本能字の変(3) Angel Blossom ◆gsq46R5/OE
「フフフフ……どうした? 先程からこのDIOに、傷一つ与えられていないようだが……」
桂小太郎が倒された。
コロナ・ティミルが刺された。
そして、園原杏里が殺された。
神威は現れた助っ人の少女と戦っており、今銀時は事実上DIOと一対一で戦っていた。
その戦況はといえば、まさに今DIOが言った通りである。
「…………ッ、……ハア……!」
銀時の体に積み重なったダメージは相当なものだ。
如何に歴戦の侍といえども、そのような状況にあっては動きに支障が出るのは避けられない。
時を止めるまでもなく、彼の剣はDIOと『世界』を前に容易くいなされ続けていた。
当然、DIOには坂田銀時をいつでも殺したり、撃破することが出来る。
それをしないのは、ひとえに彼の余裕だった。
ただ殺すのみではあまりにつまらない。
それに、この侍は帝王である自分を散々侮辱し、コケにする発言を繰り返してくれたのだ。
DIOは銀時に肉の芽を植え付け、傀儡とする魂胆であったが、それまでにもう少し遊んでやる気でいた。
有効打にこそなりはしなかったものの、DIOは数度、彼の剣で傷を負わされている。
神威の件も手伝って募った苛立ちを、帝王は目の前の侍で発散せんとしていた。
「ハア、ハア……――――おおおォォォォォォッ!!」
「無駄無駄無駄無駄ァ! そのような猪口才な抵抗、このDIOに通じるとでも思ったか!!」
『世界』の拳が胴を突き上げ、銀時は宙へ打ち上げられて地に墜ちる。
両手の力で起き上がろうとする彼だったが、その頭をDIOが上から踏みつけた。
グリグリと嬲るように靴底を擦り付ける。
相手は、その気にさえなればこのまま銀時の頭を踏み潰せるだけの力を持った吸血鬼だ。
さしもの銀時も、這い蹲った状態からDIOへ力勝負で勝つのはあまりに困難であった。
「フフ……おまえはこのDIOへ背き、されど届かない愚かな人間であったが、そのしぶとさだけは評価に値する。
これからおまえはわたしの部下となり、馬車馬のように歩き回ってわたしの為に参加者を殺すのだ」
「………………ハ、馬鹿言ってんじゃねえよ、厨二病のDIOくん」
踏みつけられたまま、銀時は一切臆することなく悪罵を叩く。
DIOの顔から笑みが消えた。
銀時はそれとは対称的に口元へ笑みを湛え、徹底してこの『帝王』を否定する。
「テメーのやってることは単なるお山の大将だ。中学二年生拗らせたジャイアンみてえなもんだよ。
口開けばこのDIOがこのDIOがって、今時どんな一人称ですかこの野郎。
DIOくん、君アレだろ? 粋がって弱い者イジメしておいて、いざ逆襲されるとボコボコにされて泣かされてたクチだろ。居るんだよねぇ君みたいな奴――」
「随分とお喋りな負け犬だ」
実に淡白に言って、DIOは銀時の髪の毛を掴み上げた。
黄金の頭髪が変異する。
ウネウネと気色悪く蠢いて、坂田銀時の額へと伸びていく。
「偉そうにご高説を垂れているが、結果はどうだ?
おまえはこのDIOに歯牙にも掛けられず、終始徹底して甚振られただけではないか――フフ。
わたしからすれば、おまえの方がよほど頭の病気に思えるよ……
――いや、おまえだけではない。
わたしが最初に叩き潰してやった、あの長髪の侍もそう考えればずいぶんな間抜けだった……雑魚は雑魚らしく隅で丸まって震えていれば、あとほんのちょっぴりは長生き出来たろうになッ!」
「――――雑魚ではない。桂だ」
その時、DIOは慢心していた。
すべての敵を叩き潰し、神威はターゲットを変更したことで、敵は取るに足らない侍一人だと高を括っていた。
時間を停止させてしまえば殺すことも、意識を奪って洗脳することも自在であったろうに、彼はそれをしなかった。
一時の余裕に浸るあまり、警戒することを怠った。
過度な余裕と慢心は、時に人へ予期できない不具合を引き起こす。
避けられる筈の攻撃を躱せない。
一度見た攻撃に不覚を取る。
気付けた筈の事項を見落とす。
そしてそれは、人であることをやめた吸血鬼でも同じことのようだった。
「な……何ッ!?」
侍――桂小太郎は、何も難しいことはしていない。
彼も銀時と同じく侍であるため、DIOとは根本的に相性の悪い戦闘スタイルだ。
遠距離から彼を撃つことも出来なければ、デバイス『晴嵐』を本来の形で使いこなしてすらいない。
だからその攻撃手段は実に単純明快。
――背後から駆け付け、ぶった斬る。
DIOが一度は見破り、彼を撃破した時とまったく同じ手段だ。
吸血鬼の右腕が、七割ほどの長さで切断される。
噴き出す鮮血と鋭い痛みに、DIOは怒髪天を衝いた。
「き、貴様ッ」
「いやあ、まさか上手く行くとは思わなかったわ……
説明してやろうか吸血鬼くんよ。テメーが俺のお喋りを律儀に聞いてる間には、もうこいつは動いてたんだよ」
銀時がDIOへと侮辱を吐いていた時間。
それはごくごく僅かなものだったが、DIOから警戒心を一時的に奪い取るには十分だった。
どれだけ余裕を取り繕っても、このDIOという男は非常に高い自尊心の塊だ。
神威という予想外のイレギュラーによって一度でもそれを崩された彼ならば、無視は出来ないだろうと銀時は踏んだ。
そうして、可能な限りDIOの視野を銀時のみへ集中させ――本命である桂の奇襲を成功させたのだ。
……ちなみに、どうやって桂の再起を知ったかと言えば簡単だ。
DIOの後方でゆっくり立ち上がり、静かに手を振っていた。
それだけだ。銀時としては、なかなか笑いを堪えるのが大変だったのだが。
「俺を侮ったな、DIOとやら。
おまえは俺を確実に殺しておけば、こうはならずに済んだというのに」
「そういうこった。お前がどんなバケモンかなんざ興味もねえけどよ……あんまり人間を見くびるもんじゃねえぜ」
「……フ」
DIOは、燃え上がるような屈辱に曝されていた。
人間であった頃を含めても、これほどコケにされたことはなかった。
この二人は――この二人は、殺す。
肉の芽で操るなどと生温いことは言わない。
直接血を吸い、搾りカスになるまで吸い上げて、跡形も残らず踏み潰して炎へくべてやる。
「フフ、ハハ、フハハハハハ! 言ってくれるじゃあないか、マヌケな東洋人共が!
