かしこくもかわいくもないエリーチカはただの絵里ザベス ◆RPDebfIIlA


ホテルから出てしばらく経った頃。
絵里は市街地の中、地図を見ながら音ノ木坂学院を目指して歩いていた。
現在はまだ深夜といえる時間帯で、辺りはまだ暗い。
地図を見ながらでないと自分達の位置がよくわからないのだ。
遠くを見据えると、シルエットが山のように盛り上がった巨大な建造物が見える。
ひとまず、絵里はそこを道標に動いていた。
そして、絵里と当分行動を共にすることになった銀時はというとげんなりした顔で絵里に着物の袖を掴まれながら歩いていた。

「…銀さん、いる?」
「いるよ。銀さんホテルを出てからエリーチカと二人三脚だよ。つーかお前、あん時の威勢のよさどこいったんだよ」

意気揚々とホテルから出発したはいいものの、やはり暗闇の街をそのまま歩くのは絵里にとって心細く、
銀時の着物を片手で掴んでいないと前に進める気がしなかった。

「ねぇ、あそこの角から何か出てこないわよね…?」

街の交差点に差し掛かると、絵里は自分の恐怖を抑えるために銀時に声をかける。
銀時から否定的な返事が返ってくることを期待してのことだ。

「バッ、お前、変なこと言うんじゃねぇよ!!出てくるわけねーだろ!!だ、大丈夫だ…たとえ見えてもスタンドだから…悪霊じゃなくて聖なるヴィジョンだから…!」

絵里の言葉に銀時も体をビクつかせる。
銀時はお化けや幽霊の話になると途端に怖がるようになった。
絵里は銀時がホテルのトイレで幽霊がどうとか言っていたことを今になって思い出す。
そういえばこの人も幽霊が絡む話には滅法弱そうだった。
交差点に抜き足差し足で近づき、銀時と絵里はおそるおそる顔を出す。
…何もいないようだ。

「ごめんなさい…なんだか余計なこと考えさせちゃったみたい」
「だ、大丈夫だから!!暗い所なんてへっちゃらだから!!べ、別に怖くなったわけじゃねーから!!」

余裕ぶろうと鼻をほじりながら話す銀時だが、鼻の穴を突き刺す指が深すぎて鼻血を垂らしており、ガタガタと震えて全身から汗を流している。
明らかに虚勢を張っていた。

「いや、全然大丈夫じゃないわよね?鼻血垂らしてるけど」
「うるせェェェ!!大丈夫っつってんだろうがァァ!!…それよりも、今どこに向かってんだよ?」
「……」

絵里は銀時をじっとりとした目で見た後、気を取り直して巨大な建造物を指さした。

「あの建物…地図にある本能字学園だと思うんだけど、あそこを目指してみようと思うの」

学校と思われる施設は音ノ木坂学院の他に本能字学園と旭丘分校がある。
地図に示されているほどなのだから、あの山のような影以外が本能字学園とは思えない。
きっと音ノ木坂学院など比べ物にもならないほどの大きな学園なのだろう、と絵里は推測する。
あれほどの規模の学校で生徒会を纏め上げようとするならば相当な手腕がないと苦労しそう、とも音ノ木坂の生徒会長の立場から思った。

「けどよ、ああいう目立つもんには殺し合いに乗ってるヤツだっているかもしれねぇぜ。本当に行くのかよ?」
「そういうけど、ここって結構建物が多いのよね。万が一迷いでもしたら…」

確かに、この市街地はお世辞にも見晴らしがいいとは言えない。
ただでさえ万事屋や音ノ木坂学院が何故か移転している未見の地形なのに、迷わないとは絵里にも銀時にも決して断言できない。
そんなくだらない理由で音ノ木坂学院から逆に遠ざかってしまうのは冗談でも笑えない話だ。
銀時もそれを理解し、絵里の提案に承諾した。

「それと、銀さん。私の持ってるアレについて聞いておきたいんだけど…」
「…ああ、アレか」

本能字学園へ再び歩き出す前に、絵里は黒いカードを片手に銀時へ切り出した。
ホテルを発つ前に確認したアイテムのことだ。
絵里にも銀時にも役に立つどころか使い道すらもわからない、明らかにハズレに見えるアイテム。


