1名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 20:36:32 ID:7XPK1svd
ここは人間の住む世界とはちょっと違う、ケモノ達の住む世界。
周りを見渡せば、そこらじゅうに猫耳・犬耳・狐耳・etc。
一方人間はというと、時々人間界から迷い込んで(落ちて)来る程度で数も少なく、
希少価値も高い事から、貴族の召使いとして重宝がられる事が多かったり少なかったり。

けど、微妙にヒエラルキーの下の方にいるヒトの中にも、例えば猫耳のお姫様に拾われて
『元の世界に帰る方法は知らないにゃ。知っていても絶対帰さないにゃあ……』
なんて言われて押し倒され、エロエロどろどろ、けっこうラブラブ、
時折ハートフルな毎日を過ごすことを強要される者もいるわけで……。

このスレッドは、こんな感じのヒト召使いと、こんな感じのケモノ耳のご主人様との、
あんな毎日やそんな毎日を描いたオリジナルSSを投下するスレです。


このスレッドを御覧のヒト召使い予備軍の皆様、このスレッドはこちらの世界との境界が
薄くなっている場所に立てられていますので、閲覧の際には十二分なご注意を。
ご主人様達の明日の御相手は、もしかすると貴方達なのかもしれませんよ?

さてさて、それではまず>>2-4を見られたし。
2名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 20:39:03 ID:7XPK1svd
【過去スレ】
猫耳少女と召使いの物語 (03/02/21 〜 03/12/25)
http://www2.bbspink.com/eroparo/kako/1045/10458/1045800367.html
猫耳少女と召使いの物語2 (03/12/17 〜 04/08/14)
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1071622872 (Html化待ち)
猫耳少女と召使いの物語3 (04/08/16 〜 05/03/07)
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1092588111
猫耳少女と召使いの物語4 (05/02/21 〜 )
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1108911697/

【SS保管庫・避難所】
エロパロ板SS保管庫 (当スレSSは『オリジナル・シチュエーションの部屋その3』に)
 ttp://sslibrary.gozaru.jp/
猫耳少女と召使いの物語 緊急避難所 (JbbsLivedoor エロパロ板SS投下専用掲示板 内)
 ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/2051/1090513959

【関連サイト】
猫耳少女と召使いの物語 まとめwiki (各作の人物紹介・世界観設定その他)
 ttp://nekopri.on.pc1.jp/index.html
猫耳少女と召使いの物語 半公式ファンサイト (世界観まとめサイト)
 ttp://www.geocities.co.jp/Milano-Killer/9811/world.html
3名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 20:41:21 ID:7XPK1svd
【今までに登場した作品一覧:登場順】

NO: 作品タイトル <作者様名(敬称略) 初出 経過>

01: こっちをむいてよ!! ご主人様 <こちむい 1st-29 全10+1話完結>
02: IBYD <180 2nd-189 停滞中>
03: 華蝶楓月 <狐耳の者 2nd-217 停滞中>
04: こちむいU あしたあえたら <あしたら(=こちむい) 2nd-465 連載中>
05: 火蓮と悠希 <(´・ω・`)へたれ猫 2nd-492 停滞中>
06: 十六夜賛歌 <兎の人 2nd-504 連載中>
07: ソラとケン <◆rzHf2cUsLc 2nd-645 停滞中>
08: ご主人様とぼく <65 2nd-738 停滞中>
09: 狼耳モノ@辺境(仮題) <狼耳モノ@辺境(仮題) 3rd-79 全1話完結?>
10: Silver Tail Story(仮題) <狼を書く者 ◆WINGTr7hLQ 3rd-103 連載中>
11: 放浪女王と銀輪の従者 <蛇担当 3rd-262 連載中>
12: 黄金の風 <一等星 3rd-348 停滞中>
13: 最高で最低の奴隷 <虎の子 3rd-476 連載中>
14: From A to B... <エビの人……もとい兎の人 3rd-543 全1話完結?>
15: 魚(・ω・)ヒト <魚(・ω・)ヒト 3rd-739 連載中>
16: 狗国見聞録 <692 3rd-754 連載中>
17: 草原の潮風 <63 4th-63 連載中>
18: 岩と森の国の物語 <カモシカの人 4th-82 連載中>
19: scorpionfish <scorpionfish 4th-125>
4名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 20:43:23 ID:7XPK1svd
それでは、ごゆるりとお楽しみあれ。
5狐耳の者sage2005/04/13(水) 20:54:32 ID:DvC1ufyx
ゑーと、放置しまくってて申し訳ありません。
去年色々とありまくった上に今年は原稿に埋もれておりました。
やっと執筆再開できるのでもう暫くお待ちください。

>>1
スレ立て乙です。
6名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 20:56:04 ID:Dv9w1JWD
スレ立て乙
7蛇担当sage2005/04/13(水) 21:13:27 ID:/YMFOX9m
1さん、乙です。
あ、う。結局前スレに落とせなかった。
現在執筆中ですが、他にも書かなきゃいけないシナリオとかあるので、ええと、6月までには。
8名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 21:21:57 ID:Dv9w1JWD
>>7
期待してます
ガンガレ
9魚(・ω・)ヒトsage2005/04/13(水) 22:44:13 ID:Z6r92G3I
>>7 
同じく期待してます
がんば〜
10名無しさん@ピンキーsage2005/04/13(水) 23:45:38 ID:tdv1CCyb
スレ立て乙
>>5 >>7
そして期待大
11名無しさん@ピンキーsage2005/04/14(木) 16:29:11 ID:uPDvaCk0
即死回避
12名無しさん@ピンキーsage2005/04/14(木) 22:59:27 ID:jsPAGndl
◆ozOtJW9BFA氏に続きを書いてもらいたい。
13名無しさん@ピンキーsage2005/04/14(木) 23:30:07 ID:+NQHqK4E
猫には〜自分の〜世界が〜ある
たとえるなら〜雪の朝の〜暖か〜い部屋の中〜
14名無しさん@ピンキーsage2005/04/14(木) 23:54:59 ID:GMYz1mGz
あしたらは・・・あしたらはまだか・・・
15名無しさん@ピンキーsage2005/04/15(金) 08:16:22 ID:kA9kjypH
ゼキさん待ち遠しいよゼキさん
16名無しさん@ピンキーsage2005/04/15(金) 09:26:44 ID:1p/MrBFh
ふと電波が

/***********************/

たぶんオチモノの漫画を読んだのが原因だろう
「見ろ!キャットインコタツの能力を!」
主人がコタツから首だけを出して叫んでいる
「もはや!何者にもここから動かすことはできない!」
バカじゃなかろか
分かったから出てきてくだ「聞いていなかったのか!」
知りません
「猫井技研の科学力は世界一ぃぃぃぃぃ!」
コタツも漫画もよほど気に入ったらしい

それとコタツから出ないのは別問題
「別に誰に迷惑かけている訳でもないだろう」
私が迷惑です
「まあいいからお前も入れ」
私には家の掃除が「命令」分かりました

まあいいか

/***********************/
17名無しさん@ピンキー2005/04/15(金) 19:56:01 ID:YYF4oUES
ワラタw
18兎の人sage2005/04/15(金) 20:18:04 ID:8gpgrw4l
スレたて乙 & 新スレおめ〜

え〜っと……今の仕事が片付けばしばらく暇になりますんで、
今まで溜め込んでたもの、なるべく早く書いちゃいたいと思ってます
お待ち下さい……
19名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 00:57:39 ID:D5Rg7uIr
>>16
そのままコタツの中での絡み合いに突入ですか? ハァハァ
20名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 18:00:00 ID:duCUnibM
リナさまマーダー?
アンシェルたんマーダー?
ジークたんマーダー?

・・・・俺の好みがばれるなぁ
21名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 18:03:18 ID:jI208lmP
>>20で提示されたキャラの共通項を探るに・・・・・・筋肉?(ォィ
22名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 18:41:08 ID:duCUnibM
>>21
いや、戦う女(男)というか、かっこいい女(男)が。
で、そんな表では畏怖や尊敬の対象な女(男)が、裏では実はおばかだったりあふぉだったりするのが。
23名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 18:43:49 ID:U9rDv3UX
>>22
あ〜・・・・・・俺も好きだ。このギャップが良いな
24名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 18:46:29 ID:jI208lmP
あー、あー、「ビシバシなキャリアウーマンが家に帰ると甘えん坊になる」といったやつですなw
25名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 20:12:08 ID:XXbRznwN
ツンデレって言うんだっけか?
26名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 20:30:32 ID:duCUnibM
いや、ツンデレではないんだ。すごいマニアックかつ微妙な差で申し訳ないんだが。

例えるなら、きつくしまってどうしても開かないビンのフタに散々ムキになって悪戦苦闘したあと、しまいには据わった目で方天戟振りかざして「切る」とか言いだすリナ様萌え。

そうしてビンごとぶっ飛ばしたあと、「ふはははは、見たかこの大陸一とうたわれた無双のリナの槍捌き!!」とひとしきり笑って満足げにしたあと、
あらためて中身ごとぶっとんで消し炭になった元ビンだったものを見つけて、
iill| ○| ̄L
と激しくへこむ、そんな休みの日には自分の家で一人漫才してるリナ様萌え

ツンデレじゃなくて、ツンバカとでも言おうか
27名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 20:34:30 ID:U9rDv3UX
俺の場合は、偉い人の意外な一面を発見したときの 『 (・∀・)ニヤニヤ 』 な嬉しさなんだな
28名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 20:41:13 ID:jI208lmP
ツンデレというのは
「敵対的だったがフラグイベント後にすごくデレデレになるキャラ」のことだ。

例を挙げるなら、烈海王とか。
29名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 20:48:14 ID:U9rDv3UX
ちがう。ツンデレというのは……
「本当は好きで好きでたまらないのに自分のプライドが邪魔して素直になれない。でも好き」
ってことなんじゃないかなって。しかも 『素直に振舞えていない』 と思っているのは本人だけ。
30名無しさん@ピンキーsage2005/04/16(土) 21:29:56 ID:jI208lmP
ふうむ、意見が割れたのでググッてみたが・・・・・・
ttp://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C4%A5%F3%A5%C7%A5%EC
どうやら「どちらも正しい」らしい。
31scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:04:22 ID:Li4dByNP

 いつも天井から見える、仄暗い青い海。
 それとは色彩の違う明るい海を、あたしたちは陽光に照らされながら泳いでいた。
 正確には、高速で泳ぐファルムの腰ベルトにあたしが必死に掴まって、おまけに腰を小脇に抱えられて移動していたんだけど。
 眼下は見渡す限り珊瑚礁。
 無数の魚の群れや、水面近くを浮遊する大きな魚影。
 それらを、ガラスのゴーグルで見つめながら、あたしは目をつぶらずに周囲を観察していた。
 少し深くなった部分に、何か、ある。
 島影?
 ううん、違う。
 岩みたいに見えたそれは、フジツボに覆われ、岩と化した、海底に沈む巨大な廃棄船。
 元がどんな船だったのかはわからない。でも確かにそれは斜縦に海底に突き刺さった船の形を残していた。
 その周囲には珊瑚の残骸が堆積し、船を支えると同時にその上へ積もり、遥か彼方の水面まで、なだらかな白い斜面が続いている。
 船の周囲では完全に珊瑚礁は途絶え、ほぼ死滅していた。岩陰の海藻だけが、寂しく揺れる。
 十メートルぐらい先には色とりどりの珊瑚礁が見えるのに。
 ファルムが大きく水を蹴って、廃棄船の下部へと泳いでいく。あたしは必死に剥がされないように掴まった。
32scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:05:29 ID:Li4dByNP
 船のごく近くまで近寄ると、姿は見えないのに岩陰から一対の三叉槍が進行を阻むかように交差し、行く手を封鎖した。ファルムが軽くヒレ耳に触れて何かを誇示する。すると槍は引き、道が開いた。細い隧道からあたし達は侵入し、やがて、ようやく空気のあるフロアに出た。
 水面から顔を出し、思いきり深呼吸する。足がつかない。きょろきょろと不安げに辺りを見回したあたしを、ファルムが誘導して水中梯子に掴まらせる。
 ほっとして、あたしは残り少ない空気飴を吐き出してから、先に上がったファルムの後に続いた。
 水面から梯子で上がると、ファルムが誰かと話していた。
 ゴーグルを外し、鼻つまみと、耳栓を取って、ポケットにしまう。
 髪からぽたぽたと雫が落ち、すでに乾き始めた肩を濡らした。
 話の途中でファルムが身震いして水滴を飛ばす。あっちは濡れていても全然平気だけど、あたしは寒い。
「ヒレなしの方がこちらの入り口から参られるのは珍しいですね」
 蛍光ブルーのヒレを持つ女の人が、獣人用だという、吸水タオルをあたしに被せてくれた。
 濡れた肌を拭き、生乾きの髪になると、ファルムが手間賃を女の人に渡して、あたしを呼んだ。
 武骨な扉を開けると、別世界が拡がっていた。
 そこは何だかとても色彩鮮やかなのに、見るからに胡散臭くて、昼のはずなのに薄暗かった。
 狭い回廊の両脇には行商が、思い思いに店を広げている。そんなに高くない天井から、いろいろなものがぶらさがっていた。
 人通りは多い。目にも鮮やかな色彩を纏う人々で溢れている。喧騒が鼓膜を揺らす。
 あたしはここに来てから初めて、こんなに大勢の人を見た。
 な、なんかファルムを明らかに値踏みするような視線の魚人さんが通っていくんですけど。
 それに、その、ファルムみたいな顔の人もいるけど、その、魚頭の人がいて、怖いんですけど。あの人達、瞼閉まるのかなあ。
「魚人も獣人も、オスはほとんどあんな感じさ、言わなかったかい?」
 あたしの怯えた表情に、ファルムが振り返る。
「聞いてません…」
「まあ、海は陸と違って、陸ではマダラと呼ばれるオスも多いけどねえ」
33scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:06:45 ID:Li4dByNP
 ファルムの腰にしがみつくように進む。今日はベルトを巻いてくれてるので捕まりやすい。あんまりひっぱると怒られるんだけど。
 素足に、金属の感触が冷たい。
 角を曲がると、二人分の青い影が、脇からの青いゆらゆらとした光を受けて出来る。
 あたしは、興味を引かれてその光の方へと、ファルムを引っ張りながら寄ってみた。
 所々にある小さな円窓。覗くと、やっぱり水中。海水はエメラルドグリーンで、とてもきれい。
 熱帯魚が目の前を通り過ぎていく。
「さて、陸風料理は……と」
 あたしに引っ張られるついでに近くの案内板の前で立ち止まっていたファルムが急に歩き出し、慌てて小走りに追いつく。
 はぐれたら、帰れない。
 あたしの不安を見透かしたように、眼前で揺れる見慣れた赤黄色のヒレが、さりげなく頬を撫でた。
 ファルムは食事時にだんだん俯くようになったあたしを気遣って、ご丁寧に保温クリームを全体に塗りまくり、どういう構造かわからないけど空気飴を舐めさせて、ここまで連れてきた。ずっと必死にファルムに掴まってきたので、どこをどう来たかは覚えてない。
 水切れのやたらいい魚人族独特の布地はここに来てすぐに乾いたけど、あたしにはファルムの服は全部ぶかぶかで(特に胸の辺りが)、結局、上着を着て誤魔化している。下に着た服も、実はファルムが着ると腰までなのに、あたしが着ると膝丈という感じになっている。
 首には、身分証明、ということらしく、紅珊瑚のチョーカーをつけられていた。ファルムの後頭部のトゲと同じ形のそれは、かわいくて気に入っている。
 ファルムはいつにも増してゴージャスで、化粧も念入りだった。常はつけない宝飾品を沢山身に纏っている。一部は貨幣代わりと言っていた。
 目立つのは両ヒレ耳にひっかけるタイプの金の耳飾りで、六連の黒真珠が歩く度に耳元で揺れている。
 ファルムやあたしを好色そうな眼で見つめてきた魚人も、その黒真珠に目を留めた途端、なんだか避けるようにすれ違っていった。
 階段を上ると、客層が変わる。
 道も広くなり、魚人に混じって獣人もいるようになった。
 あ、あれはネコの人だ。デブってるなあ。
 眼が合うとニヤリと微笑まれた。
34scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:07:49 ID:Li4dByNP
「気をつけるんだよ?」
 突然、ファルムが囁く。
「こんなところに来る奴等は、皆訳ありだからねえ。人買いに攫われるんじゃないよ」
 手首を掴まれて、引っ張られる。
 見上げるとちょっと男っぽい横顔のファルム。
 珍しい。
「そこのヒレなしは貴方の持ち物ですかな?」
 すれ違う瞬間、揉み手のネコ人がファルムに声をかけた。
「……この黒真珠が見えてのお尋ねかい?」
 ファルムが向き直って妖艶に嗤う。
「アタシも黒真珠の一つや二つ、持っておりますよ」
 表情を変えずにネコ商人が言う。
「……新参者かい?黒真珠の意味も知らないとは」
 あざけるような笑みに、ネコ商人の顔色が変わった。
 周りの魚人、それも自分の部下らしき人達までもが、田舎者を見るような目を向け始めたのを感じ取り、不快そうに顔を歪め、牙を見せる。
 なんだか、嫌な雰囲気になってる。
「何事だ!」
 ざわつき始めた市場に、透き通った声が響いた。
 雑踏が割れる。
 そこから姿を表したのは、黒銀のトゲヒレ耳と髪を持つ、浅黒い肌の背の高い女性二人組だった。手には鈍く銀色に光る三叉槍を持ち、揃いの銀色の鱗鎧を身に纏っている。
 一人は長い髪を後頭部で結い上げ、もう一人は緩い巻髪を胸に垂らしていた。雰囲気は異なるけど、両方とも目を引く美人だ。
「ファルムではないか。どうしたのだ?」
 切れ長の目元が涼しげな、髪を結い上げた武人さんがあたし達を一瞥して口を開いた。さっきの誰何の声だ。
「どうもしないさ。ビッグマムはお元気かい?」
「息災であらせられる。面会ならさぞお喜びになるだろう」
 知り合い?なのかな。
35scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:08:36 ID:Li4dByNP
 一方、もう一人のどこかおっとりした風情の巻髪の女性は、ネコ商人に声をかけていた。
「通行証を見せなさい。ここでの騒ぎは禁じておりますよ?」
「……いえいえ。アタシはちょっと商談を持ちかけていただけですよ」
 のらりくらりとネコ商人は話題をずらす。
「溺死したいのなら構いませんよ?」
 おっとりした声でにっこりと、女性は三叉槍を持ち替えた。
「いえいえ、アタシは何も……」
 ネコ商人が一歩後ずさる。
「黒真珠がどうとか、聞こえたな」
 ファルムと話していた女性が振り返った。
「あ、アタシも黒真珠なら持ってる、と話しただけですよ」
 ネコ商人が言い募る。
「……それを無闇にここで見せるのは感心しませんね」
 おっとりした女性は残念そうに首を振った。
「マダムファルムが身につけているのは刻印の黒真珠。そなたが持つものとは格が違うのです。刻印の黒真珠、すなわち我等の庇護の証。この魔窟においてそれは死よりも覆せぬもの」
 ネコ商人が迫力によろけてしりもちをついた。
 どっと周囲から笑い声が起きる。
 よく観察していると、なぜか魚人達は総じて獣人の人たちに冷たかった。商売はしてても、それだけって感じみたい。
「セレフィア、……ご挨拶に行きたいのだけれどねえ」
 ネコ商人には目もくれず、優雅にヒレを動かしてファルムが言った。
 武人さんが頷く。
「案内しよう。リテアナ、その馬鹿の始末は」
「まわりの者に任せますわ。ご機嫌よう皆様」
 リテアナと呼ばれた、おっとりした女性は槍を引くと、周囲に優雅に会釈した。
 その途端、ネコ商人は周囲の魚人に取り囲まれる。あっという間にどこかに担がれて連れて行かれる様を、あたしは呆然と眺めていた。
「始末はついたな、行こうか」
 どういう関係なんだろ。なんか親しげだし、ファルムも名前呼び捨てにしたし。なんだかちょっとむっとする。
36scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:09:11 ID:Li4dByNP
 ファルムの後ろから顔を出して見上げると、ようやくその人はあたしの存在に気づいたようだった。
「なんだ?そのヒレなしは」
 ヒレなし、ヒレなしって、あたしはどうせ、ただのヒトだもん。
 思わず頬をぷくうと膨らます。
「まあ、かわいい♪」
 唐突に、背後から抱きつかれ、頭上から降ってくるリテアナさんの声にあたしはパニックに陥った。口を開けて、わたわたと両手を動かす。それが面白く映ったのか、さらに抱擁に力が込められた。鱗鎧が痛い。
「……リテアナ、ちょっと。小さい子に手を出すのはやめなさい」
 渋面でセレフィアっていう人がたしなめる。
「だって……叔母様はずっとマダムにご執心なんですもの」
「人前でそう呼ぶのは止さんか!」
 あ、すごい真っ赤になった。あんまり年が離れてなさそうに見えるからいやなんだろうなあ。なんか、憎めないかも。相変わらず、ファルムとの関係は気になるけど。
「……こんなところで漫才してないで、さっさと連れていっておくれよ」
 ただ一人、ファルムの呆れたような退屈そうな声音が、その場を断ち切った。
37scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:09:44 ID:Li4dByNP
「ご機嫌麗しゅう、ビッグマム」
 ビッグマムは、名前の通り巨体だった。なんかスリーサイズ、全部一緒っぽい。
 少ない面積の黒のロングドレスからはみだす、浅黒い肌。髪は燻し銀の輝きで、短く刈り込んである。トゲヒレ耳や、他のヒレの方が長い。
 布製のソファに横向きに座るビッグマムは、気怠そうに水煙管をふかしていた。
 その指には、黒真珠の指輪が一つ。ファルムの身につけているものと同じ輝きで、それよりずっと大きい。
「セレフィア、……ファルムとは珍しい客人を連れてきたね」
 あたし達は三人で、ビッグマムと向かい合っていた。
 リテアナさんは、扉の前で待機している。
「はい、陸風の食事が恋しくなったとかで」
 ここでは、あたしたちは喋ってはいけないらしい。
 事前に聞きだした事柄をセレフィアさんが答えた。
「陸風?あのファルムが?どういう水流の変わり目かね」
 ビッグマムが声を出さずに喉で嗤う。
 ファルムは先程から微笑を浮かべたまま顔色を変えない。
「大方、そこのちびの飼育に困ったんだろうね。こいつらは雑食だ。海のものだけでは物足りなくなったんだろう、贅沢だねえ」
 ちびってあたし?飼育って、そういう感覚なのかな……。
「まあいい。二人とも許可を与えるよ。昼寝の邪魔をしないでおくれ」
 そういうとビッグマムはくるりとあたし達に背を向けてしまった。
 ファルムが無言で、ビッグマムの後ろ姿に一礼する。
「失礼いたします」
 セレフィアさんが挨拶して、あたしたちは、部屋を後にした。
 あれ、リテアナさんがいない。
 でも他の二人は特に気にしていなかった。
「ふう、随分とご機嫌だったな、マムは」
 少し歩いてから、セレフィアさんがぽつりと言う。
 あれで?
 あたしは小首をかしげながら角を曲がる二人に続く。
38scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:11:08 ID:Li4dByNP
「陸風の食事なら、貝と蟹が美味しい店がありますのよ。参りません?」
 ぴょこんと、リテアナさんが姿を現した。鱗鎧と槍がない。鎧を脱ぐとかわいらしいデザインのドレスなんだなー。ひらひらした姫袖と淡いピンクの色合いがほんわかした印象と合っている。
「陸のものが久しぶりに食べたいんだけどねえ」
 唐突な出現に一歩身を引いたあたしとは対照的に、いつもの調子でファルムが応じる。
「それだったら隣に屋台がありますわ、まいりましょ、ねえ、参りましょ?」
 リテアナさんが妙にはしゃいでファルムの腕をとった。よく見ると、化粧直しもしたみたい。
 あたし、なんだかおまけっぽい。
「おい、リテアナ、…無理強いは良くないぞ?見回りもあるのだし」
 少し控えめにセレフィアさんが言った。さりげなく牽制してる。
「あら。先程引き継ぎを済ませましたわ、皆さんの謁見の間に」
 リテアナさんがファルムの腕を離して、唇の前で指を振る。
 仕事モードの時よりかわいい人だなあ。
「……リテアナッ!」
 眉をしかめてセレフィアさんが威嚇するように槍で床を鳴らした。……全然効き目ない。
「ねえ、叔母様もいいでしょう?久しぶりの再会なんですもの。槍なんて無粋なものは置いて」
「ふむ……武装を解くのはまた別だが、ファルムは、その、どうなのだ?」
「シロが栄養失調にならなきゃ、他はどうでもいいね」
 ファルムの一瞥につられて、あたしの方を三人が一気に振り返った。
「な、なんでしょう」
 うう。背の高い三人から見下ろされるとひるむよお。
「シロちゃん、何が食べたい?」
「えーと、温かいものとか、ごはんとか食べたいです。とりあえず刺身と海草サラダだけは見たくないです」
 にっこりと微笑むリテアナさんの目がきらりんと光る。
「よおし、れっつごーよ!」
 あたしの手を引っ張ってリテアナさんが歩き出す。
「お、おい、背中を押すな」
 セレフィアさんが調子狂った感じでリテアナさんに喋りかける。主導権はリテアナさんにあるんだな、あの二人。
 あたしはすっかり雰囲気に呑まれて連れて行かれた。
39scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:11:48 ID:Li4dByNP
 通ってきた回廊市とは違い、いい匂いの漂う派手な店構えと屋台の建ち並ぶ一角。
 あたし達が囲む円卓の上には皿に山盛りのボイル蟹と焼き貝があった。
「うむ、旨いな」
「美味しいですわ。あら、お二人も食べてくださいな」
 って。なんで、なんで、殻ごと二人ともばりばり食べてるのー!!時折スイカの種でも吐き出すように、殻皿にぺっと吐き出すのが恐ろしい。
 あたしの強張った笑顔をよそに、ファルムが一人蟹用ハサミを使って優雅に切り分けていた。
「ほら。歯の頑丈なクロダイ族の真似なんてできないだろ?」
「あ、ありがと…」
 食べやすいように剥き身にされた蟹の脚をもらい、あたしはようやく食べ始めた。そっか。クロダイ族の顎って頑丈なんだ……。
「過保護だな」
 セレティアさんが手を止めて、言う。その脇にはジョッキの酒があって…かなり強い酒らしいのにあおりまくるスピードが早い。槍は置いてきたけど、鱗鎧は纏ったままのセレティアさんの目は据わって、ほんのりと頬を染めていた。
 同じく暴飲暴食に耽るリテアナさんの方はいっこうに顔色が変わらない。ハイテンションにただ目の前の皿をまるで回転寿司にでも来たような勢いで空にしていくだけだ。ものすごい音が口元からするが、気にしない事にする。
 気にしない。気にしない、もん……。
「食が進まないねえ…」
 ファルムが視線を落としたあたしを見て呟く。
「他に何か頼むかい?いくらなんでも名物だけじゃ飽きるさね」
 と、メニューを差し出してくれたのはいいけど、文字が、読めない。
 あたしの子犬のような視線を受けて、ファルムが面倒くさそうに上から読み上げる。
 あたしは、カキ雑炊と野菜炒めもどきを頼む事にした。
 来たのは一応温かいお米たっぷりのカキメイン雑炊と、海藻と野菜とイカの炒め物。ひさしぶりの温かい食事に頬を緩める。
40scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:14:26 ID:Li4dByNP
「それでだ。辺境域も、徐々に獣人達の行き来が激しくなっているわけだ」
 何かセレフィアさんがファルムに向かって話しかけていた。
 ファルムは突き出しの小魚の酢の物を食べながら気怠げに応じる。
「で?」
「我等としても、王都への興味を獣人達に持たせるわけにも行かない。だが、落ちものも増えた以上、ネコ共の知識は必要なわけだ」
「そ」
「ファルム、聞いているのか?」
「聞いてるさ」
 一方的にファルムにセレフィアさんが突っかかっている感じだ。
 食べながら二人の様子を伺うあたしに、リテアナさんが申し訳なさそうに声をかけてきた。
「ごめんなさいね。あの二人、会うといつもああなの」
「ああって?」
「昔から、こんなふうに防衛の話になっちゃうの。叔母様は真面目な方だから……。久しぶりにあの方に会えて、意見を聞きたいのね」
 ファルムっていつも余裕かましてるか、なにか怪しい事たくらんでるだけに見えるけど……面倒見はいいほうだからなあ。でも、なんであそこまで真剣に話を持ちかけてるんだろ?
「ファルムってここで何かしたの?」
「え?ああ……マダムはね、この魔窟を生み出した方なのよ」
 ファルムがこの魔窟を造った?
「正確には、落ちものを、魔窟に変えたんだけれど……。シロちゃん?手が止まってるけどもうお腹いっぱい?」
「あ?え。はい、まあ…ごちそうさまでした」
 すっかり目の前の皿を空にして、あたしは手を合わせる。あんまり蟹とか貝は食べてないけど。
「じゃあさ、今日だけマダムを、叔母様に貸してくれる?そのかわりあたしがこの中を案内してあげるわ」
「え?でも……」
 ファルムといままで離れた事はない。
 不安げにファルムを見ると、聞こえていたのか気怠げに向こうへお行きと手を振られた。リテアナさんの事、信頼してるのかな。それとも、旧友との話に忙しいのかな。
 あたしは、不安ながらも、その場をリテアナさんに連れられて後にした。
41scorpionfishsage2005/04/17(日) 03:16:24 ID:Li4dByNP
→選択肢
1:このままシロ視点で見てみる。
2:セレフィアとファルムが気になる。

すみません、一部混在しておりますが、「セレフィア」が正しいです。
エロなし導入部です……。

42名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 03:18:25 ID:joYUrgoU
リアルタイム

 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
 | キタ━━━━━━!!! |
 |_________|
.     ∧∧ ||
    (゚∀゚) ||
    / づΦ

選択肢は1キボンヌ
43岩と森の国ものがたり・6sage2005/04/17(日) 05:47:00 ID:TkyZIY4v
 星のピラミッドは、もともと占星術のための天文台だった。
 かつて占星術が秘儀だった頃の名残か、白のピラミッドに比べてはるかに入り組んだ構造になっており、またピラミッド自体も堅固なつくりになっているため、その気になれば下手な城砦なんかよりはるかに堅固な要塞となる。
 内乱勃発直後に王弟派がこの星のピラミッドを真っ先に制圧したのも、その要塞としての有用性ゆえであった。
 そして今、リュナ達はそこへと向かっている。
 リュナとフィリーヌ、そしてアルヴェニス。ダイオニスの家で着替えた服のおかげで、一見しただけならただの旅人に見える。
 ……もっとも、この戦乱の地で「ただの旅人」がいること自体が不自然ではあるが。

 息も切らさずに山道を歩くリュナ。その後ろを、フィリーヌとアルヴェニスがついてくる。
「……よくもまあ、それだけ元気に歩けるな」
 アルヴェニスが、げんなりした顔で言う。
 山歩きには慣れているカモシカ族とはいえ、そもそも道ともいえない道を歩いているのだから、普通は疲労がたまる。ましてや、リュナはロランとの戦いをこなしたばかりである。
「ほんと。女性連れなんだからちょっとはゆっくりしてもいいと思うけど」
 と、フィリーヌ。銃を杖代わりにして最後尾をついてきている。
「……え? ああ、ごめん……少し休むか」
 そう言って、リュナが足を止めた。
「まったく、なんだよそのスタミナは」
 アルヴェニスが、近くの岩に腰を下ろしながら言う。
「リシェルちゃんと鍛えてる……ってわけでもなさそうだしな」
「うーん……最近、忙しくてリシェルとはなかなか一緒に寝れないんだ」
「かといって、別に普段から訓練してるようにも見えないし。最近デスクワークばかりだったじゃない、リュナ」
 追いついてきたフィリーヌが、座り込みながらそう続ける。
「……そうだなぁ……一応、昔の訓練の成果……なのかな」
 ぽつりと、リュナが言った。
「昔の訓練?」
 アルヴェニスが問い返す。
「エグゼクターズにいた頃? でも、その頃の訓練なら私も同じ様なことしてるけど……」
 と、これはフィリーヌ。
 エグゼクターズ。国際犯罪者討伐のために作られたカモシカ族の国営特殊警備隊である。
44名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 05:50:15 ID:TkyZIY4v
 かつては陸の孤島に等しかったカモシカの国にも国際犯罪者の影が跳梁し始めることになると、従来の兵制では跳梁する国際犯罪者を追うことが困難になっていた。
 そのため、従来の縦割り管轄による軍事体系とは分離した遊撃特殊警備隊の編成が急務となり誕生したのがエグゼクターズである。
 管轄区域を問わず、国内における徹底追尾と殲滅を目的とした彼らの存在は、確かにカモシカ国内での国際犯罪者の駆逐に大きく貢献することとなった。
 だがこうなると今度は、国境付近で仕事を行い、そしてそのまま国境を越えることで追尾を逃れようとする国際犯罪者が増加した。
 そのため、先代の統治時代、エグゼクターズの越境権限を求めて近隣諸国との外交が繰り返された。
 粘り強い外交の結果、越境権限は認められたものの、その代償として保有武力の大幅な制限と、近隣種族との多種族混合部隊への組織変更を求められることとなった。
 結果として、エグゼクターズは従来に比べて少ない武力での戦闘を余儀なくされることとなり、そのため特殊訓練による個人戦闘力の強化が行われることとなった。
 フィリーヌとリュナが知り合ったのは、その頃のエグゼクターズである。
「確かに、あの頃の訓練は厳しかったけど……でもあれだったら、同じ訓練をしてるんだから私だってもう少しついていけるはずだけど」
 そう、疑問を投げかけるフィリーヌ。
「うーん……確かに、エグゼクターズ時代の訓練なんだけど……たぶん、僕の訓練はフィルは体験していないと思うよ」
「どういうこと?」
「うん……フィルとは、二年半ぐらい合わない時期があっただろ?」
「そういえば、私が狙撃班に回されてからは手紙も交わしてなかったっけ」
「うん。その直後、僕は獅子の国に飛ばされてね」
「獅子の国?」
 アルヴェニスが驚いたような声を上げる。
 カモシカの国の少し南西、蛇の国より少し北にある獅子の国。広大な平野を有する強国である。
「魔法を使えない、僕らカモシカが従来以上の戦闘力を有するにはどうすべきか。訓練による底上げでは限界が見え始めてた時に当時の上層部が目をつけたのが獅子の国の“気”だった」

45名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 05:51:02 ID:TkyZIY4v
「気?」
「うん。努力もあるけど、やはり生来の素質に左右される魔法とは異なり、修行と訓練の成果として生み出される力だから、カモシカ族でも使えると思ったんだろう」
「……それで、リュナが実験台にされたと?」
「まあね。それで、僕を含めて……二十人くらいが、獅子の国のいろんな訓練組織や道場に派遣された。そこで修行して、気功を身につけられたなら、本格的にそこと提携するつもりだったらしい」
「らしい……ってことは、誰も身につけられなかったってこと?」
 フィリーヌが聞く。「少なくとも、僕は会得できなかった。でも、もしかすると会得できた人もいたのかもしれない」
「どういうこと?」
「僕が獅子の国から戻ってきてからしばらくして、百人規模でエグゼクターズから人が消えた。もしかすると……というのはある」
「……なるほどね。で、リュナがこの山道で息も切らさないのはその頃の訓練の成果だと」
「そうだと思う。気は会得できなかったけど、当時の道場での訓練は間違いなく今の僕の血肉になってるはずだ」
「その頃の話は、あまり聞いたことがないな」
「……まあ、自分から言うようなことでもなかったし」
 アルヴェニスの言葉に、少し口を重そうにするリュナ。
「休憩がてらに、その頃の話を聞かせてもらおうかな」
「あの頃の話……か」
 少し考えてから、リュナはぽつりぽつりとその頃の思い出を語り始めた。

 僕が向かったのは、コウゼン師という武術家の人の道場だった。ずいぶん年配で……僕らで言えば60を超えていたと思う。
 鬣は……正直、白髪交じりで、見た目は決して立派じゃなかった。すくなくとも若い人たちから比べるとね。
 でも、動きは矍鑠としていて、年をまったく感じさせなかった。
 僕はそこで二年ばかり修行していたんだけど、その修行の終わりごろ……つまり僕もそれなりに強くなった頃、僕が真剣を持って、コウゼン師が素手という形で試合をしたことがある。
 ……まるで歯が立たなかった。動きは僕のほうが早いんだけど、動きがことごとく読まれてて、何しろこっちは真剣だから、一撃当てれば勝てるはずなのにその一撃がまったく当たりやしない。
 で、こっちは簡単に一発当てられて、しかもその一発だけで肋骨折って、おかげで帰国が二ヶ月遅れたんだ。
 まあ、そんな人が僕の師匠だった。
46名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 05:58:51 ID:TkyZIY4v
 呼吸法とか気脈の流れ、あとは人体の動きとか、午前中にはそういうのを学びつつ、午後には訓練という感じだった。
 学問といっても、当時は何でこんなのを学ぶのかって思うようなものもあってね。
 呼吸法とか気脈なんてのは、なんとなくそれが気功につながるんだろうとは思ってたけど、地質学とか医学とか薬学とか、果てには哲学みたいなのまでやってたから。
 まあ、今となってはそれらすべてが必要だったとわかるけど。……結局、暴力では武力を超えられないからね。
 で、午後の訓練。これも、僕の予想してたのとはちょっと違ってた。
 武器ってのは、あくまで腕の延長って考えなんだ。五体の動きを極めることで、その五体の延長である武器の扱いも極まるという理屈。
 だから、いわゆる格闘家とはちょっと違う。素手が一番強いってわけじゃないんだ。拳や蹴りでも強いけど、武器を持つとさらに強くなる。
 そういうわけだから、まず拳法から始まって、次に短剣、そして杖。それから刀、棍、そして棒と獲物を長くしていった。
 だから、ありとあらゆる武器に熟練することになる。いわゆる、武芸十八般ってやつ。
 ……僕の場合は、二年程度だから実際には極めきる前に帰国してしまったけど、中には五歳かそこらからずっと修行している人とかいて、こんなのはもう凄まじかったね。
 本当に、あの国が好戦主義じゃなくてよかったと今でも思うよ。個人戦闘力でいえば、たぶん大陸でも屈指じゃないかな。
 で、気功なんだけど……結局、僕は身につかなかったけど、これは種族としての適性もあるけど、やっぱり修行の密度と年月なんじゃないかな。
 少なくとも二年じゃ無理だよ。
 ただ、それを会得したら強い。発頚とか気弾とか、そういう力とは別の部分でだけど。
 正しい呼吸法と気脈の流れに従うから、およそ疲労することがなくて、長期戦になればなるほど強い。
 それにくわえて、相手の気脈を読めるようになると、次の動きが見えてくるから、相手の攻撃も簡単に避けられる。
 コウゼン師との試合がまさにそんな感じで、こっちがどう動いてもまるで当たらなかったから。
 で、朝から夕方までそんな感じで終わるんだけど、一日はそれで終わるわけじゃない。むしろ、そこから実戦訓練が始まるような感じなんだ。
47名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:00:06 ID:TkyZIY4v
「実戦訓練?」
 怪訝な表情で、フィリーヌが聞く。
「ああ。夕方になると、僕らはもうバテバテになって部屋に戻るんだけど、そのまま寝るわけにはいかないんだ」
「どうして……って聞くのも変よね。それが実戦訓練なんだから」
「まあ、そうだね。……もっとも、実戦訓練といっても文字通り、武器を持って殴りこまれるってわけじゃあない」
「じゃあ、何?」
「獅子の国の場合、女性も強いんだけど……獅子の国の女性は、夜行性なんだ」
「夜行性……」
 アルヴェニスが、変に納得したような顔でうなずく。
「うっかり眠ろうものなら、そのまま骨までしゃぶられてしまう」
「た、食べられるの?」
 驚いたように聞くフィリーヌ。
「もちろん、文字通り食べられるわけじゃない。……いや、ある意味では文字通りか」
「つまり、夜這いをかけられる……と」
「そういうことだ。そして、不幸にして餌食になったが最後、翌日は午前中いっぱい足腰が立たない。もちろん、翌日も普通に訓練はある。だから、食われないようにしないと悲惨だった」
「リュナも食べられたの?」
 その問いに、ため息をついて答えるリュナ。
「……ああ、何度かある。次の日は悲惨だった。疲れ果てているから訓練は散々だし、さらに……」
「さらに?」
「ライオンは死肉に群がる、って言ってね。ひとたび餌食にされた被害者には、次の日には少なくとも三人がかりで襲われる」
「…………」
「無理にでも夜までに体力を回復させて、その夜はどっかに逃げておかないと、その次の日は本当に生ける屍になる」
「……嬉しいような辛いような……」
 アルヴェニスのつぶやきに、リュナが反論する。
「あの修行の中で襲われるほうの身になってみろ。間違ってもそんな感想は持てなくなる」
「……その表情みるだけで、本気で嫌だったのがわかるわ」
 フィリーヌが言った。
「ああ。で、しかも問題なのは……」
「問題なのは?」
「コウゼン師に、娘がいたんだよ」
48名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:00:46 ID:TkyZIY4v
 コウゼン師には、年の離れた一人娘がいた。噂では養女だとも聞いたけど、その辺は詳しくはわからない。
 名前はファリィ。コウゼン師の娘だけあってめっぽう強くて……僕は試合とか組手とかで18回ほど手合わせをしたけど、1勝16敗1分けという散々な戦績だった。
 最後の最後に一勝したけど、それだってもしかすると最後に花を持たせてくれただけかもしれない。
 この子に目をつけられたら大変だった。
 とにかく格闘術では相手にならない。あっという間に押し倒されて、気がついたら組み敷かれてるって感じだった。
 そして組み敷かれたら、もうどうにもならない。あっという間に身包みはがされて、後はおいしく食べられるだけだった。
 下手に暴れても、文字通りおもちゃにされるだけって感じで、それこそ相手の掌中で思い通りに弄ばれて、こっちがバテるまでさんざんに遊んでから食べるんだ。
 ……さっき、午前中に習う学問には変なのもあるって言ったけど、房中術とかもあるんだよ。
 ファリィの場合、武術も体術も学問も図抜けた成績を残してたけど、それは房中術でも同じだった。
 ……翌日になったら、向こうは顔つやもよく元気いっぱいなんだけど、こっちは誰かの肩を借りなきゃ立てないほどだった。
 元気印つきの美少女格闘娘に夜這いをかけられるとかいうと、まあそれだけで羨ましがる人はいるんだけど、正直やられた方はたまったものじゃない。
 
 リュナの脳裏に、その頃の記憶がよみがえる。
 道場に入門してから一年。その頃にはリュナも、道場内でそう弱いほうではなかった。
 吸収力があり、理論と武術を着実に身に着けたリュナは、身体的ポテンシャルの高さ……具体的には、スピードとリーチに勝ることを生かし、道場でも中堅クラスにはなっていた。
 入門後一年程度でそのクラスに到達するのは滅多とないことでもあり……そのせいでファリィに狙われる羽目になった。
 ときどき、道場内で試合がある。そんなときに、ファリィが悪戯っぽい目でリュナを見ていると、決まって相手はリュナだった。
 いくら強くなったとはいえ、リュナがファリィの相手になるわけがない。文字通りボロ雑巾のようにされて医務室につれて行かれるのがいつものことだった。
49名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:01:45 ID:TkyZIY4v
 そして、自室に戻るとそのまま寝台にぶっ倒れるしかない。
 そんな日の夜に何が起こるか、頭では嫌というほどわかっている。逃げなきゃならないという警告が頭の中ではガンガンと鳴り響いている。
 しかし立てない。全身の筋肉が痛んで、動くに動けないのだ。
 そうしているうちに、日が落ち、夜になる。
 暗い寝室の中に、やがて危険な気配が近づいてくる。
 逃げなきゃという警報音はさらに高まるが、体のほうはまるで動かない。
 やがて扉が、音もなく開き、人影が近づいてくる。
「元気?」
 わざとらしく聞いてくる声の主は、確認するまでもない。そもそもその声を聞き間違えるはずもない。
「……元気なわけないだろう」
 返事をする。じっさい、元気ならとうに逃げている。
「みたいね。どう? 痛い?」
「痛いに決まってる」
「むぅ〜……」
 ぶっきらぼうな答えに、口を尖らせるファリィ。
「何よぉ、人がせっかく心配して見舞いにきてあげたのに〜」
「心配するぐらいなら最初から殴るな」
「だって、試合だもん仕方ないじゃない」
「手加減というものがあるだろう」
「手加減したら修行にならないじゃない。お互いが全身全霊を尽くして闘うのが試合の醍醐味なんだから」
「だったらせめて、俺より強い相手を選べばいいだろう」
「あら、そんなに私と戦うのがいや?」
「嫌だ」
 きっぱりと言う。
「ふーん……そんなこと言うんだ」
50名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:02:26 ID:TkyZIY4v
「毎回毎回、ボロ雑巾にされるほうの身にもなってみろ」
「そうやって、みんな強くなるのよ」
「毎回毎回これだと、強くなる前に死にそうなんだがな」
「泣き言いわない」
 そういいながら、リュナを寝台に押し倒す。
「痛っ……」
 筋肉が悲鳴を上げる。
「そんなに、痛そうにしないの。男の子なのに」
「痛いんだから仕方ないだろう」
「痛くても我慢するのが男の子でしょ」
「……男の子ってなぁ」
 その当時、リュナは18歳。まあ男の子には違いないが、一応ファリィよりは外見的には年上に見える。
「ほら、治療してあげるから」
 そう言いながら、服を手早く脱がせる。
「あんたの治療は、次の日に足腰立たなくなるんだが……」
「長引くよりマシでしょ」
 そういいながら、服を全部剥ぎ取り、包帯も取る。
「……絶対、楽しんでるだろ」
 リュナの言葉に、自分を服を脱ぎかけてるフィリィが答える
「うん」
「……あっさり言うなよ」
「だって、楽しいもん」
「……こっちは生き地獄だ」
「なによぉ」
 そう言いながら、動けないリュナの上に乗りかかる。
 柔らかい肌の感触が、直に伝わってくる。
「リュナはカモシカなんだから、おとなしく餌になっちゃえばいいの」
「餌にされるほうの身になってみろ」
「やだ」
 そう言いながら、唇を重ね、舌を絡めてくる。
51名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:04:28 ID:TkyZIY4v
 なんだかんだ言いながらも、ファリィは可愛い顔つきをしているし、プロポーションもいい。
 抱きつかれ、舌を絡みつけられると、男としてはやはり悪い気はしない。
 体は動かないが、舌くらいは何とかなる。
 軽く舌を絡ませ、こちらからも唇を吸うと、ファリィもさらに情熱的に腕を絡み付け、肌を摺り寄せてくる。
 直接、肌に触れてくる胸のふくらみの感触が心地よい。
 しばらく舌をからめ合わせ、やがて離す。
「さっきまで嫌がってたくせに」
「悪いな、これでもいちおう男だ」
「あ、開き直った」
「悪いか」
「悪い」
 ファリィが言う。
「素直じゃない男は嫌われるぞ」
「素直じゃないから男なんだよ」
「何よ、それ」
「女にはわからん」
「あ〜、それ、男女差別だ」
 そう言いながら、また唇を重ねてくる。
 寝台の上で、互いに体を重ねたまま、また舌を絡みつかせる。
 冷たかったファリィの肌が、少しづつ熱を持ち、汗ばんでくるのがわかる。筋肉痛でほとんど動かない腕を、少々無理に動かし、背中と首に回す。
 つんと、乳首が硬くなったのが肌に伝わる。
「……おまえ、本当に……なんていうか、好きだよなぁ」
 唇を離して、リュナが言う。
「悪い?」
 甘い声で、ファリィが言う。
「……悪くはないが」
「リュナにも、責任はあるんだよ」
「何のだよ」
「言わない」
「言わなきゃわからないだろう」
「言わなくてもわかるのが男の子でしょ」
「なんだよ、それ」
52名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:06:11 ID:TkyZIY4v
 言葉を重ねながら、互いの感情を確かめる。
 なんだかんだ言いながらも、お互い、相手のことを悪くは思っていない。
 ある程度、互いに気を許しあい、ある程度の言葉や行動が許されるぐらいの関係。
 嫌がるそぶりが許されるぐらいには、互いのことを悪しからず想っている関係。
 そしてそれを、お互いに分かり合っている。
「そろそろ、入れるよ」
 ファリィが、そうリュナに言う。
「ん? ああ……」
「なによぉ、その気のない返事」
「いや……いつも、お前がリードしてるよなぁと思ってな」
「だって、いつもリュナったら自分からは動かないし」
「動けないんだよ、いつも誰かさんにボロボロにされるから」
「リュナが強くなればいいのよ」
「そんなに強くなれりゃ苦労はしない」
「なれるわよ、きっと」
「……簡単に言うな」
「大丈夫よ。わたしが太鼓判押すんだから」
「そりゃあ、期待できるな」
 かすかに笑って、リュナが言う。
「でしょ」
 可愛い笑顔を見せて、ファリィがリュナの上に乗る。
「……っ……」
 締め付けられるような感触。全身の筋肉が悲鳴を上げるのに、腰だけが勝手に動く。
「あっ……はぁ……んっ……」
 腰を浮かせながら、ファリィは恍惚の表情で声にならない声を上げる。
「お、おい……っ……」
 ファリィの動きが激しくなるにつれて、締め付けてくる力も強くなる。
「こ、こっちはけが人なんだぞ……っ」
 そう言っては見るが、その声が聞こえたようには見えない。
「あ……っ、あっ、あんっ、ひああんっ!」
 リュナの声なんかまるで聞こえていないように、ファリィはますます腰の動きを激しくすると、そのまま声を上げて果てた。
53名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:06:56 ID:TkyZIY4v
「ん……」
 ぱたんと、そのままリュナの上に倒れこむ。
「お、おい……」
「ん〜……?」
 とろんとした目で、リュナを見るファリィ。
「ん、じゃない……勝手にイクなよ……」
「え……?」
 まだ、意識がぼうっとしているらしい。
「一人だけ満足して、こっちは生殺しのままかよ!」
 じっさい、リュナの方は途中でファリィがイったせいで、中途半端なままで終わらされている。
「あ……」
 ようやく、意味がわかったらしい。
「……でもぉ……立てないもん……」
「口でいい、口で! とにかく生殺しだけは勘弁してくれ……」
 その言葉に、ちょっと驚いたような表情を見せるファリィ。
「口って……その、それって……ひどくない……?」 
「夜這いかけてきて勝手に果てるほうがひどいだろう」
「うぅ〜……リュナ、弱いくせに強引なんだからぁ……」
「お前に強引とは言われたくない」
「むぅ〜……」
 ちょっと拗ねたような声を上げると、ファリィは力の入らない体の向きを変えて、リュナの肉棒をくわえる。
 それにあわせて、リュナもファリィの秘部に舌を這わせる。
「ゃんっ!」
 ぴくんと、体を震わせて肉棒から口を離すファリィ。
「な、何すんのよっ……」
「いや、一人だけ気持ちよくなるのも気の毒だし」
「い、いいよっ、そんな……あんっ……」
 言い終わるより先に、再びリュナの舌がファリィを責める。
「ち、ちょっと、ずるいよ、リュナぁ……」
 少し泣きの入った甘い声で訴えるファリィ。
54名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:08:22 ID:TkyZIY4v
「そっちが勝手にイくからだろ?」
「そんなぁ……ひどいよ、リュナぁ……」
「ちゃんと満足させてくれたら、やめてやってもいいけど……な」
「……わかったよぉ……だから、ちょっとだけ許して……」
 そういって、ファリィは再び舌を這わせた。
 一度果てたことで、余分な力が抜けてちょうどいい感じになっている。唇と舌で丁寧に刺激を加えてゆく。
 いったい、誰に仕込まれたのだろうと時々思う。そんなときに、ふと嫌な想像もしてしまうが、それを頭から振り払う。この瞬間だけは、そんなことは関係ない。
「……んっ……」
 限界が近づき、少し、声が漏れたのが耳に届いたのか、ファリィの動きが少しだけ激しくなる。
 どくんと、何かがこみ上げてくる。そしてそれが、一気に吹き上げた。
「ん……」
 飲み込みきれずに、すこしだけファリィの口元から白濁したものがこぼれる。それを、シーツでぬぐう。
「リュナぁ……出しすぎだよぉ……」
「ファリィのせいだな」
「なんでだよぉ……」
 言いがかりのような言葉に、抗議の声を漏らすファリィ。
「ファリィみたいないい女に襲われたんだ、当然だろ」
「いい……女? ほんとに?」
「そんなことで嘘は言わない」
「ほんと?」
「本当だ」
「……リュナぁ……」
 嬉しそうな声が聞こえる。
「とはいえ」
「何?」
「明日は……お互い足腰立ちそうにないな」
「大丈夫だよっ。明日も、がんばろうねっ」
「……元気だな、おまえは」
「うんっ。リュナにいい女って言ってもらえたし、元気元気っ」
「そ、そうか……」
 リュナの方は、明日の朝、一人で立てる自信は全くなかった。
55名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 06:21:44 ID:TkyZIY4v
「……おい、どうしたよ遠い目をして」
 アルヴェニスの声で、我に返る。
「え? ああ、いや……いろんな意味で鍛えられたなぁ、と」
「いろんな意味で、ね……」
「ファリィとも、何だかんだあったけど、結局いまだに連絡取り合ってるしな。もっとも、向こうはつまらん殺し合いにコウゼン師の技を使ってはほしくないらしい」
「気持ちはわかるわね」
「そうだな。……さて、そろそろ行くか。そろそろ歩き出さないとまずいだろう」
「そうだな。おかげでよく休むことができた」
「シャリア様の身に何か起きてなければいいが。それにリシェル達ともできるだけ早く合流したい」
「どのみち、急がないとね」
「ああ」
 三人は、再び歩き出した。
 星のピラミッドへの道は、まだすこしある。
(FIN)
56カモシカ担当sage2005/04/17(日) 06:35:44 ID:TkyZIY4v
 この板で連続投稿制限はキツいなぁ・・・orz

>獅子の国
 やっちまいました。ライオンの国考えてた人、ごめんなさいです。
 リュナの過去をちょっと書きたいなあと思いつつ、中華風の国かきたいなあ、気とか書きたいなあ、元気っ娘の格闘娘書きたいなあとか思ってたらいつの間にやら。
 いざとなれば「獅子の国」と「ライオンの国」は別物という言い訳もできるかなあとか考えてはいますが。
 一応、中華娘の頭のお団子の変わりにライオンの耳というか、丸っぽい猫耳があるのと、まあ犬歯萌え見たいな感じで。あとチャイナドレス……は一行も書かずに脱いだけどorz

 今回試してみたのが、会話エロ。エロの行為描写を減らして、会話でエロくさせることはできるのかなぁ、とかちょこっと実験してみました。
 神職人のなかには、ときどきエロ描写が全然ないのに激しく萌える文章書ける人とかいますから、そんな人に近づけられたらなあとか思ってましたです。
 一応、ライオンもネコ科ですから、今回で「ネコの毛」位は書けたのかなあとか。

 さて、以前に皆さんにお尋ねした銃弾と国際犯罪者の剣ですが、次々回までちょっと持越しです。いろいろ考えてたら結構問題があることに気づいたりしましてw
 とりあえず、次回はレーマ編。そろそろアンシェル様に強さを復活させたいと思ってます。
57虎の子sage2005/04/17(日) 07:12:10 ID:5fPD70VG
カモシカ担当様>>
中華娘グッドです。
チャイナドレスが激しく萌えます。
そう言えば気とかってやっぱり、触れずに敵を吹き飛ばしたり治癒能力を高めたり出来るのでしょうか?

私も色々頑張って書いているんですが、設定に執筆速度と文章力が追いついていきません。
狼娘の忍者とか考えてるんですが、出てくるのはいつになる事か――
58名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 07:52:29 ID:AK8AW5Uw
いやいやいい天気だとは思わない?
芝生がきれいに刈られた庭園の丘でさあ、木を見つけて陰で二人昼寝したのね
並んで眠るけど自分は眠れなかったわけ。昨日よく寝ちゃったからなー
でもご主人は爆睡してるんだわ。時折耳をピコピコさせながらね
気楽だなあとか思いつつ俺はトイレ行きたいから身を起こすんだけどさ
俺の胸の上に腕を乗っけてやがんの。仕っ方ねーご主人だと思わない?
まあTシャツを押し上げてるおっぱいに目が行く俺も仕方ないやつだけど
んま、こういうのも悪くないよ
服がはだけてへそが出てんの直してあげたりもしてね
59名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 11:08:02 ID:X72ZDeH3
>>41
(;´Д`)ハァハァシロたんかわいいよハァハァ。自分も1を。
>>56
(;´Д`)ハァハァリュナたん「生殺し」とか言って結局ヤる事やってんじゃねぇかよハァハァ
60狼モノ@辺境sage2005/04/17(日) 18:04:36 ID:LmIAHeMW
遅くなりましたが、お約束どおり、最構成後の一章を投下させていただきます。
長引いた言い訳はもはやなく、お待ちいただいた方には現物でお詫びするしかありません。
それでは、一時失礼します。
61名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 18:05:55 ID:LmIAHeMW
狼モノ@辺境(仮題)

 一章

 俺は、剣道部を退部することになった。
 もう、どうでもいい。
 唯一、続けていたことだったのけれど。
 でも、どうでもいい。

 今の、名目上の保護者は、年若い叔母――姉と呼ばないと怒るくらいに――だ。 
 基本だな!? と本人は言っていた。何がかはさっぱり解らない。
 彼女はいい人かつ頭もキレるがちょっとアレで、ともかく恩人で一人だけの身内だった。
 幼くして両親をなくし、親戚中をたらいまわしにされていた俺は、中学進学と同時に、
 彼女の支援の元部屋を借り、僅かに残った両親の遺産、そして保険金と、
 当初は新聞配達、今ではコンビニが加わったアルバイト代、
 幾らかのカンパとで、なんとか一人暮らしを成り立たせていた。
62名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 18:07:00 ID:LmIAHeMW
 その、酷く暗くて古いアパート。電気さえついておらず、本当に暗い。
 俺は玄関に着くなり、靴も脱がずに腰をかけ、
 何もせず、ただただため息とため息とため息と……
 とりあえず、ため息以外に出来ることもなかった。

 明日からどうしようと、何をしたら良いのかと、ただ、そう悩み、悩んでいた。
 ははは。まるで思春期の中学生みたいだね?
 と、所詮は高校生でしかない自分を棚上げして、
 その事に時折苦笑し、またそのうちに自沈してため息を吐き――
 そう、自分の事を思うだけ、余裕はあったのか。
 それとも、もはや精神がヤバい領域に入っていたのか。
 自分としては後者を支持する。ともかく。
 
 玄関横の光取りの窓から入って来ていた街灯の跡が伸び、
 膝の向こうの、足先にかかる。
 と、俺はようやく、日が暮れていた事に気づいて時計を見る。
 既に九時を回っていた。3時間、俺は一人、無駄な時間をすごして居た。
 傍らには、置かれたままの重い、巨大な肩掛け鞄。スポーツメーカーの、青いビニル製。
 死ぬほど詰め込んだ教科書と、特別に今日は百科辞書入りの代物だ。
 後は、傍らには袱紗へと入った竹刀。
 折れた――折った
 折ってしまった竹刀。
63狼モノ@辺境(仮題) 一章 3sage2005/04/17(日) 18:08:01 ID:LmIAHeMW
ふと、無駄とも限らないか。と思い直す。
 休んでいれば、立ち直れることも解っていた。
 何度も経験した事だからだ。他者の悪意を受けるなど。それも、世の中にはありふれたこと。 
 と、よくも知らないのに俺は自分に言い聞かせ、納得していた。
 納得が出来ていたから大丈夫だろう。
 少し、逃げたいと思わないでもないが――それもまた癪だ。
 幸いなことに、今日、バイトは入っていない。思う存分暗くなっていようと思う。
 正直。こんな思考をしている時点で、人間としては間違っている気もするが気にしない。
 そのままで、居る。
 瞼はしだいにその重さを増していた。視界は僅かづつ狭められ、
 そのことさえ認識できず。やがて眠りに落ちるのだろう。
 玄関で良いのか。という気持ちも有るが、身体は全く動いてくれなかった。
 風邪を引いたなら、休める。という気持ちもあり、俺はそのまま、身体の力を抜いた。

 ――夢を見た。
 
 ――夢の内容は、覚えてはいない。
 
 ――ただ
 
 ――誰かに呼ばれたような気がした
64狼モノ@辺境(仮題) 一章 5sage2005/04/17(日) 18:09:00 ID:LmIAHeMW
「――、え」
 俺はあわてて辺りを見回した。
 
 その森は斜面にあった。木々は、間合いをあけて立ち並び、茂みの切れるところはない。
 今いる場所は、その中、僅かな森の切れ目だった。俺は膝に頭を乗せ、
 姿勢は寝る前のままだった。
 そうして、振り落ちてくる光に上を向く。切り開かれたように覗く、青。
 何故、俺は森の中に居るのだろう。夢? 頬を引っ張る。痛い。夢じゃない?
 
 僅かに、背筋が震えて――
 
 そうして、気付く。
 足元になにか、バッグ以外の――
 ――不気味な、なんと表現したらいいかも解らない、文字とも絵とも付かない、
 巨大な『何か』と、それを覆う、膨大な、既に固まってしまった血の海――

 反射的に、頬を引っ張る。痛い。夢じゃない? って二度目かコレ二度ネタかー。
 
「……なん……な、に……?」

 どうやら、思考が幾らか愉快な世界にダイヴしていたらしい。
 すぐさま、辺りを見回す。
65狼モノ@辺境(仮題) 一章 6sage2005/04/17(日) 18:09:54 ID:LmIAHeMW
屍の、海。
 その、森の切れ目、折り重なるように、無数の、死体が存在していた。
 首を立たれ、瞳を付かれ、もしくは出血で蒼い顔となり、もしくは駒切れとなって。
 既に、蝿がたかり始めてさえいる
 傍らには、底が赤く染まった、バッグがある。
 
「……夢……いや……?」
 
 現状を、把握しようとする。
 だが、あまりにも状況は現実から外れていて、
 けれど空気には全てを上塗りする血の匂いがあふれて、空気さえも紅く見えるような――
  
 俺は立ち上がる。
「……なんだよ、ここは……」
 思わず声を漏らしていた。森の中だ。それは解る。だが、何故? 俺は、寝ていたはずだ。
 聞こえるのは葉を揺らす風の音と。遠く聞こえる『何か』の声のみ。
 見えるのは、ひたすら折り重なる、男達の死体。
 男達。
「……?」
 どこぞの、フィクションの、蛮族か山賊か。という格好をしている。
 ダメだ。と結論付ける。あまりにも状況はイカれている。
「まず、い、な……? 現実逃避の挙句、幻影か?」
 自嘲気味に呟く。
 だが頭の片隅では、これは目の前で起こっている明確な事実なのだとも思っていた。
 この、これは、とにかく、俺の、どこかが、ヤバイと、言っている。
66狼モノ@辺境(仮題) 一章 6sage2005/04/17(日) 18:10:24 ID:LmIAHeMW
直後、がさりと、後ろから茂みが揺れる音――心臓が跳ねた。俺はあわてて振り向いた。
「……っひ……」
 情けない声が、漏れる。
 茂みから、抜け出してきたのは、狼だった。
 ただし、ヒトの形をした。まるで、いや、そのまま狼男。
 腰の辺りに布を巻いているだけで、後は毛皮に覆われた体を露出している。
 ヒトと狼の骨格が合わさった上には、すさまじい筋肉が見て取れた。
 
 ―――――――!!
 
 音にならない咆哮。
「!?」
 何がなんだかわからなかった。
 それは、更に加速する。
「―――――」
 その狼男が話したのだ。人語を。理解は出来なかったけれど、それは、紛れもなく人の言葉。
 それが、解ってしまった。
 だがしかし、狼男が爪を振り上げる。言葉は、おそらく独り言。
 まずい。いやまずいと思う。
 そのまま、狼男が走りこんできたからだ。
 っていうかコレは――
 
1、これは悪夢、もしくは現実逃避の挙句に見た夢ならこのままでも大丈夫! 
  後で目が覚めるさ! 寝ぼけたガキが、見間違えたのさ!
2、これが現実なら、自分は三枚下ろしさぁっ!
 
 結論。夢ならよし。現実ならやば。どっちか解らないなら対処しといて損はなし。
 唯一つ言えるのは、如何にかしなければいけないと、そういうこと。
67狼モノ@辺境(仮題) 一章 7sage2005/04/17(日) 18:11:00 ID:LmIAHeMW
 というか、でもね。無理。
 
 狼男は、俺の思考速度なんぞゴミのように扱い、瞬時に目の前に到達していた。
 俺は右へと身体を投げ出した。肩をかする爪、学ランの二の腕部分がが、
 ほんの僅か触れただけで吹き飛んでいた。弾き飛ばされてコケる。
 二の腕に熱さと痛みが同時に走り、尚且つ生暖かいものが溢れ、零れ落ちる。
 それだけでなく、思考は焦る。顔が蒼くなる。既に、失血の量は半端でない。
 腐った血の上、腐臭放つ地面に自ら倒れた俺は、もう、爪を躱わせない。
 
 ―――――――!!

 再び、咆哮。俺は転げ、現実逃避から立ち直る。だが、遅い。
 いや、もともと正気であってもダメ、か。
 
 我ながら気丈にもその狼男に顔を向け、にらみ付け――
 
 爪にこびりついた俺の肉が、牙の間で租借され、黄ばみを赤く染めるのを見て、
 
 そうして、もうどうしょうもない、という現実を思い知り、
 
 俺の虚飾など、全て吹き飛んでいた。
 咆哮に怯え、俺は四つんばいのまま、更に転げた。そのおかげか、回転の途中、
 左の太もも、その後ろから肉がごっそり持って行かれた。
68狼モノ@辺境(仮題) 一章 7sage2005/04/17(日) 18:11:49 ID:LmIAHeMW
 ――肉をごっそり持っていかれた。
 
 ――あ、あ……っ――!?
 
 熱さ、に下生えの中を転がりまわる。
 痛みは、もはやない。
 動けない。
 歩けない。
 いたぶる様に、今度は蹴りが入る。足の爪と、強靭な筋肉によって生み出される、蹴り。
 結果は、口から吐き出された血塊が言わずとも物語る。
 もう一撃が疾る。
 
 死ぬ――?
 
 現実は、疾く、絶対的に迫る。
 
 もう一度、高々と、見せ付ける様に振り上げられた爪振り下ろされて――
 
 視界が
 
 紅く――
 
 染まった。

 閃光、が、は……――
69狼モノ@辺境(仮題) 一章 7sage2005/04/17(日) 18:13:05 ID:LmIAHeMW
 気が付けば、狼男は、倒れていた。
「……ぇ……」
 変わりに、
 
 女がいた。
 
 血に染まった、女が居た。
 髪は目映いばかりの銀。首の後ろで束ねられ、それは腰の後ろまで流されている。
 瞳は銀。肌は白。
 年齢は、24、5。
 瞳は僅かにつり上がり気味。唯一な違う色合いを見せる唇は紅も塗っていないだろうに朱。
 気づいた。赤い。
 湯気を上げる朱に、その銀と白は染まっていた。
 一刀両断。
 細く、長い腕の先に握られているのは僅かに歪曲した刃。
 風を切る音と共に、血は払われ、腰帯につけられた鞘に収められる。
「――――」
 吐き捨てるような、音。
 頬の血をぬぐい、女性が、こちらに視線を向けた。
 着ているのは、髪と同じ色の毛皮。肉食獣――狼の頭が、そのまま、肩に当たる位置についている。
 毛皮の下には、麻かなにか、とりあえず服も着ている。粗末なものだが。
 何より、目を引いたのは、顔の横。
 耳だ。獣のそれが、顔の横にあった。ぶっちゃければ、どこぞのコスプレ? とか思った。 
 そんなことを、思いはしたが、思考の中心にする余裕は無かった。
70狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:13:46 ID:LmIAHeMW
 死に掛けていたから。
  
 二の腕はずっぱり大量出血。
 太ももなど出血とかいう以前に、肉がごっそり削れて大洪水。
 尚且つ内臓破裂。あばらも突き刺さっているかもしれない。
 よくショック死しなかったものだ。
 もはや、俺の意識は朦朧として嫌展。嗚呼。ナニを思考しているのだろうか。
 
 霞む視線の先で、その女は、こちらを見ていた。
 もはや、泣きそうな顔で、
 唇が震える。
 あの、どうしたんですか……?
 と、言おうとして、息しか出せなかった。声帯が震えてくれない。
 女が駆け寄ってくる。その、泣きそうな顔のままで、縋りつく様に、半ば膝までついて。
「―――」
 ト――
 僅かに女の漏らした吐息の中、僅かにその音だけを聞き取り、俺は意識を失った。
71狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:14:39 ID:LmIAHeMW
 目が覚めた。
 生きている。二の腕は切れて無いし、太ももは残っているし、内臓も痛みは無い。
 ……なんだ。夢か。夢落ちか。前も似たような展開があったが……まぁ仕方ないだろう。
 仕方ないんだよ!
 ――少しテンションがおかしいらしい、興奮もしている。
 アレだけの夢をみれば仕方ないだろうとは思う。けれど――
  
 俺はがばりと、とにかく荒い材質の布団を跳ね上げた。
 違う。何かおかしい。あれは、夢ではない。
 生きて、いる?
 俺の心臓はちゃんと動いている。
 さっき割れたはずの左腕の傷口が心臓が血液を送るたびにずきずきと痛む。
「……え?」
 痛む? ……痛む!?
 あわてて左腕を見る。学ランは着ておらず、ワイシャツはめくられ、傷口が露出していた。
 ただし、傷口には、何か、幾何学的な文様が無数に書き込まれた、紙……
 いわゆるお札のようなものが、数枚張られており、他には何の処置もされていなかった。
 その紙は白く、血に染まっている様子は全くない。
 そして、同じようなものが太ももにもあり、それはえぐれた肉に張り付いて、しかし幾らか膨れ、
 既に、そう既に元の形へ戻り始めていた。満足に、動いてはくれないが。
 見回せば、暗い。この部屋には照明も窓明かりも無い。
 樹の板と板の隙間から漏れ出る僅かな光が、この部屋の構造を見るための、唯一の光源だ。
 ふわりと漂う部屋の空気は、そう、甘い香り――
72狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:15:40 ID:LmIAHeMW
 キィ……
 と、木が歪み、擦れる音。
 反射的にそちらを見れば、あの、女が扉を開けていた。
 服装は、毛皮を外し、それ以外は同じだ。ただし汚れていないから、着替えたのだろう。
 その女は此方に駆け寄り、 さっきと同じように膝をついて、何事かを言う。
 真剣な顔で。
「――――――――――」
 聞き取れない。日本語ではないし、響き的を考えても、英語でさえない。
 ただ、一つだけ解った。それは間違いなく心配だ。
 頷いてみせる。大丈夫だと。
 二の腕を示して、その上でムリにでも微笑みを浮かべて見せる。久しぶりに。
 その顔を見て、そうして、女は――女性は破顔した。同じく笑み。たぶん、通じたのだろう。
 綺麗な人だった。
 顔立ちは日本人と違う。というか、何処の人間とも思えない。
 何故か、何ものかの感情の色を宿して揺れるその瞳に、ふと、
 興味によって気づく。というか、改めて認識する。
 耳だ。
 耳がある。いや、人間なら耳が有るのは当然だが、その、耳が、いわゆる。なんだろう。
 動物っぽいのだ。頭の横から突き出るそれが、尖ってて、灰色の毛でふさふさしている。
 思わず、手を伸ばすと、その手を掴み止められ、けれど手は俺の手の甲にそえられる。
 何故か僅かに、鼓動は強くなり、けれど傷の痛みは感じない。
 そのまま、引かれ、導かれて耳へと触る。
 その耳はふにふにしていた。まるで――
73狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:16:17 ID:LmIAHeMW
 犬!
 