だが、貴様らの策などこのDIOにとってはイタチの汚らしい最後っ屁にも劣る愚かで惨めなものでしかないッ!
おまえ達では我がスタンド能力! 『世界』の足元にも及ばないのだからなッ!!」
黄金の人型が出現する。
それと同時に、DIOは本日何度目かの時間停止を行使せんとした。
――疲労は大きい。故にこれで決める。
ザ
「終わりだ侍共ッ! 『世――――」
「創成起動(クリエイション)――ゴライアス!」
時間停止の発動に先駆けて、DIOの真横から、巨大な質量の塊が飛び出した。
驚愕の表情を浮かべるのは彼だけではない。銀時と桂も同じだ。
質量の正体は――全長数メートルはあろうかという巨人。
自然では発生し得ない神話の怪物(ゴーレム)が突如出現し、DIOへと襲いかかる。
「なッ……!?」
ゴーレムを操るその術者は、誰もが予想だにしない人物だった。
クリーム色のツインテールをキャンディの髪留めで留めた、この場においてはれんげに続く年少者の少女。
それでいて桂と共に繭への反逆を掲げ動き出した、勇気ある戦士。
「成る程ねぇ。こりゃ確かにお前が逸材ってのも分かるわ」
「逸材ではない、コロナだ。……まあ、少しばかり予想外だがな。よもやこんな芸当が可能だとは」
馬鹿な――この娘は確かに、先程胸を貫いてやった。
即死には至らずとも、起き上がって戦えるようになるほど軽い傷ではなかった筈とDIOは記憶していた。
しかし今、彼がコロナへ与えた傷は癒えている。
戦う覚悟を決めた者特有の光を灯した瞳でDIOを睥睨し、土の巨人を操っている。
ゴーレムの耐久度はさておいて、このサイズを攻め落とすのはDIOのスタンドを用いても少しばかり手間だ。
となると狙いは必然的に本体、これを操っているコロナ・ティミルとなる。
侍達なら二人同時に相手取っても問題はないが、このゴーレムは面倒極まる。
優先して潰すべきと判断したDIOは巨碗から繰り出される一撃を回避した直後、『世界』を用いて時間を止めた。
胸に肺病を患ったかのような苦しさが込み上げ、さしものDIOも顔を顰める。
少々力を酷使しすぎたらしい――繭が施した忌まわしい細工が、此処に来て彼の首を締め上げる。
「……フン。どれだけ小癪な策を並べ立てようが、大袈裟な手品を用意しようが……このDIOにはすべて無駄よッ」
『世界』の拳が、コロナの腹を思い切り殴り付けた。
雨霰のような拳打がか細い体に打ち込まれ、停止の限界時間が訪れると共に、その顔面を横殴りにする。
侍の計略は確かにこの自分へと一杯食わせてくれた。
殺したと思っていた少女が想定外の戦力を連れて殴り込んできたことはDIOの度肝を抜いた。
だが所詮それまでだ。
この『世界』がある限り、わたしに決して負けはない。
次は今度こそ侍共だ。
奴らを完膚なきまでに叩きのめし、まずは内一人の血をもう片方の目の前で一滴残さず吸い上げてやる。
それでこのDIOは力の潤いを取り戻し、下らない侍の気概とやらも粉々に踏みにじることが出来る。
手間を掛けさせてくれた分、きっちりとその分の代金は収めてもらうとしよう。
「時は動き出す」
コロナの体が殴られて歪む。
滑稽なダンスを踊った後で顔面が横殴りに跳ね、その口と鼻から血が飛ぶのが見えた。
――しかし。コロナはその場へ踏み止まる。飛びそうになる意識を引き戻し、
「ぬぅぅッ!?」
彼女は、『反射的に』DIOの土手っ腹へ鋭い殴打を打ち込んだ。
「(……ごめんなさい、アインハルトさん。でも――)」
強靭なボディを持つDIOをして、無視できないだけのダメージがコロナの拳から伝わってくる。
ありえない。
彼は体内の空気が逆流する感覚の中で、心から少女の反撃へ驚愕を示していた。
『世界』の打撃は決まった筈だ。止まった世界で打ち込んだのだから、外れるも何もない。
それを耐えたことも十分驚きに値するが、問題はその後。
時が動き出して衝撃がコロナを貫いた瞬間、ほぼノータイムで彼女はカウンターを放ち、DIOを打ち抜いたのだ。
さながら、ついさっきDIOが殺した刀使いの少女が見せていたように。
