!! 今から隅から隅まで学院内を案内しますね!!」
「いや、今はそんなことをしている場合ではない」
「ええー!!」

 ぷぅと頬を膨らませ、心底残念そうな表情を浮かべる穂乃果。

「……でもでも、私は学院内を知り尽くしてるんだよ!!
 どこに何があるかは知っておいて損はないよ!」
「……確かにそれは一理ある」
「だよねだよね!」

 しかし、ここは穂乃果のホームステージ。
 学校に詳しくなければ、生徒会長は務まらないと親友の園田海未に言われたことを思い出した。

「じゃあ、行こう!」

 そして、軽快にスキップをしながら穂乃果は駆け出して行った。


  ―――『これまでラブライブ! ~アニロワ4ver.~ 歌:高坂穂乃果』―――

  ♪なんと会場に~ 私の学校が~
  ♪主催者の力で移転した~

  ♪μ'sのみんなも~ 音ノ木坂が好きだから……

  ♪きっとみんなも~ ここに来るはず~
  ♪だからこそ~ここを目指した~~

  ♪ランサーさんと出会い~ 守護ってもらい~
  ♪私はここまでやって来た~

  ♪未来に向かい~ 今日も歌うよ~
  ♪少しずつ世界が回~り~出~す~


「はい!」
「…………」

 上機嫌に歌いながら校内を紹介する穂乃果。
 しかし、ランサーは警戒を怠らない。
 その表情はさながら戦場立ったときとほぼ同じ。
 セイバーが外道に堕ちたというならいつ奇襲を仕掛けてやもしれない。

 ――無駄の無い見事な構え、俺以上……なのだろうな。
 ――しかし、騎士王……以上じゃねえ

 ――輝く貌(ディルムッド・オディナ)は騎士王(アルトリア・ペンドラゴン)には勝てねぇ


 先程の本部の言葉がランサーの頭の中を巡る。
 あの時、穂乃果がいなれば、自分はあの男に勝てたのだろうか?
 騎士として、弱き者たちをセイバーやキャスターから守護れるのか?
 しかし、そんなこととは裏腹に穂乃果は喜々として学校を案内する。

 グラウンドも。
 中庭も。
 弓道場も。
 講堂も。
 生徒会室も。
 図書室も。
 体育館も。
 屋上も。
 アイドル研究会の部室も。

 どこもかしこも一年半通い続けた穂乃果が大好きな学校そのままであった。
 ここにあること以外は全く違和感がないほど完全に音ノ木坂学院だった。
 しかし、今の穂乃果にとってはそんなことはどうだってよかった。
 そして、特にイベントもないまま最後に穂乃果のお気に入りの場所に向かった。

「で、ここがアルパカの……?」

 いつもはアルパカがいる小屋だった。
 だが、そこにいたのはアルパカではなかった。

 その代わりに……アルパカの小屋を背にその男は立っていた。
 アルパカの小屋があっては背後からの奇襲はできない。


「俺の忠告を無視したからには……騎士王と戦って死ぬ覚悟は出来ているのか?」


 そこには王の財宝の鍵剣を構えた―ー本部以蔵が立っていた。


 ◆ ◇ ◆


「―――俺がディルムつっあんを追わねばならぬ」


 気絶から目覚めた直後の一言はそれであった。

 駅構内。
 そこに千夜と本部を抱えたヴィヴィオはやってきた。
 そこのベンチにて千夜は肉体・精神から疲労感から眠気が襲ってきた。

「あまり無理をしないほうが……」
「でも……ランサーさんと穂乃果さんがいない間にこのおじさんが起きたら……」
「そしたら、私が何とかするから!」
「……わかったわ、じゃあ一時間だけ眠らせて……」

 そういうと、千夜は眠りについた。
 その顔は疲れ半分不安半分……そういった感じである。

 その数分後。
 本部は目覚めた。

「……おじさん?」
「ディルムつっあんは……いや、名簿にある名前で呼ぶならランサーと言っておくべきか。
 ……今のランサーじゃ、アーサー王に……セイバーには勝てねぇ。
 だからこそ、仲間(とも)として騎士王の魔手から俺が守護らねばならぬ」
(このおじさんとランサーさんは友達だったの……?)