 あったかい。
 それは、毛で覆われているだけではなく、血と肉の温かさだろう。――本物だ。
 さて、と。
 現状を整理しよう。
 俺は玄関で、精神的疲労を主原因として、眠りについた。
 目が覚めたら死体が転がりまくる森の中――
 ――思い出せば、死体はこの女性と同じような格好に、耳まで持っていた――
 ――男達の死体が転がる血の海で、狼男に何故か襲われた。どう考えても死ねる傷を受け、
 けれどこの女性がその狼男を一刀両断にしてのけて、たぶん気絶した自分は助けられ、
 治療を受けた。
 その女性は犬の様な耳を持っていて、
 まるでテレビで見る『秘境』の『集落』で来ているような、毛皮と服を来ている。
 
 結論。
 俺の頭が狂ったらしい。
 
 という、事にしたいが――
 狂っているのは、世界の方、らしかった。
 溜息を吐く、すると、右手が引かれる。そちらを見ると、
 まだ耳をふにふにされ続けていた女性が、というかしてたの俺だけど……
 ……困った顔をして此方を見ていた。
 頬が僅かに、本当に僅かに赤くなっている。肌が白いから目立つのだろう。
「……あ。ごめんなさい」
 通じないだろうけど、言って、手を離す。
 そうして、沈黙が降りた。
 しばらくが経つ。何もお互いに、動きさえせず、もどかしい時間だけが過ぎる。
 女性の方も、何か言いたそうにしていたが、言葉が通じないのだから、どうしょうもない。
 それでもコミニュケーションを取ろうとして、俺は口を開き――
 女性も首を傾げ、
74狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:16:47 ID:LmIAHeMW
 ぐぅぅぅぅぅぅ。
 
 余りにも安直な展開に視線を逸らす。
 女性は苦笑して立ち上がった。……これは、やはり、共通、らしい……。
 振り返って出てゆく女性の腰、その下に視線が向いてしまう。
 そこには、やはりふさふさとした尻尾が有った。
 女性の姿が消える。
「……しかし……一体……何が――」
 沈黙、思考。
 現状、身体の損傷も、全身のうずきと足のえぐれだけ、
 腹は空腹を感じるほどにはなっている。痛みはするが、我ながら大した物だ。
 そして足も、すぐには歩けないが――逆に言えば、また歩けるのは間違いない気がした。
 冷静に見て、肉の盛り上がり方はおかしい、どう見ても治癒速度は人間のそれでなく、
 抉れた部分よりも、遥かに膨れている。振れると筋肉の繊維がある。
 一体、なんなのだろうか。ここは。この現状は、と思い
 とりあえず、命の危険ない。それで十分だろうとも思う。
 そして結論。
「……なにこのマンガ世界……ってところかー……」
 言いながらも、なぜか自分の心が落ち着いて、波風一つ立っていない事に気づいた。
 それは、命の危険が無いからなのだろうが――
 たぶん、あの場所へ、すぐに戻らなくてもいいと思ったから、かもしれない……。
75狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:17:23 ID:LmIAHeMW
 木の軋む音がして、女性が大きな木製の椀を持って戻ってきた。
 その中に有るのは、なんらかの果物と木の実で、黒いのは焙ったからか。
 俺は数少ない共通の意思表示としての笑顔を向ける。他は腹の根だけか。
 今日はずいぶんと表情が忙しい日だ。普段は無表情で過ごしているからか。
 そうして、傍らにに女性はひざまずいて――また気づく。
 何故か、彼女が浮かべていた表情は、泣き笑いだった。
「……っ……?」
 頬を流れる涙を、拭きさえしていない。
 ちらり、と考え、すぐに対処。結論。だから情報が足りなくて
「――――――」
 気づいた女性が、何事かを喋って頬を手の甲でぬぐう。
 やはり、理解出来ない。つまり、情報を得る手段も無い、と。
 だから、何かを知ろうとしても無意味だ。
 ただ、痛々しかった。
 女性の涙を、あまり、見たくはない。特に泣き笑いなんていうものは破壊力がありすぎる。
 だから、ただ笑みを向けて肩を叩く。
 すると、女性は目を、赤くはれた銀の瞳を酷く大きく見開いた。
「――――――」
「はっはっはー。いやー、だから解りませんってー」
 馬鹿笑いをしてみせると、しばらく目をぱちぱちと閉じ開きし、やはり女性も笑った。
 それでいい。たぶん、命の恩人なのだから、コレくらいはしないと。
「――――――」
 女性は、酷く、酷く瞳を細め――
「――――――」
 そうして、本当に僅かにだけ、眉と眉の間にしわを寄せた。
76狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:18:46 ID:LmIAHeMW
 まるで、何かを悩んでいるような顔。というか、俺の事で悩んでいるのだろうが――
「――――――」
 たぶん、それは俺の先行きを左右する事。
 俺は頷いた。文化的に伝わるかどうかは解らないが。全ての事象を肯定するつもりだ。
 この人は命の恩人で、なおかつ、この女性の力は凄い。
 あの一刀両断は現実で、つまりはそもそも叶わないのだ。
 たとえ殺そうとされても、もう自分には逃げる事も出来ない。
 足は、まだ動かない。そして殺意があるのなら、治療はしない筈だ。
 殺意以上のものだとしたら、それは俺を苦しませ、それ自体を楽しむぐらいだが――
 男だしな。俺、普通の。The美少年! って顔でもないし。楽しめないだろう。
 叔母の言葉によれば、美少年とは疲れたサラリーマンのような顔をしないらしい、し。
 結局、打算がなのだけれど、
 それくらいは、賭けて見てもいいと思った。
 この女性の困る顔を、見たくない。という心情も、あったのだが。
 それは、俺にとって行動理由にはならない。難儀なことだが。
 借りに死ぬとして――心残りは叔母に礼も言えないくらい、か。死にたいわけではないが。
 迷う顔へ、更に強く頷く。
 女性はこちらを見て、急に、心配を浮かべ――
「――――――」
 そして、意味の取れぬ言葉と供に頷いた。強く。強く。決めたらしい。
77狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:19:57 ID:LmIAHeMW
 顔には笑みが戻り、木の椀から、一つの、炒った木の実を摘み上げる。
「ええと、じゃ、いただきます」
 言って、さすがにそれは腹の音を鳴らした自分に持ってきてくれたのだろうと判断し、
 受け取ろうとして、
 女性はそれを自分の口の中に放り込んだ
「――っ……!?」
 驚きは、それが理由ではない。しばらくフリーズしていた俺は、そのまま女性にぱたん。
 と、正直あまりいい材質を使っているとはいえない寝床へ倒される
「え、なっ、ちょっ!」
 そうして、気づけば、頬をその細く綺麗な、その実俺以上に固い剣ダコをある指で固定され
「――」
 顔が酷く至近距離でせまる。近づく女性の頬はリスの様に動いている。
「っー!」
 反応するヒマさえなく、唇がつけられ、口移しで流し込まれた。
 ばさり、と大ぶりの耳が、額と顎に触って、くすぐったいが――
 それは一瞬だけで、消え、その後思った事は一つ。
 ――にぃぃぃいっがぁぁぁぁぁ!?
78狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:20:35 ID:LmIAHeMW
 死ぬほど苦いってか苦いとにかく苦いにがにがい。人格崩壊寸前苦い。
 よくもまぁ、笑ったまま噛み砕けるものだな。と、思考は過熱される頬とは別に思った。
 そうして、悶えながら恍惚としてなおかつ大興奮フィーバァァァ!
 な俺に、更に死ぬほどすっぱく、噛み砕かれ唾液と混ざり合った木の実が流し込まれる。
 もはや悶絶するのみで――
 ――く、くすり……かなぁ……? か、体によさそうだし……
 と、希望的観測を抱く次、例によって壮絶に渋い木の実。
 半死半生な俺の口へ、ようやく、ようやく甘酸っぱいかもしれない果物が流し込まれる。
 舌が麻痺して、正直わからない。
 女性は唇の端からこぼれたその唾液交じりのそれを、舌先で舐め取る。
 更に、口の中に別の果物を含むと――今度は、僅かに噛むだけで、流し込む。
 ぷちゅり、と、俺の口の中で、女性の舌が野いちごに似ているそれを、潰す。
 喉を、香りだけが滑り落ちる。
 刹那の躊躇と、その後にようやく舌が引き抜かれた。
 女性は、
「――――――」
 言葉を紡いだ。
 何故かその顔は、再び涙を流すに違いない、酷く不安定なそれで、
 嬉しそうで、悲しそうで、罪意さえ湛えていて――
 ――たぶん謝っている――
79狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:21:17 ID:LmIAHeMW
 何も反応を返すことが出来なかった。
 
 女性が上に乗ってくる。身を引こうとするが、全身に残る僅かな痛みと、なにより動いてくれない脚のせいで不可能に終わった。
 ワイシャツとスラックスと、女性が身につけている荒い衣越しに、暖かさ――熱さと、やわらかさがある。既に心臓は凄まじい勢いで跳ね出していて。額に緊張の汗さえ浮かぶ。
 そうして、気づく。
 体が、熱い。
 特に一点が。
 しかも、やばいくらいに。
 これは、この反応は――
 おかしい。というか、普通ないと言うか――
 痛い。病気のレベルだ。
 ふと、女性を目を細めて見る。
 女性は、縁から流れ落ちる涙と供に瞳を細めた。
 それは緩やかに円を描くもので、暗さは無い。
80狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:22:21 ID:LmIAHeMW
 再び、唇を吸われる。躊躇なく差し込まれた舌が、口腔を蹂躙する。歯を撫で。歯茎を撫で。喉まで入り込み。舌に絡み付き。その付け根、頬にも潜り込み、余すところ無く、と。
 交歓される唾液がわずかに水音を立て、時折、絶え絶えと言った呼吸が流れる。
 陵辱。
 麻痺した舌に、僅かに、本当に僅かに、甘みがある。
 糸を引いて、口が離れる。ぽたりと、口から口へと空間を通って、冷えた唾液が落ちる。
「っ……ひ……」
 ようやく得る事が出来た、まともな酸素を得る機会に、俺が息を告ぐ間に
 既に女性の手が動いていた。
 ワイシャツの、前を、それこそボタンなど外しもせず――開く。
 二番目を。千切る。胸の半ばまで開いたそこ、肌の上を、くすぐる様に細かく
 僅かに、僅かにだけれど、脳へ、脳の方へも、快感が、走る。
 三つ目が千切れ、広くなった空間。左の乳首へと、舌が移動する。舌の平をたっぷりとあて、
 滑りとザラ目を、少しずつ、じらすように、走らせる。薄い皮膚の上を、這い回る舌。
「っは……っ……」
 息を、浅く、浅く何度も繰り返す。額が熱い、背すじも汗があり、今度は右乳首を僅かになぶり、舌先でつついてから通り過ぎ、右の脇腹に粘膜の熱さ。
 左の乳首は、まだ残る粘液の上を、細い指の、かたくなっていない背で、撫ぜられている。
 這い上がるのは、くすぐったさをも兼ねる、おそらくは快感だ。
 全てのボタンが飛び、完全に露出した腹を、舌が余すところ無く粘液を這わせてゆく。
 へその下を舌先がつついて、次に熱さが押し付けられた。
 僅かづつ、僅かづつ舌へと下がって行く。皮が薄くなるのは錯覚で、けれど感覚は敏感に。
 ベルトの上へと到達し、そこからは壁を這うようにして、左右へと流れ――
81狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:24:25 ID:LmIAHeMW
「あの……」
 掛けてしまった声に、女性が舌の動きを止め、此方を上目遣いに見上げる。
 首を傾げる。ジェスチャーの意味は同じだろう。言葉も通じないのに都合がいい事だが。
 ともかく、言おう、として
「……」
 沈黙した。何を伝えれば良いのだろうか。もう、たぶん、止めてもらいたくは無く――
 けれど、なんと言ったら良いのか。そう、男に都合が良すぎるのではないか、と思ったのだ。 そんな事を思う根拠もないのだが――ただ、なんとなく、か。
 それは、つまり、余りに唐突というか、予想していなかったというのか。
 いや、はっきり言ってしまえば、いきなりで慌てているというのか。
 正直、混乱した。というのが本音という真実であり事実であってだ。うん。そのともかく。
「――――――」
 女性は言葉と共に首を振った。
 ――。
 自分に対する気遣いは、必要ない。と――
 俺は、女性がそう言ったと、勝手に思うことにした。
 言葉が交わせれば絶対に聞き出すのだけれど。今は勝手な判断をするしかない。言い訳だが。
 ああいやいかん。すっかり感情移入してしまっている。
 女性は、割合簡単にベルトを外し、ファスナーを開ける。そして、トランクスも下げられた
 飛びでた、膨大な熱を持ち、いつもよりも更に膨れたペニス。
 一遍の躊躇もなく、女性はそれを口に含んでいた。
 熱い。口腔の唾液を通して、熱さが纏わり付いてくる。
 前歯が甘く亀頭の裏側に触れ、裏筋の左右をほじくる様に舌が這う。刺激してくる。
 唇が、すぼめられ、強く吸われる。唇自体が、圧迫してくる。
 頭に動く前後の動きが、
 左の歯で、軽く、本当に軽くかまれる事も、
82狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:25:13 ID:LmIAHeMW
 気持ちいい。
 右手が、睾丸を指先だけで握った。
 軽く円運動するように、指先でもむ動きと、擦る動きを兼ねる。
 摩擦が鋭い錐となり、脳髄に突き刺さる。
 舌先が、尿道をつっつき、続いて舌全体が尿道を擦り上げる。
 口へと、右手の握力が幾らか強められ、密着度が挙がり、今度は熱さが睾丸を締め上げる。
 玉と玉の間に指が潜り込んで、それぞれを軽く、本当に軽く、握る。
 締め上げられて、逆にそそり立つペニスから口がはなされ、唇から唾液が伸びる。
 極端に血が注ぎ込まれ、ただでさえ、いつもよりもケタ違いに敏感になっているペニスだ。
 ひくひくと、心臓の鼓動に一拍遅れながら、跳ねている。
 尚且つ、背すじがやばい。ぞくぞくする。あの、木の実が効いているのだろうか。
 じわじわからその快感は既に突くような、確固とした、耐えられぬ寸前にまで変わっている。
 苦しげな吐息交じりの合間、再び口中に詰められる。
 今度は、喉の奥まで行った。肉が軋む振動の錯覚さえ伴い、飲み込む様に。
 喉の奥、亀頭が押し付けられ、唇は根元にまで届いている。
 そして、それでいて女性はえずかない。それどころか、舌を蠢かせ、息を吐き、
 時折振動を起こすだけで、えずきにたえている。
83狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:26:07 ID:LmIAHeMW
 吸い込み、更に締め付ける。
 女性は、いきなり俺の両手を取り――自分の頭、まるで、耳を握る位置へと持ってきて――
 というか、耳を握らせた。
 そうして、女性は口の動きを止めた。喉の奥に加えたまま、舌と唇だけで圧迫する。
 耳を握らせるようにして、自分の手で俺のてを顔の両手に、押さえたままだ。
 舌と唇の圧迫は強くなり、弱くなり、けれど一定のままで、続いている。
 女性の唇から、僅かに赤い、果実の皮混じりの唾液が、溢れ、ひとすじを作り、けれどそのまま。頬、顎を取って、ぽたぽたとスラックスへ落ち、やがて染みを作り始める段階になって――ようやく気づいた。
 ……。つまり、なんですか。それは自分でしろということですか?
 しばらく動きを凍らせ、その間も顎を、開きっぱなしにし、ただ、振動のみで、えずきに耐える。――耐えている。
 それは、それできつい筈だ。
 逡巡を置いて、僅かにだけ動かし始めた。
 僅かに、首を押す。そして引く、その動きに合わせ、女性は僅かに歯と舌の位置を変え、
 刺激が一定にならないよう、常に動きを変化させ続ける。
 カリに、人よりも僅かに長い犬歯が触れる。
84狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:27:01 ID:LmIAHeMW
 舌が丸められ、押し込みを拒むかと思えばすぐに広がり受け入れる。
 引き出し、押し込むたびに、唾液が溢れ、頬を通って顎へと流れる。
 女性がまったく苦しそうにしていないので、幾らか動きを強めた。
 摩擦と熱さと粘液が、早さを伴い、更に強く響く。
 濁音まじりの、液が跳ねる音が、ただただ響き、響いて、響く。
 僅かずつ、僅かずつ、しかし確実に亀頭がとろけそうな感覚が近づき――来た。
 ペニスが振るえ、熱さが快感と共にせりあがって来て、今にも出る、と思った瞬間、
 突如女性は頭を動かし始めた。前後に強く、すばやく、止めるヒマもなく
「――っあ――」
 苦痛、とさえ表現出来る快感とともに、女性が喉の奥へとペニスを飲み込み、
 弾ける。1、2打ちが喉の奥、3打ちが口中、4打ちは女性が口の外に出し、その顔へ、
 それだけで、一回分のそれであり、尿道に僅かな痛みさえある。
 そしてまだ終わらない。女性は、その白濁がかかった頬へ、まだ、出している途中のペニスの、その裏筋を押し付け、頬で持って、跳ね上げたそのペニスを擦る。
 残りの白濁が、額から、まぶたの上に、掛かる。
85狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:29:24 ID:LmIAHeMW
 汗が全身から噴き出している。それだけでなく、心臓が鋭く跳ねている。
 気が付けば、痛覚全てが消滅していた。感覚が快感しかなくなっている。
 荒い息を付いて、付き、女性を見れば、表情自体に変わりは無く、
 口中に溢れる精液を飲み込んで、顔に掛かった精液を指で、それこそ払っている。
 垂れて来るそれを、指で受け止め、
 手のひらに溜まるような量のそれを、唇にすいこむ。
 放心状態の俺などさておいて、全てを飲み込んだ女性は、
 全く疲労の色など見せていなかった。
 こちらを、見て、どう? と言わんばかりに首を傾げる。
 どうもなにも、死に掛けてます。
 そうして、女性は幾らか瞳を細めて――
「――」
 何事かを呟いた。
「……はい?」
 それは、音だ。解りやすい二音の音。
「――」
 言葉にする。
「ゼ……キ……?」
 頷いた。
 ……。
 えーと。
 その……?
 それは……
 ……?
「ゼ、キ……?」
 やっと、解った。
 名前……?
「ゼキ……?」
 その二音を口に出すと、女性は、瞳を細めたまま、僅かに笑みを――
 一瞬だけ、考え――
「―――」
86狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:34:43 ID:LmIAHeMW
 苗字を、とりあえずは名乗った。響きは珍しい。
 その、響きに、女性は一度動きを止め――、もう一度、と言わんばかりに首を傾げる
「―――」
 もう一度、同じ音を呟く。
 その音を聞いて、大きく、まあるく、瞳が見開かれている。
 そうして、女性は完全に何かが切れたように、表情が崩れる。
「え、あ、あ、ちょ、あー!?」
 目を見開くなり、いきなり裸の腰にすがり付いて、泣き始めた。
 事情を知らないから、対応しようがなく、やばい位置で泣き始めた、恐らくはゼキ、――関では、ないだろう――という聞いた事の無い響きの名前の女性の――どうしよう。
 しばし躊躇の後、髪の毛を撫ぜ始める。それぐらいしかできそうにない。
 ついでに言えば、情けない事に心臓は脈打ち、勃ちっぱなしだ。
 いや、無理やりおったたされているのだが。
87狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:35:48 ID:LmIAHeMW
 しばし、そうやっている内に、次第に、ゼキ――たぶん、年上だろうから、ゼキ、さんは泣きやんだ。
 泣き止んで……、
 見上げる顔は、笑顔だ。僅かにどころか、完全に泣き顔の後だが。
 なにがどうしてどうなっているのかさっぱり解らない。
 やはり、情報を得られない状況は不安だ。
 そうして、ゼキ、さん……。ええと、ゼキさんは罰が悪そうに頬を掻く。
 二十四、五ぐらいに見えるその女性の取るその行動、――まぁ、許容範囲であり、
 いやむしろまだまだギャップが欲しいくらいであり――首を振った。
 電波を受信しすぎである。
「…………ってああ!」
 電波を受信している間に、ゼキさんはいつの間にか服を脱いで、完全に裸になっていた。
 それどころか、背を向けて座り込み、勃ちっぱなしのペニスを足の間に挟む格好で腰の上に座っている。
 前を見る暇もなかった。
 脚にはさむ形で保持されたそのペニスに、僅かに何か、暖かい液体を掛けられ、
 そうして、強くはさみ込まれる。僅かに茂みと、暖かい何かが擦れる感触。
 体のばねだけで、ゼキさんはからだを動かしていた。
「っく……うぅ」
 それは、ただ単に肉と染み出た愛液でもってペニスを擦るだけ。
 ただ、物理的な刺激として考えれば、挿入するよりも強い刺激だ。
 亀頭のふちを、茂みが擦り、次に暖かい軟肉が過ぎて、温かい愛液が流れる。
 左右を、太ももを薄く覆う脂肪と、その舌の鍛えられた筋肉が締め上げ、擦り上げる。
 なんども。
88狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:36:39 ID:LmIAHeMW
 僅かに、僅かに、ゼキさんの息も荒くなって来ている――気がする。
 そうして、なんども。
 刷り上げ、降ろし、擦れ、熱い。もともと信じられないほど張っていたものだ。
 既に、一度射精して敏感に鳴った挙句にコレである。
 既に、ペニスの状態は限界に近い。ある意味では常に限界状態だ。
 そしてまた、たぶん出しても萎えない。
 だから、か。すぐに、来た。
 ぶちまける。
 そうして、出る瞬間にも遠慮は無い。
 ずっと、ずっと脈打ち、それこそ垂れ流すように溢れる精液を、
 まるで全て搾り取るかのように、動き続けた。
 それは、たぶん、動きが止められるまで、流れ続けるのだろう。
 出し始めた瞬間から、体は壮絶な快感にがくがく震える。息は極限まで浅く、
 涙さえ流して、声はでずに、僅かに空気が震える音が耳に遠く聞こえるのみだ。
 二十秒間、たっぷりと精液を、それこそ魔法の様に――って嫌な魔法だが。
 流し続け、ようやく、ゼキさんは動きを止めた。
 たっぷりと、信じられないほどの量を出しながら、まだペニスは痛いくらいに勃起している。
 ……。
89狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:38:22 ID:LmIAHeMW
 というか、よく生きているな俺ー!?
 ……。
 まぁ、もういいや。アレだけの怪我で生きている事自体が奇跡なのだ。
 こっちは、その、微妙な奇跡、だが。
 ゼキさんが此方を、振り向いた。両手を俺の方の外に置き、上半身を支えている。
 精液でもってベタベタになっている、尻から太ももがペニスと擦れ、また一度、びくん、とふるえた。
 そうして、此方を向いたゼキさんの裸身は、上半身だけだが、見事に精液だらけで、あまり大きいとはいえない……
 正直、控えめな胸から、見える限りの腹まで、僅かずつ、粘性の余り強くない精液が緩やかな曲線を描く皮膚の上を
 どろり、とした塊となって流れ落ちて行く。
 見えない下腹にはさまれているペニスは先ほどと、正直変わらない圧迫と、
 それ以上のぐちゃぐちゃどろどろの粘液で覆われて、安定せず微弱な刺激を受け続けているのを感じていた。
「ゼ、キ……さ、ん……む……ちゃ」
 息は絶え絶えで、視界はぼやけて酷い有様だ。此方の顔を見て、ちょっとだけ笑っている。
 そして、手を外し、ゼキさんの上半身が倒れ込んで来た。
 たぶん、予想通り、まだ終わらない。頭は、右耳を押し付ける様にして胸の位置にあり、下半身が涼しくなっている。
 銀髪の向こうに持ち上げられた、此方は幾分大きい、実質筋肉なのであろう尻が見える。
 手は、片手が開いた膝の間に、片手は、体を保持する為に外にでている。
 尻が、下がってくる。膝がだんだんと開いて、そしてまた、此方の膝の脇に下がって行く。
 ペニスの先に、開いた柔肉が振れる感触ある。
 そうして、固さが、白い指が添えられるようにペニスをおさえ、そして、一気に飲み込まれた。
 あまり、きつさは無く、途中まで、するりと飲み込まれ、そして、一気に締め上げが来た。
 それは、多分意図的に緩められていたので、それだけで、震える。その、急にきつくなった膣穴に、皮が引っ張られ、更に張る。
 奥は深く、ちょうど根元まで達し、『切れ』る寸前まで行った所で、ちょうど奥に達し――
 それだけで、はじけた。
90狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 18:41:39 ID:LmIAHeMW
 ただでさえ熱く、水音さえ立てそうな膣奥に、たっぷりと新たな潤滑液が流れ込んだ。
 一瞬、背が冷えるが――
 女性は、すぐに首を振った。
 ――。というか、表情読まれている? と顔を浮かべると
 頷かれた。
 此方は意図が読めなくて混乱していると言うのに。と更に思うと
 ごめんね。と言わんばかりにゼキさんは小首を! 『か・わ・い・ら・し・く』!
 小首を! 傾げた!
 ちなみに、目の前の女性の外見年齢は24、5くらいなのだがぁっ……っわ――
 
 ――更に締め付けが強くなった。
 
 肉が、絞れる振動さえ感じた。
 正直、ムリにしか思えないのだが、溢れんばかりの精液と愛液でもって、十分に動く事が出来た。
 一度、深く、腰を上下させられるだけで、擦り傷の上を擦られるのにも等しい、
 ぎりぎりの刺激がペニスあって、それだけで再び達しそうになる。顔を思わず、耐える様に顰めた。
 動きが止まる。
 一瞬、覚悟していたこちらの顔は、きょとんとしていたものへと代わったのだろう。
 みて、いたずらげに女性のが笑う。
 こちらは、意図がないぶん、本当にかわいらしく思える。
91狼モノ@辺境sage2005/04/17(日) 18:42:37 ID:LmIAHeMW
すいません。一時投下停止します。
92狼モノ@辺境(仮題) 一章sage 投下再開します2005/04/17(日) 19:23:16 ID:LmIAHeMW
 ころころと顔が変わる人だなと思い――顔に出し、
 感情があまり安定していない人だなと思って――顔には出さない。
 何時もの事ながら性質の悪い性格だと、この自嘲も顔には出さなかった。
 恥ずかしげな顔に、女性の顔が書き換えられる。罪悪感を感じるが、無視した。
 遠ざける様に持ち上げられた銀髪には、僅かに乾き始めた精液が付着していた。
 此方の肌も、向こうの肌も、僅かに乾き始めている。
それを見て、ゼキさんは傍らに置いてあった椀の中から、また水分の多い
 葡萄の一つぶに近い果物をつまみ、口中で噛み始めた。もちろん、固いペニスを挿入したままでだ。
 どの道動けないから、逆らうまでも無く、じっとしている。
 そして、十分に粘性を得た果物を、僅かずつ、僅かずつ、
 こちらの胸から首、鎖骨、脇、満遍なく唇から流し、
 此方に再び興奮でだろうか? 先ほどよりも熱くなった体を押し付けてくる。
 水が、打ち合わされるような音がして、肌に柔肌が密着して擦れあう。
 そうして、ゼキさんは此方の手を取り、自分の腰にあてさせ完全に密着したまま今度は動かない。
 自身の手は、体の後ろにまわされ、何か動いている様子だ。
 両手は束ねられ自らを拘束しているようにも見える。
93狼モノ@辺境(仮題) 一章sage 投下再開します2005/04/17(日) 19:25:48 ID:LmIAHeMW
 正直、そろそろ最後だと思う。多少疲れも感じる様になってきたし、
 思考がいつの間にか状況に適応している事に気づいて、黙殺した。
 本当にきつい。処女並みか、それ以上か。
 恐らくは後者だろう。軽く抱きしめるだけで柔らかな脂肪の下にある、強烈な筋肉の緊張がある。
 そして、もうなんどもの射精を繰り広げているのに全く持って異常なペニス。
 ……静かに開始した突き上げは、本当に静かに、なんとか射精寸前でとどまる事が可能なレベル。
 静かに、ゆっくりと、ゆっくりと動かす。
 本当にまずかったら一瞬だけ動きを止め、僅かづつ。僅かづつ。
 どれだけの時間が経ったかはわからないが――傍らで聞こえる吐息に湿り気が混じり始めた。
 当たりだ。荒く扱われるか、もしくは対応する事になれているなら、それは正解。
 恐らく、向こうも自分と同じような薬を飲んでいるのだろう、
 入り混じった愛液が、僅かづつ精液と共に結合部から流れ出し、流れ続けている。
 もう、長い時間が経ったというのに、だ。
 なら、こうやって密着し擦れあい、甘い匂いを放つ肌も、自分と同じか、恐らくはそれ以上に、
 ただ触れているだけで快感になるのだろうと、――予想でしかないが。外れてはいまい。
 僅かに体制をずらし、乳首に乳首をぶつけてやる。と、僅かに息を呑む音が聞こえた。
 確定でいいだろう。だからたぶん、この程度でも十分感じているのだ。
 静かにもう自分の快感で無く、感じさせることのみに集中する。
 ……。
 嫌な慣れ、だ。我ながら。食う為だったとはいえ。
 っていうか、おぼれていたけれどー
94狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:27:02 ID:LmIAHeMW
 もう、愛液と唾液と精液と果汁と汗でもって、辺りはぐちゃぐちゃになっている。
 シャワーでも、後で浴びたいものだが。
 そうして、快感から意識を逸らしているうちに、
 いつの間にか聞こえる吐息はかなり熱い湿気を帯び、
 断続的に吐き出される様になっていた。
 よし、後ちょっとだなと、僅かに腰の動きを早めようとして――
 更に締まった。
 
 え?
 
 と反応したころには、体全体が大きな舌に舐められるような寒気さえ伴って、快感が走り、
 突きぬけ、脳髄を嬲って消え、いまだ膨大な量の精子を胎内にぶちまけていた。

「……っは……」
95狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:28:04 ID:LmIAHeMW
 熱い息を付いて、ゼキさんは此方に顔を向けて微笑む。
 ……どう考えても意図的なもので……情けない限りの上にふざけるな。
 であるトホホ。
 
 粘液と言うよりは、もはや水音と化した音と、それだけの両の液とともに、ペニスが抜け出る。
 正直、気落ちしているこちらを知り目に、視界の端で銀髪が否定に揺れた。
 視界の端に。
 見る。
 
 体の上からずり落ちたゼキさんが、此方に背を、そして腰を向け――
 片手で、尻肉を持ち上げ、その間にあるすぼまりに、
 もう片方の指先が二本そろえられ、埋められて蠢いていた。
 
 ……。

 正直に言えば、まだビンビンだった。
96狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:28:54 ID:LmIAHeMW
 指が外れる。汚れてはいない。
 まさか。とは思うが既に準備されていたのかもしれない。
 手は消えて、自分でペニスに指を添える。
 力が抜けた。先を押し付け、ゆっくりと、ゆっくりと、嬲る様に押し込んでゆく。
 水気が余り無いせいか、ペニスが精液と愛液でぬれていても、強い抵抗が有った。
 それはあくまで抵抗であって、決して尻穴が受け入れられないほど固いわけではない。
 摩擦が強いせいで、尚且つその圧迫感は先ほどと同等。押し込むだけで達しそうになり――
 どうにか、耐えながら亀頭だけは入れる。もう、いいだろうと。
 強く、軽く体を丸め、短く吐息を繰り返すゼキさんの奥へ、
 一編の躊躇無く、突きいれた。
「っはぁ……っぁ……」
 はじめて、声らしい声を上げるゼキさんの直腸へ、ローション代わりの膨大な精液をぶちまけた。
 可能な限り深くから括約筋ぎりぎりへ引きながら、快感に耐えながら、そして息を呑んで耐える音を聞きながら、
 腸の中、届く範囲全てに白濁を流し込んだ。
97狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:30:42 ID:LmIAHeMW
 手は腰の前に向かい、横抱きの体制からどうにか寝返りを打って、
 体の上にゼキさんの体を持ち上げた。
 多少負担が掛かるが、その程度でどうにかなる腰にも体にも思えない。
 体を支えようとする両手をこちら側から掴みとり、片手は自分の指を添えて、
 ゼキさんの秘裂へとのばし、もう片手は掴み取って、やはり胸へと。
 乳房を下から押しあげるようにして、もみほぐさせる。
 何度も、手で持って続けると自分で胸をもみ、乳首をつまみ始めた。
 それはそのまま、空いた手を、首筋、肩、鎖骨、脇、脇腹、下腹、太もも、
 その内側に、それぞれゆっくりと、時間を掛けて、じりじり、じらすように移動させてゆく。

 声が、ただ息を飲む音だけに変わり、耳の後ろを溢れた唾液が流れ落ちてくる。
 当然、ピストン運動は続けている。
 それも、押し込むときはゆっくりと、引くときはすばやく、括約筋にカリをあて、断続的に動かし、
 そしてまた奥に。子宮裏を圧迫してやるつもりで突き込む。
 ほとんど射精しっぱなしも同然で、僅かづつ直腸へと白濁が満ちてくる熱さを感じている。
 もはや耐え難い快感を受け止めきれず、今すぐにも動きを止めたいが、
 ――慣れと気合で動かし続けた。自分の息も荒く、声が押さえられない。
98狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:31:51 ID:LmIAHeMW
 秘裂に向かった二つの手はやはり恥丘に押し当て、開かせ、
 覆われていたクリストスを露出させる。
 導いた手の人差し指と中指を強く押し当てさせ、その上から少しずつ振るわせる。
 自分は空いた手を、精液と愛液がどろどろにまじって、まだ流れ落ちている膣口へと進ませ、
 指を3本ゆっくりと差込み、閉じたり開いたり、もしくはピストンをさせ、壁にも振れ、
 一枚向こうの腸壁を抉っているペニスにも触る。
 腰が多少痛いし、負担が一方的に掛かっている脚にもだるさがあるが、もはや無視。
 ついでに、射精はしっぱなしなので無視。耐え切れずこぼれる涙があるが、気にしない。
 息が、耐え切れなくて荒くなっている。どちらがどちらの息だかわからない
「―――」
 声が、聞こえた。
 それは、俺の苗字に似ている響きで、けれどやはり違うもの。
 誰かの名前だと思った。 
「―――」
 唾液が流れ落ち
「―――」
 膣と、腸と、それぞれが収縮し
「―――」
 涙が流れ落ち
「―――」
 三音の響きは、出るたびに僅かづつ高まっていて――
99狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:32:41 ID:LmIAHeMW
 そうして、これで最後だと言わんばかりに叩きつけた。
 最後の、本当に濃い恐らくは最後のひとしぼりを注ぎ込み
 
「――――――」
 
 その言葉は、なんだったのだろうか。名前でもなくただ――声の向きは此方を向いていた。
 体の上で、ゼキさんが、びくりと振るえ、やがて弛緩した
 そうして、恐らくは、悲鳴にさえならない、掠れた何かの声。
「――――――」
 原因は、解っていた。
 手に、暖かいもの掛かっている。失禁だろう。
 構わず、ゆっくりと膣をかき回し、腸のペニスと共にゆっくりと引きずりだした。
 ようやく収まった感じがする。徐々に熱と、血が引いている感触が下。
 腰が、完全に砕けている感じだ、それは向こうも同じで、なんとか体の上からずり落ちた。
 ぐちゃぐちゃどろどろを通り越して、スライム状にさえなっているような気もする。
 
 しばし、もはや何も忘れて、そのままで居て――
100狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:34:11 ID:LmIAHeMW
 どれほど経ったのか、ゼキさんが寝床から出て立ち上がった。
 此方を見下ろし、そして惨状を見下ろし――
 やがて正気に返った感じで
 うわっちゃー!
 と解りやすい表情を浮かべた。
 全面的に自業自得だとも思うのだが。
 頬を掻いて、此方を見下ろし、頷くと――寝ている。
 此方の腕を引っ張り、見事に立ち上がらせると太ももが抉れた左側へと入り込んで肩を貸してくれる。
 よろよろと、入ってきた扉から外に出る。
 そこは、やはりというか、今更というか、もう解ってるからいいやってな感じで、
 間違いなく別の、少なくとも日本とは別の世界に存在している場所だと感じた。
 ――今更だしな
 切り立った崖の谷間、木製の粗末な家が立ち並んでいる。
 高床式? あんな感じの上に家は建てられていた。
 静かなのは、恐らく皆眠っているのだろう。
 ただ、その崖の端、木の壁が気付かれたそこと崖の上に、小さく見えるかがり火が見えた。
 空には、刃の様な三日月と、それこそ見た事も無いような無数の星々。
 全く、見覚えの無い。テレビの中にしか存在しないような山だけの風景。
 見た事も無い山々。
 夜だというのに、山中だというのに、半ば濡れた酷い格好でも寒くない。
101狼モノ@辺境(仮題) 一章sage2005/04/17(日) 19:35:23 ID:LmIAHeMW
 酷い有様のまま、連れられて辿り着いたのは、崖の影、染み出す泉。
 その周りには、自分の傷口に張られているものと、似たような文様が大地に刻まれている。
 そうして――ふと、体から重力が消えて
 ああやっぱりか。
 水の中に叩き込まれた。
 幸い、ちょうど首がつかるぐらいで、余り冷たくもなく、投げ込まれても支障はなかった。
 むしろ手で水を掛ける分立ち易い。すぐに上下を取り戻し、顔を出す。
 息を付いて、とりあえず全身を洗ううち、今更に裸身のまま、隣にいつの間にか既に汚れも乾きも落とし、
 水の中にその銀髪を流し、耳だけは、水に浸かった為にみすぼらしく見える女性が居た。
 その女性は此方に視線を向け、嬉しさが僅かに覗く悲しげな顔で
「――――――」
 そう言って、
 今度は嬉しそうに、けれどどこか悲しげな顔で
「――――――」
 そう言った。
 たぶん、お礼と謝罪ではないか、と思った。
 解らないと感情を隠さぬまま――頷いた。
「――――――」
 そうしたら、たぶん、ゼキ、という名前で合っている、
 犬っぽいみみと尻尾を持っていて、それでも多分人である女性は、泣き笑い、と言った顔を浮かべた。
102狼モノ@辺境(仮題) 一章 終sage2005/04/17(日) 19:37:41 ID:LmIAHeMW
 部屋の片付けは、隅で待っているうち、ゼキさんがてきぱきとこなしてくれた。

 別の布団の中、見る。
 半分以上抉れて、符がはってあるそれを見る。

 とにかく、何よりも脚を治すのが先決だろう。ヤバかった場合、逃げる事も出来ない。
 何とか歩ける様にまではなる、確信が有るのだけれど――何時の事やら……
 
 そうして、とりあえず俺は新しい寝床で眠りについた。
 
 体力は、残しておいた方がいいだろうから。
 いきなり酷い消耗もしたが――
 と思考と向けようとして、止める。
 余りにも情報不足過ぎた。

 後は荷物も回収したい。来た時、傍らにバッグは有ったのだが。
 
 ふと、思い出した。
 
 あの、声。
 
 俺を呼ぶような、声は、一体なんだったのだろうか?

 ……まさか、異世界召喚モノなんてベタなオチじゃないよなコレぇ……?

 それを最後の思考とし、俺は眠りに付いた――
 
 
103狼モノ@辺境sage2005/04/17(日) 19:41:11 ID:LmIAHeMW
以上で、一章分は終了です。
大きくて長くて邪魔だ。という方は、
一章、というNGネームを入れてもらえればほとんどを省くことが出来ます。
104カモシカ担当sage2005/04/17(日) 19:48:24 ID:TkyZIY4v
>>31
遅ればせながらGJです。
はぁ……いいなぁ、リテアナさん。もろに好みだわ(*´∀`*)
あと、最後の選択肢ですが、一人称で書き進めてますし、1のほうがいいかなと思います。

>>60
リアルタイムで読みました。GJです。
挿入後の描写が緻密に書ける人ってうらやましいなあ。
自分なんて……「前フリ7レス、前戯3レス、挿入5行」ですからorz

二人とも、一人称の書き方が参考になります。
今回、ちょっとだけリュナ視点での文章を入れてみましたが、まだまだ追いつかないなぁ……と。
……ていうか。
このGJなSS二本の間に挟まれると書き手としては辛いなぁ……orz

>>57
>そう言えば気とかってやっぱり、触れずに敵を吹き飛ばしたり治癒能力を高めたり出来るのでしょうか?
とりあえず、現時点での設定としては……

コウゼン師クラスになると、波動拳も飛ばせます。でもそうそう連発できるものでもないです。
そして、気脈の動きを察して相手の攻撃が読めるようになります。
ファリィあたりだと、気の力で疲労なんかはほとんど感じませんし、ある程度の打撲に関してはヒーリング能力もあります。
もっとも、回復魔法のような即時回復ではなく、普通の人が一日かかるのが三時間で治癒するとか、そんな感じです。
あとは、肉体が強化されますので、攻撃力、防御力ともに上昇しますが、裂傷に対してはあまり効果はありません。

……みたいな感じです。
でも、獅子の国はしばらく「岩と森の国〜」ではメインになりそうにないんで、もしも誰か腕利きの職人さんが
「中華風の武術大国書きたいなあ、チャイナドレスと犬歯のコンボ萌えるなぁ、ライオンっ娘萌えるなぁ」
とか思われて、幸いにして獅子の国を選んでくれるのであれば、その人の作られる設定に合わせるべきかなあとか思ってます。
だからもし、その人がファリィあたりでも波動拳打てるという設定にしたいのなら、そうすべきかなあとか思ってます。
105名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 19:50:00 ID:AK8AW5Uw
スゲェ……gj
フェラで達したときの描写に心臓がズンと来た。エロ過ぎ
106名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 19:53:34 ID:7EERI+El
>>60
(だくだくと涙を流しながら言葉もなくひたすら拍手する)
107名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 19:55:14 ID:bRgWQyVK
あう……さよなら、ゼキさん。

そして初めまして新しいゼキさん!!
昔のゼキさんも良かったけど、新しいゼキさんは萌え特化ですなぁw
しかも言葉通じてないっぽいしw


scorpionfish さん、カモシカ担当さん、狼モノ@辺境さん、みんなGJです!
なんていうか……幸せだなぁ……
108狼モノ@辺境sage2005/04/17(日) 22:31:31 ID:LmIAHeMW
感想ありがとうございます。
今回は、とりあえず勃つ人が居たら成功かな。と思っております。

>>104
今回はエロ特化の実験だったりします。
正直、アルコールの力が無ければムリでした。
これから倉庫に潜って作品を拝見させていただきますー

>>107
前回のゼキを名前以外のキャラクターを完全に引き継いだ攻略対象w
を出すことを急遽決定しましたのでご安心ください。

しかししばらくこれない間に、連載作品が20近いて一体どう言う事ですかー
設定もどっさりと大量追加で、何時の間にやら完璧なシェアードワールドになってますし、
計画的だったわけでも無し、それこそあしたらさんの作った奇跡ですなー
109名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 22:38:00 ID:bRgWQyVK
>>108
>前回のゼキを名前以外のキャラクターを完全に引き継いだ攻略対象w 
>を出すことを急遽決定しましたのでご安心ください。 

おお、それは有り難う御座います m(_ _)m
ところで、言葉通じないのは辺境では言語体系が異なるからですか?
110狼モノ@辺境sage2005/04/17(日) 22:41:41 ID:LmIAHeMW
>>109
萌えるからです。

いえ、設定的には適当です。演出優先、ということで。
あえて設定するなら『俺』が、他の落下者よりも優秀でなかった。
というところでしょうか。
111虎の子sage2005/04/17(日) 22:41:51 ID:5fPD70VG
非常に巧みな描写に感服いたしました。
次回も楽しみにしています。
112名無しさん@ピンキーsage2005/04/17(日) 23:51:16 ID:7s0tISc3
>オコゼの人
2だとファルム×セレフィアだとして、1だと……「百合」「実はリテアナさん本当は男」
……うーん、どっちもありえるな。
>カモシカの人
「死肉に群がる」にガクガクブルブル
つまりライオンは少林寺とか気功とか中国拳法の世界ですか。
>オオカミの人
エロいよエロいよ、そして「耳」萌え! 「みみ」萌え!!
GJ!! GJ!!
113名無しさん@ピンキーsage2005/04/18(月) 02:05:46 ID:kXg42SkC
新作、一気にキターーーーーーーーーーー!

>>41
なにげにシロに過保護なファルムと、それに妬くセレフィアという構図にニヤッと

>>56
むしろファリィよりもリュナにハァハァ。相変わらず愉快な人だなこの人は

>>108
年上幼妻な新生ゼキさんも悶えましたが、やはりクールな旧ゼキさんも忘れられません。是非!
114scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:39:37 ID:254V1K7q
1の方向性で書いていたところ、リテアナが暴走いたしました。
またしても、エロがありません。
というわけで続きです。
115scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:40:33 ID:254V1K7q
「シロちゃんは、どんなお魚が好き?」
「んー。よくわからないです。そんなにお魚の種類詳しいわけじゃないので」
 リテアナさんが連れ回したのは…食べ物の屋台、屋台、屋台につぐ屋台。いろんなバリエーションの魚料理と、野菜や果物、おやつ等の屋台が並んでいた。
 リテアナさんがぱくつく煮こごりのゼリー寄せを一口、スプーンでもらって、美味しさに顔をほころばせつつ、話を聞いている。そういえばよく、最初の頃ファルムがこうやって一匙味見させてくれたっけ。苦い薬草もあったけど…。
「そうねー。カサゴなんてどう?」
「カサゴ?」
 えーと。
 なんだっけ。
 昔の記憶……。
 ここに落ちてくる前の記憶……。
「ええと、煮付けが美味しいらしいですね」
 誰が言ってた事だろう。思い出せない。でもちょっと舌に記憶が蘇る。
「まあ、煮て食べちゃうのね〜♪シロちゃんってダ・イ・タ・ン♪」
「は?」
 よくわからないがリテアナさんの後ろにお花が咲いている。ご機嫌のようだ。そして、煮こごりのお皿は一瞬のうちに空になって、お店の人が回収していった。
 かわりにリテアナさんの手には鮮やかなグリーンのカクテルグラスが。
「鯛とかもお好き?」
 くいっといきながらこちらを見る。ちょっと色っぽい。
 座ってると座高がそんなに変わらないのは、やっぱりあたしの脚が短いせいなのかなあ……。
 立ってる時はあたしの顔がちょうどリテアナさんの胸に埋まっちゃうような位置関係なのに。
「あ、はい。お刺し身とか鯛飯とか、美味しいですよね」
116scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:41:16 ID:254V1K7q
「まあまあ、生き造り?やるわねー。ならあの子のこともほっといて大丈夫かなー」
 な、なんか話が噛み合っていないような。
「あの子って?」
「内緒♪おとなの女性には秘密が多いのよ?」
「はあ」
 よく、こっちの人の年ってわからないんだよなあ。
 あたしは、どうみても実年齢より子供扱いされてるような気がする。
 背が低いからかな?
 でもこの前会ったクロダイの男の子、じゃなかった女の子はちっちゃかったよなあ、あたしより。
 そういえば、リテアナさんも、クロダイ?
「あの」
「むー。遊び足りないなあ。そだ、いいとこ連れてってあげるわ、シロちゃん」
 あ、あの。
 リテアナさんはグラスをあけるとぴょんと立ってあたしの手を取り引っ張っていく。
 ピンクの膝下丈ドレスがふわふわと自前のヒレを覆い隠して、って…リテアナさんってよく見るとヒレ耳以外もトゲトゲしたヒレなんだなあ。ちょっとふわふわした雰囲気に合わない感じもするけど……。
 ふわふわとした雰囲気に似合わないといえば、その、胸。大っきい。すごく大っきい。思わず自分のと比べてしまう。歩く度に揺れてるそれは、横から見てものすごく突き出てるのに、腰はくびれてて、お尻はきゅっとしてて、スタイルいい……。
 道行く人もぽわーっとリテアナさんを振り返っている気がする。
 そろそろ魚人さんとか獣人さんの男の人たちの顔にも慣れてきた。特撮と思えば怖くない。表情も、よく見たくないけど、よく見ればあるようだし。時折熱帯魚っぽい彩りの人の顔の男の人も見かける。
 女の人は例外なく人の顔してるのになあ。どういう法則なんだろ。
 ほら、あそこの触覚生えたお姉さんとか。なんかタコっぽい脚を頭に乗っけてるおねえさんとか。
117scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:42:17 ID:254V1K7q
「シロちゃんにはちょうどいい大きさの服が必要なのよ!」
 周囲に気を取られていると、唐突にリテアナさんが握りこぶしを作って小さく叫んだ。
 え?
「さっきから上着で誤魔化してるみたいだけど、だまされないんだから。上から見るとピンクな部分も見えちゃうくらいぶかぶかよ?」
 耳元で囁かれて真っ赤になる。慌てて上着の胸元を掴んで寄せた。
 そ、そんなにピンクじゃないけど……先っちょ見えてたら、見られてたらー!ぶんぶんと頭をふる。ブラは濡れると中々乾かないので、今日は身につけてないのだ。ほんの少しだけ動きに合わせて揺れる自分の胸がちょっと気恥ずかしい。
「こっちよ!」
 力強く引っ張られるとあたしはまるで小動物が振り回されているようだ。リテアナさんはやっぱり槍とか使える筋力と体力の持ち主で、それはドレスの裾から覗く引き締まった手足からわかるのだけど……。
 あたしも日々、水圧に耐えてるのになあ。
 他のものにも耐えてるのになあ。
 ぽすっと連れ込まれた先は、小さな、あたしにちょうどいいサイズの服ばかりある洋服屋だった。棚の上にある服を店主に持ってこさせて、二人してあたしを見比べている。
 服は、魚人用のものと、見慣れないしっぽ穴のあいた獣人用の服、それにとくにそういう仕掛けのない中古品の三種類あった。最後のが、落ちもの、なんだ、多分。
 落ちものについてはよくわかってない。
 海の中に落ちてきたから落ちもの、だと思ってたけど、ちょっと違うみたい。
「うーん、しっぽ穴の部分があいててもセクシーなんだけど、ちょっと違うのよねー」
「そうですね、こちらのものなどいかがでしょう」
「そうね。ヒレスリットもなくてお手ごろねー」
 ヒレスリットかあ、そういえば人によって微妙にヒレの位置が違うよね。あれってお魚の種類が違うのかな。
「ほら、これなんかどう?」
 淡いブルーのノースリーブの膝上丈ワンピと、下に合わせる白のレースのキャミソール。
 かわいいー。
118scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:42:57 ID:254V1K7q
「ほら、着てみて。試着室はこっち」
「はい、あ、あの、なんでリテアナさんまでカーテンの中に居るんですか?
「見張り♪」
 見張りって、外でするものじゃ……。う、なんでそんなに詰めてくるのー。そしてなんで目が輝いてるのー?う、背中が鏡に当たった。
「さ、脱いで♪」
 何か言う前に上着に手をかけられる。
 もともと大きい上着だから簡単に引っ張ると脱げちゃって。
 残ったのは…ファルムの胸余ってますドレス……。
 う、ううう。確かに下が丸見えだよお。
 反射的に胸を隠したあたしに、リテアナさんがにっこりと微笑む。
「見えちゃった♪」
 あたしは涙目でリテアナさんを睨む。ど、どこまで!
 ……もう、下着屋の店員さん相手みたいに開き直った方がいいのかなあ。
 吐息をついて猫背になったあたしのドレスを、リテアナさんが一気にまくりあげる。
 う。白紐パンが丸見え。
 普段家ではショーツ身につけてないけど、これは来る前に魚人の布地でファルムが適当に作ったお手製。紐パンなのはその方が自分で調整がきくから。ゴムがないんだよね。なぜか。
「ほらほら、万歳して?」
「はあい……」
 言われるままに両手をあげて、ドレスを脱ぐ。
 ショーツ一枚のあたしを、リテアナさんが少しかがんで上から下までじーっと眺め回した。
 なんだかはずかしいよお。
 これじゃ健康診断みたい……。
「着痩せしててわからなかったけど、けっこう出るとこ出て、ちゃんとひきしまってるのね♪」
 いえ、あたしの胸なんか、両手で寄せて上げても、てのひらからはみ出さないですから。
 リテアナさんみたいな、ファルムの爆乳とどっちもどっちなふるふるんな柔らかそうな胸とは違いますから!…あ、でも最近ちょっと柔らかくなったかも。
「じゃ、これ着てね」
 そう、着替えを押し付けるとリテアナさんは赤くなったあたしを置き去りにして、2重カーテンをさっと通り抜けて出ていってしまった。
119scorpionfishsage2005/04/18(月) 03:45:04 ID:254V1K7q
 はあ。
 入り口に背を向け、もぞもぞとキャミに腕を通そうとして、ふと鏡が目に入る。全身鏡はここに来てから初めて。
 やっぱりまず髪に目がいってしまう。
 白い。髪を掴んで持ち上げてみると、時折茶髪や金髪や、そして僅かな黒髪が混じって梳いた指からこぼれ落ちるのが見える。首筋にかかった髪を切っちゃいたいほど、ちょっと悲しい。
 肌は食後だからほんのり赤みが差した、基本青白い肌。
 胸は…んー。あのブラ合わなくなっちゃったからサイズ変わったんだろうな。アンダー痩せたみたいだし。トップはそんなに変わらないからもしかしたらサイズアップかも。Cってところ?
 ウエストは一応あんまりつまめない。ちょっと嬉しい。
 お尻はそこそこ。手足は華奢め。
 身長は…多分160cmいってないと思う。
 キャミを着て、くるりとまわってみる。肌につるつるする感触が心地いい。
 その上に淡いブルーのノースリーブワンピースを着る。胸もきつくないし、ちょうど、絞ってある部分が胸下なので一回転するとふわっと拡がってかわいい。肩ひももずれ落ちなかった。
 リテアナさんの見立てって的確だなあ。
「どう?着れた?」
 カーテンの外でリテアナさんの声がする。
「あ、はい、どうぞ」
 戻ってきたリテアナさんの手には、下着…じゃなくて、水着が大量に盛られていた。
「あら、やっぱりかわいい♪さて、どれがあうかなー」
 あたしにハンガーを押し付けて、鏡と見比べている。
「あ、あの。なんで?」
「だってここまで来るのにも濡れたでしょ?」
「でもあたし、泳ぐの……」
 あんまり好きじゃない。
「じゃあ、ビーチで日光浴♪」
 え?
「ビーチがあるんですか?」
「もちろん!ここは天下の魔窟よ?プライベートビーチくらい完備してるわ♪」
 天下の魔窟っていう理屈がよくわかりません。
 でも、ファルムがここに来る途中で一度も首を縦に振ってくれなかった海上へ出れるのなら。
 お日さまが海越しじゃなくて拝めるのなら。
 魂売っちゃいそう。
 あたしはよほどうっとりとした顔つきをしていたのか、リテアナさんは満面の笑みを浮かべて半月型の瞳で、「さあ、選んで!」と言った。(続く)
120名無しさん@ピンキーsage2005/04/18(月) 13:07:57 ID:BpxFDerN
>う。白紐パンが丸見え。
>ゴムがないんだよね。なぜか。

ごめん、もうここだけで抜ける
121カモシカ担当sage2005/04/18(月) 20:51:28 ID:c0fGxtiK
>>114
リテアナさん今回も萌え。激しく萌え。(*´∀`*)
今後の展開も期待してます。


で。すっかりおろそかになってたまとめwiki用人物紹介の追加。
避難所に書けとか言わないで。

アルナ
マイマイと呼ばれる種族の少女。13歳。
カタツムリの殻と触覚を持ったかわいい女の子。言動はちょっと子供っぽいが、明るくて人好きのする性格。
少し前は、誰かのペットだったらしいが、戦乱で主人を失い、そのまま野良マイマイになっていたところをレーマ達と出会い、一緒にしばらく旅をした。
現在は白のピラミッドにあるマイマイ保護施設で、他のマイマイの少女たちと一緒に仲良く暮らしている。

コウゼン
ライオン族の老武術家。年齢不詳だが外見的には60歳前後。
見た目は鬣にも白髪が混じっており、肉付きも若者に比べると落ちていて、あまりぱっとしない。
だが武術の達人で、およそ武芸全般に通じて扱えぬものはない。
気とよばれる生体エネルギーを使いこなし、遠距離の敵を指一つ触れずに吹き飛ばすことさえできる。
また、敵の気脈をよみ、その動きをことごとく見切るという離れ業の持ち主。
見た目の貧相さからは想像もつかないスタミナと攻撃の破壊力は、達人の域に達した気功のためらしい。
悪心を持っては気功の真髄は見えないと考えており、彼の道場では武芸のみならず、哲学や東洋医学などの学問も積極的に行っている。
リュナにとっては師匠にあたる人物。

ファリィ
コウゼンの娘。一説には養女とも。外見年齢は15歳。
コウゼンから武芸の手ほどきを受け、その腕は若くして一流で、リュナは彼女と18度も試合をして一度しか勝てなかったほど。
気功も扱うが、いまだ父の域には届いておらず、遠くの敵を気で撃つことや、敵の動きを気脈で見切るなどといったことはできない。
しかしそれでも、気を乗せた一撃は文字通り人間離れした破壊力を秘めており、また気功の成果か、疲労もほとんど感じないため、長期戦になればなるほど強い。
黄色いチャイナドレスの似合う元気少女。リュナいわく「夜行性」。
リュナとは何かと因縁のある少女で、いまでも定期的に連絡を取り合っている。
122カモシカ担当sage2005/04/18(月) 21:19:54 ID:c0fGxtiK
エグゼクターズ
国際犯罪者討伐のために作られたカモシカ族の国営特殊警備隊。
かつては陸の孤島に等しかったカモシカの国にも国際犯罪者の影が跳梁し始めることになると、従来の兵制では跳梁する国際犯罪者を追うことが困難になっていた。
そのため、従来の縦割り管轄による軍事体系とは分離した遊撃特殊警備隊の編成が急務となり誕生した。
国内における徹底追尾を許可したことでカモシカ国内での国際犯罪者の駆逐に大きく貢献するが、今度は国境付近で仕事を行い、そして越境して逃亡する国際犯罪者が増加した。
そのため、先代の統治時代、エグゼクターズの越境権限を求めて近隣諸国との外交が繰り返され、粘り強い外交の結果、越境権限は認められた。
しかしその代償として保有武力の大幅な制限と、近隣種族との多種族混合部隊への組織変更を求められることとなり、エグゼクターズは従来に比べて少ない武力での戦闘を余儀なくされた。
そのため特殊訓練による個人戦闘力の強化が行われることとなり、気を会得することによることで個人戦闘力の底上げを図ろうという動きになった。
数年前、同時期に100人以上の隊員が一斉に行方をくらませたことがあり、もしかするとそれと気功の習得に何らかの関係があるのかもしれない。

獅子の国
カモシカの国の南西、蛇の国のすこし北にあり、広大な平野を領有する帝政の大国。
ひとことでいうと中華風武術大国。なのだが他国に聞こえて有名なのはむしろ東洋医学と中華料理。ただし四川料理みたいな辛いのはあまりない。
武術は……というと、秘儀とか秘伝とか秘拳とかいう名目であまり公開されていないこともあり、そのため知名度は多種族では知る人ぞ知るという感じ。
ただしそのレベルは恐ろしく高い。その中身を知る人が見れば、もしかすると大陸トップクラスかもしれないと思わせるものがある。
国内では毎年四回、宮城の武闘場で春夏秋冬の節分にあわせて武術大会が開かれていて、その優勝者は国士と呼ばれる。
とりあえず、種族を問わず誰にでも門戸を開いてはいるが……少なくとも、変な仮面をつけたやたらと強い長身のネコは参加していないのではないだろうか。
まあ、そもそも他国には無名だし。
他国にあまり興味がないらしく、そのせいか独自の文化を築いてきた。
123名無しさん@ピンキーsage2005/04/18(月) 21:23:47 ID:qJO3D/GH
>避難所に書けとか言わないで。

言わない。
けど、Wikiって誰でも編集可能なんだから
自分でやろうよ、とは言ってみる。
こっちに落とすのと手間はあんまり違わないんだし。
124wikiの中の人sage2005/04/18(月) 21:28:42 ID:9LZ5noJ8
何かの縁なので書いておきました〜
でも、今度から可能ならばセルフサービスでお願いいたします
そのために設置したのですし
125wikiの中の人sage2005/04/18(月) 21:30:31 ID:9LZ5noJ8
あ、誤解を招くような発言しちゃった……
難しくて編集はちょっと、って方は、避難所などに落としていただければ転載させていただきますです
123 は、ご自分で編集する事も出来ますよ、という意味でお願いいたします
126カモシカ担当sage2005/04/18(月) 21:36:27 ID:c0fGxtiK
>>123-125
ごめんなさいorz
127名無しさん@ピンキーsage2005/04/18(月) 21:39:36 ID:qJO3D/GH
>Wikiの人
ああ。ちょうどいいところに。
Wikiの方、2ちゃんじゃ出来ない事ってわけで
ルビ振りに対応できると色々面白そうだと思うんですけれど対応予定とかあります?
128wikiの中の人sage2005/04/18(月) 21:45:57 ID:9LZ5noJ8
>>127
ルビですか……ちょっと対応できるか考えてみますね。
あ、それから、wiki が重いときに避難所投下ってのもアリかもです。頃合見計らって転載します。
129名無しさん@ピンキーsage2005/04/18(月) 22:05:27 ID:/QiD/ECh
>カモシカ担当氏
つまり、「それで」リュナはそんなに足腰強いんですかw
>狼モノ@辺境氏
それで、つまり、ゼキさんは死んだ前の旦那に尻穴開発され済みなんですか?
いえ、結構ココ、死活問題だと思うんで
>scorpionfish氏
シロたんは素でエロい子だと思います。ピンクの乳首にしても紐パンにしても

いやーもーお腹いっぱい。三氏ともGJ!!!!
130狼モノ@辺境sage2005/04/18(月) 22:30:30 ID:f+7EJtS0
wikiの中の人さん、勝手に使用させて頂きましたのでご報告します。
ありがとうございます。
131カモシカ担当sage2005/04/19(火) 17:06:26 ID:oF/JsNgK
昨日はご迷惑をおかけしました。

えーと。
おわびになるかどうかはわかりませんが、今週日曜までに獅子の国で短編一本投下します。
やっぱり、獅子の国の設定だけ作って作り逃げってのもまずいかなとか思いますし。
コウゼンさんとかファリィとか、強いって設定だけで具代的な強さを書いてないのもアレなんで、そんなのも入れなきゃならないなとか思いますし。
ま、それでも槍術世界一のリナ様よりは弱くしなくちゃいけないっていうジレンマがありますが、そこさえクリアできれば何とか。
獅子の国の武術は他の国(つうかネコの国)とはまったく独立した独自の武術体系なのか、それとも他国との交流があったのか、そこも早めにはっきりさせるべきかもしれないですし。
あと「死肉に群がる」シーンは入れるべきかどうかw

……アンシェル編はその後になるんで、GW前半までには何とかします。

>>129
そうですね。
もともとの身体能力+道場での修業+夜の実戦訓練wの相乗効果で。
だから……獅子の国の道場の近くに落ちた「落ちもの」は悲惨だろうなと思います。
132名無しさん@ピンキーsage2005/04/19(火) 23:52:23 ID:lVSGmIMb
>>131
うはー、楽しみにしてます。

>「まあまあ、生き造り?やるわねー。ならあの子のこともほっといて大丈夫かなー」
あーなるほど姉弟かー…って。
つまりリテアナさんと男の子はあーんな事やこーんな事といった近親相姦めいた事もしていたのですね?(>前々話)
恐ろしや。なんて爽やかに危ない人なのかリテアナさん。
そんなリテアナさんの大丈夫かなーがすごく信用できません。シロちゃん一体何されるのやら。
133名無しさん@ピンキー2005/04/20(水) 14:07:57 ID:tLFxGvJv
良スレage
134名無しさん@ピンキーsage2005/04/20(水) 23:47:30 ID:PpU0U1PN
ふと、こちむい世界のご主人様たちを

              天然
               │
               │
               │
               │
               │
               │
おしとやか──────┼──────強気
               │
               │
               │
               │
               │
               │
              知的

……で分類したらどんなになるのかと思ってみた。
とりあえず思いつく範囲で、ちょうど中心にミーナ博士、右下にマナ様、少し右上にリナ様、まんなかちょい上にアンシェルたん、一番右上にミリアさま……かな?