しかし園原杏里の罪歌とコロナ・ティミルの格闘技には、ある決定的な差異が存在する。
罪歌は自動防御。
対しコロナのそれは、攻撃を受けてから作動するあくまでもカウンターの技術。
――身体自動操作。
ゴーレムを操る力で術者自身を操作するという、掟破りの戦法だ。
ゴーレムほどの巨体を動かせる力を人体相手に使えば、当然ながら絶大な威力になる。
あらかじめ特定の打撃に反応し、対応する反撃を返すようにプログラムしておけば、この通り。
たとえ時の止まった世界で痛めつけられようが、時の再始と共にカウンターを見舞う芸当が可能になる。
コロナはDIOの力を未だ『視認不可能の攻撃』と認識していたが、究極的には同じことだ。
勿論、弱点がないわけではない。
判断から初動までの、コンマ一秒ほどのタイムロス。
カウンターの間合いを読み切れば、それに合わせ迎撃することだって可能だ。
それでも、初見ではまず回避不可能。
間合いを読むとはいえ、何度か拳のやり取りを交わす必要がある。
格闘技の世界では命取りになるタイムロスも――格闘家が相手でなければ、ほぼ帳消しと言って差し支えない。
これぞ、ゴーレムマイスターの彼女が誇る絶技『ネフィリムフィスト』。
逃れようとするDIOへ、何かする間も与えず追撃の蹴りを打ち込む。
DIOの力は確かに強大だ。
それにコロナは知らないことだが、生前の彼には格闘技の経験だってある。
しかし、格闘家として見た場合のDIOはコロナよりも格下だ。
彼女とこのネフィリムフィストの組み合わせを破った覇王流の少女のような技術を彼は持っていない。
相手は不意の奇襲で不覚を取った状態、スタンドの打撃にも自動対応が出来るこの状況。
それなら――十分に、勢い任せで押し切れる……!
「バ、馬鹿なッ! このDIOが、こんな小娘風情にッ! ――ぐおおッ!?」
「(アクセルスマッシュ――からのッ)」
DIOの顎を、コロナのアッパーカットが跳ね上がらせる。
間髪入れずに繰り出すのは、またしても彼女の友人が使用していた技の一つ。
「スパイク……!!」
リボルバースパイク。強烈な回し蹴りが、吸血鬼の側頭部を思い切り蹴り飛ばす。
次で、とどめだ。
殺しはしないが、無力化はされてもらう。
「ネフィリムフィスト――」
コロナの右腕が――少女らしからぬ、否、"人間らしからぬ"豪腕に変化する。
これはゴーレムクリエイトの技術を応用して生み出した頑強な腕部武装。
ゴーレムマイスターでありながらインファイトをもこなす、コロナだからこそ使いこなせる力。
人には余る怪力で振るわれるその拳は、まさしく巨人の拳(ネフィリムフィスト)の名に相応しい。
「――《マイストアーム》…………!!」
「ご……うげェェェェェッ!!?!」
水切りに投げられた石の如く、地面を数度バウンドして転がるDIO。
彼の絢爛な衣装は今や泥に塗れ、起き上がるその顔は屈辱への激しい怒りで満たされていた。
それでも吸血鬼の力は、DIOをまだ再起不能にはさせない。
「WRYYYY……いい気になるなよ! このクソ餓鬼がッ!!」
怒声を吐いたDIOの目から、何かが飛んだ。
眼球内の体液を高圧力で射出する、吸血鬼の能力の一つ――『空裂眼刺驚(スペースリパー・スティンギーアイズ)』である。コロナは咄嗟に腕部武装を盾に防ごうとするが、敢えなくそれはDIOの能力へ貫かれてしまった。
手に走る鋭い痛み。悪足掻きと呼ぶには、彼の放った攻撃は強力が過ぎた。
しかし、コロナは何も一人で戦っているのではない。
「で、誰が誰の足元にも及ばないのだったか?」
DIO目掛け、桂が飛び込む形で袈裟斬りを放つ。
彼はそれを『世界』の拳でもって迎撃したが、もう一人の侍にまでは対処が追いつかない。
DIOが殴られている間を縫って背後から接近を果たしていた銀時が、DIOをそのまま聖剣で貫いていた。
血反吐を吐きながら、DIOは怒りに震える。
何故だ。
何故この帝王である自分が、こんなにも追い詰められている……!
「許さん……許さんぞ! このクズにも劣るゴミ糞どもがッ!!
