猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

えすくらすくらいまるとのそうぐう

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えすくらすくらいまるとのそうぐう



「局長、作戦名フレイヤの件、報告します」
「フレイヤ?」
「69-70番の兄妹でS級犯罪者ディンスレイフ討伐の任務です」
「で、結果は」
「任務は失敗。妹の69番は頭部以外が、兄の70番は全身が再利用不可能」
「そうか、半年の追跡も徒労か……」
「ただ、三班の主任が発見した記憶抽出機構ならば、直前のデータを不完全ながら解析できるかもしれません」
「ほお……」

「……つまり、どういうことだ。簡潔に言え、主任」
「はい、局長。こちらにその……『生物の記憶中枢』を培養液に浮かべます。基本は落ち物の概念から応用した、情報の電子化と解析を利用しています」
「解析情報はこの端末から、画像と音声となって再生されると」
「そのとおりです。ヒトの世界では完全に科学技術に頼るため実現するには非常に繊細な設備が必要ですが、我々の魔力であれば概念で精密機械の代用が可能です。ただ……」
「ただ?」
「その概念の設定すら、未だに未完成で。ヘビの国の精霊を媒介に使って情報と魔力と電子変換を行いますが、それが精霊の質に左右されるもんで……」
「強力な精霊使いが必要だ、と?」
「はい、今は留学生の一人を『事故死』扱いで引き取とり神経薬で思考停止させて使ってますが……精度を上げるには安定した精神状態の、しかも強力な精霊を持つ者でないと」
「まあ……現状、どうなのだ?」
「はい、起動時に設定した単語に関連する内容を中心に、対話形式で情報の引き出しが可能です。入力は音声で直接」
「なるほど」
「主任、スタンバイ完了いたしました」
「よし。では局長、こちらのマイクに……」

-----< アクセス >-----

「79番、死亡原因は」
《F.O.B……F.O.B……》
「F.O.B?」
《F.O.B……F.O.B……》
「……」
《真っ直ぐ行ったら……F.O.B……》
「待て、F.O.Bとは何だ」
《ほのおの……ちょうちょ……F.O.B……》
「ほぉ……そのような魔法を」
「ご覧下さい。こちらに映像が」
「なんとまあ、雅な……それがどうなった?」
《こっちに……きづいた……F.O.B……》
「F.O.Bが気づいた?」
「ある程度の複雑な行動を示す、半自律攻守兼用の魔法の様子です」
「どう対処した」
《カロリー……不足よ……F.O.B……》
「カロリー不足、ですか?」
「対処しきれいないか……対処不可の性質だったため、身に受け続けたのだろう。そして、自己回復のための養分すら底を突いた……」
《本体攻撃……活動性の低下なし……F.O.B……》
「なんと、術者を切っても解けないと!? どんな精神力の持ち主か……」
「是非とも捕らえて中を見たいですなぁ」
《おにいちゃん……しんだ……F.O.B……えふおーびビビビビ》
「おおっとぉ!」
 バチュッ
「何事だ!?」
「んー……流石のティンダロスも、肉親を失ったら弱るんですねぇ……」
「外部干渉からは強く、判断を正しくするため内部思考は常人だからな。それが?」
「強力な感情、主に絶望感でシステムがダウン。通常の人間の何倍もの精神容量のティンダロスが溢れるほど強力な思念が、精霊に干渉して不安定になったようで」
「そうか。再起動いけるか?」
「はい、精神安定剤を投与して上限を確保します」

-----< アクセス >-----

「……79番。敵の様子を……何か喋ったのか? 思考法則の情報が欲しい」
 ザザッガッ
「お!? 聞いた音声を再生するため記憶を走査してる音っすね」
「貴様、興奮するとタメ口になるんだな」
「も、申し訳ありません……」
《なんということでしょう! 揮奏者よって、兄妹は、壊滅状態になってしまいました!》
「これはまた……」
「犯罪精神学とプロファイリングに回します? 思想もケタ違いなので意味がなさそうですが……」
「一応そうだな」