135名無しさん@ピンキー2005/04/21(木) 02:20:21 ID:jE234LnP
全ての世界に通じる須弥山(山というより馬鹿でかい棒みたいなものだが)、俺はこの麓に住んでいる者で…って感じで書きたいなぁ
136名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 05:51:32 ID:20gsckny
…微妙にスレ違いかと。
137名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 12:26:32 ID:jE234LnP
いや、神隠しにあった人間を元の世界に戻すストーリーを…やっぱやめときます。
138名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 19:41:54 ID:X6odn1pS
>>137
ギクッ!!
139名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 19:42:15 ID:+GmACt31
>>134
天然と知的は一つの軸の両極ではないだろう。
むしろ「天然←→常識」。
140名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 20:00:52 ID:hQdnChmR
              おねぇさん
               │
               │
               │
               │
               │
               │
きょぅー ──────┼──────ひんぬー
               │
               │
               │
               │
               │
               │
              ロリ

んじゃ肉体Ver
141名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 20:01:31 ID:hQdnChmR
まちがえた……きょぅーでなくきょぬーだ……orz
142名無しさん@ピンキーsage2005/04/21(木) 23:57:03 ID:ZIRgAi48
>>134
>>139
そうだそうだ、「天然←→常識」&「知的←→おバカ」が正しいぞ!
・・・・・・とまあそういうわけで
こちむい世界のおバカなご主人様ナンバー1は誰な、なにをするきさま、やめろー
143名無しさん@ピンキーsage2005/04/22(金) 14:40:29 ID:8rWrHhv5
また一人のヒトが、某姫様の実験材料と消えたか・・・。
144名無しさん@ピンキーsage2005/04/22(金) 17:01:31 ID:9vsqpNq1
>>139>>142
常識人のご主人さまって……誰かいた?w
145名無しさん@ピンキーsage2005/04/22(金) 20:22:01 ID:1mZMDzXN
>>144
旧ゼキ様
146名無しさん@ピンキーsage2005/04/22(金) 22:27:27 ID:/gdxqS2z
>>144
ミリア様
147名無しさん@ピンキー2005/04/23(土) 00:28:44 ID:wzlFmDbX
期待age
148名無しさん@ピンキー保守sage2005/04/23(土) 17:34:58 ID:Vn7TXTQh
>>147
上げずにマターリ待ちましょうや
149名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 19:24:11 ID:Gz7vdgRV
そういえば◆ozOtJW9BFA氏の話、まとめに掲載されなかったね。
150獅子国伝奇sage2005/04/23(土) 20:56:25 ID:zUtLgx9O
獅子の国。大陸のやや南西部に位置し、広大な平原を有する帝政国家。
肥沃な大地と、国家の中心部を西へと流れる大河を持ち、無論、猫の国には及ばぬもののそれなりの繁栄を謳歌している。
この国で他国に名を知られているものといえば、医食同源の理念に基づく独特の料理、そして陶磁器、絹織物などの芸術品。
しかし、他国には知られざるものの、なかなか侮りがたいもう一つの得意なものがある。
それが、武術である。

獅子の国の北、リンケイに一つの道場がある。
そこでは“国士”コウゼンの指導の下、約二百人の弟子たちが日夜怠らず、修行に励んでいる。
規模としてはさほど大きくはない。
この国における武の総本山といえば、三絶寺や白獅寺などがあげられるが、そういった弟子数千人規模の大道場に比べれば数分の一にすぎない。
ただし、密度は高い。弟子入りしてきたころには明らかに武に適性がないと思われたものでも、まあ十年近くも修行を行えば、必ずそれなりの腕にはなる。
その好例ともいえるのが、フェイレンだろう。

道場の隅で、黙々と演武の型をこなしている青年がいる。
棍を自在に操り、鋭い動きで次々と型をこなしてゆく。
弟子入りしてから、もう何千回と繰り返してきた動きだが、それだけにわずかな違いでもわかるようになってきている。
自らにとっての最も理想的な拳足の流れ。それを確認するための動きである。
いくつか、納得しがたい動きがあったのか、二つ三つの型を最後に繰り返す。
そして最後に、気合と共に上段から棍を振り下ろし、そして引き、それで演武は終わった。
151名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 20:58:37 ID:zUtLgx9O
「……お疲れ様でした」
 大きな手ぬぐいを持って近づいてきたヒトの少女が、抑揚のない声でそう声をかける。
 灰色の作務衣。修行者とは違う、この寺の下男下女の制服である。
「ああ、ありがとう」
 青年……フェイレンが、それを受け取って汗をぬぐう。
「先ほどより、お客様がお待ちになっています」
「ああ。すぐに向かう」
「……」
 じっと、フェイレンの顔を見つめる少女。その目には表情がない。
「あ、何?」
 その視線に気づいたフェイレンが問い返す。
「……次のご命令を、伺っておりません」
「え? あ、ああ……そうか。じゃあ、とりあえず胴衣の洗濯だけお願いしようかな」
「その後は」
「うーん……とりあえず、帰ってくるまで休んでていいよ。たぶん二、三日かかるから」
「わかりました。では、お預かりいたします」
 そういって、フェイレンの胴衣の帯を解こうとする。
「あ、いや、ここで脱ぐのもなんだから……向こうで着替えたら、渡すよ」
「……わかりました」
 更衣室へと向かうフェイレンの後を、少女がついてゆく。
152名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:00:20 ID:zUtLgx9O
「じゃあ、これお願い」
「わかりました」
 相変わらず感情のない声でそう返事をすると、少女は胴衣を抱えて洗濯場へと向かった。
「……ふう」
 ひとつ、ため息をつく。どうにも、気を使うというか疲れる。
「あ、いたいた。……たく、いつまで待たせんのよ」
 そんなフェイレンに、声をかけてくるもう一人の女性。チャイナドレスの似合う、フェイレンよりは少し若い美女。
「あ、いや……悪い悪い。いくつか動きに気になるのがあって、確かめてたら時間がかかった」
「……ま、いつものことだけど。今日はお客様がいるんだから、時間は厳守してくれなきゃ困るよ」
「いやあ、悪い悪い」
 頭をかきながら、そう謝る。
「ぜんぜん反省してないでしょ」
「いやあ、次からはもっとちゃんとするよ」
「フェイレンの『次から』がアテになったためしはないんだけど」
「……それをいわれるとキツいな……」
「そんなことだと、ミコトちゃんにも愛想尽かされるぞ」
「……う」
 言葉が、とまる。
「今はあの子がついてるからいいようなものの」
「それなんだけどなぁ……」
153名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:01:13 ID:zUtLgx9O
「何?」
「ミコトのやつ、やっぱりあのままだとまずいよな……」
「……うーん」
 ミコト。さっき胴衣を持って洗濯場へと向かった、ヒトの少女である。
「なんつーか、あいつが笑ったり怒ったり、そういう感情らしい感情を見せたことってないからな」
「そうねえ……なんか、仕事はそつなくこなすけど温かみがないというか」
「温かみというか……なんか、変に絶望してるというか、虚無的なんだよな」
「……天涯孤独だもんね」
「多分、それだけじゃないんだろうがな」
 ぽつりと、そう口にする。
「どういうこと?」
「あいつ、俺たちが見つける前にひどい目に合ってるからな。だからあそこまで心を閉ざしたんだろう」
「そうね。確か、フェイレンがあの子を見つけたときは……」
「ああ。ほとんど裸で、体中に青痣や傷がいくつもあった。左足首を骨折して、森の中で動けなくなってたんだ」
「……ひどい姿ね」
「ああ。今でも見つかる前のことは口を閉ざして何もいわない。……信頼されてないんだな」
 フェイレンが、時々感じる寂しさでもある。
「で、フェイレンはどうしようと思ってるの?」
「正直……まだ、わからない」
 暗い表情で、フェイレンがいう。
154名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:03:46 ID:zUtLgx9O
「それじゃ駄目でしょ」
 そう言って、背中をドンとたたく。
「とりあえず、フェイレンは明るく振舞う。明るく楽しく元気でいたら、いつか必ずあの子も笑顔を取り戻すから」
「……そうだな」
 すこし、笑顔を見せる。
「今後、私とミコトちゃんの前で少しでも暗い顔したら、許さないからねっ」
「……ひどいな」
「ひどくないっ。いい!? 今後はあの子の前では常に笑顔でいること」
「わかりました、師範代様」

 やたらと長い回廊を抜け、ようやく道場の玄関に着く。
 玄関の陽だまりで、赤いリボンをつけたネコの女性がうたた寝をしていた。
「……ファリィ。あの子……寝てないか?」
「フェイレンが待たせすぎたからでしょ」
「う゛……面目ない」
「……ん〜……」
 その声に、ネコの女性が目を覚ましたらしい。
 二人の姿を見て、あわてふためいて起き上がる。
「あ、あの、あのそのっ、いつからそこに?」
「え? あ、いや、ついさっき……」
「つ、ついさっき……ってことは、三十分以上も?」
「あ、いや、その……ごめんなさい」
「いえいえいえっ! その、三十分以上もお待たせしてたなんて……わたし、なんとお詫びしてよいか……?」
 その言葉に、顔を見合わせる二人。
155名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:05:00 ID:zUtLgx9O
「え? いや、その……待たせてたのはこっちじゃ……」
「そんな、だって、『ついさっき』って……」
「え、ええ……」
「確か、三十分以上待ったときには相手を傷つけないように『ついさっき来た』っていうと……」
「……なんですか、それ……」
「だって、落ちものの漫画では……」
 また、顔を見合わせる二人。
「……すごい世界なんだな、落ちものの世界って」
「……みたいね」
 そんな二人とは別に、一人で頭を抱えて困り果てているネコの女性。
「ああっ、せっかく来たのにこんな醜態を見せてしまうなんて、なんとお詫びすべきか……」
「いえいえ、そんな、本当に今来たばかりなんですから」
 半泣きで取り乱すネコの女性にあわてて取り繕うフェイレン。
「……う……ほんとう……ですかぁ……?」
「本当ですよ。とにかく、待たせたのは私たちのほうですから、お詫びいたします」
 そう言って、ファリィが頭を下げる。
「あ、いえ……その、あの……」
 なんだか、まだ混乱が残っているらしい。
「とりあえず、お茶でも飲んでから出かけますか?」
「え……あ、はい……」
 とりあえず、落ち着いてもらうのが先決のようだった。
156名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:06:06 ID:zUtLgx9O
 庭先で、少しぬるめの甜茶を出す。
 飲んでいるうちに、気分が落ち着いてきたようだ。
「えーと……わたし、サーシャといいます。ネコの国のリナさまの道場で武芸を教わっていました」
「そのようですね。その赤いリボンでわかりますよ」
「そ、そうですかぁ? それで、今はドゥラという悪党を追っておりまして」
「家宝を盗まれた……のでしたね。で、どうやらこの国にいるらしいと」
「はい。それで、一人ではいささか心細いもので」
「……しかし、よくウチのことをご存知でしたね」
「それは……その」
 急に口ごもる。
「あ、いえ、別に聞きただしてるわけじゃありませんから。先を続けてください」
「は、はい。それで、やはり一人だけでは心細いので、何人かお力添えをと思いまして」
「はい。それで、私と、このフェイレンがついてゆくということでよろしいですか?」
「あ、はい。三人もいれば何とかなると思います」
「それで……相手さんがどれくらいいたっけ……」
 フェイレンの問いに、サーシャが答える。
「たしか……百人ほど」
「……ま、いいか……」
 何とかなる数だと思った。無理やりにでもそう思うしかなかった。

 草原を、馬に乗って進む。
「ぶしつけなことをお伺いしますが」
「何ですか?」
「皆様は、ふだんどうやって生計を立てていらっしゃるのですか?」
「え? あ、あはは、それはその……」
「お伺いしたところ、月謝を受け取っているようでもありませんし」
「まあ、その……農業と国からの補助金と……あとはその……」
 小声で続ける。
──闘技場荒らしとか、賞金稼ぎとか……
157名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:06:38 ID:zUtLgx9O
「えっ?」
 よく聞き取れなかったらしく、サーシャが問い返してくる。
「あ、いえいえ、つまりは農業ですね。修行の合間にお茶の栽培とか養蚕とかやってるんで、それを売って」
「ああ、そうでしたか」
 納得した様子のサーシャをみて、とりあえず安堵の息をつく。
「それにしても、最近あちこちで悪い人が増えてきましたね」
「そうなんですか?」
「ええ。むかしはそれほどでもなかった気がするんですけど、最近はなんだか盗賊とか増えた気がします」
「悪心を鍛えなおすにも、武芸はいいんですけどね」
「そう、それなんですよっ! 武とはそもそも、心身の双方を鍛えることなのに、近頃ときたら……」
 怒り気味のサーシャを、あわててなだめる。
「ま、まあまあ。怒りは心身の平衡を乱しますよ」
「……すみません」
「とりあえず、向こうにつくまではのんびり行きましょう。行くまでに疲れちゃどうにもなりませんから」
「そうですね」

 コウゼンの道場。
 洗濯を終えたミコトは、フェイレンの部屋の掃除をしていた。
 別に言われたわけではないが、じっとしているのが変に怖かった。
「……」
 無言で、ハタキをかけ、散らかっている本や衣服を片付ける。
 きちんと片付けると、何かかえって生活感のない部屋に見えた。
 本棚に並ぶ、小難しい本。壁に掛かっている棒や衣服。およそ、娯楽などとは縁のない部屋。
 ひとりで、そんな部屋にいると、無性に寂しくなってきた。
 自分は、ひとり。ふとそんな気分がこみあげてきた。
──何を、いまさら。
 この世界に落ちてきたときから、ひとりだったはずなのに。
 寂しさなんか、とうの昔に捨てたはずなのに。
──こんな気持ちに、なりたくないから。
 何もかも、捨てたはずなのに。
 今夜は、いやな夜になりそうだった。
158名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:08:18 ID:zUtLgx9O
 獅子の国の北東部。荘園に囲まれた大きな屋敷がある。
 ドゥラというのが、その地の大地主で富豪のシャ・ドゥラだとわかったのは、その地についてからだった。
 小作人を奴隷のように扱い、高利貸しや恐喝などで悪評高い人物である。ドゥラと聞いただけでこの男だと気づかなかったのは、確かに不覚だった。
「……はあ。こりゃ、とても百人じゃきかないな」
 フェイレンがため息をつく。
「たぶん、衛兵だけで百人は超えてるわね。どうする?」
「……どうするもなにも、行くしかないだろう。どのみち、あの男を生かしておいては武の道に反する」
 いつになく厳しい表情で、フェイレンがいう。
「それもそうね」
 ファリィが頷く。
「正面からですか?」
 と、サーシャ。
「……さすがに、それは無謀かもしれない……が」
「が?」
「無謀といえば、三人で乗り込むこと自体無謀の極みだしな。どの道、地図すらないんだから裏門だろうが表門だろうが、危険なことに変わりはない」
「つまり……」
「義はこっちにあるんだ。……真正面から、叩き潰す」
 馬の背から棍を取ると、静かにフェイレンは言った。

「おい、待てっ」
 正門に近づく三人の人影を見咎めて、門番が問いただす。
「何者だ、不審なや……ごはっ……」
 言い終わるより先に、フェイレンの棍が顔面に叩きつけられていた。
 同時に、ファリィの蹴りがもう一人の門番の顎を跳ね上げる。
 どうと、門番が二人同時に崩れ落ちる。
「……はやっ」
 サーシャが、あきれたように言う。
「こんなところでもたついてもいられないしな」
「それもそうね。……じゃ、カギ開けるね」
159名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:09:13 ID:zUtLgx9O
 そう言うなり、サーシャが身長より長い鈎鎌鎗を上段から振り下ろす。
 気合と共に振り下ろされた刃が、門扉を真っ二つにする。
「……開けるというか、それは壊すだ」
「大して変わらないでしょう」
「……まあな」
 とはいえ、扉を真っ二つにした音が聞こえたか、あるいは誰かが見ていたか。
 門を破って一歩中に踏み込んだときには、周囲からわらわらと衛兵が現れていた。
「……こういうときは、厄介なのは飛び道具ね」
 ファリィが言う。
「ああ。こんな場合、射手は衛兵への誤射をためらわずに撃ってくる。集中力を切らすな」
「うん」
 サーシャが、鈎鎌鎗を構えなおしながら言った。

 先頭を切って、数人の衛兵が斬りかかってくる。
 その右端の男に、首筋へと棍を叩き込む。
 倒れるのを確認するより早く、すばやく棍を引く。それが、背後にいた別の兵士を打つ。
 腹部を抑えて悶絶する兵士。立ち上がるまでにはしばらくかかるだろう。
 そして、一歩前へ踏み出す。眼前には二人の衛兵。
 鳩尾。革の胸当てを貫いて、その奥まで突き刺さる。
 そのまま、棍を持つ手に力を込めて横に振る。棍に突き立った衛兵ごと、別の男をなぎ払う。
 ぶつかった衝撃で、棍から衛兵の体が抜ける。
 風を切る音。
 転がるように横に飛びのくのと、さっきまでいた場所に数本の矢が突き立つのが同時だった。
 フェイレンを狙ったはずの矢の数本は、不用意に飛び込んだ数人の衛兵に突き立っていた。
 立ち上がろうとしたところに、別の兵士が大刀を振り下ろしてくる。
 咄嗟に、横に跳ぶ。
 大刀が、地面に食い込む。
 抜くより先に、フェイレンの蹴りが首筋を貫いていた。
160名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:11:31 ID:zUtLgx9O
 大きく棍を振り、周囲を見渡す。
 少し離れたところで、サーシャが鈎鎌鎗を手に衛兵をなぎ払っていた。
──さすがは「無双のリナ」の門下生か……
 槍術天下一と呼ばれる者の道場を出ているだけのことはあると思った。
 本来は騎兵戦に適した鈎鎌鎗を、歩兵相手の乱戦で使いこなすとなると、並大抵ではできない。すくなとも、フェイレンにはあそこまで扱う自身はない。
 そしてファリィもまた、その少し離れたところで鋼鞭をふるっている。
──ま、ファリィは……あれで当然か。
 若いとはいえ師範代。つまりはフェイレンよりずっと強いのだから。
 そんな二人を確認しながら、さらに近寄ってくる衛兵を打ち据え、なぎ倒す。
 獣の呻き声。声の方向を向くと、二匹の虎がこちらを見ていた。
 鞭の音と共に、その二匹が同時に襲い掛かってくる。
──甘い。
 二匹の獣。しかしどうということはない。これまでに何度、獣と戦ったと思っている。
 そもそも、鞭の音で操る時点で甘い。
──静かに、音もなく。
 それが、基本のはず。
 左右から襲い掛かる虎。一方の虎の眉間を棍が貫く。頭蓋の砕けた音が、かすかに聞こえる。
 もう一匹。爪を振り上げて躍りかかる。
 右手を、棍から離す。
 貫手。前脚の一撃をかわしざまに咽喉を貫く。
 その手を抜き取りながら、体を反転させる。
 左脚。顎を真上に蹴り上げる。
 そして棍。手元に持ち直し、小さく回して心臓を突く。
 二匹が、その場に崩れ落ちる。
 調教師らしき人物が、呆然としていた。
 それは、静止の狭間では、最も犯してはならないこと。
 呆然としている間に、棍が頭蓋を砕いていた。
161名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:13:13 ID:zUtLgx9O
 死屍、累々。
 そこに転がっている衛兵や獣の死体と、重傷者の山は、あるいはフェイレンたち三人に叩き潰され、あるいは弓兵の流れ矢で倒れたもの。
 生きているものは、もはや怯えて近づきたがらない衛兵たちと、返り血は浴びているもののほとんど無傷の三人。
 あらかた片付けたのを見ると、玄関の中に入る。
 飛び込むと同時に、矢が降り注いでくる。
 が、当たらない。
 玄関の弓兵は三方合わせて30人。前方20人、左右に5人。
 だが、相手が悪い。
 仮にもネコとライオン、それも全員、相当の修行を積んでいる相手だ。
 たかが三十本程度の矢を見切るなど、造作もないことだった。
 最初の斉撃を、あるいは打ち払い、あるいは避けると、相手が次の矢を構える前に間合いを詰めていた。
 二の矢をつがえるより早く、半数がその場に倒れていた。
 そして二の矢をつがえ終えた者も。
 敵を狙うまでの数秒の間に、打ち伏せられていた。

 さらに、奥へと駆け抜ける。
 手当たり次第に、扉を開ける。
 突然の乱入者に怯え、震えている召使。
 混乱して取り乱し、なにやら喚きたてながら手当たり次第に片っ端から投げつけてくる者。
 部屋に隠れていた兵士。
 あるいは打ち倒し、あるいは見逃しながら、屋敷の奥へと進む。
 時折、防犯設備らしき鉄格子が降りている。
 そんなときは、サーシャの鈎鎌鎗が一閃する。
 鉄が、泥のように斬れる。
「……すごいな、ネコの国の武器は」
「えへへ……これも落ちものの技術なんですよ。コンニャク以外なら何でも斬れます」
「なぜコンニャク?」
「さぁ……私にもわかりません」
 小首を傾げて、サーシャが言った。
162名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:14:28 ID:zUtLgx9O
 鈎鎌鎗が一閃し、最後の一人が鮮血を吹いて床に崩れ落ちる。
 二階の踊り場。三十人ばかりの衛兵を打ち倒すと、奇妙な静寂が訪れた。
「……静かになったな」
「そうですね……ずいぶん倒しましたから」
「でもこう静かだと不自然ですね」
「……だな。そして大体、こういう場合……」
「こういう場合?」
「最後の最後にロクでもないことが、待っている」
「それは……経験ですか?」
「そうだな。とりあえず……ドゥラはこの奥にいるんだな」
「そう言っていましたね」
「……行くか」
「そうね」
「はい」
 踊り場の奥にある大きな扉を、開ける。
 絢爛とした広い部屋。その奥に、ライオンの男がいた。
 シャ・ドゥラ。悪名高い男が、目の前にいる。
「……ふん」
 ドゥラが、三人を見て鼻で笑った。
「小娘二人と若造か。この程度の奴も追い払えぬとは、全くなっとらん」
「上がバカだと、下もバカなんでね。楽な相手だったよ」
 フェイレンが、無造作に棍を振りながら言う。
「ふん、ほざきおるわ。まあよい」
 ドゥラの目が、妖しく光る。
 次の瞬間、ドゥラの体を包み込むように激しい気の流れが巻き起こった。
163名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:15:38 ID:zUtLgx9O
「……予想通り、か」
 棍を構えなおし、左側に歩を進めながらフェイレンが言う。
「予想通り……よりちょっと上かも知れないわよ」
 と、ファリィ。右側に歩を進めながら言う。
「……楽はできないと、最初から思ってました」
 サーシャが、鈎鎌鎗を頭上に構える。
「く……ははははははっ!」
 そんな三人の姿を見て高笑いするドゥラ。その体つきが一回り大きくなり、背中には蝙蝠の羽、そして背からは蠍の尾が二本。
「……マンティコア」
 サーシャが、ぽつりと言った。
「知ってるのか?」
「ヒポグリフ……つまり、合成人の中でも、最も戦闘に特化した種とか」
 フェイレンの問いに、サーシャが答える。
「むかし、何かの本で読みました」
「なるほど。つまりは……」
 ぶんと、棍を振りながらフェイレンが言う。
「相手にとって、不足はなしか!」

 変身を終えたシャ・ドゥラは、身長4メートルを超える巨人と化していた。
 左右の手には鋭い爪。二本の尾はそれぞれが意思を持つように自在に動く。
 そして、速い。
 死角のはずの斜め後方から跳びこんだフェイレンを、片方の尾が振り払うように動く。
 それを受け流すように、棍を左に払ったその瞬間、右腕が振り下ろされる。
「……ぐほ……」
 横に避けたつもりだったが、フェイレンの体の動きより速く振り下ろされた右腕が、上から叩き伏せる。
 爪の直撃を受けなかっただけまだマシだったかもしれない。
 たまらず、床に倒れるフェイレン。
164名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:17:11 ID:zUtLgx9O
 右腕をフェイレンに振り下ろした隙に、サーシャが正面から、そしてファリィが横から飛び込む。
「ふんッ」
 左腕、そして左尾。それぞれが、二人の動きを読んでいたように、カウンターで払い落とす。
「くっ……」
「ん……」
 鈎鎌鎗で受け止め、直撃は避けたサーシャ。気功でダメージを軽減させたファリイ。しかし二人とも、ダメージは残る。
 すぐに立ち上がるフェイレン。二人に次の攻撃が入ると致命傷になる。
 棍を、右脚首に。そして反転させて右膝に叩き込む。
「ん〜?」
 あざ笑うような声と共に、右脚を大きく振る。棍ごと、真後ろに蹴り飛ばされ、壁に叩きつけられる。
「ぐ……まだだッ!」
 片膝をつく。しかしすぐに立ち上がり、棍を構えなおす。
 そして、駆ける。
 その目に、サーシャとファリィの姿が映る。
 二人とも得物を構えなおし、攻撃の機会を見計らっている。
 その二人を、二本の尾が襲う。
 毒針だけは避けようと振り払うが、ダメージが残っていたせいだろうか、ファリィは振り払われて地面を転がり、サーシャは後方へと弾き飛ばされる。
 シャ・ドゥラの口元が、わずかに動く。
──呪文?
 気付くと同時に、頭上に熱を感じた。
 真横に、跳ぶ。さらに棍を地面に突き立て、その動きを利用してさらに横に。
 爆炎が、さっきまでいたその場所に巻き起こった。
「ファリィ!」
 ふと横を見ると、ファリィが床に倒れている。
「大丈夫か?」
「大丈夫。こんなの……平気っ」
 立ち上がり、二本の鋼鞭を構える。
 少し向こうに、サーシャが見える。立ち上がってはいるが、まだダメージが残っているらしい。
 シャ・ドゥラが、正面から二人を見ている。
──あの尻尾……あれを何とかできれば。
165名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:22:26 ID:zUtLgx9O
「……ファリィ」
「ん?」
「正面からいくぞ」
「正気?」
「正気だ。俺を信じろ」
「わかった」
 フェイレンとファリィが、同時に駆ける。
 シャ・ドゥラの口元が動く。
「駆け抜けろ、ファリィ!」
 言いながら、棍を地に突き立てる。そして棒高跳びの要領で、宙に舞う。
「サーシャ!」
 その声に、シャ・ドゥラの背後からサーシャが駆ける。
 詠唱、そして爆炎。しかしそれが巻き起こった場所を、ファリィは駆け抜けていた。
 至近距離。気を込めた鋼鞭が、シャ・ドゥラの右膝を打つ。
 紛れもなく、骨が砕けて当然の一撃。しかし何事もないかのように、シャ・ドゥラの右脚はファリィを蹴り上げ、はじき飛ばしていた。
 それと同時に。爆炎が巻き起こす上昇気流は、宙を舞うフェイレンの動きをかすかに変えていた。
 呪文の詠唱による、一瞬の集中力の途切れ。叩き落そうとするシャ・ドゥラの動きが、一瞬だけ遅れた。
 右脚。真上から、眉間を蹴る。
 確かに急所を蹴りぬいたはずだった。しかし、そこにシャ・ドゥラの両腕が襲い掛かる。
 空中で、両腕の直撃を受ける。
「ぐっ!」
 爪。右腕と背中を、深々と切り裂かれる。その衝撃で体制を崩し、5メートル近い高さから床に落ちた。
 受身を取り、何とか立ち上がろうとするが、怪我と落下のダメージで、たまらず片膝を突く。それを見て、とどめを刺そうと右腕が振り下ろされた。

 棍は、この男の手元にない。女は、壁に吹き飛ばされている。もう一人の女も、近くにはいない。
 まず一人……殺せる。シャ・ドゥラには確信があった。
──もうひとりの、女?
 爪を振り下ろしながら、ふと思った。
──どこにいる?
 次の瞬間。
 二本の尾に、焼けるような激痛が走った。
166名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:23:39 ID:zUtLgx9O
 サーシャの鈎鎌鎗。鉄を泥のように切り裂く、ネコの国の逸品。
 いくら蠍の殻が硬いと言っても、鈎鎌鎗の刃の前には無意味だった。
 一閃した鈎鎌鎗が、二本の尾を根元から両断していた。
「ぐあああっっっ!」
 シャ・ドゥラが絶叫を上げる。
 痛みが、動きをわずかに鈍らせた。
 横に転げるようにして爪の一撃を避け、フェイレンは落としていた棍を手に取った。
 立ち上がる。しかし出血がひどい。
 ファリィをみる。やはり立ち上がってはいるが、ダメージは決して少なくはなさそうだ。
 そしてサーシャも。気功が使えない分、一撃のダメージはむしろ一番多いはずだった。
 三人とも、満身相違だった。しかしシャ・ドゥラも二本の尾を切断され、ダメージは低くないはずだった。
──勝てる。
 気を、巡らせる。出血を止め、全身に力を込める。
──大丈夫だ……動ける!
 左右を、見る。
 二人と、目が合った。二人とも、まだ動ける。そして、一瞬の好機を狙っている。
「行くぞッ!」
 一声叫び、駆ける。
 シャ・ドゥラの口元は、動いていない。代わりに、左腕の爪が振り上げられる。
 シャ・ドゥラの右から、ファリィ。左後方から、サーシャ。同時に駆け出している。
 空を切る音と共に、左腕が振り下ろされる。
 右に、跳ぶ。
 跳びながら、振り下ろされる腕に、棍を横薙ぎに打ち付ける。
 ぐるんと、シャ・ドゥラの左腕を支点に半回転。シャ・ドゥラの左横に密着する場所に立つ。
 そして、シャ・ドゥラの右から飛び込んできたファリィ。右膝の、さっきと同じ場所に鋼鞭を打ち付ける。
 鈍い音。そして、骨の砕ける確かな感触がした。
 がくんと、右膝を突く。
 それを、サーシャとフェイレンが待っていた。
 心臓。すでに二人の間合いにあった。
 左脇からフェイレンの棍が。やや背中から、サーシャの鈎鎌鎗が深々と突き刺さる。
 絶叫を上げるシャ・ドゥラ。膨大な血を吹いて、その場に倒れた。
167名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:24:28 ID:zUtLgx9O
 死ぬと同時に、シャ・ドゥラの体は見る間に縮み、あとにはライオンの死体が残された。
「……前言撤回だ。相手に不足はないどころか、二度と戦いたくない」
「そうね」
 疲れ果てたフェイレンとファリィがそう言う。
「でも、これで奪われたものも取り戻せますし、苦しめられていた人も助かりますね」
「だな。とりあえず、宝物庫から見つけ出して、あとは……牢屋があるはずだから、そこからみんなを助け出さないとな。悪どいことをしてたんだ、牢屋ぐらいはあるだろう」
「ですね」

 無駄に整理され、目録まで用意されていた宝物庫から、サーシャの家宝を見つけ出す。魔法の道具などではなかったが、素人目にもかなりの価値があるとわかる、絵画と玉衣だった。
「家祖の肖像画と、当時の女王から下賜されたものなんです。当時世界一と言われた画家の方の手になるものでして」
「なるほどね。そりゃあ確かに家宝だ」
「それで、なんとしても取り返したくて」
「なるほどね。……さて、あとは牢屋だな」

 予想通りというべきか、牢屋にはたくさんの人が閉じ込められていた。
 それらを次々と開けてゆく。囚人や、囚人の世話をしていた老人から隠し牢の存在も聞き、そこも開放する。
 ひどい空間を見ているうちに、ふと気になることがあった。
「……まさか、な……」
「どうしたの?」
「いや……ミコトのやつ、もしかしたら……」
「……なるほどね。でも、聞かないほうがいいんじゃない?」
「そうだな。傷をえぐることになるのは目に見えている」
 やがて、囚人全員を解放すると、急いで三人はリンケイへと戻った。応急処置はしたが、傷の治療とかは道場でやったほうがよいだろうと思った。
 シャ・ドゥラのせいで甘い汁を吸っている者も少なくはないはずだから、見つからないうちに退散したかったというのもあった。
168名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:26:42 ID:zUtLgx9O
「……ただいま」
「おかえりなさいませ」
 翌日の夕方。コウゼン道場に戻ってきた三人を、ミコトが迎える。
 傷だらけの三人を見ても、顔色一つ変えない。
「……医庵へ向かわれますか」
「そ、そうだな……」
 淡々とした会話が続く。予想していたとはいえ、ねぎらいや心配の言葉はなに一つない。
「では、先に連絡しておきます」
 そう言って、先に歩き出す。
「……きっつい子ね……」
 サーシャが、フェイレンに言う。
「彼女にも、事情があるんだ」
「……それにしても」
「とにかく、医庵に向かおう。正直、この怪我はつらい」
「そうですね」

 医庵に入ると、ミコトが白のチャイナドレスに着替えて、無表情のまま待機していた。
 ボディラインを際立たせ、半分透けそうな白のチャイナドレス。医庵での看護婦の制服である。
「……み、ミコト……」
「何ですか?」
 フェイレンの驚いたような声とは対照的に、抑揚のない声で問い返す。
「いや、いい。今は看護婦はいないんだな」
「はい。みなさん麓の町で巡回検診を行っております」
「……そうか。で、残ってる先生は?」
「ラネン先生です」
「そうか」
「まずはお並びください」
「……わかった」
169名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:28:04 ID:zUtLgx9O
 傷の治療と縫合が終わると、部屋に戻る。
 殺風景なくらいに整理された部屋が、待っていた。
「……おかえりなさいませ」
 元の作務衣に着替えたミコトが、そう言って挨拶する。
「あ、ああ……」
「いかがなさいさました?」
「いや……医庵の服も似合うなと」
「ありがとうございます」
 にこりともせずに答える。
「……ああ、そうだ」
「何でしょうか」
「シャ・ドゥラっておっさんをあの世に送り飛ばしてきた」
「…………」
 しばしの沈黙が流れる。
「……いや、なんでもない」
 気まずい雰囲気を感じて、あわててそう取り繕う。
「……伽の準備をいたします」
 無感情な声が、聞こえてきた。

 作務衣を脱ぎ、丁寧にたたむ。
 裸になったミコトが、フェイレンに近づいてくる。
 小ぶりな胸とショートカットの黒髪。フェイレンが彼女を見つけた頃の傷はほとんど癒えたが、いくつかは痕になって残っている。
「……怪我人だし……今日は柔らかくな」
「承知いたしました」
 そう言って、フェイレンの服に手をかける。
 柔らかな手つきで服を脱がせ、そして折りたたむ。丁寧な仕草は向こうの世界にいた頃に身に着けたものだろうか。
170名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:29:17 ID:zUtLgx9O
 全て脱がせると、ミコトが肌を寄せてくる。
 冷たい肌の感触を確かめながら、唇を重ねる。
 互いの舌が絡みつく。
 どちらかというと、あまり愛情を感じるキスではない。ミコトの方はというと、あくまでも主人が少しでも気持ちよくなるためにと、計算して舌を絡ませているような感じだった。
 今日も、そんな感じだった。
 が、少し舌を絡ませていると、変な感じもする。
──なんだか、ぎこちないな。
 唇を、離す。
 そして、自分の上に腰掛けるように座らせると、両手で胸を愛撫する。
「…………」
 言葉は、ない。無表情なまま、愛撫されるままに身を任せている。
 それでも、少し愛撫を続けると、やがて桃色の乳首がつんと固くなってくる。
 そうなると、指先で少し刺激を与える。
 かすかな胸のふくらみを愛撫しながら、乳頭を指先で転がし、時々こするようにうごかす。
 そうしながら、耳元やうなじに舌を這わせる。
「……ん……」
 ほんのわずか、声が漏れる。肌が、少しづつ火照ってくる。
 感情のない顔に、かすかに赤みが差してくる。
 片手を、胸のふくらみから離す。その手は腹部を愛撫しながら、ゆっくりとその下の繁みへと這わせてゆく。
 やがて、下腹部の繁みに到達した指は、それを掻き分け、さらにその奥へと潜り込む。
「…………」
 少しだけ、息が荒くなる。
 恥部に到達した指を、ゆっくりと動かす。
「………あ………」
 漏れる声に、少しだけ甘い響きがまじる。それに合わせて、恥部が濡れてくるのがわかる。
 ふと、ミコトが振り向いた。
 表情のない瞳。にこりともしない、いつもの無感情な顔。
 いつも、そうだった。
 愛撫すれば、体は反応するし、絶頂に達することもある。
 しかし、表情はというと無感情なままだった。その瞳が、悦びをみせた事はただの一度もない。
 そして、今も。
 ただ、少しだけ違っていた。
171名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:30:44 ID:zUtLgx9O
 頬を染め、じっとこっちを見つめる瞳。
 相変わらず感情のない瞳だが、何かを求めているようにも感じられなくはなかった。
「……ミコト」
 名前を、呼んでみる。
「……はい」
 抑揚のない返事が、返ってくる。
「どうしたんだ?」
「……ご主人様」
「ん?」
「……なんでも……ありません」
 そう言って、また顔を前に向けた。
「…………」
 ミコトを、腰の上から下ろす。そして、寝台に寝かせた。
 その横に、自分も寝る。
 いやおうなく、ミコトと向き合う格好になった。
 ミコトの目は、じっとフェイレンを見つめている。
「…………」
「…………」
 沈黙が流れる。
「……ご主人様」
 しばしの沈黙の後、ミコトが言った。
「何?」
「伽を……続けませんか」
「あ、ああ……わかった」
 なんだかぎこちない動きで、ミコトを抱く。
 仰向けに寝かせ、正常位で貫く。
「……あぁ……」
 甘いあえぎ声。初めて聞くような気がした。
 秘肉が、フェイレンの肉棒を締め付けてくる。
 前後に動かすたび、ミコトの口から甘い喘ぎが漏れる。
172名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:31:43 ID:zUtLgx9O
 ふと、その表情を見る。
 ミコトの目は、じっと天井を見つめていた。
 あいかわらず表情はないが、かすかに頬を染め、時折あえぎ声を漏らしている。それだけでも、いままでとは違うような感じがした。
 ミコトの目が、ふとフェイレンを見る。
「……」
 フェイレンと目を合わせるミコト。その顔を、じっと見ている。
 そして。
 ぽろりと、涙がこぼれた。
「……えっ?」
 慌てるフェイレン。あわてて肉棒を抜き、身を寄せる。
「……ミコト……?」
「……ご主人様……」
 その瞳に、涙が浮かんでいる。
「……どうしたんだ?」
「……申し訳……ありません」
「い、いや、その……」
「続けて……ください」
「続けてって言われても……」
 潤んだ瞳が、フェイレンを見つめる。初めて見せる、悲しげな表情。
「……お願いです。……ご主人、様……」
 そういうと、また涙がこぼれた。
「……わ、わかった……」
 もう一度、肉棒を挿入する。
 ミコトが痛がらないように、ゆっくりと動かす。
「……ん……」
 喘ぎ声。涙を浮かべた瞳は、じっとフェイレンを見つめている。
「……んっ……んくっ……」
 声を堪えているのがわかる。切なげな表情で、快楽に耐えている。
 はじめてみる表情だった。
173名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:33:24 ID:zUtLgx9O
「ミコト」
「……はい……」
「無理しなくて、いい」
「……」
「そう、いつも我慢するな」
「……ご主人様」
 切なげな声で、フェイレンを呼ぶ。
「ん?」
「出して……ください」
「……いいのか?」
「お願い……です」
「わかった……」
 腰を、少し速く動かす。
 ミコトの顔が、少し上気している。潤んだ瞳の奥に、少しだけ悦びの色が見えるような気がする。
 はじめて見る、ミコトの可愛らしい表情。それが、フェイレンの欲望に火をつけていた。
 ミコトの小さな恥部を、激しくこすり上げる。
「あっ……あ……ああっ……」
 少しづつ、ミコトの喘ぎが多くなる。
 肌が桃色に染まっているのが、月明かりに映える。汗ばんだ肌が、きらきらと輝くように見える。
 ふとみると、両手が布団をぎゅっと握り締めていた。
「ミコト」
「……っ……んっ……」
 目を硬く閉じ、快楽に耐えている。声も聞こえていないのかもしれない。
 どうやら、本当に限界のようだった。
「出すよ」
 それだけ言うと、フェイレンは欲望の中身をミコトの中へと流し込んだ。
174名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:36:59 ID:zUtLgx9O
 ぐったりとしたミコト。その体を抱くと、うっすらと目を開けた。
「……ご主人様」
 焦点の合わない目で、フェイレンを認めるとそう口にする。
「大丈夫?」
「……はい」
「無理しなくていいんだよ」
「大丈夫です。……ご主人様の、ためですから」
 淡々とした声。しかしその奥に、少しだけ普段と違う響きがまじっている。
「なあ、ミコト」
「……はい」
「おれは、ミコトの味方だからな」
「え?」
「この世界のどっかに、一人ぐらい味方がいると思えば、少しは元気になるだろ」
「……はい」
 頬を染めたまま、こくりと頷く。無表情な顔も、こうしてみると可愛い。
「まあ、その……アレだ。その……」
 言い終わってから、急に恥ずかしい気分になって、慌てて何とか取り繕おうとする。
「……ご主人様」
「え? あ、ああ、その……」
「ありがとう……ございます」
 潤んだ目が、フェイレンをみつめていた。

「さ、そろそろ寝ないか? 一応、明日も朝はやし」
「わかりました。……ですが」
「何?」
「今夜一晩、ご主人様の手で抱いていただけますか?」
 そう言って、肌を寄せてくる。
「……わかったよ」
 そう言うと、フェイレンはミコトの小柄な身体を抱き寄せた。
175名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 21:39:07 ID:zUtLgx9O
 翌日。
「……せいッ!」
 コウゼン道場は、朝から相変わらず活気がある。
 初心者や留学生が学業にいそしんでいる午前の間が、フェイレンたちある程度上級者の自由になる時間である。午後になると、後輩たちの教育や練習相手などで、なかなか自分の時間が取れない。
 演武を済ませ、組手を何組かこなす。
 道場から戻ると、ミコトがこぎれいな手ぬぐいと着替えを持って待っていた。
「……おつかれさまでした」
 その声は、いつもと変わらない。ただ……こころなしか、少し目を伏せている。
「どうした?」
「えっ?」
「珍しいな。そんな表情」
「そう……ですか?」
「いや、悪くない。可愛くていい感じだ」
「…………」
「どうした?」
「可愛い……ですか?」
「ああ」
「……その、ご主人さま……」
「ん?」
「うれしい……です」
 そう言って、顔を上げる。
 すこし上気した笑顔が、フェイレンを見つめていた。
「そうか。よし、俺もがんばるぞっ!」
 大きな声で、気合を入れる。
「はい。がんばってください」
 そう言うと、ミコトも大きな手ぬぐいをフェイレンにおしつけてきた。

「……なによ、アレ。昨日とぜんぜん違うし」
 サーシャが不満げに言う。
「あれが、本当の姿なんじゃない?」
 ファリィが、くすくす笑いながらそう答えた。
(FIN)
176カモシカ担当sage2005/04/23(土) 21:46:30 ID:zUtLgx9O
獅子の国の短編、何とか今週中に仕上げられました。
「岩と森〜」で片っ端からおにゃのこ出してたんで、キャラかぶらないようにするにはどんな性格かな……と、長々と考えた末の結論が、無感情系でした。
おかげで緊縛趣味じゃないのに、みごと自縄自縛に陥ってしまって。
そもそも短編で出すキャラじゃなかったかも、ミコトは。
とりあえず、これでGW中投下予定の「岩と森〜」のアンチェル編を書く時間が取れたんで、がんばってGW中には投下できるようにします。
177名無しさん@ピンキーsage2005/04/23(土) 22:28:21 ID:G1P01buW
GJ!
178scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:22:05 ID:zqHI51i1
 青い空。白い砂浜。エメラルドグリーンの海。
 それは南海の……孤島。
 なんもない。360度、島を1周しても遥か彼方は水平線だけ。
 数メートルに渡って南国の林があるだけで、後は全部白い砂浜。
 そんな場所にあたしは林の中にある梯子トンネルから姿を表した。
 うう。西陽が眩しい。日がじりじり肌に痛い。
 木陰でつい足が止まってしまう。
 熱そうな砂浜だ。
 随分日は傾いてるんだけどなあ。
「日焼け止め持ってきたから大丈夫よ〜♪」
 手にパラソルとバッグを持った、黒銀のヒレに浅黒い肌の長身美人が、サングラス&水着姿で背後から現れる。
 大胆過ぎるカットです、リテアナさん。
 浅黒い肌によく映える白の三角ブラとハイレグビキニ…。巻き髪がかかる豊かな胸が思いっきり布地からはみ出てるし、なんか股間はこう、前はともかく、後ろはTバックでくいこんでてほとんど布地無いし。
 あたしといえば、同じく白のちょっと控えめのビキニ。カットは地味です。胸はほとんど覆ってます。下はハイレグだけど。
 お揃いにしましょ?って押し切られた…。
 さっきからお尻の布地を引っ張って直してるんだけどずり上がっちゃうんだよね。
「ほら、シロちゃん、パラソル広げて敷き物ひいたから、日焼け止め塗りましょ?」
 手際のいいリテアナさんが準備を済ませて手招きする。
 日焼け止めってそういえば保温クリームとぶつかったりしないだろうか。
 あたしはパラソルの下に入ったものの、遠慮して、逆にリテアナさんにオイルらしきものを塗ってあげる事にした。まあ、ぬるぬるしてるから似たようなものだよね、多分。リテアナさんご指定だし。
179scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:22:38 ID:zqHI51i1
「もう少ししたら夕日ねー。ちょっと来るの遅かったかな」
「いえ、とっても楽しいです」
 塗り広げるついでに背中をマッサージしながらあたしは答えた。
 顔に当たる潮風。何処までも拡がる青い海。
 久しぶりのひなた。久しぶりの海の上。
 やっぱ日差しが強いからな、色白のファルムは苦手なのかなー。
 あたしも、下手したら火傷になっちゃうくらい日焼けするかもしれないから気をつけないと。
「これ、オイルじゃないんですよね。なんですか?」
「ローションよ」
 ローション?化粧水かな。魚人さんは保湿が大変なんだなあ。
「これは輸出してるものにあたしがアロマを調合した特別品なの。いい匂いでしょ?」
「はい」
 リテアナさんの全身が艶やかな肌になって、成分が溶け合っていい匂いを発する。なんか塗ってあげてて気持ちいい。
 なんだか眠くなってきた。
「リテアナさん…お昼寝してもいいですか?」
 リテアナさんの横にころんと横になる。
 パラソルの影が徐々に長くなっていく。
「いいわよ?膝枕してあげる」
 リテアナさんが起き上がってあたしの顔を覗き込む。
 頭が引き寄せられるのを感じて、あたしは目を閉じた。
 あったかい膝の感触。
 なんだか……心地よい……。
180scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:23:23 ID:zqHI51i1
 ん……。
 遠くで誰かの話し声がする。
 なんだろ……。
 ぱちっと目を開けると、眼前いっぱいに夕日の沈む水平線が目に入った。
 時間経過からして、ちょっとだけうとうとしてたようだ。
「うわあ……。きれい……」
 思わずむくっと起きて顔をほころばせて見入る。
 なんか雄大だなあ。
 白い砂浜と、大きな夕日と、黄昏色に染まる空と海。
 すべてがあかね色に染まって。
 リテアナさんも……。
 話しかけようとして右を振り向いたあたしは、次の瞬間、あまりに驚いてしりもちをついた。
 何。
 このパラソルの影にいるふさふさの物体は。
 薄汚れてはいるけど白い羽毛。
 あぐらかいてるその脚は……どう見ても、鳥の脚。
 恐る恐る見上げてみると、マッチョな体に生えた羽毛。
 そして頭部は……。
「あ、れ?」
 あたしは後ずさりしながら砂の上に手をついた。
 目に入るのは顎の下と頭の上の、赤いとさか。前を向いた丸い眼に、とがったくちばし。頭部を覆う羽毛。そのまま羽毛は肩に続いて被り物みたいに覆い尽くしている。日焼けしたマッチョな胸板。
 腕は肩から繋がる羽毛の翼つきで、下半身は膝から下がどうみても鳥の2本脚。唯一着てるのはボクサーパンツ。あ、よく見たら尾羽根もきっちり。
 なんでリテアナさんがニワトリ男になってるのー!!!!!!!!
 ニワトリ男がこちらを向く。
「おう、起きた、か」
 喋った! くちばしで喋ったー!
181scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:23:53 ID:zqHI51i1
 正直、頭パニック。
 しかも、なんていうか、ニワトリ男、見た目が間抜け。これは着ぐるみ? いや、魚人も、獣人も、オスは頭がこうっていうのがデフォルトなんだよね? ファルムみてるとよくわかんないけど。
「ど、どなたですか?」
 完全に砂の上で身構えて、あたしは問う。
「そろそろ冷える」
 ニワトリ男はあたしの質問を無視して無造作にバッグをつっとこちらによこす。
 あ、リテアナさんが持ってきたバッグ。上に買ってくれた水色のウィンドパーカーが見える。
「り、リテアナさんは?」
 ま、負けないもん。
「所用」
 けっこう高めのハスキーな声。うん、男の人の声、だよね。
「あなたは?」
 再度確認してみる。
「刻男」
 ときお?
「留守番、頼まれ、た」
 なんか照れながらぽつぽつ喋ってるよ、この人。
 あたしはどうすればいいのー!
 ……どうしていいのかわからないので、とりあえずウィンドパーカーを羽織って一緒に夕日を見る事にしました。その距離、およそ十メートル。
 だってこわいんだもん。ニワトリ頭を被ってる人って思っても、なんか、そのリアルすぎて。
 ずーっとパラソルの下から動かないし。
 西日がだんだん弱くなっていく。あたしや砂浜やパラソルや海。すべてをオレンジに染めて沈んでいく。ニワトリ男の白っぽい羽毛もオレンジに染まってたけど、半身はパラソルの影で暗いままだった。
182scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:25:45 ID:zqHI51i1
 体育座りで顔を膝に埋める。
 リテアナさーん。早く帰ってきてよお。
 はあ。待たないであの梯子から下に帰ろうかな。……でも魔窟を一人で歩いちゃいけませんって言われてるし……。
 胸元のチョーカーの感触。握りしめてみる。ちょっとひんやりした紅珊瑚に、あたしの温もりが移っていく。
 背後から夜が迫る。
 足の指で白い砂にのの字を描く。太陽は沈んで、空はほんのり濃紺に覆われようとしていた。
「ん?」
 ニワトリ男が何かに気づいたのか、林の方を振り返る。そのままのそりと立ち上がると林の方へ消えていく。
 あたしも慌てて半立ちになる。
 でも後を追う勇気はない。林の中に消える姿を見送って、敷き物の上にぺたんと座る。
 バッグに何か入ってないかな。引き寄せてごそごそと中身をあさる。
 あ、買ってもらったワンピース。えーとこれを上から着て、その上にパーカーを羽織って。後、獣人女子用のビーチサンダル。ちょっと大きめだけどこれも履いてと。
 これ、飲み物かな?バッグのそこの方に瓶がある。喉乾いたな、飲めるかな。
 瓶を取り上げると、一緒に小さな小瓶が転がり出て来た。
 あ、これ昼間リテアナさんに塗ってあげたローションだ。とろっとしてるんだよね。
 あたしは瓶の蓋を開けて、匂いを嗅いだ。砂の上に手を出して、瓶の中身で手を洗う。それから改めてちょっぴり零して舐めてみた。無味無臭。
 うーん、ただの水みたい。飲んじゃおう。
 はあ、喉乾いてたんだよねー。
183scorpionfish3-3sage2005/04/24(日) 04:33:02 ID:zqHI51i1
 気づくと闇が深まって、バックの中身も判別しづらくなってきていた。うう。明かりがないってさみしい。
 月が低い位置に出てる。
 目を凝らすと満天の星が空を飾っていた。
 あたしは仰向けになって空を見上げる。
 きれいだなー。ファルムと一緒に見たいなあ。
 ん?なんでここでファルムなんだろ。
 ここに来てからいっぱい経験して、えちいこともいっぱい仕込まれちゃって、なんだかなーって思ってたのに。こうゆう時にファルムの赤黄色のつんつんしたトゲとか、あの吸い込まれそうな、長い睫毛の青い瞳とか、思い出すのはなんでだろ。
 その時、林の方から物音がした。
 ニワトリ男?
 がばっと起き上がる。
 ニワトリ男らしき影の後ろにもう一人。遠目で見えないけど、シルエットは……魚人だ。
 でも、リテアナさんにしてはちょっと背が低いような……。
「ほんとにここにいるの?」
「……ああ」
 この声。聞き覚えある。でも。嘘。なんでここに?
 魔洸燈の明かりがぼんやりと淡く青白い光を放って砂浜を照らし出す。月明かりと同じ色。
 見えたのはヒレのついた浅黒い肌の素足。黒のミニチャイナを身に纏い、腰には鞭っぽいものを下げている。
 身長は、あたしと同じくらいかそれよりちょっと低い、華奢な体つき。
 魔洸燈が持ち上げられて、パラソルとあたし、そして来た二人を照らし出す。
 吊り眼のかわいい顔立ち。愛らしい唇。
 でもその瞳に浮かぶ表情と、たたえた笑みには見覚えがあった。
 緩いウェーブを描くボブの黒銀の髪。
 あの、子。
「みーつけた♪また遭ったね、シロ」
 後ろに手をついて波打ち際へ後ずさったあたしに、ニワトリ男の脚と、クロダイ族の小さな足が近づいてきていた。(続く)
184scorpionfishsage2005/04/24(日) 04:38:41 ID:zqHI51i1
このスレ冒頭から続いてる3話-3です。とりあえずここまで。

ちなみに位置関係のみ。

ネコの国
 ↓
海岸線
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
 ↓
185scorpionfishsage2005/04/24(日) 04:41:58 ID:zqHI51i1
魔窟
 ↓
 ↓
ファルムの住処
 ↓
 ↓
 ↓
サカナの国

のはずです。距離もそうですが、下に行くほど海が深いです。
今回いろいろ他の人の設定を使わせていただいております。多謝。
途中で送ってしまってすみません。
186scorpionfishsage2005/04/24(日) 05:11:32 ID:zqHI51i1
感想のお返事。

>>112
一応オニカサゴということで。……えーと、組み合わせを大いに裏切っております。

>>113
まあ、書かずに終わりそうですが、いろいろある二人です。

>>120
考えたのですが、こういう服装に。一人称なので、鏡を出してみました。

>>カモシカ担当様。
ありがとうございます。おかげで当初の予定より暴走しております。

>>129
素かどうかはともかく、率直ですね、物言い。

>>132
ギクッ、ギクギクッ。やはり細切れ投下はネタバレしますかね?
前の2編と違って中編になるので、ごめんなさい、これ以上はわかっても内緒にしてくださいね?
187カモシカ担当sage2005/04/24(日) 06:59:25 ID:i4onuHsb
刻男さん最高ですw
リテアナさん萌えな気分が一瞬で吹き飛ばされました。
つか、インパクト強すぎます。
GJでした。
188名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 12:39:23 ID:GAagivye
お2方GJ!!
腰にある鞭っぽいものが気になりますなハァハァ

>「えへへ……これも落ちものの技術なんですよ。コンニャク以外なら何でも斬れます」
ざざ、ざ○て○けーん!?
189名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 17:21:05 ID:lU8XqYNt
刻男さん・・・・・・クックル先生の化身?


激しくワラタ
190名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 17:38:37 ID:sfmeppa/
えと。とりあえず仮配置。

                  天然
                  ・ミーナ          
                   │
                   │           ・マナ
                   │        
                   │     ・アンシェル
                   │
                   │         ・ミリア
              ・ゼキ(新)
おしとやか────────┼────────強気
                   │ ・フェイレン 
                   │
                   │    ・ファルム
                   │
                   │
                   │ 
                   ・ジーク
                   │
                  常識


……新ゼキ様はまだよくわからない部分もあるなぁ。
セラ様とか天藍様とかは天然にも見えるし常識にも見えるし……とりあえず今は保留で。
191名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 17:50:52 ID:joLviYyh
>190
まて。雑巾君は「天然」で「おしとやか」だろ。
192名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 18:12:00 ID:o7Ypk59q
                天然
                  ・ミーナ          
                   │
                   │           ・マナ
                   │        
                   │     ・アンシェル
                   │
              ・雑巾  │         ・ミリア
              ・ゼキ(新)
おしとやか────────┼────────強気
                   │ ・フェイレン 
                   │
                   │    ・ファルム
                   │
                   │
                   │ 
                   ・ジーク
                   │
か?
193名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 18:14:03 ID:joLviYyh
>192
日常生活モード=雑巾、戦闘モード=ジークなのか?
194名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 18:43:06 ID:XitNkhIW
>>192
こういうの wiki でやってみない?
ちょっと重いけど、好き勝手使っていいよん
195名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 18:46:29 ID:o7Ypk59q
ぶっちゃけ、執筆者の意見でなく個人のだしな。
正直、書いた人の意見を聞きたいですな。
196190sage2005/04/24(日) 19:33:24 ID:sfmeppa/
>>194-195
悪かった。今は反省してる。

>>150>>178
なんかスレの流れぶった切ってスマソ。二人ともGJです。
197名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 21:29:27 ID:o7Ypk59q
>>190
個人的には楽しいんだけど。表現が悪かったかね。
書いた人って、つまりは作者様方の事なんだけど……
198名無しさん@ピンキーsage2005/04/24(日) 22:57:41 ID:OQdK9C8r
>>186
クックル先生ということは、もしかして激しくな人もいたりするのですかー。



あと、ファルムの外見を読み返してて、こんなの思い付いてみた。魚だし。
綴りが間違ってたらごめんなさい。

===========
W A R N I N G !

A HUGE BATTLESHIP
"MADAM FALM"
IS APPROACHING FAST.
===========
199名無しさん@ピンキーsage2005/04/25(月) 20:04:45 ID:vKNggEU3
>>198
ダライアスか、久しぶりにやりてぇな……。
200名無しさん@ピンキー2005/04/25(月) 23:48:31 ID:r6WVe9EV
2get
201カモシカ担当sage2005/04/26(火) 02:35:43 ID:Kpll+0RB
他の人のSS読んでて思ったんですけど、もしかして自分のSS…
読み手の方から見て、描写不足だったり説明不足だったりします?
正直、書いてる側は説明不足かどうかとか自覚できないもので、もしそうなら早めに改善しなきゃと思いまして。
202scorpionfishsage2005/04/26(火) 08:42:06 ID:jfM25sd5
クックル先生というものを、初めて知りました……。
203名無しさん@ピンキーsage2005/04/26(火) 19:00:58 ID:nCiT/9PI
>>198
なるほど、進化の果てに獣っ娘になるのか(えー
そして、落ち物召使いをキャプチャー(おーい

>>201
情報不足はあんまり感じないけど、描写が少なめで説明が多めな気がしないでもない。
でも、作風ともいえるのでそんな気にする事はないのでは。
204scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:53:41 ID:T7TFb2WM
「逃がしちゃダメだよ?」
 逃げようと構えるあたしに、あの子の口から命令が飛ぶ。
 ニワトリ男が迫ってきて、一瞬ばさりと空を飛んだ。
 飛翔、じゃないな、ニワトリだし。跳躍。
 あたしの背後に着地して、多分、笑った……みたい。しかも苦笑い。
 動こうとしたらパーカーがねじり上げるように引っ張られた。掴まれてる。前開いてるし、脱ぐのは簡単だけど…。
 前にクロダイ、後ろにニワトリ。うー。響きだけ聞くとそんなに強そうじゃないのに。なんか、逃げられそうにない。
「いい子だね、そのまま捕まえといてくれる?」
 あの子が近づいてくる。
 う。魔洸燈を砂浜に置いて、手に何か持ち替えた。
 やっぱ鞭?
 直後、背後から羽根があたしの視界を奪う。パーカーをひっぱられて両腕が上に引っ張られる。
 ヒュッと何かが風を切る音がして、パーカーの上から手首に何か巻き付いた。
 そのままパラソルの方へと引き摺られる。体がバウンドして敷物の上を這う。大きすぎるビーチサンダルが両方とも脱げる。
 いつのまにかパラソルの下にあの子が移動していた。
 両手首に絡みついた鞭は引っ張ったくらいじゃ外れない。あの子が笑みを浮かべると、少し余裕を残し、鞭の残りの部分をぐるぐるとパラソルの柄に巻き付け、縛った。
205scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:54:14 ID:T7TFb2WM
 あの子が一歩退がる。指を鳴らす動作とともに、羽音がして、パラソルの上に一瞬黒い影が舞う。パラソルが沈んだ。柄が砂浜に深く突き刺さる。あたしは腹ばいになって衝撃に耐えた。
 何も来ない。
 その代わり、パラソルに巻き付いていた鞭の先端が、パラソルの柄とともに砂の中に沈んでいた。引き抜けなくなってる。さっきより三十センチ以上埋まったパラソルはそこで止まっていた。
「これで、よしと」
 低くなったパラソルの横に、魔洸燈が置き直される。
 あたしの顔を照らし出す光。
 覗き込むのは、いたずらっぽい笑みを浮かべたあの子。
「ぼくのこと、覚えてるよね?あの時は名乗らなかったけど」
 あの子の後ろで、ニワトリ男がこちらを気の毒げに見て、砂浜にどさっと座った。見守ってるけど、これ以上手を出す気は無さそう。
 それ以前に、あたしが逃げられないんだけど。
「ぼく、ラフィリっていうんだ。まだ成人前だから姉さま達とは違って幼名だけどね」
 あの時、最後に結界から追い出された時の姿、それより一、二センチ背が伸びていた。体にぴったりした黒の袖無しミニチャイナは、丈が足の付け根すれすれで、ちょっとうごくと下が見えそう。今は影になってるけど。
「この服どう?獅子の国の民族衣装なんだって。ヒレスリットをあけなくていい長さ、これだけだったんだよね」
 確かにこの生地にスリットつけたら刺繍がもつれそう…ってそうじゃなくて。
「離してよっ」
 起き上がろうとしても手首が固定されてて身動きが取れない。体を引きつけて、相手を振り向いて睨む。近づいてきたら相手を蹴ろうと身構える。
「違うでしょ?ぼくは服の感想を聞いてるの」
 ラフィリの足があたしの背中を踏む。
206scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:56:29 ID:T7TFb2WM
「……似合ってる」
 ニワトリ男がぼそっとつぶやいた。ちょっとうっとり気味の声音。
 でも、ラフィリが振り返って睨みつけると首をすくめる。
 大男のくせに尻に敷かれてるんじゃなーい! リテアナさんが帰ってきたら許してもらえないんだから。
 でも、なんでリテアナさん帰ってこないんだろ。
「リテアナさんはどこ?あたしみたいになんかしてたら許さないから」
 さらにあの子の目が細められる。トゲヒレ耳がぴくりと動く。
「ヒレなしが、生意気なんだよね」
 お腹の下に足が入り、強引に転がされて、あたしの体が仰向く。間髪入れずにラフィリが馬乗りになる。足のヒレが、太股に触れた。
「アレは助けてくれないからね。下僕だもの。君もばかだよね、魔窟の上で、ひとりいるなんて」
 顔を背けるあたしの頬を、華奢な指が撫でる。
「んっ」
 顔が近づいてきて、強引に唇に舌が割り込んでこようとする。んー、やだっ。顔を振り、じたばたと足をばたつかせると、鼻もつままれた。我慢してたけど息苦しくて思わず口を開けてしまう。その途端、何かを口腔に流し込まれ、あたしはむせた。
「おとなしくしてもらわないと、つまんないよね。手首に傷つけたくないし」
 なんだか体に力が入らない。この感覚……最初に落ちてきたとき、ファルムにちくってされたのと同じ。
 ラフィリがぼやけて見える。
 お酒飲んだみたいに、体が熱い。
 あれ?ファルムのと、違う?
「さてと、そんなに服着てないでよね、邪魔だよ」
 前開きワンピースのボタンを、ひとつひとつ、外されていく。
 左右に開いたワンピースと、パーカーが敷き物の上に拡がり。長めのキャミと下の白い水着だけになる。
 それを見て、ラフィリが舌打ちする。
207scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:57:30 ID:T7TFb2WM
「どこまでも、姉さまの見立て……」
 姉さま?
 リテアナ、さん?
「許さない。姉さまを奪う者は、姉さまとぼくの仲を邪魔するものは許さない」
 え?……きょうだい?
 ぶつぶつと呟きながら両手が微妙な力加減であたしの体をキャミ越しになで回す。
 確かに同じクロダイ族だけど……でも、そんな、変な関係……。
 考える間も無く、電撃のような感覚が全身を襲って、あたしはびくりと跳ねた。 
 んくっ。なんか、体中がぞわぞわする。きもち、いい。いつもならくすぐったいはずなのにぞくぞくしてきて思わず背中が反る。キャミがずり落ちて腹まで露になる。
「あはっ、効いてきてるね」
 強く、胸を掴まれ、ぐにぐにと揉まれる。ビキニがキャミの下で肌を離れる。そのままキャミ越しにブラがずりあげられた。
「この前は口しか楽しめなかったもんね。今日はいっぱい遊ぼうね」
 耳元で囁かれて、離れる時に耳朶を舐め上げられる。
 口から高い声が漏れて、恥ずかしくなる。
 キャミの中に手が入り込んできて、直接胸に触れられ、掌で胸の先端を転がされる。つんとたった部分が痛いほど気持ちいい。
「姉さまの荷物……やっぱり入ってる」
 敷き物の上に転がっていた小瓶を、ラフィリが取り上げる。
 あれは、リテアナさんの特製アロマローション……。
「今たっぷりかけてあげるからね」
 小瓶の中身が粘性を帯びながら、とろりとあたしの股間に垂らされる。
 ひんやりとした感触が白い水着に浸透していく。
 それが、粘膜に触れると、ぞわり、と言葉にならない感覚がこみあげる。
208scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:58:10 ID:T7TFb2WM
 なに、これ。
 なんで、リテアナさんの体に塗ってたときはなんにも起きなかったのに。
 何も起きなかった…じゃない。
 リテアナさん、この感覚、覚えてて、平気な顔して、耐えてた?
 それとも、飲んじゃったあの液体との相乗効果?
 わかんない、頭がはたらかないよお……。
「足をすりあわせて、どうしたの?」
 意地悪い声が降ってくる。
「にゃっ、なにか、した、くせにい」
 舌がまわんない。
「なにかする前からとろとろに水着を濡らしてたくせに」
「そんなこと、にゃいもん」
 指で擦られて、さらに足がびくんと跳ねる。
「いっぱい、えっちになる薬盛られて、きもちいい?ちゃんと壊れない量にしてあるからね。……ヒトの耐久量、よくわかんないけど」
 人体実験するなぁ……。
 あう、さわんないでぇ。さわるとびくびくしちゃうの。きもちいいの。
 キャミをずりあげる感触もきもちーの。
 あはっ、下、脱がそうとしちゃめー。
 だんだん、ていこーもどうでもよくなってきて横に顔を向ける。
 ニワトリ男と目が合った。
 う。なんかボクサーパンツの前が膨らんでるんですけど。
 我に返る。
「やっ、人前でなにするんだよお」
「ん?見られてると興奮するたち?じゃあトキオ、もうちょっとこっちおいでよ」
 うー。ちかづいてきたー。
 しかもなんかボクサーパンツの上にちょっぴりはみだしてるー。
 はみだしてるものが何かは考えたくない。
「どこ見てるのさ」
 ねっとりとした舌が、へその上を這う。
209scorpionfish3-4sage2005/04/27(水) 01:58:54 ID:T7TFb2WM
 うっ、見てるのにい。
 だめだよお。
 そんなとこすりつけちゃめえ。
 足、そんなに開いちゃめ。
 うう、おむつ換えるみたいに足持って、脱がさないでぇ……。
 されるがままに、あたしは銀の糸をひいて脱げた水着も行方もわからず、とろんとした目で、相手を見上げる。
 相手もちょうどチャイナの下のショーツを脱ぐところで、さっきは影になってたところが見えた。
 やっぱり女の子になってる……。
 どうするんだろ……。
 と、あたしの片足をもちあげて、ラフィリがもう片方の足にまたがり、割れ目をあたしのぷっくり膨らんだ割れ目にこすりつけてきた。
「んっ、あ……っ、ひゃっ、やあっ……」
 ぬるぬるとした感触が、上下する毎に頭がスパークする。
 こすり上げられる度に、ひくひく体が動く。
 勝手に甘い声が出て、時折、胸を吸われたりすると、がくがくしちゃう。
「んっ、きもちいいよ?シロ。ぼくもイっちゃいそう……」
 あの、淫靡な声が、耳に響く。
 見られてる。
 でも、止まんない。
 腰、動いちゃうよお。
 ぴちゃぴちゃという音とともに、拘束されてる鞭がぴん、と張る。
 あたしは、耐えきれずに、意識を、手放した。(続く)
210scorpionfishsage2005/04/27(水) 02:01:22 ID:T7TFb2WM
続きです。
というわけで、あの子の名前はラフィリとなりました。
前スレで御提案くださった方どうもありがとうございました。
211名無しさん@ピンキーsage2005/04/27(水) 06:13:32 ID:hUdL+TL4
ググググッジョブ!シロの乱れ具合にヌケた!朝から何やってんだろ漏れ…
212名無しさん@ピンキーsage2005/04/28(木) 12:51:04 ID:tL8aUvfL
鳥人の名前は漢字で統一した方がいいですか?
いや今書いてるネタの鳥人が鷹子という名前なので
213名無しさん@ピンキーsage2005/04/28(木) 20:16:25 ID:PVJqpDLj
>>scorpionfish氏

携帯で見てたら思わず前屈みになってしまったじゃないか!
この股間の猛りをどうしてくれる!