貴様らは必ず――必ずこのDIOが殺す! 一人残らず、恐怖に慄かせた上でだッ!!!」
怒りを爆発させながら、DIOは『世界』の力を使う。
時止めの疲労は、既に戦闘に支障が出るレベルにまで達していた。
認めたくはないが、今の自分は連中に押し切られかけている。
このまま戦いを続けたとして、仮に一人二人を殺せたとしても、残り一人までを仕留めきれるかは怪しいとDIOは冷静に判断した。それに、今でこそ注意が反れているが、神威の存在もある。
「此処は、退く……」
だが、決して忘れるな。切断されて転がっていた片腕を拾いながら、彼は呟く。
突き刺さった聖剣を抜き、DIOは停止した世界の中を駆ける。
「(頭痛がする……吐き気もだ。なんてことだ……このDIOが、気分が悪いだと……)」
スタンドを酷使した代償の体調不良に見舞われながら、彼は校庭を後にし、そこで時が動き出した。
これ以上時間停止を使いすぎるのは不味い。
それに、今はまだ幸い日が射していないが――直に夜が明けるだろう。
日光は吸血鬼にとっての最大の敵だ。
如何に人外の体といえど、あれに曝されただけでDIOは呆気なく霧散霧消してしまう。
早急に此処より離れ、休息の出来る建物を探さなくては――。
「必ず殺してやるぞ、侍と小娘よ。
このDIOが再び貴様らの前に現れる時を、精々待っているのだな……!」
程なくして停車させてあった自動車の車内へ戻ると、腕の切断面に切り落とされた腕を合わせる。
吸血鬼の再生能力は、みるみるうちにそれを治癒させていき、完璧でこそないが、ひとまず形を保つ程度に繋ぎ合わせた。これで、後は放っておくだけで遠からぬ内に傷が癒えるはずだ。
屈辱の撤退に憤激しながら、DIOは安息の地を目指す。
【B-6/早朝/本能字学園周辺】
【DIO@ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
[状態]:疲労(大)、右腕切断(癒着済、再生中)、胴体へ貫通傷(再生中)、全身にダメージ(大)、運転中
[服装]:なし
[装備]:蟇郡苛の車@キルラキル
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0~1(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:主催者を殺す。そのために手っ取り早く他参加者を始末する。
1:ホテルへ向かい、体を休める。
2:銀髪の侍(銀時)、長髪の侍(桂)、格闘家の娘(コロナ)、三つ編みの男(神威)は絶対に殺す。
3:優先順位は銀時=コロナ=桂>神威。
4:言峰綺礼への興味。
[備考]
※時止めはいつもより疲労が増加しています。一呼吸だけではなく、数呼吸間隔を開けなければ時止め出来ません。
※車の運転を覚えました。
※疲労による運転への支障はとりあえずありませんが、あまり無茶な運転をすると事故を起こすかもしれません。
支給品説明
【サバイバルナイフ@Fate/Zero】
DIOに支給。
元は衛宮切嗣が使用していたもので、通常のナイフに比べて殺傷能力が高い。
●
勇者の拳が真っ向から夜兎を狙い打つ。
それを正々堂々拳で迎え撃ちながら、神威は破顔した。
勇者の少女、友奈は思う。
――強い。
今まで戦ったどの敵よりも貪欲に食らいついてきて、その癖身体能力さえ勇者のそれを凌駕している。
あまりにわかりやすい強敵だ。それだけに、生半可な気持ちで挑めば返り討ちに遭うのは見えていた。
何より厄介なのが、敵の速度。身体能力。
勇者を守る精霊の自動防御すら突破して余りある速度と精度を両立しているのだから堪らない。
「おおおおぉぉぉっ!!」
夜兎の青年、神威は楽しんでいた。
技術に粗はあり、まだまだ未熟と言う他ない拳だが――その愚直さは嫌いではない。
そう言いながら、しかし彼は一切の手加減をしてはいなかった。
「うぐっ……!」
強烈なボディーブローが、友奈の体を真下から打ち上げる。
かはっと胃液を吐き出して打ち上げられた勇者を、両手を組み合わせて真上から叩き落とした。
地面とキスを余儀なくされ、直感的に体を逸らす。
その判断は正しかった。
一秒前まで彼女の頭があった場所に、神威の足が振り落とされたのだ。
もしも急所を逃していなければ、勇者は此処でゲームオーバーとなっていたに違いない。
「ま、だ、ま……だぁぁぁ!」
耐える。
立ち上がり、拳で神威を殴りつけんとする。
止められた。
腹を蹴られ、地を転がった。
あまりにも一方的な戦いに、後方の絵里が時折悲痛な声を漏らしている。
強い。
本当に、強すぎる。
けれど、それでも、不屈の勇者は諦めない。
「やぁぁぁぁッ!」
体重を乗せた拳が躱される。
当然、大振りの技は必然的に大きな隙を生じさせるものだ。
神威は、そんなところを見逃してくれるほど易しい相手ではない。
蹴り上げで顔を強打し、友奈の前歯が折れる。
「ぶ、がっ、ぐぅ……」
止む気配のない暴力の雨。
勇者の顔を、手足を、打ち付けていく。
危うく意識が飛びかけるが、ここで投げ出すようなら勇者は名乗れないだろう。
満開ゲージ。
それへ目をやる。
あと一枚だ。
その矢先に飛んできた拳を回避の構えで受け止めると、最後の一枚が点灯した。
これが齎すデメリットも、友奈は承知している。
しかしここで出し惜しみをすれば、まず間違いなく自分は倒されるに違いない。
そうなれば、後ろの二人にも危険が及ぶ。
