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狗国見聞録 第8話(後編)

 
 
      ※     ※     ※     < 7 >     ※     ※     ※
 
 
 
 窓から差し込む白い光。
 チュン、チュンという鳥の鳴き声が聞こえる、爽やかな冬の朝。
 冷え込みがきつくて、朝起きるのが辛いこの季節。
 
「あんっ! あんっ!」
 そんな爽やかな朝なんかお構いなしに、汗だくになってむんむん熱気あげてるのが約二名。
 …そうです、すみません、あたしらです。
 
 
 
 ──あれから何時間とか、もうよくわかんなくて。
 もうこれが最初から数えて何回目、全部何回出されたのかなんて覚えてません。
 15回は超えてないと思いますが、10回は超えてると思うので、たぶんその間くらいでしょう。
 
 その間、全っっっ部入れっぱなし。
 
 …いや、一回だけ機会っぽいものがあるにはあったんですがね?
 明け方近く、とうとう我慢しきれなくなって「おしっこしたい」と言ったんですよ。
 ええ、冬の朝は尿意が近くなりますからね。
 
 ……「どうせ腰立たないだろうから」って、突っ込まれたままトイレに連れてかれました。
 はい、歩き駅弁って奴です。
 …ごつごつ突かれて、漏れるかと思っただろうが!って感じです。
 
 あまつ例によって『抜けない』んで、一体どうするんだろうと思ってたら、
 便器の前でぐるんと後ろ抱きにされるや否やまたM字開脚の体勢にされて、
 「はい、し~」とか言うんですよ!?
 もう泣きましたね、ええ。
 
 …でも、泣いたけど腰立たないのと、もうマジ漏れそうだったのは本当の話で。
 そしてそうしてもらわないと自分するのは無理だとも分かってたので、
 結局泣きながらこいつの前でする羽目になりました。
 あたしが尿出すの後ろから見ながら、「はい、いい子いい子~♪」とか抱えながら言う
 こいつがすげえムカついて、また泣きそうに、…っていうか泣きました。
 
 しかもその後、その場でトイレの壁に押し付けられながらの立ちバックですよ!?
 カビだらけだったのを壁紙張り替えて毎日掃除しておいて良かったとは密かに思いましたが、
 でもとりあえずはそういうわけでひんやりする壁に押し付けられて後ろからガンガン。
 …ちなみに身長差有りすぎて普通にやったんじゃあたしの足が付かず、
 こうしないと立ちバックできない事に二人とも気が付いたのはここだけの話です。
 
 壁に乳首擦れて気持ちよかったのと、後ろから乱暴にされながら言葉責めされたのとで、
 トイレ見られた後の羞恥もあって二回もイっちゃったのがすげえ悔しいです。
 最初嫌がってたのが最後には訳わかんなくなって色々言っちゃってたのも忘れたいです。
 …シーツだけでなく、トイレの床と壁まで掃除しないとダメになったのが、鬱です。
 
 そうして……っていうかもうね、何こいつ?
 尻の穴いじくって来るし(いや、入り口ふにふにされるのは気持ちよかったけど)
 すごい体位あれこれ取らせて来るし(いや、実際興奮したけど)
 あたしが涙流すと必ず舐めに来るし(いや、あったかくすぐったくて気持ちいいんだけどさ)
 「お前腰弱いねー」っつって腰ツツーってして来るし(いや、実際ダメなんだけど)
 
 ってか、おっぱい大好き人間疑惑発覚。手が暇になれば即ぎゅむぎゅむ~ってして来やがる。
 何が『うわーい、おっぱいおっぱーい♪』だ!
 赤ん坊みたいに吸い付いたり顔埋めたりして来やがって!(…いや、ちょっと可愛いけど)
 あと子宮口ん所を、先っぽでくいくいって押してくるのが好きなのも発覚。
 …なんか呆けたような顔できゅーって抱きついて来て『あ…、ここ、気持ちいい…』とか
 言いやがって! なんか可愛くて胸キュンだろうがこのバカジーク!!
 
 ……って、あ。
 
 ……いや、その。
 
 ……ともかくっ!
 
