猫耳少女と召使の物語@wiki保管庫(戎)

最高で最低の奴隷15

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「………………………」
「………………………」
「………………………」

 

 残った三人は誰も言葉を発しない。
 しかし、セリスは微笑したまま沈黙を保ち、キーシャはノホホンと惚けているが、メルだけはそっぽを向いたまま、目だけでセリスの方をチラチラと見ている。
 その様子は見方によっては犬が主のご機嫌を伺う素振りと酷似していた。
 するとセリスが行動を起こした。
 姿勢を正し真っ直ぐメルの方を向き、胸に手を当てて口を開く。

 

「さて、そろそろ機嫌を直してくれないでしょうか姫様、我が主が約束の時間に遅参したのは事実ですが、それは仕方ない理由があってのことです。また、もしも先程の僕の態度に付いてお怒りならば謝罪します」

 

 完全に他人行儀な口調でセリスは優雅に頭を下げた。
 しかしながら姫様は、その反応は大いに不服らしい。

 

「そ、そんな事言ったって絶対許さないんだからっ!!」
「そうですか―――」

 

 叱り付けるようなその声に、セリスは特に慌てた様子もなくあっさり弁明を止めた。

 

「では仕方ありませんね。別の方法を使いましょう――――」

 

 そう言うとセリスは無造作にメルに歩み寄る。

 

「な、何よ――」

 

 まるで天敵を目にした小動物のようにメルが後退るが、いつの間にか背後に来ていたキーシャに羽交い締めにされ、動きを封じられる。

 

「は、放しなさ―――ひゃうっ!?」
「あら駄目ですよ。メル様、そんなに声を上げたらミリア様に聞こえてしまいますよ」

 

 窘めるように忠告するメイドの手の平は、いつの間にか主のワンピースの中に潜り込んでいた。
 鎖骨の辺りを指が這い回り、その指が乳房に掛かる。

 

「や、やめなさい」

 

 震える制止の声上がる物の、それは手の動きを何ら阻害することはなかった。

 

「止めなさい? 今そう言ったのメル?」

 

 冷ややかなその幼い声に、メルは体を震わせる。
 まるで飼い主に粗相を咎められた犬のように、その瞳には恐れと自責の念が浮かんだ。

 

「ち、違う―――そうじゃあうっ!!」

 

 慌てて弁明の言葉を口にしようとしたメルだが、その豊満な胸を握り潰され苦痛に顔を歪ませる事しかできない。

 

「何が違うんですかメル様? あなたは只の玩具なんですよ。それが持ち主に口答えするなんて―――とんでもありませんわ」

 

 身の程知らずな駄犬を見るような目付きで、キーシャはメルの首筋に口付ける。
 それは決して優しい物ではなく、まるで仕置きするかのように歯を立てる激しい物だ。

 

「あぁつっ!?」

 

 痛みに顔をさらに歪めるメルに近づくと、セリスは無造作にその腰に手を掛けた。

「動かないで、じっとしててね」

 

 身をよじろうとしたメルをその一言で硬直させ、ワンピースの上から腰や臀部を撫で回す。
 そして何かに気付いたかのようにその動きを止めた。

 

「………………メル、スカートをめくって」
「…………………」

 

 唐突なセリスの命令に、メルが返したのはあまりの無礼に対する叱責でも怒声でもなかった。
 只、悪戯がばれて大人に怒鳴られる寸前の子供のように体を震わせ顔を俯かせている。

 

「………………………メル、僕はスカートをめくれと言ったよ」

 

 二度目の言葉にメルの体が大きく震える。
 躊躇するように、二度、三度と腕を動かしてしかしやはり出来ないのか、最終的にはスカートの端を持ったまま固まってしまう。

 

「――――お願い。やるなら、部屋で―――」

 

 傲慢な光をたたえていた瞳に涙をため込み、今にも泣き出しそうな顔で懇願するその様子には、先程までの高飛車な態度は影も形もない。
 しかし、そんな事があろうともセリスの態度は変わらない。

 

「メル、僕の言うことが聞けないの?」

 

 珍しく苛立ったような声に、メルの手がさらに握り込まれた。
 何かに観念したかのように、ゆっくりとスカートの裾を持ち上げていく。
 メルの足下は活動的なブーツに包まれ、そこから伸びる純白のストッキングがセリス達の目にさらされる。
 しかし、スカートが全て捲り上がったとき、太股の間にあるはずの最も重要な布は存在していなかった。
 本来秘められるべきその場所は、無防備にも外気にさらされているのだ。
 しかも、そこから流れ落ちる粘着質な雫が太股を伝い、ストッキングに大きなシミを作っていた。

 

「ねぇ、何で下着を付けてないの?」

 