何より――せっかく格好つけたのに、真っ先に倒されるなんて……あんまりかっこ悪すぎる。
「───────満開」
鮮血が弾け飛ぶ。
唱えた言葉は、勇者の全てを解放する二文字。
桜色の極光が世界を包み、無限に島を覆い尽くす闇すらも霞ませる様な輝きが迸る。
視認することすら困難な輝きの中で、“勇者”は顕現したその巨大なる鋼鉄の拳を以て。
「――ッ」
戦いに狂える夜の兎を、殴り飛ばした。
満開によって更に強化された身体能力は、一時的ながらも彼ら戦闘種族を上回る。
ぴしゃりと吐血して、それでも神威の笑みは衰えず、むしろ更に深く凄絶になっていく。
満開した最強状態の勇者に、神威のえぐり込むような拳がヒットした。
だが折れない。痛烈な返しの拳は避けられたが、その風圧だけでも敵の体勢を崩させるには足る。
「――お」
放つ。
一度で通らないなら、何度だって叩き込む。
「────うぅぅぅおおおおおおおおおおおおっっ!!」
護りながら、
傷付きながら、
それでも、少しずつ前へ前へと押し返しながら――。
「あなたを――――ぶっ飛ばすッ!!」
進む中で何度となく痛打を浴びて、それでも崩折れることなく。
勇者は極大の拳を振り上げたまま、遂に神威の懐へと辿り着いた。
勇気の輝きにまみれたその拳を迎え入れる彼の表情はやはり笑顔で。
――そのまま、彼は――勇者・友奈の拳を前に……文字通り、ぶっ飛ばされた。
夜闇の黒と勇気の輝きが交差す空間。──やがて。
肉と肉がぶつかる音が鳴り止んだ舞台に、少女がゆっくりと帰還する。
輝きの中に見えた極大の拳は其処には無く、先程まで戦い続けていた小さな身体の勇者が一人。
裂の入った手甲や、ところどころ破れた勇者服。顔は痛ましく腫れており、なのに醜さを感じさせない。
そこで、勇者の体がぐらりと揺れた。
「ぁ───」
しまった。判ってはいたけれど、やっぱり、”アレ”は身体に掛かる負担が尋常ではない。
何せ貯蓄した力を一度に全解放するという代物。絶大な力の代償は身体への大き過ぎる疲弊、疲労。
視界に映る彼女達の姿が斜めになっていくのが見える。
世界の何もかもが緩く動いている様に感じながら、少女は崩れ──意識を手放した。
●
「ぐ――」
最後の戦場。
鬼龍院皐月とジャンヌ・ダルク、そして纏流子の戦い。
DIOはコロナの奮戦と侍の意地を前に撃退され。
神威は長きに渡り猛威を奮ったが、勇者の鉄拳と相打ちと消えた。
そして纏流子は――
「おい、どうした。私はまだピンピンしてるぜ、えぇ?」
健在、だった。
傷は負っている、疲労も皆無ではない筈だ。
だが現に、皐月とジャンヌという二人の実力者を同時に相手取っているにしては有り得ないほどの余力を残していた。
肩で息を吐く二人に相対し、獰猛に笑む流子。
怒りがその力を後押ししたのか――それとも、これこそが彼女の真の実力なのか。
きっと両方だろう。
神衣とは、それほどの力を装着者へ齎す。
ましてや出生の都合上、流子との相性は最高だ。
これ以上続けて、流子に勝てるという保証も、ジャンヌと皐月が双方無事で済むという保証もない。
「――皐月」
切り出したのは、ジャンヌだった。
皐月は返事をしない。
彼女が何を言い出すのか、薄々分かっていたからだ。
「皐月。君はあちらの皆を連れて、此処から離れろ」
「悪いが、その提案は聞けん。
此処で流子を止めねば、きっと更に大勢の犠牲が出るだろう。故に私は断じて――」
「――勝てると思うか、今の君で」
皐月の言葉を遮ったジャンヌの台詞に、彼女は唇を噛み締める。
そう。
他の誰よりも、鬼龍院皐月こそが最も痛感していた。
――己の力不足を。そして、己の妹の強さと恐ろしさを。
「彼女を想うならばこそ、今は退け。
今の君と私では、きっとこの娘には勝てない。
だが、君は強い女だ。いずれ……その服と更に絆を深めでもすれば、きっと届き得るだろうさ」
鮮血と皐月は今、皮肉にも繭の施しによって通じ合っている。
それでも、かつての流子と鮮血ほどのコンビネーションはまだない。
それには皐月も、そして鮮血も気付いていた。
純潔を完全な形で着こなしている流子と戦うには、此方も完璧な人衣一体で臨む必要があると。
戦いの中で皐月は、着々と腕を上げている。だが、こんな短時間で求める境地へ至れるほど物事は甘くない。
「お前はどうする気だ、ジャンヌ・ダルク」
「此処へ残る。君の妹を、足止めする」
「私の方こそ、問わせてもらおう。――勝てるか」
「分からない」
ざっと靴音を立て、聖女ジャンヌ・ダルクが皐月の前へ立つ。
皐月から見えるのは後ろ姿だけだったが、彼女がどんな顔をしているのかは分かった。
死への恐怖に満ちた顔? ――違う。
不安に染まった顔? ――違う。
皐月には分かる。彼女はきっと、凛とした表情で、生を諦めずに流子と相対する気でいるのだと。
「だが、諦めるつもりはないよ。
此処で私が彼女を救い出してしまえば、それに越したことはないのだからな」
「――そうか」
それ以上、問うことはしなかった。
きっと何を言ったところで、彼女の覚悟を動かすことは敵うまい。
ただ一つ想うのは、自分は必ず生きて、再び流子と相見えなくてはならないということ。
最後の一瞬まで自分の為に意地を見せてくれた雁夜。
身を挺して道を作り、希望を生み出してくれたジャンヌ。
彼と彼女の分も、私は勝たなくてはならない。流子に、繭に、そして鬼龍院羅暁に。
二人へ背を向ける皐月。
流子が何か言っていたが、敢えて無視する。
お前と真に語らうべき時は、今ではない。