 
 
「ひゃんっ! ひゃんっ!」
 ──…ともかくあたしは、そういう訳で夜通し犯され続けていた。
 朝日が昇って、白々とあたりを照らす頃になっても、まだその下に組み敷かれ。
 もうほとんど、喘ぎ声も人語のそれを為してなく、
 後ろから後背位で、それこそ犬みたく――というよりもう腕を立てる力も無くて、
 上半身をぺちゃんと這い蹲らせながらお尻だけ突き出して動物みたいに……
 
「ごしゅじんさまぁっ、ごしゅじんさまぁっ♪」
 
 ……ちなみにこれは後からの回想、
 この状況描写と考察は、この時の事をなるべく思い出しながら付記しているのであり、
 当時のあたしの発言については、後のあたしが一切責任を負う事はできないもの。
 …つーか、ほとんど記憶が無い──
 
「……お前は可愛いね」
「あうっ♪ あうっ♪」
 
 ──…無いんだよッ、とにかくッ!!
 
 
 
 ――こほん、ともかく。
 ……朦朧とする意識の中で、でも異常だと思ってたのは事実だった。
 もちろん対象は、こいつのこの異常な体力と、プラス精力について。
 
 ……いや、だって普通に考えて無理だって、一晩に12~3回だなんて。
 ついさっきまで処女だったあたしにだって、それくらいいくらなんでも分かるってもんだよ。
 仮に獣人の精力が絶倫である事を仮定したって、これはおかしいと。
 出された『もの』の量を見れば、誰だって普通にそう勘付いたと思う。
 
 股から垂れ落ちて内腿を伝い、膝付いたシーツ部分に溜まりを作るどろりとしたそれ。
 陰毛も濡らして、へたり込んだ上半身、重力に従うがままに
 胸の谷間で同じ様に溜まりをつくり、時々乳首からボタボタと地面に滴りおちるそれ。
 もちろん、毛に付着してのあいつの下腹部や太腿あたりなんかも似たような感じで、
 ベットのシーツに液溜まりを作って恥ずかしい染みを作った幾つかまでを含めたら、
 ……明らかに絶対、その『量』がおかしかった。
 
 こんなに濃いのを立て続けに大量に出して。
 いくら股の間にぶら下げてるのが立派で大きいからと言っても、
 これは明らかに容量オーバー、物理法則的におかしい。
 
 ……てかこいつ、連続で二回、三回出しても、一回目と量が変わんない……
 ……というよりむしろ、後になるほど量も濃さも増えてくってのは、どういう理屈よ?
 
 後から冷静に考えてみれば、その時点からして既におかしい。
 つか、毎回毎回あんな風にどろっどろに濃いのをびしゃびしゃ奥に出されたらね?
 
「あっ、お尻っ! お尻ぐにぐに、お尻ぐにぐにいいよぅっ!」
「……お前、お尻ふにふにされるのも大好きだよねー」
「あんっ♪ きゃんっ♪」
 
 …そりゃああたしだって、幾らなんでも『ああなる』ってもんだってのよ、うん。
 ……いや、ごめん。忘れて今の。マジで。
 
 
 
 きもちいい。
 きもちいい。
 気持ちいい。
 
 ご主人さまの おおきな手で お尻ぐにぐにされて。
 ご主人さまの りっぱなもので おへその裏 ごりごりされて。
 
 うれしくて だからあたしは 力いっぱい ほえる。
 ほえる ほえる ほえる。
 
 ……だってあたしは ご主人さまの 犬だから。
 だってほえるの がまんするより、ほえた方が ずっと気持ちいいから。
 
 ほえると ごしゅじんさまは いい子いい子 してくれるから。
 ご主人さまが 喜んでくれるから。
 だから ほえる。
 
 気持ちいい。
 きもちいい。
 気持ちいい。
 
 そうやって お尻だけ 高く上げて きゃんきゃん いってたら。
 ちらちらって しかいのはしに 何か白いものが うつった。
 
 ひらひらの きれはし。
 おもわず 右手で つかんで、口のはしにくわえて 引っぱった。
 だってあたしは 犬だから。
 どーぶつだから どーぶつらしくしないと だめなんだよ。
 
 …どーぶつらしく してたら。
 …犬らしく してたら、犬に なれるかな。
 
 …ご主人さまと 同じに ……なれるかな。
 
 ……ご主人さまの およめさんに なってあげれて。
 ……赤ちゃんも うんであげられるかな。
 
 ……家族に なってあげられて。
 ……いっしょに 同じ時間 ……生きて、あげられるかな。
 
「……あ」
 
 口のはしにくわえて 引っぱったのは、ほどけちゃった 包帯だった。
 ごしゅじんさまの お腹の包帯。
 
 ……ぱっくりさけて、ぬわなきゃだめだった お腹の傷の包帯。
 
 
 