シロ、エローい。
214カモシカ担当sage2005/04/30(土) 02:39:09 ID:h8NQBpef
>scorpionfish氏
GJです。エロいです。
一人称だからってのもあるのか、文章がそのまま絵として浮かんでくるような、なんかすごい臨場感のあるエロってかんじで。
文章力とかその他もろもろ、素直にうらやましいです。

>>203
なるほど……次の投下分からちょっと気をつけてみます。
215不眠猫のお嬢様sage2005/04/30(土) 14:18:22 ID:/g/31lh3
昔々あるところに、眠りを忘れた猫のお嬢様がいました。
お嬢様は生まれてこの方安心して眠ったことはなく、いつも寝不足に悩まされていました。
そのためかお嬢様は召使い達にきつくあたってしまいます。
本当はみんなと仲良くしたい。でも眠りの足りないお嬢様はイライラしてしまうのです。
そんなある日、一人の男がお嬢様の上に突然落ちてきました。
唐突です。前振りもありません。お嬢様は青年男性の体重をもろに頭に直撃してしまい
むち打ちになってしまいました。男は無傷です。だいぶ狡いです。
お嬢様は力ずくで上に乗っかってきた男を押しのけ、説教を始めました。無理もありません。
だけど男はどこ吹く風。お嬢様の言うことなんて馬耳東風。
お嬢様は腹が立ってきました。リミットブレイクまであと数秒です。
両手から爪が伸びかけてきたその時、男は不意にお嬢様の喉元に手をやりました。
ほーらごろごろごろー。馬鹿っぽいです。でもお嬢様にはこうかはばつぐんだ!でした。
男の指先が複雑にお嬢様の喉をくすぐります。テクニシャンとかそういう次元ではありません。
つり上がった瞳もだらしなく細まり、体中が弛緩してきます。
先程までの無礼すら霧散していく快楽。そして抗いようのない眠気が体を覆います。
ですが生粋のお嬢様、会ったばかりの男の前でだらしなく眠ることを良しとしません。
今にも崩れ落ちそうな気力を振り絞り、なんとか意識を繋ぎます。
そんなお嬢様の努力虚しく、男はお嬢様の尻尾の上あたりをこりこりしてきました。
いけません。セクハラです。ですが、そこも猫の弱点です。
四つん這いで首撫でを耐えていたお嬢様でしたが、二ヶ所同時責めなんて初めての経験。
すぐに腰砕けになり、男の膝にもたれかかってしまいました。
側に感じる男の匂い。初めて間近に感じた異性の香りに、お嬢様は奇妙な
安心感を覚えてしまいます。それが決定打になってしまいました。
お嬢様は抗っていた意識を手放し、心地よい快楽を与える男の膝で、眠りにつきました。
その寝顔はとても安らかで、安心しきったものでした。
216不眠猫のお嬢様sage2005/04/30(土) 14:19:12 ID:/g/31lh3
「にゃきん心まで許したわけにゃいんよ!」
独特の発音で話すこのワガママフェアリー猫又でポン。
さっきまで俺の超絶フィンガーテク24でぐーすか眠ってたとは思えんな。
しかも今でも俺の膝の上でうつ伏せになって撫でられてるし。説得力皆無。
銀色の髪を逆立てながら結構可愛い顔を赤くしてるし。その気がある奴なら落ちてるな。
「あーへぇへぇ。ほら裏返れ、腹撫でたるから」
「あ、うん……って違(ち)ゃう!」
素直に俺に腹を見せる。寝間着のボタンを外して腹を軽く撫でた。
んー、すべすべ。押せば返る弾力ってのはこーゆうこと言うんかね?
「ほれほれ、気持ちいいですかご主人様っと」
ヘソの回りを避けながら五本の指をバラバラに動かしてマッサージ。
脇腹から回るように背中の方も掻いてやる。ぬ、つるすべでいい感触。
猫の弱いところばっか責めてるもんだからご主人様もすぐにおとなしくなる。
「う…ず、ずっこいにゃぁ…しごうしたろかぁわりぁ…」
んな気怠げにいわれても迫力ありゃしねえ。
あーちなみに「しごうしたろか」とは、どついたろかとかいうケンカを売る言葉らしい。
手の平全体でおなかを撫で上げた後、お決まりのように喉に指を這わせて少しずつ動かす。
「ほーらごろごろごろー」
「あっ…ふぁ、ん、にゃあ…ぅゃ」
ああ悩ましげな女の声。あと10年くらい歳喰ってたら確実に襲ってたな。
声帯が震えてごろごろと聞こえる。指にも程良い感触が伝わってきた。
217不眠猫のお嬢様sage2005/04/30(土) 14:19:47 ID:/g/31lh3
「うぅん…はう、んっ、にぁ…きも、ち、い…きん」
ヘソの中を小指でなぞったり広げた手の平でマッサージ。あぐらをかいた俺の膝の上で
だらしなく寝転がってるご主人様の銀のロングヘアーを撫で上げてからごろごろと急所を撫でる。
いやぁ、ピクピク体が動くのが面白いねぇ。
「やぁ、そこじゃにゃいよぉ…ん、でも、そこも…いいきん、続けてぇにゃ…」
「はいよー」
生返事を返して腹をなでなで。首のあたりを指先でこりこりしながらつつっと背中へ。
ご主人様の口から吐息が漏れる。じわじわと眠気が身体を支配してんだろな。
柔らかい弾力を楽しみながら尻尾の根本を掻くように刺激してやった。
「ひゃぁ…や、やめぃや…しっぽだめやきん…んにぃ」
んなこといってもひゅんひゅん尻尾振ってるのに説得力皆無だよな。
「あにゃっ!な、にゃにするんじゃぁ…」
こりこりこりこりこりこりこりきゅっ、っと。
根本を軽く爪でこり、親指と人差し指で尻尾をきゅっ。
「ひんっ…にぃ、ん、んに…ふぃ、あ、っむぅ…」
「ええんか、ええんか?ここがええのんか〜?」
「にゃにゆぅてん、にゃぁっ…ぃ、あ、ふ…」
んー、頃合いか。どんどんご主人様の身体がやわこくなってきたしな。
締めに入るとすっかね。
ご主人様の身体を抱きしめるようにして背中側をリズム良くたたき、俺は口を開いた。
「〜〜…♪〜、〜♪」
子守歌。名も知らない母から受け継いだ俺の歌。
耳に残る旋律に詩を乗せて謡う。ただそれだけの、思い出の歌。
なんでか知らんがご主人様はこの歌が好きらしい。寝るときに歌ってやると気持ちよさそうに寝る。
「……ふわぁ…ん、ねむぅにゃってきたきん……あふ」
安心したように俺に身体を預けて目を閉じる。そーとー眠かったのかすぐに寝息を立て始めた。
「ま、ゆっくり寝ろや。ご主人様」
「ん…すぅ、すぅ……」
膝の上からご主人様の小柄な身体を抱きかかえ、ベッドに寝かしつける。
離れ際、今日の額ネタをマジックで書き込み、俺はご主人様の寝室を後にした。
218不眠猫のお嬢様sage2005/04/30(土) 14:20:49 ID:/g/31lh3
俺の名前は日乃 太陽。年齢四捨五入で二十、職業保育士。
どういった原因かは知らんけど、出勤しようと玄関出た瞬間異世界に飛ばされた。
いや俺は狂ってはいない。つか狂っていた方がまだマシだろう。
チビ共に読ませるような絵本の世界がそこにあったのだから。
猫や犬といったほ乳類、魚などの水生生物、鳥なんかも『人間』となっているのだから。
この世界では俺達の常識は欠片も通用しない。しかもヒトの位置付けは最下層。
俺達別の世界からの漂流者は総じて『落ちモノ』と呼ばれている。
そうした落ちモノは、この世界では物と同じ、つまり人権など無いに等しい。
それにこの世界の人間は基本的に俺達よりも身体能力が遙かに上である。
知能は偏りがあるが、まあ俺達と同じくらい。
絶対的なアドバンテージがそっちにあるとすりゃ従うしか他はない。ま、当然のことだな。
「だっけどなぁ…納得できねぇし」
いままで元の世界で培ってきたモンが消えた。納得できるはずもねえ。
いきなり変なところに連れてこられてはい働け。どっかの国じゃあるまいし。
歳も二十超えたら今までのモン全て捨てることなんてできねえし。
前に帰る手段はあるのかって聞いたら、間髪入れず「無い」。
どうせいっつーの…まったく。
219不眠猫のお嬢様sage2005/04/30(土) 14:22:45 ID:/g/31lh3
「おや、タイヨー君。お嬢様は眠りましたかな?」
俺が思考に耽っていると、後ろから柔和な老人の声がかけられた。
振り返ると、そこにはご主人様の執事さんがいた。
この執事、名はライアー・ケルビン。当年とって582歳の長寿お爺ちゃん。
ご主人様と同様に猫族であり、猫族の男性の中では珍しい俺達よりの人間だ。
何かと差別されやすい落ちモノに対して、隔たり無く接してくれる人のできた執事でもある。
「ぐっすりすやすや夢の中っす。明日の朝までは寝てるでしょうね」
俺は一礼してからご主人様の事を伝えた。
ライアーさんはしわ深い顔に微笑みを浮かべ、頷く。
「それはよかった。ではタイヨー君も休んでよいですよ」
「うっす、それじゃあ先に休ませてもらいます、ライアーさん」
俺は一礼してから自分の部屋に向かう。
「…タイヨー君には感謝しているのですよ」
と、ライアーさんが俺の背中に向かって語りかけてきた。
足を止め、振り返らずにそのままライアーさんの独白を聞く。
「お嬢様の人生を救っていただいたのですから」
「…んな大したことしてねっすよ。ただ子供寝かしつけるの慣れているだけですし」
「ではそういうことにしておきましょう。それではお休みなさいタイヨー君」
ライアーさんの気配が離れていく。足音がまったく聞こえないのが猫っぽい。
俺もそれに習い、自室へと足を向けた。
220不眠症sage2005/04/30(土) 14:34:50 ID:/g/31lh3
初投稿しました。本番無し、あまりえちくも無しですみませんorz
あと一応人物設定なんかを

日乃 太陽(ヒノ タイヨウ) 性別:男 年齢:24
動物好きで子供好きな保育士。種族は落ちモノ。性格はがさつ。
子供や動物にはやたら受けが良く、保育所の幼児からはお日さま先生と呼ばれている。
乱暴な物言いが多いが基本的に人がいい。好奇心旺盛でもある。
黒髪三白眼で一見すると怖がられる顔立ち。背は低くもなく高くもなく。

ルナ・トトレ・ザンノーム 性別:女 年齢:12
不眠症のお嬢様。種族は猫人。性格は勝ち気で明るい。
寝不足の時はやたらとヒステリックになるが、あとで後悔している。
今のところ太陽の膝枕でしか熟睡できないため、枕代わりに使っている。
銀髪の腰まで届くロング。赤い眼をしている。非常に可愛い系の顔立ちだが、まだ幼いため
独特の方言と「な」が「にゃ」になったりする。背はかなり低く、太陽の腰より少し上くらい。

ライアー・ケルビン 性別:男 年齢:582
ザンノーム家に長い間仕えている執事長。種族は猫人。性格は温厚。
非常に有能なお爺ちゃんで、今のザンノーム家はこの人で保っているのが現状。
落ちモノに対して理解が深く、太陽に対しても平等に接する人格者である。
茶色の髪をオールバックにしている。眼は糸目。優しいおじいちゃん風。
221名無しさん@ピンキーsage2005/04/30(土) 14:42:19 ID:4T7n8r9J
ステキ (*´Д`)
222名無しさん@ピンキーsage2005/04/30(土) 14:50:54 ID:SRRe7yYF
なにこの神様 本気で萌えたじゃないか
223名無しさん@ピンキーsage2005/04/30(土) 17:35:43 ID:wwg474ik
いかん、ルナ様すげえ可愛い。

ん?召使い最年長記録更新か?
224名無しさん@ピンキーsage2005/04/30(土) 17:42:50 ID:4T7n8r9J
>>223
い、いや……召使い最年長は虎国のセリス君(?)
ヒトの中で数えると見聞録のトクさんが最年長かと
225カモシカ担当sage2005/04/30(土) 21:35:14 ID:h8NQBpef
>>220
いい感じにGJです。文体がかなり好き。
この文体で続けるならエロはそんなになくてもいい気が。

えっと……ネコの12歳っていうと……人間で言うところの小学校低学年くらいですか。身長もそれくらいだし。
もしかするとルナちゃんは「あしたら」を越えて最年少ご主人様かもしんない。でも額に落書きは……w
226無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:27:19 ID:IUDJbpE4
お嬢様の眠りを取り戻した男は、そのままお屋敷の召使いになりました。
というか強制的にならされました。仕方がありません。この世界では男は無力です。
何をするのも金と地位と権力が必要です。こういうところは私たちとおんなじですね。
男は現実の三種の神器を手に入れるために、猫のお嬢様の召使いを了承。あざといです。
そんな大人の奸計なんてわからないお嬢様は、これで家の人達と仲良くなれると大喜び。
さっそく召使いを屋敷の人達にお披露目しました。
召使いが居並ぶ人々を見渡し、ポカ―( ゚Д゚)―ンと放心しました。
猫だけではなかったのです。そこには、様々な動物が人間となっていました。
犬、魚、鳥。果ては熊まで二足歩行。その誰もが美しい女性です。
ですが召使いは気を取り直し、それぞれに挨拶をしていきます。
結果は散々な物でした。犬人には噛まれ、魚人にはヒレビンタ、熊人にはベアハッグでした。
ようやく最後の鳥人への挨拶。召使いは気合いを別なところに入れないように頑張ります。
ところが鳥人は反応していません。召使いの目をじっと見つめたまま、動かなくなりました。
放置プレイ?なんて言葉が頭の中に過ぎります。正直嫌いじゃありません。
ですがそんな男の嗜好は裏切られることになります。
がばっ、と鳥人に押し倒されてしまいました。いけません、逆レイプも召使いの好みです。
ああやめて、いや、そんな、だめ、うしろはいや。全部召使いの言葉です。ノリノリです。
ですがセリフとは裏腹に鳥人をおいしくいただきました。役得ですね。
鳥人は動物の急所と人間の性感帯を同時に責められて息も絶え絶え。腰も抜けてたてません。
召使いは鳥人の身体を撫でてささやきます。いつでも来な、と。この女殺し。
しかし鳥人は恥ずかしそうに頷きました。召使い心の中でガッツポーズ。
そうして召使いはこの屋敷での第一歩を踏み出したのでした。
227無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:28:10 ID:IUDJbpE4
「…鷹子さん、どしたんよ?」
俺の住んでいたアパートより遙かに豪奢な部屋。今の自室に戻った俺は、
天井のシャンデリアに腰かけている女性を見つけた。
ふわふわとしたウェーブのブラウンショートヘア、スレンダーな身体に不釣り合いな
巨大な羽根を軽く動かし、はるか頭上にあるシャンデリアから飛び降りた。
高い位置にあるシャンデリアといえども、飛び降りたなら数秒もかからず地面に激突する。
しかし鷹子さんは慌てずに大きく翼を広げ、ばさり、と一度羽ばたいて落下の衝撃を和らげ、
二度目の羽ばたきで着地した。
「相変わらずわけわかんねぇな…こっちの人達は」
たかだか二度の羽ばたきで落下速度を殺す。その技巧に感心を覚える。
重力すら感じさせない見事な着地を決めた鷹子さんは、俺の目の前まで歩いてきた。
俺より頭一個分背が高い。見下ろすその目にはあまり表情が現れていない。
「…ん」
無表情で翼を広げ、俺の体を包む。意外と柔らかい羽根が気持ちいい。
鷹子さんはそのまま身体を寄せて…俺に口付けた。
「ん…ん、ん。んん…」
ただ押しつけるだけのキス。技巧も何もなく、ただしたいから。そういうキス。
舌を絡めるわけでもなく、一度離してはまた顔のどこかにキスをする。
何分かそれを続けてきて、ようやくキスの嵐は止んだ。
「…やらん?」
言葉少なく、だけど確かに伝わる。
鷹子さんは基本的に無口無表情。その分行動で示してくる。
例えば今日みたいに身体を包み込んでフレンチキスを繰り返すときは、甘えてみたいとき。
翼と共に腰にまわされた手が躊躇いがちに俺を引き寄せる。
「…せぇへんの?」
見下ろしてくる瞳。情欲に濡れていても、なお、彼女は俺の意志を聞く。
決まり切ったことだな。こんなに奥ゆかしく、淫らな女性を断る術なんて俺にはねぇし。
「いや、やるか」
手を伸ばして鷹子さんの頭を撫でる。無表情だったその顔が少しだけ微笑みに変わった。
こーゆーの、けっこうぐっとくるんだよなぁ。
228無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:28:53 ID:IUDJbpE4
「んじゃ風呂入ってくるから。鷹子さんは入った?」
こくりと頷く。そして俺を包んでいた翼を広げ、ベッドの縁に座った。
「はよ、きてね」
りょーかい、と手を振ってから俺は風呂場に行った。

―――野郎の入浴シーンなんて見てもつまらないからカット―――

風呂から上がった俺は冷えたビールをあおる。うん、うめぇ。
鷹子さんはというと、俺が風呂に入る前とまったく同じ格好で座っていた。
だが俺の姿を見てそわそわしているのがわかる。
「飲むか?鷹子さん」
半分残した缶を軽く振る。それに釣られるようにではないが、首を左右に振った。
「いらへん」
「そっか。んじゃ…んぐっ、んぐっ」
残りを一気に飲み干して鷹子さんの隣へ腰を下ろした。
「げふっ…ふぅ」
「……」
う、視線が痛ぇ。ムードが台無し、と言わんばかりだ。
まあそんなことはお構いなし。俺は鷹子さんの頬に手を滑らせた。
軽く唇を合わせ、真っ白なワンピースを脱がしていく。
背中が開いた変形的な作りだが、鷹子さんの身体的特徴なら仕方ないな。
自分の体を遙かに上回る翼を持ってるしな。それに尾もあるし。
だけど…その体は正直言って綺麗だ。
空を飛ぶために鍛えられ、そして絞られたダイヤモンドのような肢体。
猫人のそれとはまったく違う、無駄のない美しい肉体。
頬にあてた手に鷹子さんの手が添えられる。濡れた瞳で鷹子さんは顔を近づけ…
「んっ…んちゅ、ふっ、じゅ、ちゅぅ…」
唇をつつく。まるで親鳥が雛に餌を与えるように舌を絡め、唾液を流し込んできた。
甘い。鳥人がそうなのか、鷹子さんだけが特別なのか、流れ込む液体は甘露だ。
一滴も零す気はない。僅かな隙間すら許さず、唇を密着させる。
229無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:29:33 ID:IUDJbpE4
「んんん〜〜……はぷっ、む、んじゅるっ…」
息が重なる。尖った舌を何重にも絡めさせる。お互いの体液を吸い込み、かき混ぜ、嚥下した。
「んふ、はぁ…えっちやね」
唇を離し、鷹子さんは頬を赤らめて言う。
なんて事はない。彼女も、俺のキスで感じてくれていたんだ。
「鷹子さんこそ…どんどんえっちになってきてるんじゃね?」
「そやね…あんさんのせいよ」
俺の胸にしなだれかかり、顔を覗き込む。潤んだ吐息が俺の胸を撫でた。
甘い獣の匂いが俺の鼻孔をつく。引きちぎれそうな理性を繋ぎ止めつつ、
鷹子さんの身体を抱きしめた。
鳥人は背に羽根を持つ。とくに鷹子さんの羽根は凄まじく大きい。片翼だけで
身長の二倍はあろうかという巨大さだ。
正常位では大きな翼ゆえに身体に負担がかかる。だから身を起こして抱きしめる。
「なら…もっとエロくしてやるけど、いいな?」
鷹子さんの耳元で囁いてやる。一緒に羽根の根本を強く揉んでやる。
ぷるぷる震える体。羽根が一度大きく動き、再び俺を包み込んだ。
「ええよ…アンタの、好きにしてぇ…」
俺の耳元で、小さく、確かに、了承の意を伝えてくる。
……切れた。もー切れた。この女を俺のモンにする。決めた。
細身の締まった体を引き寄せてキツく抱きしめた。
「んむっ!?む、んぢゅ、じゅっ」
も一回鷹子にキスをし、口内を掻き回してやる。
尖った歯が俺の舌を傷つけるが、気にしない。むしろ俺の血を飲ませるように鷹子に流し込む。
「んぷっ、ふ、あぁぅっ!」
背中に回した手を尾の方に移し、痛みを感じさせないように握る。
もう片方は鷹子の秘所へ。すでにキスだけで興奮しきったそこは、下着と俺の手を濡らしていた。
容赦はしないと決めた。指を膣内に三本突っ込む。と同時、尾の羽根を一本抜いた。
「ひ、やあぁ、んぅぅぅ……いあぁ!」
まるで手で握り締められてくるような圧力。指が潰れそうだ。
230無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:30:13 ID:IUDJbpE4
「イッたな?」
「ふぁ、や…っっん!?」
答えない悪い子には、更に指を増やすことで罰を与える。
すでに膣内には人差し指、中指、薬指が収まっている。そこへ小指も突き入れた。
「き、あぁぁぁあ!」
無論それだけでは罰にならない。尾に回していた手を、鷹子の後ろの穴へとあてがった。
俺を抱きしめている鷹子の目に怯えが浮かぶ。だけどな…
「正直に言わない悪い子にはな、お仕置きやるのがうちの保育所流儀なんだよな」
小指を、鷹子の菊門に突き立てた。
ぎちりと締めてくる。指先だけでもすげえ圧力だ。
「か…ひ、ぃ…!」
んー、生暖けえ。前に入れた指もギチギチに締めてきやがる。
引き抜くなんて野暮なマネはしない。尻に入れた小指を膣側に曲げ、膣に入れた指を
壁を擦るようにして小指に重ねた。
「ひぃ…!!ひ、は、うぁ!や、やめ、やめぇ……っ!!」
肉越しに感じる指。ごりごりと潰すように刺激してやる。
「やめていいんか?」
舌を耳の中に差し入れて囁く。
凹凸を舌でなぞるように舐めあげて、耳たぶを軽く甘噛みする。
「や、う、うぅん…やめん、といてぇぇ…」
中が蠢く。俺の指をキツく締めているだけだった膣壁が、誘うように動いている。
滑りも更に増してきて指四本でも難なく動かせるようになった。
「ふぅぁ…も、もぉあかん…」
「ん、もう欲しいんか?」
両方の穴から指を抜き、襞を摘みながら意地悪く言った。
鷹子は恥じるように顔を赤くしながら、それでも俺の顔をしっかり見て告げる。
231無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:30:55 ID:IUDJbpE4
「うん、はよいれ、挿れてぇ…ウチの、なかにぃ…」
あーもお、可愛ぃ。こっちも我慢が効かなくなってきたしな。
「んじゃぁ、ほれ、四つん這いになりな…たっぷりやってるよ」
一度体を離し、貴子に命令する。
普通なら俺のような落ちモノがこちらの人間に命令するなんて考えられないことなんだが、
鷹子はそんなこと気にしていないようだ。俺の言うとおりにベッドの上に四つん這いになった。
「ん…これでええ?」
背中の大きな翼が動く。バランスを取るかのように広がり、両翼ともベッドに垂れ下がる。
「ああ、挿れるぞ」
俺は自分のモノを掴み、鷹子の秘所にあてがう。
熱く、ぬるぬるとした秘所に俺のモノが触れた。
「あ、んん…」
その感触が心地いいのか、鷹子も甘い声を上げて翼を震わせた。
「ゆっくりがいいか?」
「ん…アンタの好きでええよ…」
そうか…なら、やっぱりゆっくりだな。
「ふぁ、んぅ…おっき、ぃ、わぁ…」
亀頭を狭い膣内に潜り込ませて、ゆっくりと沈めさせていく。
相変わらずキツい。だけど肉の皺が絡みついてくるように俺を刺激してくる。
正直、気持ちよすぎる。俺の世界ではここまでの名器なんてお目にかかったことはない。
「相変わらずっ…っか、いい具合、だぜ」
ちょっとでも気ぃ抜けば射精しそうだ。だけどこんなもんで終わらすにはもったいねぇ。
気合いを入れ直し、俺は鷹子の腰を掴んで動かし始めた。
「んぅぅ…はぁん、ん、いあ…」
うぅ、くっ…マジ、良すぎる。
挿れるときに絡みつき、抜くときには締め付けて離さない。
それに鷹子のイヤらしい声も合わさっちゃ、持たせるのも難しい。
232無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:31:27 ID:IUDJbpE4
「あぁ…は、うんぅ…くんっ!」
じりじりと内壁を刮ぐように角度を変えて、抜き差しする。
そんな俺の動きに焦れたのか、鷹子は腰を動かして更に快楽を引き出そうとした。
だけどそれは許さない。がっしりと腰を掴み動きを止める。
「な、なしてぇ…?」
「言ったろ…俺の好きでいいってな」
今だ快楽を貪ろうと動く鷹子の腰を止め、俺はゆっくりと亀のように動かす。
「や、も、もっと…いじわるせぇへんで…」
嫌だ。っつーか鷹子を俺のモンにするためだからな。
俺は腰を掴んでいた手を離し、鷹子の両翼の付け根を掴んだ。
「い、やめ、てぇ…」
鳥人の根幹とも言える羽根。その一番大事な根本を強く掴まれ、鷹子は震えた声を出す。
ああ、すげえ……いい顔だ。恐怖と、期待と、怯えと、喜悦。
それらが綯い交ぜになって俺を見つめる瞳。それだけでイキそうなぐらいいきり立ってしまう。
翼に手を這わせたまま、俺は鷹子に目で問いかける。
このまま、お前を壊していいか、と。
その視線に込めた思いを理解したのか、鷹子は小さく頷く。
「……ええよ」
その言葉と同時、俺は翼の付け根を指で押さえつけながら、最奥までモノを突き入れた。
「はぅぁあぁあ!!」
ずんっ、と子宮口をこじ開ける勢いで打ち込まれたモノを、思いっきり引き抜く。
カリ首まで膣から抜き出したモノは、鷹子の液で濡れて光っていた。
233無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:32:27 ID:IUDJbpE4
「や、うあ、んぅっ!は、つょ、すぎゃ…!!」
離れるか離れないか、ギリギリまで抜いたモノを、膣内の奥まで叩き込む。
「あぅあぁ、あ、んくぅぁああああ!!!」
甲高い声を上げ、鷹子はイッた。羽根も天を突くほどにピンと張り、俺の視界を遮る。
ただでさえキツかった膣内が更に絞るようにきつくなる。
「俺も…っく、出すぞ!」
「ええよ、ええよ…!ウチの、膣内に…」
モノの根本から沸き上がってくる快楽。俺はそれを我慢せずに、頂点に達する前に
鷹子の最奥に突き入れた。
「っぐ、出る―――!!」
そのまま俺は、鷹子の膣内に出した。
1oの隙間さえ無くすように、モノを子宮口に擦りつけながら、射精する。
「ん、ふぁ…あ、ぬくいの、はいってきとるぅ…」
頭の中で弾けるような快楽…下腹の疼きが全部、鷹子の中に入っていく。
「は、くう、ん…まだ出よん…?」
「あ、ああ…鷹子の中、良すぎるからな」
翼から手を離し、後ろから抱きしめる。
…?なんか、鷹子が驚いたような顔で見ている…なんか言ったか俺?
「ようやっと…呼び捨てしとくれたね…」
…あーあーあー。そういうことか。
合点がいった。鷹子の中から俺のモノを引き抜き、向き直る。
234無口な鳥のお客様sage2005/05/03(火) 16:33:29 ID:IUDJbpE4
「ま、その…なんだ。あー…いいか?」
あーもーいい言葉が浮かばねえ!情けねえな俺…
ガシガシと頭を掻く。と、ふわりとした感触が俺を覆った。
鷹子の翼だ。毎度抱かれているとすぐにわかるもんだな。
「…アンタのこと、最初に見つけたかったわ…」
そう言って、寂しげに鷹子は微笑んだ。
――あー畜生。可愛いなー!
俺は鷹子を抱きしめる。そして乱暴に唇を合わせた。
行為後の火照った身体、甘い唾液、絡みついてくる舌。
「ん、ぷは…」
しばらくくちづけを交わし合い、存分に鷹子を味わった後離れた。
「一応ご主人様持ちだけどな…したいときはいつでも言ってきな」
ぽんぽんと頭を撫でてやる。と、鷹子は大きな眼を細めてにこりと笑った。
初めて見る満面の笑みは、俺の思っていたより可愛く、美しいものだった。
「ん…ウチも眠くなってきたわ。一緒に寝てええ…?」
目を擦り、少し気怠げに俺にしなだれかかる。
それを断るほど野暮な男じゃない。俺は鷹子の頭に腕を通し、横になった。
いわゆる腕枕だ。だけどこれやると明日の朝腕痺れてるんだよなー…ま、いいか。
鷹子は俺に身を寄せて横になる。あ、そういやお互いマッパだ。
まあ鷹子の身体暖けえし、いいか。
「お休み。っと、鷹子も子守歌いるか?」
「…ええよ」
ちと残念。ま、その分鷹子の暖かさで我慢するか。
俺は傍らの鷹子を感じながら、眠りに落ちていった。

「不可解です。落ちモノとしての自覚がまるでないようです」
「ルナ様も甘(あみゃ)ぁ。あんなボーフラ教育しにゃあとは」
「んだべ。鷹子もあっさり落とされただ。オラ達で何とかするしがないっぺな」
「では手はず通り。頼みますよ」
「わきゃっただも」
「おう、任せるっぺ」
235不眠症sage2005/05/03(火) 16:37:27 ID:IUDJbpE4
というわけで>>215-220の続きです。
前回エロ分が少なかったため今回は気合入れて頑張りました。
ではキャラ紹介

鷹子 性別:女 年齢:23
無口無表情なザンノーム家の客人。種族は鳥人。性格は素直。
どこかの貴族の娘らしいが、今は家出しているらしい。なぜか太陽を気に入っている。
鷹にしては巨大な翼を持っているが、本人はまったく気にしていない。
ふわふわとしたウェーブのブラウンショートヘア。瞳の色も茶色。
236名無しさん@ピンキーsage2005/05/03(火) 16:54:58 ID:ycTvf3LH
かふっ。



鷹子さん……萌えツボですた。GJ……(鼻血のダイイングメッセージ
237名無しさん@ピンキーsage2005/05/03(火) 16:58:58 ID:sjkE96bT
GJです!背が高くて表情が少なくて西っぽい訛りで…南海キャンディーズのしずちゃ(以下検閲削除)。
238名無しさん@ピンキーsage GJ!GJ!2005/05/03(火) 17:10:38 ID:DHGjP5qz
鷹子さんの萌え攻撃

俺は首を刎ねられた
239名無しさん@ピンキーsage2005/05/03(火) 17:22:03 ID:Rwg3z2pQ
羽! 羽抜! 羽抜いー!
240名無しさん@ピンキーsage2005/05/03(火) 20:22:42 ID:/KLeNLPn
>不眠症さん
GJです。エロいです。方言っ娘いいなあ。
241名無しさん@ピンキーsage2005/05/03(火) 22:19:13 ID:6uQ6z1yB
ノーカット版マダー?チンチン(AA略
242名無しさん@ピンキーsage2005/05/04(水) 23:34:05 ID:Lu5xHLgQ
鷹子さんハアハア(;´Д`)


もしかして鳥さんたちはBOFの有翼の人みたく体重がめちゃ軽かったりとかしますか?
243名無しさん@ピンキーsage2005/05/06(金) 07:28:45 ID:p7M+WkCu
保守
244scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:23:13 ID:aBURnkZL
 喉、かわいた……。
 どのくらい、意識を失ってたんだろ。
 あたしは相変わらず拘束されたままで。足をすりあわせると太股辺りが乾いていた。
 辺りにはうめき声みたいのが、規則的に響いてて。
 半開きの目で、辺りを見回す。
 すぐ隣で、ニワトリ男がびくびくと放心状態だった。
 股間にはラフィリの両足が伸びて、何かをさすっている。ていうか、踏んでる。
 ニワトリ男の六つに割れた腹は白濁で汚れていた。
 ボクサーパンツは、履いてない。太股もけっこう羽毛に覆われているみたい。
「ん?目が覚めた?」
 いつのまにか全裸で、ヒレを誇示しているラフィリが、艶然と微笑した。
 あたしは拘束を緩めようとパーカーの中でこっそり手を動かす。けっこう跳ねたせいか、少し隙間が出来ていた。パーカーが脱げれば手首も外れるかな。
「コレがね。君においたしようとしてたんだよ?」
 ラフィリが足に力を込めた。足の指で挟むように押さえつけて、しごきあげ、時に押しつぶす。
「飛べもしない、泳げもしない、格子のない檻の中の住人のくせして、イイ度胸じゃない?」
 ラフィリが言葉を止める度に、ニワトリ男の艶っぽいうめき声が響いた。
 ああいうので喜ぶ人いるんだ……。ファルムにやったらにこやかに反撃されそうだけど。
 人は歩くからある程度足の裏が固いんだよね。ラフィリの足の裏はきれいだから、あんまり重力うけないんだろうな、普段。やわらかそうだし。
「そうだ、シロ、よかったら奉仕してみる?」
「や」
 即答にラフィリが美しく顔を歪めた。
「そう……」
245scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:23:45 ID:aBURnkZL
 瞬間、ニワトリ男の脇腹を渾身の力を込めてけっ飛ばす。ニワトリ男の羽根がバサッと舞って、放心状態から醒めたようにむくりと身を起こした。
「ねえ、シロが起きたよ?遊んでくれるって」
 ニワトリ男がこちらを見た。うう。なんか剥き出しの下半身に視線が集中して、そこから舐め上げられてるような期待に満ちた視線が……。
 むくりと元気を取り戻したのはニワトリ男だけじゃなくて、その股間もそうみたいだった。なんか、黒光りしてる……。あれって陰だからじゃないよね?なんかファルムのと違う……。怖い。 
 内股をきゅっとしめて、足首を絡ませて威嚇するあたしに、ニワトリ男とラフィリが近づいた。
 モノを右手で握りしめて、お預け待ちのような表情(多分)でニワトリ男がひざまずく。
「ほら、シロは起き上がれないから、顔に近づけなきゃ」
 距離数センチまで突き出されたそれに、あたしは顔をそむけた。
「……お願いしても、いいのか?」
 小声で問われる。ほんとはニワトリ男、こんなことしていいのかなって迷ってるのかな。その割にはなんだかさっきより上向いて大っきくなってるんだけど……。
「や」
 あたしは思いっきり顔を背けて断言した。
 ラフィリはニワトリ男の後ろで面白そうに見ている。
 ぐいと、頬にモノが突くように一瞬触れた。
 あたしは怒りのあまり、体をくねらせ反動で蹴りを、ニワトリ男の側面に決める。
 ニワトリ男はびくともしなかったけど、反撃に驚いたように一歩引いた。
「あたしは、ファルム以外の男の人になんかしたりなんかしないの。やりたいならファルムを敵に回してやりなさいよね!」
 一気にまくし立てて睨みつける。あ、今の反動で片手が緩くなった。パーカーひっこぬけそう。
 ニワトリ男といえば、明らかに動揺してしゅんとモノがちっちゃくなっていた。ファルムの名前、効いたのかな?リテアナさんたちの態度からして、けっこう顔だと思ったんだけど。
 ……あ、やば。
 マダムとか魔女で通ってるのに男の人って言っちゃったーーーー!
 後でファルムに怒られる。ていうかどうやってこの場を誤魔化そう。
 あたしとニワトリ男はなんかお互いに気まずそうに青ざめていた。
246scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:24:18 ID:aBURnkZL
「……興ざめするなあ」
 ラフィリの声がして、あそこに生暖かいぬるっとした感触を覚える。びくりと体が震えた。下を向くと、ラフィリがあたしの足を押し広げて、股間に顔を埋めながらこちらを見てにやっと笑った。
 んっ、だめ、なんか、さっきの感覚が戻ってくる……っ。
 やっ、舐めちゃだめえ……!
「ヒレなしはこんなところにも毛が生えてるんだよね。獣みたいな声もついでにあげていいよ?」
 ラフィリの声と一緒に軽くあそこの毛を引っ張られた。腰が浮いてブリッジに近くなったあたしの体が魔洸燈によって闇に白く浮かび上がる。
 間近にいるニワトリ男の視線があたしの固くなってきた胸の先端や、つい動く膝や、ラフィリの髪がさらさらと撫でている太股や、あたしの耐えている唇に注がれる。
 恥ずかしい…よお………。
 そう思う度に体の奥から熱い蜜が生まれるのを感じる。とろとろと外へ滴り落ちるそれを、ラフィリが音を立てて啜る。
「あっ♪ はあっ」
 芽を剥かれて吸われると、その刺激の強さに思わず腰が跳ねる。
 耳元で摩擦音がした。
 目を細めたまま見上げると、顔の上でモノを盛んにしごいてるニワトリ男が目に映った。
 やっ、あたしを見ながらオナニーしないでよお……。
「うっ」
 何かみぞおち辺りに熱いものが飛び散った。
「もう。我慢できないのはわかるけど。早くない?ぼくがもう1回楽しませてあげるよ」
 ラフィリが顔をあげて、今度は指であたしのあそこをいじり始めた。敏感過ぎて、軽く撫で上げられるだけで、勝手に体が跳ねる。
 ラフィリはもう一方の手で、ニワトリ男の萎えかけたモノを包み、指をかけてしごき始めた。
「うっ、ラフィリ……」
「精力強いのだけが取り柄なんだから……ほら、もう復活してきた。ぼくのてのひら、気持ちいい?」
「はい……気持ち、いい……」
247scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:25:16 ID:aBURnkZL
 ニワトリ男のが十分に反り返ってくると、ラフィリは手を離し、仰向けのあたしの上に覆いかぶさってきた。
 顔を背けても首筋や胸や、いろんなところにキスを降らせ、舐める。足はラフィリの両手で押し広げられ、割って入っているラフィリの下半身のせいで閉じることもままらない。
「ぼくたちの後ろ、良い眺めでしょ」
 ラフィリが体をずりあげ、ぼくの足を開いたまま、自分も足を広げ、ニワトリ男に見せつけた。
「ぼくたちの間で思う存分楽しんでいいよ?ほら、姉さまのローションも残ってるでしょ?よく塗り付けてね」
 ニワトリ男が言われるままに小瓶の最後の液体をすべて自分のモノにかけた。あたしの足の間に移動し、しゃがみ込む。
 ためらうように、濡れた太い指があたしとラフィリの密着した盛り上がりに差し入れられた。
 んっ、指が出し入れされる度に、あたしの芽にあたってぞくぞくする。
 ニワトリ男は時折あたしの割れ目やラフィリの割れ目をなぞるようにこすって蜜をすくい上げ、さらにあたしとラフィリの間に塗りたくった。
「もう、じらさないでよね」
 ラフィリが拗ねたように言う。
 その言葉を待ちかねたようにニワトリ男がラフィリの腰を掴んで、突き入れた。
 あたしと、ラフィリの密着したきつい隙間に。
 ニワトリ男の荒い息遣い、おヘソまで届きそうなお腹の圧迫感と、摩擦によって生じる快楽。
 ラフィリのうっとりした目と、開いた唇を割り込んでくる舌。
 何度も引き抜かれ、突き込まれ、時には割れ目に幾度もこすりつけられてからまた入れられる。あたしと、ラフィリとニワトリ男の体液がシートにしみを作っていく。
 上からと下からの刺激にあたしがまたしても意識を遠のかせてきたころ、どくっとお腹に暴れる感触があった。どくどくと流れ出し、溢れる熱い液体。あたしとラフィリの間をはみ出し、あたしの腰を伝わってシートまで流れ出す。
 ファルムぅ。もうだめだよお……。
248scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:26:02 ID:aBURnkZL
 ぐったりしたラフィリの重みが体にのしかかる。
 ニワトリ男が離れると立ち上がったあたしたちを見下ろした。
 どこか虚脱した感じで、羽根もだらんと下がる。
 しばらくぼーっと突っ立っていたが、突然はっとしたようにニワトリ男が顔を上げた。
 空を見る。
 なんだろ……。それにしても重い…ラフィリ……ずらそう……。
 もぞもぞと動こうとしたその時、ニワトリ男が、鳴いた。
 …………う、うるさい。もうちょっと離れてやって〜〜!
 やっぱオンドリなんだな、この人。
 もう朝なのかな。まだ夜が明けてないけど。
「見つけたよ………」
 腰に手を当てて海に向かって盛大に鳴いているニワトリ男の背後、林の方から恨みがましい…朝にはとても似付かわしくない低音が響いた。
 ニワトリ男の鳴き声がぴたりと止まる。
 あの声は……かなり機嫌悪そうだけど、ファルム!
 名前を呼ぼうとした時、あたしたちは大波に襲われた。何故か海の方からじゃなくて林の方から。パラソルはひっこぬけ、鞭は外れ、あたしは空中をなぜか波に首から下を巻かれてファルムの元へとひっぱられた。
 これ、波じゃない。水の魔法?顔にしぶきがかかってもしょっぱくない。真水だ。ついでに飲んでみた。はあ。一息つく。
 ニワトリ男が汚した大量の白濁や砂や汗が、水の力で落ちていく。
 あたしは、水とともに、待ちかまえていたファルムの腕の中にすっぽりと収まった。
「あの……ファルム?」
 水に巻かれてパーカーやワンピース、水着等は流されてしまっている。あたしに残ったのは足の付け根までのキャミだけ。
 ファルムはこれまでに見た中で一番機嫌が悪かった。ていうか、胸がない。あたしをしっかりと姫抱きにして、海岸の方を見据えている。
 視線の先には、先程のあたしと同じように、空中に水の触手に巻き付かれて手足をばたつかせるラフィリとニワトリ男の姿があった。ラフィリは完全に水の檻の中。何か叩いて言ってるけど、まったく聞こえない。ニワトリ男はかろうじてくちばしだけ外に出ている。
 これが、ファルムの魔力?いつも水の中か家だから、地上だとこんなことになるなんて思ってなかった。
249scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:26:43 ID:aBURnkZL
「このファルムのものに手を出して……ただですむと思っているのかい?躾のなってない輩だね」
 ファルムの蒼い眼が冷たい。氷のように冷たい。口元は微笑んでいるのに、気配は殺気さえはらんでいる。
 あたしはファルムをいさめるようにぎゅっと首に抱きついた。怖いファルムはやだ。
 ファルムの手があたしの頭を撫でた。安心する。それと同時にさっきの熱が、微妙に頭をもたげてくる。
「ファルムぅ」
 甘い声で囁く。
「たっぷり躾直してあげるから、ちょいとお待ち」
 ファルムの指が、お尻にまわって、あそこの中に押し入られる。それは多分確認なんだろうけど、今のあたしには刺激が強すぎて。
 すんなりと指を受け入れたものの、きついあたしの中をかきまわされ、ぎゅっと目を閉じ、ファルムの肩を甘噛みして耐える。
「今水責めと水抜きの刑に処して夜明け前には引き上げるからね」
 ファルムの声、艶やかだけど、言ってることは恐ろしい。
 なんとか…止めなきゃ。
 あたしは精一杯ファルムに体をなすりつけ、甘えてみた。媚態は本物。でも畏怖も本物。
 背後でニワトリ男の悲鳴が上がる。
 だめ、止められない……!
「……お待ちください、マダムファルム」
 あたしが待ちわびていた人の声。
 リテアナさん!
「今まで何をしていたんだい?リテアナ」
 ファルムがあたしの中から指を引き抜き、ゆっくりと後ろを振り返る。
 荒くなった息を整え、顔を上げると、そこには水着に着替える前の服装のリテアナさんがいた。
「下にて騒動が起きまして、収拾に追われていましたの。刻男に頼んでおいたのですけど……末のラフィリが扇動しましたのね。責はすべてこのリテアナにありますわ」
 殊勝に頭を下げて見せるリテアナさん。悲しげにラフィリの方を見た。
 ラフィリが驚いたようにリテアナさんを見つめて、視線で何を交わしたのか、うなだれ、抵抗しなくなる。
250scorpionfish3-5sage2005/05/07(土) 06:30:53 ID:aBURnkZL
「どのくらい借りを作ったか計算できるだろうね」
 ファルムが溜め息をついて、体の力を緩める。
 よかった。本当によかった。
 この後ファルムの鬱憤があたしに回るとしても、後悔はない。
「はい。この前の件と合わせて割り増ししておきますわ」
 この前の件って、その、あたしがラフィリが男の子の頃、してあげたことだよね?
「賠償も含めておくんだよ」
 話はついたらしい。
 リテアナさんは再度頭を下げると二人の方へゆっくりと歩いていった。
 ファルムが二人の拘束を解く。
 水が砂浜を広範囲に黒く湿らせた。
 空中から二人の体が落下する。濡れた白い羽の塊と、小さな体。多分…けがはしてないと、思う。
 ファルムは二人に興味をなくしたのかさっさと背を向けて歩き始めた。
「さて、とりあえず近場で仕置きだねえ。……セレフィアじゃ抜けなかったし」
 今、なんかぼそっと後半気になること言わなかった?
 そりゃこんな目にあってるあたしが咎めるのはなんだけど。
 ちょっと腕の中で唇をとがらせる。
 ファルムがあたしを抱き直して林の梯子へと戻っていく。
「今日はみっちりと誰が主人だか、体に覚えさせてあげるから覚悟おし」
 あたしを担ぎ上げて梯子を降りながら、ファルムが耳元で囁いた。
 うう。
 ごはん〜。
 おやすみ〜。
 ……でも、体の芯が疼く、あたしがいた。
251scorpionfishsage2005/05/07(土) 06:36:35 ID:aBURnkZL
このスレ冒頭から続いておりました3話、ようやく完結です。
おつきあい有り難うございました。
SS保管庫管理人様、お手数ですが、まとめて3話と表示していただけるようお願いいたします。

なお、クロダイおねえさま組に関しては……濡れ場を書きそこねました。期待してた方、すみません。

>>242
少なくとも刻男は、飛べません。鍛えすぎてマッチョなため、重すぎるというのもあります。ついでにカナヅチです。
252名無しさん@ピンキーsage2005/05/07(土) 13:19:07 ID:2JCPfrkF
サンドイッチキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
ラフィリハァハァ (*´Д`)
253名無しさん@ピンキーsage2005/05/07(土) 20:16:33 ID:VRcx2qFA

_○/|_ ←股間の物が元気になりすぎて迂闊に立てなくなった状態。
254名無しさん@ピンキーsage2005/05/07(土) 22:39:22 ID:AFLIaz7K
亀だが。

>前回のゼキを名前以外のキャラクターを完全に引き継いだ攻略対象w

で銀のラインアルター思い出した
255名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 01:44:36 ID:f8S8CUET
あしたらはまだかなあ・・・
せめて近況報告だけでもしてくれないかなあ・・・
ただ待つ身はツライなあ・・・
256蛇担当sage2005/05/08(日) 22:16:00 ID:d1DojE7S
 砂漠のとある酒場。駱駝琴を抱えた吟遊詩人がつま弾く。

さてもさても今宵もこの異邦の地で神をお待ちの皆様方。
首をも外さんばかりにただ待ち続けるその日々は、まるで片思いのごとき辛さでございましょう。
そこで小生、連休も終わろうとしているこの夜にせめて一夜の手慰みになればと物語をもって参りました。
小生、皆様の聞き入る姿を心の糧として、そしてこの箱に投げ入れられる銀貨を腹の糧としております。
このしがない噂売りの話をすこしでも楽しんで頂けたなら、皆様のご慈悲をなにとぞお願いいたします。
さてさて、今宵小生が語りますは数奇な運命をたどった放浪女王と銀輪の従者の物語・・・・・・
ttp://www2.aqweb.net/upload/cgi-bin/stored/up19028.txt
257名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:21:25 ID:K+Bm5mnK
>>256
実はちょっとフライング読破、そう来ちゃいましたかサトル GJ!!
うわ〜サーラ様相変わらずかわえ〜よ〜 _○/|_
258草原の潮風-第6話(前編)sage2005/05/08(日) 22:37:23 ID:obkPxCOZ
ザザザザー
「はぁ・・・ついてねぇなぁ、また雨かよ」
「まあ、そのほうが来客も少なくて楽だがな」
うっとおしい程の雨、こうも長く続くと、
草原で駆け回るのが性に合う犬族には中々辛いものがある。

チリーン

「・・・今、鈴の音が聞こえなかったか?」
「あん?・・・・・・・・・聞こえないじゃないか」
短剣に手をかけて、あたりを見回す背の低い方の犬族の兵士。

チリーン

「ほ、ほら、聞こえただろ?な?」
「首に鈴つけたペットかなにかでもいるんだろ、お前は心配しすぎだっつうの・・・」
もう一人の背の高い男は、慣れた様子で答える。

「すいません・・・」
か細い、女性の声がその場に響く。

「あれ・・・いつのまに、こんな近くに・・・」
先ほどまで、そこには誰もいなかったはず・・・まさか、幽霊?
そんなことを想像してしまい、声がぐもる背の低い男。

「こら、レディに失礼なこというんじゃない・・・どうしました、お嬢さん」
一方、女性の目線の高さまで腰を落とし、紳士的に対応する背の高い男。
259名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:38:31 ID:obkPxCOZ
「ここが・・・・・・イヌ国陸軍基地ですか?」

「そうですよ、何か御用ですかな、お嬢さん」

小柄で華奢に見えるその女性は、基地の中に建っている砦の上の方を見つめていた。
視線が合うのを思わず躊躇するような、澄んだ冷たい視線で。

「・・・・・・遅かった、もう間に合わない・・・」

間を置いて、女性の口から不可解な台詞が飛び出し、緊張がその場に走る。

「?」

「死にたくなければ、伏せなさい!」

羽織っていたマントを脱ぎ捨てて、呪文のようなものを唱え始める女性。

「・・・ヒトの女・・・まだガキじゃないか」
「・・・で、何が伏せろって・・・ん」

自分達の後ろで閉ざされている扉が、一瞬音をたてたが、
それ以上に興味を引いたのが、目の前にいるヒトの少女。
260名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:39:32 ID:obkPxCOZ
マントを羽織っていたのは、金髪のショートカットに整った顔立ちをしたヒトの少女だった。
その顔には、真剣な眼差しが浮かんでいる。

「死にたいの!扉から下がって!!」

呪文を唱え終わり、二人に怒鳴りつける少女の右手には、吸い込まれそうなほど、紅く透き通った剣が握られていた。
誰が見ても、その細腕で持てるのが不自然なほどに、重く巨大な剣が。


メキ・・・・・・・・・ガチャガチャガチャガチャ

「・・・!?・・・何かが、中から・・・」
「な、なんだぁ・・・」

木製の扉が割ける音と共に、少女は巨大な刃を構え地面を蹴った。
261草原の潮風-第6話(前編)sage2005/05/08(日) 22:40:58 ID:obkPxCOZ
「イヌの国の軍事施設が襲撃され、兵士職員が全滅か・・・こんなの新聞に載ってて良いの?」
「良いの良いの。隊長が読んでるそれ、軍の新聞だから一般には流れないし」
「へぇ・・・・・・どおりで、広告欄が軍関係の会社のばっかりだと・・・」

行儀が悪いとは思いながらも、新聞を読みながら、朝食のベーコンをフォークで口に運ぶ。
博士に4日分絞られたあの日から、1週間ぐらい経っただろうか。

今朝はゼノスとカレンが実家に里帰り中、博士は仕上げたい物があるとかで研究室に篭りっきり。
そんなわけで、お嬢と俺の2人だけが食堂のテーブルについている。

「隊長って、洋食と和食を半々ぐらいで食べるよね・・・」
「それがどうかした?」
「ボクってさ、ずっと米食で育ってきたから、お米食べないとすぐにお腹空いてさ・・・。
 隊長がちょっと羨ましいなーって」

「嗚呼、そうか・・・お嬢ってその顔でも、数百歳の・・・あ・・・」
伸びて来たお嬢の手が、俺の洋朝食についてきた安っぽいプリンに伸びる。

「禁句だって、いつも言ってるじゃないかー。貰っちゃうもんね、デザートのプリン」
プリンを持って、俺に向かってあかんべーをしているお嬢。
ここら辺は、外見相応な行動である。
262名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:42:23 ID:obkPxCOZ
「欲しいなら最初から言えばやるって、いっつも言ってるだろ・・・」
珈琲を一口のみ、また新聞に目を落とす。
「こういう、言葉のやり取りをして、人から没収するからこそ、
 3個50センタで売ってるようなプリンでも美味しいんだよ」
プリンの蓋を開けて、紙製のスプーンを手にとるお嬢。

「へいへい、そうですか・・・本当に根性腐ってるな・・・」
「べーだ、400年も500年も生きてて、ずっと子ども扱いされ続ければ人格も歪むよ」
愚痴りながら不味そうに食べているが、それでもその姿はなんとなく幸せそうだ。

「そいえば、今日の訓練って何するの?」
「あー・・・・・・そういえば、俺とお嬢しかいないんだっけ・・・」
改めて、周囲の風景を見渡す。

本来200人ぐらいは余裕で食事ができる割に、50人も使ってない大食堂。
いつもはそれでも20人ぐらいは座ってるのだが、連休で他にも何人かいない今朝は、
俺とお嬢と、食堂のおばちゃんの3人しか姿がないので、一層寂しく感じる。
263名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:43:21 ID:obkPxCOZ
「うーん・・・・・・・・・ペイント弾で撃ち合いするっても、
 整備の人も、この連休で何人か王都に帰ったしなぁ・・・」
「・・・・・・いっそ、中止にしちゃおうよ」
とうとう、底のカラメル層に到達したプリンを口に運びながら、お嬢はそう言った。
「けどな・・・・・・流石に急に休みってのも書類上不味いんだよな・・・」
一応、年間の訓練時間は決まっているので、
休みにしたらしたで、代わりに休日が潰れるのだ。
「えー・・・休みにしようよ、休みにー」
「・・・じゃあ、30分ぐらい、ストレッチでもやって基礎訓練ってことに・・・ん?」
窓の外に、一筋の爆炎と煙が見えたかと思うと、

ヒュゥゥゥウゥウン     ・・・・・・ズシィィイン

何かが、空気を裂いて落下する轟音。

「近いな、こりゃ」
「あーもう、紅茶がこぼれちゃった・・・」
「あんたら冷静だね・・・」
一人唖然としていた食堂のおばちゃんはそういうが

「慣れですよ・・・あんな大砲、毎日撃ってれば・・・」
毎日、あんな騒音の中にいれば嫌でもこれぐらい慣れる。
しかも、俺に至ってはこちらの世界に来る前に、
演習中にエンジントラブルで航空機が墜落する現場も遭遇してるわけで、
うう、思い出すだけでスプラッタ・・・。
264名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:44:48 ID:obkPxCOZ
「ごちそうさま〜」
そうこうしているうちに、お嬢がプリンを食べ終わったらしい。
「さて・・・おばちゃん、留守頼みます」
「あいよ、夕飯までにはしっかり帰ってきな」


食堂を出た二人が向かうは格納庫。
こういう、事故現場?こそ強靭な腕力と移動能力を持った人型戦車は真価を発揮するのだ。

「一応、武器も持つように・・・相手は何者かわからん」
そう言って、格納庫の壁にかけられた火器の中から、携帯するものを物色する。
山賊退治の後も、色々な火器が搬入されて、随分種類が増えた。
ひょっとすると向こうの世界で兵役についてた頃より、選べる種類が豊富かもしれない。

そんな中から、180mmキャノン砲に手をかける。
この世界で、人型戦車のような重装甲の近代兵器を脅かしうる旧来の兵種
――重装備のクレイプニール騎兵や竜騎兵には、一番これが有効なのだ。
いつもいつも接近戦では、カレンのような武人じゃない俺では、とても精神力が持たないし、
何より歩兵の補助という意味では、射程外からの砲撃で仕留めたほうが圧倒的に被害は少ない。

「また、そんな扱いにくそうなの選んじゃって・・・」
「腰に予備のマシンガンもあるから、心配されるほどじゃないさ」
「おやつは300円までだよね?」
「・・・あのな・・・俺達が行くのは事故調査だぞ」

「え、遠足じゃないの?」
ふと、聞き覚えのある声が耳元を掠め、俺は振り返った。
265名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:46:34 ID:obkPxCOZ
「・・・・・・博士、なんでいるんですか。しかも、真後ろの後部座席で大量のバナナ食べながら」
博士だった。
何故か、房のままの大量のバナナを抱えた。

「えへへー、バナナはおやつに入らないんだよ。落ち物の漫画で言ってたし」
「いや、そういうことじゃなくて・・・もご・・・・・・ゴクンッ」
「おいしい?」
「はい・・・まあ・・・」
そんな他愛もない会話をしている間にも、格納庫の電動シャッターはゆっくりと上がっていき、
結局、博士を乗せたまま、墜落現場に向かうことになる。


すごい勢いで黒煙を上げる墜落現場が見えてきた頃だっただろうか。

「助手くん、上、上、何か向かってくる」
博士の言葉で、右手前の対空レーダーに視線を落とす。
何かがこっちに接近してきていた。それも、飛竜の類で出せる速度ではない。

「・・・お嬢伏せろ!」
反射的に通信機に叫ぶと、腰に装備されたマシンガンを引き抜き、即座に地面を蹴る。

直後襲ってくる、マシンガンの反動とは違う衝撃と、交差直後にレーダーから消える飛行物体の反応。
重力が消えたような静かな時間の後にやってくる、不恰好な着地。
・・・と、柔らかいものが顔の上に乗っかる感覚。
266名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:48:21 ID:obkPxCOZ
「隊長、生きてる?」
お嬢からの通信で飛びかけていた意識を引き戻し、手探りで通信機のスイッチを押す。
「な、なんとか・・・」
「やん、そんなとこ・・・昼間っからダメだよ助手くん・・・」
「え?」

「あ〜・・・仕事中に、そんなことする大人だったんだ、隊長って・・・」
「は?」
自分の置かれた状況を改めて整理してみる。
まず、着地をミスった。
ジャンプした時点で、博士はシートベルトをしていなかった。
つけてれば、俺の横まで手の伸ばせるはずないし・・・。
で、着地後むにっと柔らかいものが顔の上に。

・・・そのむにっと柔らかいものを触ってみる。
「あんっ・・・」
え?・・・まさか触ったこれって・・・博士の胸!?

「ご、ごめんなさい博士」
「ひゃう、つかんじゃダメらって」
「・・・ごめん」

「隊長って、しっかりしてるようにみえてドジだよね」
お嬢の台詞が動揺しまくって、ただでさえボロボロになっていたハートにざっくり刺さる。

また、底辺に一歩近づいてしまったのは動かし難い事実だろう。
267名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:49:44 ID:obkPxCOZ
それはそうと、こんなことしている場合じゃない。
ついさっき撃墜した飛行物体を調べなければ・・・。

「助手くん、さっきの調べたいからハッチ開けるね」

というと、体制を直して俺の膝の上に乗っていた博士が俺より先に開閉スイッチを押してしまう。
これじゃあ、俺の立場がない・・・。

撃墜した飛行物体は、運良く道の端に墜落していたので、すぐに見つかった。
それは良いんだけど、妙にこの残骸の形見覚えがあるような・・・。

輸送機?にしちゃあ、しっかり武装して攻撃してきたし・・・。
戦闘機や爆撃機にしては、あっさり機銃の撃ち合いで落ちた上に、爆発炎上の仕方が生ぬるい。

とすると・・・偵察機の類だろうか。
生存者がいたら話を聞いたほうが早そうだけど・・・。

「隊長、人がいる!隊長と同じ耳なしの」

「え・・・?あ、ホントだ・・・操縦席無事だったみたいだな」
軽く風防ガラスを叩いてみるが、反応はない。
268名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 22:54:14 ID:obkPxCOZ
「二人とも、ちょっと俺より後ろに下がってくれ」

ガキンッ ガキンッ バキンッ

取っ手が変形していて引っ張れないので、風防を止めている金具を拳銃で撃ち壊す。
あっけないぐらい金具は簡単に壊れて、風防が手前がわに落ちてきた。

「よし、開いた・・・て、女の子!?
 しかも、耐Gスーツとかなしで作業用のツナギ着てるだけ?」

中に乗っていたのは、作業着姿の三つあみ女の子だった。
というか、よくよく尾翼のエンブレム見れば、
俺の国の国旗と空軍のマーク・・・もしかして、さっき降って来たのも・・・。

「隊長、顔真っ赤だよ」
「と、とにかくだ」
「怪我してるかもしれないし、基地まで運ぼう、助手くん」
「う・・・はい」

また、台詞取られた・・・。
2694th-63sage2005/05/08(日) 22:58:02 ID:obkPxCOZ
というわけで、前編投下終了。

エロい後編は、一応書きあがったんですが、
誤字脱字のチェックまだなので、もうちょっと掛かります。
270名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 23:06:00 ID:d1DojE7S
「さて、やっとこさうぷロダ見つけて落したぞ。またあとで見にくっかあ」



「ええええっ!?この文章量でこんなにレスが付いてるっ!?」(ギコナビ使用)



「投下タイミング被っただけかーい!」



ええと、後半楽しみにしてます。
271名無しさん@ピンキーsage2005/05/08(日) 23:09:12 ID:K+Bm5mnK
GJ!!
「紅く透き通った剣」 と 「紙製のスプーン」 にすっごく悶えます
後半楽しみにしてます!!
272草原の潮風-第6話(後編)sage2005/05/09(月) 00:02:58 ID:obkPxCOZ
「ただいま・・・」
古びた安宿の部屋の扉が、重苦しい音をたてて開くと、
一人の血塗れの少女が部屋に入ってくる。

「ご苦労さん、どうだった?連中の様子は」
と、部屋で本を読んでいた青年が、視線を本に向けたまま返事を返す。

「門番残して、ほとんど死んだわ。しかも、一昼夜も追いかけてきて・・・」
少女は、血で赤黒く染まったマントを脱ぎ捨てながら、青年との会話を続ける。
どうやら、血は彼女自身の怪我によるものではないようだ。

「まったく馬鹿な犬たちだ・・・・・・ひとの会社の試作品半ば勝手に持っていった挙句、
 君にまで、そんな簡単に手を出すなんて」
青年が本を閉じ、少女の方に顔を向ける。

「処分はしてきたわ・・・ちょっとシャワー浴びてくる、全身返り血で・・・」
幾ら今が深夜で訪ねてくる者が皆無といえど、血塗れでいるのは、気持ちの良い物ではない。

「嗚呼、ゆっくり浴びてくるといい」
椅子に座っていた青年がベットに寝転びながら、そう返事を返した。

「・・・・・・鼻の下伸ばしてるけど、覗く気起こしてるなら、やめておいた方が身のためよ」
「ギクッ」
間接照明で壁に映し出された青年の影が、一瞬ビクンと痙攣する。
どうやら図星のようだ。

「まったく・・・これじゃあ、どっちが主人なんだか・・・」
思えば、こんな生活が始まったのは、彼女を拾ったときだった。
あの時も今のように、黒ずくめの服装で、今は跡形もなく消し飛んだ我が家の庭に立っていた。
273名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:04:08 ID:obkPxCOZ
それを何故拾う気を起こしたんだろう。
普通はそんな怪しい人物を見れば、恐怖が先行するはずである。
「彼女が言うように、私は極度の物好きだったんだろうなあ」

と、男は自分の頭を抱えながら一人事を漏らす。
本来なら彼が先ほどのヒトの少女の飼い主、或いは主人であるが、
現状はどちらかと言えば、10人中9人がこの猫族のマダラの青年が飼われていると言うだろう。

事実、経済的にみても、彼女に養われているも同然だし、
魔法使いや戦士といった戦力としてみても、魔力・剣の腕ともに青年は少女に敵わない。
唯一勝っているのが、情報収集や交渉術である。

バタンッ

「・・・どうしたんだタオルのままで・・・」
「・・・着替える下着忘れた・・・顔赤らめてないで、ちょっとあっち向いてなさい」
「あ、嗚呼・・・」

彼女が着替える音がその場に響く。

「・・・・・・・・・まだ?」
「まだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・いいわ」

少女の声に、青年は振り向く。
274名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:04:44 ID:exKt8CMh
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・黙ってひとの顔ジロジロ見ないで」
「悪い悪い、悪気はないんだ・・・あまりに綺麗でさ・・・」

まだ、乾いていない髪が、尚更に少女の美しさを引き立て、
見る者の視線を引きつけていた。

「・・・だったら、久々にする?」

唐突に、彼女は言う。

「その代り・・・・・・」
「その代り・・・なんだよ」
「その代り、明日の朝ご飯奢ってちょうだい」
拍子抜けした青年は、きょとんとした。
いつも、無理難題を吹っ掛けてくる"怖い女"が、
珍しく常識的な条件を提示してくるのだから、無理もないかもしれない。

「・・・・・・安っぽい条件だな・・・なんか裏があるだろ?」
「あなたも素直じゃないわね・・・別に私も、ただの女の子だってこと」

「ただの女の子?よくいうよ・・・
 ネコ族なんかよりよっぽど凶悪な魔法覚えてるし、
 普段は腕力ないのに、あんな巨大な長剣扱えるし」
一応、生物学的にはヒトに分類されるが、彼女の戦闘能力は特記に値するのは事実であった。

「愚痴はそれぐらいになさい。するの、しないの?」
「はい、します・・・させていただきます、アヤメ様」
「宜しい・・・あなたが年上なんだから、しっかりリードしなさい」
275名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:05:37 ID:obkPxCOZ
「それじゃ・・・」

胸が早鐘のようにどきどきと鳴っているのが分かる。
アヤメとするなんて、初めてではないのに・・・久々だから緊張してるのか?

軽く息を飲み込んでから、アヤメの両肩に優しく手をかける。

「アヤメ・・・好きだ・・・」

そして、唇を重ねて何度も軽いキスをする。
時々、軽く舌を入れたり、キスの合い間にお互いの顔を見つめたり。

いつもの冷たいそれとは違い、脅えるように潤んだ瞳
腕を掴んでくる柔らかな手に、まだシャンプーの匂いが香る髪

「レオン・・・」
名前を呼びながら、少女は彼の胸に顔を埋める。

かわいい・・・いつもの悪魔のような表情と行動からは想像もつかない。
優しく頭を撫でると、顔を赤らめてさらに抱きついてくる。
こうしていると仕事の時の素っ気無い表情や、自分に対する乱暴な扱いが嘘みたいだ・・・。

そんな彼女をたまらなく可愛く感じ、男は少女の小さな体を、優しくゆっくりと抱きしめる。
彼女もそれに応え、青年の背中に細腕を回して、強く強く抱き着く。

言葉はいらないとは、こういうことなんだろうな・・・。
初めて会った時も、怖がってこんな風に胸の中で甘えてたっけ。
ひょっとすると、いつものツンツンとした
敵対感情剥き出しなのは偽りで、こっちが本性なのでは?
276名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:06:26 ID:exKt8CMh
「・・・・・・っ」
そんな思考を遮るように、
少女が不機嫌そうな顔で彼の顔を見つめてくる。

おっと、そうだ。
今日は自分が優しく抱いてあげなきゃならないんだ。

そっと彼女の体を自分の胸から剥し、乱れた髪を優しく撫でて直す青年。

「アヤメ、愛してる・・・」
「うん・・・・・・」

バスタオルをそっとめくると、彼女が好んでつけている黒い下着と、
大きくはないが、形の整った胸のふくらみが見える。

バスタオルを脱がせ取ると、彼女を後ろ向きに座らせて抱き寄せた。

薄い桃色に染まった白い肌、直に感じることが許された彼女のぬくもり。
彼女はいつも側にいるのに手の届かない所にあったが、今は現実的で生々しい可愛らしさが伝わってくる。

軽く胸を撫でているだけなのに、敏感にビクンッと反応してくれるアヤメ。

「綺麗だよ、アヤメ・・・大好きだ」

耳打ちするように囁くと、今度は首に舌を這わせる。
277名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:07:27 ID:exKt8CMh
「あぁっ!あんっ!!」

敏感すぎて面白いぐらい応えてくれる・・・。
そのまま、その舌で、今度は背筋を舐める。

「ひゃんっ!?」
「ちょっと、大げさじゃないか?れろっ・・・」

再び、首筋を一舐め。

「あっんん・・・こんな感じ易い体の娘を・・・好きになったのは・・・ああっ・・・」

甘くて柔らかい舌触り、それ以上に甘くて甘美な彼女の声。
ごくごく普通の可憐で華奢な少女・・・自分が守ってやらなければならない。

「・・・はぁ・・・はぁ・・・」
「・・・ごめん、ちょっとやり過ぎたな」

押し寄せてくる快楽で、荒い息になるアヤメ。
本当に、本当に可愛い・・・。

「んん・・・」

呼吸が落ち着いたのを見計らって、できるだけそっと、やさしくベットに寝かせる。
目をトロンとまどろませて、夢心地に浸っている表情が、とてもいとおしい。

もう一度軽く口付けをすると、
黒いパンティの中に手を入れて、湿っている割れ目をなぞって刺激する。

「あああっ・・・あぁあんっ!?」

粘り気のある愛液が彼女の秘部と、割れ目をなぞった指の間に糸を引いている・・・。
278名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:08:15 ID:exKt8CMh
「いいよ・・・」

潤んだ瞳でそういわれた瞬間、たまらなくなった自分は肉棒を出し、その先を秘部につける。

「アヤメ・・・いいんだね」
「・・・ぅん・・・・・・ちょうだい・・・」

「・・・いくよ」
「ぁ・・・・・・ぁあんっ」

押し殺そうとしている濡れた声が、
いつも主導権を取られている自分には一段と新鮮で、心地良い。

「・・・くぅ・・・はぁ・・・はぁ」

入ってくる快楽に耐え切れないのか、声が大きくなっていくアヤメ。
自分も、彼女の膣が締め付ける快感に促されて、ついつい入れる速度を速めてしまう。

「動くよ、いい?」

コクリと彼女が頷いたのを確認すると、ゆっくりとピストン運動をはじめる。

「アヤメ・・・愛してる・・・愛してるよ」
「あん・・・いいっ・・・いいよ!もっと、もっとちょうだいっ!」

いつのまにか快楽に乗っ取られ、本能のままに夢中で腰を振っている。
アヤメも夢中になって、自分に身を任せながら髪をかき乱して喘ぎ声をあげている。
279名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:10:40 ID:exKt8CMh
二人の結合部から愛液が湿った音をたてて漏れ、
肉のぶつかり合う音が部屋中に響く、そして・・・。

「アヤメ、いくよ!」
「うん・・・きてぇ!」

快楽が全身を駆け巡って・・・互いに絶頂のままブルブルと震える。
それからどのぐらい経っただろう、やがて自分の体は引力に引かれるように、アヤメの上に崩れ落ちた。

アヤメの上から横に体をずらすと、冷たいものが腰のあたりに触れる。

「ごめ・・・ベット汚しちゃった」
「ひょっとして、潮噴いて・・・」
顔を赤らめながら、コクンと頷く。
「いいさ、どうせ汗でびしょびしょだろ・・・」
「うん・・・・・・」


日が昇って、二人で朝風呂に入って、食堂で食事を済ませた後だった。
「・・・様はつけないように」

「へ?」
唐突な言葉に、彼は目を点にする。

「本気で名実共に、私より下になったら・・・レオン、あなたはまがいなりにも、それなりの良家の一人息子でしょ」
「あ、そういやそうだ・・・家は完全に吹き飛んだけど、別荘も各地にあるはずだし」

レオンはネコの国でもかなり裕福な家の生まれで、半年までまではかなり優雅な暮らしをしていた。
それが、何故またこんな異国を旅しているかといえば、彼の一族の会社が研究していた生物兵器のせいである。
280名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:16:24 ID:exKt8CMh
「この事件が完全に片付いたら、私と一緒にネコの国に戻って、家を継ぐ」
「・・・」

稼業を姉達に任せ、下手したら指名手配犯にでも間違われかねない旅を続けている手前、返す言葉すらなかった。

「そして、私もこんな年中自分の体にネコ耳生やす魔法かけた生活からも開放される」
「アヤメ先生しつもーん。それぐらいの魔法、あんまりきつく見えないんだけど・・・」

彼女は、常に自分に猫人化の魔法をかけていた。
大概は彼の前でも、寝るときでさえもそれを開放することはなく、戻るのは戦う時とエッチの時ぐらいだ。

「気分の問題よ・・・それに、耳に触られると感じちゃうし・・・」
耳をピクンと動かして、手を胸の前に置いてもじもじする。

「それが本音か・・・・・・」
ついつい、そんな光景を見ると刺激してみたくなるのが男の性。
レオンもそういった感情には逆らえず、アヤメの耳に息を吹きかける。
281名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 00:17:07 ID:exKt8CMh
「え?・・・・・・ひゃううん!?」
「労わってあげましょうか、次の目的地見つかるまでゆっくりね」
「やんっ・・・やめなさいったら!」
世の中で珍妙な二人組を10組選ぶとしたら、絶対にこの二人も入るだろう。

ブゥゥン

「・・・ハァハァ・・・今度やったら、斬るわよ・・・」
「はは・・・わ、悪かった悪かった。剣、下ろしてくれないかなアヤメ・・・」
突然、空中に紅い剣が現れ、レオンの胸元に突きつけられる。

「様はどうしたの?人に物を頼む時は・・・」
「さっきは、呼び捨てでも良いって・・・」
「それとこれとは・・・話が違う!」

世界情勢にほんの少し影響を与えるかもしれない、もう一組の変なカップルの旅。
2824th-63sage2005/05/09(月) 00:46:19 ID:exKt8CMh
>>270
連休最後で就寝時間も迫っているので、つい・・・。

それにしても、サトルが拾ったのはエロいオルゴールですね。
ハァハァが止まりません。
283岩と森の国ものがたり・7sage2005/05/09(月) 06:49:32 ID:HSm9tE9+
>>226>>244>>256>>258
皆様GJです。固有に感想も書きたいのですが、自分の方もそろそろ投下しないとまずいので、先に投下だけします。
自分のは今回は前編だけ、しかもエロ無しかつ設定説明だらけでアレなんですけども、そんな中でも少しだけ萌えてもらえればいいかなとか思いつつ。

-岩と森の国ものがたり・7-

 白のピラミッドの周囲に広がる町は、太陽の都と呼ばれている。
 ここはカモシカ族の大半を占める太陽神信仰における総本山であり、ゆえにこの地に軍を向けるというのはある意味、神に刃を向けるに等しい暴挙とみなされていた。
 それだけに、双方とも支持を失いたくないためあえてこの地には軍を進めていない。
 結果、この地は女王派、王弟派の双方の合意による完全中立地帯となり、それだけに戦乱の続くカモシカの国では唯一の平和な地として、戦乱を逃れた人々が次々と集まってきていた。
「……すごい人の数ですね」
 アンシェルに付き合って市場に出てきたレーマは、そういってアンシェルの方を見た。
「全国から戦火を逃れた者達が来ているからな。おそらく、今現在ならばライファスやグランダウスより人口が多いはずだ」
「……道理で」
「だが、それだけに気をつけねばならない」
「え?」
「こうなったからこそ、この地を狙おうと思うものはいるはずだ」
「……でも、この地に軍を向けると……」
「ああ。普通は民の反発を恐れてやらない。そんなことをやれば、大義も正義もすべてふっとび、問答無用の悪とみなされる」
 そこまで聞いて、はっと気づく。
「ならば、敵側のフリをして……」
 アンシェルは、かすかにかぶりを振った。
「もちろん、そういうやり口もあるだろう。だが、私が思っているのはそういうことではないのだ」
「と、いうと……」
「すべてを、ぶち壊すということだ」
「すべてを?」
 よくわからないといった表情のレーマに、アンシェルが言う。
「太陽神信仰そのものを破壊するということだ」
284名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 06:51:11 ID:HSm9tE9+
「……そんなことが……」
「太陽神などに何の尊崇も畏怖も持っていない者はいる。そういう輩ならば、何のためらいもなくこの地を狙う」
「でも、そんな軍、民の支持が……」
「支持されなくても、服従させればいい。……そんな風に思う者はいるのだ」
「……」
「この地を襲い、太陽神信仰を崩壊させる。そうすることで、民は拠り所を失う。そのうえで……新たな信仰を与え、支配する。新たな権力者への信仰を、な」
「……それは……」
「不可能だと、思うか?」
「……いえ」
 考えたくはないが、十分ありえることだと思った。
「それゆえに、今は危機なのだ。グランダウスを失ったことで、両勢力のパワーバランスは崩れている。こういうときならば、何がおきても不思議ではない」
 いつになく、アンシェルの表情が険しい。
「……お前に頼って生きるのも悪くはないと思っていたが、そうも言っていられないということだ」
「……でも」
 一月ほど前の、盗賊にさえ怯えた姿のことが思い出された。かつて受けた心の傷が、まだ癒えてないのではと思った。
「……わかっている。だが、もう甘いことはいっていられない。それに……な」
 そう言って、すこし頬を染めた表情でレーマを見る。
「え、え?」
 いつになく可愛らしい表情のアンシェルを見て、どぎまぎする。
「これからはお前がいる。それは変わらない。一人じゃないから、戦えるのだ」
「……はは」
 まわりの人目が、妙に気になる。冷静に考えれば、周囲の流れる人はレーマ達など見ていないのだが、今のレーマはそこまで気づかない。
「と、とりあえず……ですね」
「ん?」
 少し腰を落とし、上目遣いでレーマを見るアンシェル。レーマより背が高いアンシェルは、いつも見下ろしていたため、下から見上げられると不思議な気分になる。
285名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 06:52:28 ID:HSm9tE9+
「その、どこか……お茶でも……じゃない、その、あの……」
 言いかけた言葉の意味に気づいて、あわてて取りつくろおうとする。その態度がおかしくて、たまらずにアンシェルは笑い出した。
「くっ……あはははっ……レーマ、お前も案外うぶな所があるのだな」
「……」
「そう拗ねるな。いや、そんな表情も可愛くていいのだが」
「……可愛いって」
 少しは大人びたように思っていただけに、変にぐさっとくる。
「あははははっ……そうやっていると、年相応だな。最近のレーマは、時々私より大人びて見えたりしたこともあったが、やはりこの方がいい」
「……いい……ですか?」
「ああ。そんな顔を見ていると、なにやら惚れてしまいそうだ」
「ほ、惚れ……」
 顔を真っ赤にしてあたふたするレーマ。そんなレーマを見て、またアンシェルが笑う。
「さて、こんなところでそんな話もなんだ。お前の言うとおり、どこか休める場所に行こう」
「……はい」
 最近、ちょっとだけアンシェルより大人びた気になっていたが、どうやらまだまだ役者が違うようだった。

 少し離れた場所に、ちょっとした喫茶店のようなものがあった。
「こんな場所があったんですね」
「リシェルに教えてもらった」
「リシェル様に?」
「リュナ卿と以前来たことがあるらしい」
「……僕は来てないのに」
「新婚旅行に他の男を連れて行けるか」
「まあ、それは……」
「しかし、この店のコーヒーはなかなかいい味だ」
 そう言って、半眼を閉じてコーヒーを飲むアンシェル。
 アンシェルは本当に美味しそうに飲むが、そのブラックコーヒーの風味というものが、どうにもレーマにはわからない。
 正直、レーマにはブラックなど苦くて飲めたものではない。今も、レーマのコーヒーはというと、砂糖とミルクが大量に入って、カフェオレだかコーヒー牛乳だかわからないくらいになっている。
 それだから、自分はまだ子供なのかなとか思う。
286名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 06:54:16 ID:HSm9tE9+
「そんな顔をするな。味覚などは人それぞれだ」
 突然、アンシェルがそう声をかける。
「え?」
「ブラックが飲めるかどうかなど、大人かどうかとは関係がない」
「……え、その、どうして……」
 心の中で思っていることがわかったのかと思った。
「何年一緒にいると思っている。お前の考えていることなど、顔をみればすぐにわかる」
「……」
「図星だったのだろう?」
「……はい」
「はははっ……リシェルの奴も、コーヒーは砂糖を入れなきゃ飲めぬ。気にすることではない」
 そう言って、またカップを口にする。
「このコーヒー豆だが、こんな戦火の中でも猫の国に輸出はされているらしい。が、向こうでは氷を入れるという」
「氷?」
「たぶん、熱いのが苦手なのだろうな。最近はその需要にあわせて、豆も品種改良を行っているという」
「へぇ……」
「外貨獲得の貴重な手段だからだろうな。硝石や銅鉱は重いくせに輸出してもたいした金額にはならんが、良質の豆や香辛料はその数分の一で数倍の金になる」
 そんな話になると、レーマにはまだよくわからない部分もある。
「リュナ卿のすごいところは、そういう外貨獲得の場を手早くまとめたことにあるのだろう。軍を率いたことはただの一度もないのに今の地位にあるのは、その能力ゆえだ」
「……屋敷の中では、とてもそうは見えないんですけどね」
 レーマが見るリュナは、どこかとぼけたところのある優しげな年上の青年でしかない。アンシェルも、それを聞いてくすりと笑う。
「それは同感だ。が、透河を利用した獅子の国から南方への交易路、山脈の東南から猫の国へと向かう摩天回廊という二つの交易路を女王派の機先を制して手中にしたことが、どれほど王弟派の力となったか」
「猫の国に輸出するコーヒー豆、獅子の国や、南海の魚の国へと輸出される香辛料ですね」
「ああ。そしてその交易路を確保したことで、他国の武器商人とのルートも手に入れた」
「海路へとつながる透河経由で虎の国、摩天回廊経由で猫の国……」
「そうだ。とはいえ、そちらは何かと苦労しているらしい。向こうは領内に入ればどちらにも売りたいからな」
「そんな時にグランダウスを失ったのは厳しいですね」
「……軍を持たない者の限界でもあったのだろうな」
287名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 06:55:33 ID:HSm9tE9+
 さっきまでの浮ついた気分がいつの間にやら吹き飛んで、なにやら重苦しい雰囲気になる。
「そして、さっきの話だ」
「さっきの?」
「この太陽の都に軍を向ける、という件だ」
「……動くとすれば、王弟派ですか?」
「いや。王弟派はグランダウス奪回が先決だろう。古くからシャリア様の領土であるあの地を奪われたままではどうにもならぬ」
「……となると、女王派……」
「だろうな。噂にすぎぬが、最近女王陛下が人が変わったように積極的になられているという」
 アンシェルは、かつて女王派の騎士だった。いまは軟禁という名目でリシェルたちと同居しているが、今でも肩書きだけなら女王派騎士である。
「そしてリュナ卿が危惧しているのは、第三の勢力……他国の軍だが、こちらはどうにもわからぬ。とはいえ、油断もできない」
「……楽観できないんですね」
「ああ。戦乱において一番危険なのは、第三者に漁夫の利を奪われることだ。今の場合だと……国ごとのっとられることだ」
「…………」
 言葉が続かない。目の前にある危険と、それに対してどうすることもできない自分の無力を痛感させられた。

