真の旗 ◆gsq46R5/OE


  真選組――それは、江戸の治安を護る特殊武装警察である。
  基本的には荒事一点特化。逆に言えば、戦闘以外に関しては壊滅的。
  犯人逮捕のついでに暴行・破壊活動もお手の物。おかげで世間様からの目は冷たい。
  土方十四郎という男は、その副長を務める人間だ。
  このバトル・ロワイアルという趣向にいち早く適応できたのも、ひとえに警察活動で培った度胸の賜物だった。
  未だかつてない最悪の凶悪犯罪ではあるが、これと同じくらいに剣呑な状況なら幾度か経験してきた。

  その上で彼は考える。
  この場で自分が、真選組としてすべきことは二つだ。
  一つは、こんな趣味の悪い催しに放り込まれた被害者を出来る限り多く生きて帰すこと。
  もう一つは、言わずもがな主催者の打倒である。逮捕が無理ならば、斬り捨てることも辞さない。

 「(……今思い出しても胸糞が悪ィ)」

  土方は顔を顰めて小さく舌打つ。
  攘夷志士や反乱者のような連中とも何度となく戦ってきた彼だが、やり口の残虐さならば間違いなく繭が随一だ。
  あの女は決して逃してはならない存在だと、心からそう思う。
  それはきっと、この殺し合いへ疑問を抱く全ての人間が思っていることだろう。

 「………」
 「……? どうかしました、十四郎さん?」
 「……別に。何でもねえよ」

  土方と彼が現在護衛している少女、宇治松千夜は音ノ木坂学院を後にし、近くの公園を目指していた。
  別に公園を選択したことに深い理由があるわけではない。
  強いて言うなら、ただ近場にあったから。その程度の理由である。
  それに、地下闘技場などという恐ろしげな名前の施設を目指すよりかは余程安全なのは間違いない筈だった。

  止せと言ってるのに土方の前方を歩く千夜。
  その無邪気とも呼べる振る舞いを見て、土方はもう一度舌を鳴らす。
  最初は気付かなかった。
  只の脳天気な奴だと思っていた。
  だが、少し一緒に過ごしてみて、すぐに違和感に気付いた。
  脳天気? ――いや、これはそういうものじゃない。あまりにも、危機感が欠けすぎている。
  ああ、と思った。
  同時に、今もどこかでケラケラ笑いながら自分達を見下ろしているのだろう主催者への怒りが増した。

  千夜は現実を見ていない。
  彼女の中で、このゲームは少々刺激的で趣味の悪い夢ということになっているのだろう。
  もしくは何かの間違いと信じているのか。……確かにドッキリを疑いたくなるのも分からないでもないが。

 「それにしても、静かですね」
 「そりゃ夜だからな。大体、大声出すような状況でもねェだろ」

  これが自分の仲間や知り合いなら、躊躇なく背負い投げの一つでも決めてやるところだが、土方はそれをしない。
  彼ら真選組は絵に描いたような武闘派だが、人の心も分からない馬鹿の集まりではない。
  加えて状況が状況だ。無理に現実を見せて、追い詰められた彼女がどんな行動に出るか分からない危険もある。
  暴走して襲い掛かってくるくらいならまだいい。
  子ども一人に殺されるような鍛え方はしていないし、そちらの方がまだ頭を冷やしてやれそうだ。
  だが、これは殺し合い。
  何が起こるか分からない以上、常に一寸先は闇の中。
  ――不用意な行動は出来ない。それが、土方十四郎という男にはどうしようもなくもどかしくて仕方がなかった。


 「……あら?」


  千夜が不意に、足を止めた。
  あん? 呟き、一足遅れて土方も止まる。
  彼女は前方を指差していた。その方向に視線を向けると、そこには。

 「参加者か」

  遠目からでも整っていると分かる出で立ちの少女だった。
  ただ少し奇怪なのは、纏っているその装いだ。
  あれは鎧だろうか? 何にせよ、少女の外見にそぐわない重装備であることは確かである。
  目を凝らして見れば、その細腕には土方達が付けている――もとい、付けられていると同じ腕輪が確認できた。

  かしゃん。

  鎧と鎧が擦れ合う音と共に、その少女は土方達の方へ身体を向ける。
  どうやら、あちらも彼らの存在へと気付いたようだった。
  翡翠色の双眸が、土方と千夜を見据える。