 ──傷は、ほとんど塞がってた。
 その傷だけじゃなくて、後で見せてもらったら、体中のほとんどの傷が。
 
 ──『リジェネレイション』──
 …それがティンダロスに共通する力の一つなんだと、あいつは言ってた。
 人間を使っての【蟲毒】という、気違いじみた魔法の儀式の果て。
 101の魂を1つの身体に無理矢理重ね合わせられて生まれた存在は、イヌを『超える』。
 
 ちょうど【蟲毒】の果てに生まれた毒蛙や毒虫が、
 もはや見た目は同じでも、既にそこらの『カエル』や『ムカデ』などという存在ではなく。
 使い様によっては家に破滅をもたらし人をも呪い殺す、
 『蟲虫』と呼ばれる大変危険な力を持った、強力な呪術の道具であるように、
 ……蟲毒で生き残った『イヌ』は、もはや『イヌ』ではありえない。
 【ティンダロス】という『イヌ』をも超えた……ううん、生き物の限界にすら近づいた存在だ。
 
 リジェネレイションというのも、そんな生物の限界に近づいた能力の一つ。
 瞬時の超再生……とまではいかないけれど、
 でも適切な量のエネルギー――糖分・たんぱく質・脂肪・炭水化物その他さえ足りてれば、
 普通の獣人の更に数倍~十数倍に近いスピードで傷を治せる驚異的な自己再生能力。
 狼国をメッカとする治癒の魔法や、獅子の国の気功術でいう所の内勁とはまた違って、
 ヒドラやトロールなんかの超再生能力で有名な怪物――魔法的な生物のそれに近いらしくて。
 
──……使い物になるティンダロスは、結局4~500人に一個の割合。
──出来上がったティンダロスの内、二人に一人は出来上がった時点で既に壊れてる。
──壊れず完成したティンダロスも、さらに二人に一人は一年経たない内に気が狂う。
──無理矢理広げられた心に重ねられた魂、…そこから見える世界に、耐えられないから。
 
 ……そんなあいつの言葉を、思い出す。
 
 『心が無理矢理広げられる』、『上から100個の魂を重ねられる』というのが、
 どういう感じなのか、あたしには分からない。
 『生き物の限界に近づく』、『身体機能をある程度コントロールできるようになる』というのが、
 どういう感じなのか、やっぱりあたしには分からない。
 …ただ、おそらくとても辛い事なんだとしか。
 …見えるようになってしまった世界に、気が狂ってしまう人もいる位辛い事なんだとしか。
 
 …………
 
 …で、でも、それとこれとは別問題だ!
 あの野朗がしゃあしゃあと抜かしやがった事には、
 リジェネレイションは身体の自己防衛と免疫機構に強く関わる能力でもあるから、
 完全に制御できるわけではなくて、勝手に発動してしまう事もあるのだという。
 
 …つまり、十分に栄養取った状態で大怪我負えば、
 誰だってイヤでも身体が勝手に肉体の修復を始めてしまうように身体が出来ているように。
 完全に制御できない、あるいは本人の本心がそれを望んでいるような状態だと、
 勝手に活動を開始してしまって、すみやかに欠損の修復と補充を。
 
 【 リジェネレーション(Regeneration)=再生、刷新、新陳代謝の意 】
 
 …………
 
 つまり最大容量が大きいんじゃ、…底が無いんじゃなくて。
 ……底はあるんだけど、自然回復速度が絶対異常ってくらいに早いだけなんだよね。
 いくらダメージ与えても、全然ピンピンしてるみたく。
 
 
 
 ――こわされる
 そう思って こわくなって 逃げようとしたら。
 
「きゅっ!?」
 
 こつん、と 子宮の入り口の ちょこっと 上のところに 当たった先端。
 …体が びくっ って なった。
 
「どうした? 変な声だして?」
 ご主人さまは すぐこしを止めて、そんなあたしに やさしく声を かけてくれるけど。
 …でも 身をのりだした分 ぐうっ、と 強くおされた その当たったところ。
「あっ!」
 またなんか 気持ちいいの きて。
「…あ……そこ……」
 きゅっ、と つかんだ シーツのはし。
「……やあぁぁ…」
 なみだが 出る。
 
 
 疲れ知らずの こいつの体。
 やっぱりあたしじゃ 相手しきれない。
 …先に こわれてしまう。
 いっしょに こわれてあげないと だめなのに、
 あたし一人が 先に こわれてしまう。
 ……それが やだった。
 
