猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

火蓮と悠希03

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火蓮と悠希 第3話

 
 
夏から秋に変わり、火蓮さんが”神殿へお勤め”に行った日のこと。
相変わらず、一杯ネコがいる外へ行きたくなくて部屋からあまり出ないでいた自分は、
今日もまた窓際にペタンって座って日向ぼっこしながら、ウトウト居眠りをしていたわけで。
 
どすんっ          のしっ
 
背中にいきなり妙な重量感。その重量感が、背中ですりすりとしてくる感触。
火蓮さんもたまにこういう事するけど、今日はまだ帰ってこないハズだし・・・何だろ?
首だけ動かして背後を確認すると、視界に入ったのは火蓮さんより少し大きめの、耳。
短く揃えられた髪はまさにネコっ毛と言うにふさわしいサラサラ感たっぷりで、えーと・・・?
「おねえさまー、ボクひさしぶりに帰ってきたよーーっ、あそんでぇーーっ」
「は?」
思わず、間抜けな声出しちゃってから、気付いた。この部屋は火蓮さんの部屋。
火蓮さんの事を『おねえさま』っていうからには、きっとこの抱きついてる子は弟さんで・・・
「おねえさまっ!?耳、どうしちゃったの!怪我しちゃったの!?」
弟の・・・空牙君なんだろう、多分。きっと。おそらく。このボケっぷりとかソックリだし。
「えーと、空牙君かな?とりあえず離れてもらっていい?」
「おねえさま、ボクの事嫌いになったの?」
結局、姉は今出かけてて、とか色々わかってもらうように説明するのに小1時間かかってしまった。
 
最初は、姉が変身したんだと思って半泣きだった空牙君も、
間違えた相手は”ヒト”で姉のモノだって知ってからは興味津々で周りをグルグル回って観察を始める。
 
「ね、ヒトって噛み付かない?がっこーの先生は知らない動物にむやみに触っちゃいけませんって言うの」
小首をかしげて不安そうにボケボケな質問してくるトコとか、火蓮さんソックリ。可愛い。
「会話出来る相手がいきなり噛み付くと思う?大丈夫だよ、お姉さんは噛み付きませんよー」
クスクス笑いながら言うと、嬉しそうに髪の毛を手にとったり、顔にさわったりしてくる。
 
触られながら、こちらも空牙君を観察してみる。
顔立ちはまだ小学校高学年くらいの少年、と言ったトコロ。背は自分より少し低いかな?
髪はサラサラしてるネコっ毛で、さわり心地が良さそうな感じがする。羨ましい。
姉の火蓮さんよりも、綺麗な金髪なのは何でだろう?お母さんも赤っぽいんだけどなー?
 
「ね、ゆーき、聞いていーい?」
「空牙君、何でしょう?」
「ボクね、おねえさまと一緒で寝るのがすきなんです。おねえさまが帰ってくるまでー、一緒に寝てもらってもいいですかー?」
「はっ!?」
返事をしながら、頭の中によぎったあの一言。
”空牙という、火蓮の弟がいるのですが、あの子に色々と教えてもらいたいの。”
蓮華様の言った、『自分に課せられたお仕事』の内容。
面識できてからでいいとは言っていたけれど・・・うーん?どうしたもんか。
「その顔は、大丈夫だよね、ゆーき♪ありがとーっ!夕飯、ボクもらってくるね!一緒にココで食べよー!」
 
悩んでるヒトを放置して、久々に姉のベッドで眠れる事に喜んで空牙は部屋を出て行く。
あとに残るはこの後どうすべきか思案に暮れるヒトが1人。
 
もうすぐ、夜の帳が降りる時刻。誰かのぬくもりが、恋しくなる時間になる。
 
悩んでもしょうがない、どうにかなるなる!と割り切った頃、やっと空牙が食器をかちゃかちゃ言わせながら持って入ってくる。
お盆の上には湯気をほかほか出しているミルク色のスープ、質素なサラダ、ナンのようなパン。
「ありがと、空牙君。お盆こっちに置いて食べよう」
いつも火蓮としているように、ベッドの上にお盆をそのまんま載せて食べ始める。
 
えへへ、と食べながらご機嫌そうな空牙君。不思議そうに見ると
「普段、こういう事はしちゃイケマセン!ってせんせーとか、お母様に叱られるからうれしーんだぁ♪」
「ぁ。」
色々と、教えなければいけない立場なのをスッカリ忘れて、行儀悪い食べ方を教えてどうするんだ自分!
ガックリとうなだれつつ、スープをすする。気のせいか、どっかで嗅いだような違和感ある香りがする。
首をかしげながら、スープにナンをつけて食べる。やっぱり、違和感のある香り。
もぐもぐ  もぐもぐ  もぐもぐ
夕闇が満ちた部屋の中に、食べる音だけがひびく。
 