 一先ず、ヴィヴィオと本部は情報を交換する。
 その際にヴィヴィオから本部はランサーがどこに行ったかを聞いた。
 苦渋をなめるような表情で本部は聞き続ける。そして……

「急がねばならぬ」
「え?」

 本部が鍵剣を振るう。
 すると空間に歪みが生じ、何かが出てきた。

「本部さん、それは……?」

 ヴィヴィオの知りうる魔法とは全く違う原理。
 次元転移や召喚魔法とは全く違うということだけはわかった。
 出てきたのは原動機付き自転車。
 後輪カバーに『銀』という彫り物がある原動機付き自転車。通称『原付』。

「お嬢ちゃん、これは原動機付き自転車って奴だ。
 起源は、自転車に小型のガソリンエンジンを付けたモペッドと呼ばれる乗り物というものだ。
 モペッドは本来『原動機が付いた自転車』あるいは『ペダルでこげるオートバイ』のことだが……、
 便宜上、日本以外の国ではペダルの有無にかかわらず小排気量のオートバイ全般がモペッドと呼んでいる。
 だが、この原動機付き自転車がわけが違う。なんせ江戸時代に作られたものなんだからよぉ~」

 原付について長々と解説する本部。
 それにヴィヴィオは話半分くらいしか理解できなかった。
 ヴィヴィオにとって聞きなれない単語があまりにも多すぎたのだ。
 しかし、どちらかといえば『原付』よりも本部の持っている『鍵剣』のほうが気になった。

「行ってくる」

 本部は原付に跨り、エンジンをかける。
 原付に付属していたヘルメットを被り、原付をかっ飛ばす。
 法定速度完全オーバーで限界速度ギリギリのハイスピードである。


 ◆ ◇ ◆


「俺の忠告を無視したからに……騎士王と戦って死ぬ覚悟は出来ているのか?」


 ただならぬ殺気。
 それは穂乃果の素人目にでもはっきりわかるくらいだ。

「ランサーさん……」
「下がっていてくれ、穂乃果」
「やだっ!」
「言うことを聞くんだ! 穂乃果!」
「だって、あの小汚いおじさんがここまで来たのはきっとランサーさんを――――ガッ!?」
「!?」
「ディルムつっあん……少し遊んでもらうぜ」

 カーンという軽快な打撃音が響いた。
 ―――穂乃果の頭部から。
 そのそばには王の財宝の鍵剣が転がっている。

「お嬢ちゃんには少なくとも一時間は眠っていてもらうぜぇ」
「ッ!? 穂乃果!? モトベッ! 貴様ァ!!」
「安心しな、殺しちゃいねぇ。
 ……だが、これでアンタのご要望通りの1対1(サシ)になったぜ、ディルムつっあんよ~」

 本部は王の財宝の鍵剣を穂乃果に向かって投げた。
 鍵剣がピンポイントに穂乃果の額に直撃して、穂乃果はそのまま気を失った。

 王の財宝の鍵剣自体には切れ味はほとんどない。
 だからこそ、打撃武器としてはかなり有用性は高い。
 なんせ古代バビロニアの宝物庫につながる鍵剣だ。
 その頑丈さは言うまでもない。

「守護るものも守護れずに何が騎士道だ? 片腹痛い」
「ッ……黙れ!」

 クスクスと笑う本部。
 それに対して激昂するランサー。
 騎士の誇りを踏みにじられたのだから。

「モトベッッ!!」

 いや、それだけではない。
 何かが引っかかるそのもやもやとした気分を振り切るかのように本部に立ち向かう。
 しかし、そのランサーの迷いとあまりにも直線的な動きは本部に読まれる。

 最小限かつ最速の動きでランサーの脇を抜けるように回避行動をする。
 そのまま本部は転がっていた王の財宝の鍵剣を拾い上げる。
 そして、何処からともかく弾丸のように四角い何かが複数射出された。

「なんだ、この石碑か!?」
「これは『麻雀牌』だ」

 まるで石礫のように麻雀牌はランサーに飛んでいく。
 五月雨が如く、ほぼ無尽蔵のように射出されていく麻雀牌。
 それをランサーはキュプリオトの剣で弾き、切り払う。

「足元がお留守だぜ」
「なっ!?」

 一瞬のスキを付いて本部はランサーに急接近する。
 そこから腕を掴まれて合気道のような投げと足払いを同時に決まる。
 ランサーの身体は空中で一回転し、そのまま脳天を地面にたたきつけられた。
 そして、押し倒すような形で本部はマウントポジションを取った。