「……ここ、嫌なの?」
 やさしい ご主人さまの声。
 ふかふかあったかい、だけど 大きくて 強い手が あたしの腰をつかむ。
 ふんわりと だけど しっかり。
「……うん、やだ……」
 四つんばいで へたりこんだ この体勢。
 半分だけ のしかかってくる 重さと ぬくもりが 気持ちいい。
 割ってはいった 脚の体毛が、あたしの足にふれて ちりちりくすぐる。
 腰には お腹の ふさふさした 毛がふれて。
 
 やさしい ご主人さま
 やさしい、あったかい ご主人さま
 
「そっか」
 
 笑って。
 
 
 ――ぐちゅっ、って 突かれた。
 
 
「いんっ」
 びくん、と のけぞって、悲鳴をあげた あたしの腰を、
 ふわっと なでるように、…でも ふいに がっちりと つかんで。
 
 
 ぐちっ ぐちっ ぐちっ ぐちっ
「うあっ!? うあっ! うあっ! うあっ!」
 
 ぴったり 腰をくっつけて 小きざみに。
 …でも 強くぐちぐちと そこを 押されて、突かれた。
 
 だめなのに。
 本当にそこ、だめなのに。
 なんで。
 
「やっ、やめ…っ、…やめてよぅ、やめてよぅ!」
 シーツをつかんで なみだながらに うったえる あたしに対し。
「…やーだ♪」
 こいつは 腰をつかんでた 手を放して。
 あたしの身体に おおいかぶさるように のしかかってきた 胴体、
 お尻つき出したまま へたばったあたしの頭のわきに、両手をぐっと突いて。
 
「アオウッ! アオウッ! アオウッ♪」
「やっ、はっ、はうっ! はうっ! あうっ!」
 両腕 突っぱって。
 ほこらしげにすら 見えるよう、背すじをそらし。
 
「あぅっ! あっ! やだっ、やっ、やぅぅぅっ!」
 いつもはやさしい ご主人さまが。
「だぁめ♪」
 だけどなぜか 今はいじわる。
 
 …でも そんないじわるの中に たくさんの愛情が つまってるのは わかる。
 
 しなやかに 動く腰。
 ふとももから 腰、ふっきん、身体を支える 腕のきんにくまでを 使って、
 全身汗だく、荒いあえぎ声までもらして、飽きもせずに くり返されるそれ。
 …そこに 動物じみた しょうどうと、いやらしいよろこびが 混じるのは、
 だけど 狂おしいほどの 何かが 確かにそこに あるからだ。
 
 もう かくされてない、本気で ぶつけられてくる、
 いじわるで らんぼう、わがままで、えっちい、……やさしい 何か。
 …食べられちゃいそうな くらいの。
 
 
「うあぁ…っ」
 ……それは わかるけど。
 …でも そのせいで。
 そんな 『ぶつけられてくるもの』のせいで、あたしは もうだめだ。
 
「ふっ……くぅっ…!」
 
 ──やばい。
 
「ひぁっ! …ぁっ、やっ!」
 
 ──おおきい。
 ──気持ち、良すぎる、よ。
 
 
 この次にくる波は これまでで一番の。
 とんでもなく大きくて、ちょっと未知の領域 いっちゃいそうっぽい。
 
「……ッ!」
 …たぶん たえられない。
 死ぬ、かもしれない。
 とりあえず、まずかくじつに 焼き切れる。
 
 ……こわれる。
 
 こわれる。
 こわれる。
 
 こわれる。こわれる。こわれる。
 
 
「こわ…れる…」
 
 ――こわい。
 
「こわれちっ、ひんッ! ……ッ!」
 
 ――……こわい。
 
「こわれっ、…ちゃうよぉ…っ!」
 
 ――やっぱり、こわいよ。
 
「やあぁぁぁぁぁぁっ」
 
 
 
――おぼろげにでも、しかし相手の『心の匂い』が分かるという能力は。
――やはりとても、便利なものであるらしい。
 
 
 
 ふわっ、と 片手で 抱きおこされる。
「……ふ?」
 そのまま ぐるっと身体を 反対向きに させられて、
 ちょこんと むかいあうように 足の上に 座らされた。
 
「あ…」
「…大丈夫」
 みどりいろの目で 見つめられて。
 だきしめてもらって 後ろ頭を なぜてもらって。
 
「…怖くないよ」
「あッ」
 ――でも 腰の動きは 止まってない。
「あ…あああ……」
 座り抱きに されたまま ぐちぐちと。
 ぎしぎしと べっとのバネ 使って こきざみに、
 くいくい、きゅっきゅっ って、…『そこ』 押されて。
 
