猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

シャーラ・カ・モキスートの冒険01a

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シャーラ・カ・モキスートの冒険 その一(前編) 拘束勇者

 
 


 
 此処は大密林と呼ばれる未踏地域、樹精(じゅせい)と雨神(あまかみ)に愛されし地。
 この世界の覇者たる人類(かしこきけものたち)も脚を滅多に踏み入れぬ未踏の地。
 大いなる自然に守られし、高温多湿、栄養豊富、滋養強壮の楽園。
 ただし……それは、強者(つよきもの)にとってではあるが……
 
          ――輪廻書房 辺境百選より


 
 シャーラ・カ・モキスートは、大いなる大密林の、火鳥樹精の加護を受けしお方。
 偉大なる女王にして、戦いの巫女、英雄を生み出すべき吸血乙女である。
 
 その羽は、光を受けて宝石のように輝き、銀糸の如き髪は腰まで流れるよう。
 愛らしい唇は、その紅を引いた如き深紅がアクセントとなり、肌の白さを際立たせる。
 
 ああ、告白しよう、されど完璧たるは神(おおいなるもの)にのみ許されし御業、そう、
 彼女は……幼児体型(ろりーた ぼでぃ)だったのです。
 
 
          ――ああ女王様より


 
 拝啓皆様、俺は縛られてます。
 
「わらわを見て、何時まで呆けておるのか?」
「シャーラさまの、あまりの美しさに、声も出ないものかと」
 
 巨乳の巫女さんが、何かそう言って宥めていた。
 
「ふむ、このような胆力ではたして、わらわの守護者たり得るのかの?」
「ヒトは生まれた時より、魔素から隔離された存在、この上ない依り代となりまする」
 
 うわ、でも言ってるのは、やたらと物騒だよ、あ、俺は火鳥 松人(かとり まつひと)
天文部の合宿で、テントの中で寝ていたと思ったら、こんな訳の分からない状態になっていた。
 
「このような脆弱なものが、本当にヒトだと言うのか?」
「文献に相違ありません、この地に三百年振りに飛来したヒトでありまする」
 
 飛来って、隕石や彗星じゃあるまいし……って、俺の望遠鏡はどうなった?!
 くっ、このロリペタめ、もし壊れてたら弁償させてやるっ!!
 
「あの巨龍マラリーさえ、西方湖に封じたと言うのも、この様子では伝説に過ぎんか……」
「いえ、ヒトは最弱……それゆえに、最も優れた守護者となるので、ございまする」
 
 ああ、怒ってみても、縛られた上に、猿轡、そして……不名誉な事に全裸である。
 まったく、本当は見たい巨乳風巫女シスターを見ずに、洗濯板を見ているのも、
その、羞恥心と漢の尊厳をかけてだな……
 
「ヒトよ、わらわに見惚れるのも良いが……主の肌を見るのに、
少しは慎みを持たねば成らぬぞ?」
「シャーラさまの玉体は、天下は当然、天上にあっても比類なき素晴らしさ、
目を奪われるのは、仕方なき事にございまする」
 
 聞いちゃあいねぇ、いや、むしろ、声を出させてくれっ! 
 そして、何でコスプレなんぞしてるのか、ああっ! そこを小一時間ほど問い詰めたいっ!
 
「ふむ、もごもごとな、ヒルデガルド、なんといっておるのだ?」
「質問が30分ほど掛けても尽きないほど有るので、猿轡を外してほしいと言っておりまする」
 
……通じたよ、何で通じてるんだ? 魔法使いやエスパーか? 
……俺って、UFOに攫われて、インプラントされ掛かってるのか?
 
「なんといっておる?」
「魔法使いか? と問われておりまする、

私は宣託巫女、ただ、意思を伝えるだけの者でありまする」
 
 俺、今回は口も動かしてないんだが? いや、巫女って何だよ、そもそも此処は何処なんだ?
 
「心の声が響いておりまする、巫女は掛け橋となりし者で、
此処は大密林にありし、火鳥にございまする」
「これ、ヒルデガルドよ、何と言っておるかわらわにも伝えぬか」
 
 ふくれる餓鬼はおいといて、巨乳巫女シスターのほうに大密林とは何なのか、
何で火鳥って地名なのか、地球や日本は何処なのかを心の中で尋ねる。
 ものすごく……目のやり場に困りながら。
 
……相手は、巫女とシスターと毛皮を混ぜたような服を着ているとは言え、
極め付きの美人だし、ちょっと口調は変だけど、漢の夢というか、素晴らしすぎると言うか、
かなりの大きさのソレは、例えて言うならメロンだっ!! ……圧倒的過ぎる戦力。
 横のストレート大根とは比較にもならんっ! なんか触覚と羽があるけど……うん問題無し。
 お姉さま、生まれる前から愛してましたっーーーっ!!
 