 「あら、こんばんは~。ごめんなさいね、じっと見つめるようなことして――」


  千夜が一歩前へと出る。
  友好的に、いつものノリで少女へ駆け寄ろうと踏み出した。
  それは彼女にとって、ごく当然の行動だったのだろう。
  宇治松千夜は温厚な少女だが、決して人見知りをする性格ではない。
  むしろ人見知りをするのは彼女の親友の方であり、千夜はどちらかと言えば進んで声を掛けに行くタイプだった。
  とはいえ、彼女とて阿呆ではない。状況を見れば、それが危険な行為だとすぐに分かったろう。
  しかし、である。今の宇治松千夜は普通ではなかった。
  現実から目を背け、これは夢か、はたまた何かの間違いだと逃避に走っている。
  千夜にとってはこの地獄のような状況も、普段通り。
  こんなことは起こるはずがないのだから。
  普段通りでなくてはならないのだった。
  だから、千夜には気付けない。
  鎧の少女が――自らの得物の柄へと、その片手を付けても。

 「……下がれ」

  土方は感じ取っていた。
  鎧の少女がこちらを向いたその時から、全身が総毛立つような怖気を感じ取っていた。
  その源が何であるかなど、数え切れないほどの修羅場をかいくぐり生きてきた土方には語るまでもない。
  即ち、殺気だ。それも生半可なものではない。
  彼が先刻危惧した、夜兎族の神威のものとはまた別種の、されど劣らない鋭く尖った殺気。


 「――下がれェェェェ、千夜ァァァ!!!!」


  叫んだ時には、もう遅かった。
  目を奪われるように美しい銀色の軌跡が煌めいて、ルビーの雫が舞い散った。




 「え」

  宇治松千夜は倒れていた。
  鈍い痛みを感じる。なんだか息も苦しくて、いつしか空を見上げる格好になって寝転んでいる。
  ――じわり。お腹の辺りに、嫌な感覚があった。
  例えるなら、食事中にお味噌汁をこぼしてしまった時のような感覚だった。
  あるいは子供の頃、おねしょをしてしまった時にも似ているかもしれない。
  お味噌汁ほどではないにしろ、熱を持った液体が肌に纏わりついて気持ちが悪い。

 「えっと……」

  確か私は、十四郎さんと一緒に公園を目指していたはず。
  そこで私が女の人を見つけて、声をかけようとしたら十四郎さんが何かを叫んで。
  それから、どうなったんだったっけ。確かめるように顔をあげると、すぐに千夜は異変に気付いた。
  ――お腹が、赤い。その赤みがゆっくりと広がっていき、その度に肌へ伝わる気持ち悪さが増していく。

 「あれ」

  もしかして、私。


  ――死んじゃう?


  そう思った時、自分の前へ立つ誰かの姿を彼女は見た。
  見えるのは後ろ姿だったが、誰かは言うまでもなく分かる。
  時代錯誤と言われても仕方のない変な服を着た、ぶっきらぼうなツッコミさん。
  でも、今までと一つだけ違うことがあった。
  右の脇腹のあたりが、千夜のお腹と同じ色に染まっている。
  しかも、そこからこぼれ落ちる赤色の量は――千夜のものよりもずっと多い。

 「……怪我はねェか」
 「十四郎さん……?」
 「無事ならいい。いいから、それ以上喋るな。そんでもって振り返らねェで、うんと遠くまで逃げろ」


  土方の前方には、血の滴る剣を握ったあの少女が立っていた。
  剣で斬られたなら、鋭い痛みがなければおかしい。
  うまく言えないが、包丁で指を切った時のを何倍にもしたような痛みのはずだ。
  しかし千夜はあくまでも、何かにぶつかったような痛みだけを感じていた。
  そっと、服の下から血に濡れている部分を触ってみる。――痛くない。傷も、ない。

 「聞こえねェのか! 逃げろって言ってんだ、とっとと走れェ!!」

  その勢いに気圧されるように、千夜は起き上がる。
  そして、言われた通りに走り出した。
  走る中で、何が起こったのかを彼女の頭は徐々に理解しつつあった。
  あの時、土方十四郎は「下がれ」と叫んだ。直後に千夜は吹き飛ばされ、地面に倒れていた。
  ……これだけ揃っていれば。誰だって、事の次第を理解するだろう。いや、してしまうだろう。


  土方は千夜を突き飛ばしたのだ。
  自分が傷を負うことも厭わず、護衛すると決めた彼女が殺されることだけは避けんとした。
  結果、千夜は助かった。
  だが、土方は傷を負った。
  斬られた場所はともかく、あの出血量を見るに――相当深く切り裂かれたのだろうと素人目にも分かる。
  どうして。どうしてどうして、どうして!
  千夜は混乱気味な頭の中を必死にフル回転させ、考える。