「まあ、そうはいってもだ」
 アンシェルが、カップを皿に置いてレーマに目を向ける。
「このような格好で来て、小難しい話ばかりというのもつまらん」
 そして、上目遣いに少しいたずらっぽい笑顔を見せる。少し前までは、まず見られなかった表情だ。
「……まあ、それもそうですね」
 目の前のアンシェルは、いつもの毅然とした武人姿ではない。ここ数年、見たこともないようなスカート姿で、上着も妙に可愛らしいものを着ている。
 なにより頭の上には、大きな青いリボンまでつけている。リシェルの見立てらしいが、こうしてみるとちゃんと年頃の少女に見える。
「せっかくリシェルが気を利かせてくれたというのに、これではどうにもなるまい」
「はは……」
 小悪魔な表情に可愛らしい衣服。それでも口調だけは変わらないのがおかしい。
「とはいえ、そういう話しかできないからな」
「お互い様ですよ」
「まあ、無理に話題を探さずともよいか。お前と一緒にいられるというだけで、私としてはなにやら嬉しい」
「いつも一緒じゃないですか」
「それとこれは違う。こういう時間があることが嬉しいのだ」
288名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 06:59:59 ID:HSm9tE9+
「はは……」
「なんだ、お前は嬉しくないのか?」
 ちょっと、怒ったような顔でレーマを見る。
「まさか」
「ペットなのだから、主人にはきちんと振舞うことだ」
「はい、ご主人様」
 そう言って、すこし肩をすくめつつ笑顔を見せる。
「うむ、それでよい」
 生真面目な口調がおかしい。
「じゃあ、これからどうしますか?」
「そうだな……リシェルからはあちこち教えられたが、とりあえず近場から一通りめぐるとしよう」

 それは、デートというには二人ともどうにもぎこちなかった。……まあお互い、今まで一度もそういうことをしたことがないのだから仕方がないのかもしれない。
 それでも、楽しくないわけがない。他愛のない話をしたり、理由もなく笑ったり、そんなことだけでも楽しいし、そしてそれだけでいいんじゃないか、そうも思う。
「……それにしても」
「何だ?」
「どういう風の吹き回しですか?」
「リシェルに薦められた。まあ一度は、こういうことを体験しておくのも悪くはなかろう。どうせお前など、他に拾ってくれる奴もおらぬのだから」
「……ひどいこといいますね」
 苦笑するレーマ。苦笑はするが否定しきれないのが悲しい。
「もっとも、誰かが拾おうとしても許さぬがな」
「何ですか、それ」
「本音だ。貴様は一生、私から離れることを許さん。万一にもつまらぬ懸想などしようものなら、命がないと思え」
「……はは……」
「返事は?」
「はい、ご主人様」
「よろしい」
 素直じゃない言い回しだが、そんな言葉をいってもらえるのは悪い気はしない。
「わかったなら行くぞ」
 そう言って、すたすたと歩き出すアンシェル。右手を引っ張られるようにしてレーマはその後をついてゆく。
289名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 07:16:03 ID:HSm9tE9+
「……ここも……ですか?」
 目の前の建物を見て、レーマがついそう尋ねる。
「……ここらしい。場所も、店の名も同じだ」
「でもここ……武器屋、みたいなんですが」
「私にも、そうとしか思えぬ。……リシェルがどうしてここを指定したのかはわからぬが、どのみち武器はあったほうがよい」
「さっきの話、ですね」
「ああ。実戦においては剣だけでは限界もある。何があっても対処するためにはそれなりの準備も必要だ」
「……確かに……」
「それに、まるっきりわからぬものを買うよりは、こういった店で買い物したほうが話が弾むとでも思ったのだろう」
「……まあ、話は弾むかもしれませんが……」
 せめてもう少し、デートショッピングに合う店はなかったのかと、少しだけ自分の無趣味、そしてリシェルの判断を恨んだ。
「確かに、この格好で入るのも抵抗はあるがな」
 大きなリボンにひらひらとしたスカート。確かに、武器屋に入る格好ではない。
「……まあ、お前と一緒にいられるのなら、たいした問題でもない」
 ぽつりと、そう口にする。少し頬を染めた横顔が、視線に気づいて恥ずかしそうにそっぽを向いた。
 少し前の、レーマをからかうような表情とは明らかに違う。
 もしかすると、これが本来の表情で、さっきのからかうような大人びた言動のほうが、実は無理をしていたのかとも思った。
「あれ、さっきまでとは違いますね」
 わざと、そう口にする。
「な、何も違わんっ!!」
 声を荒げて、あわてて否定する。その表情のほうが、レーマには自然なもののように見えた。
「でも、なんだか……」
「黙れっ!! それ以上愚弄するならば斬る!」
「い、いえその……」
 斬るも何も、今日の服装では武器は持っていない。それに気がつかないくらいに動揺しているののが、その表情にも表れていた。
──やっぱり、無理してたのかな。
 そうとしか思えなかった。
「ふふ……」
 つい、おかしくなって笑う。
「何がおかしいっ!!」
「あ、いえ……いまのアンシェルさまの方が、さっきよりずっと可愛いですよ」
290名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 07:27:06 ID:HSm9tE9+
「……か……可愛い……」
 うつむいて、なにやら消え入りそうな声でつぶやいている。
「私は、お前の主人だぞ」
「はい」
「可愛いというのは、私がお前に言う言葉だ」
「でも」
「黙れ。口答えは許さん」
 そう言う声も、消え入りそうに小さい。
「わかりました」
 そう言いながら、腰に手を回す。
「な、何を……」
 驚いたようにレーマを見るアンシェルに、笑顔で言う。
「せっかくのデートくらい、こうしてましょうよ」
「……でーと」
 ぽつりと、そう口にする。口にすると改めて意識するのか、レーマから逃れるように目をそむける。
 それでも、腕は絡めてきた。むしろ、絶対に離さないといわんばかりに痛いくらいに強くからみつけてきた。
「じゃ、中に入りますか」
「……そうだな」
 やっぱり、この方がアンシェル様らしいと、そう思った。

「おや、これはまた可愛らしいお客様で」
「……か、可愛らしい……」
 店に入ったアンシェルは、主人からもそう声をかけられたとたん、ますます頬を染めてうつむき、口ごもる。あわてて、レーマが言う。
「えーと、とりあえず見てていいかな」
「はいはい、どうぞご覧になってください。舶来の物もあれば猫の国からのものもございますからね」
 まだうつむき加減のアンシェルの腕を引くようにして、展示してある武器の前に向かった。
291名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 07:28:18 ID:HSm9tE9+
「……れーま」
「はい」
「私は……可愛らしい……か?」
「はい。本当に可愛らしいですよ」
「そ、そうか……なにやら、そう言われると嬉しいような恥ずかしいような……」
「そう言うところが可愛らしいんですよ、ご主人様は」
「……アンシェルでよい」
 ほとんど聞こえないような小さな声で、レーマに言う。
「え?」
「他人行儀にご主人様とか言うな。こういとうきはアンシェルでよい」
「は、はあ……じゃあ、その……あんしぇる………………さま」
 呼び捨てにしてみるが、どうにも抵抗がある。レーマも、消え入りそうな声で最後に「さま」をつけた。
「……さま、はいらぬと言っておる」
「……どうにも……慣れないもので」
「仕方のない奴だ」
「申し訳ありません」
 おたがいに、赤い顔をして消え入りそうな声の会話が続く。後ろにいるであろう店員の視線が、やたらと気になる。
「……とりあえず、何か買わないとダメですよね」
「そ、そうだな……」
 陳列棚に目をやる。目の前に、細い鋼線の先端に分銅のついた鞭のような武器があった。
「……エッジ・ガレット……分銅ですか?」
「ガレットといっているからに、、絞首具なのだろうな。どうやら、鞭のように振ってこの鋼線を首に巻きつけるのだろう」
「首が切れそうですね」
「だからエッジ・ガレットなのだろうな。首に巻きつけ、そのまま手元に引く。そうすればこの鋼線が首を切断するというわけだ」
「物騒な武器ですね……」
「武器は物騒なものだ。とはいえ、たしかにこれは怖いな。首に巻きつけられなくとも、普通に鞭としても扱える」
「鞭として使うには強度が問題ですね」
「この鋼線の原料が何かが問題だな」
 少々からかいすぎてしまったが、どうやら、やっと普段の調子に戻ったらしい。
292名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 07:32:04 ID:HSm9tE9+
 その横に目を向けると、カードが一式そろえられていた。
「これは……カードの淵が刃になっているんですか?」
「そうなのか? ……だが、その割にはやたらと高いな」
「ですね。えーと……他にはこれといった特徴もないようですが」
 首をかしげるレーマ。その後ろから、店員が声をかける。
「これはですね、カードの裏側が秘密の鍵なんですよ」
「裏側に? 裏側といってもこの模様……あっ」
 アンシェルが、何かに気づいて声を上げる。
「魔章紋……なるほど、呪符か」
「はい。カードに見せかけてはいますが、53枚のカードすべてが別々の効果を持っております。無論、我々のような魔法の心得のないものにも扱えます」
「ふうむ……」
「使いきりではありますが、見た目も綺麗ですしお嬢様方には護身用に買われていく方もいらっしゃいますよ」
「なるほどな」
「まあ、そちらにいらっしゃるヒトのほうがお嬢さんには頼りになりますかね」
「れ……れーまのことか?」
「ああ、レーマさんとおっしゃるので。なかなかお似合いのご様子で」
「お、お似合い……」
 その言葉に、また恥ずかしそうにうつむく。
 さっきの、小悪魔のような言動がなんだったのかと思うような姿だが、これが本来の姿で、アレでも精一杯がんばっていたのだろうと思った。
 「じゃあ、レーマさんにお勧めの武器を見繕うとすれば……そうですね、やはり見た目も大事ですし、レイピアや曲刀、もしくは短銃ですか……」
 店員の言葉は、もうアンシェルには聞こえていないようだった。
 せっかく普段の調子に戻ったかと思ったのに、また真っ赤になって、小さな声で何かつぶやいている。
 ふと気がつくと、金髪に大きなリボンのついた頭がレーマの真横にあった。
 二つの角が、突き刺さりそうになるくらい近くにある。そして、上目遣いの目が時々レーマを見ては、またすぐに目を伏せていた。
 腕に寄りかかってきているせいで、アンシェルの胸の感触が二の腕に伝わってくる。その鼓動が早くなっているのが、服の上からでもわかる。
──こんな店員がいるから、この店を案内したのか?
 そんなことを、レーマは思った。
293名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 07:34:49 ID:HSm9tE9+
 同じころ。
「リュナ・ルークス卿の奥方様ですね。お待ちしておりました」
 リシェルは、白のピラミッド南方にある少し大きな屋敷にいた。
「はい。手紙を見て伺いました。あなたは?」
「アルルスとお呼びびください。エグゼクターズ……つまり、リュナ卿の以前所属していた部隊の者です」
「それで、どういったご用件でしょうか」
「奥方様には、しばらくこちらで生活していただきます。無論、我々の名誉にかけて奥方様に危害はくわえませぬ」
「名誉……あればよろしいのですが」
 少々皮肉を込めてそう言う。その言葉に、アルルスは苦笑を浮かべて答えた。
「これは手厳しい。ですが、我々にも名誉はございます。こう見えて我々も6つの国を動き、多少の名も持つ組織です。あまり名を傷つけることはしたくない」
「そのようですね。特殊遊撃追討隊・エグゼクターズ……最近は民間人の拉致まで行うとは知りませんでしたが」
「拉致とは手厳しい。もっとも、結果としてそうなるかもしれませんが、それもこの国のためです」
「誰もがそう言うのですよ」
 少し険しい表情のリシェル。公式の場や、それ以外でもリュナの妻として振舞うときにはそんな表情も見せることはできる。
 ふだんはあのとおりのぼんやりとした性格だが、実は意外とアンシェルより大人っぽい部分もある。
「はい。それもまた事実。ですが真に正しい道はひとつ。そしてそれこそが、我々の選んだ道であると自負しております」
「……ここで話していても埒があきませんね。あなた方の主の下へ案内していただきましょう」
「かしこまりました」
 アルルスが先導して、リシェルを屋敷の中へとつれてゆく。
 歩きながら、ぽつりと言った。
「そうそう。奥方様の姉君と召使の少年ですが……下手な真似はされないほうがよろしいでしょうね。我々も、多少の警護はしておりますし、万一にも屋敷への侵入などされては、非がどちらにあるかは明白ですから」
「…………」
「……まあ、なるべく不幸なことにならないようには努力いたします。リュナ卿の協力を得るためには、そのほうがよろしいでしょうし」
「…………」
 無言で、リシェルはその後をついてゆく。
 その先に何があるのかという不安と、姉やレーマへの信頼が、リシェルの胸中で交錯していた。
(後編に続く)
294名無しさん@ピンキーsage2005/05/09(月) 23:08:57 ID:3fyXa6UU
すげぇー。
何この投下ラッシュ。

この3日分、これから読ませて頂きます。
295名無しさん@ピンキーsage2005/05/10(火) 19:10:39 ID:f0VydFfE
え。ええとええとええとええとええと――
多いわっ! 多すぎるわ! 幸せだわー!
296名無しさん@ピンキーsage2005/05/11(水) 02:06:06 ID:LEgo0vw3
携帯からじゃ蛇の人のssが読めないorz
297名無しさん@ピンキーsage2005/05/11(水) 05:13:04 ID:oyq8R8Av
保管庫も無理?
298名無しさん@ピンキーsage2005/05/11(水) 19:09:50 ID:pdOxXHX3
最高にハイって香具師だ――!
299虎の子sage2005/05/14(土) 00:50:20 ID:rKKUpa3X
お久しぶりです。

一通り読ませて貰いました。

不眠症様へ>>
ぬう、寝不足なお嬢様ですか、なんて言うか私もなでなでして見たい物ですね。
鳥のお嬢さんの方も、無口な人が照れると萌な感じです。

scorpionfish様へ>>
いいタイミングでリテアナが出て来ましたね。
もし出てこなかったら、鶏男達はどうなった事か――
想像したら笑える私はおかしいでしょうか?

蛇担当様へ>>
サーラ様、萌〜、て言うかマジで可愛いですよ。
しかし強力なライバルが登場ですね。
ロリで妖艶な精霊鉄の精霊、サーラ様がいつまでもサトルをいじめているとひょっとしたら駆け落ちされてしまうかも知れませんね。

草原の潮風様へ>>
ぬう、この前までお気楽極楽だった雰囲気が一変してシリアスモードですね。
何やら意味ありげな、アヤメとレオンの会話はこれから起こるどんな事態を暗示しているのでしょうか?
次回も楽しみに待っています。

カモシカ担当様>>
リシェルが拉致されて、正に事態は急展開ですね。
レーマとアンシェルはデート中、次回は彼等が活躍するのでしょうか?
色々期待しながら、次回を待っています。
300虎の子sage2005/05/14(土) 00:57:28 ID:rKKUpa3X
と言う訳で、下劣な金儲けの中編を投稿します。
残念ながら今回はエロナシです。
301虎の子sage2005/05/14(土) 00:59:11 ID:rKKUpa3X


それほど広いとは言えない執務室で、セリスが凄まじい速度でファイルのページをめくっている。
その正面の机にはシルスが座っている。
「一体何、このふざけた数字は?」
まるで塩入のコーヒーを飲まされたような表情で、セリスはミリア達の領地の帳簿(極秘)を投げ捨てた。
「山岳地帯だから穀物の生産量が無いのは仕方ないけど、通行税や他の産業の収入がほとんど皆無じゃないか!!」
「…………それが普通じゃないのか?」
一応、この領地で一番偉いシルスがセリスの相手をする。
セリスがミリアの奴隷宣言をしてから、一番始めに顔見せしたのがシルスだったのだが、意外にもすんなりセリスの事を認めた。
襲いかかるのを想定して身構えたセリスにしては、毒気を抜かれた感じだったが、シルスは『どうせいつもの事だし』の一言で大きな溜息をついて了承してしまったのだ。
果たして魔王が奴隷になった事態を、その一言で片づけられる少年の心中とはいかがものだろう。
さすがの魔王セリスも少し気の毒になった。
302虎の子sage2005/05/14(土) 01:00:46 ID:rKKUpa3X


「うわ、何その向上心のないセリフ!? そんなんだからいつまでもご主人様の尻に敷かれてるんだよ!!」
「………関係ないだろう。第一、産業だってこんな田舎で何をやるって言うんだ?」
「麻薬の栽培」
さらりとでたその言葉にシルスの頬が引きつる。
「おい、麻薬ってもしかして、あの薬のか?」
「それ以外何があるの?」
質問に質問を返され、シルスは絶句した。
「あのな、麻薬はどこの国でも御法度なんだぞ。それを栽培したら重罪確定じゃないか」
「確かにそうだろうね。この国の法律書にもそう書かれていたから、だけど―――」
そこでわざとらしく言葉を切り、まるで悪戯を思いついた幼児のような無邪気な笑顔を浮かべる。
シルスは非常にいやな予感がした。
セリスの浮かべた笑顔は、幼い頃から幼馴染みがろくでもない事を思いついた時に浮かべる笑顔ととてもそっくりだったからだ。
303虎の子sage2005/05/14(土) 01:02:07 ID:rKKUpa3X


「この国で麻薬及び、要管理指定を受けている薬品は、この書類に書かれているのが全部で千数百種、これを不法に所持製造すると厳罰が下るんだ」
「だったら―」
「逆に言えば、これらの薬品以外は自由に造って売っても言いわけだ。と言う訳で、はいこれ」
セリスが反対側の手から新しい書類を取り出す。
「僕の考案した新しい薬、今までの麻薬に類を見ない依存性と効能だよ。一度使ったら、二度と薬なしじゃ生活できなくなるぐらいのね」
そう言いながら差し出された書類には、膨大な化学式と数式が虎の国の公用語で書かれていた。
もっとも公用語で書かれているとは言え、その内容を理解できる程シルスは専門家ではない。
「これを売り出せばヒット間違いなしだよ。間に仲介人を挟んでおけば、しばらくはばれる心配がないしね。禁止されたら、別の組成の麻薬を調合すればいいんだから――もっともこの国の技術じゃあ、検出する事も不可能だろうけど」
天使のような笑顔で悪魔の策謀を呟くセリスにシルスは頭が痛くなってきた。
「お前の言いたい事は分かったが、それだけ強い麻薬が出回ったら国内の治安やら、政治やらが不安定になるんじゃないのか?」
「だから国内じゃなくて外国に売るんだよ。そうすれば僕達は痛くも痒くもない」
あんに他国がどうなろうが知った事じゃないと言っているが、この世界において他国への気遣いなど偽善と策謀の混合物である。
そう言う意味ではセリスはこの世界に適応している。

304虎の子sage2005/05/14(土) 01:03:34 ID:rKKUpa3X


「だけど、素人の俺が見ても何か凄く複雑みたいだが、猫の国とかならともかく、こんな田舎で作れるのか?」
虎の国は、猫の国やイヌの国と比べると、魔法も科学も大分遅れているため、複雑な組成の薬物を合成できる設備は王都などの大都会にしか存在していないのだ。
無論、こんな田舎領地にそんな設備はなく、日夜研究している王都の学者達が厳密な規定の上で定めた薬物の検査法の裏をかく薬品など造れる訳がない。
「まあ、確かにこの国のショボサには驚いたけどね」
二十四時間かけて、屋敷にあった文献と本を全て読破したセリスは、この国の技術の低さに驚いた。
「最速の乗り物が蒸気機関車って、どっかの観光地の話しかと思ったよ」
かって彼の住んでいた世界は科学と魔法が発達し、人々は遙かな星々の行き来しその版図を広げ、さらには遺伝子を改変しあらゆる生物を創造していた。
その彼の視点から見ると、この国は非常に歯がゆい物である。
ここ百年、魔法も科学もほとんど発達していないのだ。
まあ、その方が彼にとってもやりやすいのだが、
「ま、それは僕の腕の見せ所だから気にしなくていいよ」
305虎の子sage2005/05/14(土) 01:04:48 ID:rKKUpa3X


セリスにあてがわれた部屋は埃だらけの書庫だった。
この屋敷の人達は本を読む習慣がないらしく、ほとんどの蔵書が読まれた形跡がない。
もっとも、こういう埃臭い所をセリスは嫌いではなかった。
長い時を過ごした場所はそれなりに威厳があり、掃除さえ丁寧にしてあれば問題はない物だ。
「さて、始めるか」
腕をまくって前に置かれた器具に向かい合う。
街の薬屋から持ってきた特に珍しいという器具ではないが、それも扱う物の腕次第でどんな事でも出来るのだ。
既存の薬品を秤にかけて計量、その後に熱処理などの様々な処置を施し、薬を精製する。
「何か用、ご主人様」
後ろにゆっくり忍び寄っていたミリアに、セリスは顔も向けずに用件を伺う。
「な、何で分かったの?」
「伊達に魔王なんて物やってないよ。それぐらい分からなくちゃ、僕がご主人様に仕えている価値はないでしょう」
背後を振り向き瓶詰めにした黄白色の粉末をミリアに差し出す。
306虎の子sage2005/05/14(土) 01:05:27 ID:rKKUpa3X

「この粉末はおおよそ一ミリグラムを摂取すると既存の薬品とは全く違う原理で脳内物質のアドレナリンを分泌させて、多幸感を増進させるんだ。舐めてみる?」
まるで自分の玩具を見せびらかす子供のような表情で、セリスはミリアに進める。
勿論冗談である。
「え、いいの」
面白そうにビンの蓋を開けようとしたミリアから、セリスは薬を奪い取った。
「何するのよ!!」
「それはこっちのセリフだよ!! 僕の話聞いてなかったの!?」
進められた麻薬を安易に飲もうとするなど、当然ながらセリスは予想もしていない。
「――――ラムネか何かじゃないの?」
「違う、全然違う!! これは麻薬なの!!」
セリスの言葉にミリアが絶句する。
307虎の子sage2005/05/14(土) 01:07:43 ID:rKKUpa3X


「な、何でそんな物を持ってるのよ!?」
「この領地は山岳地帯だからね。気候や地形を考えると、作物の収穫上昇はこれ以上望めない。かと言って通行の要でもないし、大した資源もない」
そこまで言ってセリスは指を一本立てて続けた。
「収入を増加させるには、何か産業が必要になってくるんだけど、利率や輸送費を考えると、麻薬産業でもやらない儲からないんだ。ざっと試算した結果、半年後には一ヶ月で今現在の十年分の収入が手に入るよ」
呆れたようなセリスの説明にミリアは目を丸くした。
「そんなにお金を集めて、戦争でもするのよ?」
「近いけど違うね。軍事じゃなくて政治、ご主人様の出世のために必要なお金さ」
完成品の麻薬を弄びながら、セリスはにっこり微笑む。
「出世って」
「仮にも僕が仕えるんだ。ご主人様にもそれなりの地位と権力を持って頂かないと」
そしてミリアの頭頂から、足下まで一瞥して溜息一つ。
「まあ、知性とか、スタイルとか、品性は妥協するとして」
「どういう意味よ?!」
「ん? ひょっとしてご主人様、自分は頭脳明瞭なスタイル抜群の淑女だと思ってるの?」
「うぐっ」
そう言われてしまうと、心当たりの多すぎるミリアに反論できない。
「あ、あんたね。仮にもあたしはあんたのご主人様なんだからもっと尊敬しなさいよ」
「うん、尊敬してるよ」
「……………本当?」
「建前だけは」
ミリアの疑わしい視線にセリスはあっさり本音を漏らす。
「なによそれ!?」
308虎の子sage2005/05/14(土) 01:08:17 ID:rKKUpa3X


「ご主人様、学校の成績、理数系全然駄目でしょう」
「そ、そんな事無いわよ」
奴隷の冷たい視線にミリアは目を逸らす。
無論の事ながら、数学と科学で成績が最底辺を這っている事など秘密である。
「別にいいけど、子供じゃないんだから、他人があげるって言った物を無闇に口に入れないでよ」
「そんな事するわけないでしょう!?」
「………本当かな」
「本当よ!!」
胸を張るミリアだがその姿勢は、精神的にも肉体的にも男を説得する力はなかった。
「まあいいや、それよりお茶にしよう。丁度クッキーを焼いておいたからね」
セリスはお茶の準備を始めた。
309虎の子sage2005/05/14(土) 01:08:57 ID:rKKUpa3X
「思うんだけどさ。あんた仮にも魔王なんでしょう。何でこんなに料理が上手な訳?」
紅茶を啜りながら、ミリアはふと疑問に思った事を口にした。
この召使い、自称魔王などと言っている割には家事がやたら上手なのである。
料理も掃除もそこらの使用人より、余程腕がいいのだ。
「家事は趣味みたいな物だからね。昔旅してた時は良くやったんだ」
セリスは主より余程優雅な仕草で、焼いたクッキーを頬張っている。
「それより、あたしは別に出世しなくてもいいわよ。そんな麻薬まで作ってまで」
「う〜ん、我が主はおかしな事を言うな」
手にしていたカップを置いて少年はミリアの顔を覗き込んだ。
黒髪が白い頬を滑り、紅い瞳がミリアの鳶色の瞳を見つめる。
その仕草にミリアの脈拍数が急上昇した。
310虎の子sage2005/05/14(土) 01:10:24 ID:rKKUpa3X


「ご主人様は何か欲しい物はないの? 僕は魔王なんだから、大抵の願いは叶えられるんだよ。大海すら埋め尽くす金銀財宝、いかな敵も打ち倒す力、最高の快楽に不死の命さえ望むならばご主人様の物なんだよ」
魔王――魔を統べる王に与えられる称号は伊達ではない。
不可能を可能にし、矛盾を現出し、不条理を操り、理不尽を振りかざし、限界を突破し、真理をねじ曲げ、彼方を見通して、その全てを超えてもなお届かぬ領域に魔王の力はあるのだ。
たかが虎人の小娘一人の願いなど叶える事など造作ない。
「そ、そんな事言われてもね」
赤くなった頬を隠すようにミリアは目を背ける。
元々ミリアは世界征服の野望とか立身出世とかには全く興味がないのだ。
それなりの欲をもつを持つ者なら喜び勇む申し出も、ミリアにとっては特にどうという物でもない。
さすがの魔王も無い願いは叶えられない。
311虎の子sage2005/05/14(土) 01:11:55 ID:rKKUpa3X


「……………ご主人様って馬鹿なのか善人なのか………どっちかって言うと馬鹿だよね」
「このっ!!」
「ま、一回試しに権力の椅子に座ってみたら? 気に入るかもしれないよ」
怒れる主の拳をひらりひらりと、軽くかわしながら麻薬入りの瓶でお手玉する。
「このっ!! このっ!!」
不遜なる召使いに鉄拳の制裁を加えようとするが、全く持って当たらない。
「そう言えばご主人様、体はおかしくない?」
「何の事よ!?」
突然、両足から力が抜けてその場にへたり込む。
「な、何!?」
体に力を入れて起きあがろうとするが、筋肉に全く力が入らず指の一本も動かない。
「まあ大体これぐらいか、予想通りだね」
「い、一体何をしたのよ!?」
「何、ちょっとした軽めの麻薬をクッキーに練り込んでおいたんだよ。筋弛緩の効果がある薬でね。さすがの虎人でも、しばらくは動けないよ。あ、副作用とか依存性はないから安心してね。ちょっとした、実験だよ♪ 実験♪」
小唄でも口ずさみそうな調子でセリスはミリアを見下ろした。
312虎の子sage2005/05/14(土) 01:12:29 ID:rKKUpa3X


「自分の主の体で実験するなんて、何考えてるのよ!?」
「だってー、ご主人様って根っからの野生児って感じだから、そう言う猛獣っぽい感じの虎人にもこの薬が効くかどうか調べたかったんだよ」
胸元に手を合わせて可愛く『てへ』と舌を出して主の怒りを緩和しようとしたが、ミリアはお気に召さなかったようだ。
「こ、殺す!! 体が動いたらいの一番にあんたをぶっ殺してやるわっ!!」
「おお、怖い。怖い。だから言ったでしょう。他人に貰った物をほいほい食べるなって」
主の恐ろしい宣言にセリスはやんわりと微笑んだ。
「だからって、ご主人様の食べ物に毒を盛るなっ!!」
「大丈夫だって、二、三十分もすれば麻痺は取れるから、じゃあね」
そのままミリアを放置してセリスは扉を開く。
「ちょっとどこ行くの!?」
「僕はこれでも忙しいんだ。ご主人様の遊びに付き合ってる暇はないんだよ」
それだけ言うとセリスはミリアを放置して、さっさと部屋を後にした。
「こ、この、後で憶えてなさいっっ!!」
それなりに大声で叫んだはずだが、ミリアの言葉はセリスの耳には届かなかった。
313虎の子sage2005/05/14(土) 01:13:19 ID:rKKUpa3X

以上、エロは次回という事でご容赦ください。
314名無しさん@ピンキーsage2005/05/14(土) 05:11:04 ID:8L8mFBOg
[壁]∀・)ドキドキ
315名無しさん@ピンキーsage2005/05/14(土) 10:23:15 ID:s83He6Cw
お茶+筋弛緩剤+放置プレイ・・・

事前にトイレに行っとけば良かったと
後悔しても遅いんだよね
316名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 00:00:01 ID:h/UnOJ+s
あっしたら!あっしたら!
朝起きたら投下されていることを願いつつ就寝
317名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 00:25:06 ID:dKXdm1EU
  テスト
 
 やっと帰ったよ〜。あと20分ぐらい・・・
318名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 00:41:09 ID:lmbpSvMD
     .∧_∧
     ( ・∀・) ドキドキ
     ( ∪∪
     と_)_)
319『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:14:07 ID:dKXdm1EU
 まだなだらかなご主人様の胸を思う存分に蹂躙するぼく。
 『ちゅ、じゅちゅっ・・・れるれる・・・』
 「にゃ――っ、ダメにゃ、ヘンになっちゃうにゃ――っ!! 」
 一際強く吸った時、ぼくの下にプッチリとした感触・・・少しコリコリしていて、
刺激するとビクンとご主人様の小さなカラダが跳ね上る、敏感なスイッチ・・・
 『れるれる・・・』
 ぼくは唇を離し、滅多に外気に触れなかったであろうその可憐な乳首を溜息を
ついて眺める。桜色のピンと立った突起は唾液にまみれ、湯気が出そうなほど・・・。
そしてぼくはおもむろに、ご主人様に見せつけるようにして舌先で突付いたり
弾いたりする、舌先で押すと乳首がもとの位置に戻ってしまいそうなので注意する・・・
 「にゃ!? わ、わたしのおっぱい・・・の、さ、先っぽがおかしな形になってるにゃ・・・」
 いままで乳輪の中に隠れていたはずのピンクの尖った乳首を見て体が変質して
しまったかの如く衝撃に震えるご主人様。それを見て少し冷静さを取り戻すぼく。
 「イタイんですか・・・?ちゅ・・・ん・・・」
 「にゃふ・・・にゃんか先っぽの根元がジンジンしてるカンジにゃ・・・そ、そんにゃに
エッチに舐めたら・・・イジメるのはだめにゃ・・・」
 せつなそうに身を震わせるご主人様にぼくは噛んで含めるようゆっくりと言う。
 「それはまだ乳首の根元がキツキツだからですよ・・・何度もやればすぐに
慣れますから・・・」
 「に、にゃんども!! 」
 ビクンとぼくのカラダの下で震えるご主人様。10年後とは大違い・・・可愛いすぎます・・・
 「そうですよ〜、こうやって皆オトナのおっぱいになるんですから・・・あ、反対側も
同じようにしないと・・・えいっ!ちゅむっ・・・」
 と、まだ蹂躙されていない反対の乳首にも吸い付くぼく。中に隠れてる乳首を出そうと、
まだ敏感な場所に対して、遠慮なしに隠れている乳首を搾り出すようにキツク
吸いたてていく・・・
320『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:16:18 ID:dKXdm1EU
 「ひにゃ――っ!! あっ、あっ・・・」
 不意の攻撃に細いウエストをのけぞらせて悶えるご主人様。ぼくの体の
下でピチピチと跳ねる若鮎の感触・・・
 「うにゃあっ!! いきなりはダメにゃあ!! ふにゃ、あひゃ、にゃっ、みゃっ・・・」
 油断していたご主人様の反対の陥没乳首にもたっぷりと舐り、オトナ乳首に
してあげる。声にも僅かながら甘いものが混じっているのに気がついた僕は
さらに丹念になだらかな胸の上の小さな突起をくるくると、てろてろと舌で
愛撫していく・・・


 さて・・・突然だが、その召使いの心の中の心象世界・・・――
 とある海に浮かぶ小さな孤島。風は心地よく、空はどこまでも青い。紺碧の海の
波は強いがキラキラと光り、召使いの心根の良さと芯の強さを容易に想像させる。
そしてその堤防の上にマナの召使が立っていた。その服装はというとなぜか
ニッカポッカ姿に半纏というとび職のような格好。さらに後ろにはなぜかソラヤが
立っていて、きっちりとした作業服の下にワイシャツとネクタイを着込んでおり、
スーパーゼネコンの社員みたいな格好だ。
 「あははは〜!! やっぱり海は日本海じゃけんの〜!ね、ソラヤくん!! 」
 海風吹く中、マナの召使が腰に手を当て、菅原文太のように防波堤の上に
仁王立ちして言う。それを見て後ろのソラヤがやれやれと呟く。
 「広島弁のクセに日本海ですか?それよりもお兄さま、たかが小娘の扁平な胸
一つで見苦しく心を乱さないでください!! そんな小さな胸がいいならボクのを・・・
モジモジ・・・」
 と、手に持った設計図らしき物をモジモジと握りつぶすソラヤ。よく見れば召使いの
心の中の理性をつかさどる堤防のそこらかしこはヒビだらけのようだ・・・。
 「ご、ごめんね・・・だって、でも、ご主人様のおっぱい・・・ロリロリで、陥没してて・・・
はわわわ・・・」
 
321『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:17:53 ID:dKXdm1EU
 シュンと下を向くが、さっきの衝動を思い出したらしく、孤島の周りの波が
召使いの心に反応してたちまち荒れ始め、うねり出す。
 「わ、わっ!! お兄さま、落ち着いて、落ち着いて!! 」
 「はわわわ・・・えっと『の』の字をかいて10回飲み込む・・・」
 なんとか心の動揺を収めたのか、堤防を乗り越えようとした波はまた静かに
おさまっていく・・・


 ――さて現実界では・・・
 『コ、コホン・・・』ぼくは小さく咳払い。
 「にゃ・・・?」
 凹凸の少ない清純なロリロリボディに全く不似合いな2つの乳首をピンピンに
立たせたまま、トロンとした目でぼくを見るご主人様。バンザイをしたように
投げ出されたシーツの上の二本の腕が悩ましい・・・。呼吸はまだ浅く、
気だるげに、そして時おりピコピコと猫耳を振るわせる幼いネコ耳美少女・・・。
ぼくはドキドキしてしまって眩しげに視線をそらしたまま口ごもりつつ言う。
 「えっと・・・あの、下の方も・・・ご奉仕しますね・・・」
 返事も聞かずにぼくは胸の谷間らしき部分から舌を這わせてゆっくりと
下に下にと滑らせていく・・・
 さすがにそこまでするとぼくのやろうとしている事が判ったご主人様。大きな
瞳にすぐに焦点が戻り、慌てて叫んだ。
 「にゃ!! にゃにゃっ!! もう終りじゃにゃいのきゃ!? そ、そんなコトまでするのきゃっ!! 」
 自由になった両の手を使い、ホットパンツの上から大事な部分を腕でしっかりと
ガード。でもぼくもここまで来てやめるわけにはいかないので、必死に説得。
ご主人様の性格は把握してるんです・・・
322『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:19:49 ID:dKXdm1EU
 「そ、そうですよ、みんなシテますよ〜、あのミルフィ姫だって実はもうとっくに・・・
それにぼくの舌が毎日ヒリヒリするぐらい教え込んだのはご主人様じゃ
ないですかぁ〜」
 必死で言葉を並べるぼくだが、ミルフィ姫という単語が一番効いたらしい。
 「にゃっ!! あのミルフィも・・・にゃふ・・・やっぱり、あんにゃに胸が大きいのは
やっぱり毎晩・・・こ、このわたしがあのホルモン異常のふくらし娘(こ)に遅れる
ワケにはいかにゃいにゃ・・・!」
 ぼそぼそと思っている事を口走りながらご主人様は考えてる。で、
心を決めたらしい・・・
 「ううっ・・・じゃ、じゃあ、そ、その、教えた通りにやってみるにゃ・・・う
・・・や、やさしくにゃよっ!! 」
 どうにでもなれ、みたいな感じで上半身ハダカのまま、大の字に仰向けになる
ご主人様。両手はホントは顔を隠したいのか、中途半端に頬に当てては
シーツの上をさ迷う。
 「そ、それじゃいきますね・・・」
 それでは気が変わらないうちに再開とばかりに、ぼくの舌はみぞおちをすべり、
キレイなお臍の周りを焦らすようにゆっくりと一周する、そしてお臍のしたの
ぷにっとした下腹にチュッチュッとキス。舌はヒクヒクと動く腹筋の動きを拾う・・・。
ちょっと10年後のペタンとしたお腹よりぽんぽこしてるかも・・・
 体勢をご主人様の足元に移動し終えて、ゆっくりと身を起す。
 「えと・・・それじゃ、脱がしちゃいますね・・・」
 少し恥かしいので、ご主人様の顔を見ずに早口で言うと、ホットパンツに手を
かけた。これからはスカートも穿くように教育しなくちゃなどと他愛もないコトを
考えながら留め金を外しゆっくりと引き降ろす・・・『くいっ』と小さなお尻を上げて
協力してくれるご主人様がいじらしい・・・
 「う、うあ・・・こ、こどもパンツ・・・」
 
323『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:21:51 ID:dKXdm1EU
 「う、うあ・・・こ、こどもパンツ・・・」
 現れたのは白地のコットンに前には小さなピンクのリボンのついたお約束の
こどもパンツ・・・。もちろんレングスの切れ込みは全く無く、サイドの幅は
10cm以上ある。お尻のほうに漫画チックなキャラクターのワンポイントが
あるらしいが今の体勢では良く判らない。あまりにもゆったりとした生地の
せいで布のしたのフォルムは今ひとつ判らないが、大事な所の部分は逆に
そのたっぷりとした布の織り成すシワがぼくの妄想を否応なくかき立てる。
そしてぼくはごくり、と唾を飲んでゆっくりとそのコットンパンツを引き降ろしていく・・・。

 「にゃ、こ、こどもパンツっていうにゃっ!! わたしだって勝負パンツぐらい
持ってるにゃ!! 」
 「・・・・・・・・・」
 「ほ、本当にゃっ!! 黒色のチェックで・・・ブ、ブラはまだにゃけど・・・にゃふ?
ど、どうしたにゃ・・・わたしのアソコ、ヘンにゃのきゃ?」
 召使からの反応がない。ワナワナと『東京ニャウニャウ』のキャラクターパンツを
握り締めて身を震わせている・・・なんかさっきの時と同じようなデジャブ感が
マナを襲う・・・

 ――さて、それではもう一度召使いの心の中・・・
 『どっぱ――ん!! どっぱ――ん!! 』
 堤防に打ち付けるすごい波。うねりはほとんど堤防すれすれに見え、堤防に
囲まれたその孤島はまるで波間に浮かぶ小船のよう・・・
 「うわっ!! お兄さまっ、気を確かにっ!! 」
 飛ばされないよう側の手すりにしがみ付きながら叫ぶソラヤ。その横でしゃがみ
込み、手をつきワナワナと震えるお兄さまといえば・・・
 「ご、ご主人様の・・・アソコの毛が、毛が・・・。発、中、白板で・・・。タテ筋が・・・」
 などと、人間として言ってはいけないセリフをうわ言で呟いていて・・・
 「お兄さまっ!! は、早く気を確かにっ!! け、毛がないくらい、ボクのだってまだ・・・」
 それでもそんな情けない姿を見てもくじけないソラヤ。気を取り直し携帯を
取り出すと大好きなお兄さまの心の堤防の決壊を防ごうと指示をとばす。
324『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:23:26 ID:dKXdm1EU
 「第12バンチに破孔できました!! ダメコン急いでっ!! 」
 「21ブロックの擁壁低いよ、なにやってんの!! 」
 とソラヤの獅子奮迅の活躍が続くマナの召使いの心の海・・・

 ――それでは再び現実界・・・
 ピタリ・・・と召使いの震えが止まり微妙な沈黙が訪れる・・・
 「にゃぁ・・・」
 不穏な様子にそおっと脱出しようとおずおずと足を閉じようとした
マナだったが、その瞬間。
 「ご、ご主人様――っ!!!!!!!!!!」
 「うにゃ――っ!! またにゃ――っ!! しかも『!』が増加してるにゃ――っ!! 」
 がばっとマナの太ももをこじ開け、足の付け根にむしゃぶりつく召使。舌が
マナの大事な部分に荒々しく割って入る強烈かつ未知なる感触に総毛を
震いながら叫ぶ。
 「にゃ、みゃっ、ふにゃ――っ!! ダメにゃ、こんにゃことヘンにゃ――っ!! 」
 ポカポカと召使いの頭を叩く。たんこぶが何個も出来るが痛みを感じないのか
召使は舌を使いまくり、マナのスリットを犯し、めくり上げるように舌を使っている・・・。
じたばたとマナがもがくうちに時計の秒針は1周、2周、そして3周にさしかかり・・・
 『ひにゃぁ・・・舌が・・・舌が、舐めるだけじゃなくて細かく震えてるにゃ・・・みゃ、
あっ、ん・・・ソコは、ソコは剥いたらダメにゃ、まだ自分でもこんな奥まで・・・
にゃふ・・・はにゃん・・・』
 ポカポカと召使を叩いていた手はいつしか喘ぎをおさえるかのように
人差し指を口元に当て噛み締めている。
 「ダメにゃ、そんな所・・・キタナイにゃぁ・・・ソコはオシッコのぉ・・・出るトコ
にゃのにぃ〜・・・んっ、んっ・・・」
 首まで真っ赤にしながら、目に涙をにじませてイヤイヤをするご主人様。
歯止めの効かなくなっているぼくはそのご主人様を煽るようにネットリと舌を
使いながら言う。
 「ふふ・・・違いますよ、オシッコの穴はココですよ・・・ちゅ、ちゅうぅぅ・・・」
 ツンツンと固めのスリットを両方の親指で割り広げ、花芯と秘裂の間の部分を
舌でつつき、ピンポイントで吸う・・・。
325『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:25:41 ID:dKXdm1EU
 「ひにゃああああああっ!! 」
 ロリロリのボディを懸命に反らせて悲鳴をあげるご主人様。まだ肉の
乗り切っていない太ももがぼくの頬を強くはさむ。そして思わずオシッコが
漏れそうになったのかメチャクチャにご主人様のツルツルのスリットがぼくの
舌をぎゅいぎゅいと締め付ける・・・。ぼくはその太ももの感触に陶然となりつつ、
舌使いをエスカレートさせていく・・・
 『ぴちょ、ちゅ、んっ・・・じゅちゅっ・・・ちろちろ・・・』
 「ふふ・・・トロトロなのが出てきましたよ・・・オシッコの所も好きなんですね・・・ん・・・」
 「ふにゃああああっ、だめにゃ、あっ、にゃっ・・・やめ、やめるにゃ・・・もっ、
漏れちゃうにゃ、ふにゃあああん!! 」
 舌先で尿道口をつつくたびに幼いスリットはぼくの舌を締め付ける。そして
知らないうちに随分感じ始めているのか、キツイ秘裂から押し出された熱い
トロミがピュッピュッと噴き出て、ぼくの唇を熱く濡らした。時おり毛がない
恥丘全体のプニプニ感も舌の腹全体で味わったりする・・・
 「出る、来ちゃう・・・ヘンにゃのがぁ・・・来るっ、はにゃぁん・・・」
 パクパクと掠れた悲鳴をあげるご主人様。ぼくに舐められながらも、無意識の
うちに腰をブリッジのように反らせて浮き上がる。ぼくは離してなるものかと腰に
手をまわしさらに深く舌を侵入させる、同時に浮き上がったスベスベの小さな
お尻をもみしだく。
 最早舐める、というよりかぶりつき、むさぼるような激しいクンニリングスの感覚は
幼いボディには元より耐えられるはずもなく・・・
 「ふ、ひぐっ、み゙ゃ〜っ!・・・ゔ?に゙ゃあああああああああ!!!」
 目を見開くご主人様。ぼくの舌は引き抜かれそうに一旦秘裂の奥に
吸込まれそうになって・・・
 「あっ、あっ、ひっ・・・ひっ・・・はにゃ――んっ!」
326『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:27:03 ID:dKXdm1EU
 ブリッジの体勢のまま熱い蜜を噴きこぼしながらイクご主人様。10年後と違い、
これだけ激しくイッたのにまだ蜜はあまり白濁してない感じ・・・痙攣の度に肩を
つけたブリッジのまま、さらに腰を突き上げるような動き。ぼくはそのご主人様の
快楽が長引くよう、お尻の割れ目の始まりから花芯の上までを真っ直ぐ『ずっ、
ずっ・・・』と規則正しいテンポでなめ上げながらシッポの付け根を引っかくように愛撫。
しかし今のご主人様にはこのフルコースの奉仕は10年早かったみたい・・・ぼくは
やりすぎてしまった様だった。ブリッジのまま固まったご主人様が息を
詰まらせながら声を発し・・・
 「ひ・・・に゙ゃふ・・・」
 『ぷしゃ――っ!! 』
 ぼくの唇に感じる大量の暖かい液体。
 「ぷはっ!? 」
 口を離し、慌てて顔を上げるぼく。ご主人様はカラダをヒクヒクさせながらブリッジの
ままお漏らししてしまう。腰をあげ、顔を両手で隠しながらうわ言のように言う。
 「ふにゃ!? 止まらにゃいにゃぁ、オシッコ、出てる、出ちゃってる・・・ふにゃあああん・・・」
 キラキラとそれはアーチをつくり、シーツを飛び越し床に落ち、水溜りをつくっていく・・・
 どうやらあんまり微妙な場所を舌で刺激してしまったのが原因なのか、イッた瞬間に
膀胱が決壊してしまったらしい・・・ずいぶんショックを受けているご主人様にぼくは
一気に一時の激情から冷めてしまう・・・

 「あ、あの、その・・・ご主人様・・・」
 猫耳の内側まで真っ赤にしながらもシーツの上にペタンと座り込んで呆然と下を向く
ご主人様。でもシッポは神経質にシーツを叩いていて怒鳴られるよりコワイです・・・
 『黒コゲに・・・いや、虫とかにされちゃったらどうしよう・・・あわわ・・・』
 ずいぶんと調子付いてしまい、今更ながら自らしでかした事に恐れおののくぼく。
なんとか機嫌を直してもらおうととりあえず細かく震える肩にそっと手を置こうとするが・・・
 『がばっ!! 』いきなりベッドから踊り出るご主人様。
 「ひいい〜っ!! お助け〜っ!! 」
 ベッドからずり落ち、頭を抱えてしゃがみ込むぼくだが、ご主人様はというと・・・
 「ゔにゃあああ・・・」
 と、半べそになりながらシーツを引っぺがしてゴシゴシと恥かしい水溜りをふき取っている。
327名無しさん@ピンキー2005/05/15(日) 01:28:54 ID:dKXdm1EU
 「はは・・・は・・・」
 安堵の溜息をつくぼくをキッと睨みつけるご主人様。
 「お、お前っ!! 」
 「は、ハイっ!! 」
 その迫力に思わず床に正座して返事するぼく。ご主人様は全裸だけれども、
体よりもその自分が作った水溜りをぼくから隠すようにして必死でふき取ってる・・・。
そしてぼくに言う。
 「い、いまのコト・・・だ、誰かに・・・特にミルフィとかに言ったら、殺す!! 燃やす!!
アブラムシにしてやるにゃっ!! 」
 「は?・・・えっと、今のって・・・お漏らしのコト・・・わぷっ!! 」
 「わたしが言いにくいコトを平然と言うにゃ――っ!! 」
 と、シーツをぼくの顔に叩きつけるご主人様。うわ、ばっちい・・・

 そして手どころかシッポまでつかって床を叩きながら言う。
 「わたしの召使ならもっと主人の言う事を聞くものにゃっ!! 」
 「は、はい・・・ごもっともですぅ・・・」
 シュンとするぼく。そんなぼくを見てご主人様は機嫌を直したらしい。と、いうか
お漏らしの原因はぼくの尿道責めのせいというのがまだ判らないらしい・・・
 そんなコトは露知らず、ご主人様は手を腰に当てて仁王立ち。正座したぼくの目の
前にご主人様のがアップで・・・ああ絶景かな、絶景かな・・・じゃなくて、なんてはしたない・・・。
 ご主人様のセッキョーは続く・・・
 「だいたいお前は強引過ぎにゃ!! もっと初めてのおんにゃのコにはやさしく
するものにゃ・・・分かったらちゃーんと心に刻んでおくにゃ、ついでにわたしの
秘密をしゃべらにゃいコトも刻んどくにゃ・・・にゃふ、ちゃんと聞いてるのきゃ?」
 「・・・えっ?・・・は、初めて・・・」
 ぽそりと呟く召使。
 威厳を保とうと、腰に手を当てて先ほどの失態を取り戻そうとするマナであったが・・・
 「にゃ、にゃんとか言ったらどうにゃ・・・」
 だが召使は正座したままブツブツと呟きながらその肩は小さく震えてて・・・
 「気のせいか、にゃんどもこんなシーンに出会ってるようにゃ気がするにゃ・・・」
 
328『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:30:34 ID:dKXdm1EU
 強気の姿勢とは裏腹に、シッポと猫耳の動きは警戒するようにペタンと
寝かせている正直なマナ姫・・・

 ――やっぱり召使いの心の中・・・
 召使いの心の堤防はボロボロになりつつもなんとか残っていた。ヒビや崩れを
応急に補強した後が生々しい・・・
 「ふう・・・波もやっと収まってきましたね・・・」
 さっきまで獅子奮迅の活躍をしたこの世界の良心的存在であるソラヤが袖で
額の汗を拭って言った。さっきまで役立たず・・・というか、諸悪の根源である
隣にいたお兄さまが晴れ晴れとした顔でシャアシャアと答える。
 「ね、大丈夫だったでしょ。ぼくの心の堤防は滅多な事じゃコワレないもの。ぼくの
理性と自制心って強いんだよっ!! 」
 と、力瘤のでないガッツポーズなんかをソラヤに見せ付けてるマナの召使。海に
向かって「日本のNGOは世界イチ〜!! 」とか叫んでいる・・・。そんなのん気な
お兄さまを見てソラヤは溜息。
 「まったく・・・お兄さまったら・・・でもあれだけの波を乗り切ったんだからもう
平気かな・・・今日はごほーび貰わないと・・・」
 と大好きなお兄さまのはしゃぎ様を見て一人ごちるソラヤであったが不意に孤島の
中央にある鉄塔の上に設置されているサイレンが『ウ――、ウ――、ウ――ッ』と、
鳴り響いた。
 「えっ!? ・・・」
 頭上を振り仰ぐソラヤ。サイレンの後、緊急放送がけたたましく響く。
 「沖合15キロの地点で直下型の激震が発生しました・・・付近の島嶼の方々は
くれぐれも激しい津波に注意して下さい・・・繰り返します・・・」
 「え・・・」
 慌てて視線を沖合いに向けるソラヤ。
 「ああっ!・・・大きい・・・」
 水平線がすべて白く泡立っている。それが凄まじい速度で押し寄せて来る。しかも
近寄ってくるだびに白い線は徐々に高さを倍倍に増してくるのだ・・・。高さはこの島の
心の堤防のゆうに5倍以上。慌ててお兄さまの居る方を振り返るソラヤ。
329『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:33:25 ID:dKXdm1EU
 「お、お兄さまっ!! これはいったい・・・」
 と口を開いた瞬間に大瀑布が到達した。防波堤など何の役にも立たない・・・。
視界一面に弾ける白い波。そして最後にソラヤの耳に入ったのは・・・
 「ご主人様が処女――――ッ!!!!!!」
 という、お兄さまの雄叫びだけ・・・

 ――さて、そろそろゴメンナサイ、現実世界・・・

 「ご主人様――ッ!!!!!!!!!!!!!
                         !!!!!!!!!!!!!!!!!」

 「またにゃーっ!! とっとと離すにゃ、こ、こらっ、勝手にパンツ脱いだら・・・。ひ、ひいっ!!
うにゃ――っ!! な、な、な、なんにゃそれは、そのエグイにょわ・・・そんなのわたしの
お大事に入ったら裂けて壊れるにゃ――っ!!!!」
 と、またもやベッドに押し倒されるマナでありました・・・
330『あしたら』sage2005/05/15(日) 01:35:06 ID:dKXdm1EU

 
  ちょっと休憩・・・すぐ再開。

  『虎の子』さん、すぐにアップしてすいませんです。
  
331名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 01:49:26 ID:lUfof+dX
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
332『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:09:38 ID:dKXdm1EU

 「ハァハァ・・・あ、怪しげなオモチャや他人に奪われるぐらいなら、いっそのこと
この僕が・・・」
 「そ、そんなわたしに対する勝手な義務感にゃんてお前に全く必要にゃい
にゃ――っ!! 」
 ベッドの上でジタバタと揉み合う二人。まだ幼い猫姫とアドレナリンに満ち満ちた
召使いの力の差が徐々に表れてくる・・・。力ではかなわないと知ったマナは
説得を試みようと不本意ながら得意の泣きまねまでして言う。
 「ぐしゅ・・・うにゃあ・・・こんにゃの入れたらきっとヒドイ事ににゃるにゃ・・・まだ
わたしはこんな小さいのに・・・まだ早いにゃ、ひどいにゃ、にゃううぅ・・・それでも
 シたいにゃら、勝手にわたしのカラダを勝手に引き裂くといいにゃ・・・うっうっ・・・」
 顔を伏せて力を抜いて観念したフリ・・・。単純な召使は一瞬、我に返り、自分の
しでかしたコトを見つめなおし罪悪感にひれ伏す・・・ハズだったが・・・なんか
ブツブツと言ってる。
 「10年後のユナ様と、今のユナ様は同じ姿・・・で、10年後ではぼくとエッチしてて・・・
今のユナ様とご主人様が同じような年恰好で・・・とすると、
『10年後のユナ様=今のユナ様=今のご主人様』だから・・・」
 「にゃにゃ・・・?」
 つかの間見つめ合う二人。そしてさらりと召使が言う。
 「あ、問題ないみたいです・・・それでは改めて・・・ご主人様――っ
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」
 ガバッと覆い被さる召使。マナが自らの渾身の演技に油断して隙ができたのか、
膝をこじ開け、召使いのカラダを割り込ませることを許してしまう・・・
 「にゃ――っ、そんにゃあっさり言うにゃ――っ!! 」
 さらに召使いの両手で頭を優しく抱きしめられ、耳元で囁かれる。
 「だいじょうぶですよ、初めはアレですけど、すぐにキモチ良くなりますよ・・・」
 「ウソにゃ!! そんにゃ規格外のモノ、入る場所にゃんてにゃいにゃよ!! それに
『アレ』ってなんにゃ・・・にゃン!! 」
333『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:11:22 ID:dKXdm1EU
 不意にネコ耳をパクっと咥えられてヘンな声を出してしまう。そして耳の内側を
なめらかなヒトの舌で愛撫されながら囁かれる。
 「大丈夫ですよ・・・ほら、ご主人様のアソコ、もうこんなに開いてきてます・・・
判るでしょ・・・ほら、熱く濡れてきてますよ・・・」
 「にゃ?・・・」
 不審気な顔をしたマナだが、召使いの腰が緩やかに動くと唐突に理解した。
 「みにゃっ、あっ・・・お前の熱いのが、わたしのアソコにごりごりって・・・
くいこんでるにゃ・・・」
 「ほら・・・だんだん開いて、ぼくのを自分から吸い込みそうになってきてますよ・・・
ぱく・・・ちゅ、んっ・・・ふうっ・・・」
 「はにゃぁん・・・そ、そんにゃコトにゃいにゃ・・・ダメにゃ、あっ・・・ゴリゴリしたら・・・
ク、クリ・・・お豆がはみ出ちゃ・・・みゃ、んにゃ・・・」
 耳の中に息を吹きかけられてビクビクとしながらマナは必死で言うが声は最後の
ほうで小さくなる、召使が年恰好からは信じられないほど巧みにクイクイと腰を
擦り付けるたびに徐々に接合部から『チュクチュク』と水音がし始めたからだ。
もちろんそれがどっちの出した液体なのか、と言うのはそれを出した本人が
一番良く知っていて・・・

 拒絶の言葉はすでに小さく、言い訳のようなうわ言と化している。しゃべるよりも
ぼくに抱きしめられながら細く熱い吐息をぼくの薄い胸板にせつなく紡ぎ出すのが
精一杯というところ。ご主人様の状態といえば、オトコのモノを受け入れたい
と言う気持ちよりも、自分の意志に反し勝手に受け入れる準備をしているカラダが
理解できない、のであろう。せまる快楽と欲望にワケの判らなくなってきた
ご主人様がぼくに自らしがみ付く。腰だけでなく互いの胸を合わせるように
擦りあわせるとツンと立った二つのポッチが互いの胸でつぶれ、さらにぼくの
ポッチとかみ合って二人、電撃に触れたような快感に震え合う。ぼくはそんな
ご主人様の頭を優しく撫でつつ、さらにネットリとご主人様の耳の弱い所を舌で
いじめながらそっと言う。
 「ご主人様・・・いきます・・・ご主人様のはじめてを・・・ぼく」
334『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:13:42 ID:dKXdm1EU
 「にゃ・・・にゃあ・・・」
 ふるふると黒いネコ耳の内側まで真っ赤にして首を振るが完全な
拒絶ではない・・・。長い睫毛の下で光る瞳は潤んで蕩けていて・・・
 『クチュ・・・』手をそえたシャフトの先をスリットを滑らせるようにして目的の
場所に位置を合わせる。少し揺すって食い込ませるようにすると、タテ筋の
スリットのくせに、小さなヒダが・・・というより薄いピラピラがぼくの亀頭部分に触れた・・・
 『ふふふ・・・こんな小さくてもちゃんとあるんだ・・・』
 なぜか微妙に感動してしまうぼく。これが10年後にはぼくのシャフトを根元まで
優しく捉え、抜く時もみっちりと、最後まで絡みつくようになるのだ・・・きっと。
 「んっ・・・」
 そしてぼくはご主人様に呼吸をあわせるようにして腰をゆっくりと押し出す。一番
太いカリの部分がミリミリと中に入ると、ズブッ!というカンジに一気にご主人様の
中にめり込むように入った。
 「は、入った・・・ご主人様のっ・・・」
 「・・・・・・!?!?!?!?!?」
 声にならない悲鳴をあげてベッドの上でカラダをのけぞらせるご主人様。ちょっとだけ
大きい、ご主人様のカラダの上のぼくが浮き上がる。
 「は、入りましたご主人様・・・すごくキツくて、熱くて・・・んっ・・・」
 3分の2程挿入したまま吐息をつくぼく。特に締め付けて来る位置も10年後と
ちゃんと同じだ。ただし意識的にまだ出来ないのか無茶苦茶にぼくのシャフトを
絞って来ている。
 「びにゃっ・・・ば、ばらばらになっちゃうにゃっ・・・ひ、ひにゃうっ・・・は、早く
終わらせるにゃ・・・ふみゅぅ・・・」
 痛みの余り、半べそになりながら言うご主人様。ぼくのシャフトを受け入れた
ご主人様のアソコは色が白くなるぐらい引っ攣れて引き伸ばされてしまってる。
 「は、はい・・・動きます・・・そ、そっと・・・」
 痛みによりぼくを押しのけることも出来たが、こうなったらとことん最後までやると、
気丈な事を言うご主人様にぼくは身を起し、遠慮しつつも小さく腰を動かしていく。
 「んんっ!・・・ご主人様のきゅっきゅってキツくてすごくイイです・・・こんな小さいのに・・・
んっ、んっ・・・」
 
335『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:15:32 ID:dKXdm1EU
 ぼくは膝立ちになり、仰向けのご主人様を見下ろしながら細い足を抱えると
浅めに腰を使っていく。まだ背が伸びていないご主人様の太ももは完全に
ぼくの腰にまわらない。だからそんなこと異性の前でやったことないだろうに、
はしたなくガバッといっぱいに開いた感じになっていて、繋がっている部分が
丸見え。出ては入るシャフトの部分はご主人様の少な目の愛液でぬめ光って
いる・・・少し血が絡まっているような紅いしるし・・・
 「ふにゃ、にゃふ・・・うみゃっ・・・」
 突かれるたびに舌を突き出したまま、小さく息を吐くご主人様。まだツライみたい・・・。
ぼくは指先をテロリと舐めてからご主人様に言う。
 「ぼくばっかりイクなってすいません・・・ご主人様もイクしてあげますからね・・・」
 規則正しく真っ直ぐに腰を動かしながらぼくは唾液でぬめった指でご主人様の
スリットの始まり部分をそっと探る・・・
 「にゃん!! そ、そこはっ!! ・・・みゃんっ・・・だ、だめにゃっ、ムイたら・・・ふにゃあぁぁ・・・」
 まだ小さ目のマメ粒をさぐってくるくると指でなぞる。それなりに一人遊びは
していたらしく、感度が良いので強めに指の腹で軽く押しつぶすようにしながら刺激する。
「にゃはっ、ふにゃ、うにゃっ・・・ダメ、そんにゃおマメいじりながらズンズンしたら
ダメにゃ・・・あん、ふあっ・・・」
 感覚が混乱してきたのか、上半身をわななかせて訴えるご主人様。
 「ご主人様、カワイイですよ・・・ふふ、たくさん一人でエッチしたんですね・・・それとも
姉妹3人で夜な夜ななんですか・・・エッチなご主人様・・・」
 「そ、そんにゃことにゃいにゃっ!・・・あっ、ひにゃっ・・・にゃん・・・夜な夜なじゃにゃくて、
た、たまににゃっ・・・はん・・・あんっ、きゅふっ・・・」
 小さいながらもピンと顔を出したクリトリスの裏側を突き上げるように腰を動かす。
そして少しずつ深く挿入しながら『ピピピピピン』と軽く擦るよう弾くようにしてクリトリスを愛撫。
 「ひみゃああああっ!みゃ、あにゃっ・・・ん、ん――っ!! 見るにゃぁ、見ちゃダメにゃあ・・・」
336『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:17:21 ID:dKXdm1EU
 さらに片方の手は尖った乳首を強めにつねるように摘み、きゅいきゅいと引張る。
 「にゃあああああっ、あっ、ジンジン、ジンジンしちゃうにゃあああっ!! 」
 感じる姿が恥かしいのか両手で顔を覆ってベッドの上で首を打ち振る。その度に
ご主人さまのアソコはぼくを根元の部分とカリの辺りの壁が時間差を置くようにして
キツク締め付ける。そして明らかに血ではない熱い液体がぼくのシャフトを包んだ。
徐々にギシギシと軋むようなシャフトの感触は消えていく・・・。とくに自分で開発した
らしい入り口付近の反応がいいみたい・・・立てひざのまま挿入しつつ、空いている
手で仰向けのご主人様の乳首をキュンと引張る。そのタイミングを同じくしてなんども
小さく突き上げ、ご主人様の痛みを快楽にすり替えていくぼく。

 しかし、そのキツイ締め付けと、ぼくの目の前でくねくねと炙られたように身悶える
ロリロリのご主人様の痴態を見せ付けられる相乗効果でぼくにも限界が訪れる・・・
 「ご主人様・・・ぼく、イキそうです・・・ご主人様も一緒にイッて下さいね・・・」
 ハッ!! と何かに気がついたような顔をしてご主人様は不自然なほど必死で叫んだ。
 「わ、わたしはいいにゃっ!! イカにゃくてもいいにゃっ!! いまイッたら・・・うみゃっ!!
そ、そんなに小刻みに激しくしたらっ・・・ひんっ、あっ、あっ、ヘンにゃの来ちゃうっ、
ヘンにゃのまた来ちゃうにゃっ・・・」
 ラストスパートをするぼく。ご主人様の言葉はぼくの激しい指使いに脈絡も
なくなっていく。ホントは手での愛撫は苦手だけど結構上手くいってる。クリトリスの
上側を摘むようにすると中身が、枝豆が飛び出すようにプニュっと現われる、
その限界近くまで飛び出した最も敏感なポイントをくるくるとこね回す。シャフトは
浅い部分を小刻みに、そして早く突き上げる。『チャッ、チャッ、チャッ・・・』とエッチな
音と共に接合部が泡立つかのように二人のエッチな液体が絡み合う。
 「ふみゃ――――っ!!うあっ、ああっ、バラバラににゃ・・・るっ・・・」
 「ご主人様っ、ぼくっ、イキます、ご主人様――っ!! ああああっ!!!!」
 「ふにゃああ、出てる、出されてるぅぅ・・・熱いのぶつかってる、オナカいっぱいにゃあ・・・」
337『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:19:35 ID:dKXdm1EU
半分諦めたような、裏返ったような細い悲鳴。
『びゅくっ、どぷん、どぷっ・・・』。大量に白濁を放出するぼく。ご主人様の行き止まりの
壁がプルプルと震えてぼくのシャフトの先端を刺激し、さらに大量の射精を促す。
容量の狭いご主人様のナカはあっという間にパンパンになってしまって、ぼくの
半分硬度を保ったシャフトは押し出されるようにゆっくりと出て来た。
『びゅぷ、どぷ・・・』
 それを追うように純白の白濁が逆流して溢れる筈だったが・・・。しかしそれは
ご主人様の初めての証拠でピンクと白のマーブル模様になっていて・・・
 「ご主人様の初めて・・・ぼくが・・・ああ、アソコ、こんなに開ききっちゃって・・・ごっくん・・・」
 あらためてそれを見て妙に嬉しいような、感動したような、そして厳粛な気持ちになって
しまってご主人様のアソコを不躾に凝視してしまうぼく。
 
 「ふはっ、はにゃっ・・・はぁはぁ・・・ひゃうひゃっ・・・」
 腰が抜けてしまったのか体に力の入らないご主人様。あられもないエッチな姿を
ぼくに晒したまま、体全体がヒクヒクと痙攣してる。
 そして白濁が最後まで逆流し、溢れ終わるとご主人様は思い出したようにカクカクと
腰を震わせて小さく叫ぶ。
 「ひみゃああああっ!! ダ、ダメ・・・また・・・み、見ちゃダメにゃああっ!! 」
 『プシャ――ッ!! 』
 幼いスリットをわななかせて本日2度目の潮吹き。無意識の痙攣でヘンな力が
加わっているのか無作為にピュッ、ピュッとスプリンクラーみたいに吹き上げる。
 「うわ・・・ご主人様ってお漏らしッ娘だったんですね・・・」
 ぐったりとし、顔を覆った指の隙間からジトッとぼくを睨んでるご主人様。
 「だ、だからダメって言ったにゃっ!! うみゃあああ・・・お前なんて・・・絶交にゃ!! 」
 「あわわ・・・す、すいませんっ!! ふ、拭かなくちゃ、シーツ、シーツ・・・」
 どたばたと走るぼくにご主人様の最後の言葉は聞こえない・・・
 
338『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:22:48 ID:dKXdm1EU
 「・・・ち、ちょっとは気持ち良かったにゃ・・・」
 二人の夜は更けていく・・・


 三日後・・・
 チュンチュンと雀の鳴く声で目を覚ますぼく。覚醒と現実の狭間は蕩けるように
キモチが良い・・・。ぼくはそんな感覚のまま、ぼやぼやと今日までに
起こったことを反芻してる。
 なんとかクビにならずにすんだぼくはご主人様の召使として、いつもの
リビングのソファじゃなくて、なんとご主人様の寝室で一緒のベッドで過ごすことに
なりました・・・すごい、出世したみたい・・・。
 それからリナ様ですけど特筆すべきなのはその回復力、もう2日ぐらいで
あっという間にキズはふさがり、起き上がるどころか普通に食事まで出来るように
なったのが昨日という超回復ぶり。なんでもユナ様に聞いたところ、『そんなのは
普通ですの――っ!』とのこと・・・やっぱりご主人様たちってホントはケモノなんだなあ・・・。
 あ、そうそう・・・キズがあっという間にふさがるということは、もう一人のある意味、
キズをつくったネコ姫様は当然・・・ん?
 