「あああああああああああああ!」
 ……これ ひどい。
 ……これ さっきまでより ひどいよ。
 ……じんじん、じんじん、じんじんする。
 
 らんぼうじゃない分 でも きゅー…ってくる。
 頭のおくが つーん となって。
 子宮がちぢこまって、なんか集まるみたいな感覚あって。
 何か 身体のおくで ふくらむみたいな。
 
「…あっ、ああああっ、じっ、じーく、じーくっ!」
 びんぼうゆすり するみたいに かくかく ちぷちぷ されながら。
 …でも 歯をくいしばって ぎゅっ、って しがみついた。
 
「怖い、怖いぃっ、怖いよぉっ」
 いじわるだって、そう思いながら。
「来ちゃうっ! おっきいの、おっきいの来ちゃうぅっ!」
 でも、気がついたら足を腰にまわして、ぎゅってしがみついちゃってた。
 
「おっき、ひっ! おっきいのっ、おっき……ひんっ! ひっ、ひぃぃぃんっ!」
 涙と鼻水で ぐしゃぐしゃの顔で、はひはひ なさけない声あげながら、
 せんたくいた みたいな ふっきんに お腹こすりつけて、
 広くて ぶあついむねに、顔うずめて、乳首こすりつけちゃってた。
 そうして ふかふかの毛皮の中に 全身うめて。
 
 …めいっぱい吸いこんだこいつの匂いに、だけど頭、ぽうってなる。
 肺の中、内側からまであたしを汚染してくみたいで。
 …全身をあまねくくるんだこいつの体温は、だけどすごく安心して、どこにも行きたくない。
 皮膚の上、外側からまであたしを浸潤して、溶かしてくみたいで。
 
「~~~~~ッッ!!」
 そんな中を、気持ちいいのが、あばれて、あばれて、あばれて。
 
 せぼねが、びりびりした。
 
 …のうみそ とけちゃう。
 
 ……あついよ……
 
 ……ばかに なっちゃうよぉ……
 
 
 
 
 
「……ばかに なっちゃうよぉ……」
 ギシギシとうるさい寝台のスプリングと、ぐちゅぐちゅと粘る淫液の中、
 …それでもしくしくと啜り泣きながら、か細い声で洩らされる言葉を聞いて。
 彼女を責め立てるその律動を、はたと止めてみる。
「…………ふ?」
 甘い余韻を残して小刻みに最奥を叩く動きが止まり、
 ぎゅっと閉じていた目を薄く開き、困惑したような表情で彼女がこちらを見上げた。
 
 ……でも、彼には見える。
 ぶくぶくと醜くもいびつに肥大して、今にも破裂してしまいそうな大きすぎる爆弾。
 それを下腹部に抱え込んで、少女は怯えるようにガクガクと震えていた。
 他でもなく、植えつけたのは彼だ。
 導いて、育て上げ、彼女の腹の中にここまで膨らんだそれを仕込んだのは彼。
 
「……気持ちいい?」
 そうして嗤って、耳元で低く囁けばたちまち小波のように彼女の心に走る、
 その震えを啜って楽しんだ。
 
「…いやらしい女の子だね、お前は…」
「く…ぅ…」
 秘部への激しい抽送よりも、しこった乳首を摘まれるよりも、
 こうして頭を撫でられ、背中をさすられ、キスをされてる時の方が幸せそうな彼女を見てると、
 苦笑も込み上げてくるけれど。
 …でもとろんとした目で胸板に頭を預けてくる彼女を見ていると、不思議とジークも幸せで。
 …口付けを交わして彼女と舌を絡め合っている時に、満ち足りたものを感じるのもまた事実。
 
 
「ね? ほら……」
 ──だからこそジークは、こういうのの方が好き。
「触ってみなよ…?」
 そっと手を取って、股間の結合部へと導く。
 
 ぱんぱんに膨らんで、むっちりとした手触りを伝えるもの。
「ひ……」
 自身が作って吐き出した白濁に塗れながら、
 彼女の手にようやく納まるか納まらないかの大きさ、熱く張ってずっしりと重いそれに、
 異性の彼女でも、どれだけ濃いものが、どれだけ大量に詰まってるのか分かっただろう。
「……すごいよね」
 肩に顎を預け、イヌ特有の口を開き牙を出して笑う。
「お前の事考えてたら、こうなっちゃった」
 疲れ切って、握らされた睾丸を手放すこともできずもたれかかった彼女。
 …たぶん今は、自分の名前すら思い出せないような精神状態だろう。
 ……そうしてそこまで彼女を快楽漬けにしたのが、他でもない彼自身で──
 