その名も、『エリザベス変身セット』。

「ハラショー…?」
「全然ハラショーじゃねぇよ!?なんで絵里の髪型してんの!!こんなのかしこくもかわいくもねーよ!!」

絵里が黒カードから出したそれは、絵里の髪型を模した金髪のポニーテールがついている謎の生物・エリザベスの着ぐるみとプラカードであった。
黒カードに浮き出ている説明を見ると、どうやら初めに出した者の髪型がエリザベスの着ぐるみにコピーされるらしい。

「これエリザベスじゃねぇよ蓮蓬だよ。ヘルプエリザベスの方だよ!」
「さっきから言ってるエリザベスって何なの?」
「ヅラのペットだけどオッサンの声で話したり普通に戦えたりする変な野郎だ」

銀時も、月曜にヘルプに入っているエリザベスの属している蓮蓬族に潜入した時にエリザベスに変装したことがある。
そのときに使った着ぐるみが元になっているのだろうか。
銀時は絵里に知る限りのエリザベスの情報を与えたが、中身がオッサンだったりヘルプがいたりと不可解な部分が多かったため、
結局よくわからない生物という認識だけで終始した。

「…これって着る意味あるのかしら?」
「まぁ変装程度には使えるんじゃねーの?」
「変装って、髪型で皆にバレバレなんだけど…」
「もしかしたら変身すると魔法少女みてーに強くなれるかもしれねーぜ?口から大砲出してプラカードブン回す」
「そんなかしこくもかわいくもない魔法少女聞いたことないわよ!?ていうか少女でもないよね!?」

絵里は着ぐるみを手に取り、そこに描かれている顔を見る。
くちばしと円の中心に黒点をつけただけの簡素な目に、申し分程度の睫毛がある。
そんな変な顔に絵里と同じ髪型があるのだから、何とも変な気分だ。

「エリザベスというか絵里ザベスだな」
「うまくないわよ!!」

絵里は絵里ザベスと呼ばれたことを心外に感じながら、今一度エリザベスの着ぐるみを見つめる。
この衣装は本当に役に立つのだろうか。
変身セットとあるが、外見だけ変身するのか能力まで受け継ぐことができるのかは定かではない。
銀時が言うには新八と神楽という子を両脇に抱えられるくらいには力が強いらしい。
正直、ここで着替えるのは恥ずかしいし、これを着た姿を見られるのはもっと恥ずかしい。
もし一人になる機会があれば……あまり期待はしていないが、一応試着してみるのも悪くはないかもしれない。
絵里はハッとしてその考えを振り切り、エリザベス変身セットを黒カードに戻して銀時と共に本能字学園へ向かうのだった。

【B-7/深夜】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]:精神的疲労(小)
[服装]:いつもの格好
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0~3枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針: ゲームからの脱出
 1:絵里と音ノ木坂学院に向かう
 2:新八、神楽、ヅラ、長谷川さん、ついでに土方と合流したい
 3:神威は警戒
 4:今のところは迷わないために本能字学園へ向かう

【絢瀬絵里@ラブライブ!】
[状態]:精神的疲労(小)
[服装]:音ノ木坂学院の制服
[装備]:なし
[道具]:腕輪と白カード、エリザベス変身セット@銀魂、赤カード(9/10)、青カード(10/10)
    黒カード:不明支給品0~2枚(本人確認済み)
[思考・行動]
基本方針:皆で脱出
 1:銀さんと音ノ木坂学院に向かう 
 2:μ'sのメンバーと合流したい
 3:今のところは迷わないために本能字学園へ向かう
 4:エリザベス変身セットを着てみる…?
 [備考]
※参戦時期は2期1話の第二回ラブライブ開催を知る前。

【エリザベス変身セット@銀魂】
絢瀬絵里に支給。エリザベスになりきれる変身セット。
エリザベスの着ぐるみとプラカードがセットで支給されている。
ただし、『このアイテムを初めて出した者』の髪型が着ぐるみにコピーされるので、
どちらかといえば蓮蓬篇(アニメ232~236話)での蓮蓬族変身セットと言った方が想像しやすい。
ホテルにて絵里が黒カードから始めて出したため、エリザベスが金髪のポニーテールの髪型をしている外見になっている。
実際に着用してどのような効果があるのかは後続の書き手様にお任せします。
特に何も起こらないかもしれません。


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