 ふぁあ・・・でもそれにしてもスゴク気持ちいいカンジ・・・なんかイッちゃいそうな
ぐらいに・・・って、イッちゃうって何!?
 ぼくは慌てて目を開ける。『ガバッ』とは起きれなかった。じたばたともがく。
ぼくの上になんか乗ってるから・・・。そして寝起きの瞳の焦点が合い、
見たものは、ぼくの腰の上で揺れる黒いシッポと小さな裸のお尻・・・
 「にゃふっ!! にゃん、にゃはん!! ・・・すっごくキモチいいにゃっ、3日前とは
ウソみたいにきもちいいにゃっ!! 」
 ソファの上のぼくに起用にまたがり、腰を振るうご主人様。そうなのだ、
痛がったのはその日だけで、あっという間にキズがふさがり、ヒリヒリしなくなると、
激しくイキまくるどころか、時と場所を選ばずに求めるようになってしまったのだ。
しかも、幼いカラダに隠れていた性感帯をご主人様を知り尽くしているぼくに
一度に根こそぎ暴かれ、快楽の底に叩き込まれたたのだから、もうやみつきに
なってしまったらしい・・・。このへんはぼくが悪いのだけど・・・。でも、なんとか
ぼくは言う。
339『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:24:48 ID:dKXdm1EU
 「ご、ご主人様っ!? 昨日の夜もシタじゃないですかっ!! こんな朝から・・・リナ様と
ユナ様が朝ゴハン食べにここに来ちゃうんでしょ!! 」
 ご主人様は首だけ振り返り、腰を上下どころか年恰好に似合わないぐらいに
いやらしくくねらせつつぼくに言う。
 「じゃあ、早くイカせるにゃっ、イタイケな少女にこんにゃこと教え込んだのは
お前にゃ・・・ほら、お前からも突き上げるにゃ・・・ん、にゃふ・・・はん・・・」
 言いながら腰を浮かし、カリ首が覗くまで腰をあげると、ピンポイントで
『きゅ、きゅっ』と意識的に締め上げてくる・・・恐ろしい、まったくをもって末恐ろしい・・・
 「そ、そうですけど・・・はふっ・・・モノには限度が、ご主人様、まだ幼年学校なんでしょ、
それに新学期が始まれば・・・あんっ・・・いつもぼくと一緒にいれないんですから・・・」
「にゃ、はにゃん、ふにゃっ!! ひにゃ、チンチン、口からでてきそうにゃぁ・・・にゃう、
あんっ、あっ、あっ・・・」
 快楽に耐えつつ必死で言ったぼくの小言をあっさり無視して腰をグラインドさせ、
自分でツンツンと立ち上がった乳首をコリコリしながら快楽をむさぼるご主人様・・・

 『ムッ・・・』眉をひそめるぼく。ご主人様がりっぱな王女様になるためにも、今の
うちからしっかりと躾をしないと・・・。
 ぼくはあんまりない腹筋の力を借りて上半身だけ身を起すとご主人様の小さな体を
膝の後ろに手を通す形で抱えあげる。慌てて自由な足首をバタバタとばたつかせて
抗議するご主人様。シャフトはギリギリ入ったまま停止したカンジ・・・
 「にゃうっ!! 動かすにゃっ、焦らしたってむだにゃよ、時間がにゃくて困るのはお前のほう・・・」
ぼくはその言葉が終わらないうちにご主人様の耳を『ぱくっ』と咥えると囁く。
「ちゃんと動きますよ・・・ご主人様もすぐイカないで下さいね、たしかこうやって入り口の
上のほうを小刻みにするのが感じるんでしたっけ?」
 わざとらしく言い。軽いご主人様を抱えたまま、ぼくは『ユサユサ』と腰を突き上げる。
丁度クリトリスの裏側に近い場所・・・。顔色を変えたのはご主人様。
 「ひっ!! ソコはダメにゃっ、ソコは、ソコは・・・ひにゃっ、ああっ、ひゃうっ・・・ダメにゃ、
んああっ、お願いにゃ・・・はにゃん、あ、あああっ・・・と、止めてにゃあっ!! 」
340『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:26:24 ID:dKXdm1EU
 激しくよがりまくるご主人様。10年後にはない瞬殺ポイント、しかも重大な
副作用つきの場所だ・・・
 「ふふ・・・こんなに感じてぼくを締め付けて・・・いいですよ、イッちゃって・・・シーツに
出来た大きなシミを見てユナ様とリナ様はなんて言うんでしょうね・・・」
 「ひみゃっ!! にゃっ!! イク、きちゃうにゃ、そこまで来ちゃってる、うにゃあ、
あ、謝るから、許してにゃあ・・・」
 「それ!! イッちゃえ、イッちゃえご主人様っ!! 」
 『パンパンパンパンパンパン・・・・・・・・・』
 腰どころか抱えた腕までも使ってラストスパート。ロリロリな体ごと、おもちゃの
ようにシェイクされたご主人様の懇願は意味をなさない悲鳴となる。
 「あ、後でひどいにゃ!・・・わたし、オモチャ見たいに犯されてるにゃッ・・・あっ・・・
み゙に゙ゃあああああっ・・・イク――――ッ!!!!!!」
 ガクガクとのけぞるご主人様。そして・・・
 『プシャ――ッ!! 』
 「うにゃあ――っ!見るにゃ――っ!!!・・・お願い、見にゃいで――っ!!!!!」
 シャフトが入ったままなので真上に高々と吹き上がる派手な潮吹き。そのまま
洗濯済みの最後のシーツに大きな地図を書いていく・・・。ぼくの胸によっかかるようにして
ガクンガクンと痙攣してるご主人様。ぼくは青空のひろがる窓の外を見て呟く。
  「ご主人様・・・今日は洗濯日和ですよ、きっとね・・・。それから・・・もし・・・10年後に、
10年後のぼくに会えたら優しくして下さいね・・・」
  ぼくは半失神してる小さいカラダを後ろからギュッと抱きしめて呟いた・・・。自分で
 ご主人様にお漏らし癖を付けていることも気がつかずに・・・まったく・・・。

 ぼくはネコの国の王女、マナ姫の召使い。
 ここでの仕事はご主人様をこの国の王女様にすること。
 立派なお姫様になってもらうこと・・・

 遠くに来ちゃったけど、あした会えたらきっと元気です。
341名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 02:30:30 ID:VTBsirME
支援
342『あしたら』sage2005/05/15(日) 02:34:13 ID:dKXdm1EU
    (おしまい)

 どっかでageちゃったよ・・・DQNだなオレって・・・

 長々とありがとうございました。
 『あした会えたらT』が終わりました。
 心の堤防の話は最後までカットしようか迷いました。
 みなさんがガッカリしない程度に楽しんでもらえるよう切に祈っております。

 『あしたらU』では、
 @ リナとユナが召使君の毒牙にかかる・・・
 A ミルフィ姉妹が召使君の毒牙にかかる・・・
 B 一緒に飛ばされたフローラはどこか・・・

 のどれかにしようと思っています。
 リクエストがあるならどうぞ。今度はもっとがんばりますから・・・

 それでは一旦、おやすみなさい・・・
 
343虎の子sage2005/05/15(日) 08:04:00 ID:G0vlqTrJ
おお、大御所がやって来ました。

あしたら様へ>>
相変わらず巧みな文章で感動します。
特に召使いの心の中のソラヤの感じが面白くてグッドです。
この話を読んでいると、ひょっとして現在のマナ姫を作ったのって召使いじゃないかと思ってきます。
リクエストについては2で、ミルフィの痴態が見たい感じです。
344名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 08:55:45 ID:/YOLaJmC
だ……だめだ……感想がエローとか、もえー。とか以前に面白すぎる。
心の左舷、個人的には物凄く良かったです。
345名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 09:40:49 ID:rRGBA6PA
神キターーッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
346名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 09:43:55 ID:4Vrlk17j
>あしたら氏
心の堤防、茶吹きましたw
……エロいはずなのにエロより先に笑いが来るのがさすがです。しかし、十三才でガンダムとかジョジョ知ってる「ぼく」って……w
347名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 11:27:21 ID:QdDowMPn
くっはー……!
ロリロリマナさまが可愛すぎます。『ぼく』の心象世界もすごいw GJ!
348名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 16:57:01 ID:3wSeQsYl
Bで話の本筋の先を見たいとは思うが、@とAでハイクオリティなエロも見たい・・・
むう
349名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 18:38:51 ID:mB0mcBQW
キ…(-_-)キ(_- )キ!(-  )キッ!(   )キタ(.  ゚)キタ!( ゚∀)キタ!!( ゚∀゚ )キタ━━━!!! 
GJ!GJ!GJ!

っていうか凄い心象風景だなおいw
マナ様とソラヤ君が妙に”ぼく”の中で幅を利かせているのですねw
わらいがとまらーん!!

っていうかマジでえちぃよ
色々と勉強になりますです。ハイ
350名無しさん@ピンキーsage2005/05/15(日) 21:34:30 ID:F1ggZkaZ
キタァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)アァ( ゚)ァア( )ァァ(` )アア(Д` )ァア(*´Д`)アァンハァハァ
なんだこりゃーっ!!待ってたかいがあったーっ!!
ちなみに激しく@希望!
351名無しさん@ピンキーsage2005/05/16(月) 20:03:16 ID:SEL86qXB
個人的にソラヤを拾ったミルフィ姫の新米ママっぷりを激しく見たい!
352名無しさん@ピンキーsage2005/05/16(月) 20:24:41 ID:9FGbWGOE
うれしくてうれしくて破裂しそうだ
あしたら氏 あ り が と う
353名無しさん@ピンキーsage2005/05/16(月) 21:23:58 ID:OoGK7Jln
パンッ!!
354名無しさん@ピンキーsage2005/05/18(水) 20:15:45 ID:YqOZxMDu
あうぅ……あしたらの直後に投下する勇気が、どうしても出ねえ……
355名無しさん@ピンキーsage2005/05/18(水) 22:21:55 ID:7OC7TlEo
ンな事ァねえっ!
みんな待っとりますよヘイカモン!
356名無しさん@ピンキーsage2005/05/20(金) 01:19:01 ID:IFLu1zeI
書きかけで放置していた設定発掘して書いてみようと思いつつ。
あしたらさんが書いたの見て思わず後ずさってるorz
単なるグチだなこりゃ
357名無しさん@ピンキーsage2005/05/21(土) 18:14:43 ID:TOrnMeDS
>>355
ありがと。ちょっとだけ勇気が出てきた。

で、ちょっと質問。
「女体盛り」っていままでに出てきてたっけ……
もし既出のネタなら次回投下分、ゼロから書き直しになってしまうかも。
358名無しさん@ピンキーsage2005/05/21(土) 18:54:38 ID:AB01kKR9
素敵なショタイ盛りなら出てきたよ
359名無しさん@ピンキーsage2005/05/21(土) 19:14:14 ID:TOrnMeDS
>>358
そっか……じゃあゼロから書き直しだorz
360名無しさん@ピンキーsage2005/05/21(土) 19:39:45 ID:uYhAAjsI
既出かどうかは気にしない!!
読み手のこっちも気にしてないですし ^_^
361名無しさん@ピンキーsage2005/05/21(土) 20:31:11 ID:CP6jPomH
ショタイ盛りは衝撃的だったよなあw

まあ、それはそれとして女体盛りも読みたいです。
362名無しさん@ピンキーsage2005/05/22(日) 02:10:37 ID:vum5M3oB
問題は体毛かw
363名無しさん@ピンキーsage2005/05/22(日) 11:38:33 ID:LqWQMq3q
自分にとっては、あの回の箸攻めはショタイ盛り以上に衝撃的だった
濡れる、という感覚が分かったよ
それほどエロい文章だった
364357sage2005/05/22(日) 15:21:54 ID:+rD+qKAu
とりあえず女体盛りのSSは廃棄して、ゼロから書き直し中です。
あしたら氏の直後に投下する上に>>363とか読んだら、とても精神的に耐えられない。
>>360さんや>>361さんのレスはうれしいんですけど、書き手のほうはかなりの小心者なので……。

……とりあえず予備ネタに残しといた天舞宝りn……げふんげふん。えっと、五感絶ちのえちぃで書きます。

これも既出だったらマジでどうしよう……
365名無しさん@ピンキーsage2005/05/23(月) 12:01:46 ID:3yJgLrIE
確かに、あしたら氏の後で概出のネタを書くのは蛮勇が必要だな。
とりあえず新ネタがんがれ。
366名無しさん@ピンキーsage2005/05/25(水) 00:08:39 ID:nriVGqCm
狗国の方は、お元気にしてるのかな。


ローカル保存してた、今までの投下分、
もう10回くらい読み返してる。
そのうち、そらで暗唱できるようになるんじゃないかしらマジで。
367名無しさん@ピンキーsage2005/05/25(水) 01:26:34 ID:EwuEe9/x
見聞録の人なら控え室によくいますよ。
368名無しさん@ピンキーsage2005/05/25(水) 23:51:59 ID:c3IZdJqN
居ますよ、名無しなだけで実は普通に。

四月になる前に全部書き上げちゃいたかったのに間に合わなくて延び延びに。
でも今週の金曜夜か土曜朝あたりに、たぶん残り全部どかっと。
仮に間に合わなくても来週までには。
369366sage2005/05/26(木) 00:00:42 ID:W+CDx9s9
ありがとうございます。
ここしか見ていませんでした。

>368
楽しみに待たせていただきます。
今からなんだかドキドキしてきました。

それから、急かすみたいな失礼な事書いて、ごめんなさい。
370名無しさん@ピンキーsage2005/05/27(金) 15:19:59 ID:O+w07p0z
コミック版カルドセプトのダゴン様が(・∀・)イイカンジのタコ少女
371名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 00:43:54 ID:Oxi/oyAC
タコ少女といったら
さゆりちゃんだろ
372見聞録の人sage2005/05/28(土) 08:05:01 ID:bwOGb9is
>>369
あー、すいません無理ですた、2〜3時間寝て最後の仕上げするつもりが朝までぐっすり…
これから休日返上出張なんで今週は無理っぽそうです…。次の週末に期待って事で…。

>>370
ロングでフレアなお姫様スカートの下から何故か得体の知れない触手。これ最強。
373名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:11:27 ID:w5e0rHvE
>>364の分、投下します。
……って、あしたらさんと見聞録の人のド真ん中って……またとんでもない場所に投下する羽目になったなorz
まあ、今回はヤバげな設定とかもあるんで、隙間のほうがいいのかも知れませんが。
とりあえず岩と森の国ものがたり第七話・中篇です。
374岩と森の国ものがたり7・中編sage2005/05/28(土) 15:13:42 ID:w5e0rHvE
魔法を使えない上、文化的にも他国より遅れているカモシカの国は、必然として輸入超過の状況に陥っている。
そのため、昔から外貨獲得は至上命題といってもいい国策の一つだった。
農作物。具体的にはコーヒー豆と香辛料。あるいは鉱物。それらがカモシカの国の主な輸出品だが、やはりそれだけでは不足もある。
それは古今を問わない。今から20年前、今は亡き先代国王の御世もまた、外貨獲得に悩まされていた。
外貨獲得のため、カモシカの国は新たな輸出品目を必要としていた。
しかし山岳地のカモシカの国では、新興産業といっても限られてくる。
そこで前王が目をつけたのが、ヒトであった。
「落ちもの」と呼ばれるヒトは、その絶対数自体が少なく、ネコの国などを中心に奢侈品として人気がある。
ヒトを国内で養殖し、召使としての十分な教養を与えた上で売れば、新たな外貨獲得の手段になりうる……前王は、そう思ったのだ。
前王は国内外を問わず、ヒト召使を買い集めると、辺境の地フロミアに集落を作り、半ば強制的に生殖行為を行わせた。
やがて、子供が生まれる。彼らの成長にともない、前王はネコの国などから教師を招き、彼らに教育を施した。
同時に、秘密裏に人身売買のルートを探り、販路をくみ上げていった。
こうして出来上がった、生育から販売までのルート。やがて、13歳になったヒト召使たちは、彼らの手によって売られていった。
……しかし、前王の目論見は外れた。
たしかに、彼らは奢侈品であり、またあらかじめ教育を施されているために高値で売れた。
しかし、13年の育成費と比べれば、売値はその数分の一に過ぎなかったのである。
こうして、この計画は一度は「13年がかりの稀代の大失政」として消えようとしていた。

この「稀代の大失政」に再び日が当たる時が訪れる。
エグゼクターズの活動範囲の拡大である。
それまでの国内での活動から、国境外までその活動範囲を広げたことにより、エグゼクターズはいくつかの新たな問題と直面していた。
火器の所有制限、部隊の混成化などもそうだが、何よりも情報収集において問題は重大だった。
混成化したとはいえ、やはり他国の正規軍である。他国民には警戒され、情報収集は困難を極めていた。
375名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:15:03 ID:w5e0rHvE
国内で通用していた、聞き込み、尋問中心の方法では全く情報が手に入らなくなっていたのだ。
結果として、それまでの情報収集とは完全に異なる、独力で情報を得る、いうなれば諜報組織を整えざるを得なかった。
しかしこれが、養殖したヒトの新たな使い道となる。
カモシカが他国で情報を求めるのでは、あまりに目立ちすぎる。
その点、どこの国にも少数とはいえ、確実にヒトはいる。フロミアで育ててきたヒトに、諜報の知識を与え、情報収集に使えばと思った。
フロミアの計画は、一度は中断している。しかしそれまでに生み育てた子供が、まだ100人近くもいる。
彼らはまだ幼い。教育すれば育つ可能性は十分にあった。
だいいち、このままフロミアで無為に育てるよりは、スパイとして育成しなおし、安くとも他国に売って元を取った方がマシというものだった。

「……そして、今に至る……か」
 フロミア計画について纏められたファイルの束を、テーブルの傍らに押しのけながらナオトは呟く。
 ナオトはフロミアの人間ではない。純粋な「落ちもの」である。
 そのため、彼は他国に売られるではなく、この国に残っていた。
 逆に言うとフロミアの教育を受けていない、一種の劣等生といってもよい。
「だんな様、お夜食とお飲み物をお持ちいたしました」
 後ろから、聞きなれた声がする。
「ああ、ありがとう」
 笑顔で振り返る。
 大きな殻を背負い、かわいらしいメイド服に身を包んだ少女が、銀のトレイを持ってそこにいる。
「そこのテーブルの上に置いといて。あとで食べるよ」
「はい、わかりました」
 そういって、少女がテーブルの上にトレイを置く。
「パメラがいてくれて、本当に助かるよ」
 その言葉に、わずかに頬を染め、触覚を恥ずかしげにすり合わせる少女。
376名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:18:48 ID:w5e0rHvE
「そ、そんなぁ……」
「いや、本当だよ。パメラにはいくら感謝しても仕切れない」
「だ、だんな様ぁ……」
 ますます恥ずかしげにもじもじするパメラ。眼鏡の奥の瞳が、かすかに潤んでいるようにも見える。
「きょうはもうお休み。ちょっと遅くなりそうだから」
「あ、はいっ……その、だんな様?」
「ん?」
「最近、夜が遅いようですが……お体に気をつけてくださいませ」
「ああ、ありがとう」
「それでは、おやすみなさいませ」
 ぺこりと頭を下げて部屋から出るパメラ。少しして入れ替わるように、ギュレムが入ってきた。
「ふむ、読み終わったか」
「はい」
「今では、あわせて百人のヒトが他国で召使として仕えつつ、定期的に情報をもたらしてくる」
「……はい。情報収集から伝達手段、そしてその情報を系統化するマイクロフト班。エグゼクターズ諜報部に情報が集まる間での完成した体系がすでにある」
「前王が亡くなられて二年。ようやく、軌道に乗ったというところだ」
 そう言って、ギュレムはふと遠くを見るような目つきをした。
「ヒトを制することで情報を制する。亡き陛下はそうおっしゃられていた」
「そうですね。……昔、俺のいた世界の歴史には宦官という連中がいました」
「……去勢され、生殖機能を失ったヒトのことだったな」
「はい。意図的に、あるいは罰を受け、去勢されることで、かれらは生殖機能を失い、その代償として、時の権力者に警戒されずに後宮の奥まで入る権限を得たのです」
「至弱の存在であるがゆえに、かえって聖域を得る、か」
「この地のヒトも、所詮は同じことで……最下層の、子を産めない存在だからこそ、かえって権力の奥に近づける」
「前王はおそらく、宦官というものの存在は知らなかったのだろうが、狙っていたことは同じだったということか」
377名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:23:24 ID:w5e0rHvE
 かつて、ナオトのいた世界ではいくつもの強大な国家を転覆させた存在。
 エグゼクターズに属し、他国に召使として使えているヒトの数は百人。全てとはいわぬもの、それでも少なくとも数人は、他国の権力者の膏肓にいる。
「そしてフロミアの民には、帰る世界はない。この世界でうまれ、この世界で育ったものは、戻るべき『元の世界』を持たぬ。……この世界でのし上がるしかない。そしてそのためなら、なんでもする」
「……それも、折り込み済みだったと……」
「おそらくはな。少なくともあの中の数人は、少々不穏な夢を抱いている。……リュナ君のとんでもない挨拶を聞いた世代だからな」
 そう言って、ギュレムはおかしげに笑う。
「あれなら、俺も聞きましたよ。……仮にも国家首脳が詰め掛けてる場で、よくもまあ言えたものです」
 ナオトも、そう言って笑う。王女エリザベートの付き人として諜報部の卒業式に連れ出されたのは、この地に落ちてきてまだ間もない頃だったように思う。

 諜報官の密命を帯び、表向きはヒト召使として売られることになる十人の卒業生と、それを見送る24人の在校生。
 彼らの前で、エグゼクターズのいくつかの部隊の代表が挨拶を送ることになっていた。そのうち、特殊歩兵隊の代表として挨拶したのがリュナ・ルークスだった。
「今でも、覚えていますよ」
「そりゃあそうだろう。忘れようったって忘れられるものじゃない」
 微苦笑を浮かべ、ギュレムが少々大仰な口ぶりでリュナの話し方をまねて言った。
「みんなはこれから、各地に諜報官として赴くことになる。……そうはいっても、それは内輪の話だ。表向きは、ただの召使にすぎない。
この広い大陸のどこであれ、ヒトは召使、あるいは奴隷、あるいは物……社会の最下層、はっきり言って、ロクな扱いじゃあない。
だが、なぜそうなのだ? なぜヒトは社会の最下層に甘んじなくてはならないか、君たちはこれから、幾度となくその疑問と直面することになると思う。
数が少ないからか? 力が弱いからか? それだけの理由で、仮にも一個の独立した種族が、他の種族の下にならなきゃならないと、誰が決めた?
数が少ないなら、数を増やせばいい。力が弱いなら、力を持てばいい。それだけのことだ。それでも文句を言うやつがいれば、手にした力でねじ伏せればいい」

378名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:24:23 ID:w5e0rHvE
「……あれを聞いたとき、大臣の何人かは顔面蒼白になっていたものさ」
「ヒトの俺だって驚きましたよ」
「しかも、その後がまた危ないことを言ったからな」
 そして、さらにギュレムは続けた。
「君たちにはフロミアがある。君たちが頑張れば、フロミアは続く。あの地がある限り、ヒトは数を増やす機会がある。
君たちは世界各地に赴く。この地では手に入らない力を見つける機会がある。見つけて、我が物にすればいい。そうすれば、ヒトは少しづつ強くなる。
いつの日か、この世界のどこかにヒトの国が生まれるときが来る。こない筈がない。
なぜなら、自ら意思を持つ一個の種族が、いかなる理由があれ、自らの住む場所を、自らの国を持ってはならぬという理由はないからだ。
いつの日か、ヒトがヒトの国を持つ日のために、せいぜい恩を売りつけてやればいい。恩を売りつけながら、君たちも強くなれ。いつの日か、来るべき日のために」
「……挨拶が終わった瞬間に、大講堂から引きずり出されてましたものね」
「イヤというほど絞られたらしい。……まあ、アレは仕方ない。一歩間違えれば国家反逆罪ものだ」
「今じゃ、本物の反逆者ですけどね」
「そうだな。……とはいえ、そのリュナ君がそろそろ接触を図るはずだ」
「和議、ですか」
「そうだ。この2年の戦乱で、あまりに国が荒れ過ぎた。このままでは、たとえどちらが勝つにせよ、国力を取り戻す前に他国の手に落ちる……リュナ君がそれに気づかぬわけがない」
「グランダウスを失い、主力軍も崩壊した。確かに、帰結は見えましたね」
「お互い、和議を結ばざるを得ない状態だ。この国が崩壊する危険の前では、偉そうなことはいえぬ」

──その中で。
ナオトは、思う。
──ヒトの国を、作る。
いつごろからか、確かに心の中に固めていた決意。
──言い出したのは、あなただ。……リュナ・ルークス卿……
いつの日か、ヒトがヒトの国を持つ日。それは、リュナが思っている遠い未来の日ではなく、ほんの近い未来のことだ。
そう、ナオトは思っている。
379名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:25:08 ID:w5e0rHvE
「時に、我らが女王陛下はお元気かな」
「今のところは」
「そうか。お前にも思惑があるのだろう? 再びあの方が玉座に着くまでに、躾を終わらせておけ。私のほうは急がぬが」
「はい」
 ギュレムは、そう言い残すと、部屋を去った。
──そうだな。そろそろ躾の時間か。
 机の引き出しから、呪符を五枚ばかり取り出すとポケットにねじ込み、そしてパメラが持ってきた夜食のサンドイッチと飲み物を口に入れると、ナオトは拷問室へと向かった。

 エリザベートは、拷問室の中心で天井と床から延びる4本の鎖で手足を拘束されている。
 その目は感情を失い、半ば放心状態でうなだれている。
 ランプの光が、一糸まとわぬ裸体を照らす。全身に塗られた媚薬と汗が、ランプの光を受けてきらめく。
 媚薬のせいで、全身が火照り、淫らな欲望がとめどなくあふれ出る。しかし今は、四肢を拘束され、なすすべもなく欲望の炎に身を焦がされ続けている。
 時々、耐え切れぬように身悶える。
 長い髪が、背中をくすぐる。それがさらに欲望の炎を燃え立たせ、恥部を濡らす。
 しかし、それ以上はどうすることもできない。
 拷問室の扉が開く音に、エリザベートはたまらずにそちらを見た。

 ナオトをみるエリザベートの目には、かすかに哀願の色が浮かんでいた。。
 三時間近くも、なすすべもなく欲望の炎に焦がされていたかつての女王の瞳は、壊れたような虚ろな表情を見せている。
 どうせ、このまま放置されるというあきらめたような虚ろな瞳と、その中に残る一縷の望みを求める哀願の色。
 それが入り混じり、独特の色気を放っていた。
 ゆっくりと近づくと、ナオトはエリザベートのあごを持ち上げる。
「おまたせしました、陛下」
 おどけるようにそう口にすると、その唇を吸った。
 唇をこじ開けて舌を差し入れると、エリザベートも求めるように自ら舌を合わせてくる。
380名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:25:51 ID:w5e0rHvE
 少し前までは考えられなかったが、連日の拷問で少しづつ従順になってきている。
 もっとも、それだけではないのだろう。肉欲の炎から少しでも早く開放してほしいという気持ちのあらわれなのかもしれない。
 唇を離す。虚ろな目が、ナオトを見る。
「……」
 言葉は、ない。無言のまま、じっとナオトを見つめている。
 そんなエリザベートの前に、先ほどの呪符をポケットから取り出して見せる。
「ちょっと、面白いものを見つけてきましたよ」
 そう言って、ナオトは呪符をエリザベートの額に軽く押し付け、そしてなにやら呪文を唱えた。

──えっ?
 突然、視界が消えた。何も見えなくなり、光さえ感じられなくなった。
 真っ暗な闇の中、エリザベートは顔を左右に動かすが、何も見えない。
「ひゃんっ!」
 突然、乳房の先端に何かが触れた。火照った体が、たまらずに大きく跳ね、そして四肢を拘束する鎖に阻まれる。
──何? なにがあったの?
 見えない。何がどうなっているのか、まるでわからない。
「きゃっ!」
 左の脇腹を、なにやら羽根のようなものが触れる。身動きできないのをいいことに、それは無防備な脇腹を容赦なくくすぐる。
「ひ、ひゃん……ひゃはっ、やぁ……」
 くすぐったさと快感が入り混じり、笑い声とあえぎ声の入り混じったような声が漏れる。
 耳に入るのは、四肢を拘束する鎖のがしゃがしゃと触れる音のみ。逃れたいのに、どうすることもできないという思いが、さらに全身を火照らせてゆく。
「きゃは……やんっ……ひあぁ……っ、んんっ!!」
 くすぐりから逃れようと手足を暴れさせていた時に、また何の前触れもなく乳首にぬるりとしたものが触れる。
 それは乳輪をなぞるようにゆっくりと蠢き、そして転がすように先端をつつく。
 暗闇の中で、火照った裸体に次々と与えられる刺激に、すっかり頭の中は混乱し、ただ手足をばたつかせ、快楽から逃れようと身悶えるばかりだった。
 天井から吊るされた鎖に両腕を拘束され、どうすることもできないのをいいことに、何かがエリザベートを弄ぶ。
381名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:27:02 ID:w5e0rHvE
「いやぁ……やぁ……あぁんっ……」
 なすすべもないエリザベートの口から、弱弱しいあえぎ声が漏れる。
──助けて……誰か……お願い……
 頭の中で、必死に誰かに助けを求めるが、暗闇に囚われた身は誰も救いに来ない。
「いやあっ!」
 さらに、別の刺激。両足の付け根、もっとも敏感な箇所に触れる。
 硬いような、やわらかいようなもの。それが恥毛をまさぐり、体の奥まで潜り込んでくる。
「いやっ! いや、いや、そこはいやあっ!」
 暗闇の中で、狂ったように身悶えるエリザベート。手足の自由を奪う忌まわしい鎖は、何一つエリザベートに抵抗を許さない。
 体の内側からもれてくる甘い感触と、外側から侵食してくるくすぐったい感覚が、抗えぬエリザベートの理性を少しずつ奪ってゆく。
 恥部に忍び込んできた何かは、ゆっくりと前後に蠢動する。前後に蠢くたび、肉の芽がそれに触れ、強烈な刺激となって襲い掛かる。
「やだっ、駄目、お願いっ!」
 恥も外聞もなく叫ぶ。暗闇の中で、どうすることもできないまま体の中からあふれてくる奇妙な感覚への恐怖が、全身を覆う。
 突然、全身を襲う刺激が消えた。
「……はあ……はぁっ……」
 荒い息をつくエリザベート。その耳元に、聞きなれた声がする。
「目が見えないって、刺激的でしょ?」
「……なおと……?」
「耳も聞こえなくなれば、もっと刺激的ですよ」
「耳……?」
 再び、額に何かが触れる。そして、またナオトが呪文のようなものを唱えるのが聞こえた。
 そして。
 何も聞こえなくなった。
 暗闇の中で、何も聞こえず、何も見えない。
「な、何をしたの?」
 おびえるような声で問いかけるが、返事はない。
 そのかわりに、左右の乳房に生暖かい物が触れた。
382名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:27:39 ID:w5e0rHvE
「あっ!」
 ぴくんと身悶える。二つのふくらみを、生暖かいものがやわらかく揉みしだく。
「んんっ……」
 歯を食いしばり、必死に快楽に絶えるが、それでも声が漏れる。
 たぶん、指。混乱する頭の中で、何とかそう判断する。
 どうすることもできないまま、ただ与えられる刺激に耐える。
「んっ……んくっ……」
 なかば泣きそうな声が漏れる。心とは裏腹に、散々焦らされた体は貪欲に刺激を求め、そして与えられた刺激を次々と脳に送り込んでくる。
──駄目、負けちゃ駄目……
 必死に、自分にそう呼びかける。
「きゃあっ!」
 乳首に、指が触れた。硬くなったそれを指が嬲るたびに、電流のような刺激が伝わる。
──い、いや、負けないっ……
 かすかに残った自我が、そう訴えかけてくる。
「んっ!!」
 そんなときに、下腹部に別の刺激が襲ってきた。
 エリザベートのへその周りに触れる、別のぬるりとした感触。そして、広げられた足の付け根に潜り込んでくる、別のなにか。
──な、なぜ? どうして?
 後ろから胸をもまれているはずだから、前から刺激が与えられるはずがなかった。
──誰かいるの? ナオトだけじゃないの?
 ナオト以外の者に弄ばれているという思いが、エリザベートの頭の中に羞恥心を沸かせる。
「い、いやあっ! 見ないで、触らないでえっ!」
 声を限りに叫び、必死に暴れる。
 しかし鎖に拘束された四肢はエリザベートの動きを束縛し、なすすべもない裸体にはさらにいくつもの指のようなものが触れる。
 左右の乳首を転がす指。無防備な脇腹をくすぐる指。胸の谷間からおへそへのラインをなぞる指。それいがいにも、尻を愛撫したり、太股に触れたり、いくつもの生暖かく細いものが全身を嬲る。
──ナオトじゃない! 誰か、何人もの人が私を……
 恐怖が、全身を支配する。何も見えない暗闇の向こうで、下卑た笑みを浮かべた男どもがかつての女王の裸体を弄ぶ姿が見えたような気がした。
 そして、それを少しはなれたところから見ているナオトも。
「やだっ、おねがいっ、ナオトぉ! 離して、この人たちを離して!」
 何も見えない瞳から、涙をこぼれさせながらエリザベートは叫んだ。
383名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:29:16 ID:w5e0rHvE
 エリザベートの裸体に絡みつく、拷問植物の無数の触手。
 目が見え手入れ場もとより、耳が聞こえていても、拷問植物特有の葉の擦れ合う音で、自らを嬲るものが人ではなく拷問植物と気づくはずだった。
 暗闇と静寂のなかで何もわからぬエリザベートには、それが人間の指に思えるらしい。
 哀願の声は、それを意味していた。
──さて、もっと困ってもらうかな。
 ナオトは、三枚目の呪符を用意した。

 額に、また何かが触れ、そして、次に気づいたとき。
 声さえも、出なくなっていた。
──そんなっ……お願い、もう許して!
 心の中で、必死に叫ぶ。だがそれさえも、声となって出ていないことがわかる。
 その間にも、全身をまさぐる指は動きをやめない。
──いや……こんなの、いやぁっ……
 涙があふれる。全身は熱を持ち、指の一本一本が、体中の敏感な部分を触れるたび、とろりとした甘い感覚があふれてくる。
──助けて……誰か助けて……
 もう、抵抗する心は残っていなかった。ただ誰かにすがり、助けてもらうことしか頭になかった。
 どうすることもできないまま、甘い感覚はとめどなくあふれてくる。
──あっ……
 ぷつりと、心の奥で何かが切れたような気がした。
 鎖に拘束された四肢が、痙攣するように激しく暴れる。
 頭の中が真っ白になり、そして、何かがどっと溢れてきた。

 ぐったりと、エリザベートはうなだれている。
 媚薬を塗られ、散々焦らされた挙句の触手責め。もとより耐えられるはずがなかった。
──さて、最後の一枚……
 ナオトは、それを手に取ると、エリザベートの額にそれを押し付け、また呪文を唱えた。

 また、額に何かが触れた。
──こんどは……なに?
 ぼんやりとした頭で、そんなことを考える。
 わからなかった。やがて、体がふわりと浮くような、奇妙な感覚が沸いてきた。
 手足を拘束する鎖も、全身をまさぐる指も、何もないような感触。暗闇の中に、ただ魂だけを放り出されたような変な感覚だった。
384名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:29:44 ID:w5e0rHvE
 動こうにも、手足が存在しないような。何かを触れようにも、何も触れるものがないような。
──なに……これ……
 ぼんやりとした頭では、何もわからなかった。
 そんな時。
──んっ!
 魂に直接触れるような、強い刺激が襲ってきた。
──なに? なにがあったの?
 何もわからない。何かが触れてるような感じもない。
 なのにただ、快感だけが次々と伝えられてくる。
 抗えない。抗おうにも、魂以外の何も残っていないような感じがする。
 抗うことも逃げることもできないまま、ただ快楽だけがおそってくる。
──なに? なにが……あっ……
 混乱した頭で、何とか状態を理解しようとするが、考えるより先に次々と快感が押し寄せてきて、思考の間を与えない。
──あんっ……やだ……だめぇ……
 なすすべもなく、快楽に飲み込まれてゆく思考。
──ん……きもち……いい……
 甘美なものが、魂を包み込んでゆく。
 まるで眠りにつく瞬間のように、快楽だけが心を支配する。
──きもちいい……なんだか……もう……どうでもいいや……
 そのまま、エリザベートの理性はゆっくりと消えていった。

 拘束されたエリザベートの表情に、恍惚の微笑が浮かんでいる。その目には何も見えず、その耳には何も聞こえない。
 それどころか、拘束されていることすら今はわからないだろう。
 おそらくは、ただ快楽のみがその心にあるはず。
「明日まで、ゆっくりとお楽しみくださいね、陛下」
 そう言って、ナオトは部屋を後にした。
 明日には、呪符の効果も切れる。そしてそのころには、きっと余計な女王の矜持など消えて、従順な女になっているはずだと思った。
──あなたの一言で、この地にヒトの国がうまれるのですから。
 ナオトは、自らの夢にすこしづつ近づいている事を実感しつつ、部屋へと戻っていった。
(後編へ続く)
385名無しさん@ピンキーsage2005/05/28(土) 15:38:00 ID:w5e0rHvE
以上、第七話の中編です。
 まあ、この展開だと普通にナオトの思惑は失敗します。
 この世界に「ヒトの国」なんてものができようものならそれこそ世界観が崩壊しかねませんから。
 第一、こちむいワールドを広げてきた先人に申し訳が立たないです。
 とりあえず、この手の展開だと、内乱を利用してのし上がろうとする野心家のヒトの青年ってのはお約束かなとか思ってましてw

 あと、エグゼクターズ諜報部について。
 ナオトはあんなこといってますが、設定的には本当の権力の中枢には入り込んでません。
 あくまで「国際犯罪者対策の諜報及び情報収集」ですから、地方領主とか富裕な商人階級とかです。
 ……つーかシュバルツカッツェ城なんか、怖くてスパイなんか送り込めたものじゃないですw
 さて後編。レーマとアンシェル、そしてリシェルに再びスポットを当てます。……もしかするとリュナもからむかな。
386名無しさん@ピンキーsage2005/05/29(日) 12:40:45 ID:61VwPz71
目隠し耳ふさぎはともかく、触覚断絶はエロイのかどうか微妙。
あと、声は出せた方がエロイと思う。

またにはちょっと辛めに評価。
387名無しさん@ピンキーsage2005/05/29(日) 18:30:06 ID:6OVtqIJk
なんか人がいないなぁ
カモシカ担当様 GJ です。後編にも期待しているのですよ


それにしてもヒトの国か……世界観的にマズそうな気はするけど、ネタとしては中々かも知れない
388scorpionfish4-1sage2005/05/31(火) 03:18:24 ID:SsPWNqeV
 仄暗く蒼い部屋。
 小さな円窓から差し込む淡い光。
 光の筋が映りこむ壁。水が絶え間なく流れ、伝い、壁面に水鏡を作り出していた。
 そこに映るのは、部屋の様子。
 ベッドの手前にあるサイドボードには食い散らかされた皿が幾つも重なっていて。
 空になったグラスとサーバー。
 手を拭くおしぼり。
 そんなのが乱雑に積み重なっている。
 ぴかぴかに磨き上げられた床に落ちている、蹴り出された掛布。脱ぎ捨てられたドレス。
 その背後に映るキングサイズのベッドの上で、小さな喘ぎ声が時折、漏れる。
 水音さえ聴こえない、とても静かな、部屋。
 ううん、水音はしてる。
 淫靡な、ぴちゃぴちゃって音が。
 わざと立てられてる。
 挿し入れられた優美な指によって。
 腰を這う舌の感触。
 尾てい骨の上をなぞられて、びくっと足が跳ねる。
 何度目かの脱力。ぐったりと、マットレスにからだが沈み込んだ。
 顔を上げると、媚態を晒すあたしが、水鏡の中であたしを覗き返している。
 恥ずかしくて。
 でも興奮して。
 崩れた腰をまた、双つの腕が引き上げる。
 あごをつけて、腰だけ上げる、そんな上半身の崩れた四つん這い姿で、舌が、あそこに差し込まれた。
389scorpionfish4-1sage2005/05/31(火) 03:18:46 ID:SsPWNqeV
「んっ、あっ……」
 自分の指を噛んで、声を殺す。
 まるで調べものをされてるように、幾度も肌の上を、指が、唇が、舌が、這い回る。
 でも、いつまでも焦らされて、欲しくなるものは与えてもらえなくて。
 だんだん自分がいけないコになっていく。
 ごはんを食べてる間も、身を清める間も、こうしてベッドの上に引き上げられてからも。
 おしおきは止まなくて。
 すっかり太股は濡れている。
 シーツの染みが薄く、でも確かに拡がっていって。
 乾くひまもない。
「ふぁ、るむぅ」
 おしりの圧迫感が少し遠のいた。
「ふふっ、欲しくてたまらない顔をしてるね?」
 水鏡ごしに、皮肉げな笑みを浮かべたファルムと目が合う。
「でもだめさ。このぐらい、やられたんだろ?あの二人に。まだまだ甘いよ。このファルムが欲しくて欲しくて気が狂うくらい、躾けないとね」
 もう狂ってるよぉ……。
 なめたい。しゃぶりつきたい。あそこにほしい。
 そんなピンクな考えしか頭に浮かばない。
「も、舌だけじゃ、やなのぉ」
 口を開けて舌を出し、おねだりする。
「じゃあ、これでどうだい?」
 あそこに指がまた挿し入れられる。
 はあっ、一本、二本。
 きゅっきゅっとあそこで締め付けた。
 物足りない。
 違うの、欲しい……。
390scorpionfish4-1sage2005/05/31(火) 03:19:18 ID:SsPWNqeV
「随分しめつけてくるねえ。もういやらしい気分が復活したのかい?」
 中のイッちゃう場所をくいくいと刺激されて、また硬直した後、崩れ落ちる。
「そぉ、なの。ふぁるむがほしいのぉ……。ちょーだい?」
 ファルムの指が引き抜かれて、あたしの口元に愛液にまみれた指が差し出された。迷わずあむっと口に含んで、舌をたっぷりからめて、唇でしごく。
 ファルムの吐息が熱を帯びた。
「………そうだねえ。あの薬も抜いたし、このファルムの自制心もそろそろ限界だよ……いれてあげようね、シロ。ご褒美だよ」
 腰を軽く持ち上げられて、あたしは自分からあそこを見せつけるように両手で拡げる。
 近づいてきたものに腰をすりつけて、いれやすいように導く。
 ぬちゅ、という音がして一気に貫かれた。
「あぅっ…!」
 は、あ、き、もち、いい、よお……。
 あたしはすぐに達してしまい、うつぶせに倒れ込む。
 そのまま寝バックでファルムがあたしを責め立てる。
 肉のぶつかる音と、あたしの鳴くような高い喘ぎ声と、いやらしい水音が一緒になって。
 あたしはその度に、脚や上半身を反り返らせながら、懇願するようにファルムの名を呼ぶ。
「ちゃんと四つん這いにおなり……」
 欲しくて、欲しくて、言う通りにする。
「も、もぉ、らめえ……」
「なにがだめなんだい?こんなにいやらしい姿でぱくぱく欲しがっているのにさ」
 腰を打ち付けられながら、耳元であたしの様子を低く艶やかな声で実況される。
「らめなの。へんになっちゃうのぉ……」
 みみたぶを舐められ、目の前が遠くなる。
「そうかい?じゃあ、欲しいものをいってごらん?」
 意地悪なファルムの声。大好きなファルムの声。
391scorpionfish4-1sage2005/05/31(火) 03:19:36 ID:SsPWNqeV
「あっ、ふぁっ、るむの……どくどく、ほしいの。いっぱぃ…どくどくしてほしいの…」
 目の前がちかちかする。目が見えない。
 感じるのはファルムの感触だけ。快感だけ。荒い息だけ。
「出して欲しいのかい?じゃあちゃんとおねだりしないとねえ……」
「出してっ、出してくらひゃい……あんっ、もぉ、もぉげんかいらのぉ……っ!」
 どくっ。
 ファルムのが奥いっぱいに突き込まれて、動きが止まる。
 でも中でたくさんびくびくしてる。
 止まらない。
「あっ、あ……っ、いっぱい、でてるう。どく、どく、するう」
 あたしは歓喜の声をあげながら合わせてまた達した。
 おなかの中に吐き出されたものが熱く、うねるようにあたしを満たしていく。
 ぐったりと倒れ込もうとしたあたしを、ファルムが抱き寄せて。
 あたしたちは重なり合ってゆっくりと沈み込んだ。
 余韻が冷めるまで、そのまま繋がっていた。
392scorpionfishsage2005/05/31(火) 03:23:15 ID:SsPWNqeV
お久しぶりです。
何を書くにもまずこの二人のらぶらぶ(?)Hから……と相成りました。

シロの感覚が一部に集中しているため、外見描写が少ないです。
一応シロは素っ裸、&時間軸として3の後すぐ、とだけ補足までに。

短編ですが、これにて失礼をば。
393名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 05:11:51 ID:gVeh1o0P
ファルムの独占欲がらぶらぶな感じですなあ。
GJ!
394名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 11:48:53 ID:igOh85FU
えろえろよー!
あー、こんな風に蕩かされてみたい……GJ!
395名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 18:02:22 ID:xZpBJ3ZS
>>392
GJです。
いつもながら乱れる様が目に浮かぶような描写で、すごいなあと思ってます。





……これが土日に20時間放置される奴と、平日に即レスがつく職人の差か……orz
396名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 19:13:35 ID:tHZ9NbNg
そんな思考にしかならないなら一度書くのを休んだ方が良い
煽りとかじゃなくて真面目に
397名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 21:41:53 ID:xZpBJ3ZS
>>396
いや、その……自虐ネタにマジレスは……(´・ω・`)

その、マジ愚痴を本スレに書くほど空気読めない奴とは思われたくないなぁと。
とはいえ……これは、いちおう謝るべきか……?
……うん、変に空気悪くする前に土下座しとこう。
とりあえず>>392氏と>>396氏に土下座。 _| ̄|〇<ゴメンナサイ
398名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 22:03:59 ID:tH4N9ihg
>>396-397
まぁなんだ。
お前等俺と一緒にバチカン市国に帰ろうぜ!
399名無しさん@ピンキーsage2005/05/31(火) 22:11:34 ID:cVyqVJvB
>>398
一瞬バカチン市国にみえたがもうまんたい
400名無しさん@ピンキーsage2005/06/01(水) 03:42:25 ID:+MhdgfIf
テスト失礼。
401名無しさん@ピンキーsage2005/06/01(水) 03:44:58 ID:+MhdgfIf
 >>397  うん、後半は大丈夫!
 
 前半はどうもアイデアに溺れた感じがあって、中途半端感があったけど
文章の流れはいいから、後半はきっとGJの嵐になるよ。
 策士策に溺れないように…。
 こちむいでは感覚断ちじゃなくて、感覚増加があったような…
エロでなくて笑えるほうに比重がいってましたが。

 あ、忘れないうちに…。>>392 GJ!このスレでこんな濃厚エロのみって結構新鮮。

 さ、マターリいきましょー…
  
 こちむいのビジュアルは「奇械田零士朗」のマンガで補完…ネタもよくかぶってるしなー

 などと小声でいいつつ400ゲット!
402名無しさん@ピンキーsage2005/06/02(木) 19:47:55 ID:VtpDVH0d
奇械田零士朗でググッたら真っ先に801漫画かよーっ!!
403名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 13:47:55 ID:MME3mYJM
漏れは真鍋譲二のマンガで脳内ビジュアル補完してたんだが、どうよ?
404名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 13:50:28 ID:MME3mYJM
>>403
「真鍋譲治」だった、スマソ
405名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 17:14:36 ID:AZzmAfnx
そこでサモンナイトで脳内補完とか書いてみる。
406名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 18:36:14 ID:Yu1EalII
レシィキュン?
407名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 19:56:01 ID:7+J6fld6
『ぼく』辺りにはティンコガードつけないと……。
408名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 20:23:01 ID:OPimBP6i
>>404
ああ、あの雑誌のせいで尻切れに終わった奴。
409名無しさん@ピンキーsage2005/06/03(金) 21:21:32 ID:2ruwJ+Z3
+   +
  ∧_∧  +
 (0゚・∀・)
 (0゚∪ ∪ +
 と__)__) +
410名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 01:52:05 ID:o5EzqK2c
>>408
そんな連載何本もあるよ、アノ人の場合。特にここ数年…

あと全然関係ないけどどっかのアニメのエンドテロップで
何のスタッフだったか知らないけど
「真鍋譲二」って本当に居た気ガス。
411名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 02:18:48 ID:bT49AzdC
何故か2話同時執筆なので、初回投下時あたりと比べて、
格段に落ちたスピードがさらに、半分まで・・・orz

どんどん、ド壷にはまっていくこういう場合って、どうしたもんか。

412名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 07:58:56 ID:x1YsClg3
丸一日、散歩してみる。
413名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 17:30:08 ID:B5gCKOUw
>>411
とりあえず片方を先に終わらせるってのが理想だけど、そううまくいかないのが世の中。
とりあえず、開き直るってのがひとつの解決策かなぁ。
このスレ、scorpionfish氏やタコ担当の方みたいに、もう何ですかそれはって感じの、鬼みたいに執筆速度速い人もいるけど、昔からの人には季刊ペースの人だっているし、いっそ開き直ってゆっくりマターリ書くのも一つの手かと。
焦らせたほうが読者は待ち焦がれるもの、ぐらいに思ってみてはいかがかと。

>>410
「ここ数年」にあの人が連載もってるとは思ってなかった、なにげにすごく失礼な自分がいます……w
414名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 18:29:07 ID:O7a7nFMH
自分は二話ぐらい並行して書くのが普通だったりします。
片方のネタが出ないときにはもう片方、ってなふうに。
そして両方が同時期に完成するので少し間おいて投稿、って流れです。

時々両方の話が混じってしまう欠点がありますけどorz
415名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 18:49:02 ID:mzDwJmWf
>>413
>昔からの人には季刊ペースの人だっているし、

いたいたいたたたた。半年に一回ペースの私としては恥ずかしい限り。
仕事も忙しいけど、他にも書かなきゃいけない物があれとかこれとか色々あるんで
・・・・・・ってまるっきり愚痴ですな。

それはさておき、その手の仕事も一段落してきたのでそろそろ書き始めますか・・・・・・。
416名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 19:11:29 ID:7jZSY9OT
>>415
俺も痛いよ……あははははー

みなさんちょっと待ってて。次のネタは出来てるから。
417名無しさん@ピンキーsage2005/06/04(土) 19:17:52 ID:5rRg6n5w
俺も痛い orz

頑張らんとあかんなぁ……
418名無しさん@ピンキーsage2005/06/05(日) 00:00:28 ID:WTcAlwQn
ネタ思いつき→頭の中でこねこね→ピカーン!→とりあえずここまで出来ました→できたから投下しとくか。みたいな流れですので。
速いって言うか…短いから速く見えるのです。
3は流れだけ決めて、できあがったらなんか長くなってましたが…。
書けないときはまったく書けません。

……結局誰も名前欄に突っ込みいれなんだ。
それはそれで完結でいいのかしら…。
419名無しさん@ピンキーsage2005/06/05(日) 21:05:51 ID:yHiR52SA
あとたったの三時間で日曜日が終わる。
悲しい。
420名無しさん@ピンキー2005/06/07(火) 23:59:26 ID:SV6bXyTr
「どうしてご主人様のお耳は大きいの?」
「それはね、お前の(喘ぎ)声がよく聞こえるようにだよ。」
「どうしてご主人様のおめめは大きいの?」
「それはね、お前が(乱れる姿を)よく見えるようにだよ。」
「どうしてご主人様のお口は大きいの?」
「それはねお前を食べやすいようにさ!!」
ご主人様はベットから飛び起きると、そのまま彼女を押し倒し
最後までおいしくいただきましたとさ。

終。
421名無しさん@ピンキーsage2005/06/08(水) 14:20:55 ID:Dkvb61Au
ワロスw
422名無しさん@ピンキーsage2005/06/09(木) 20:54:24 ID:gu3L6FjO
性欲をもてあます
423蛇担当sage2005/06/09(木) 21:33:23 ID:Eq6P1oeY
次の作品を書く前に。ちょっと失礼させてもらって、前作の後のサトルの生活の話を。
短い上にエロがないですが。
424蛇担当sage2005/06/09(木) 21:34:19 ID:Eq6P1oeY
幕間劇 さぼりの奴隷と猫のラーメン屋

 月が大きく見える夜。こっそりと城壁を乗り越えた。
「ちーっす」
 赤い暖簾をくぐって狭いカウンター席に腰掛ける。湯気の向こうから人なつっこいペルシャ猫の笑顔が迎えてくれた。
「お。らっしゃい。ずいぶんと久し振りだねえ?」
 ごつい体格で、額に三日月型の傷があるネコのおっちゃん。このふさふさの長い毛で砂漠の国は暑くないのだろうか?
以前聞いてみたけど「慣れだよ、慣れ」と笑ってたが。
「いやもー、抜け出そうにも監視が厳しくなってさあ・・・・・・。あ、タンメンとビール。麺硬めで」
「あいよ、いつものね」
425蛇担当sage2005/06/09(木) 21:35:22 ID:Eq6P1oeY
 アディーナはこの辺ではもっとも大きな街であり、セト教の勢力も強い。
 そして、セト教には「断食行」と言う物がある。
 聞いた話によると、偉大なる祖先竜セトが悪意ある太陽と飲まず食わず一ヶ月間戦ったという説話にまつわる物で、
(この戦いでセトが太陽に打ち勝ち、世界の半分を昼と夜で分けることになったとかなんとか)一ヶ月間、太陽の前で
食事をしないことでセトの苦しみを分かち合うという意義があるそうな。
 そんなわけで、信者は昼間食えない分を夜に食べると言うことになる。そんな客を当て込んで、アディーナでは夜間
のみの営業をする食べ物屋が多く出るようになった。昼間は交易品の市場としてにぎわう中央広場から大通りだけど、
夕方頃にテントが張り直され、夜からは上手そうな匂いを漂わせる屋台料理屋街に姿を変えるわけだ。
 そんな屋台料理屋のなかでも一番の変わり種が、この『らあめんや』。そう、『らあめんや』と平仮名で暖簾とのぼり
に染め抜かれている。
 日本でも今時珍しい屋台引きのラーメン屋で、毛の長いネコの主人がやっている。
426蛇担当sage2005/06/09(木) 21:36:50 ID:Eq6P1oeY
 当然ながらメニューは少なく、普通の塩ラーメンと野菜炒めの乗ったタンメン。あとお酒が少し。
 蛇の諸国では気候的に醤油と味噌が手に入らないので、塩ベースの味にしかならないそうな。しかし、羊肉の薫製、
駱駝の骨と炒めネギベースのスープは単純ながら見事な味で、日本式のラーメンの味を自分の物にしていなければ
これほどの物は出来ないと断言したい。
 が、どうにもヘビの皆さんには受けが悪いらしく、客の入りはあまり良くない。その一方でヒト奴隷を連れたヘビが来
ていたり、金持ちそうなヘビが来ていたりする。
 一種の通好みの店として受けているらしく、常連は多いが新しい客は入って来づらいらしい。まあ、ヘビは全体的に
保守的な考え方だし、ネコの作る落ち物料理の屋台がある事自体すごいことなのかも。
「しかし、兄さんもいつもいつも良く抜け出せるねえ?そんなことして御主人様からお叱り受けたりしないのかい?」
 羊脂でニンニクが焦げる香りが香ばしい。鉄鍋から放り上げられてはまた戻る野菜が輝いて見える。
「いーのいーの。たまにはこうして命の洗濯しなきゃ仕事もうまくいかないんだよ。つーか、10日間も図面やら英文やら
とにらめっこしてたら脳みそ腐るってーの」
 迂闊に『蒸気機関と機織り機で世界征服した国があります』って言ってしまったせいで、ティアマトーの産業革命を
するように命じられてしまった。おのれ、陛下め。一から蒸気機関作り上げることがどれだけ難しいか分かってないん
だ。まあ、分かってたらそれはそれで怖いが。
427蛇担当sage2005/06/09(木) 21:37:33 ID:Eq6P1oeY
「いや、難しい仕事してるんだねえ。やっぱり兄さん頭良いんだ。おいらは学がないんでよく分からないけどな」
「おいおい、褒めたって、代金しか出ないよ?」
 麺揚げをするおっちゃんに、苦笑しながらそう返す。
「あっはっは、兄さん褒めなきゃ踏み倒す気かい?」
「かもな?」
 笑いながら出されたラーメン丼とジョッキ。俺も笑いながら受け取る。
 スープを一啜りして、麺をほおばる。パリパリの野菜の食感を歯で味わい、ビールで胃の腑へ流し込む。至福の瞬間。
「くっ、はあぁ〜〜〜〜。いや〜、旨いね。あれだね、美味しいじゃなくて旨いね」
「おいおい、褒めたってラーメンしか出ないよ?」
 そっくりそのまま俺のセリフを突っ返された。だから俺も付合う。
「あっはっは、褒めなきゃラーメンでないのかよ!」
「かもな?」
 こらえきれず、二人で吹き出した。
428蛇担当sage2005/06/09(木) 21:38:35 ID:Eq6P1oeY
 なんでネコのおっちゃんがヘビの国でラーメン屋やっているのか、額の傷は何なのか、俺は聞いたことがない。それ
を聞くと、俺も顔の傷のことを話さなきゃいけなくなるし、そんな話はラーメン啜りながらやることでもない。
 でも、そういう空気読めない奴ってのは何処にでもいるもんで、何とはなしに聞こえてしまう。
 そうして聞こえた所によると、元はスポーツ選手だったのがネコの国で大きな事故を起こして仕事を続けられなくなっ
て、コッチで心機一転と言うことらしい。ネコの国の王都でコロッケ屋をやっている叔父夫婦がいて、その店を手伝って
いた時に習った料理のイロハが役に立っているのだと懐かしい眼をして語っていた。
 ネコの寿命は600だったか、800だったか。ともかくも、俺よりも100歳以上は確実に年上であろうおっちゃんが、国を
出なきゃいけなかった事件とか、ここに腰を据えた理由とか、計り知れないドラマがあるんだろうなあとは思う。
 してみると、この塩スープの深いコクはおっちゃんの人生の味なのかもしれない。
429蛇担当sage2005/06/09(木) 21:39:10 ID:Eq6P1oeY
「ますたぁ、衛兵さん達がきたれすよぉ?」
 幼い声が思考に割り込む。こっそりと周辺を見晴らせていたクシャスラの声だ。
「な、なに?しまった、最近ここら辺に来るの早くなってないか?」
「兄さん、行動範囲が絞られてきてるんじゃないかい?」
 呆れた声でおっちゃんが言う。・・・・・・確かにそうかも。ううむ、でもここら辺の国でちゃんとしたラーメンを食えるのは
ここだけだしなあ・・・・・・。
「ますたぁ、次の次ぐらいにこの店に来ると思うのれすけど・・・・・・」
「げっ!お、おっちゃん!すまないけど、また匿ってくれ!」
 言うなり、屋台の後ろに隠れる。おっちゃんはやれやれといった顔で、丼とジョッキをカウンターの後ろに隠してくれた。
430蛇担当sage2005/06/09(木) 21:40:11 ID:Eq6P1oeY
 兄さんが隠れるのと入れ替わるようなタイミングで兵隊さんが入ってきた。まったく、コントみてえなヒトだよ。
もしかして、わざとやってるのかね?
「おう、親父。ここにヒトがこなかったか?」
「へえ、たまにヒトを連れたお客さんも来てくださいますけどね。今日はいらしてねえです」
「そうじゃねえ。ヒトが一人でこなかったかって聞いてるんだよ」
「またそれですか?いや、見ませんでしたけどねえ・・・・・・」
 何度もやったようなやりとり。まあ、兵隊さんはこのやりとりを何倍もやっているんでしょうが。
「そうか・・・・・・悪いんだが、一応裏を見せてもらうぜ?上から言われてるんでな」
「は、はいっ?いやそれは・・・・・・」
 おいおい、本格的になってきたね。ホントに犯罪してないんだろうね、兄さん?
「って、兵隊さん。ちょっと困りますよ秘密の隠し味ってのがありまして・・・・・・」
「安心しなよ、どうせ俺が見たってわかりゃしねえし。アンタ以外にアーメンなんかつくらねえから」
「いや、アーメンじゃなくてラーメン・・・・・・って、ちょっとちょっと!!」
 やばい、其処には兄さんがっ!?匿っているのがばれたら・・・・・・。
「・・・・・・いねえな」
「え!?」
 ほんとだ、確かにいない。ここから逃げた?いやでも、足音もしなかったし・・・・・・。
「いや、じゃましたな。親父」
「は、あ、ええ・・・・・・」
 兵隊さんが帰っていくのを呆然と見送る。いや、兄さん何処に消えたんだ?まさか食い逃げ?
 そう思ったとき、音もなく目の前に影が降りた。
431蛇担当sage2005/06/09(木) 21:40:43 ID:Eq6P1oeY
「あっぶないな〜。まさか、店内捜索までやるとは・・・・・・」
 何か本格的に犯罪者扱いになってきた気がするぞ。何考えてんだ、陛下め。
「・・・・・・いや、兄さん。アンタ一体どこから・・・・・・」
「え?いや、裏に回ってきそうだったんで、一度横手に回って屋根の上に」
「なんか、やたら手際が良いんだが・・・・・・」
「落ちてからこっち、自慢できないことばっかり上手くなって困るよ、ホント」
 こんな技術がないと生き残れなかったってのは人生間違ってるよなあ・・・・・・。肩を落す俺に、おっちゃんがしかめっ面で声をかけた。
「兄さん、ホントに犯罪やってないんだろうね?」
「そんな、おっちゃん!俺を疑うのかっ!!」
「そうれすよ!ますたぁは犯罪何かしてないれす!!」
「まあ、犯罪はしてないな」
 差し挟まれた冷たい声。ま、まさか・・・・・・。
「が、仕事をさぼって抜け出すのは十分に問題だな?」
「サ、サーラ様!?」
「何でここにいるんれすかぁ!?」
432蛇担当sage2005/06/09(木) 21:41:53 ID:Eq6P1oeY
「いやなに、従姉殿がどうにも捕まらんと業を煮やしてな。ついには私を狩り出す始末」
 しまった、この手はもっと後に使ってくると踏んでたのに。十の試練として命じるまで引き延ばすのかと思ってたんだが。
「あとは、以前からサトルの主人としてお前の動向を把握しておく必要があるとは思っていたのでな」
 そう言って、サーラ様がラーメン屋台を睥睨する。しまったそう言う理由か!サーラ様ルートで行き先ばれるのが嫌で
秘密にしてたんだが、裏目に出たか。
「で、これが理由か」
「いや、その、あの」
「ふむ・・・・・・」
 ど、どうしたもんだろう。逃げても絶対に捕まるし、謝ったって赦してくれないだろうし・・・・・・。動揺する俺を尻目にサーラ様
は少し考え、そしておもむろにカウンター席に着いた。
「どれ、私も一皿もらおうか」
「え?」
「あ、はい。ラーメンでよろしいですね?」
「うむ、任せる」
 反射的にラーメン作りに戻るおっちゃん。呆然とする俺にサーラ様が手招きした。
「えーと、あの・・・・・・」
「いいから座れ。話はそれからだ」
「はあ・・・・・・」
433蛇担当sage2005/06/09(木) 21:43:44 ID:Eq6P1oeY
「要するにな、従姉殿としてはヒトごときが自由に出入りしている事が許せんのだ」
 サーラ様が指先でフォークを(箸が使えないので。この店は元よりそういう客用にフォークがおいてある)弄びつつ、
そう切り出す。
「は?」
「もとより、サトルは私の奴隷であって、従姉殿のものではない。だから、仕事を頼むことは出来ても拘束することは
出来ない」
「はあ・・・・・・」
 食いかけ(といっても、ほとんど食べ終わっていたが)の伸びたタンメンを腹に流し込み、ちびちびとビールの残りを
舐める。泡はすっかり抜けきっていたけど、苦みが舌に気持ちいい。
「だがそれでも、出入りを把握できていないというのは警備上の観点から見ても問題でな」
「あ」
 なるほど、確かにそれは問題だわ。
「おまけにそれが捕まらんとあっては部下達の面子も立たん。それがヘビならともかくヒトとあってはどこか致命的な
問題があるという事にもなりかねんからな」
「必死にもなるわけですね・・・・・・。で、最初からサーラ様を使わなかったのは・・・・・・」
「それこそ部下の面子だろうな。立てられないのが分かっていても立ててやらなければいけない時があるものだ」
「いやでも、難しいでしょう。そっちの兄さんがどんなヒトだか知らないけど、このボロ屋台に登るのに軋み一つあげない
し、降りる瞬間にも足音一つ立てないってのはなかなかできるこっちゃありませんぜ?」
 コッチの話を聞いていたのか、麺の様子を見ながらおっちゃんが言う。
「そりゃあのでっかいお城並の警備がいるってんならともかく、一個人の邸宅程度なら抜け出されてもおかしくない腕前
ですよ。それを捕まえろってのは、やたら耳のいいウサギか鼻の利くイヌでもいなきゃ無理じゃないですかねえ」
『あははははは』
 二人の乾いた笑いがハモると、麺揚げをするおっちゃんがぎょっとして振り向く。言えない。そのお城から抜け出して
ラーメン食いに来てるなんて言えない。
434蛇担当sage2005/06/09(木) 21:44:44 ID:Eq6P1oeY
「まあ、それはともかく」
 ごまかすように、サーラ様が話を進める。まあ、迂闊になんかこぼすと機密漏洩罪とかになりかねないしな・・・・・・。
必死なんだろう。それなりに。
「私が出向けばちゃんと捕まると言うことさえわかれば、従姉殿も次からはそうするだろう。お前が色々規格外なヒト
であることは従姉殿も承知の上だしな」
「はあ」
「それに、おそらく従姉殿はお前が逃亡することを一番恐れている。お前と言うより、お前の知識をだがな。それが他国
にでも逃亡したら大きな損失だと思っているんだろう」
 なるほど、確かに落ち物の『理屈』をもっているというのはレアなんだろうなぁ。それが利益を生むとわかった今では
特に。・・・・・・って、あれ?
「サーラ様は考えなかったんですか?」
「何をだ?」
「いや、俺が逃げないかどうかって」
「・・・・・・考えもしなかったな」
 虚を突かれたような顔で呟くように答えたサーラ様の前に、毛むくじゃらの腕が湯気を上げる丼を置いた。
「おまちどうさま、塩ラーメンです」 
「お?おお、では頂くか・・・・・・」
「熱いんで気をつけてくださいね」
435蛇担当sage2005/06/09(木) 21:45:55 ID:Eq6P1oeY
 慣れない手つきで巻き取ってラーメンを食べ始める。・・・・・・感想はない。ただ、黙々と勢い付かず、躊躇もせず、言葉
もなく食べ続ける。
 なんとなく声をかけるタイミングを見失って、ビールの残りを啜って待つ。・・・・・・不味い訳じゃなさそうだけど、何かこう
静かなのは不気味だ。おっちゃんは気にした様子もなく、鍋の火をいじっている。初めての客なのに不安じゃないのかなあ・・・・・・。
 ちびちび啜ってたビールが尽きる頃、サーラ様もスープを飲み干して丼を置いた。
「・・・・・・大したことはないな」
 うわひでえ、おっちゃんに聞こえるような声でいうか?けれど、おっちゃんは喉の奥で笑いを噛み殺しながら、丼を下げる。
「お粗末様でした。お題は兄さんの分も合わせて銅貨7枚になります」
「うむ」
 大したことはないと言いつつサーラ様は素直に言い値で払う。・・・・・・どことなく満足げに見えるのは気のせいか。
「さていくか。従姉殿がそろそろしびれを切らすころだ」
「・・・・・・もう遅いんじゃないですかね」
 結構時間が経ってた気がするんですが。ホントに切れてなければいいけども。暖簾をくぐりながらサーラ様がおっちゃん
に声をかけた。
「では、失礼する」
「へい、毎度」
436蛇担当sage2005/06/09(木) 21:46:45 ID:Eq6P1oeY
 行き交うヘビでまだにぎわう屋台街を二人で歩く。そういえば、ほぼ丸腰でサーラ様と外を歩くなんてずいぶんと
久し振りのような気がする。透明な空には明るい月。
「たまにはいいものだな」
「え・・・・・・?」
「夜の散歩も」
「・・・そうですね」
 改めて考えると最近は工房に籠もったり写本室に籠もったりで、あまり会っている気がしなかった気がする。こんな
二人っきりの時間が何か嬉しい。
「またそのうち食べに来ましょう」
「それはまた抜け出すという宣言か?」
「そうですね・・・・・・。その時はまた捕まえに来てください」
「そうだな、そうしよう」
 月光の影が屋台の灯に消されないぐらい明るい夜。にぎわうヘビの声に、料理と色々が入り交じった匂い。そこはか
となく日本の夏祭りを思い出した。・・・・・・サーラ様浴衣を着たら似合うだろうなぁ。いいなあ、機織り機が完成したら
作ってもらうか。
 そんなことをぼんやり考えながら、二人で王宮への道を歩く。もう少しだけ遅く歩きたい。そんなことも考えながら。
437名無しさん@ピンキーsage2005/06/09(木) 21:55:31 ID:Eq6P1oeY
というわけで、「ヘビ人間の住む砂漠の街にネコがやっている屋台引きのラーメン屋」というファンタジーな話です。
なんかふと思いついて想像してみると、すごい絵面になってしまったので書いてみたくなりました。
このころのサトルは朝は機械設計、昼は英文翻訳、夕方は鍛錬と忙しい生活を送っています。
で、その生活の中での一幕を切り取り、ついでにこれからちょくちょく出そうと思っているネコのおやっさんを
紹介してみようかなあと。

最近忙しくてコッチの作業は久し振りなので勘を取り戻したくもあったり・・・・・・。
では次の作品は・・・・・・10月中に出せるかな?(汗
438名無しさん@ピンキーsage2005/06/09(木) 23:30:03 ID:ur0klFZB
おやっさんシブカワイくてステキー。

ちゃんとペルシャって書いてあるのに、
額の三日月で小鉄を連想してしまいました。
439名無しさん@ピンキーsage2005/06/09(木) 23:37:50 ID:XX9m4jQV
サトル強いなぁ。帰還兵の話も読みたくなってきたです。
440名無しさん@ピンキーsage2005/06/11(土) 03:03:52 ID:t/RiwJh7

ttp://yotaba-g.no-ip.org/~yotaba-g/ni/nandemo/src/1118426578147.jpg
441名無しさん@ピンキーsage2005/06/11(土) 08:24:46 ID:SMcXh8AS
・・・毛玉?
442名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 13:27:40 ID:VXo+DAR5
ルティモンドとかだったらヤダなぁ
443名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 14:50:18 ID:ElK8Tle4
>>442
そのネタ分かる奴いるか?
444見聞録の人sage2005/06/12(日) 17:05:19 ID:oNdevwmE
 <狗国見聞録>
5 http://nullpo.mydns.jp/up/updir/7028.txt
6 http://nullpo.mydns.jp/up/updir/7029.txt
7−1 http://nullpo.mydns.jp/up/updir/7030.txt
7−2 http://nullpo.mydns.jp/up/updir/7031.txt
8 http://nullpo.mydns.jp/up/updir/7032.txt


<注釈>
 相変わらず今回も掲示板に貼るエロSSじゃねーよってくらい長いので注意してくださいまし。
 「エロSS」でなくて「エロもあるSS」って言い方が正しいくらい。
 1から合わせたら既にそこらのライトノベル小説一本分くらいの長さになってると思うので、
 暇な時間にコーヒーか紅茶でも入れつつお茶請けの饅頭でも用意して、
 万全の体制で読むか、もしくは一気に読むと喉詰まりするので1週間位に分けて読んだ方が。
 ……とりあえず目安として。

5=非エロ 魔法関係の設定補充
6=非エロ 魔法関係の設定補充
7=前半が萌えエロ、後半が世界観補充
8=エロロロロロロ

 ・掲示板のエロSSなんて所詮便所の落書き、今晩のオカズになればそれでいいんです。
 つーかダラダラした心情描写や非エロのストーリーだなんてぶっちゃけ(゚听)イラネ、な人。
   →→8だけどうぞ
 ・唐突に本番だけあっても困ります、むしろそこに至る過程や心情描写にハァハァ。
 でもあんま萌えもエロもない話が続くのもちょっと……な人。
   →→7前半+8でどうぞ
 ・あ、自分、暇ですよ。ライトファンタジー好き、このスレの世界観が好きです、という寛大な人。
   →→覚悟を決めて全部どうぞ
445読む前に知っとくといい語句とかsage2005/06/12(日) 17:07:58 ID:oNdevwmE
<魔素>
 魔洸や各自の魔力になる前の未加工状態のやつ。国によっては『マナ』とか『エーテル』とか
『霊気』とか『道』とか、色々呼ばれるっぽい。 お約束で深山とかが濃かったりする。


<攻撃魔法>
 いかにもアレな単語だけど、でも言い換えると『効率良い破壊と殺傷の為の魔法』。
もっと言っちゃうと『殺人魔法』。暴力と野蛮の象徴で、好まない魔法使いは意外と多い。
セラ様やファルムさんなんかがあまり好まない魔法かと思われる。
2000年前にイヌの国がやらかした事によって、初めてこの言葉とその概念が広まった。


<プロビデンス(or規格外存在、皇血血統者)>
 この世界の学術用語。 要するにマナ・ユナ・リナ様とかセラ様とかエラーヘフ様とかの、
本人達は『いやいやそんな対した事ないですって』と笑っておっしゃられるけど、
でもごくごく平凡な一般庶民獣人の皆様からすれば「げぇーー!?」な人達。
魔法が凄かったり、格闘センスが凄かったり、商才が凄かったり、頭が異様に良かったり。
 それが古代文明の生物兵器としての量産型とコマンダー型の違いから来るものなのか、
あるいは王族は得てして神話の時代の各種族の始祖たる『神様』の血に近いからなのか、
色々理由は考えられるけど、でも正確なところの本当にどうしてなのかは不明。
もっぱら王族やその傍系に出やすいが、稀に先祖帰り的に市井の庶民から出る事も。

 同種族内の個体差がほとんど無い「ヒト」の世界と違っての、この世界のひずみ。
上記のマナ・ユナ・リナ様、セラ様、エラーヘフ様クラスのはまだ笑って萌えて許せるけど、
でも数十年〜数百年単位で生まれて来る、フローラ様クラスやザッハーク帝クラスの、
凡人からすりゃ「いやお前、ずるいよそれ」と言いたくなるような完璧人外級、
天から二十物も三十物も与えられたような人間が生まれてくると、ちょっと笑えない。
 海底に国を作ったかつてのサカナの女王みたく、その周囲と一線を画した強大な力を
あくまで平和の為に使った人も居れば、リュカオンやディンスレイフみたいな人間も。
446ふぁんたじ〜な金属とかsage2005/06/12(日) 17:09:14 ID:oNdevwmE
<愚黄鉛(クレゴーラ)>
 合金。黄土色。非常に脆く柔らかく、常温空気中で放っておくとあっという間に変質してしまう
不安定な金属だが、魔法的・霊的影響を一切受けないという不思議な性質を持つ。
この世界独特の希少金属の一種、市場価格は劇高。


<真銀鋼(???)>
 合金。鈍灰色。カタカナ呼称に関しては「まことの銀」と言われればピンと来る人は多いかも。
魔法との相性が非常に良い金属で、軽く、極めて高い展性・延性を持ち、加工は容易。
ただそのせいで魔法の物品や細かい彫金・細工物には向く反面、武器や工業用には本来不向。
そういうわけで全然万能金属だなんて事はなくて、むしろ純粋な金属自体の性能は
ハイテン鋼やタングステン系・モリブデン系の高硬度合金鋼などに思いっきし負ける。


<輝黒鋼(ガルヴォルン)>
 隕鉄(異常密度鉄)と真銀を中心とした合金で、黒鉄よりも黒く闇色に光る金属。
展性・延性に優れつつ高硬度、魔法との親和性も高いという一見万能に見える金属だが、
でも欠点として『死ぬ程クソ重てぇ』という致命的短所が。コストもふざけんなって位高い。
 昔は隕石降って来ないと作れないのでとんでもなく貴重だったが、
近年は魔法科学様々の力で重力調整炉なんつー便利な炉が出来た為、結構量産できる様に。
 …で、その性質上、少数精鋭の特殊部隊向けの兵装として需要があるけど、
でもホント、ヒトだとサトル君みたいな能力の持ち主でもない限り「むぎゅ」なくらい重たいです。
447ここまでsage2005/06/12(日) 17:10:34 ID:oNdevwmE
やっぱり迂闊に来週貼りますよとか言うもんじゃないと深く反省しました。
期待させて肩透かし食わせちゃった方々にはこの場を借りてごめんなさい。
事後の翌朝のよもやまと物語の締めを一本ちょこちょこっと書いて次回で正真正銘終わり。
あしたら氏に続く第二のシリーズ物完結者になれればよいんですが。
その後はまぁ…これまでのエロ無しを挽回するようにエロエロな日々を短編で?


