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ウサギと仮装道具でないほうの鼻眼鏡



どうも、由里です。
今現在私はウサギに立ちバックされています。

どうしてこのような状況になっているのはご説明したいのですが、この淫乱ウサギが絶妙に焦らしてきてそれどころではないので、しばらくお待ちください。



……あーすいません。気絶してました。
あらためまして、由里です。
こっちでは伸ばしてユーリと呼ばれることが多いです。このほうが発音しやすいらしいです。
それでどうしてこんなウサギの家にいるかというと、長い話になるのですが……。

私がネコの国に落下したのは六ヶ月前です。あのときのことはまあ、言うまでもありませんね。
落ちてしばらくは一般的なヒトのたどる道をたどりました。
ただ、その中で私がほかのヒトと違ったことがひとつだけあります。
そう、すごい近視なんですよ。私。
落っこちたときに眼鏡を壊したので、状況を把握できずに困りました。
それが私を拾ったクソご主人さまの、お気に召さなかったらしくてですね。身体的欠陥を持つヒトは商品価値がダダ下がりするらしいです。
ご主人さまは私を売ろうとしたんですが、いかんせん買い手がつきません。
何も見えないのを補おうと目を細めていたのがいけなかったんですね。何度も「何このガンつけてるヒト」と言われました。
繁殖にまわそうにも、近視は遺伝するので嫌がられますしね。
そこに颯爽と現れたのが――

あの、イノウエさん(外道)でした。

イノウエさんはその名前からわかるようにヒトです。いろんな人から「死ねイノウエ」とか「あの女いつか殺す」とか言われていることで有名です。
彼女が何をやっているかというと、
「まあお買い得」
ヒトのレンタル業です。
倫理的におかしいとお思いでしょうが本当にやっているんだから仕方ありません。彼女が会社を経営するうえでどれほどの書類が偽造されているのかは不明です。
外道の意味がお分かりになりましたでしょうか。私も言っておきたい。イノウエ死ね!



「おい、おいユーリ」
おや、ご主人さまのお呼びです。正確には「借り手」ですが。
私はベッドから起き上がると、衣服を整えます。
気絶したらちゃんとベッドに運んでくれるところはご主人さまのやさしさを感じます。まあどうせなら、気絶するまでするのはやめてほしいのですが。
本棚がびっちり詰まった廊下の先、ご主人さまが待っていました。

「これ頼むよ」

本を私にぽんと渡す手には、毛がありません。
頭の上には、カフェオレ色のうさ耳がぴっこんぴっこんしています。
ご主人さまはマダラです。最初に会ったとき女性に間違えて超不機嫌になりました。
気にしてるらしいです。
男らしくないなあ……。
でもその日のうちに眼鏡を買ってくれたのはラッキーでした。


私はポケットから鼻眼鏡を出しました。パーティグッズではありません。念のため。クリップみたいなもので鼻を挟んでレンズを支える眼鏡です。簡単に言うとアルプスの少女ハイジのロッテンマイヤーさんがかけてるやつです。
こっちの人はヒトと耳の場所が違うのでつるのある眼鏡がないらしいです。でも鼻らしき鼻のないヘビ男性とかどうやって眼鏡をかけるのでしょうか。ご主人さまに聞いてみようとしたのですがその前に押し倒されました。

まあそれはともかく。
受け取った本に目を移します。

『源氏物語』

……嫌な予感がします。

「読めないのか?」
ご主人さまが聞きます。無表情なのは地です。機嫌を損ねているわけではないと最近わかってきました。
「いえ読めますけど。現代語訳ですし」
「ん? これは昔の物語なのか」
「はい。当時の言葉だと辞書がないと不安ですね。ヘビみたいに使用されている字が違うわけではないのですが」
「へえ」
若干楽しそうです。無表情ですが。
ご主人さまは本が好きなあまりネコの国でコレクターをやっているという素っ頓狂なウサギです。
で、私は本を落ちものの本読むためにレンタルされたヒトなんです。
セックスはついでらしいんですが、ウサギにとってはこれがついでのレベルなんですね。
あと、この家を維持する金はどっから出てるんですかね。ご主人さまニートではないらしいんですけど。
何やってるのかなあ。ヤクザな商売でないことを祈ります。
うっかり危険なことに巻き込まれるのは嫌です。