「…でね、実を言うとオレさ」
 ──ボーイッシュという言葉が似合いそうな、短くめの黒い髪が好きだ。
 お湯を掛けたら玉になって転がり落ちそうなくらいの、健康的で張りのある肢体が好きだ。
 円熟した大人の女性の柔らかなそれとは違い、ちょっと硬質で重力に逆らった、
 ゴム鞠みたいなおっきめの胸が好き。
「…もうホント、限界なんだ」
 そうして上になったり下になったり逆さになったりした結果、胸の谷間まで伝った精液が、
 曇り空越しの白い朝日に照らされて、くっきりと浮かび上がるのを見ては幸せな気持ちになる。
 
 それは所有の印で、陵辱の証。
 特におへそから下から腿の中程までが酷く、まるで精液の海に浸かっているような様相で、
 でもそんな彼女の尻をも覆う白いゲル状の液体は、全て蜜壷の奥を源泉とするもの。
 ヒトよりも鋭敏なその嗅覚が、ほんの少し、…だけど確かに混ざり合った彼女の愛液の
 酸味めいた匂いを感じ取る度に、笑い出したいくらい嬉しくなった。
 一方的に掛けられた精液ではない、愛し合ってしまった証拠である、二人分の混合液。
 溢れ出たそれが次第に彼女の全身に面積を広げつつ、彼の腹や腰をも汚す度、
 あるいは腰を打ち付ける度にぐちゅぐちゅと音を立てて交じり合う度、ジークは喜んだ。
 
「あとちょっとでも動いたら──」
 何より、その瞳が。
 …普段は勝気で力強さに満ちた、その誇り高い雌獅子のような光を秘めた目が。
 …いつもは彼の事を姉や母親のごとく怒って、怒鳴って、ぶってきて、…素直じゃない目が。
 二人分の淫液に浸りながら、こんなにも震えて弱々しく。
 まるで世界に彼しか頼るものがないみたく、彼しか映してないみたいに、縋るように見てて。
 
「──出ちゃう」
「いっ!?」
 
 ぐいっと強く掴み直した腰、
 ずずずっ、と音を立てて一番奥まで突き刺さっていた肉棒をゆっくり引き抜く。
「んんんんんん!」
 抜けないように膨れ硬くなったカリが肉ひだの一つ一つを擦りあげて、
 同時に反応して収縮した肉ひだの一つ一つが抜けていくカリの表面に強く擦り付けられた。
 めくれ上がった赤い肉と、抜け出る繊毛に覆われた陰茎の間から白い泡が零れる。
 …危なすぎる遊び。
「ぐ……ぅ……」
 ゆっくりと下降しつつあった快楽の波が、再び絶頂間際まで急激に跳ね上がらされる。
 出しそう。
 イキそう。
 ……でも、キモチイイ。
「は…ぁ……」
「ああああああ……っ」
 膣口に当たって止まったものが、再度ずぶずぶと中に入っていってしまうのを、
 がくがくと震え、為す術もなく見つめている彼女を見ていると、何かたまらない。
 粘膜への刺激に込み上げる射精感はいつ暴発してもおかしくなくて、
 それは不安定な爆弾に、焼けた火箸を押し付けるのにも似た危険すぎる行為であって。
 
 ──呼吸を荒げて虚ろを見上げながら、だけどジークはこの瞬間が好きだ。
 イキそうでイケない、絶頂間際のこの感覚。
 『終わり』の運命が完全に確定していて、かつそれがやってくるまでの絶望的な時間で、
 生と死の狭間、壊れてはいけないものが壊れてしまうまでの刹那。
 
 ……今までは恐ろしくて堪らなかったその苦痛の時間が、今はどうしようもなく心地良く、
 だから少しでも長く、それを味わっていたかった。
 
「…どうしよう、出しちゃうよ、今までで一番濃いの」
「……!!」
 逃げられないように抱きしめながら、笑って耳元に囁くような言葉じゃないが、
 …だけど楽しくて、背中がゾクゾクしてたまらなかったのだ。
 『悪い事をしている』、『イケナイ事をしている』という、その堕落の甘美、背徳感に。
「…今までで一番いっぱい、お前ん中に出しちゃうよ…」
「や……」
 もう心身共に疲労困憊、希薄に広がった彼女の精神がそれで弾けてしまうのが判っていても、
 それがむき出しになった裸の精神に、自分の名前を爪で刻み込む様なマネだと判っていても、
 それでももう、止められない。
 『終わり』を招く──彼女に永遠の首輪をつけてしまうこの行為を、止める事ができない。
 