<おまけのよもやま>
・ジーク→人間換算年齢を(妥当な所で)20代前半とするか(単純に3で割って)13とするかで
だいぶエロシーンの印象が変わってくるかと。つーか13だと年下攻めになってしまうね。
・あたし→まぁあれですよ。よく居るクラスの男子にとび蹴りは出来るけど手を握るのは無理な、
今時珍しい天然記念物的な『実は超恥ずかしがり屋』。キスされただけで半泣きになる子。
・ディンスレイフ→この世界の理の下での『最強クラス』の人間。逆に言えばあれが最高。

・イヌの国→多分この世界でのTRPGにおける『帝国』的な位置づけ。
・犬国→良い呼び方。アメリカを米国と呼称するようなもの。使用例:「まぁまぁ、犬国から…」
・狗国→蔑んだ呼び方。アメリカ白ンボの国め!と呼ぶような。使用例:「チッ、狗国の犬がッ!」

・あたしの本名→これは次回明らかに
・結局ディンスレイフ君なんの為に出て来たの?→ほのぼのハートフル世界の究極悪さん。
そういうわけで次回はそのステキ魔法で強制性転換・強制妊娠・蟲姦・死姦・異種姦とか。
448名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 17:53:24 ID:imDmC7Uu
――只今住人が必死こいてお茶と饅頭用意してものすごい勢いで目を通しております――
449名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 18:04:22 ID:daChfE7U
秘蔵の栗羊羹と、リットル300円オーバーの高級牛乳入れたミルクティーの投入は任意!
450名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 18:17:56 ID:GT5FYU49
い、今から気合いれて読むですよ!!

>クレゴーラ
うちの物語的に超天敵金属
といっても別にストーリーが変化するわけじゃないんですが……まあ、ビックリですよw
451名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 18:44:24 ID:fYhuXVJx
とりあえず7-2まで読んで、まだ今一わかんない部分とかあるんでもう二、三回読まなきゃ。8はその後のご褒美にとっときます。

……ここまで書けるってのが偉いなぁ。
452名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 19:13:42 ID:yeDaAc2l
読了しました。面白かったです。

締めを心待ちにすることに致します。

魔素かあ……。
453名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 20:28:14 ID:GT5FYU49
読破したです。感服いたしました _ト ̄|○
終の章も心待ちにしております
454名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 20:55:41 ID:pHI4T+7Q

これから読むわけですが

正直、ガンダムに初めてであったジオン兵の気分です

てえか、文庫にしたら3冊分ぐらい余裕でいってると思う・・・・・・。
455名無しさん@ピンキーsage2005/06/12(日) 21:20:55 ID:cuxyAcsx
ふははまいったなこりゃぁ……。
さて、修行しなおしてくるか……。
GJ!
456名無しさん@ピンキーsage2005/06/13(月) 03:41:16 ID:T+oI5Gac
ようやく読み終わり。

8章、一行ごとに奇声を上げながら床を萌え転がりました。
とにかくGJ! 事後もその後の生活も楽しみにしてますー。

しかしジークは本当にエロカワイイなあ……。
457名無しさん@ピンキーsage2005/06/13(月) 04:09:37 ID:jV0aa4gS
ジークがかよ!
458名無しさん@ピンキーsage2005/06/13(月) 14:05:26 ID:CoBazkAn
やべぇ、蛇の人の話もまだ積んでるんだった……気合入れて読みにかかりますorz
くそぅくそぅ、書き物馬鹿めっ(褒め言葉
459酔った勢いで書いてみた何かsage2005/06/13(月) 21:50:55 ID:azhIJwAu
「さて、これより戦略会議を始めたいと思う・・・本日の議題は、魔道師団の再編に関してである」
「・・・・・・」
「御意」
「・・・急に呼び出した割りに、急ぎの議題ではないような・・・」
「センパイ、それ禁句ッス」

「まず配布した資料の3ページを見ていただきたい。
 これは、落ち物の資料から抜粋したものであるが、見ての通りヒトの世界では、専業化が進んでおり、
 回復・補助主体の○、攻撃主体の×、怪魔法が中心の△、○と×の兼任の□・・・などがあることが判明している」
「・・・・・・」
「御意」
「なあ、これあの落ち物のゲームだろ?ゲームだよなぁ?」
「センパイ、それ以上言うと追い出されるッスヨ」

「次の6ページからは、それぞれの職業の制服の資料を並べてあるが・・・
 特記すべきは、16ページから17ページにかけての、"○師たんスタイル"である。
 我々の部隊の女性魔法使いにも、この制服を採用すれば、"萌え"の効果で士気の鰻上りは間違いないはず」
「・・・・・・これは興味深いな・・・これを持ってすれば、猫の国のキャッツインコタツにも対抗可能だ
 その上、ミニスカートによる運動能力の向上と、ローブによる寒さ対策も申し分ない」
「御意」
「こいつら、ぜってー頭腐ってるよ。特に偉いほうから二人」
「センパイ、あんまり声大きいと・・・」
「そこ、何か言ったかね」
「いえ何も・・・・・・」

将軍閣下殿へ
どうやら、とうとう大隊長と副長の脳みそが腐り始めたみたいです。
はやく落ち物回収なんて任務から外さないと、
落ち物書籍の検閲から来る精神への影響で、とんでもないことになりそうです。
追伸
「御意」しか言わんあの朴念仁もどうにかしてください。
460名無しさん@ピンキーsage2005/06/13(月) 23:47:15 ID:uG5r/aUZ
>457
いや、無論『あたし』のツンデレ鬼嫁っぷりも大好きですよ?

あれもこれもそれも全部好いた男のためになんてもう、もう!
461名無しさん@ピンキーsageまだ読んでない方ネタバレっぽいカキコゴメソ2005/06/14(火) 03:14:02 ID:NIqmES9S
ところでみなさん・・・








見聞録読んでガクガク(((((゚д゚;)))))ブルブルなのは漏れだけでつか・・・?
462名無しさん@ピンキーsage2005/06/14(火) 05:52:23 ID:k0JBLICr
>>461
どういう意味でのガクブルかがわかりにくいけど、世界設定に関するガクブルなら。
避難所にチラシの裏書いてるけど、うちの国は普通に藪蛇つついたというか危険。
463見聞録の人sage2005/06/14(火) 22:15:04 ID:eSAf72AW
>>450 汎用性も量産性もゼロなので、一撃必殺の切り札ぐらいにしか使えませんからねぇ。
>>451 疑問の際には、質問はいつでもどうぞ。 マシンガンって言えば通じる科学関係の用語と
     違って、魔法関係の用語はホントきちんと説明しないと通じないのがほとんどですし。
>>454 なんでか長文になっちゃうんですよ、…ホントどうしてでしょうねぇ。
>>459 ワロタ。…でも「シロマたん萌えぇ!」とか叫んでる獣人の隊長&副隊長想像したら、眩暈が。
>>461 どこが怖かったですか?…と聞かなきゃいけない程怖い所がある自分の話が憎い。

その他レスしきれないそれ以外の方々にも、この場を借りて御礼申し上げます。
発電機の燃料になったのなら、幸いです。

PS.ウサギさんとカモシカさんには、向こうに仔細回答長文で。
464名無しさん@ピンキーsage2005/06/14(火) 23:10:32 ID:MooChmZL
レギュラーガソリン越えて、ハイオク注がれた気分ですよ
目疲れてるのに、多少無理してでも区切りいいとこまで読もうとしてしまう・・・
465名無しさん@ピンキーsage2005/06/14(火) 23:47:09 ID:BnlNEFZV
見聞録の人>
超乙&GJ!
一気に読ませて貰いました。

…スレ違いとか含めてつかぬことを聞きますが、ひょっとしてあなたは以前某ゲームのスレで獣人系の作品投下していた人ですか?
466名無しさん@ピンキーsage2005/06/15(水) 00:02:42 ID:p+RA07nx
明日早いから寝なきゃならない。けど読み止まらない。
まだやっと七章ですよ?

ところで、あの詠唱には何か元ネタや下敷きはあるんですか?


ついで。
ディンスレイフの心情描写を読んで、
あの、「私は戦争が好きだ」で始まる少佐宣言を思い出したのは
俺だけなんだろうか。俺だけなんだろうなきっと。
467名無しさん@ピンキーsage2005/06/15(水) 00:14:05 ID:6fFGfkyq
>>466
> ディンスレイフの、心情描写を読んで
> あの、「私は戦争が好きだ」で始まる少佐宣言を思い出したのは
> 俺だけなんだろうか。俺だけなんだろうなきっと。

私ゃデモンベインのマスターテリオンを、というか見聞録を読んではじめて、
大十字九郎が戦うに値する相手であることがわかった時のテリオンの愉悦がわかった気がする。
468名無しさん@ピンキーsage2005/06/15(水) 10:53:56 ID:B/++YUib
……ゼクロスと御影……(ぼそっ
469名無しさん@ピンキーsage2005/06/15(水) 12:34:54 ID:TQaH4O9g
孤独に耐える強さで
HT&Tのシオルとガスのやりとりを思い出した
470名無しさん@ピンキーsage2005/06/15(水) 23:41:17 ID:8Shtbhoj
>444

エロが欲しくて8だけ読んだんだが…

確かにオカズになった。3回。



心情、めちゃめちゃあったかい。あつい。それが、キた。
俺にも彼女が居るから、解る。俺のがSだから、解る。
大切にしたい、壊したい。この想い、非常に良く解る。

8しか読んでないです。


泣けるってどういう事ですか。


激しく、GJです。
471461sage2005/06/16(木) 20:59:18 ID:mhxMApwU
>>463
何が恐かったかって、そらもう全体通してですよ。

VSディンスレイフ編はリアルを超える人間の心理描写に鳥肌立ちますた。

8章は8章で・・・その・・・最後の方・・(ごにょごにょ
初めて読んだときはビビってしまったんですが、
今読み返してみると愛くるしくてはち切れそうです・・

まだ言ってませんでしたがGJ!でした。


>>465
>某ゲームの獣人系
なんか漏れも心当たりがあるわけですが。
見聞録ほどではないけれど、なかなかの大作だった気が。

違ってたら見聞録さんゴメソな訳ですが。
472名無しさん@ピンキーsage2005/06/17(金) 01:21:40 ID:oW7F9V3E
なんてこった。
1,5リットルのボトルとおみやげ用の饅頭1箱じゃ足りNeeeee!!
このスレに出会えて感謝するぜ…
473名無しさん@ピンキーsage2005/06/17(金) 19:26:09 ID:K9Um8T8c
なんつーか、こう。
ある意味テロリストか貴方は。
この2人ほど破壊力のあるカップルはそう見ないよ……GJ!
474見聞録の人sage2005/06/17(金) 22:39:21 ID:7+ctGExN
3回抜けましたか。鼻血出ましたか。テロリストですか。
……その言葉でもはや感無量。

>>465 >>471
ヒトチガイデスヨ、キット。
>>466-469
上二つは名前と大体の話ぐらいは伝聞で知ってますが、下二つはさっぱり。

>>466 詠唱の元ネタや下敷き
アリアリ。
全て動物に関する神話や伝承・有名な逸話、後は本式の魔術っぽいオカルト的な知識から。
むしろ元ネタ無い方が珍しいです。
カタカナ語の方の単語も、読める人は読めるように一応出来てます。

……てか、やっぱ最後によくある元ネタ一覧みたいなのとか付けた方が助かりますか?
もしそういう人いたなら、次回オマケにつけときます。
475名無しさん@ピンキーsage2005/06/18(土) 01:28:43 ID:bN1HpQi4
できれば
九尾の狐とやまたのおろちは解ったがそれ以降わかんない

しかし美女と野獣じゃないけど変な道に目覚めそうだよ
マダラじゃない男ご主人さまもいいもんだな
476名無しさん@ピンキーsage2005/06/18(土) 02:32:00 ID:+c398WOh
こういう力作読むと自分でも書きたくなるね、すぐ挫折しちゃうけど。
これからも頑張ってください。応援してます。
477468sage2005/06/18(土) 22:22:49 ID:pvSYV8WU
>>474
えっとですね……村枝賢一さんという漫画家の人が「仮面ライダーSpirits」っていうスピンオフコミックを書いてまして、
その主人公とライバルの名前です。とはいえ、似てるなと思った部分はまだ単行本化されてない部分ですけど。

……ちなみに、ライダーマンがここまで格好いい漫画は有史以来これしかないw

>>476
書きたくなったのなら書けばいい。てか書きましょうよ。
何度も書いては消してを繰り返してるうに人前にさらしても恥ずかしくないものが出来上がる。
……はずorz


さてさて、見聞録の後で最初に投下する勇者は誰か……
478また酔った勢いで(略sage2005/06/18(土) 23:41:17 ID:GV/CtC+b
「私も冒険の旅にでるにょ、そういうわけで、我が家のヒト奴隷なんとかしなさい!」
「いや、そんな可愛い顔でビシッと指差して言われても・・・魔王なんていませんし・・・」

あー、まーたRPGモノの小説かなんか読んだな・・・。

「いやだい、いやだい、冒険の旅にでるにょ!!」
「いやだいダンス踊っても状況は変わりませんよ・・・」

はぁ・・・夏はご主人様も開放的に馬鹿なって困るなぁ・・・。
仕方ないですね、あれやりますか。

「しょうがないですね・・・町外れのダンジョンでも行きます?」
「え?いいにょ?」

翌日

「な、なんにゃ、この装備の量は!?」
「ヒト奴隷と半人前の魔法使いのパーティーなんですから、これぐらい当然です」

「鎖帷子だけでも、おもくて動けないにゅ・・・」
「僕なんて魔法使えないから、軽機関銃に防弾チョッキに拳銃2丁、手榴弾5つ。
 おまけで二人分の食料とかも背負ってるんですよ?これが現実です。
 ご主人様。素直に家に帰って、一緒に冷やし中華でも食べましょう」

「うう・・・ここまで来て置いて・・・無念にゃ・・・」

立ちはだかる現実の壁
479名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 11:12:54 ID:ncME7Ypn
軽機関銃持ち歩くのか。
召使君力持ちだな。
480名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 18:57:59 ID:ZeY/tHKc
……いいSSを読むと自分も書きたくなって。
でもいざ書くと文章力、構想力ともども全然追いついてない現実に打ちのめされて。
途中、かなり凹みながら書いた「岩と森〜」第7話後編です。
まあ早いうちに誰かが投下すれば、見聞録の後でも恐れずに投下できるだろうっていう、半分人柱みたいな気分での投下です。
ちなみにエロなし。……いくら人柱でも、このタイミングでエロは書きにくいですorz

>>見聞録の人
避難所のほうではお見苦しいところをお見せしました。
とりあえず、おっしゃっていただいた「一番大好きなシチュ」で書いてみました。もっとも、肝心のエロがないですけどorz
まあ優先順位の0位、2位、3位は何とかできたかな、みたいな。

それでですね。今回、設定から雰囲気から、いろいろ見聞録の莫大な情報から使いまくらせてもらってます。
他国の人間から見た犬の国の諜報部員ってこんな感じかなぁ、みたいな感じで、ちょっと試行錯誤しながらですが出してみました。
481岩と森の国ものがたり・第7話後編sage2005/06/19(日) 19:01:10 ID:ZeY/tHKc
そのころ、リュナ達は。
星のピラミッドへの道をひたすら歩いていた。
少し前から、何かずっと考え込んでいる様子のリュナ。フィリーヌが尋ねる。
「何を考えてるの?」
「ん? いや……もしかすると、この戦……ここで終わらせるべきじゃないのかって」
「どういうこと?」
「少々不利な立場にはなるが、ここで降伏でも和議でも結んで、この戦乱を終わらせるべきなんじゃないかと、そんなことを考えてた」
「……勝てない、ということか」
アルヴェニスが問いかける。
「……それもある。この国の荒廃もひどいし、そういった理由もある。でもそれ以上に、この戦に感じる、なんともいえない胡散臭さが気になって仕方がない」
「胡散臭いのは最初からでしょう? 何を今更……」
「ああ。確かに最初から胡散臭かった。でもその胡散臭さが何なのか、よくわからないままここまできてしまった。そして多分、わからないまま先延ばしにしていては手遅れになる」
「……」
 自分に言い聞かせるように、ぽろりぽつりと語り始めるリュナ。
「いま、この国は大陸でも屈指の大規模戦乱地域だ。もちろん、他国でも国境沿いの小競り合いや盗賊団や国際犯罪者相手の討伐戦はある。
だが数千人規模の軍が普通に動いて、かなりの広範囲で戦っている場所は数少ない」
いつになく真剣な目。その少し先に見える、煙のようなものは戦火か。
「そのなかで、いろいろなものが試されている。各国の武器や兵器の実験場と化している部分も、確かにある」
「……虎の国や猫の国からは、次から次へといろんなものが流れてきてるわね」
「ああ。そしてエグゼクターズ。本来は対国際犯罪者のための部隊だったはずの奴らが……」
「戦場に立って、この内乱に参加している報告がいくらもある」
と、これはアルヴェニス。
「そう。もちろん、軍隊だから内乱に無関与というわけにもいかないだろう。だけど……そうじゃない。そんな簡単な事情じゃない」
「そうじゃない?」
482名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:02:24 ID:ZeY/tHKc
「現在のエグゼクターズは前線で戦う兵士だけでも三千名を超える。後方支援部隊をあわせると五千人を超える。犯罪者相手というには少々多すぎる」
「……何が言いたいの?」
「エグゼクターズは、7つの種族が入り混じった多種族混成部隊だ。五千人を超える規模の混成部隊は、探してもそう存在しない。そんな奴らが、この戦乱で少なからぬ実戦経験を重ねている」
「だから?」
「この小さな山国で、ここ数百年間もなかった『大規模混成兵団の長所と弱点、運用ノウハウ』が蓄積されつつある」
「いずれ来るかもしれない、もっと大きな戦乱の前実験……」
「だと、すれば」
 リュナがさらに続ける。
「この国を戦場にした理由も、あるはずだ」
「理由?」
「そうだ。……ここからは、証拠も何もない、ただの推測だけど」
 そう言って、話を続ける。
「この地域での戦乱が、もし人為的につくられたものだとしたら。その『いずれ来るもっと大きな戦乱』のためにつくられたものならば」
「人為的に……」
 フィリーヌがつぶやく。振り向いてその顔を見たリュナは、すこし微笑を浮かべて続けた。
「これは、落ちものの世界の物語なんだけどね。ミノフスキー粒子、という架空の物質がある」
「?」
「その物質を散布することにより、既存の索的装置はまるで使えなくなり、遠距離戦闘が不可能となる」
「……?」
「まあ、詳しい仕組みは僕にもわからない。何しろ物語の中の話だからね。ただ、応用は利く」
「応用?」
「二千年前。あの大戦は魔法の実戦使用という戦術革命を引き起こした。そして、そこから二千年。いまや魔法はすべてにおいて不可避なものとなった。
戦術的大規模魔法も生まれたし、猫の国が所有する人型巨大兵器も、その起動には少なからぬ魔洸エネルギーが使われている」
「……この国には縁のない話だな」
 その言葉に、一瞬だけ苦笑し、そしてまじめな表情に戻る。
「それだよ。この国での戦乱は、一つの前実験になる。つまり……『魔法の使えない戦場での戦闘』についてさ」
483名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:04:58 ID:ZeY/tHKc
「……二千年の歳月は、魔法をなくてはならないものとした。それがあの戦乱の引き起こしたもの。その裏をかけば」
「……この世界には、ミノフスキー粒子みたいな都合のいいものは開発されていない。……はずだが、絶対にないとは言い切れない」
「魔法のない戦場で強いのは……」
「当然、先にそれを知っているほうが圧倒的に強い。使えると思っていたものが使い物にならないときの恐怖は、士気を致命的に下げる」
「それわ知っていて、なおかつ魔洸を使わない機械兵器の開発力を持つものがいれば完璧だ」
「……虎の国、そして……犬の国も。あらかじめそれを知っておけば、純粋な機械兵器を作る技術は十分にある」
「ああ。皮肉なことに、ありとあらゆるものに魔洸エネルギーを使用している猫の国は、それが致命的なことになる」
「うちの国は?」
「うち? そりゃあ論外さ。兵器の自己開発能力もない国なんてお話にもならない」
「……利用されるだけされて、ぼろぼろになってポイ……か。あまり嬉しくない話だな」
 不満そうなアルヴェニス。
「だから言っている。この戦を終わらせる必要があると」
「……直接、言うつもり? シャリア様に」
「ああ。もっとも、命がけの話になる。悪いけど二人とも下にいたほうがいいだろうね。万一がないとも限らないし、そのときは君ら二人は残らないと……本当の意味でのおしまいだ」
「おいおい、死ぬ気だったのか?」
「いや、その気はないんだが、正直何があっても不思議じゃないんだ。だからな」
「……リュナの言うとおりにしたほうがいいかもね。……大丈夫。リュナはみんなと一緒だと変に甘えて、一人のほうがしっかりしてるところあるし」
「……僕は子供かよ」
「違うの?」
「違うっ!」
 その言葉に、くすりと笑うフィリーヌ。
「ムキになるから子供なのよ」
「……かなわないな」
 肩をすくめて、リュナは歩き出した。気がつけば、ずいぶん星のピラミッドの近くまで来ている。
484名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:06:24 ID:ZeY/tHKc
 星のピラミッド。入るのは久しぶりになる。
 身分も何も関係なく、入り口で衛兵にややこしい申請やら何やらを行って、やっと入れるのも相変わらずだ。
「……相変わらず融通が利かないっていうか」
「まあ仕方ないさ。ここは最後の砦みたいなものだ。どうしても複雑なことになる」
「リュナとアルヴェニスがいるんだし、顔パスでいいじゃない」
「表立っては誰も言わないけど、保守的な上層部からはかなりの危険人物扱いされてるからな、僕は。間違っても顔パスはありえないさ」
「……リュナが一番がんばってるのに、何かおかしい」
「ありがと」
「とりあえず、俺とフィルは部屋にいるわ。正直疲れた」
「……そうね。部屋でゆっくりしてるわ」
「それがいい。僕は今から行ってきて、命がけの話をしてくる」
「命がけの割には、あまり切羽詰ってないな」
「切羽詰った顔は逆効果さ。これも落ちもの世界の話だけど、弁士はピンチの時ほどふてぶてしく笑え、ってね」
「……ときどき、お前がどこにいたのかわかんなくなるよ」
「行って来る」
 二人に背を向けて、リュナは上層階へと歩き始めた。

 奥に行くにつれて、奇妙な感覚がしてきた。
 人が、いない。
 この場所での機密会議の時は、完全情報遮断のため、防御をこのピラミッドの自動防衛機能に任せて人払いすることも、確かにある。
 しかし、それとは何か、よくわからないが違う。
──防衛設備は、通常モードのまま……なのに兵士だけが、いない……
 衛兵たちは、それぞれの持ち場だけを守っているため、基本的に他の部署は連絡がない限りは気にもしない。
 だから、上のほうで異変が起こっていても、下のほうでは何事もなく通常業務が行われていて、それで不思議はない。
──なにか、よくないことがあるかもしれない……
 剣を、見る。もしかしたら使うことがあるかもと、そう思った。
485名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:09:08 ID:ZeY/tHKc
 君主の間。星のピラミッドの中心部に位置する大きな部屋で、シャリアがいるべき場所だった。
 ふつうなら、衛兵がいる。しかし、そこにも誰もいない。
──これは……
 明らかにおかしい。何かの異変が起きていることは間違いなかった。
 君主の間へと続く、大きな扉を開ける。その先は君主の間。そこには、年配の有力者たちとシャリアがいる。
 はずだった。
 扉の先を見たリュナが、息を呑む。
 死屍、累々。
 そこにいて、険しい表情で待ち構えているはずだった人たちが、すべて苦悶の表情で倒れ付している。そして、ここへの通路の途中にいなかった衛兵たちが。
 そして、死体の上を舞う、いくつもの光の蝶。薄暗い部屋に光の燐粉を撒きながら、その広い空間を舞っている。
 すこしして、焦げたような悪臭が漂ってきた。人の肉の、焼けたにおい。
──ウィスプ。
 まともな意思もなく、エネルギーを求めてさまよう魔法生命体。それが、数十匹単位でここにいる。
──それも、ただのウィスプじゃない。……誰かにあやつられたもの。
 普通は、ただの球形をしているウィスプ。それが蝶の形をしているということの意味。
 それは明らかに、人の手が加えられているということ。そしておそらくは、この部屋のどこかに、操るものがいるということ。
──ならば、来る。
 この惨劇を見たものを、生かしておくはずがない。
 リュナは剣を抜くと、死屍累々の空間に足を踏み入れた。

 新しいエネルギーに群がるように、一斉に襲い掛かるウィスプ。
 足を止めることは、自殺行為だとわかっていた。
 生き延びる鍵はスピード。ウィスプの動きは、単調で少し遅い。しかし触れれば火傷する。
 少しの火傷ならともかく、あまり触れすぎると、当然死ぬ。
 ここで死に絶えた人々は、おそらくじわじわと焼かれてゆく地獄の苦しみを味わったのだろうと思う。それは、あの温厚なシャリアでさえも。
──だから、倒す。
 逃げられないから、というだけの理由ではない。温厚で人好きのするシャリアを殺したことが、どうにも許せない。
486名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:10:15 ID:ZeY/tHKc
 剣が舞う。数匹の光の蝶が両断され、そして光の粉となり、消える。
 舞うようにステップを踏み、一歩送れて近づくウィスプに、剣を振るう。
 剣に触れたウィスプは、美しい光の粉となって散る。
 死屍累々の中で。奇妙な光の蝶を引き連れた剣舞にも似た戦いが続く。

──キリがない。
 戦いの中で、リュナは思った。
 ウィスプの数は、一向に減らない。
──おそらくは、次から次へと召還しているから。
 何者かが。どこかに姿を潜め、その剣舞を眺めている。
──僕が疲れ果てるまで、延々と続ける気か。
 二年の間、コウゼン道場で修業を積んだ身。そこらの死体になった人たちよりはよほど動ける。しかしそれにしても限度はある。
──ならば……一度に消すまでだ。そして二度と……ウィスプを召還できなくすればいい。
 リュナの瞳が、すっと冷たい光を浮かべた。

 動きが、少し早くなった。
 少しだけステップが早くなり、動く範囲も大きくなった。
 それでも、やっていることは変わらない。
 ただ剣を振るい、近づく光の蝶を斬るだけ。
 傍目には、リュナと蝶たちの繰り広げる光のダンスがテンポを上げただけにしかみえないかもしれない。
 ……その目が、いつになく冷たい光を見せることに気づかなければ。
──ウィスプの崩壊から消滅までのタイムラグは、約46秒……
 かつてコウゼン道場で、いやというほど詰め込んだ知識。リュナの脳裏で、それが次々と浮かぶ。
──崩壊時の魔素の拡散範囲は半径34センチ……そしてその密度は……
487名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:12:51 ID:ZeY/tHKc
「くっ!」
 考え事のせいで、少しだけ動きが遅くなっていたのかもしれない。
 肩口に一匹の蝶が触れ、じゅっと煙を上げて消える。そしてかすかな火傷が残る。
──すぐに……終わらせてやる……やりたくもない剣舞を見てあざ笑ってられるのも今のうちだけだ……
 動きを、さらに早くする。ほとんど走っているくらいの速さ。その後を、光の蝶は追ってくる。
 確かに、リュナは魔法は使えない。だが、自身が魔力を有さずともよいだけの、十分な量の魔素があれば。
 知識だけは、いやというほど詰め込んだ。どうせ使えないのにと思いながら詰め込んだ、山のような書物の知識。
 剣を持たない左手が、動く。
 導引。そして口訣。
 ふと、古い記憶がよみがえる。

「その……僕らの股間の骨と仙骨って、全然違う気がするんですけど」
 大真面目なコウゼンに、おそるおそる聞く。
「確かに違う。だが、代用は利く」
「なんですか、そのいいかげんなの」
 少しあきれ気味のリュナに、相変わらず大真面目に語るコウゼン。
「もともと、仙術使い……つまり落ちもの、ヒトとは肉体構造が違うのだから、ある程度は代用しなくてはならん。
そして、十分な量のタオと、確実な導引と口訣があれば、いわゆる魔法は使えなくても仙術なら使えなくもない」
「使えなくもない……って」
「すくなくともフェイレン君みたいに、まるで仙術の見込みがないのよりはマシだ」
「……だから、これを全部読むわけですか」
 うんざりするような巻物の山。どうみても誰も読んでなさげな、埃をかぶったものもある。
「そうだ。それがひいては、気の会得にもつながる」
「……」
 凍えるように寒い書館でむさぼるように巻物を読んだ、真冬の日の記憶。

──まさか、本当に使う日が来るとは思わなかった。
 何匹のウィスプを、光の蝶を斬ったか。
 その結果として、どれだけの範囲に、どれくらいの濃度で魔素が広がったか。
 追いかけてくる光の蝶の動き。その速度。
 導引も口訣も、あの時覚えこんだものと寸分たがえていない。
 冷たい目の奥で、張り巡らせる罠の完成度を確認する。
488名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:16:43 ID:ZeY/tHKc
 速度を上げたリュナを追う光の蝶は、追いかけるうちに一つの集団になっていた。
 無駄な動きをせず、リュナを追い、捕らえる最短速度を追ってくる。
 そしてそれこそが、リュナの狙い。

 口訣が、終わった。

 リュナの周囲を包みこむように、何もない空間に現れる七色の光。
 そしてそれが描く、おそらくはこの国の人間は誰も見たことがないだろう呪術陣。
 リュナを追う光の蝶は、リュナを追って自らその中に飛び込む。

 そして、蝶は消えた。

 一瞬で、燃え上がるようにして消え、そして後には光の粒が少し残り、そしてすぐに消えた。
 あとには、静寂が残る。
「……獅子国が秘法、八門金鎖陣。……八門は千変して止むことをしらず、その動きは誰にも読めない」
 ぽつりと、リュナが口にする。
「杜は即ち閉ず。杜門より入りし者は現世の門を閉ざされ、ただ消えるのみ」
 静かな空間に、ただリュナの声だけが響く。
「……この陣にいる限り、あんたの術は通用しない。……出て来い」
 その背後から、何の前触れもなく聞こえる声。
「後ろ……だよ」
「!」
 咄嗟に振り向く。
 いるはずのない空間に、誰かがいる。
 何かが、振り下ろされる。
 驚愕しながら、斜め後ろへと跳ぶ。そして剣を構える。
 さっきまでリュナのいた場所へと振り下ろされた剣が、空を切る。
 そこに、誰かがいた。
489名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:18:04 ID:ZeY/tHKc
 黒く、大きな影。
 目は蒼白く光り、全身からうっすらとした碧い炎をまとうようにも見える。
 手には剣。しかし全体的にぼんやりとして、黒い影のように見える。
 もしかすると、それすらも幻影かもしれない。
 しかしそれでも、本物の殺気を感じた。そして。
 剣を持つ右腕を薄く切り裂き、血を滴らせる傷の痛みが偽りであるはずがない。
「……」
 沈黙が流れる。
「……これで、君の望みどおりになるだろう」
「何……」
「内乱はこれで終わるよ。王弟派は壊滅したのだから、戦う相手はもういない。君が望むとおりの結果がやってくる」
「……ふざけるなっ!」
 たまらずに、叫ぶ。
 だが、体が動かない。
 動けないのではなく、動かない。
 恐怖。修行を積んだ五体すべてが、リュナの脳に語りかけてくる。
 勝てない。手も足も出ずに敗れるのがオチだと。
 影は、しばらくリュナを見つめていたが、やがて再び口を開く。
「賢明な判断だ。蝶を破ったくらいでのぼせ上がらない男でよかったよ」
「……貴様は……」
「何者だ、と聞きたいのかな?」
「……そう……貴様は……貴様は何者なんだっ!」
 影は、それに答えず背を向けて歩き出す。
 そして、陣の外に出ると、ふっと姿をかき消した。
 そして、声だけが聞こえてくる。
「……ステイプルトン。次に会うときがあれば、そう呼んでくれればいい」
 そして、再び静寂が訪れた。
490名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:21:37 ID:ZeY/tHKc
「…………っ……」
 ひとり、取り残されたリュナ。
 言葉さえ、出てこない。
「リュナ!」
 入り口から、声が聞こえた。
 フィリーヌとアルヴェニス、そして兵士たちが駆け寄ってくる。
「これは……どういうことなの、ねえリュナっ!」
 部屋全体に繰り広げられた惨劇に、フィリーヌが肩を揺さぶるようにして尋ねる。
「…………」
 ぞっとするようなにおいの中で、生きているのは、言葉を失い、半ば放心したような表情でその場に膝を着いているリュナひとり。
 たまらず、肩をつかんで尋ねるフィリーヌ。
「リュナっ!」
 そのこえに、われに返ったように周囲を見る。その表情に、なんともいえない悔しさと怒りが浮かぶ。
「……情けねえッ!」
「……リュナ?」
 怒りの混じった、震えるような声。はじめて見るような表情と声。
「なんてザマだッ……ここまでされて手も足も出ねえなんて……なんてザマだッ……」
「…………」
 沈黙が、その場を支配する。
「……少し、落ち着いたら話してちょうだい。何が起きたのか」
 フィリーヌとアルヴェニスが、リュナを起こす。
「……とりあえず……これ以上は戦えない。シャリア様を失った以上、これで終わりだ」
 アルヴェニスが、重い口で終わりを告げた。
(第8話に続く)
491名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 19:30:41 ID:ZeY/tHKc
ステイプルトン……半端じゃなく安直な名前だけど、策略を得意として、人を殺すことをなんとも思わない犬、と言って真っ先に思いついた名前がそれでした。
姿を消したり、表向きは無害な蝶を利用したり……名前を思いつくと、なんとなくそこからイメージは広がってきて。
で、思いついたはいいけどこんどは倒し方が見つからないorz
苦肉の策で出したのが、あの仙術。魔法は駄目だけど仙術ならよし……っていいのかよそれって感じですけど。
まあ、よっぽど条件そろわないと仙術は使えないってことで。実は金丹飲んでました、とかも有りだし。
で、その必死に張った八門金鎖をあっさり破ったステイプルトンについては、まあ人外な敵の怖さは出せたのかなぁ、とか思いつつ。
492名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 23:01:54 ID:2zviO4/R
GJ!
俺的にカモシカさんの話はカナリ好きなんで、
あまり悩まずどんどん投下してくださいな。

応援してまs。
493名無しさん@ピンキーsage2005/06/19(日) 23:24:34 ID:w5CPebUn
いあ、おもしろいです!いつも続きが気になりますね〜。お暇なときにでもまた続きをお願いしますm(__)m

そしてGJ!
494名無しさん@ピンキーsage2005/06/20(月) 05:05:56 ID:ZH2nei71
すっかりリュナ卿が主人公な件について

GJ
495名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 17:12:06 ID:IdoY83kE
何か自衛隊板のファンタズィ世界に召喚されますた、みたいなSSを投下してしまうかも…
それでも此処に投下しても宜しいのでしょうか?
496名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 17:38:59 ID:K70S4H5B
>>495
「何も言わなかったら気付かれなかったかも〜」な内容なら大丈夫かと
497495sage2005/06/21(火) 19:32:26 ID:IdoY83kE
>496
あの…どういう意味でしょうか?
498名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 20:04:24 ID:K70S4H5B
>>497
お、おぉお。混乱させてしまったのなら申し訳ない。
自分が投下したいと思ったなら投下、したくないと思ったら投下しない、これ基本。

っていうか、物語がこのスレと違和感無く合致しているのならば、ここがベストポイントってことです。
499495sage2005/06/21(火) 20:16:50 ID:IdoY83kE
>498
おお、そうでしたか。

物語の方ですが、他の職人の皆様が執筆して投下なさったものに大体沿った感じです。
人が獣人の世界でどうのこうの…しかし、ちょっとミリオタ的な言葉が出てくるので、
ミリオタイラネと思ったらスルーして下さい。では、次に此処に来るときはSSを投下します…ノシ
500名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 20:19:51 ID:ddGQxTan
まあ、人型戦車とかマスケット銃とか爆撃飛行船とか一部ででている世界だからなあ。
大抵のものはOKじゃね?

・・・・・・エロさえあれば。
501名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 20:41:23 ID:8gT2iQtO
>>499
自信がなければtxtファイルで投下しよう、な!
502名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 22:51:27 ID:wB6fqW6u
前から気になってたんですがtxtファイルってなんでしょ?
知識がない俺にだれかご教授頼む…
503名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 23:17:38 ID:fsWuCy4w
メモ帳
504名無しさん@ピンキーsage2005/06/21(火) 23:30:41 ID:wB6fqW6u
なるほど。
お答えさんくす!
505名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 00:01:38 ID:JxRuH8fb
>>504
通じたのか?

つうかtxtで何処かのUPロダに上げて、リンクを貼ればって意味だぞ。
506名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 00:18:31 ID:FTktHzAe
もしかして、いつもワードで書いてたのか
507名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 00:41:07 ID:kKA7j4zN
俺はメモ帳じゃなくて、TeraPadだな・・・。
レスで投稿するときの区切り考えて文構成するんで。
508名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 08:39:15 ID:ST7+f+zK
俺はメイド帳
509名無しさん@ピンキーsage 2→タカラ(エレとタカラ)3→べるの(しあわせのかたち)2005/06/22(水) 09:00:17 ID:TZtrcmCl
ところで女性およびマダラの耳はどうなってるんだろうか

1・獣耳のみで人間耳のあるところはつるつる
2・人間耳と獣耳がつながってる
3・人間耳も獣耳もある
510名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 12:00:00 ID:k3qaGjQ3
1かと
511名無しさん@ピンキー2005/06/22(水) 19:34:04 ID:OVDnSkdu
1
512名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 19:54:45 ID:OGAL1aiq
4・人間耳のある位置から獣耳が生えてる

も可能性としては捨てきれないような。
513名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 20:06:29 ID:2ygHcLfT
各作者諸氏と、獣の種によって違うんでは?
シカやら魚やら鳥やらの場合もあるし。
514名無しさん@ピンキー2005/06/22(水) 20:39:03 ID:OVDnSkdu
確かに。
515クロ2005/06/22(水) 20:44:23 ID:OVDnSkdu
ところでこの中に自分のHPもっててなおかつ獣小説ある人いませんか?
516名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 20:47:48 ID:+HoG4RfP
そういうのは聞かないのがここでのたしなみ
517クロ2005/06/22(水) 20:54:55 ID:OVDnSkdu
すみませんでした
518名無しさん@ピンキー2005/06/22(水) 21:23:04 ID:OVDnSkdu
j
519名無しさん@ピンキーsage2005/06/22(水) 22:40:29 ID:k3qaGjQ3
どんまい


いつの間にかあがってる件について(´ω`)
520名無しさん@ピンキーsage2005/06/23(木) 08:43:20 ID:RhRNGFYv
電波受信

こたつの上に集うみかんたちが、今日も天使のような
無垢な笑顔でいる、ご主人様の口ををくぐり抜けていく。
汚れを知らない心身を包むのは、橙の皮。
袋の房は乱さないように、白い筋は
残らないように、丁寧に剥くのがここでのたしなみ。
1階右奥突き当り。ここは、こたみかの園−。

「ほら、馬鹿なこと考えてないでさっさと剥く」
もう手が黄色なんですが
521名無しさん@ピンキーsage2005/06/23(木) 20:16:03 ID:yhs2Krw2
>>515


でもsageない君にはURL教えてあげない。つーん
522クロsage2005/06/23(木) 20:41:02 ID:i7PN1BlW
sage
523名無しさん@ピンキーsage2005/06/23(木) 21:33:24 ID:sVQbfOaa
わざとだろw
524名無しさん@ピンキーsage2005/06/23(木) 21:48:28 ID:GbFer5DF
またあげられてる件について


あげないでよ(´ー`)
525クロ2005/06/23(木) 23:20:36 ID:i7PN1BlW
やり方わからんw
526名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 03:03:16 ID:G1AoQSS3
21歳未満なら21歳になってから相手してやるから今は帰れ
21歳以上なら半年ROMれ
527クロ2005/06/24(金) 16:32:35 ID:sDv9U9Jb
ROMって?
528名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 16:59:40 ID:x4J9EK/N
>>527
Read Only Memberのことだな
読み専の人間になれってことさ
529名無しさん@ピンキー2005/06/24(金) 19:11:12 ID:sDv9U9Jb
違うとこで聞け
530名無しさん@ピンキー2005/06/24(金) 19:12:16 ID:sDv9U9Jb
ばよかったです。すみません
531名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 20:19:08 ID:a8yNu9NX
素直な人でよかったですはい。
しばらく書き込まずに見てれば、その内どう言うところか解るはずだから。
532名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 20:36:57 ID:7XEKGOGT
にちゃんの注意書きなどを読めばあらかた分かるかと。


そしてスレsageようね
533名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 22:27:49 ID:8Aiiw87t
スレが伸びてるかと思えば、コレはまた
しょうもない事でスレを消費してますね。
534名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 22:50:45 ID:t1QwtVkA
>>520
ワロタw
535名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 23:14:20 ID:GO6E7CTU
「なあ、兄者・・・この落ち物の文献なのだが・・・」
「ん・・・嗚呼、白い猫が表紙のやつか」
「ちょっと、このページを・・・」

ペラペラ

「これって、俺らの良く似てないか?」
「嗚呼、母者のパーマもそっくりだ。父者も落ち物の"電脳工学"に夢中だしな」

「二人の兄じゃー、こんなものを拾ったのじゃ〜」
「これは・・・」
「禁断のアイテムとして、本に出てたアニメキャラの抱き枕・・・」

ピキーン

「妹者、これどこで拾った?」
「あっちなのだー」
「・・・行くぞ、弟者。エロゲも落ちてるかもしれん。さらに、運がよければヒト奴隷の女の子も・・・」
「兄者の落ち物熱・・・重症だな・・・」
「おやつのホットケーキ、俺達の分も食べておいていいぞ、妹者」
「わーい」
「ってことは、日が暮れるまで探す気か・・・はぁ・・・」
536名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 23:16:58 ID:GO6E7CTU
ペチペチ

「おい、おい、ダイジョウブか?」
「・・・たん、はぁはぁ・・・ん・・・・え、ここは・・・・・・ハッ、な、なんですか貴方達は!!」
「安心しろ、ただの君の命の恩人さ・・・にしても、本当に裏山ごとき近所で拾えるとは・・・」
「な、俺の言った通りだったろ、弟者」

「ね、猫耳・・・にくきゅうの美男子・・・」
「・・・・・・?」
「???」
「これは、猫耳8○1派の私に神が与えてくれたチャンスなんだわ!!」

ドスン

「・・・・・・っ!!?」
「兄者!?」
「ンン・・・・・・ちゅくちゅく」
「・・・・・・・・・ぐ・・・・・・はぁはぁ・・・ちょっと刺激的だが、話が違っ!
 落ち物のこういう女の子はもっとおしとやかで慎ましいと小説にはっ!!」
「イタダキマース!!」
「うわぁああ、弟者、逃げるな!助けろ!ぎゃーーーーーっ!!!」

バタンッ
537名無しさん@ピンキーsage2005/06/24(金) 23:17:49 ID:GO6E7CTU

「あ、小さい兄者。大きい兄者はどうしたんのじゃ?」
「・・・・・・兄者はな・・・お星様になったんだよ・・・」
「お星様?」
「ほら、あの一際かすんで見える歪な星が兄者だ」
「へーやっぱり大きい兄者は、お星様になっても兄者だ」

「まだ俺は死んで・・・・・・え?もう一回・・・や・・・・・・だ・・・もう出な・・・・・・いやちが・・・」

ギシギシ

「2階が五月蝿いわねえ、父者」
「また、弟者が兄者を怒らせて、喧嘩でもしてるんだろう・・・」
「食事中も"のーとぱそこん"とかいうの操作するのやめなさいな」
「すまん、母者・・・だが、書斎もない私にはここしか・・・」
538名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 00:09:27 ID:SLXWEalH
流石家でつか!?兄者にとっては天国では?ってか流石が美男子〜?とか言いつつGJ!続きキボン
539名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 00:12:15 ID:9H1M/MVj
父者と母者にもねこ耳があるのか…
540名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 03:13:23 ID:XOR1d2F2
気になるぅ〜、続きが気になるぅ〜、うっかり視界の端に入った自分の尻尾くらい気になるぅ〜
541名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 20:03:41 ID:WubxuGIt
まああれだ、バトルのないラブ&ピースな物語が読みたい。
俺も書くからお前らも書け。
542名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 20:21:07 ID:NxSfx6y+
>>541
まあ、見聞録やカモシカさんやタコさんは言うなれば「こちむいアンリミテッド」で、
いわゆるラブラブエロエロな普通のこちむいSSと両方あわせて初めて「こちむいオルタナティブ」に……



……って、どこから受信したんだ、この怪電波は。
543名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 21:03:24 ID:U20MEO3d

│    _、_
│  ヽ( ,_ノ`)ノ 
│ へノ   /
└→ ω ノ
      >
544名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 21:12:45 ID:1tq8kogl
そのお稲荷さんも私だ……?
な、なんと
>>543氏と言う新たな職人様が誕生した!
545名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 21:18:57 ID:hbIwDbe8
なんだこの流れ……

皆様、またーり待ちませう
546EROとBATTLEにおける一般相対性理論(仮)sage2005/06/25(土) 21:43:44 ID:7BRn9g9W

原作つきの二次創作系ならエロのみでも大丈夫なんだけどね
原作でエロ以外は補完されてるから、いきなり本番から始まっても普通にそこに至る過程とかはそのカップルの組み合わせが好きな人達の脳内で補完可能なんですよ
ああ、あのキャラならああしてこうしてそうしたに違いないって、SS内の細部の欠落を補充できる

でもこのスレはそれができない、なぜなら完全オリジナルだから

で、そんな時バトルやバカギャグはストーリーにメリハリと凹凸をつける為の一番簡単な手法なのですよ
とりあえず襲われたりとか攫われたりとかしとけば手軽に話の緊迫感や起承転結の転を演出できるし、なにより何気ないダラダラとした日常生活を、しかし飽きさせずに読ませるのは実はすごい難しい
それにバトルに限らずとにかく極限状況に追い込んどきゃ、日常生活では描けないそのキャラクターの表だけでない裏側も簡単に描ける
まさに一挙両得一石二鳥

でもだからこそすぐにノリツッコミギャグやバトルに頼るのは安易だ安直だと言われもする罠
より高レベルを目指そうとしているSS職人にはお奨めできない
547名無しさん@ピンキーsage2005/06/25(土) 23:40:09 ID:XOR1d2F2
まあ試験的にとはいえ猫耳新幹線が開発される御時世ですから
548名無しさん@ピンキーsage2005/06/26(日) 00:58:56 ID:+qYwUL5O
エロシチュエーションをメインにストーリーを作っとります。
他の描写は自己まんうわなにをするやめろー
549名無しさん@ピンキーsage2005/06/26(日) 04:09:50 ID:e1Mlpo83
>>546
……orz
550名無しさん@ピンキーsage2005/06/27(月) 08:30:20 ID:JtRW8wnD
>>546
 ∧||∧
(  ⌒ ヽ
 ∪  ノ
  ∪∪
551名無しさん@ピンキーsage2005/06/27(月) 17:44:38 ID:iVKDFBdb
    ||
   ∧||,∧  窓閉め忘れたら、
  〃  ∧ 雨が吹き込んでエロゲが・・・
  !!!レ~i ̄iヽ
  レ'〉k' . ノf'
   / l '゙〈 |
  に.j  . {]
  //U i k'
  Y_L_,__ゝ、〉
     | { {`~
     し'ノ


 
552551sage2005/06/27(月) 17:46:02 ID:iVKDFBdb
>>550見つつ、葱板の首吊りスレ見てて誤爆しました・・・orz
553名無しさん@ピンキーsage2005/06/27(月) 20:44:15 ID:aJ5A+gMo
>>546
(∩ ゚Д゚)アーアー、キコエナーイ

>>551
あ、兄者・・・・・・。
いくら落ち物のエロゲだからと言って、コスプレして首吊ることは・・・・・・。


ところでWikiの更新で

セラ様の寝相
1. 前前 …… 基本形。仰向けに寝ているタクヤの上に、セラ様が抱きつく。
2. くずれ前前 …… 前前の改変型。セラ様がタクヤの体に擦り付ける形。スイッチオン。
3. 前後 …… セラ様をタクヤが後ろから抱く形。横向き。寝ているタクヤの手を使って色々。
4. 後前 …… タクヤをセラ様が後ろから抱く形。横向き。もちろん手はタクヤの股間に。
5. 69 …… 変則型。眠いにもかかわらずタクヤを舐めようとして、途中で力尽きた時に。
6. 真前前 …… 前前の変形型。っていうか入ってる。
7. 眠らない夜 …… 究極の選択肢

おおぅい!?おまっ、そ、そんっ。ぅえ。あのっ!?てゆうか最後ねてなうわなにするやm
554名無しさん@ピンキーsage2005/06/28(火) 13:45:21 ID:quqSuVv8
>>552
(∩ ゚Д゚)アーアー、キコエナーイ
555名無しさん@ピンキーsage2005/06/28(火) 23:03:49 ID:9QS+3me+
私のご主人様蛇です。

首から上がニョロリとしていて、とても気持ち悪いです。
ご主人様の後ろに立っていた時にいきなり首が180度回って
キス?されたときは正直ビビッて漏らしそうになりました。
服を脱ぐと現れる、上半身ビッシリのうろこも怖いです。
何処を見ているかわからないあの瞳も嫌です。
そして蛇特有(なのかはわかりませんが)ねちっこさは大嫌いです。

「だから、嫌です! 止めて下さい!!」
「ん〜?」
「ん〜じゃなくて、い・や・だから、そんなにしつこくそこを触らないで下さい!」
「ん〜」
「ちょっ、そこは違うって…ば…ぁ…」

いくら言っても全く止めてくれません。ご主人様、今触っている所はお尻です!
そこは排泄する所であって、入れる所ではありません。
って、おい、こらナニ入れるんですか! 尻尾、尻尾はだめ、鱗が、鱗が…!
何で、嫌がってるのにやるんですか?! 本当に嫌なんです!

「あ、あ、駄目、や、やだ…お尻っ あっ…」

でもそれ以上に嫌なのは、変な声出してしまう自分だったりします…


なんとなく書いてみた。
556名無しさん@ピンキーsage2005/06/28(火) 23:26:19 ID:lNS0ridR
(゚∀゚)ウホッ、いい尻尾

個人的に尻尾をお尻の穴にってのは逃すことを許されえぬ宿命だと思います、サー
557名無しさん@ピンキーsage2005/06/29(水) 12:23:48 ID:fIb+mkYJ
前でも可

おとこにょこでも可
558名無しさん@ピンキーsage2005/06/29(水) 17:11:41 ID:2jeAy0CG
しっぽしっぽ しっぽよ
あなたの しっぽよ
好きという 代わりに
しっぽを 入れるの
559名無しさん@ピンキーsage2005/06/29(水) 18:40:23 ID:pePjiZ+7
>>558
 だけどね すこし
 たりない きがする
 これじゃ あなたの
 ××が ××ないよ
560名無しさん@ピンキーsage2005/06/30(木) 00:51:52 ID:OCF6KKda
 
 SSの禁断症状で住人がおかしくなってるぞ!

 早く、早く新作SSをうぷしてくれっ!

 とりあえず、過去の作品を読み返すのも吉。
561名無しさん@ピンキーsage2005/06/30(木) 01:45:02 ID:ILNVaIyS
>>560
本編ほったらかしにして
「江戸時代の日本から落ちてきた剣術少女とご主人さまのコメディ物」
なんか書いてた時に>>546を読んでドン凹みだったりしてる訳ですが、上のシチュでよければ週末にでも。
562名無しさん@ピンキー2005/06/30(木) 18:41:23 ID:iDNuZcjs
クレクレ
563名無しさん@ピンキーsage2005/06/30(木) 22:24:13 ID:IPeTb/FT
読みたい読みたい

てゆうか気にすんな。
尾田栄一郎よりあずまきよひこの方が上だと思うか?
違うよな?
それでいいじゃん。
564名無しさん@ピンキーsage2005/06/30(木) 22:26:08 ID:iQEONNZz
今日の落ち物


┏┯━━━━┯┓___________┏┯━━━┯┯┓
┠         .┃    |  P  T  T  |    ┃ミゞ`ヾ  ゞ i l,|'┃
┃         .┨  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┠ヾ゙'‐-ニン_、-=''´┨
┠         .┃     〓〓〓〓〓〓〓   ┃ト-、、,__,_゙/_,、-‐l┃
┠        . ┨__ 〓〓〓〓     __┠ト|,,`゚'//i`''‐,|'_┃
┃        . ┃l ▲ l 〓〓         l ▼ l┃ ゙l`!` ヽレ、_ ゙!`┨
┃        . ┃ ̄ ̄ 〓     140.85  ̄ ̄┃ '!li、'',ニニ、y′ ┃
┠         .┨   ________   ┃\ ゙'ミ'‐-‐'ソli/┃
┃        . ┃ __________ ┃  \ ヾ,,''´   ┨
┃         .┃     | MEMORY │   ┃ \   l /  /┃
┗━┷┷┷━━┛ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄┗━━┷━━━┛
       「こちらスネーク。大佐、いったいここはどこなんだ?」
       「聞こえないのか? 大佐」
       「大佐、応答しろ! 大佐ァ!」
565名無しさん@ピンキーsage2005/06/30(木) 23:43:05 ID:hBbN50B6
鬱憤晴らしと称して攻守逆転
566名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 00:44:39 ID:P6qCmHEE
俺なんかが投下していいのかな…
とりあえずtest

http://nullpo.mydns.jp/up/updir/null317.txt
567名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 01:16:10 ID:JWCXPN8M
SUGEEEEE!
568名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 04:49:48 ID:eyZ8VTWb
状況の描写がわかりやすくてサクっと読めた。
あーもー、「とくん」なんていいトコで切るんだからいぢわるさんめw
運命的な出会いの他に、シュナの側にも何か秘密がありそうだね…
569名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 18:37:42 ID:gmt90yqA
>>566
OKOK、いいよいいよー。
570名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 18:54:28 ID:Gc63TPd3
なんでここってこうもレベル高いんだよ、やべー、やべーって。
そんな嬉し泣き。
571566sage2005/07/01(金) 23:22:18 ID:CXrtwkh5
みんなありがと
すげー元気出る

自分ひとりで文章こねまわしてると良いか悪いかわかんなくなるんだよね

次はちゃんと終わらせてから投下するつもり

遅筆なんで気長に待っててください…
572名無しさん@ピンキーsage2005/07/01(金) 23:46:46 ID:XESMq4Rm
>>564
蛇の国異聞
〜放浪王女と金属歯車の従者〜
573名無しさん@ピンキーsage2005/07/02(土) 11:30:48 ID:MFe0jtDn
>>571
GJ!
それと遅筆だなんて気にしなくていいですよ。>>413以降にもあるように、
ここは季刊ペースやそれ以上の人が普通にいる世界です。
574名無しさん@ピンキーsage2005/07/02(土) 13:11:16 ID:NpSb6he4
>>571
あーげふんげふん。ああ口から血が出るよパパん。
ともかくGJなのだから気にするな!
是非突き進んでくれ!
575名無しさん@ピンキーsage2005/07/03(日) 20:34:40 ID:Sw7rgwMh
>>561さんをただひたすらに待つ
576名無しさん@ピンキーsage2005/07/03(日) 21:11:44 ID:juoT/JRP
_________
||  _ノ   /ヽ/l,,/l,,、 ヽ\ __________┏┯━━━┯┯┓
|| _)   /,;;,/ レ"////,;||     |  P  P  T │ ..┃ミゞ`ヾ  ゞ i l,|'┃
|| )  /   \__,    |l ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  .┠ヾ゙'‐-ニン_、-=''´┨
|| __/ニ   ─‐     .|l    〓〓〓〓〓〓〓 . ┃ト-、、,__,_゙/_,、-‐l┃
||├'      ─-    ||__ 〓〓〓〓    _ .┠ト|,,`゚'//i`''‐,|'_┃
|| l_____  ll|||ll    | ||l ▲ l 〓〓        l ▼ ┃ ゙l`!` ヽレ、_ ゙!`┨
|| `'`´l`´`´| l|||l   |リ || ̄ ̄ 〓     46.49  ̄...┃ '!li、'',ニニ、y′ ┃
||  ∠二二|  ,、 /レ′ ||    ________┃\ ゙'ミ'‐-‐'ソli/┃
||  ┌┴─┘`' ∨   .||| _________ ┃  \ ヾ,,''´   ┨
||   ̄ ̄l         .||    | MEMORY │  .┃ \   l /  /┃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ┗━━┷━━━┛
         
              スネーク「性欲をもてあます」


               拾い主「!」


シュル シュルル


「スネーク! 頼むからやめてくれ!」
「やらせろ!」

……

「これじゃ野獣だよ」
「たとえ……いつの時代でも、どんな世界でも、イヌ相手でも、性欲をもてあます」
577561sage2005/07/04(月) 01:22:02 ID:ikkhrPgQ
……ごめんなさいorz

やっぱり投下予告は諸刃の剣だな……てか、こんな時に限って休出させるなよと。
でも次の土日こそはかならず。



……舞台が狐の国なんだけどいいんだろうか……
578名無しさん@ピンキーsage2005/07/04(月) 20:55:28 ID:r3xI/LGy
「いいさ、待つのは慣れてる」
路面電車の窓越しに唇がそう動いたように見えました。
嘘を吐くときに耳を伏せる癖、独り言の時でも出るんですね。
三年も一緒にいたのに初めて気付きました。
今日が最後の日なのに。
ああ、僕の元ご主人さま。
クールに見えてホントは淋しがりのご主人さま。
彼女が淋しくないように>>577さんがSSを投下してくれることを
動きだした路面電車の狭い席で、祈りました。
579名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 01:59:03 ID:roYo0uh+
>>578
だから今週こそ投下しますってばぁ(泣
580名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 06:11:49 ID:ap4QTbHQ
ええと……。
投下準備は出来ましたが、内容が内容なので少々お伺いを立てたく。

ショタ・シーメール・性転換有・過去話ゆえにヒトが出てこない

という代物はスレに投下していいでしょうか。
それともテキストの方がよろしいでしょうか。
581名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 07:51:15 ID:SE8IHWR7
>>580
あなたがこのスレに合ってると思ったらそれがおそらく正解
内容を知ってるのはあなただけ

よーするに、読んでみないと分からんから投下せーやってことです
テキストかどうかは・・・シラネ
582名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 14:11:02 ID:BJff0EI0
>580
全然オッケー。バッチコイ
583scorpionfishsage2005/07/05(火) 16:39:39 ID:ap4QTbHQ
どうやら平気そうなので。

scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」
で、入れておきますのでヨケにお使い下さい。
長いので3分割いたします。
まずは前編。
584scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:40:18 ID:ap4QTbHQ



 明るい水面の下。
 岩陰に座り込み、手にした銛で砂地をつつく子供がひとり。
 波の動きにびくりと顔を上げる。
「レセレフ、こんなところで何してるんです?」
 やってきたのはよく見知った顔で。
 やはり手に銛を持っている。
「休憩」
 そっけなく答えると。
「嘘」
 笑って隣に座り込む。
 容姿は二人ともよく似ている。
 浅黒い肌。水になびく黒髪。大きな黒い瞳に、黒銀のヒレ耳。
 手首や腰、脚ヒレ等はまだ未熟で短い。
 身に纏うのは腰履きの膝丈ズボンのみ。所持品は体に似合わず大きな銛一つ。
「リテアはもう終わったの?」
 相手の銛を一瞥して、幼い顔立ちでやや後輩を見るような大人ぶった視線を向ける。
 背は少しばかり高いけれどまだまだ手足は細長く、子供時代からは抜け切れていない。
「ええ。相変わらず、レセレフには及びませんが」
 頷く相手も、背丈の割には華奢である。
「リテアは、魔法が使えるから。オレ、使えないし」
 俯いて砂地に視線を落とす。銛の跡は、海流に洗われて緩やかに崩れ落ち消えていく。
「制御できないものは、所詮役立たずですよ。銛や槍に秀でたレセレフの方がずっと…」
 呼吸の度に肋骨の上のエラが僅かに上下して。
 青みがかった光を受けて、惑うように、また、砂地をつつく。
「呼ばれてるんでしょう?今宵」
 畳みかける声。
 首の落ちる角度が深くなり、表情がリテアからはまったく見えなくなる。
 答えたくない話題のようだった。
585scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:41:27 ID:ap4QTbHQ
「レセレフ…。オトナになりたくないの?」
 冷静かつ透徹な声に、ぎくりと、肩をすくませる。
「オトナにはなりたい……なりたいけど。でも。伽はやだ」
 ぶっきらぼうな声。
 それを聞いたリテアが不思議そうに顔を覗き込んだ。
「伽をしなきゃ、自分の指向もわからないと思いますけど…?」
「うん……でも。リテアは平気なの?顔を隠したオトナの女性に奉仕して、可愛がられて」
「イかせるのは好きですよ?征服した感じがして。かわいいし」
 しれっとにこやかに口にする幼なじみに、さらに仔のヒレがしょぼくれた。
「そんなの無理だ……。いつも縮こまって、じっとやり過ごしてるだけなんだ。教えられたことはやれても、楽しくない。気持ち良くもない。つらいよ」
 未分化のまま育った成人間近の仔は、オトナの元に通い、手ほどきを受けるのが習わしだ。伽を受ける前に自ら成熟する者もいる。
 伽の内容はオトナによって異なるが、通常、初回は礼儀と快楽を教え込まれるのが通例である。
 拗ねたように唇をとがらす相手に、リテアは悪戯っぽい表情を浮かべ、大人びた視線を隠すように笑んで見せた。
「ねえ……レセレフ、知ってます?」
「何」
「初めての伽で変体してしまう者も多いんですって。レセレフは今日で何回目です?」
 そういえば、最近、道場に来る知り合いが少なくなった。
 師範に聞くと、オトナの部に移動したのだという。
「……23回目」
 20を超える伽の数は珍しいらしく、この前の相手も帰す時、諦めの笑みを浮かべた。
 同じオトナに伽が続くことはない。回数を重ねた者だけが例外的に同じオトナと伽を重ねることが起きるらしいが、二人とも未体験だった。
「私は15回目ですね」
 リテアも多い方なのか、軽い溜め息をついた。
「レセレフ、知ってます?」
「何?」
「いつまで経ってもオトナになれない仔は、紅珊瑚の魔女に攫われてしまうんですって」
「魔女?」
「そう。こわーいこわーい魔女に攫われて喰われてしまう。そう昨夜の伽の相手がおっしゃってました。だからおまえは早く決めなさいね、とね」
 リテアは経験豊富さをひけらかすように意味深な笑みを浮かべる。
 経験はこちらの方が多いはずなのに、萎縮しているせいで、まったく成長も有益な情報も得られない身からしてみれば驚異だった。
586scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:42:06 ID:ap4QTbHQ
「リテアは……どっちがいいの?ここまで大っきくなってるとメスの方が可能性高いらしいけど…」
 上目遣いで問う。
「……ふふっ、もう決まってるんです。でも、もうちょっと後見相手を見極めたくて」
「分化の衝動をもしかして、押さえてるの?」
 驚いた顔に、リテアは微笑んだ。
「そろそろ奇矯な方々が、伽に呼んで下さる頃合いですから」
 見込まれれば成人後にオトナが後見として立ってくれることもある伽は、未成熟な仔達の重要な儀式であると同時に、オトナ達の人材見極めの機会でもある。
 なかなか分化しない者には優秀な者が多い。
 それも含め、回数を重ねる毎に実力者が後見として出てくるのである。
 それでわざと耐えてきたとしたら、すごい胆力だとしかいいようがない。
「すごいなあ、リテアは」
「器用貧乏ですからね」
「そんなことないよ」
 純粋な尊敬の眼差しを受けて、眩しそうにリテアは目を細める。
「ほら。いってらっしゃいな。もうそろそろ呼び出しをくらいますよ?」
 軽く背中を押されて、バランスを崩した体が、砂地から離れて水中に漂う。
「わかったよ……」
 水をヒレで蹴って振り返る。
「いってくる」
 こちらを向いて手を振っているリテアは、ほんとに自分とそっくりなのに、少し妖艶な感じがした。
587scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:43:01 ID:ap4QTbHQ




「マダム?」
 その日渡された貝殻片に書かれた文字は、いつもとは違う方向を指していた。
 遠浅の海が終わり、サカナの国の方向へと潜っていく手前。そんなやや深い海に隠れるようにして、その棲み処はあった。
 ふわりと白砂の間に降り立った時、水の感覚が引いていくのが分かった。
 岩肌に囲まれた白砂を踏みしめる。
 ちゃんと空気があるのは、ひっそり離れてある個人宅としては珍しかった。
 ぼんやりと蒼い光を放ち、足下が照らされた洞窟内。
 伽が行われることは相手も承知している。少々変わってはいても、一族は一族、そう疑いもしなかった。
 だから、そんなふうに言われるなんて、夢にも思わなかったのだ。
「ふうん……何の用だい?」
 しきたりに乗っ取って隠された顔。
 まったく自分に興味を示さない退屈そうな声音。
「あなたにお会いしろと……マダム」
 一族とは全く違う、白い膚。
「ああ……そういえば未分化のガキを寄越すと連絡があったねえ」
 未分化のガキ。
 そんな分かり切ったことをこの人は言う。
 未分化だからこそ伽の相手になるのだ。ひょろ長く伸びた手足。引き締まった、だがどう見ても薄い体。男らしい厚みも、女らしい丸みも、どちらも欠ける未分化特有の中性的な肢体。
 落ちもの長椅子に腰掛けた目の前のマダムは、頬杖をつき、大きく拡がる赤黄色のヒレ耳をこちらに向けたまま一瞥もくれなかった。
 背中の大きく開いた黒鱗のドレス。胸は非常に豊かで、横からもその円熟した丸みは目を引いた。
 顔を隠す黒レースの垂れ布を留めた派手な珊瑚飾りから、深紅の長いトゲヒレが飛びだし、背中の方まで続いている。
 脚を組み替えると、ドレスの裾から赤黄色のヒレがゆらりと動くのが見えた。
 顔色を窺うように、首を傾げて穴が空くほど見つめ続ける。
 それでも、マダムはいっこうにこちらに関心を示さない。
「で。どうしたいんだい?」
 しばらくして告げられた言葉はそれだけだった。
 思わず絶句した。
588scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:43:49 ID:ap4QTbHQ
「何って、伽を……」
 マダムは、手首のトゲを指の上に重ね合わせて付け爪のように装い、サイドボードを小刻みに叩いた。
「いいかい?坊や。ここに来たということは……見放されてるんだよ」
 直立不動で固まった自分をさらに追いかけるように言葉が飛ぶ。
「名乗る必要はないよ。こちらも名乗らないからねえ……。成熟したいんだろ?オトナになりたいんだろう? なのに成れない。何故だと思う? 未分化の坊や」
 畳みかけるように尋ねられ、ようやく喉から声を絞りだす。
「伽が、つらいんです」
 マダムの指の動きが止まった。
「伽が、つらい? クロダイの快楽の儀式がつらいのかい?」
 くっくっと喉の奥で嗤う声がする。
 溜め息をついて俯こうとした時、黒のレース越しに目が合った。
 深い海の底のような蒼い眼。
 口元には薄い笑みを浮かべているくせに、その眼には笑みの一かけらも無い。
 内部に生じる今までに感じたことの無い泡立つ感情。
 なんだろう。
 何故、この人はこんな笑い方をするんだろう。
「おいで」
 指で誘われ、近寄る。
 白い指が、なめらかな浅黒い肌の上を這うように滑っていった。
 微かに肌に触れる指の感触に、ぴくりとする。
 瞬きすると、マダムが目を細めて笑んでいた。先程とは違う、満面の笑み。だが細まった目の奥は伺えない。
 つられるように、ぎこちなく微笑み返す。
「……まあ、いいだろう。常とは少々違うかもしれないが、施してはやろうかね」
「あの」
「なんだい?」
 指の動きが止まる。
「あなたは一族の方ではないのに……何故伽を?」
 つっと、指がエラの上を滑った。
「バカだねえ。魔女だからに決まっているだろう?」
 リテアの一言を思い出して凍りつく。
 帰れない?
 分化するまで、帰れ、ない?
589scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:44:55 ID:ap4QTbHQ
 手持ちぶさたに後ろ手ですり合わせたてのひらがじんわり汗ばんできた。
 泣き出しそうな顔をしていたのか、指が、唇まで来て止まる。
「バカだねえ……。何を想像してるんだか。こんなに震えて、食べてしまいたくなるよ」
 艶笑というのは、こういうのをいうのだろうか。サメに狙われる魚にでもなった気分だった。
「あ、いえ」
 慌てて誤魔化し、両手を顔の前で振る。武器を持っては来ないのが伽の通例とは言え、ものすごく今頼るものが欲しい。
「……その表情、快楽に溺れるたちではなさそうだしねえ。長い夜になりそうだねえ」
 動きがぴたりと止まる。
 ほんとに喰われるかもしれない。そんな恐怖にも似た予感。
「最初に言っておくが、トゲヒレの先端に絶対に触れるんじゃないよ。毒があるからね」
 怯えの残る表情のまま、こくりと頷く。
「おいで」
 腹をくくるしかなかった。
 むっちりした太股の上にまたがり、ドレスの上から腰掛ける。膝の上に乗って、ちょうど視線の高さが合う。身長はややマダムの方が大きいようだ。
 向き合うように抱きついて、おずおずと豊かな胸に触れる。
 首のすぐ下から盛り上がる、たわわな2つの乳房はとても重そうで。
「持ち上げてみてごらん?」
 言われるままに手を差し込んで両方とも持ち上げてみる。
 張りのある、やや固い乳房。
 やわやわと揉み解すと手から逃げるようにはみ出てしまう。
 深いVネックの布地から、乳房がこぼれる。
 たまらなくて、Vネックを左右に押しのけて乳房を露にする。
「そう、そのまま吸ってみてごらん?」
 陥没した乳首を吸い出すように口づける。
 乳房の表面を優しく撫で上げながら、何度も吸い上げた。
 徐々に屹立してくる乳首が、口の中で舌で転がす度に固くなっていく。
「少しは仕込まれてはいるんだねえ」
 背中を撫で上げられながらそう囁かれて、頬が赤くなる。
 そう、いろいろな手管を教わってはきた。言う通りに実行してみてもいた。
 でも、自分の中に快楽の熱は生まれなかった。
590scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:45:40 ID:ap4QTbHQ
「まらむは……きもちいいれすか?」
 舌を這わせ、れろれろと舌先でなぶり、胸の谷間に顔を埋もれさせながら上目遣いで問う。
 濡れた白い乳房から唾液と体臭が混ざり合った匂いが立ち上る。
「そうだねえ……。その様子がそそるけど……いまいちだね」
 肩の辺りに赤黄色の鱗が、白い膚の下から透けるように浮かび上がるのが見える。
 それを疑問に思う余裕はなかった。
「すみません」
 ここまで大きな胸は初めてで、少し感じ方が違うのかも、と少々乱暴に揉んでみる。
「それはまだ早いよ、坊や。よがってきた相手にすることさ」
 余裕の笑みをマダムは浮かべたままだ。
 完全に手の中で踊らされていて、少し面白くない。
 頬に手を伸ばすと、面白そうにこちらを見つめ返す眼が、黒のレース越しに見える。
 顔を隠す布なんてとってしまおう。
 そう思って、瞬時に布を勢いよく撥ね上げ、たつもりだった。
 逆に自分の手首を捕らえられ、片方の手で顎を上向かされ、唇を奪われていた。
「んっ……」
 女陰を舐めることを強要されても、口を吸われたことはなかった。驚きで薄く開いた唇は、すぐに舌を割って蹂躙される。歯を噛みしめても、歯列をなぞり上げる感覚に、力が抜けていく。
 舌が挿入されるのを嫌がって、首をのけぞらせて離れた時には、銀糸が唇と唇を繋げて光っていた。
「マダム……」
 泣きそうな目で見つめると、愉しげにマダムは笑っている。
「おやおや、楽しませてくれるんだろう?軽い接吻もだめなのかい?」
 濡れた唇を指で拭って、掴まれたままの手首から相手の指を引きはがして、きっと睨みつけた。握力や腕力は鍛えている自分の方が上のようだ。
「軽く……じゃないです」
 膝から降りようにも、いつのまにか腰を抱かれている。外しても、またどこか違う場所にさりげなく手が伸びて逃れようも無いことは想像がついた。
「マダム…ッ」
「ほら、万歳をおし」
 いつのまにか、腰帯を解かれて、椅子から床に滑り落ちていた。
 頬を膨らませて意地でも両手は上げない。
591scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:46:21 ID:ap4QTbHQ
「可愛いねえ……」
 髪を梳きながら、マダムは目を細める。
「どこがっ」
 いつのまにか意のままに触れられている。
 仮にも武を修めているのに。逆らえない。抗えない。
 心地よい水流のように、抗う力を奪おうとする相手が許せなくて、唇を噛む。
「そうやって拗ねるところさ、ねえ坊や」
 伽のはずなのに、なんでこんなに反逆心を煽られるのだろう。
「オレは坊やじゃ……っ」
 食ってかかろうとしたその時、唇に人さし指を当てられる。
「名前は聞かないって言っただろう? 坊や。坊やって呼ばれなくなるのはオトナになった時さ」
 セレフは押し黙る。
 服を脱がされ、無言で白い褌に手をかけられても、抵抗せずに黙ってなすがままにさせていた。
「大人しいねえ…諦めたのかい?」
「オレが感じなければ、あなたのメンツも折れるだろ」
 ぼそっと言い放つ。
 実際、自分を責めた伽の相手に幾人か言われたのだった。
 マダムは大きめの唇を三日月型に吊り上げて笑った。
「随分と拙い手を使う伽の相手だったのだねえ」
 自分にとって事実とは言え、一族の者を笑われて腹を立てる。
 むっとした表情が、浅黒い肌の引き締まった腹筋の上をなぞられて奇妙に歪んだ。
 こそばゆい。
 くすぐったげに身をよじると、そのまま脇腹や、脇の下を白い指が這い上がる。
 股間を布地の上から上下に擦られ、ぴくっと足が動いた。
 くっきりと押さえられた布地の下から自分のシャフトの形が固さとともに浮かび上がるのが見えて、セレフは恥ずかしさに顔を背けた。
 感じない、なんてできるだろうか。と、考える。
 その首筋に、魔女の唇が吸い付いた。
 こりっとヒレ耳のつけねあたりからエラの辺りまで、舐め尽くすように嬲られる。舌は脇に来た時、波がきた。
 ぎゅっと目をつぶる反応に、マダムはそのまま腕をとると、二の腕を甘く噛み、筋肉にそって優しく軽く、触れていく。
592scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:47:01 ID:ap4QTbHQ
 最後にたどりついたのは、指先だった。
 指の間を上からほじくるように舌をさしいれられ、そのまま指の裏を舐め上げて、ぱくっと指の先端をくわえる。
 その動きに、小さなシャフトが反応した。皮をかぶったそれが、痛いほどにはりつめて、思わず顔をしかめる。
「おや…?」
 反対側の手が、容赦なく布地からシャフトを掴み出した。
「かわっかむりかい……快楽も覚えないはずだね」
 セレフは怯えた視線を向けた。
 その件に関して、かなり痛い目にあってきたのだ。ほんのわずか剥かれて元に戻るという始末だった。
「…大丈夫、痛くはしないよ」
 マダムが掌を濡らして、優しく両手で包み込んだ。
「ほら、反対向きになってごらん」
 座り直すと、マダムの指が皮っかむりな小さなシャフトをいじりはじめた。
 抱きしめられるように手を回されながら、おずおずと剥かれていくそれをみる。
 一瞬、マダムの爪代わりの手首のヒレが、シャフトの先端に触れてちくっとした。だが、それ以降は痛みもない。
 白い垢が溜まっていたのを掌から湧き出た海水で洗い流してもらい。
 なんだか、セレフは安心していた。
「さあ、これからが本番だねえ」
 つかまったまま耳元で囁かれた言葉には凍りついたけど。
593scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 16:47:55 ID:ap4QTbHQ

