猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

ひな祭りネタ

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

 

「さくらちゃんみてみて! ももちゃんかわいい?」
今日は雛祭り。
今年三歳になる姪っ子が、桃色の振袖をはためかせてはしゃぐ。
「うん、すっごく可愛いよ。良かったねー、桃」
にぱっと笑う桃は本当に可愛い。何もかも失ったあたしにたった一つ残った宝物だ。
目はくりくりだしほっぺはすべすべ、元気で素直で、姪馬鹿といわれようとも桃には非の打ち所が無いと断言できる。
「桃ちゃんキュートだよビューチフルだよ可愛いなー可愛いーよく似合ってるよー見立てぴったりだーデザイナー呼んだ甲斐があったよーハァハァ」
「ありがとうございますー、ごしゅじんさまー」

一つだけ心配なのは、可愛すぎて危険な変態に目をつけられちゃってるとこかな。
誰か助けて。

「ハァハァ、桃ちゃん、ちょっと今からご主人様とお昼寝しようかぃででででででッ!?」
うねる黒い尻尾を力いっぱい引っ張る。
見た目は猫耳美青年のこのご主人様、中身は変態のペド野郎だ。
「何しやがるこの年増っ!」
あたしはまだ未成年だ。
二人してこの世界に落っこちて、行き倒れてた私らを拾ったご主人様。
ヒトは性奴隷扱いだとか高額商品だとかで散々追い回されたのを匿うみたいにして拾ってくれて、暖かい寝床とご飯をくれて。
この世界で初めて、優しい言葉をかけてくれて。
そりゃあ最初は感謝もしましたよ。正直惚れそうでしたよ。イケメンだし。
でもね、すぐ気づいちゃった。こいつが幼い姪っ子を四六時中視線で舐め回していることに。
「約束しましたよねご主人様。せめて桃の体が大人になるまでは手を出さないって」
「え? 雛祭りって、三歳過ぎたらオトナって行事じゃないの!?」
そんなわけあるか。
道理で雛祭りなんて、こっちではマイナーな行事を熱心にやりたがると思ったよ……。
「雛祭りは無事に赤ちゃん期を脱したお祝いと、これからの健やかな成長を願う行事ですよ。
つまり、桃はまだ幼児! 見た目どおりの子供! 性機能なんてまっっったくこれっぽっちも発達してない!  OK!?」
「何……だと……!」
床を抜きそうな勢いでご主人様の膝が落ちた。
つーか、手ぇ出せるわけないでしょ常識で考えようよペド猫。
「がっかりだ……! 本当がっかりだよ! 生まれて初めてだよこんながっかり感……! さすがヒト《至高のエロ生物》って感動した俺の純情を返せ!」
誰かこいつ殺してくんないかなぁ。
「ごしゅじんさま、げんきだしてー」
項垂れるご主人様の頭を、桃が撫でてあげている。
えらいね、優しいね。でも止めようか。手が汚れちゃうから。 
「俺は、この荒れ狂うリビドーを、一体どうすれば……」
「健全な社会活動に昇華すればいいと思いますよ。ご主人様、恐ろしいことにお金も地位も持ってるんですから」
「どうしようかなぁ……うっかり桃ちゃん襲っちゃうわけにはいかないもんなぁ」
ちらちらと粘っこい猫目がこちらを伺う。
どうにかしてこいつ殺せないかなぁ。
「桃、ごめんね。ちょっとだけお部屋に行っててくれる?」
「はーい」
不平も言わずにとてとてと出て行く桃。いい子。可愛い。
絶対に守ってあげるからね。

ぱたん、とドアが閉じられる。
ため息をつくのは一回だけ。目頭が熱くなるのは気のせいだ。
あたしから言い出したことなんだから……お腹に力を入れてクソ主人に向き直る。
「お前もよくやるよねー、俺のこと大嫌いなくせに。そんなに桃ちゃんが大事?」
「決まってるじゃないですか」
あたしがダッチワイフになっている間は、あの子は可愛いお人形でいられる。そういう、約束だ。
この変態の守備範囲が広くて、よかった。
「脱ぎますか? 汚れますから。 あたし着付けできませんけど」
あたしだって、実は着物を着ている。
ご主人様が買ってくれたものだけど、どうせ桃のオマケで用意したんだろう。
……なんでニヤついてるのご主人様? 腹立つ。
「あれ、もしかしてその着物気に入った?」
「別に。高いんだろうなって。ご主人様がよければ構いませんけど」
「――、あっそう」
いきなり床に押し倒されて頭打った。
帯を力ずくで緩めようとされて息が詰まる。
裾を割って太ももを撫で回す掌に背筋がぞわぞわと粟立つ。
「安物だよ、バーゲンの。お前にはお似合いけどな」
着物にバーゲンってあるんだ……。
我慢、しなきゃ。あたしは桃の身代わりだ。
自分から言い出したんだ。初めてのときに、泣かないって決めたんだ。
「着物えっち着物えっち~♪ 年増のほうが色気はあるよなー」
それで褒めているつもりだろうか。
ざらっとした舌が首筋を這い回る。
ああぁ、ちくしょう。顔だけはマトモだけど他は最低。

◇◇◇

「さくらちゃん、きものぬいじゃったの?」
「うん。汚しちゃったから」
純真な瞳が痛い。
ご主人様、容赦ないね。二度と着れないよアレ。
安物でも綺麗な着物だったのにな……。
「よごしちゃったの?」
おや、なんか不機嫌そうだぞ?
「桃はあれ好きだった?」
「だいじにしなきゃだめなんだよ」
そうだね、もらい物は大事にしなきゃいけないよね。桃は大人だね。
でも、汚したのはそこのケダモノ変態鬼畜の異常性欲者だからね。
「ごしゅじんさまがねー、さくらちゃんのしゃしんでねー、ちぢみすきかなーっていっぱいえらんだよ? のたっちなのにばーかって」
桃は賢い子だけど、まだちっちゃいから時々よく分からない。
「も、桃ちゃん! ひなあられ食べる!?」
「たべるー!」
写真ってナニ。いつの間に撮った何に使った。 人の姪をどこに連れてったのよ。
のたっちって何。馬鹿とは何よ変態の分際で。
「桃、今の何?」
「ないしょっていったの。すき?ってきいたらおかしいねーだめだねーって」
「桃ちゃん! 甘酒もあるよ、ほら!」
「さくらちゃんきれいだったのにー。 ねーごしゅじんさま」
「ハハハ、桃ちゃんのほうがずっと綺麗ダヨー」
えぇえぇ、どうせあたしには桃みたいな問答無用の愛らしさはありませんよ。くたばれ社会の敵。
桃が性的にオトナになるまであと10年弱か……。
こいつどうやって殺そうかな。
  キスの一つもしてくれれば、舌噛み切ってやれるのに。
「……ところで、な。どうしても欲しけりゃ、代わりの着物買ってやるけど」
「は? 要りませんよ汚す用の着物なんて」
「――、本っ当に可愛くねえ! この年増!!」

だから、あたしは未成年だっつうのロリコン野郎。
滅べ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

目安箱バナー