「お前が悪いんだよ?」
 彼女と『逆』の人間はたくさん居た、でも……
「…ダメだよ、オレみたいな化け物の精液かけられて歓んだりしちゃったら」
 ……ぐっと押さえつけられて注ぎ込まれ、『口では』いやいや言いながらも、
 『心は』胎内に溢れかえるものに、淫靡な恍惚と至福でいっぱいなのが判ってしまった時。
 あるいはもっとはっきり、びゅるびゅると吐き掛けられてきゅっと膣を収縮させた彼女が、
 甘く震える吐息を吐いて、赤らめた頬と熱っぽい目で彼にしがみついてくるのを見た時。
「…犯されながら、幸せそうな顔してイッちゃったりしちゃダメだよ……」
 自分の中で、何かのタガが外れるのを感じた。
 抑えられなくなった。
 目の前に置かれた据え膳に、やってみたくて、我慢できなくて。
 ついついいじってしまって、いじめてしまって。
 
 
「あふっ、ふ…や、やだぁっ! じ……くぅ…っ」
 ぐりぐりと、胸の毛皮に頭を押し付けるようにして彼女が左右に首を振る。
「なんでっ、なんででないのっ、なんでぇ…っ!」
 陰嚢を揉む、ほっそりとした柔らかい指の動きが心地良かった。
「だしてっ、だしてよぉっ、せーえきかけてぇ、びゅーっておくにかけてぇ」
 涙を振り飛ばしてこちらを見上げた彼女の顔は……当然、正気じゃない。
 
「いいの…? 壊れちゃうんだよ…?」
「ひぅっ」
 びくりと竦んだ彼女を見ながら、それでも善人ぶる自分をもう一人の自分が笑っている。
 …答えを分かって言ってるくせに、と。
 …逃げられないようにここまで追いつめておいて何を今更、と。
「あ……こ…われるの……、こわい…けど……でも……」
 ──自分がしたのは、ほんの少し背中を押してあげただけ。
 ──余計な覆いを全て取り除いて、ただ彼女の心を完全に解放してあげただけ。
 ──誓ってたったそれだけで、開けた中身はいじくってなくて。
「…あったかいの…ほしい……」
 でも、それでも、火に油を注ぐまねになるのを分かっててやった。
 それだけでも十分恐ろしい事になりかねないのを、知ってて、分かってて、やったのだ。
 
 ……わざと。故意に。
 
「そんなに奥に出されるの、好き?」
「うんっ、すきぃっ」
 隠そうともせず、欲望のままに無邪気な笑顔を示した彼女。
 ──ワルイコトをしている。
「おちんちんびくびくって、あっついの、あったかいの、おくにびしゃびしゃってでるの、すきぃ…」
 あられもなく自分の淫らな願望を曝け出して彼の身体に抱きついてくる彼女。
 ──イケナイコトをしている。
 
 ──ワルイコトを
 ──ワルイコトを
 ──ワルイコトを、でも……
 
 ──……でもそれが、
 ──堪らなくタノシイ、キモチイイ、ヤメラレナイ。
 
「あは…かわいいよぉ…」
 愛しげに彼の睾丸を揉む手は、一片の偽りも無い慈愛に満ちていて。
「じーくのたまたま、かわいい…」
 脳まで走り抜ける心地良さ、どんな最上級の娼婦の指よりも恍惚の溜め息を誘う。
 指の中で動かし転がされる度に、中のものが濃くなってく気がして仕方ない。
「これ、ぜんぶ、でるんだね…」
 それを彼女も感じ取ったのか、中身のものをぽうっと見つめる彼女の心に、
 嫌悪や卑蔑の色はなくて。
「ぜんぶ、あたしのなかに、でちゃうんだね…」
 自分の一番神聖な部分に、こんな不浄を受ける事を、露ほども躊躇した様子はなく。
 
 ──狂えばいい
 
 ──狂えば……
 
「いいよ、ばけもののせーえきでも」
 ──……狂わされたのは、
 ――……どっちだろう?
「じーくのせーえき、ほしい……」
 ――……分かる彼女の心、分かる彼女の想い。
 ――……起こり得ないその事を夢見て、彼女の望みを叶えてあげたく。
 ――99.99…%起こらない、10のn乗分の1の確率を目指して腰の動きを止められないのは。
 