 「夢じゃ、ないの……?」

  逆らった少女が殺されて、ココアやシャロ達も殺し合いに参加させられていて。
  そんなことがあるわけはないと思ったし、何よりあってはならないと思ったから、千夜はこれを夢だと信じた。

 「間違いじゃ、ないの……?」

  何かの間違い――つまり、テレビなりなんなりの企画ではないのかとも疑った。
  では、土方はその仕掛け人役ということになるのか。
  そう納得できればまだ楽だったかもしれない。しかし千夜は、そこまでおめでたい頭の持ち主ではなかった。
  足を止め、怒鳴られることも覚悟して振り返る。
  土方と少女は未だ睨み合っていた。そして、千夜の見ている前で殺陣を始めた。

  その光景があまりにも恐ろしくて、千夜は再び走り出した。
  なぜだか、土方とはもう二度と会えない、そんな気がした。
  千夜の大きな瞳から滂沱の涙が溢れる。転んで、足を取られて、それでも走った。
  大事な制服をどろどろに汚しながらも、懸命に走った。



 「(そうさ――夢なんかじゃねえ。こいつはれっきとした現実だ)」

  鎧の少女、セイバーと真選組副長、土方十四郎の戦いは一方的な戦況となっていた。
  少女の細腕から繰り出されるとは思えない剛剣を受け止める度、刀を握る腕が軋む。
  それだけの威力で振り下ろされる剣だから、鍔迫り合うことへも慎重になる必要があった。
  下手にぶつかれば、まず間違いなくこちらの刀が折れるか砕ける。
  土方の持つ刀も、ある意味では相当な業物なのだが――それでも、セイバーの振るう剣には敵わない。

 「(護衛くらいなら引き受けるだとか、偉そうなことを言っといてこの様たあ情けねえ……副長の名折れだな)」

  繰り出す剣は全てがいなされる。
  無鉄砲に切り出せば正面から止められ、かと言って搦手に走ってもこの剣士はそれを真っ向から破ってくる。
  月並みな表現だが、化物としか言いようがなかった。
  少女の剣が、土方の胴体に何本目かの刀傷を刻む。噴き出す血と一緒に意識も飛びそうになるが、堪えた。

 「づ」

  刀を構え直し、裂帛の気合と共に土方は再び猛追した。


 「――おおおおおおおおおおォォォォォォ!!!」
 「ッ」


  そこで初めて、セイバーは反応らしきものを示した。
  彼女が驚くのも無理はない。今決まった一閃は、人間なら戦闘不能になって当然のものだった。
  それに加え、彼は最初の一発も含めた複数の傷を負っている。そのどれもが重傷と呼んで差支えのないものだ。
  袈裟方向に振り下ろされる刀を止める。――重い。本当に人間の力なのかと、セイバーをして錯覚してしまうほど。

 「俺が倒れないのが不思議かよ」

  土方十四郎は人間だ。
  天人や夜兎とは違う、れっきとした地球生まれ地球育ちのホモ・サピエンスだ。
  英霊の座から召喚されたサーヴァントではないし、当然限界も彼らにすれば呆れるほどの早さで訪れる。
  その時は確実に迫りつつあった。いや、セイバーの考え通り、本来ならもうとっくに限界へ達している筈なのだ。
  土方は笑う。ああ、テメーには理解できねェだろうなと、言葉にはせず心の中でせせら笑った。
  セイバーの突きが腹へ突き刺さる。この刺さり方だ、内臓は持って行かれたろうな――奇妙に冷静な頭で思った。

 「いいぜ 冥土の土産に教えてやる」

  ハッと目を開くセイバー。
  土方に突き刺さった剣ごと、後ろへ飛び退かんと地面を蹴った。
  だがもう遅い。さしもの剣の英霊でも、この間合いならば避けられない。



 「それが―――侍ってモンだからだァァァァァ!!!!」



  放ったのは意趣返しの突きだった。
  鬼の副長の名に違わぬ、鬼神のごとき表情と気合いで放たれた一発は、セイバーの構えた剣の横を通過し。
  その首筋へとまっすぐに突き進んでいき、……その首の皮一枚を、切り裂いた。