「ごちそぉさまでしたっ!」
パンッ!と手を合わせて、行儀良く?空牙が先に食べ終わる。
悠希は、スープをまだ飲んでいるところであった。
食べ終わってヒマなのか、食べている様子を興味津々に見つめる空牙。
見つめられているせいなのか、妙に顔が紅くなって、カラダがドキドキしてくるような気がする。
「空牙君、そんなに見たら恥ずかしくて食べらんないんだけど・・・」
「ゆーきはお行儀よく食べれてすごいなーって思ったのー。ね、そのアフアのスープ美味しいよねっ、ボク大好物なの!」
 
カラン、と。
今、口に運ぼうとしていたスプーンを思わず取り落とす。太ももにねっとりとスープがこぼれて少し熱い。
「空牙君、今なんて?」
「えー、だからぁ、そのスープはアフアジュースが入っててすっごい美味しいよねって言ったの。ゆーきはアフア嫌いなの?」
「あー・・・アフアジュースですか・・・そうですか・・・色々気まずい思い出があるんですよー・・・アハハ・・・」
道理で体が火照るワケだ、と納得しながらどうするか悩んでみる。
あの時は、火蓮さんが色々手を出してくれて”発散”させて終わったけど、さすがに空牙君にシテもらうワケにはいかないし。
ウーン、とまだ食べ終わってもいないのに考え込んでしまったその時に。
 
ぺろっ
 
太ももにザラリとした感触と、背筋に走るいつもの”気持ちイイ”感覚。
「やぁっ!」
声を上げて目線を下にやると、取り落としたスプーンが乗っかったまんまの自分の太ももを舐める空牙の姿。
「空牙君!何やってるの!?」
「えー、こぼしたのもったいないなーって思ったのー。よくお姉さまのほっぺについたまんまのとか舐めるもん」
「ソレと場所が違うでしょっ!って言うか言ってるそばから舐めったらっ・・・やんっ!」
怒られた事に反抗してか、言ってる途中でペロペロと舐め始める空牙。
 
部屋の中だけだからってTシャツ1枚でいるんじゃなかった、と後悔しても後の祭りである。
ムキになったが空牙、こぼれたスープをキッチリ舐め終わる頃には、悠希はすっかり感度のスイッチが入った状態になってしまっていた。
「あれ?ゆーき、顔真っ赤になってる。」
「く・・・空牙君のバカーーーっ!」
バカ、と言われてもなぜだか理解できない空牙は、ただ目を白黒させてキョトンとしているだけ。
「ゴメンね?イイ子イイ子したげるから、許して、ね?」
髪の毛に空牙の手が触れるだけでも体がビクリ、と反応してしまう。
 
まだまだ夜は長い。これから、である。
 
 
しばらく沈黙が続いたあと、空牙が『ぱん!』と両手を打って、いい事を思いついた、と言う。
「こっち、きて、きて♪ベタベタしてるからゆーき困ってるんでしょ?だったら、落としちゃえばだいじょーぶっ!」
グイグイと引っ張る手に半分引きずられながらたどり着いたのはいつもの大きいお風呂場。
「あ、じゃあ、入って来るから空牙君ココでまtt」
「えー、一緒入るんでしょー?だってボク自分で頭洗えないんだもん。」
ぷくーーっと頬を膨らませて、拗ね顔の空牙。まるで、本当に火蓮をそのまま幼くしたような表情。
 
結局、押し切られて一緒に入る事になってしまった。
 
とりあえずは空牙の髪を洗って、流す。背中に手が届かないとブーたれるので、背中も流してあげる。
じゃあ、と自分の体を洗い始めると・・・また抱きつかれた。
「く・空牙君、今度はなに!?自分で洗えるから、大丈夫だから!」
多少落ち着いてきたとは言え、あのアフアスープのせいで敏感な体。下手に体を洗われたりして、反応したりなんかしたら。
火蓮さんソックリで好奇心旺盛なこの少年が、だまってソレを見ているはずがないだろう。
「えー、やーだー!やだっ!ボクは洗ってもらったんだもん、ボクがゆーき洗うの!」
わけの分からない屁理屈をこねて、悠希の手から海綿をもぎ取ると、それを数回握りしめて、泡を立て直す。
泡が充分たったと見て、背中に海綿をすべらせる。
 
  ぞくり。  背中に快感が走る。普段は火蓮の細い指や艶やかな唇が走る背筋を、今は滑らかな泡が埋めていく。
かすかに、甘い声がもれそうになるのを唇を噛んで耐える。
肌の上を泡と一緒に空牙の指が滑るたびに、頭の中が一瞬白くなっていく。
 