 
 睾丸を揉む手を、ジークは無言で取る。
「あ……」
 そのまま両手を自分の尻へと回させ――逆立った尻尾を握らせた。
「……はっ」
 恐る恐るそれを握った彼女だったが、だけど強くそれをしごいた拍子に、
 反り返った尻尾と同調するような形で屹立がビクンと反り返るのを感じた時には、
 もう意味するところは分かった事だろう。
 
 一番深いところで止めたジークの両腕が、彼女の背と尻とを固定した。
 そうしてそのまま、もう離れるのすら嫌だとばかりに離れない。
 最密着状態で動かない男に対し、だけど最後のレバーは女の手の中に。
 ……言葉にせずとも、互いの想いは伝わる。
 
「あ……じーくの…しっぽぉ…♪」
 小柄な彼女では、思いっきり抱きついて精一杯腕を伸ばさないと彼の尾に手が届かない。
「かわい…かわいいよぅ…♪ …かわい…かわ…」
 だから自然、ぐいぐいと身体を押し付ける格好になって。
「…あ、あ、あっ、あっ、あっ」
 そうして向かい合うような形で『そこ』にめり込んだ亀頭。
 大量の先走り汁を垂れ流す鈴口が、子宮口にキスをする形で密着する。
 一番危険な所への一番危険な射精を、だけど彼女は自ら受け入れようとしている。
 それを見てジークも――
 
「……お前は、オレの、性欲処理道具だ」
 
 ──ぐっと彼女の腰を抱き寄せる手にこめた力。
 快楽に濁った瞳、遠くを見るような目で、呟いた言葉。
 
「…ふぁい……」
 
 ──でも、それは、儀式だ。
 擦り上げた尾に反応するように、跳ね上がってさらに食い込む先端を感じながら、
 彼女がそれに抵抗感なく頷くのはそういう理由。
 
「死ぬまで、オレの、肉奴隷なんだからなっ」
「ふぁいぃっ!」
 叫びに呼応するように叫んで、彼の尻尾を強く握る。
 ──厳然たる事実として、『デキるわけがない』と判っていても。
 ──だけどそれでも二人とも、孕ましたくて、孕ませられたくて。
 
「お前はっ――」
「ふぁっ――」
 思いっきりしごき上げたものが、彼女の手の中できゅうぅっ、と弓なりに反り返って。
 悲鳴をあげた彼女の下で、同じく痙攣ついでに反り返った屹立、睾丸がくいっと持ち上がる。
「一生っ――」
 精管が一瞬で真っ白に染まり、即座にそれに尿道が続き。
 反り返った中のものが、一瞬膨らんだように感じたのは、彼女の錯覚ではない。
「――オレの、モノだ!!」
 吼え声にも似た叫び声。
 刻み込むような言葉に、少女が思わず抱きつく腕に力を込めた次の瞬間、
 膨らんだ亀頭と広がった尿道から、大量の白濁がどっと溢れ始めた。
 
 尾骨の先から、脳のてっぺんまで。
 男の身体を今まで感じた事もない、脳が溶けて馬鹿になりそうなくらいの快感が走る。
 
 
 
 どぶっ、ぶしゅっ、ぶびゅっ、びるるっ
 
 
 
「やあぁぁぁ―――――――――――っ!!」
 どう見ても倍近い体格、毛むくじゃらの巨躯に抱きついた細く白い女の肢体が、
 高らかに澄んだ声を上げた。
 繋がった部分からは、恐ろしく濃いゲル状の白濁が次から次へと溢れ飛び散る。
 
「にっ、にんしんしちゃう、にんしんしちゃうよぉっ」
 出来るわけないじゃないかと、笑えない。
 それくらい――。
 
「…孕めよ」
 ――それくらい。
「…全部、オレが、面倒見てやる」
 ……それくらい、強くて、逞しくて、侵蝕されて、抱きしめられて。
 
「あはっ……」
 最高の快楽の中で、ビクビクと痙攣する先端と、吐き掛けられる熱いゼリーを感じながら。
 背中を抱きとめる力強い腕と、同時にあまりの射精の勢いに下がりそうになる尻を、
 だけどぐっと押さえつけ、執拗にゼロ距離射撃を続けようとするケダモノの腕とを感じながら。
「ふぁぁ…ん♪」
 
 その瞬間、自分が完全に食い尽くされたのを感じて。
 
 そこで彼女の意識は、砕け散った。
 
 
 
< 続→終の事 >
 
                                         【 狗国見聞録 淫の事 】
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