 「……今のは、見事でした」


  土方は、もう何も語らない。
  突きを放ったままの格好で沈黙していた。
  セイバーはそんな彼を見て、ゆっくりと黄金の剣を振り上げる。

 「覚えておきましょう。東洋の侍」

  これまでのものよりも一際深い袈裟斬りが土方十四郎の胴体を裂いて、数秒ほどしてから、彼はようやく崩れた。
  セイバーはその姿を見つめ、やがて背を向け、少女が走り去った方向とは別な方を向いて歩き出す。
  高潔さをかなぐり捨て、騎士道を逸脱してまでも願いを叶える道を選んだとはいえ、それでも彼女は騎士だった。
  名前も知らない侍の男が、文字通り命を懸けて作った時間と逃げ道。
  それを追い立てるのは、どれだけ落ちぶれたとしても、セイバーの矜持が許さなかった。
  鎧の擦れ合う音が遠ざかるのを聞きながら、薄れゆく意識の中、土方は思う。

 「(悪いな、近藤さん。俺はもう、アンタの馬鹿に付き合えそうもねェ。
   悪いな、総悟。いや、お前にしたら良かったのかもしれねェが。
   念願の副長の座だ。精々、俺の分も真選組を支えてくれや。なに、テメーなら出来るだろうよ)」

  やり残したことは、山ほどある。
  残してきたものも、腐るほどある。
  だが、土方は心配はしていなかった。
  彼が育て、また育てられてきた真選組は、自分がいない程度で廃れるほど弱くはないと信じていたからだ。
  それに、最後は無力な一般人を守って死ねたのだ。侍冥利に尽きるというやつだろう。
  ……これであの鎧女に勝てていたなら、もう言うことはなかったのだが。

 「(後はテメーらの仕事だ、万事屋。まあ、上手くやれよ)」

  ……正直なところ、戦うばかりで時間感覚が曖昧だ。
  千夜は逃げ切れたろうか。鎧女が心変わりを起こしてももう遅いくらい遠くまで、離れられたろうか。
  確かめるすべはもうない。後は祈るのみだ。
  ゴロリと体を動かして、空を見上げた。もう時間もないようだ。懐へ手をやり、土方はため息をつく。
  結局、最後まで一服出来ず仕舞いで終わるとは。これでは化けてしまいそうだった。

 「ホント、ロクでもねえ人生だった」

  ――けどまあ、悪くもなかった。

  最期に、かつて愛した女のことを思いながら、真の旗を背負った鬼は、地獄へと戻っていった。


【土方十四郎@銀魂  死亡】
【残り64人】


 ※A-2の右端付近に、土方十四郎の死体と支給品、村麻紗@銀魂 が放置されています。



  ブリテンの騎士王は、その剣で自身の願いを葬り去った。
  その時彼女のマスターであった男が何を考えていたのかは、セイバーには分からない。
  しかし一つだけ、確かなことがあった。第四次の聖杯戦争を終えて、確かに理解することがあった。

  ――私は、王になる器などではなかった。

  そしてそれこそ、この自分が真に願うべきことだったのだ。
  悔やみ、悔やみ、悔やみ、悔やみ、悔やみ。そうして気付けば、あの何処とも知れぬ場所へと召喚されていた。
  繭の行動に憤りを覚えはしたが、それ以上に千載一遇の好機であると思った。
  彼女が本当に願いを叶える力を持っているという証拠はない。
  それでも。セイバーは、この願いを叶えるためならばどんなに細い藁にでも縋りつく覚悟だった。

  騎士王、アルトリア・ペンドラゴンが進んでいく。
  勝利を約束する聖剣を携えて、一度は取り逃した願望器の代替を手に入れるべく、血の道を進んでいく。

  人の気持ちがわからない王が行き着く先は願いの成就か、それとも二度目の挫折か。


 【A-2/深夜/一日目 深夜】

 【セイバー@Fate/Zero】
 [状態]:疲労(小)、首にかすり傷
 [服装]:鎧
 [装備]:約束された勝利の剣@Fate/Zero
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:なし
 [思考・行動]
   基本方針:優勝し、願いを叶える
   1:全ての参加者を殺す。
   2:自分以外のサーヴァントと衛宮切嗣には警戒。
 [備考]
 ※参戦時期はアニメ終了後です。




  宇治松千夜は走る。
  泣き腫らした両目で、制服を汚してまでも走る。
  どのくらい走ったのか分からないが、振り返ろうとはしなかった。
  自分の逃避が招いた結果を想うと、罪悪感と寂寥の涙が止まらない。
  同時に、まるで予想の出来ない未来への恐怖がどんどん込み上げてくる。
  皆は大丈夫だろうか。自分はこれからどうなるのだろうか。……考えただけで、声をあげたくなった。