ざばーっとお湯をかけられて、我に返る。
「はーい、きれーになりましたーぁ♪もう足ベトベトしないよね?気持ち悪くないよね?」
嬉しそうに、後ろから抱きつくように、まとわりつきながら尋ねるのにうなずく。それを見て、満足げな空牙。
 
お湯にもちゃんとつかって、ぽかぽかあったまって、サッパリとして。
とりあえず気が済んだのか、いつの間にか空牙はスヤスヤと寝息を立てていて。
その隣に横になったまま、悠希は体の疼きに必死に耐えていたりして。
 
なにしろ、秋になったからとかけている上掛け。ソレが服越しに少しでも擦れるたびに、体の奥がうずくんだからしょうがない。
自分だけだったら、多少寒くても上掛けをかけないで寝るだろうけど。横には大切な『ご主人様』の『弟君』がいるんだから。
ハァ。と、今晩何度目か分からないため息をついて、寝返りをうって丸くなる。
ふと、指で自分の大事な処にふれてみる。
ぬる・・・・っとした感触と、やっぱりそれだけで来る甘い感覚と。もう一度、ハァ。とため息。
(どうしよう、すっごい、コレじゃ自分えっちな子だよね。火蓮さんに、いつもしてもらってるみたいにしてもらいたいなんて)
隣の様子をうかがう。
相変わらずスヤスヤと、幸せそうな寝息を立てて、寝返りさえ打たずに熟睡している空牙にホッとする。
 
指を、もう一度自分の大事な処へ。
目は、閉じて。火蓮さんが、いつもしてくれているコトを想いだす。
『うん、あたしは悠希が悦んでくれるのがうれしーんだよ♪ココをこーすると嬉しそうになるよねっ』
彼女がいつもしてくれるように。そっと、おそるおそる指でなぞる。
(火蓮さん・・いつも、もっと・・・違う・・・)
くちゅ、くちゅ、と淫音を静かに立てながら、指をただ往復させるが、それはただの往復運動にしかすぎなくって、気持ちいいはずもない。
(んー・・・もっと、違う・・・)
いつもされている感触、感覚を想いながら指を少し曲げてみる。ちょっと硬い膨らみに指の先があたる。
「・・・・・・・ッ!」
思わず声を出しそうになって、慌ててこらえる。 ――そう、この感覚だ。
そっとそこを優しくなでるだけで、頭の中に白い火花が散るような感じがして。
火蓮さんがいつもしてくれるように、上手くはいかないけれど、それでも疼く体を多少抑える位の効果はあって。
いつの間にか、ソレをする事に集中しすぎていて、隣の寝息が止まっている事に気付いていなかった。
 
「ゆーき、どしたの?どっか痛いの?」
上掛けがめくれるのと同時に心配そうな声がいきなり降ってきて、驚いて手を止め、目を開ける。
視界の端に見える、不安そうな空牙の顔。
   みられた。   と、思い浮かぶと童子に顔が朱に染まる。
それと同時に、その”見られた”という事に対してなのか、体の奥が熱くなるのも感じる。
 
そんな事に気付いているのかどうか、空牙が鼻を鳴らす。
「ねぇ、何の匂いだろ?んー、んー」
クンクンと、鼻を鳴らして不思議そうにその香りの元を探そうとする。
「ゆーき、どっか悪いんじゃないの?おもらししてる」
シーツに拡がった染みに気付いて更に心配してくる空牙に、曖昧な笑みしか返せない自分を呪う。
(やっぱり、隣にいる時にするんじゃなかった!)
「大丈夫だよ、空牙君は心配しなくって・・・自分で、治せるから、大丈夫」
「でも今すごい辛そうな息してたし、今顔真っ赤だし、お腹おさえてるし」
両手を足の間に挟んでいるのが、お腹をおさえているように見えたらしい。
「えっと、あの、大丈夫だから、ねっ?火蓮さんも明日帰ってくるから、そしたら火蓮さんに診てもらうから、安心して、ねっ?」
しどろもどろになりながら弁解するように、なだめるように言い聞かせると、
『辛くなったら声かけてよー、お医者さん呼ぶから』と言いながら空牙が横になり直す。
(そういわれても・・・お医者さんに何て言えばいいんだろ?)
布団の上に座って、空牙君が眠りやすいように背中をポンポン叩きつつどうでもいい事を悩んでしまう。
くる、とこちらに向き直った空牙君がまた鼻を鳴らす。
「・・・・・・・・さっきの匂い、ゆーきからする気がするんだけど・・・」
 
――どうしよう。何と言えばいいんだろう。
 
 
 
 
 

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