《まだまだ……ふえるの……F.O.B……》
「増える?」
「あ、モニターを良くみて下さい。自己増殖型の魔法でしょうか、分裂回復しています」
《回避……不可……F.O.B……》
「確かに、蝶の不規則性を攻撃に利用されては……」
「数が多ければアヴォイダンス特化でなければ対処できんな。参考にするか……」
「む、ここで範囲解呪札を使用か」
《復活してる……………F.O.B……》
「殲滅を試み、しかし蝶の再生が勝る、か」
「対人殲滅級ばかり考えていたからな、札が尽きれば対処できん。後期型には対虫殲滅の、もっと荒くても広範囲の技のひとつでも仕込むか」
《補助食……尽きた……F.O.B……》
「カ□リーメイトとやらも役に立たんなぁ」
「いや、それだけの猛攻ということでしょう」
《F.O.B! F.O.B!! F.O.B!!! F.O.B!!!!》
「ああ、また興奮状態に……メジャートランキライザー3倍にしろ!」
「ふぅむ……しかし改良点の模索に良い情報も引き出せる。是非とも高位の精霊使いをスカウトしたい所か……留意する」
「有難うございます、局長」
「続けろ」

《角でばったり……F.O.B……》
「その蝶は消音飛行に優れるのか?」
「さらに木とか障害物を自律思考で回避できる様子ですね。もはや精霊の領域です……」
「しかし衝突すれば溶けてるぞ、地面すら」
《呪い……即死……回避……F.O.B……》
「……S級、さすがに……禁忌に手を出していたのか……発動前に割り込みしかない、か。しかし、炎の蝶が関係ない内容だが?」
「とんでもないインパクトで敵の代名詞化したのでしょう。
 ティンダロスの内部思考は一般的だから、美しいとか恐ろしいとか芸術的造詣に対しては抑制可能ですが十分な反応ができます。
 特に、美意識のような負じゃないベクトルならば抑制する必要もないでしょうから」
《ドアをあけたら……F.O.B……》
「ん? 屋内戦?」
《3日に1度は……F.O.B……》
「ティンダロスは一週間くらい飲まず食わずで良い。現地で調達できたなら、なお生き残るんだ。実際、出てから半年間、その討伐任務に当たっていたワケだからな」
「それはまた……流石、地獄の番犬」
「逃げるデインスレイフも鬼神だがな」
《お兄ちゃんどいてそいつF.O.B!》
「……どのような状況だ? 兄の80番の危機に反応したことは分かるが」
「幻術か何かで接近を許したのでしょうか」
《兄貴と私! ボディ・ビル!》
「……」
「……」
「ナンだ、今のは」
「また感情が高ぶって、関係の無い情報がなんか飛び出したのでしょう」
「まぁ、兄想いだったからな、彼女は……トレーニングルームを夜間に二人で貸しきって交尾するほど」
「(……それにしてもこの局長、覗き魔である)」
「何か言ったか」
「いえ」

-----< アクセス >-----

《そてぃす、そてぃす、えふ・おー・びー》
「……」
《にーちゃん、にーちゃん、えふ・おー・びー》
「あー、ちょい具合が悪くなっちゃいましたね、安定剤を廃人級に投与した上で記憶の引き出しを強力にかけたから、不安定に」
《ごっすん、ごっすん、えふ・おー・びー》
「治るのか」
「暫くすれば、薬品と興奮が抜けて狂乱状態から抜けると思います。そこからが勝負再開ですね」
《ごーまん、せーまん、えふ・おー・びー》
「お前、そこの。昨日の天気とか、当たり障りの無い話題で落ち着かせ、安定化させろ」
「了解しました」
「主任、私はちょっと外で一服して」
 バチィィィッ

「どうした!? 停電か!」
「なッ…… 局長! あれ!!」
「そんな……生首が……浮いている!?」
《アッハハハハハハハハハ! 開発チーム諸君? 置き土産ひとつ追加しておいてやったよ♪》

『セル・サクリファイ---Frame Of Butterfly』


「副……いえ、局長! 例の前局長が死亡した爆発事故、レポート纏まりました」
「そう、分かったわ」
「あと、前局長のメモにティンダロス開発案がいくつか走り書きしてあります。一部は焼けて見えませんが……」
「分かった……あの人の意思を、次ぐわ」

「それにしても、炎のチョウチョなんて。呪者も粋な方なのね。三班の研究室がビックリ箱の紙吹雪みたいだったわ」
「まさに、災厄の箱ね」


 

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