「……当時のヒト社会では、幼女を育てて妻にするのが普通だったのか?」
「いえ、そんなことはないと思います」
「あと、義理の母親に子供を生ませるのはプレイとして普通なのか?」
「それは絶対違います。あと私からもひとつ質問があるのですが」
「なんだ」
「私をひざの上にのせる必要があるのでしょうか?」
「なんとなく」
ちょどこ触ってああそんなとこなぞらないで弱いんだってそこいやだやめうわああああああ


イノウエさん(外道)は強制するのではなく、自分からそれを選んだように仕向けるのがうまいです。
「本がいっぱい読める」って聞いたんだけどなあ……。
まあそれは現実でしたが。種族を聞くのを忘れていました。
あの女、地獄に落ちろ。


「も、もうやめて、勘弁してください……」
「気持ち悪いか?」
「き、きもちい、けど……」
「よし、じゃあもっとだな」
あああ同時に淫核まで攻めるのやめてくださいやめてえええええ
ご主人さまは私を突き上げながら、私の眼鏡をそっとはずしました。
そのまま半開きになった口に舌を突っ込まれます。それと同時に体の奥のほうから爆発するように快楽が襲ってきます。
嫌だなあ、キスされて達しちゃうなんて。
これじゃあまるで、


「お前セックス嫌いなのか?」
くたくたになった私にご主人さまが問いかけます。ご主人さま、そういうことはする前に聞いてください。
「嫌いではありませんが、腹上死は遠慮したいです」
「腹上死は嫌なのか?」
ご主人さまカルチャーショックを受けた声をしています。ウサギは腹上死嫌じゃないんですか? そっちがびっくりです。
「まあ、死に方ぐらい少しは選びたいですね」
そう言いながら、私はポケットの中の小型万能ナイフを握ります。
床板に隠したり口の中に忍ばせたりして、必死で守った代物です。
まあ私の受けた屈辱なんて、こっちのヒト基準ならたいしたことないんですが。
「いつでも死ねる」ということが逆に生の支えになることもあります。
たとえば、「こいつがいないと生きていけない」と思わせるほどほれさせたあげく死んでやったら愉快でしょうね。

なんてね。


「どうして急にそんなことお聞きになるんですか」
「ひょっとして酷使してるのではと思って」
そういうことは早く気づけ。
疲労で動けない私の頭をご主人さまはよしよしなでます。
最初はそういうことしなかったくせに……。
まあここは嫌いじゃありませんよ。清潔だし。ご主人さまは絶倫だけどそこまで無茶するわけでもないし。
本好きだし、その辺はご主人さまに共感を覚えます。
ただまあ、それ以上は、いろいろ。問題が。


「そろそろお暇しないと」
ぼんやりしているうちに時間がたったのはラッキーでした。
働かなくてすんだぞ! 不労収入万歳!(まあ収入なんてほとんどないけどな!)
身づくろいする私にご主人さまが話しかけます。
「なあお前」
「はい?」
「うちの子にならないか」
そのお誘いに向かって、私はマニュアル通りの返答をします。
「私は会社の所有物ですので、そういうことは判断しかねます」
ネズミの付け耳(支給品)をつけて、私は会社に帰ります。
ご主人さまの耳がちょっと下がった気がしますが、まだ眼鏡をかけていないのでよく見えません。


恋愛ゴッコはおしまいです。
私はただのパートタイム奴隷です。
まあ、眼鏡を買ってくれたことは感謝してますけどね。