 生意気な子供が大人を困らせるためにする質問のように、無邪気で悪意に満ちた口調でセリスは首をかしげた。

 

「ああ、それはですね。さっきびしょびしょに濡らしちゃったんですよ」

 頬を羞恥心で真っ赤に染め顔を背けるメルの代わりに答えたのは、彼女を背後から抱きしめているキーシャだった。

 

「メル様ったら、セリス様が来るというのにさっきまで自分で弄ってたんですよ。セリス様の机で椅子の匂いを嗅ぎながら―――」

 

 キーシャの微笑みは先ほどまでの主に仕える召使いの物ではなく、頭の悪いペットに飼い主が向けるそれと同様の物だ。

 

「本当にしょうがありませんね。待ちきれなくて、椅子を涎でベショベショにしちゃうなんて、毎日あれだけイヤらしい事をしているのに―――」
「ふ~ん、でもさ何でまだこんなに濡れているのかな。それどころかまだ出てきてるように見えるんだけど、ねぇ、メル?」
「…………………」
「……………メル、ちゃんと説明して」

 

 説明を求めるセリスに、しかし、メルは顔を背けて黙り込む。
 すると、キーシャの手がワンピースの肩紐をずらし、そのままズリ下げる。
 本来守られるべき下着に包まれておらず三次元世界に豊かに進出しているその胸部は、しかしその先端が異常だった。
 桃色の突出した突起には、そこを貫通して小さな金属環が通されているのだ。

 

「ひぎぃっ!?」

 

 キーシャの指先が、金属環を捻りあげれば、当然それが貫通している突起も捻られることになる。

「メル様、ちゃんと話を聞いています?」

 

 声音だけは優しげな物を使いながらも、その指は金属環を捻って引っ張っている。
 悲鳴を上げるメルを無視しながら、キーシャの腕は止まらない。
 
「今、あなたのご主人様が、あなたに命令しているんですよ。ちゃんと答えないといけないじゃありませんか」

 

 丹念に言い聞かせるように、しかし指の動きは一切の容赦が無く金属環を弄る。
 そしてセリスの眼前に晒された場所からは、ことさらに多量の液体が溢れ出てきていた。

 

「…リ…に……れ………らひぎぃっ!!」
「ハッキリ仰ってください」

 

 真っ赤な顔のままボソボソと呟くメルの金属環をキーシャは容赦なく引っ張る。

 

「……ス……ら…て…か…――――ひぅっ!!」
「………………………」

 

 未だに言葉を掠れさせるメルに、無言で金属環が捻られる。
 サディストの色をたたえた瞳のまま、キーシャは再び言葉を促す。

 

「セ………見………る……――――」

 

 しかし、とても聞き取れるような声を出さないメルにキーシャは嘆息する。

 

「…………………メル様、何を恥ずかしがっているんですか、此処には私達しか居ないんですよ。いつもあれだけの事をしているのに、今更恥ずかしがっても仕方がないでしょう」

 

 先程までとは違い、優しく言い聞かせるようにメルの耳元で囁かれる。

 

「このままじゃあ、いつまでたってもお預けですよ。ほら、早く言わないと―――」

 

 キーシャの言葉にメルの唇が震える。
 彼女が顔を上げると、律儀にもその遣り取りを黙って待っていたセリスと目が合う。
 その目は、さっさとしろと言っていた。

 

「……………セ、セリスに、み、見られてるから―――」

 

 メルは覚悟をしたように小さな声で、しかしハッキリとそう呟いた。
 その言葉を聞いたセリスは満足げに微笑むとその小さな手をメルの太股に触れさせる。

 

「…………本当にイヤらしいね。こんな場所で、触られたわけでもないのに、見られただけでここを

こんなに濡らしちゃうなんて―――淫乱な兎じゃあるまいし」

 

 そう言いつつ、セリスの指先はメルの太股を軽く撫でる。
 それだけで彼女の体はピクピクと震えた。
 それと同時に秘所から液体が溢れ出す。

 

「全く、少しは我慢したら? どんどん溢れてくるよ」
「ふぁうっ」

 

 嘲りの声と共に、セリスは喘ぐメルの秘所に顔を近づけた。
 その視線を感じているのか、そこからは止めどなく水分が溢れ出してくる。

 

「ふっ」
「ひっう!!」

 

 セリスがそっと息を吹きかけた瞬間、崩れそうになったメルの体をキーシャが支える。

 

「あら、ちょっとイっちゃったみたいですね。さっきから、ずっと我慢していましたから―――」
「う………あぅっ」

 

 メルの顔は熱に浮かされた病人のように火照っていたが、その表情は苦痛と言うよりも、とても心地よさそうな物だった。

 しかし、次の瞬間にはその目が大きく見開かれる。

 