「まあまあ、あらあら、どうするでする?!」
「ええいっ! 赤くなっておらんで、何を言われたか話さぬかっ?!」
 
 いえ、あんまり元気になり過ぎるので、見ないで頂きたいかと思う。
 暴走していた思考が、すぐに我にかえってしまう小市民さに……うん、死ねばいいのに。
 むしろ、死にたい、今すぐ、出来れば、愛で。
 
「そんな……こんな激しい告白……120年生きいていて初めて……でする」
「む、意識が飛んでおるかの? くっ、これが伝説のヒトの力とでも言うのかっ?!」
 
 縛られた俺の前で、餓鬼は叫び、巨乳巫女シスターは悶えていた。
 
 


 
 蚊の一族とは、女性のみで構成される一族であり、
大密林の東部でも有数の勢力を誇っていた。
 そう、誇っていた、である。
 
 突如飛来した黒飛龍の前に、一族は離散、
女王たるシェーラも、宣託巫女ヒルデガルドに連れられて、
最東部たる此処、東方湖に落ちる延びるので精一杯。
 
 この苦境を神(おおいなるもの)に訴え、
神殿にて祈りを上げた処、ヒトが落ちてきたのである。
 
 伝説に曰く、女王がヒトを守護者と成し、巨龍マラリーを西方湖に封じた、と。
 


 
 
「と、言う訳でございまする」
 
 何故それで、話の流れ上だと、守護者なはずの俺が……全裸なのですか? 
むしろ、それ何てえろげ? ベタ過ぎる状況と、レア過ぎる現状に、
小一時間ほど問い詰めたいでんですが?!
 
 ちなみに、あの混乱から3時間ほど経っていて、餓鬼は騒ぎ疲れて寝てます。
 
「故事曰く、ヒトはケダモノ、縛っておかねば我等を襲い、
一族に災いをなすと……恐ろしき力でありまする」
 
 それは、偏見に塗れすぎだと思う、いや、もし戦闘力EとかFとかばかりだったり、
そんな、素敵な一族なら……うん、人はケダモノだね、むしろ男が。
 
「ああ、恐ろしき力で……ございまする……」
 
 凄く、色っぽい視線は、かなり反則です。
 
 なんでも、蚊の一族は、魔力だか思念波だか、
それとも、二酸化炭素放出量だかを感知して、心(くうき)がある程度読めるらしい。
 それが、猿轡をされてる俺と会話出来てる理由らしいのだが、
なんでも、本来なら抗魔力とか体内の魔素とかに阻まれて、
何となくで分かる程度の思考が、言葉のように聞こえる上に、
ストレートに感情まで伝わって、酔ってしまったらしい。
 
「今はシャーラ様をお守りする時、私事は捨てるべき時で、ありまする」
 
 その、四つんばいで、擦り寄ってきて、たぷんたぷんてのは反則だとおもいますっ!
 特に、俺が縛られて、何も出来ないあたりが、ああ、直ぐそこにある理想郷っ!!
 
「ええ、私事は捨てるべき、でも……苦しそうで、ありまする……」
 
 そう言うと、ぱさっ、と、服の胸の部分をはだけ、目の前に純白の大雪原。
 うん、死んでも良い、この胸に包まれるなら本望、貴女のためなら何でも出来ますっ!!
 
「ほんとうに……こんな事したいので、ありまするか?」
 
 そう言って、押し付けられて、たゆんたゆんで、やーらかかった。
 
「ヒルダと、呼んでほしいのでありまする……こんなに激しい思いは、初めてなのでありまするっ!」
 
 巨乳巫女シスター、いや、ヒルダがそう言うと、抱き寄せてびくっ! と体を震わせた。
 もしかして……胸を押し付けてイッた?
 