一度だけ、皐月は足を止めた。
「ジャンヌ・ダルク。オルレアンの乙女よ。
その生き様と輝き、しかとこの鬼龍院皐月の胸に刻んだ。
貴女の意志、決して無駄にはしない。貴女の道に、神の加護があらんことを祈ろう」
その言葉を聞いて――ジャンヌ・ダルクは。
抱き続けていた迷いと悩みが解けて消えていくような感覚を覚え、静かに微笑んだ。
●
「速やかに身支度をしろ。撤退するぞ」
坂田銀時。
桂小太郎。
コロナ・ティミル。
絢瀬絵里。
宮内れんげ。
結城友奈。
そして――鬼龍院皐月。
「……あっちの喧嘩はいいのかい。任せてきちまってよ」
「ああ。だが、終わったわけではない。
私はいずれ、必ずあいつ――纏流子の前へもう一度立つ。
今のままでは勝てん。だから、私はもっと強くなり、その時こそ奴と決着をつけるのだ」
この戦場で、二人の命が欠けた。
生きている者達も、その殆どが重度の疲労を負っている。
可及的速やかに腰を落ち着けられる場所を探し、そこで傷を癒やす必要がある――皐月はそう判断した。
幸い、この近くには病院がある。
最低限の魔法的治癒を施してからそちらへ向かい、本格的な回復に入る。
それに異論を唱える者はなかった。
「宮内、だったか。
私は問題ないが、坂田さんと桂さん、そしてティミルに軽い回復を施してやってくれ。
病院へ辿り着く前に倒れては、元も子もないからな」
「わかったのん。ちょっと待つのん――よいしょ!」
紫の魔方陣が広がって、負傷者たちの傷と疲労を気休め程度ではあるが回復させる。
れんげは今や、すっかりアスクレピオスによる回復の手際を弁えつつあった。
実はつい先程、皐月がこちら側へやって来るまでの間も銀時達には回復を施していたため、病院までの移動で倒れるということはこれでない筈だ。
問題ないと言った皐月にも、れんげは同じだけの回復を注いでいた。
魔力にはそれでもまだ余裕があるようで、ひょっとすると彼女は魔導師としての適性がそこそこあるのかもしれない。
「ねー、さっちゃん」
「……どうした?」
「あのおねえさんは、大丈夫なん?」
れんげの小さな手が、未だ戦い続けているジャンヌ・ダルクを指す。
一瞬だけ目を細めた皐月だったが。
「大丈夫だ。きっと――な」
そう言って、れんげの頭へ軽く手を置いた。
こそばゆそうにするれんげ。
それを見、絢瀬絵里は思う。
「(れんげちゃんは、本当に強い子ね……)」
信頼していたお姉さんを殺されて、それなのにこうしてちゃんと皆を助けている。
アスクレピオスという道具のおかげとはいえ、彼女の強くなりたいという想いは見ていた絵里にもひしひしと伝わってきた。きっとれんげなら、皆を助けられるだろう。優しい力と魔法で、皆を癒せるだろう。
――でも、私は?
戦う力もない。
れんげちゃんのように、誰かを助けることも出来ない。
私はいったい、何が出来るんだろうか?
こんなに小さい子でさえ、ちゃんと怖いことと向き合って、乗り越えようとしているのに。
少女は悩む。
その答えが出るのは、果たしていつになることか。
「コロナ殿。一つだけ聞かせてはくれないか」
「……はい?」
コロナへ問いかけたのは桂だ。
桂もDIOとの戦いで軽くない傷を負っていたが、れんげのおかげで満身創痍といった状態からは脱した。
だが――こうして生きていられるのは、コロナのおかげでもある。
彼女がもしもあそこで助けに入ってくれなければ、きっと桂と銀時、どちらかは死んでいただろう。
小学生とは思えない勇気だと桂は思う。
だからこそ、彼は聞いてみたくなった。
「何故、お前はDIOの前へ出た?」
「…………」
「コロナ殿は賢い少女だ。奴の前に出れば、あの恐るべき力で殺されると容易く想像できた筈。
なのに、お前は戦った。傷が癒えたなら、れんげ殿と絵里殿を連れて逃げていればよかったものを。
――その理由が聞きたくなった。別に責めているわけではないし、感謝もしている。ただ、聞いてみたいのだ」
桂の真剣な目に、コロナは思わず気恥ずかしくなってしまう。
確かに、彼の言う通りだ。
あの状況なら、全員共倒れになる可能性も十分にあった。
コロナも当然それは予想出来ていたし、れんげ達と逃げるのが最善だとも考え付いていた。
神威がれんげの前へ現れ、それを勇者の少女が引き受けてくれた。
その間にコロナは最低限傷を回復してDIOの元へと走った。
――逃げることも出来たはずだ。なのに、それをしなかった。
「……嫌だったんです」
ぽつりと呟く。
「死んじゃうかもしれなくても、わたし、あそこで逃げるのだけは嫌だったんです」
桂は、自分にとってこの島で初めて出会った仲間だ。
そんな彼を置いて、一人だけで逃げ出すなんて。
それが正しいことだとしても、コロナはそうしたくなかった。
「怖かったし、痛かったです。
今だって思い出すと背中が寒くなります。
それでも、多分何度あの瞬間に戻されても……わたしは、桂さんを助けに行ったと思います」
ぽん。
答えたコロナの頭に、先程皐月がれんげへしたように、桂も手を置いた。
それを左右に動かす。撫でるにしてはやや不器用な手つきだった。
「どうやら俺は、よい仲間を持ったようだ。
では改めて言おう、コロナ殿――いや、“コロナ”。感謝する」
フッ、と伏し目がちに微笑みを浮かべながら、桂は礼を述べた。
今までとあまり行動ややるべき事が何か変わるわけではない。
だが、同じ目的を胸に運命へ立ち向かう身として、距離が縮まったのは確かだ。