「うぁひぎぃっ!!?」
「あれ、少し刺激が強すぎたかな」

 

 セリスの指先にはキーシャの触っている金属環よりも、一回り小さな物があった。
 そしてそれが繋がっているのは、太股の間にある小さな突起だ。

 

「でも、それはないかな」

 

 セリスの指先が金属環を引っかけながら、愛液が溢れ出る膣内に沈んでいく。

 

「いぁっ――いぃっ」
「メルは乱暴にされるのが大好きだから、このぐらいの刺激じゃ逆に物足りないよね」

 

 気遣いという言葉を全く感じさせないように、セリスの指は膣内を抉る。

 

「そ、そんなことはな――」

 

 否定の言葉は途中で遮られた。
 キーシャがメルの唇を自分の唇で塞いだからだ。
 もっとも、言葉が喋れたところでその惚けたような表情からでは何の説得力もないだろうが――
 閉じられていた口をこじ開け、強引に舌をねじ込む。
 口の中を蹂躙するキーシャの舌に、初めは抵抗していたメルもやがては自らその舌を絡めるだす。

 

「おや、もうすぐイキそうだね。最初の一回は大目に見てあげるから、派手に果てなよ」

 

 手に伝わる感触からメルの状態を把握したセリスは、そのまま一気に指を押し込み金属環を捻りあげる。

 

「………………っ!!」

 

 口を塞がれているため、満足に声を上げることも出来ずメルの四肢が突っ張った。
 仰け反り倒れそうになる体をキーシャが支え、押さえつける。
 やがて硬直していた四肢から力が抜けると同時に、メルの秘所からはそれまで流れていた物とは別の液体が勢いよく噴き出す。

 

「あーあ、またお漏らしして―――本当に我慢できない子だね。君は―――」
「ふぁああっ――――」

 

 セリスの嘲りも、恍惚の表情のメルは聞いていない。
 半開きの唇からは唾液が零れ、その銀色の瞳は焦点を失い、形の良い眉は悩ましげに潜められている。
 弛緩した体はキーシャが手を放すと、そのまま自分の出した液体で汚れた床にへたり込んでしまう。
 その眼前にセリスが濡れた指を突きつけた。

 

「君の物で汚れたんだ。綺麗にしてね」
「………………んあ」

 

 ほぼ反射的にメルは首を伸ばし、舌を突き出す。
 そのまま、突きつけられた指を口に含み、自分の唾液でセリスの指を洗う。
 まるで飴でもしゃぶるかのように、舌を絡め舌で舐め回す姿を見たセリスは唇を歪める。

 

「僕は別に口で綺麗にしろなんて、一言も言ってないんだけど―――」
「…………あ――」

 

 その言葉にメルの動きが止まり、目が見開かれた。
 夢うつつだった心がその一言でハッキリ目覚める。
 同時に恐ろしいほどの羞恥が彼女の顔を赤く染めた。

 

「口では何とでも言うくせに、君ったら本当はイヤらしいことが大好きだね」

 

 セリスは、そのまま手をメルの太股の間に手を入れようとしたが、その手は掴んで止められた。

 

「………………つ、続きは部屋で―――」
「ああ、じゃあそうしよう」

 

 羞恥に身をくねらせ、慈悲を請うようなメルの言葉をセリスは意外にもあっさり了承した。

 

「でもね、僕達の方はまだ物足りないから、続きをやらせて貰うよ」

 

 驚いているメルから視線を外したセリスはキーシャの方を見る。
 視線を受けた方は心得たとばかりに頷き、セリスの前で屈み込む。
 そして何の躊躇いもなく、唇を重ねた。
 二人のキスは先程メルが受けた物と違い、互いの口に舌を差し込み貪るような口付けだ。
 辺りにはしばらくその水音だけが響く。
 キーシャは自らの手でメイド服の胸元を開くと、積極的にセリスの手を服の中に迎え入れた。
 そこから覗く肌の上にあるのは、幼い容貌に似付かわしくない黒い下着だ。

 

「ふふ、セリスさん。私もさっきから我慢していたんですよ」

 

 服の下で蠢く手にキーシャは心地よさそうに目を細める。
 はだけられた胸元から、さらに下着をずらして乳房を露出させた。

 

「ほら、ここもこんなに――――ひゃうんっ!?」

 

 自らの胸を突き出し、その桜色の尖った先端を誇示するとセリスがいきなりそこを口に含む。

 

「も、もう、いきなりなんですから――――」

 

 非難するような眼差しではあるが、その声は楽しそうだ。

 

「別に前戯は必要ないでしょう?」
「ふふ、そうですね」

 