「そ、そんな事ないのでありまするっ! ただ、びっくりしただけなので、ありまするっ!」
 
 そう言って、慌てたように言うヒルダ、うん、これは良いものだ、やーらかくて、
すべすべで、息が出来なくて、意識が……とおく……我人生に……一片の悔い無し……
 
「あう?!、ど、どうしたのでありまする?!」
 


 
「ヒトが弱いと言うのを、忘れていたでありまするっ! 申し訳ないのでございまするっ!」
 
 心配そうに覗き込むヒルダ、いや、あのまま殺されていても、
漢の死に様として、後悔は無かった、うん、この思いは間違いじゃないっ!!
 思考が暴走してる中で、安堵の表情を浮かべたヒルダを見ていると、
どうしても視線が下に下がって……よせば良いのに、また考えてしまう。
 
「ヒトはそんな事、みんなするでありまする?」
 
 驚かれた、よし、死のう、挟んで息子を何とかして欲しいと思った、
最低の自分を殺して、すぐ死のう。
 
「恥ずかしい事なのでありまする? こんな感じてありまする?」
 
 絶望に打ちひしがれる俺、心の汗を流しながら、天を全裸で仰いでいる時に、
とんっ、と押されて倒れたと思ったら、ふにょん、と息子が柔らかく包まれたっ?!
 
「気持ち良いで……ありまするか?」
 
 ええ、はい、とっても、感触もふにゃっと、凄いことになってるのだが、
倒れた下半身に押しかかるように、ヒルダがいて、胸が息子を挟んで、
こっちを見下ろしている、その視線が色っぽくて、胸が半分潰れて、
見た目がふにょんで、とてもとても素晴らしいですっ!!
 
「んっ! すごく、元気でありまする……これから、どうすれば、良いのでありまする?」
 
 えーと、挟んだまま、小首を傾げて尋ねるのも反則と言いますか、
このままでも、5分は持たないと言いますか、大変素晴らしすぎます。
 
「こうして、揺すって、んっ! コレを舐めるでありまするか?」
 
 読まれたっー?! 心の奥底まで、読まれてます、ああ……そして、見透かされても、
気持ちよくなって、体が縛られさえなければっ!!
 
「ダメでありまする、噛んだり舐めたり吸ったりするヒトは、
縛らないと……ダメなのでありまする」
 
 言葉攻めっ?! 言葉攻めですか?! 言葉攻じゃあ仕方ないな……そう流されていると、
妖しく笑ったヒルダが、息子の竿の部分を甘噛みして……俺はそれに耐えられなかった。
 
「わ、熱いでありまする……これがヒトでありまするか……」
 
 咄嗟に息子から口を離したものの、ヒルダの顔が白濁で染まって、
胸に垂れた時に……ふと、色に蕩けていたヒルダの目が、正気に返るのが分かった。
 
「だ、ダメなのでありまするっ!!」
 
 そう言って、慌てて顔に付いた白濁を拭うヒルダ、ごめん、さすがに縛られてると、
止め様がなかった、うん、嫌われた、死のう、むしろ、殺して、愛が冷めないうちにっ!!
 
「違うんで、ありまする、その……舐めたら、赤ちゃん出来ちゃうでありまする」
 
 身支度を整えて落ち着いたヒルダが、申し訳無さそうに説明してくれた事によると。
 蚊の一族は基本的に単性生殖であり、男がいなくても子供を生んで育てる事が出来るらしい。
 そして、子供が出来るスイッチとなるのが、両思いの相手の体液を摂取する事で、
その子供が育つには、定期的に体液(主に血)の摂取が必要とか。
 
 相手の心が分かるのはこのためだとか、

今は大切な時期なので、子供は生んであげられないとか。
 私があなたを好きじゃなければ、ちゃんと飲んであげれたのにと、
すまなそうに言うヒルダの言葉の意味が、頭に染みてくる。
 
 だから、体液をすぐにふき取った……うん、つまり両思いということでOK?
 
「言葉にしないと……ダメでありまするか?」
 
 上目使いで拗ねたように見てくるヒルダに……うん、俺はヒルダが前世から好きだったっ!
 そして、ヒルダは俺に一目惚れっ! よし、全く問題無し、相手が例え魔王でも今なら戦えるっ!!
 


 
 その時は、ただの馬鹿が調子に乗っていただけだった。
 けれど、この思いは変わらなかったので、馬鹿と言うのは我ながら凄いなと思い返す。
 自身が異世界にきた事、とんでもない相手と戦う事になった事を、

 俺が自覚するのはこれから直ぐだった。
 


 
 ちなみに、後の守護者カトリの主であるはずのシェーラ様は、
全く目覚める気配も無く、夢の世界でありまする。
 
つづける? (
 



 

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