そこで芽生えるだろう信頼関係は、このサバイバルな現状では強い力となる。
七人の対主催参加者たちは、そうして本能字学園を後にする。
最後、一度だけ皐月は振り返った。
それからすぐに元の方向へ向き直り、また皆を先導して歩き始めた。
【B-6/本能字学園周辺/1日目・早朝】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)
[服装]:いつもの格好
[装備]:無毀なる湖光@Fate/Zero
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0~3枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
1:病院を目指す
2:新八、神楽、ヅラ、長谷川さん、ついでに土方と合流したい
3:神威、流子、DIOは警戒
【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(大)、疲労(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、エリザベス変身セット@銀魂、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品0~2枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
1:私は、一体何をすればいいんだろう。
2:μ'sのメンバーと合流したい
3:エリザベス変身セットを着てみる…?
[備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。
【鬼龍院皐月@キルラキル】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、こめかみに擦り傷
[服装]:神衣鮮血@キルラキル
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)、 黒カード:神衣鮮血@キルラキル
[思考・行動]
基本方針:纒流子を取り戻し殺し合いを破壊し、鬼龍院羅暁の元へ戻り殺す。
1:病院へ向かう。
2:鮮血たちと共に殺し合いを破壊する仲間を集める。
3:襲ってくる相手や殺し合いを加速させる人物は倒す。
4:纒流子を取り戻し、純潔から解放させる。その為に、強くなる。
5:神威、DIOには最大限に警戒。
6:刀剣類の確保。
[備考]
※纒流子裸の太陽丸襲撃直後から参加。
※そのため纒流子が神衣純潔を着ていると思い込んでいます。
※どうせ鬼龍院羅暁が関わっていると思い込んでいます。
【桂小太郎@銀魂】
[状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(中)
[服装]:いつも通りの袴姿
[装備]:晴嵐@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:トランシーバー(A)@現実
[思考・行動]
基本方針:繭を倒し、殺し合いを終結させる
1:今はとりあえず休息したい。
2:コロナと行動。まずは彼女の友人を探す
3:もう少し落ち着き次第、この後のことについて話し合っておきたい
4:神威、並びに殺し合いに乗った参加者へはその都度適切な対処をしていく
【コロナ・ティミル@魔法少女リリカルなのはVivid】
[状態]:疲労(中)、胴体にダメージ(中)、魔力消費(小)
[服装]:制服
[装備]:ブランゼル@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:トランシーバー(B)@現実
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを終わらせたい。
1:病院へ向かう。
2:桂さんたちと行動。ヴィヴィオたちを探す
3:ルーちゃんのデバイス……なんだか、ルーちゃんが助けてくれたみたい。ちょっと嬉しいな。
[備考]
※参戦時期は少なくともアインハルト戦終了以後です。
【結城友奈@結城友奈は勇者である】
[状態]:疲労(大)、胴体にダメージ(回復中)、気絶、味覚、その他一つの五感が『散華』、前歯欠損、顔が腫れ上がっている、満開ゲージ:0
[服装]:讃州中学の制服
[装備]:友奈のスマートフォン@結城友奈は勇者である
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(9/10)、青カード(10/10)、黒カード:なし
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止め、主催者を打倒する。
1:…………。
2:勇者部のみんなと合流したい。
[備考]
※参戦時期は9話終了時点です。
※ジャンヌの知り合いの名前と、アザゼルが危険なことを覚えました。
※満開によって散華したものが何かは、後続の書き手さんにお任せします。
【宮内れんげ@のんのんびより】
[状態]:健康、魔力消費(中)
[服装]:普段通り
[装備]:アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:満艦飾家のコロッケ(残り五個)@キルラキル、バタフライナイフ@デュラララ!!
[思考・行動]
基本方針:うち、学校いくん!