 責めは昼夜を問わず続いた。セレフには時間の感覚が無くなっていた。
 腹が空くと、魔女と狩りに行き、魔女のために得物を毎回数匹仕留めて見せた。浅い海では見ない得物の狩りには、非常に満足を覚えていた。銛が無くとも狩りは得意中の得意で、それを褒めてくれるマダムには心からの笑みを見せるようになっていた。
 だが、その褒美として出されるちょっかいに、セレフは気持ち良くなりながらも、けしてイくまでにはいたらないのだった。
「そろそろおかえり」
 それは、マダムの膝の上にうつぶせに腹を載せ、白い指をくわえさせられて、尻をいじくられていた時だった。
 変態的な悪戯をしかけられるのには徐々に慣れ、どんなことを言われても、素直に応じるようになっていた。
「今日は……何日だっけ」
 すっかりリラックスした表情で問うて、三昼夜が過ぎていることを知って青ざめた。
 魔女は居場所は知らせてあるとは言うけれど。
 それは上層部にだけで、末端の一族には伝わらない。
 リテアが心配しているはずだった。
 ここに来た時に身につけていたものを久しぶりに着て、魔女に別れを告げた。
 それはキレイに洗濯されていて。
 帰り道、泳ぎやすかった。

(続く)
594scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:06:35 ID:ap4QTbHQ


 深い海の底から這い上がってきた久しぶりの浅い水底は水温も温かく、海藻が揺れていた。
「なんか、こんなに眩しかったかなあ…」
 日の当たる水面を見上げて、ふわりと水に浮かぶ髪を、懐かしげにかき上げる。
「……セレフッ!」
 遠くから自分を呼ぶ声。
 勢いよく泳いでくる黒い影。
「ん?」
 振り向いたときには、激突するように飛びつかれていた。
 向き直って抱き留めると、視界に入る浅黒い肌。
 同族なんだけど……。
 胸板にあたる胸当ての感触。
「久しぶりに帰ってきて……どれだけ心配したと……」
 視界の隅でひらひらと舞う、成人したてのメスがつける短い巻きスカート。
「誰?」
 自分に抱きついてくる相手が誰だか分からない。
 ふんわり黒銀の髪を巻き髪にして、トゲヒレは初々しく光っていて。
 細い腰も、まだ谷間の出来ていない、柔らかな胸のふくらみも。
「レセレフ!」
 体を引きはがして、相手が自分の頬をしっかと包む。
 大きな黒い瞳は泣き濡れていて。
 キレイだな、と思う。
「君……。もしかして」
 その唇、鼻の形。
 自分とよく似ていたはずの、面立ち。
「リテア……?」
 呆然と呟く声に、再度抱きつかれる。
「そう、リテアナですわ……」
 そんな。
「なんで……」
 置いて行かれた。
595scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:10:28 ID:ap4QTbHQ
「レセレフが心配で……。てっきり紅珊瑚の魔女に攫われてしまったかと……」
 深い情動がオトナへと変わるエネルギーを生み出すのだと、聞いた。
 リテアナは自分を心配して?それとも……。
 何故だろう。
 心臓を掴まれたように身動きできない。
 首に頭をすり寄せるリテアナからは、いい匂いがする。
「いい後見が見つかったんだね。おめでとうリテアナ。気を遣わなくてもいいよ、そんな嘘言わなくても」
 瞬間、頬をしたたかにひっぱたかれて。
 一歩後ずさって目をぱちくりさせる。
 離れたリテアナは顔を真っ赤にして怒っていた。
「そんなこというなんて、レセレフらしくもない。レセレフはいつでもまっすぐで、まっすぐ悩んでたから、憧れて、いた、のに…」
 頬の痛みより、リテアナの怒声が悲痛な叫びに聞こえて胸の奥が痛い。
 困惑したように眉をしかめ、それから、悪いことをした、とシュンとなった。
「絶対、……絶対レセレフを叔母様にしてみせますから。もう決めたんだから」
 そう言い残し、踵を返してリテアナは去って行く。
「あんな奴だったかな……リテアナ」
 もう、リテアには会えなくて。
 一緒に槍や銛で仕合うこともないんだと思うと、少しさみしく思えた。
(いってらっしゃい)
 笑って背中を押されたのはつい先日のように思えるのに。
 実際、自分はちっとも成長していなくて、ほんの二三日のことなのに。
 もうリテアはどこにもいない。
 オトナのリテアナが、オトナの世界で生きていく。
 リテアと自分は、本当は1世代違う。年は数ヶ月しか変わらなくても、こちらが目上なのだ。
 なのに、先にオトナになってしまった。
 そう嘆かれているようで。
 身の置き場がない。
 行き場のない、自分の中を荒れ狂う嵐。
 自嘲の笑みが、暗く、浮かぶ。
 地を蹴って力強く泳ぎ出す。
 修練場へ銛を取りに。
596scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:11:55 ID:ap4QTbHQ
4 

「おや……また来たのかい。早かったねえ」
 マダムは手に銛を持った姿で現れても動じなかった。
 黒銀に光る、返しのついた三叉の銛。
 鈍く光る凶器の前にも、動揺を見せず、あの落ちもの長椅子から立ち上がろうともしない。
「今度は、違いますよ」
 銛を構えて、見下ろす。
 これさえあれば、この人も屈服できるはずだった。
 どす黒い塊が、喉につかえて息苦しささえ感じる。
「服を裂くなら、槍の方がいいだろうに……。何故銛なんだい?」
 一度、膚を突き破れば抜けず、傷口を荒らす殺傷武器。
 伽の相手にこんなものを持ち出すなんて、気が狂ってるとしか思えなかった。
 武を修めてる相手にも見えない。
 でも、銛先はしっかりとマダムの喉元に向けられた。
「あなたが、オレを……オレを……閉じこめておいたから、リテアはオトナになってしまった」
 マダムは顔も隠さず、ただ蒼い眼でこちらを見つめていた。
 自分が汚した黒鱗のドレスは着替えられていて。鮮やかな、頭部のヒレと同じ、深紅のドレス。どこまでがドレスで、どこからが足ヒレなのか見分けがつかないくらい溶け合っていた。
「八つ当たりだってわかってる。でも、オレにはあなたを辱めるしか、発散できる方法が思いつかない」
 ほんとは帰ってきて、真っ先にビッグマムにマダムの正体を確かめに行くつもりだった。
 紅珊瑚の魔女。
 そう言われればそうかもしれない、という容姿をマダムはしていた。
 でも、魔女と言われても、あの艶やかな声も、姿態も、信じられなくて。
 自分をからかう姿も婀娜っぽいけれど、けして決定的な危害は加えず。
 そして、遅くはなったけれど自分を帰してくれた。
 だから、いい人なんじゃないかと。
 また、逢いたいと、請いに行くつもりだった。
 許されなければ伽の相手とはまた逢いまみえることはない。
 掟は熟知していたし、それを厳守するつもりだった。
 なのに、何故こんなに心がざわつくのだろう。
 なんですべてを破壊してしまいたいのだろう。
597scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:12:35 ID:ap4QTbHQ
 還りたい。
 二人で笑っていられたあの頃に。
 どちらも仔だったあの頃に。
「何を、泣いているんだい?」
 だから、銛を突きつけている相手が自分を見上げて問うても、それが何を意味するのかすぐに理解できなかった。
 視界は明瞭で。
「何を、泣いてるんだい?」
「嘘だッ」
 銛の切っ先が、喉に、触れる。
 その瞬間に、視界が滲んで、頬を、熱いものが伝った。
 なんだ? これ。
 いつもの水の中ならば感じもしなかった感覚。
 大気のある、マダムの家だからこそ、感じた、熱さ。
「……くやしかったのかい」
 違う。
「……さみしかったのかい?」
 違う。
「……怖かったのかい?」
 オトナになることが。
 目の前に突きつけられても、信じれない。
 あんなものに、変貌できるなんて思えない。
 いつ、なるの?
 年をとれば必ず成れるの?
 オトナに。
 滲む視界の向こうに、赤い筋が見えた。
 僅かに白い皮膚に食い込んだ切っ先。
 滲み、首から豊かな胸へと流れ落ちていく、血。
「あ……」
 驚いたように銛を引き、手から力が抜ける。
 からんと、音を立てて銛が床に落ちた。
 マダムは動かない。
 冴え冴えと光る蒼い眼をこちらに向けたまま。
598scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:13:46 ID:ap4QTbHQ
 黙って。
 胸の谷間を伝い落ちていく血。
 深紅のドレスの一点が、さらに深く、深く。
 黒さを帯びた赤へと変色していく。
「あ……あ……」
 がくりと膝を突く。
 暴れる殺意をそのままにしておいたら、返しの位置まで突き込んで、ほんとうに致命傷を負わせていたかもしれない。
「なんて、オレは……未熟な……」
 敵意のない相手に傷を負わせるなんて。
「すみません……」
 頭を垂れて、相手の膝に額をこすりつける。
「すみません……」
 後頭部に添えられる大きな手。
 白い、大きな手。
 こらえていたものが、溢れる。 
 嗚咽を殺すように、ドレスに顔を埋め、腰へと手を伸ばす。
 抱いたマダムの腰は細くて。
 涙はどんどん生地に吸い込まれ、ドレスは色を変えていく。
「名を呼んで、欲しいのかい」
 はい。
「名を教えて、欲しいのかい」
 はい。
「伽ではなく、違う関係を作りたいのかい?」
「……はっ……ぃ……」
 嗚咽で上手く言葉が出ない。
 震えるのはこみあげるしゃっくりを押さえようとする肩だけで。
「かわいいねえ……」
 背筋がぞくりとするような艶のある低音が、マダムの唇から漏れた。
 衣擦れの音。
 しがみついていたドレスの布地が緩む。
 でも顔は上げられない。
599名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 20:14:25 ID:t65n9TWc
期待&支援!
600scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:14:50 ID:ap4QTbHQ
「食べたいかい?」
 溶け合いたい。
 こんなみっともない顔も、こんな醜い自分も、晒さずに済むのなら。
「食べられたいかい?」
 食べるのも、食べられるのも、溶け合うなら同じこと。
「喰ってしまおうか?」
 浅ましい考えも、淀む苦しみも、全部この魔女に囚われて。
 霧散してしまえばいい。
「忘れっ、させ、てください……オレが、オレで、ある、ことを」
 喉に引っ掛かりそうな、衣擦れよりも小さな声。
 途切れ途切れに告げながら、顔を上げる。
 濡れたドレスが重みで足下へずり落ちていく。
 裸身のマダムがひとり。惜しげもなく抜けるように白い裸体を晒し。
 自分を見据える。
 そして、その股間には、ありえないものが、あった。
「かわいいから、そそり立ってしまったよ……」
 欲情を隠さずにマダムが言う。
 相変わらず重たげな乳房から上は、いつものマダムなのに。
 股間だけは、痛いほど張りつめ、屹立したシャフトが、こちらを向いて挑発していた。
 思わず自分の股間に手をやる。
 皮っかむりの小さなシャフトは柔らかく、縮こまっている。
「……ほら、舐めてごらん?やってあげたようにさ……」
 なんでこんなものがあるのか。
 そう疑問に思いながらも、目も、頬も、赤くしたまま、先端に口づける。
「随分と火照っているけど……嗄れそうだね……」
 誘うように足を大きく開いた姿で、水の入った瓶をとって、頭の上に注ぐ。
 思わず舌を出して、上を向いて受ける。
 ヒレ耳に、火照った頬に、喉を通りすぎる水が気持ちいい。
601scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:15:33 ID:ap4QTbHQ
「そう、その顔だよ……」
 頬にピタピタと、太いシャフトが触れる。
 自分の浅黒いシャフトとは違い、濃いピンクのそれは、違うものにも思えて。
 不思議そうに見上げると。
 薄く開いた唇にねじ込むようにシャフトが挿し込まれる。
「んっ」
 大きい。
 傘の部分のみをようやく銜えて、口の中に拡がる初めての味に小首をかしげる。
 なにか先端から出て来てる。
 そこを舐めると、ぴくりとマダムの瞼が動いた。
「ほら、手も使うんだよ」
 根元に添えて、少し余裕のある皮ごと上下にしごく。
 唾液を思い切り垂らし、潤滑に動くように。
 目を閉じると、口いっぱいに頬張ったそれが口の中をこすり上げるのを感じた。
「んっ、ざらざらしてるねえ……」
 貝もすりつぶせる歯を持つその口は、上下がすりばちのようになっている。
 唇をすぼめて、なるべくあたらないようにする。
 でも、それ以上、どうしていいかわからない。
「オレ……あなたを辱めたかったのに……」
 息苦しくなって、ぬるんと口から吐き出し、そっぽを向いて呟く。
 口から零れた唾液がとろりとシャフトを濡らした。
「辱めてるじゃないか。そちらは服を着たまま、こちらは全裸さ」
 根元まで濡れたシャフトは、握られたまま上を向いている。
「でも、あなたは喜んでる」
「伽で辱めるのも、辱められるのも、快楽のうちさ」
 視線が、浅黒い肌に絡みつく。体の隅々まで見られている。
 視姦されているのを感じながら、乳首が勃っていくのがわかった。
 ぬるついたシャフトを握る手に少し力を込める。
 押し返すように膨脹し、脈打った。
 浮き上がる血管をなぞるように根元から舐め上げながら、マダムを見上げる。
 うっとりとした目をしていた。
602scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:16:27 ID:ap4QTbHQ
 自分も愛撫される時にこんな表情をするのだろうか。
 想像がつかなかった。
「いやらしいよ、とても」
 興奮が滲む艶めかしい声。背後に深紅のトゲヒレが震えるように拡がるのが見えた。
「いやらしい?」
 自分が?
 実感が湧かなくて聞き返す。
「ああ、とても」
 声には吐息が混じっていて。
 そのまま唇を這わせて、一気にまた銜えた。
 なんだか、頭を動かし口をすぼめて上下にスライドさせると、自分が相手を犯しているように思えて、下半身が熱を帯びてくる。
 それは尾てい骨から股間の筋目を伝わって皮をかぶっていた自らの小さなシャフトを勃起させるに至った。ズボンの前の布地が張りつめる。
 少し乱れた相手の呼吸が快感を耳へと伝えてくるようで、セレフは目を閉じた。
「吸ってごらん」
 いわれるままに、唇の輪の力をすぼめ、緩急つけて吸い上げ、力を抜くのを繰り返す。さらに大きさが増した相手の鈴口を舌でくすぐってやると、また先走りが口の中に拡がった。
 疲れてくると手でしごいた。
 すでに余った皮はなく、太さも増していて、くわえているのがやっとだった。
 後頭部に手の感触を感じて、見上げようとした途端、深く腰を突き込まれ、咽せかける。
 頭は固定され、逆にセレフは口を犯されていた。
「んっ、んんっ」
 喉の奥まで入りそうになり、けほけほっと苦しげに逃げようとして、ちょうど竿がほとんど口から引き抜かれた時だった。
 口の中で、シャフトが暴発した。
「んくっ、んっ、んっ…」
 抵抗する間も無く、口の中がどくどくと送り込まれる白濁で溢れていく。
 飲み込めないものは、唇の端から唾液とともに、ぽたぽたと浅黒い胸の上に滴り落ちた。
 汚された唇から抜け落ちたシャフトは、口から出てもまだ勢いがおさまらず、そのまま続けて発射する。
「……っ!」
 だらしなく舌を出して縦長の楕円に開いた口と、反射的に閉じた目、直毛の黒銀の髪、すべてが白濁をかけられて浅黒い肌が汚されていく。
603scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/05(火) 20:16:58 ID:ap4QTbHQ
「はあっ……はあ……」
 胸を伝い落ちた白濁が、ズボンの腰の結び目の上で溜まって、自分の先走りですでに濡れた染みの上にも、飛び散った。
「美味しいかい?」
 ようやく萎えてきたシャフトを握って、マダムが妖艶に見下ろす。
「口に残った分は飲み干すんだよ?よい滋養だからねえ……。そうそう、残さずね。ほら、吸ってごらん?」
 そういうかいいおわらないうちに、セレフの眼前に少し縮こまったシャフトを突き出す。
 セレフは目を閉じたまま、迷わずに目の前のシャフトに吸い付き、ちゅっちゅ、鈴口に残った精液を絞り取って喉を鳴らすと、舐めてきれいにした。
 瞼の上にも白濁はもったりとのっていて、あけるにあけられない。
 それを見て満足そうに魔女は、掌から水を湧き出させ、顔をきれいにしてやった。
604scorpionfishsage2005/07/05(火) 20:17:45 ID:ap4QTbHQ
本日はここまで…。
後半はまたいずれ。
605名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 20:39:17 ID:dVBg0wiV
GJ!
606名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 20:56:05 ID:OJs4wGjD
ベネ!(良し)
607名無しさん@ピンキーsage2005/07/05(火) 23:55:00 ID:/G1miNvS
キターーーーーーーーーーー!! GJGJ!!

もっと歳同じ位だと思ってたら、まさか年下少年零落系だったとは・・・・
ていうか叔母さん言う位だから武人さんの方が年上だとさえorz
608scorpionfishsage2005/07/06(水) 22:39:43 ID:KUu3egL4
昨日の続きを投下します。
長くなりますので、投下後に昨日の分合わせ、目次でも……。
609scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 22:57:20 ID:KUu3egL4


「上は嵐だね…今日帰るのはおよし」
 結界内は静かで、荒れた海の気配などわからない。
「でも……」
 寝台の上で微睡みながら、セレフはマダムに身をすり寄せた。
「リテアナが心配してるから……」
 鼻で笑う気配がして。
「そんなにその幼なじみが好きかい?もう何度も寝言で聞いたよ」
 顔が熱くなるのを感じて、早口で言い返す。
「そんなんじゃない。あいつは……あいつは、優しくて、なんだか憎めなくて、かわいくて……。でもオレよりオトナなんだ。なのにオレをずっと小さい頃から慕ってくれるんだ」
「愛いことだねえ」
 微笑ましそうに、マダムが目を細める。
「でも……ちゃんと世代称のレをつけて呼んでくれるのに、まだ、オレは仔のままで。オトナになったリテアナを見て動揺するガキで……」
 やりきれない衝動のはけ口をマダムにぶつけてしまった。そう恥じる。
「今はどうだい?」
「……オレは、オレの力でオトナになりたい。伽って、ほんとは、心を開放するっていうやりかたを教える場もあるんだろ?」
「さあねえ。一族のことは深く知らないよ」
 そっけない物言い。
「嘘つき。じゃなきゃ伽なんて引き受けるもんか」
 頬を膨らませたセレフに対して、マダムの反応は芳しくなかった。
「……契約があるんだよ。不可侵の保証と引き換えにね」
 マダムは渋い顔をして、目を伏せる。
「契約?」
 きょとんとしたその時。
「誰か来るね」
 マダムが身を起こす。
「誰って……嵐なんだろ?」
 何の気配もしない。
 だが、起き上がったマダムは、いつものドレスとは違い、足に纏わりつかない外出用のスリットの入ったドレスを纏って結界の入り口を見つめた。
「……それほど急用ということさ」
610scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 22:58:46 ID:KUu3egL4
 ベルトを締め、幾つも紅珊瑚の装身具を身に付け始める。
 なんだかベッドから出づらく、セレフはうつ伏せで身を起こして、頬杖をつきながら身支度を眺めた。
「来た」
 波紋が。
 大気に拡がる。
 水中から誰か大気中に落ちてきた。
 迷わずにこの寝室までやってくる。
 急ぐ足音。
「魔女ファルムッ!」
 結界を破る勢いで転がり込んできたのは、まぎれもなく見知った顔で。
 そのヒレについた黒い粘っこい液体と、小奇麗なはずの服の汚れように、思わず声を上げた。
 異臭は、黒い液体からする。
「リテアナッ、どうしてッ」
 その言葉に、マダムが片眉を上げた。
「レセレフ?」
 驚いたように自分を見返すリテアナに比べ、嵐にも関わらずここに留まっていた自分を恥じる。
「マダム、銛を」
「お待ち」
 片手で制されて、全裸のままベッドを抜け出そうとした動きが止まる。
「何の用だい?クロダイの小さな使者さん」
 皮肉げにマダムが言った。
「はっ」
 リテアナは無手だった。
 その場で平伏して、自分には目もくれずにマダムに向かって口上を述べる。
「名代リテアナ、ビッグマムの命により、馳せ参じ候」
 リテアナが躊躇うように顔を上げて、こちらを見る。
 言いよどんだ言葉は、口をきっと結んだ後、口にされた。
「紅珊瑚の魔女様……先程は無礼の程を」
 紅珊瑚の魔女。
 オトナになれない仔を攫う、魔女。
 やはり、そうだった。
611scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 22:59:29 ID:KUu3egL4
「用向きは」
 先程までとは一転した、誰も寄せ付けない表情。
「落ちものが、落ちものが墜ちました」
 リテアナの必死な声に、婆の昔語りがふっと脳裏に蘇った。
「その、黒い油かえ?」
 魔女は、その昔狩られた。落ちもの封じの為に必要な道具として。
 魔力を持つ者が少ない一族と、魔力持つが故に孤独を選んだはぐれ者達の争いは苛烈を極めたと聞く。棲み分けが成立したのはほんの数十年前の話だ。
「はい。腹にこの忌まわしい油を詰め込んだ……大きさは回遊してくる鯨の比ではございませぬ」
「どうしろと」
 氷のように冷たい声。
 ようやくながら、マダムの態度の意味を知る。
「刻印の黒真珠の契約の元。油を回収せしめよとの依頼にございます」
 マダムが立ち上がって、リテアナの体についた油を指ですくい取る。
 ドロッとした油は粘ついて体にこびりつき、リテアナは少し苦しそうだった。
「息を止めよ。洗い流す」
 マダムが言い放って、頭部から背中にかけての深紅のトゲヒレを全開に広げた。
 リテアナがぎゅっと目を閉じてエラも閉じた瞬間、マダムの頭上高く掲げられた両手から、高圧の大量の泡を含んだ水が噴き出した。あまりの水の勢いに、リテアナの姿が霞む。泡が、油を体から引きはがし、包んでいく。
 鱗鎧に身を包んだ長身のリテアナは、すでに自分と体形が大きく違っていた。胸と腰はより張り出し、幼さが消えようとしている。
「恐れ多い……」
 黒銀の髪とトゲヒレ耳が輝きを取り戻して、身震いするとその表情はすぐに引き締まった。
「案内役は身軽な方がいいからねえ」
 マダムの声からはいつもの親しみが消えて、冷たく斬るようだった。
「オレも行く!」
 叫ぶように割って入った。
 術の行使の間に、下履きを慌てて身に付けただけの姿は普段着ではあるけれど、かなりの軽装で。
「だめです」
「だめだよ」
 二人が即答する。
「レセレフは魔法が使えませんわ。習いませんでしたの?墜ちものには武力が通用しないんです。魔法で身が守れないのなら、油に塗れて死ぬだけですわ」
「この名代の言う通りさ。今のおまえじゃあ、足手まといだ」
 二人に突き放され、上掛けの下で拳を握りしめる。
612scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:00:17 ID:KUu3egL4
 俯いて唇を噛みしめようとしたその時、マダムが戻ってきて耳元で告げる。
「それより……棲み処の留守を守っておくれ。もしかすると結界を張る余力も、向こうに回さないといけないからね」
 思わず目を見開く。
 この人の魔力は桁違いなはずだ。現に、今、水を操るのに一言も呪文を発していない。それに魔法に関してはすごいなあと思うリテアナがこんなに尊敬を持って接している。
 大好きな海を汚す油とは、そんなに大変なものなのか。
 床の隅にこびりついて残っている油をちらりと見ながら、渋々頷く。
「いってくるよ」
「いってきますわ」
 二人はそれぞれ自分にだけ笑みを浮かべて、張りつめた表情で去って行く。
「待って……!」
 連れていって!
 でも、……資格がない。
 習い事の時間に聞かされた昔語り。
『武は群れに、魔は個に』
 自分には、魔力がない。かつて戻り逃れた王国に属さない、旧き氏族と呼ばれる、この地に住む多くのサカナ人はそうだ。
 魔法の才能は全くない。リテアナのような存在の方が稀だ。
 落ちものからは身を守れない。海の者相手なら負ける気はしないのに。
「なんで……っ」
 最近は落ちものもずいぶん減ったと思っていたのに。
 忘れた頃に巨大な落ちものが、海を荒らしに墜ちてくる。
 魔女の寝室は、無数の落ちもので埋め尽くされている。
 それはいつの年代のものなのか、まったくわからないものから、新しいものまで。
 その中に埋もれるように自分の銛が立て掛けてあった。
 マダムの血が三叉の一箇所にこびりついたままの、鈍い金属の輝き。
「錆びちまうや……」
 指でこすっても落ちなくて。
 躊躇わずに先端を舌で舐める。怪我しないように慎重に。
 鉄の味?
 マダムの血の味?
 わからない。
 ただ、帰ってきたら、こうやって舐めて、あげたい。
613scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:00:59 ID:KUu3egL4
 労いたい。
 わけのわからない熱が体の奥底に灯る。
 銛を投げ出して、ベッドに転がり戻る。
 先程まで一緒にくるまっていたシーツに股間をこすりつけ、激しく上下する。
「はあっ……あっ……なんで、オレを……」
 オトナなんてわからない。
 でも今はオトナになりたい。
 下履きをもどかしげに脱ぎ捨てて、また、シーツに今度は直接なすりつける。
 足をぴんと張って、勃起してきたシャフトをシーツで包み、こすりあげる。
「オトナ…に、オトナに、なりたい……」
 そして。
「オレも連れていって……」
 目尻に涙が浮かぶ。
 真円まで膨らんだ涙の粒は、限界まで盛り上がって、シーツに残っていた、赤黄色の鱗の上に落ちた。
 光が拡がる。
「あっ……」
 射精の快感に襲われて、白濁がシーツを汚した。
 薄い半透明な液体が、すべすべした浅黒い肌に飛び散り、伝い流れた。
 そのまま脱力して胎児のように丸まったセレフは、眠りに引き込まれそうになって、うとうとと瞬きした。
 意識が、薄れそうになる。
 でも、頬には熱いモノが流れる。
 止まらない。
 何かを求めて。
 何かを渇望して。
 体はひくつく。
 視界がぼやけた。
 オトナに。
 なりたい。
 そう願う度に、体がきしむ。
 骨の奥が疼くような痛みに、両腕に爪を立て、寝台の上を転がる。
614scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:01:36 ID:KUu3egL4
 ヒレが、疼く。
 頭が痛い。
 涙が零れ落ちて。
 セレフは快感の余韻と痛みに気絶した。

615scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:02:36 ID:KUu3egL4



 轟音が静寂を破って、意識が瞬時に覚醒した。
 音はすぐに小さくなって。絶え間なく水の流れ落ちる気配がする。
 肌を刺す冷気と、微かに混じる臭気。
 瞼を微かに開ける。
 帰ってきた?
 寝台の下の岩盤に、横たわっていたセレフは身を起こす。
 辺りは暗かった。
 何故だか、体を動かす度に四肢の筋肉が鈍く痛む。
 特にヒレの生えている辺りは突っ張ったように痛んで。
 首を傾げながらも、転がって立ち上がると、一歩、一歩洞窟内を静かに歩を進める。
 白砂の間。
 結界の入り口。
 そこが、流入する海水で水浸しになっていた。
 本来は海底のこの場所で、白砂の間は、減圧室も兼ねていた。最も水との親和性が高く、大気もあるが、髪は水中のようにふわりと浮く。
 だが、白砂の間に続く洞窟のこちら側には海水は入ってこない。正確には、水の幕が白砂の間の周りに張り巡らされ、水の流れを遮断していた。
 魔女は力を使い果たしたわけではなく、範囲は縮まったものの、結界は働いている。
 水の幕の向こうに滲む影があった。
 黒っぽいような、赤いような。
 斑に見える、一人分の影。
「マダム?」
 水の幕に手を突っ込む。
 ヒレが切られるような痛みが手首に走った。
 水の勢いがすごい。
 この水圧では……。
 僅かに躊躇う。
 だが、次の瞬間、頭から突っ込んで水の幕をくぐり抜けていた。
616scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:03:42 ID:KUu3egL4
 大気から水中へ。
 体中のヒレがふわりと拡がるのを感じた。
 眼を開いて、相手を探す。
 目の前に力なく浮かぶ、黒い油に塗れた、一塊。
 所々から深紅のトゲヒレが飛び出し、白い膚が見える部分は無い。
 このままでは……。
 手を延ばし、身に纏っているはずの衣を引き剥がす。
 紅珊瑚の飾りがいくつも粘性を帯びた黒油ごと落下して白砂に埋まった。
「マダム、こっち!」
 滑る手を掴んで、無理やり結界の入り口へと引きずり込む。
 高圧の水が油を、マダムの体から引きはがしていく。
 自分の浅黒い肌にも何とも言えない不快な汚れが移っていた。
 裸体を晒したマダムはうつ伏せで倒れ込み、顔を上げようとはしなかった。
「大丈夫?」
 肩に手をかけようとした、その時。
 思い切り振り払われ、しりもちをつく。
 違和感に気づいて、セレフは目を見開いた。
 白い膚に、普段は透けている赤黄色の鱗の数が著しく増えていた。
 背中から首、頭部にかけてその鱗は走っている。
「マダ……」
「見るな!」
 余裕のない叫び声がセレフの動きを止める。
「見るんじゃないよ……」
 ゆっくりと膝を起こしてトゲヒレをすべて広げる。
 威嚇するような姿に、近寄れない。
「……トゲの毒にッ……やられたくなければ去るんだねえ……」
 どこへ。
 そんなに苦しそうなのに。
 前かがみに手をついて、近づこうとするも、伸びた手首のトゲヒレが、ヒュンッと額すれすれを擦過する。
 はらりと髪が一筋、床に落ちた。
 ぴりぴりと髪の生え際が痛む。紙一重で避けなければ切り裂かれていた。
617scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:04:31 ID:KUu3egL4
「……あの名代は無事さ。安心おし」
 言われてはっとする。
 そんなことすっかり頭から消し去っていた。
 ただ、目の前のマダムが心配で。
 トゲヒレの先から無色透明な雫が、ぽたり、ぽたりと床に落ちる。
 岩盤はシュゥと、溶解して煙を上げた。
「なっ」
 ありえないほどの毒素。
 それを、排出しようとしている。
「なんで、…そんな」
 息を荒げながら、マダムが吐き出した。
「ああ。これは、ねえ……ちょいと魔力を急激に練り上げた代償だよ。毒素が毒管から漏れ出してるのさ。毒魚たるもの、自分の毒くらいじゃ死にはしないさ……」
 トゲの先に毒がある。
 そう閨で教えられた。
 でも、ちょっと痺れるだけ、くらいだったはず。
 それが、猛毒に変わっている。
「気化しても…多分平気だろ。何十年ぶりだろうねえ。魔人に戻る位エネルギーを消費したのは」
 魔人?
「マダムは……魔女じゃ」
「魔女に一物がついてるものだと、おまえは信じていたのかい?」
 くっくっくと嗤い声が響く。
 顔を上げて、ゆっくりとこちらを向いた。
 視線が、絡み合う。
 その顔は無数の赤紫の筋がこめかみや顎の辺りから顔の中心に向けて走っており。赤黄色の鱗が白い膚を埋め尽くすように頬の半ばまで浮かび上がっていた。
 蒼い眼は、白目が薄い紫に変わり。
 妖しく、鬼気迫る美しさを留めていた。
「ひっ」
 喉から息が漏れて、悲鳴にはならなかった。
 それよりも、どこかキレイだと思う。
 思考が、麻痺してるのを感じた。
「おや……」
 低い声が喜色を帯びた。
618scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:05:25 ID:KUu3egL4
「変わったのかい。食べ頃だねえ……」
 何を言われているのか理解できず、視線を落とす。
 床に落ちた髪が、黒銀に光っていた。
 耳に手をやる。
 トゲヒレの感触がなぞる指に伝わった。
 手首のヒレも変化している。
 股間を見た。
 あるべきはずのものがなかった。
 筋肉痛がいつのまにか引いている。
「な……」
 変体していた。
 あれほど憧れていたオトナの体。
 でも、初めてそれを自覚したのに、何も感慨を覚えなかった。
 それよりも、目の前の相手のことばかり気にして、気が逸る。
「食べ頃って……どういう意味ですか、マダム。私を喰えば、その姿は治るんですか?」
 隠喩等わからず、すっかり前に言われたことも忘れて、早口で尋ねる。
 それで治るならいっそこの身を捧げてしまおう。
 迷いはなかった。
 生きながら食われたことはない。
 でも、これまで銛で仕留めた鮮魚を生きたまま食いちぎってきた。それとあまり変わらないだろう。体が生の断末魔をあげてびくびくと跳ねても、関係ない。
 マダムが治るなら。
 マダムが元の姿に戻れるなら。
 思い詰めた表情で一心に見つめてくるその眼差しに、マダムが破顔した。
「何を勘違いしてるんだい?伽だよ、伽」
「伽?」
 あっけにとられて、それからさあっと頬を赤らめる。
 メスの姿で裸身を露にしているのは、なんだか気恥ずかしかった。
 メスといっても、ずいぶんリテアナの姿とは違っていた。
 変わらず胸はぺったんこだし、腰も特にくびれていない。
 変わったのは髪とヒレと、股間だけ。
 思わず腰をむにっと両手で掴んで、不思議そうに股間を眺め降ろして、体のあちこちを眺めてみる。
 そんなことをしていたものだから、マダムが身を起こして近寄ったのもわからなかった。
619scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:06:11 ID:KUu3egL4
 ひょいと抱え上げられ、膝の裏に腕を回される。
 横抱きにされて、慌てて胸を隠して相手を見上げる。
「ま、マダム?」
「……そう呼ばないでおくれ。気が削げる」
 トゲヒレが当たらないようにマダムは最大限努力していた。
 頭部の深紅のトゲヒレは閉じられ、後頭部から背中の方へと流れている。
 寝台までたどりつくと、身をどさりと放り出された。
 水のたっぷり入ったマットレスに仰向けにバウンドして、戸惑ったように無邪気に見つめ返す。
 とたん、足を大きくM字型に広げられ、慌ててじたばたと動いた。
 容赦なく押さえつける腕に、足を閉じることができない。
 そのままマダムはセレフの股間に顔を埋めた。
 未知の感覚に、セレフは身をよじる。
 濡れた割れ目を開くように、舌がねじ込まれていく。
 閉じた蕾は容赦なく剥かれ、こじ開けられる。
「ッ……」
 目尻に涙が浮かんだ。
 出そうになる声を人さし指を噛んで堪える。
 ねっとりとした舌に、敏感な芽を幾度も嬲られ、セレフの体はのけぞった。
 何かが奥からあふれてくる。
 水?
 体がどうなっているのか分からない。
 その時、深く芯に口付けられた唇が、中から溢れてくるさらさらの水を音を立ててすすり上げた。
「あぅっ、や……やめ……すすっちゃやだ…!」
 悲鳴のような懇願に一層いやらしい水音が大きくなる。
 それと同時に、熱いねっとりとしたものが狭い入り口を拡げるように入り込んできた。
 疼痛が、下腹部を襲う。
「ぃつっ……」
 反射的に足を閉じようとすると、まるで股間にマダムの頭を抱え込むような状態になった。
 トゲヒレに太股が触れて、シュウッと膚の焦げる音がした。
「バカ…ッ」
 慌ててマダムが足を拡げなおした。
 傷口にたっぷり垂らした唾液で、毒を緩和させたらしい。
620scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:06:45 ID:KUu3egL4
 ちくりともう一度刺された感触の後は、特に痛みも感じなくなる。
「はあぅ、や……っ」
 灼ける膚を這う感触が、なぜか快感となって下腹部がびくびくと波打った。
「自分で足を抱え込んでごらん」
 言われるままに両膝の裏に腕を回して、しっかり抱え込む。傷口に念のため触れないよう、膝は閉じなかった。
 ぐるんと体が回って、腰が浮く。
「よく見えるねえ……」
 尻に手をあてがわれ、割れ目を指で押し拡げられる。
 恥ずかしさにぎゅっと目をつぶり、さらに膝をきつく抱え込んだ。
 こうすれば相手の顔は見えない。
 足の指がほぼ頭を通り越して寝台につくぐらい丸まり、腰が少し高く持ち上げられる。
 濡れそぼるあたりを敏感な部分をわざと避けるように、熱い塊がぐりぐりと押しつけながら撫で回し。何かを探し当てるようにだんだん範囲を狭めていく。
「いくよ……」
 位置が定まり、あてがわれた瞬間。
 先端が少し入っただけで激痛がこじ開けられた蕾を襲った。
「あっ、熱い、痛ぃ……痛いってばぁ!」
 手をほどき、のけぞり上に逃げようとする浅黒い華奢な肢体を白い腕が押さえつけ、腰を逆に下へと引き戻す。
 ぐちゅ、と言う淫音が響いた。
「無理、はい、らないっ、よぉ…ッ!」
 舌を突き出し、少しでも苦痛を和らげようと、浅い呼吸を繰り返す。
「きついねえ……少し我慢おし……。すぐにどろどろに溶かしてあげるよ……」
 さらに荷重がかかり、ぐぐっと抵抗する圧を押しのけて、侵入する。
 入ってくる異物感から生じる痛みに涙が零れる。
「ひうっ、はぁ……うごか、ないでぇ……」
 聞き入れられずに、容赦なくシャフトが先端まで引き抜かれ、突き上げられる。
 息だけが荒く小刻みに紡がれ、ところかまわず、自分の掌を噛んだ。
「おやめ」
 手を取られて、抱き起こされる。
 トゲヒレの生えていない首筋に腕を回すよう促され、しっかと腕を巻き付けると、膝をついた相手の膝の上で座る形になった。
621scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:08:10 ID:KUu3egL4
 自分の重みで、深く、中の壁を擦って、のめりこんで、いく。
 深く貫かれたショックで、思わず涙を浮かべて、細い悲鳴をあげる。
「肩を噛んでもかまいやしないよ」
 尻に手を回して、自在に揺すり上げ、落とす動作を繰り返すマダムの興奮した声。
「くっ、はっ、あぅっ、あっ、あっーーー!」
 動かないで、と嘆願したくても、言葉が声にならない。
 浅い突きが繰り返され、何故だか自分の中から温い水が染み出してくるのが分かった。時折深くなるストロークに、痛みの隙間から、思考が濁る快楽が一瞬だけ顔を出す。
 爪をたて、しがみつくように白い肩に噛みついた。
 鱗の数が先程よりひいているような気がする。
 でも、痛みに目の前がちかちかする。
「イイねえ……、痛いほど締まってくるよ。ほら、もっとお鳴き」
 マダムの豊かな胸に、自分の乳首が体が上下する度にすりつけられる。
「んっ、んんっ、んんー!」
 噛みついたまま、うなり声をあげる。
 あっ、と思った時にはうっすらと噛み痕から血が滲んでいた。
 それを舌で舐め上げて、恍惚とする。
 痛みと快楽が融合しつつあった。
「おや……悪いコだねえ……」
 顎をとられて、口付けられる。
 入り込んでくる舌を、フェラするように口で扱く。
 上も下も犯されていることに興奮すら感じるようになっていた。
 薄目を開けると、マダムの白目は、薄い紫から白に戻っている。
 マダムを戻せた?
 その喜びに笑んだ時、口から零れた。
「マダム……きもち、いいですか?」
「マダムじゃないよ」
 一瞬唇を歪めたマダムが、大きくセレフの腰を持ち上げ、一気に腰を凶悪なシャフトの上へと落とす。
「ひゃぅ……うぐっ、かはっ、はっ……はぁっ……はあっ」
 痛みとは裏腹に、水の溢れた中はひくつきながらもたやすく飲み込んでいく。
「おなかのなか、いっぱいになっちゃう、よお……」
 腹壁ぎりぎりまで、到達する。腹を撫でると、ヘソの下あたりにシャフトの固い感触があった。
622scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:08:57 ID:KUu3egL4
「ファルムさ。そうお呼び」
「ふぁる、む?」
 泣き崩れた瞳を向けると満足そうに笑んだ。
「そうさ」
「ふぁるむっ、おっきい……」
「そりゃそうさ。おまえが来てからこのかた、禁欲していたからねえ」
「ふぁるむっ、きっついのお……」
「そりゃそうさ。おまえは初めてなのにこんなに大きなのを思いっきりくわえ込んでいるからねえ。ほら、先程までは入らなかったのに、今は根元まで」
 指が伸びて、拡張された入り口と、突き刺さっているシャフトの境目を撫で上げられ、恥ずかしさにまた涙が滲む。
「入ってるのがわかるだろう?」
 そのまま手が芽に伸びて、ファルムは笑んだ。
「ほら、ここ」
「ひゃあっ、らめ、そこさわっちゃらめ!」
「ここを腹にすりつけるように自分で腰を動かしてごらん?きもちいいはずさ」
 手が引き抜かれ、腰に支えるように手が置かれる。
 セレフは言われるままに、前後に体を揺すってみた。
 肉芽をファルムの腹にこすりつけ、中のシャフトが動く。
 その位置をただそうとして、自然に腰が八の字に動いた。
 なんだか少しだけ気持ち良くなってきた。
「自分から腰を動かすなんて、淫乱だねえ」
「そんなっ、ふぁるむがゆったから……」
 反論する間も無く、ファルムが腰を動かし始め、セレフは喘ぎ声をあげるだけになった。
 ファルムが動く度に繋がっている部分からみだらな水音が響く。
「そんなにきつくしめられると、こちらも限界だよ……中に出してしまおうかねえ…っ」
 余裕のない声が、息をさすがに荒げてきたファルムの唇から漏れる。
「だめ、中に出しちゃだめっ」
 慌てて抵抗するように体を逃れようとする。だが、その度に腰はしっかりつかまれ、容赦なく中をえぐられる。
「さあ、どうしようかね」
 中で出されたら、孕んでしまう。
「おねがい、外で、外で、だしてえ、ふぁるむぅっ」
 そういいながら快感が下腹部を駈け上がり、のけぞった瞬間。
 ファルムが覆いかぶさるように押し倒して、最後に深々と突き入れ、一気に引き抜いた。
623scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:09:14 ID:KUu3egL4
 大量の白濁が仰向けのセレフの腹、胸、喉、唇までほとばしる。
「はあっ、はあっ」
 胸で呼吸して、膝を立て、がくがくと腰をびくつかせたままのセレフは、無意識に、胸や腹にかかった精液を体になすりつけ、唇にかかった精液を舐めとった。
「ふぁるむの、あじ、おいしい……」
 それにくすりとわらったファルムが、セレフの上にまたがって、胸元まで来ると、シャフトをセレフの目の前に差し出す。
 少し萎えたそれを、セレフは上半身を少し起こして頬張った。
「んっ、んっ」
 セレフの頭上に手をつき、シャフトを与えるファルム。くわえて一心に吸いこもうとする口腔の中で、もう一度膨れ上がる。
「たっぷり召し上がれ」
 どく、どく、と数度、セレフの口の中でシャフトが射精を繰り返す。
 それをすべて飲み込み、最後の一滴まで絞り尽くしたセレフは、満足したように、ことんと眠りに落ちた。


624scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:10:20 ID:KUu3egL4


 あれから半年。
 死滅珊瑚の塚の麓。
 荒涼とした海底に黒の鱗鎧を纏い、槍を持ち、旅装のととのった一人の娘がいた。
 その隣には少し背の高い、淡いピンクのノースリーブドレスを纏った薄化粧の娘。
 二人とも浅黒い肌。黒銀の髪は直毛と巻き髪と分かれたが、その艶には変わりがない。
 黒い瞳の大きさは子供のそれから、ずいぶんとオトナの表情に変わり、黒銀のトゲヒレ耳を誇らしげにぴんと立てている。
「もうすぐ魔窟もできますわ」
「…そうか、ずいぶん経ったね、あれから」
「ええ、セレフィア」
 少女趣味な淡いピンクのドレスを纏うリテアナの微笑みを見つめながら、視線はふとその胸に吸い寄せられる。本来のデザインを歪めるほどたわわになりつつある胸は、強調されて色っぽい。
「ん?リテアナ、また胸大きくなったの?」
「成長期ですの」
 自慢げにリテアナが胸を張った。
「……戻ってきたらものすごく大きくなってたりして」
 小声の呟きを、幼なじみは聞き逃さない。
「気にしてるなら特製マッサージローションでも差し上げましょうか?」
 海藻を主原料とするローション作りはリテアナの趣味であり、薬も僅かながら調合する。怪我した時などは世話になったものだ。
「いい。邪魔だから」
 虚勢を張ってそう答える。オトナになってから半年、セレフィアの胸は未だほとんどぺったんこである。
「邪魔だなんて……そんな」
 ちょっとショックを受けたように、ドレスに包まれた胸を自分で寄せて上げて揉むリテアナ。
 それを見て、セレフィアは慌てた。
「年頃なんだから」
 実のところ、先程から陰でちらちらとリテアナの主張する胸を見ては、軽く溜め息をついていたのだ。内緒だけど。
「はい、路銀ですわ。ネコの通貨にしておきました」
「ありがとう、リテアナ。でも…こんなに貰っていいのかな?」
 膨らんだ財布を見て、少しセレフィアは戸惑う。
「ビッグマムは諸国漫遊の重要性を高く評価しているみたいですわ。諸国の武でも極めてきてくださいな、叔母様」
「その呼び方はやめろって」
 嫌がって手を振るセレフィアにふふっとリテアナが微笑む。
625scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:10:59 ID:KUu3egL4
 年は数ヶ月上でもオトナになるのは数日先を越された身としては、実に複雑な気分だった。
「しかし、あの落ちもの油がそんな高い値で取引されるとは思わなかったな」
 重い財布を弄びながら言う。中は防水加工されていて、濡れることはない。
「持つべきものはコネですわ」
 伽を長引かせた成果をリテアナはフルに発揮しているらしい。
「…オ、私は特にコネはないなあ…。これからお世話になるのもリテアナの知り合いだろう?」
「いいえ。マダムファルムとのコネは、重要ですわ」
「ファルムの?」
「一族にとって有益かつ重要な人物と信頼を築く能力は、何者にも換え難いですもの」
 それも、素で。
 言外に含まれた言葉をセレフィアは解さない。
 でもなんとなく褒められていることだけは感じ取れた。
「人の噂かい?」
 海底に影が落ちて、二人は振り返る。
「ファルム!」
「いらっしゃいませ、マダムファルム」
 気配はしなかった。こうやって明るい場所で逢うのは初めてのことだ。
 無事伽の儀式を終えてから、ずっと逢ってなかった。
 懐かしさがこみあげる。
「……行くのかい?」
 飄々とした表情で黒隣のドレスを身に纏ったファルムは言う。
「ああ。ファルムは?」
「この魔窟とやらに部屋をもらってねえ。仕方なく見に来たのさ」
 赤黄色のトゲヒレ耳には連なる黒真珠の耳飾りが光っていて。
 セレフィアはそれを誇らしく思う。
 自分の胸にも一粒、黒真珠が光っている。成人の証だ。
「気軽にくればいいのに」
「人の多いところは嫌いさ」
 まだ魔窟は始動していない。見かける海の者も、大方は内部を整えるために姿を消しており、近くに、三人以外の人気はない。
 それでも、ファルムはやや周囲を警戒している。
626scorpionfish外伝「紅珊瑚の魔女」sage2005/07/06(水) 23:11:48 ID:KUu3egL4
「……だって、そうすれば帰ってきても真っ先に逢えるだろ?」
 軽口をたたくと、ファルムが笑んだ。
「……オトナになったくせに、可愛いことを言うね」
「ファルム仕込みだから」
 仕込まれたのは恋慕の情か。セレフィアにはこの想いを名付ける言葉が思い当たらない。
 でも、なんだか気分はさばさばしていた。会えなくても、どこか繋がっているような。そんな信頼感を覚える。
「まあ、マダムったら。叔母様は誰にも独占させませんわよ?」
 リテアナの軽い嫉妬の混じる牽制に、魔女はあきれたように首をすくめる。
「……好きにするといいさ」
 セレフィアは二人のやり取りにくすくすと笑いをこらえた。
「そうそう……坊やの名はなんと変わったんだい?」
 さりげない一言。
 槍を構え直して誇らしげに告げる。
「セレフィア」
 幼名は一度も尋ねられなかった。でも、名は教えてくれた。
 それを認めてくれた証、と受け取っていた。
 あれから何度訪ねていっても結界の入り口は見つけられずに。
 会いに来てくれるのだけを待ち望んで。
 旅に出ることを決めたのだった。
「そうかい…気をつけて行っておいで、セレフィア」
 魔女は腕組みして微笑む。
 まだ、魔女の方が胸が大きいが、いずれリテアナも追いつく時が来るのかもしれない。
 でも、そんなことよりも、なによりも、セレフィアは名を呼ばれたことが嬉しかった。
「いってきます、ファルム」
 水をヒレで蹴って振り返る。
「いってくるね、リテアナ」
 旅立ちは眩しい。
627scorpionfishsage2005/07/06(水) 23:20:55 ID:KUu3egL4
紅珊瑚の魔女 目次
1 >>584-586
2 >>587-593
3 >>594-595
4 >>596-598 >>600-603
5 >>609-614
6 >>615-623
7 >>624-626

 奇数がお話、偶数にエロ。だんだんエロ度が増すはずです…。
 途中ショタからつるぺたに性転換いたしますので御注意あれ。

 見聞録の人の魔素中毒設定をつかわせていただきました。
 御礼申し上げます。

 また、作中内で出てくる黒い油は重油で、落っこちてきたのはタンカーです。
 現在より二十年前〜十数年前のあたりだとお考え下さい。

 ではでは。
628名無しさん@ピンキーsage2005/07/06(水) 23:23:41 ID:KUu3egL4
つうか、投下したら485.5KB……。
次スレも考えないと駄目ですね。
>>561さんが投下できない可能性が…。
629名無しさん@ピンキーsage2005/07/06(水) 23:32:41 ID:kRWjQjWW
立てられたら、立てましょうか?
630名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 00:11:29 ID:cwLfZV7G
>>scorpionfish氏
べりーぐっど!じょぶ!
細かいところでも場面が頭に浮かぶようにさせてくれるの流石です。
こういうの読ませてもらって、やっぱりこのスレ最高の思いを強くしたね。
しっかりとmuramuraきたよ、これ。


>>スレ立て
即死条件みたいのある?
なんなら人の多い時間帯とかのほうがよくない?
631名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 02:02:16 ID:X07Eyq/D
>>566の再UPキボンヌ、見逃した


>>630
即死基準は緩いからいつでもOKよん
632名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 03:39:52 ID:YHW5kdwr
Wikiの方借りまして、テンプレ原案上げてみました。
「新スレ用テンプレート」というページになります。
補足訂正などよろしくお願いします。


項目への直リンク
ttp://nekopri.on.pc1.jp/cgi-bin/wiki/wiki.cgi?p=%BF%B7%A5%B9%A5%EC%CD%D1%A5%C6%A5%F3%A5%D7%A5%EC%A1%BC%A5%C8
633名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 03:42:18 ID:nntILPGQ
立てました

猫耳少女と召使いの物語6
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1120675128/
634名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 12:26:01 ID:saflU3Du
>>632
残念ながら間に合わなかったみたいね。

まぁ、とにかく新スレ乙。
635名無しさん@ピンキーsage2005/07/07(木) 20:11:15 ID:iC2mEF22
>>scorpionfish氏
GJ!!

>>633
乙カレー
636名無しさん@ピンキーsage2005/07/08(金) 00:46:10 ID:gGTuY5nZ
梅梅、でいいんだよな?
637名無しさん@ピンキーsage2005/07/08(金) 12:31:53 ID:nS/Wr/u6
恒例の投下祈願いっとく?
638名無しさん@ピンキーsage2005/07/11(月) 23:53:10 ID:BmOLvidk
次スレでも新ゼキさんの話を読めますように、と。
んで、そういえばトリの話書いているって人、どうしちゃったんだろう。
639名無しさん@ピンキーsage2005/07/12(火) 22:20:47 ID:Goe1Q0iB
セラ様が近く罷り来られると堅く信じる。

どーなったんだろうねえ?鳥の人。
640名無しさん@ピンキーsage2005/07/14(木) 01:12:56 ID:o2udXfK3
          ∧_∧    次スレでミリアたんの話が読めますように。
          ( ´∀`)
         _(___つ ミ_____
      |\\\\\\\\D\\\
      |  \\\\\\\\\\\\
      |   | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
           |   猫  耳  神  社    |
641 ◆wL.KZeGJt6 sage2005/07/16(土) 02:08:25 ID:feS9rrXD
>>638-639
その鳥の話を書いてる一人なんですが、
自分へのプレッシャーもかねて、近日中に前振りだけでも投下したいと宣言してみます。
そんな願いも込めてトリップを。
そして、予告の予告。



――"魔法、配達します"
詠唱代行なんていう仕事を始めたトリの少女とヒトの少年。
駆け出しの二人のもとに舞い込む依頼は、いつも一筋縄ではいかなくて。
それでもひたむきに頑張って、たまには笑って、時には落ち込んで。
そして、町の人たちに暖かく見守られながら、二人の関係は次第に変化してゆく。


ごめんなさい。嘘です。用語をいじっていて思い付いただけです。
……誰か書きません?というよりむしろ、誰か書いてください。
642名無しさん@ピンキーsage2005/07/16(土) 23:40:50 ID:joJnLzPn
さぁー! 久しぶりに執筆意欲が沸いてきたでー! あしたら氏の前後にゃ投下したるー!
643名無しさん@ピンキーsage2005/07/17(日) 04:34:44 ID:nFYRHExY
狗国見聞録ってもう読めないの?
644名無しさん@ピンキーsage2005/07/17(日) 05:20:53 ID:M2uElsoa
>>643
>>2から保管庫に行けば読めますよ。
645名無しさん@ピンキーsage2005/07/17(日) 19:16:21 ID:nFYRHExY
>>644
助かりました。
保管庫って、アップローダー経由で投稿されたものも収録されていたんですね。
646名無しさん@ピンキーsage2005/07/18(月) 18:53:20 ID:HgpCG5pv
地平線まで続く広大な田園風景の真ん中、ちょっと太りぎみのネコの農夫さんと

 「この道をずっと下っていけば猫の国の首都だ。シュバルツカッツェが見えるからすぐに分かるよ」
 「わかった」
 「この道を通るときには、また声を掛けてくれ。コーヒーくらいならいつでも御馳走する」
 「ありがとう。世話になった。じゃ、お元気で」
 「ああ、お前さんも頑張れよ」

……ってな会話を一生に一度くらいはしてみたいなーって、今日の椎名さんの番組を見て思った
647現スレのネタとちょっと混ぜてみたsage2005/07/18(月) 20:14:46 ID:16dzFZjt
「・・・・・・奥田民生聴きたいですね」
「何の話だにゃあ?」
 抜けるような青空の下、馬車がゆっくりと農道を進む。
 地平線まで見える牧草地でちらほらと乳牛が草を喰んでいた。
 思わず漏れた独り言に、擬装用の麦わらの上に乗った御主人様が聞き返した。
 御者に退屈していた僕も思わず返してしまう。
「ハイロウズでも可」
「だから、何の話にゃ」
 身を乗り出して御主人様が顔を出す。
「わわわ!御主人様荷物崩さないでくださいよ!」
「そんにゃ間抜けはしないにゃあ」
「そんな事言って山脈越えの時だって・・・・・・」
「そ、そりは・・・・・・って前!前!」
「え?うわあ!!」
 馬車の前にはいつの間にか道に落書している子供達。
 思わず手綱を思いっきり引いてブレーキをかける。
「にゃんとーっ!?」
 その急ブレーキに耐えきれず、御主人様と麦わらと、隠していたマタタビの木箱が崩れてきて・・・・・・。
648勝手に続けてみるテスト。ごめんなさいsage2005/07/18(月) 23:48:09 ID:HgpCG5pv

聞こえたのは、木箱が崩れる音、ビンが割れる音、それから御主人様の呻き声。

……やばい。完全にスイッチが入ってる。
「ご、御主人様……。目が、と〜っても、コワイですよ?」
「にゃふふ……そんな筈はないにゃ〜♥」
慌てて駆け寄った僕を組み倒し、がっしり掴んだまま放さない御主人様。
思いのほか力が強く、地面に縛られたまま振りほどく事が出来ない。

そ、そうだ、さっきの子供達!!
急いで目を向けると、さっきの子達はこっちを心配そうに見ている。
全員、イヌの子供だった。助かった。
「ちょ、ちょっと向こうに行っててもらえる……かな?」
汗ダラダラの顔で訴えると、子供達はハッと驚いた顔をして、すぐにどこかへ走っていく。
よかったよかった。本当によかった。
「よかったにゃ。これで、こころおきなくエッチできるにゃ〜♥」
にぱ。と微笑む御主人様の顔を至近で見せ付けられ、ただ僕は苦笑するしかなかった。
649名無しさん@ピンキーsage2005/07/18(月) 23:48:59 ID:HgpCG5pv
「あ〜んッ、すっごいにゃ〜奥まで当たるにゃ〜♥」
初夏の太陽の下、御主人様は恥ずかしげも無く大声を上げる。
周りに人が居なかったのがせめてもの幸い。
居たら、恥ずかしいだけじゃなくて……ぜったい逮捕モノになる。
「ふぁん……にゃ、おみゃーも喘ぐにゃ〜♥」
「む、無理です絶対!! そんな恥ずかしい事、人前で……」
「にゃ……。そのヒトマエで、こんな恥ずかしいモノで、
にゃーをぐちゃぐちゃにシテいるのに、恥ずかしいからイヤダにゃんて〜♥」
騎乗位の体勢で組み敷かれた僕と上に乗った御主人様の結合部、
パンツずらしただけの御主人様に、僕のが飛沫をあげながら出入りして……
「ん、くッ……」
「にゃふふ。やーっと声をあげたにゃ〜♥」
日向は熱いけれど、それ以上に熱い御主人様に締め付けられて、
「にゃ〜の、お○ンコ、そんなに気持ちイイにゃ〜?♥」
「や、だめ、そんなきゅって締め付けたら……ッ!!」
「いいにゃ〜♥ 出すにゃ〜♥ 全部受け止めてあげるにゃ〜♥」
そのまま、ぎゅーって全身で抱きしめられた。
「にゃうん……。だいすきにゃ〜♥」
うん。まあ、こういうのもたまには良いかなーって……
650名無しさん@ピンキーsage2005/07/18(月) 23:50:17 ID:HgpCG5pv


「で、これで何回目ですか?」
馬車にゆられながら、ふと聞いてみた。
アレからすぐに片付けてみると、割れたのは1ビンだけで、そんなにひどい被害では無かったようだ。
「にゃ……ええと……」
指を折々、数え始める御主人様。そうだ、今回の道中でもそれだけシてるんだ……。
「え〜っと、やっぱりハイロウズが聴きたいですね」
「だから、何の話にゃ!!」
「なんだって良いですよ。さ、今度こそ商品に傷を付けないようにしないと」
「う〜。わかったにゃ……」
渋々と麦わらの上によじ登っていく御主人様。
さて、今度は何時間もつのかなぁ。と嫌な汗を書きながら、
抜けるような青空の下、僕は手綱を持ち直した。


【マジで御目汚しすいませんでした。
誤字とか脱字とか、短いとか面白くないとかのツッコミは勘弁してください orz】
651名無しさん@ピンキーsage2005/07/19(火) 00:30:11 ID:EZHtQJ/W
GJ!!!!
652名無しさん@ピンキーsage2005/07/19(火) 07:37:04 ID:6yCugVQj
ぐっじょぶ!
653名無しさん@ピンキーsage2005/07/20(水) 12:43:27 ID:p1q5jFJg
GJ!!!
654名無しさん@ピンキーsage2005/07/23(土) 01:30:59 ID:24ylcsor
続きマダー?
655名無しさん@ピンキーsage2005/07/26(火) 19:33:24 ID:jiW/if1d
マダー?
656名無しさん@ピンキーsage2005/07/27(水) 02:02:03 ID:YJD0ItWb
>>641-642
オマイらもさっさと書け。
657名無しさん@ピンキーsage2005/07/27(水) 20:34:49 ID:5MgFnOvl
>>656
急かすな急かすな
じっくり熟成された作品を、またーり待ちましょうではありませんか
658名無しさん@ピンキーsage2005/07/28(木) 19:42:14 ID:lUtqGzML
てかこれ>>647-650はリレーなのか?
659名無しさん@ピンキーsage2005/07/29(金) 06:18:13 ID:25mTwZG3
エロシーンのプロット組んでんだけど……
かなりの違和感が消えない。
エロに入るのが不自然だな。って時、みなさんどうしてます?
660名無しさん@ピンキーsage2005/07/29(金) 09:14:04 ID:WSl/IVuH
寝かす。
661名無しさん@ピンキーsage2005/07/29(金) 11:14:18 ID:aTZe/xKY
いっそのこと書かない
662名無しさん@ピンキーsage2005/07/29(金) 12:37:41 ID:bxV7hnsp
1・新キャラを出す
2・性格を変える
3・そもそもからむキャラを変える
4・書かない

663『あしたら』sage ごめんね今月まにあわないよ…2005/07/29(金) 23:36:11 ID:xGQhLb96
 少し寝かせてみたらどうでしょう。

 海を見に行くといいアイデアが出る。
 ・・・と、炎尾燃先生が言ってました。

 富士鷹ジュビロ先生はいつも泣きながらアイデアを考えているそうです。
 
 海に逝ってきます・・・ 
664名無しさん@ピンキーsage 首を長くして待っています。2005/07/30(土) 13:07:25 ID:5+H0lK5w
まあ、行き詰まった時には普段見ないものを見てみるのも良いものです。
そういや某国のイージス今日だっけか。
665659sage2005/08/02(火) 14:52:44 ID:sA05qKAl
遅くなったがありがとう。
なんとか書けそです。
666なんとなくリレーってみるsage2005/08/02(火) 20:31:40 ID:uKbBEIG/
「で、これはどういう事ですか?」
 ここはマタタビ密売組織『へるきゃっ党』のアジトの一つ。
 移民街の雑居ビル2階のテナントで、(ちなみに一階はイヌパブ。三階は探偵事務所)
 御主人様と僕は作戦参謀さんから怒られていた。
「ど・う・し・て、ここに着いた時に出荷した時の3分の一が消えてなくなっているんですかって聞いてるんですよ」
「そ・・・そりは・・・・・・」
「ええと・・・・・・その・・・・・・」
 一応この組織のボスは御主人様なんだけど、お金のことに関しては参謀さんに敵わない。
 もっとも、積み荷がなくなった事の責任の半分は僕にもあるわけで・・・・・・。
「こ、こいつのせいにゃ!」
「ちょっとお?!御主人様!」
 何のためらいもなく僕を売らないで下さいよぉ!
「あらあら、召使いの責任は主人の責任でしょう?管理不行き届きの責任を・・・・・・」
「だから、こいつの身体に十分お仕置きするといいにゃ」
 その言葉をきいて参謀さんがぴたっと動きを止める。

  ま さ か 。

「うふふふふふふふふふ悪い子ねぇ、坊やぁ。こんな悪い子にはお姉さんがお仕置きしないとぉ・・・・・・」
 急いで回れ右をした僕の襟首が『がしっ!』と掴まれる。
「きゃ〜〜!助けて御主人様〜〜!」
 ずるずる

                                                       誰か後は任せた。
667心得た。っていうか容量平気か?sage2005/08/02(火) 21:24:38 ID:MR4ekYH3
「………!!? ま、待つにゃ!!」
ずるずると引き摺られ、なんか奥の薄暗い部屋に連れ込まれそうになる寸前、そう声が掛かった。
「ご、御主人様……」
何時になく厳しい顔を見せる御主人様に、少しだけ驚く。
「あらあら、どうしたのぉ?ボス?」
「え〜っと、え〜っと……そ、そりは、にゃ〜の召使いにゃ!」
軽い口調、しかし鋭い参謀さんの金色の目に当てられ、少し怯むがハッキリと言い切る御主人様。
普段見せないその姿に、思わず僕の涙腺が緩んで……。

「だ、だから……に、にゃ〜も“お仕置き”に参加する権利があるハズにゃ……」
僕の瞳から、思わず涙がこぼれた。

【ごめん。なんか調子悪くてネタだけ出して次の人にバトンタッチすまぬ orz】
668バトン受けてみた。こんなんいかが?sage2005/08/03(水) 23:07:28 ID:rl2z2fjo
確かにね、ご主人様。
貴女のワガママには、散々振り回されてきましたよ。
僕は貴方の下僕ですから、理不尽だろうと飲みますよ。
だって、この世界で僕が生きていける術はありませんから。

でも、それでも、です。
僕は貴女を敬愛してます。
僕は貴方の下僕として、誇りすら感じています。
なのに貴女は他の人間?に貴女しか知らない僕を知られても良いとおっしゃいますか。
僕は貴女だけのものではなかったのですか。

貴女しかしらない僕を見せるつもりなら。
僕しかしらない貴女を見せても構いませんよね?
世の中、持ちつ持たれつ。
ということで。

2人まとめてヤってやる。
「ごめんなさい」言っても許してやらない。
体力に関しては、連日のご主人様とのプレイで相当な自信がある。
何といっても、若 い し ね !

この時僕は、黒い笑みが浮んでいただろう。


「ククク・・・アハハハハ・・・アーッハッハッハッハ!!」


「僕」はとっても従順なので、裏僕を出してみた。ダメならスルーでヨロシク。 (゚Д゚)ノシ
669でも思いついたのこんなんだったりsage2005/08/05(金) 14:40:11 ID:uFoKu35K
「……? さっきっから、何を引きづられて涙流しつつ笑って居るにゃ……? 不気味だにゃ」
「現実逃避でもしているんでしょう。――さ。ヤりましょ」
「え、な、ちょっと! 参謀さん! 人が折角黒いキャラクターを出してお話を盛り上げようとしているのに!」
「問答無用」
「うわあぁぁぁぁぁー!?」
670名無しさん@ピンキーsage2005/08/05(金) 15:54:09 ID:DP/OoPw4
「衛生兵!衛生兵!」
「俺はもう駄目だ……お前だけでも逃げるんだ、サジェール」
「そんなことできる訳ないだろ、コワルスキー!一緒に故郷に帰ろうよ…」
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