  それから更に走って、走って。
  やっと千夜が足を止めたのは、視界に人影が見えてからだった。
  小さな少女だ。きっとまだ中学生にもなっていないだろう少女が、不安げに周囲を見渡している。

 「あ――」

  それを見て、千夜の中の何かが切れた。
  いくら逃避をしていても、心の奥底では現実を見つめていたのかもしれない。
  無理に堪え続け、挙句先のことがあり、千夜の心はもはや擦り切れんばかりに摩耗していた。
  少女が、千夜に気付く。様子がおかしいことに気が付いたようで、小さな歩調を急がせ、駆け寄って来てくれた。
  だめ、にげなきゃ。伝えようとしたが声は出ず、宇治松千夜はそのままぷっつりと意識を手放した。


 「……良かった、気絶してるだけみたい……」

  目の前で倒れた千夜を介抱しながら、高町ヴィヴィオは安心したように胸を撫で下ろした。
  バトル・ロワイアルが始まってから結構な時間が経つが、他の参加者と出会うのは初めてだった。
  しかし、安心はできない。気絶する前、彼女は何かを自分へ伝えようとしていた。
  あんな必死な顔で伝えることとなれば、おのずと想像はつく。
  それに、眠る彼女の腹をじっとりと濡らしている血糊。
  確認したところ、これは彼女の血ではないようだが――だとしても、どこかで誰かが血を流したのは確かだ。

  千夜が血を“流させた”という可能性については……とりあえず、考えない。
  目を覚まさないことにはなんとも言えないが、ひとまずどこか、人目に付かないところへ運ぶのが吉だろう。

 「よっ、と」

  日々の鍛錬で体を鍛えているヴィヴィオにとって、年上とはいえ女性を背負うくらいは朝飯前だ。
  ――出来れば、道中でアインハルトさん達にも会えるといいんだけど。
  ヴィヴィオはまだ見ぬ親友二人の顔を思い浮かべながら、千夜を背に歩き始めた。

 【B-2/深夜/一日目・深夜】

 【宇治松千夜@ご注文はうさぎですか?】
 [状態]:疲労(大)、気絶、大きな不安
 [服装]:高校の制服(腹部が血塗れ、泥などで汚れている)
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:ベレッタ92及び予備弾倉@現実
     黒カード:不明支給品0~2枚
 [思考・行動]
   基本方針:心愛たちに会いたい
   1:…………。
   2:これから、どうなっちゃうの……
 [備考]
 ※現実逃避からは脱しました。しかし、精神的に非常に不安定です。

 【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはVivid】
 [状態]:健康
 [服装]:制服
 [装備]:なし
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid
 [思考・行動]
   基本方針:皆で帰るために行動する
   1:女の人(千夜)が目を覚ますまで待つ。
   2:その為に、どこか人目につかない場所へと移動したい。
   3:アインハルトとコロナを探す
 [備考]
 ※参戦時期はアニメ終了後です。


支給品説明

 【村麻紗@銀魂】
 土方十四郎に本人支給。
 過去に彼が自分の使っていた刀の代わりとして、鍛冶屋から借りてきた刀。
 恐ろしく切れるが、切った者の魂を吸い取ると言われていた妖刀である。
 引きこもりの息子が修学旅行だけに行きたいとわがままを言った事で、母親の怒りを買って遂に斬り殺された時に、刀に怨念が宿り、一度腰に帯びた者は、引きこもりの息子の怨念によって、魂を喰われていき、ヘタレたオタクに成り果てる。トッシーの人格はこの刀によって生まれた。
 やがて呪いは消え去ったが、愛着が湧いたのか、それ以降も土方はこの刀を愛刀として使っていた模様。

 【約束された勝利の剣@Fate/Zero】
 セイバーに本人支給。エクスカリバー。
 セイバーの宝具で、真名解放することで莫大な威力の光を生み出すことが可能。
 本ロワでは制限によって真名解放時の攻撃範囲が狭められている。

 【セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはVivid】
 高町ヴィヴィオに本人支給。
 高町ヴィヴィオの愛機であるハイブリッド型インテリジェンスデバイスで、愛称は「クリス」。
 外装はうさぎのぬいぐるみ。


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004:ひと目で、尋常でないツッコミだと見抜いたよ 土方十四郎 GAME OVER
セイバー 052:真夜中の狭間
004:ひと目で、尋常でないツッコミだと見抜いたよ 宇治松千夜 034:Anemone Heart
高町ヴィヴィオ 034:Anemone Heart

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最終更新:2015年08月23日 06:00