1:うちも、みんなを助けるのん。強くなるのん。
2:こまちゃん、ほたるん、待ってるのん。
3:あんりん……。
[備考]
※骨が折れない程度に手加減はされました
※杏里と情報交換しましたが、セルティという人物がいるとしか知らされていません。
また、セルティが首なしだとは知らされていません。
※魔導師としての適性は高いようです。
支給品説明
【無毀なる湖光@Fate/Zero】
桂小太郎に支給。
円卓最強の騎士、ランスロットの愛用の剣。
『約束された勝利の剣』と同等の強度を誇り、決して刃こぼれする事はない。
また、約束された勝利の剣と同じく神造兵装とされる。
『約束された勝利の剣』の兄弟剣とされ、人類が精霊より委ねられた宝剣。
【アスクレピオス@魔法少女リリカルなのはVivid】
宮内れんげに支給。
ルーテシア・アルピーノの持つデバイス。
グローブ型で、手にはめることで使う。
【満艦飾家のコロッケ@キルラキル】
宮内れんげに支給。
全部で6つ入りのコロッケがタッパーに入って支給されている。
【バタフライナイフ@デュラララ!!】
宮内れんげに支給。
元々は折原臨也の私物。
●
七人が去り。
それから数分後に、生命戦維の化け物と聖処女の決着は着いた。
地へ仰向けに倒れているのは、金髪の女。
ジャンヌ・ダルク、その人である。
「終わりかよ」
立っているのは纒流子だ。
彼女に鬼龍院皐月を逃されたことが不服なのか、その顔には隠そうともせずに苛立ちが浮かべている。
ジャンヌは全身の至る所に傷を負っており、最早立つこともままならない様子だった。
しかし、その眼はまだ開いている。
生命の鼓動も、まだ途絶えてはいない。
口元に浮かんでいるのは、笑みだ。
「……てめぇ、何笑ってやがる」
「こちらの話さ。……あぁ、そうだ。君に、一つだけ言っておくことがある」
破魔の朱槍は手元から離れ、流子の近くの地面へ突き刺さり、故に逆転の手立てはない。
聖女ジャンヌ・ダルクは此処で死ぬ。
勇敢なる少女と、革命を願う者たちを逃した果てに、純潔の少女に殺される。
にも関わらず、ジャンヌの顔は敗者が、これから死にゆくものがする顔ではなかった。
「心配せずとも、皐月は君の前にいつかまた現れるさ」
「…………、」
「今よりももっと強くなって、君を救いに来るだろう。
その時こそ、君はその服を自ら脱ぐことになる――私は、そう信じている」
「死ね」
流子は地面へ刺さった朱槍を引き抜くと、横たわったジャンヌの胸の真ん中でそれを突き立てた。
それで終わり。
彼女は生命活動を終え、投げ出した手から力が抜けていく。
勝ったのは紛れもなく、纏流子だ。
なのに、彼女には不思議な感覚が残っていた。
釈然としないような、勝った筈なのに苛立ちだけがどこまでも膨れていくような。
――それが『敗北感』という感情であることに、彼女はまだ気付かない。
【ジャンヌ・ダルク@神撃のバハムートGENESIS 死亡】
【残り57人】
「終わったようだね」
「……てめぇ、生きてやがったのか」
「まぁ、流石に無傷ではないけどね――ただ、あの『勇者』ももう少し泳がせた方が楽しめそうだったから」
何事もなかったかのように現れた神威へ、やはりこいつは気に入らねえと舌打つ流子。
流子としては、彼があの攻撃で死んでいても何も悲しむことはなかったのだが。
「で、これからはどこを目指すつもりなんだい?」
「あぁ? 知らねえよ。適当にうろついてりゃ、誰かしら出て来んだろ」
「適当だねぇ……じゃあ、俺が提案させてもらおう」
神威は、流子にある施設を示す。
『DIOの館』。
そう記された場所へ、彼は行きたいらしい。
「こっちの戦いに集中してたら、いつの間にかこのDIOって人が撤退しちゃっててね。
せっかくだから追いかけて、首尾よく会えたらまた遊ぼうかなって」
「……何でもいいが、すぐには行かねえぞ。流石にちっとばかり疲れた」
「……、驚いた。君にも疲れたっていう感覚はあったのか」
「てめぇ、私を何だと思ってやがる」
殺し合いを良しとする、災害のような二人の次なる矛先も定まった。
――本能字の戦いはこれにて幕引き。だが、バトル・ロワイアルは終わらない。
運否天賦の殺し合いは、まだ始まったばかり――。
【B-6/本能字学園校庭/1日目・早朝】
【神威@銀魂】
[状態]:疲労(中)、胴体にダメージ(大)、右掌に切り傷(軽度)
[服装]:普段通り
[装備]:日傘(弾倉切れ)@銀魂
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
黒カード:不明支給品1~3枚
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを楽しむ。
0:俺が全員相手をするから、君は下がってていいよ。
1:本物の纏流子と戦いたい。それまでは同行し協力する。
2:勇者の子(結城友奈)は面白い。
3:纏流子が警戒する少女(鬼龍院皐月)とも戦いたい。
4:DIOとも次に出会ったら決着を着けたい。
【纏流子@キルラキル】
[状態]:疲労(中)、全身にダメージ(中)、顔が若干腫れている
[服装]:神衣純潔@キルラキル、破魔の紅薔薇@Fate/Zero
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(20/20)、青カード(20/20)
黒カード:神衣純潔@キルラキル 黒カード:使用済み。
[思考・行動]
基本方針:全員殺して優勝する。最後には繭も殺す 。
0:いいや、あたしが全員殺す。てめぇが下がってな。
1:次に出会った時、皐月と鮮血は必ず殺す。
2:神威を一時的な協力者として利用する。
3:手当たり次第に暴れ回る。
[備考]
※少なくとも、鮮血を着用した皐月と決闘する前からの参戦です。
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最終更新:2015年11月19日 08:56