「タフだなァ~~常人なら確実に死んでたぜ……」


 ランサーの首筋に本部の日本刀が押し当てられている。
 日本刀の無機質な冷たい感触だけが伝わっていく。

「日本刀ってのは引かなきゃ斬れない」 
「モトベよ……俺に情けを掛けているのか」
「そうだ……」

 完全に負けた。
 この本部という得体のしれない小汚い強者に敗北したのだ。
 もし本部が殺し合いに乗っていたら確実に自身は死んでいた。

「一度死んだぜ、ディルムつっあん」
「……いや、死ぬのは二度目だ……」

 だが、そこにあったのは屈辱ではない。
 騎士としての戦いに敗れて死んだという清々しさであった。
 本部の安い挑発に乗ってしまったが、故に己の実力不足を痛感させられた。
 そのような体たらくでは……『死んでいる』のと道義だ。

 次の瞬間、ランサーは本部のマウントポジションから脱出した。
 そして、そこで高々と宣言をした。





「ランサーのサーヴァントは今ここに死んだ!」







 だからこそ、自らの死を受け入れた。
 死ぬ時は潔く死にたい。それは自分の騎士としての本懐であった。
 今、ここにいるのは……

「ここからは俺の三度目の生だ……故に俺は愛でも忠義でもない。
 ……俺は『ディルムッド・オディナ』としてこの戦いを戦い抜くことを選ぶッ!」

 今、全ての迷いは振り切った。
 手には槍がなくても剣がある。
 戦うのならば、それだけで十分だ。

「戦いの勝利ってのは誰かのために捧げるもんじゃねぇからな……」
「モトベ殿……まさかそのことを俺に教えるために……」

 ランサーは男として大切なことを思い出した。
 一度は夢見た『地上最強の男』……いつからだったろうか、そんなことも忘れてしまった。
 そして、大切なことを思い出させてくれた本部を自身の仲間(とも)と認めたのであった。

「俺はセイバーを倒す……その時まで俺は騎士道を捨てるぞ。モトベ殿」
「それでいい、その気迫がなければ……あの騎士王さんに一太刀も与えられないぜ。
 ……これは餞別だ、長物ではないが持っていくとよい」
「モトベ殿……かたじけない」

 そういうと本部は村麻紗が入った黒カードをランサーに渡した。
 彼は生前二本の槍だけでなく二本の剣「モラルタ」「ベガルタ」を所持していたとされる。
 故に双剣を使くこともお手の物である……ということを本部は知っていた。

その時である。

 二人は東の方から僅かだが光の残滓を目撃した。
 この時間帯、太陽の光にはまだ早すぎる。

「なんだ、今の光は?」
「それは……分からぬ」

 いくら博識の本部だろうとなんでもは知らない。
 だが、ここにセイバーがいなかったことを考えると何か関係があるのかもしれない。 
 そこでランサーは一つ、本部に提案する。

「俺が東に向かい、何があったかを見に行く」

 あの光が何を示すか分からない。
 しかし、ランサーがあの光から嫌な予感が感じたのは確かだ。
 それを確かめるべくランサーは一人で東へと歩を進めること選んだ。

「モトベ殿には穂乃果を皆のところに頼みたい……彼女は連れて行けない」
「ああ、任された」
「それと、もしここから南の墓地にいるであろうキャスターが何か事を起こしたとしても……
 モトベ殿の実力であれば……あるいは……」
「……別に倒しちまっても構わんねぇだろ?」

 その自信がどこから出てくるのか、わからないが本部の確固たる自信は崩れない。
 だが、その言葉にランサーは少しばかり安心させられる。
 この男なら……『託せられる』と。

「……互いにご武運を!」

 そしてランサーは穂乃果を本部に託して、自身は東に駆け出した。
 それを確認して本部は気絶した穂乃果を背中に縛り付けて、原付で来た道を戻る。

「……嬢ちゃん、ヘルメットっていうのは普通はこういう風に使うもんだぜ」

 本部は穂乃果が持っていたヘルメットを穂乃果の頭部にかぶせた。

 正しいヘルメットの使い方は人を殴るのではない。
 ヘルメットは着用者の頭部を危険から守るものである。
 今、このように本部や穂乃果の使用方法こそが正しい用途なのだ。


【A-3/一日目・黎明】
【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(小)
[装備]:キュプリオトの剣@Fate/zero、村麻紗@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0~2枚
[思考・行動]
基本方針:『ディルムッド・オディナ』としてこの戦いを戦い抜く。
0:東に向かい、何があったかを確かめる
1:穂乃果、千夜に「愛の黒子」の呪いがかかったことに罪悪感。
2:セイバーは信用できない。そのマスターは……?
3:キャスターはいずれ討伐する。
4:俺がセイバーに勝てない……? 否、勝利する!
5:本部を全面的に信頼
[備考]
※参戦時期はアインツベルン城でセイバーと共にキャスターと戦った後。
※「愛の黒子」は異性を魅了する常時発動型の魔術です。魔術的素養がなければ抵抗できません。
※村麻紗の呪いにかかるかどうかは不明です。

【A-2/音ノ木坂学院近く/一日目・黎明】
【高坂穂乃果@ラブライブ!】
[状態]:気絶、額にたんこぶ、ランサーへの好意(中)、千夜に対する疎み
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:ヘルメット@現実
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
     黒カード:不明支給品0~1枚
[思考・行動]
基本方針:誰も殺したくない。生きて帰りたい。
1:μ'sのメンバーを探す。
2:ランサーさんを見てるとドキドキする……。
3;小汚いおじさん(本部)は信頼できない。
[備考]
※参戦時期はμ'sが揃って以降のいつか(2期1話以降)。
※ランサーの「愛の黒子」の効果により、無意識にランサーへ好意を抱いています。時間進行により、徐々に好意は強まっていきます。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が少々薄れました。

【本部以蔵@グラップラー刃牙】
[状態]:確固たる自信
[服装]:胴着
[装備]:黒カード:王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)@Fate/Zero、原付@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:こまぐるみ(お正月ver)@のんのんびより、麻雀牌セット@咲-Saki- 全国編
[思考・行動]
基本方針:全ての参加者を守護(まも)る
0:駅に戻り、穂乃果をヴィヴィオに預け、自身は南下してキャスターを討伐する
1:騎士王及び殺戮者達の魔手から参加者を守護(まも)る
2:騎士王、キャスターを警戒。
[備考]
※参戦時期は最大トーナメント終了後


【B-2/駅構内/一日目・黎明】
【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
[状態]:疲労(大)、睡眠中、ランサーへの好意(軽)
[服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実 、不明支給品0~2枚
[思考・行動]
基本方針:心愛たちに会いたい
1:ランサーが心配
2:十四郎さん…
3:ランサーと一緒に居る穂乃果に嫉妬。
[備考]
※現状の精神はランサーに対する好意によって自責の念を抑えられ一旦の落ち着きを取り戻しています。
※ランサーの「愛の黒子」の効果により、無意識にランサーへ好意を抱いています。時間進行により、徐々に好意は強まっていきます。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が薄れるかどうかは不明です。

【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:健康
[服装]:制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
[思考・行動]
基本方針:皆で帰るために行動する
1:駅で本部さん達を待つ。それまでの間は私が千夜さんを守る。
2:アインハルトとコロナを探す
[備考]
※参戦時期はアニメ終了後です。
※ランサーの黒子の呪いについて大雑把に把握しましたが特に重要なことだとは思っていません
※黒子の呪いの影響は受けていません
※各々の知り合いについての情報交換は済ませています。
※ランサーが離れたことで黒子による好意が薄れるかどうかは不明です。



原付@銀魂
本部以蔵に支給
銀時が移動手段に使用するスクーター(原動機付き自転車)。車種はベスパ。
平賀源外の改造によってロケットブースター・飛行機能が追加されている。
ただし飛行機能は莫大なエネルギーを消費するため、使用すると1分後くらいに大爆発を起こす仕様。


麻雀牌セット(二セット分)@咲-Saki- 全国編
土方十四郎に支給
一般的な全自動卓用の麻雀牌のセット。
萬子・筒子・索子・字牌の136枚が二セット(計272枚)。
そこそこ固いので当たると結構痛い。


時系列順で読む


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038:騎士道 ランサー 071:Libra
038:騎士道 高坂穂乃果 057:優勝をめざして
038:騎士道 本部以蔵 057:優勝をめざして
038:騎士道 宇治松千夜 057:優勝をめざして
038:騎士道 高町ヴィヴィオ 057:優勝をめざして