 キーシャはセリスを正面から抱きかかえると、備え付けられていたソファーに横たえた。
 そのままエプロンドレスのスカートを捲り上げ、躊躇無く下の下着を脱ぎ捨てる。
 そしてセリスのベルトを緩めると、そこからは子供の身体には似付かわしくない物が顔を出す。
 キーシャがチラリとメルの方を覗き見ると、本人は隠しているつもりだろうが露出したその部分をまじまじと見つめていた。

 

「行きますよ」

 

 もはやキーシャの方は充分に潤んでおり、愛撫の必要もなくセリスの物を迎え入れる。

 

「ふぁあ――」

 

 熱く濡れた吐息と共に突き抜ける衝撃にキーシャは体を震わせる。
 何度となく経験したことだが、しかし、全く飽きることはない感覚が快楽という物だ。
 しかし、快楽に惚けたのも数秒―――
 すぐさま腰を動かし始める。

 

「セ、セリスさんたら、小さいくせに、こ、此処はこんなに大きいなんてずるいですよ」
「おや、そっちの方が嬉しいでしょう。君の中は喜んでいるみたいだけど」

 

 どこか悔しそうに言うキーシャに、セリスはしれっと答える。

 

「………じゃあ、こうします」

 

 セリスにのし掛かり体を密着させてそのまま抱きしめる。

 

「…………何のつもり?」
「あら、セリスさんはこうやって抱きしめられるのが大好きなんでしょう」

 

 少年の背中に指を這わせながら、キーシャは悪戯っぽく微笑む。
 そして、彼女の言葉が正しいことを証明するかのようにセリスの頬は僅かな赤みが差している。

 

「誰が――ん」
「意地っ張りですね。本当に―――」

 

 哀れむような表情のキーシャは、漆黒の髪に隠れた耳朶を探し出して舌で舐め回す。
 もしも、ここにセリスのご主人様や弟子がいたら驚愕したことだろう。
 あの魔王がどこかくすぐったそうに身を縮こまらせる姿など、性技に対して常に受け身の彼女達には想像力の範囲外の出来事だ。

 

「うふふ、責めるのは得意なくせに責められるのは苦手なんです――ひゃふっ!!」

 

 しかし、セリスはやられたまま黙っているような存在ではない。
 胸に埋まった唇で皮膚と肉をついばみ、腰を揺らす。

 

「そ、そっちがその気なら、こっちだって容赦しませんよ」
「…………それはこっちの台詞だよ」

 

 憤慨するキーシャに対し、セリスの方は非常に不機嫌そうに受ける。
 彼にとって他者に体を触られるのは腹立たしい事この上ない。
 自分から触れるのは平気だが、相手から触れられるというのは例えそれが心地よい物でも腹が立つと言う身勝手なこだわりを持っている。
 しかし、キーシャはそんなことに頓着せずにセリスの体に触れていく。
 うなじに唇を押し付け、額を唾液で濡らして、自らに突き刺さっている物を手で優しく握り込む。
 対するセリスは乳房に顔を埋め、その敏感な突起に軽く吸い付き、そのまま空いた両手でそれぞれ、残った乳房の突起と太股の間の突起に爪を立てる。

 

「…………あ」
「…………ん」

 

 互い互いに相手の感じるところを愛撫し合うのは、しかし相手に感じて欲しいという意図があるわけではない。
 主導権を握り、相手をよがり狂わせるため、屈服させるために相手の敏感な部分を責めているのだ。
 セリスが乳房に顔を埋めれば、キーシャは手に唾液を塗して服の中に滑り込ませる。
 セリスが背中に指を滑らせれば、キーシャは耳元に息を吹きかける。
 セリスが太股の間に手を差し入れれば、キーシャは自らに埋まっている物の裏筋に爪で引っ掻く。
 自らの快感を得ると言うより、相手を負かすための性技は激烈で加減もない。
 両者とも少しでも多く相手に快楽を与えようと激しく愛撫を続ける。

 

「…………ふぁあ」
「…………………」

 

 しかし、途中まで互角であった勝負も幾ばくかの時間がたつと決着が見えてきた。
 顔を真っ赤にして表情筋が緩み、それまで滑らか動いていた腰が震えだしたキーシャに対し、セリスの方はその白い肌がほんのりと染まっているだけだ。

 

「もうそろそろ限界だね」
「ま、まだまだですよ」

 

 余裕で微笑むセリスにしかし、キーシャは諦めの表情を見せない。
 少しでも相手に快楽を喰らわそうと腰の速度を一気に上げる。

 

「諦めが悪いね」
「ふやぁっ!?」

 

 苦笑と共にセリスがキーシャの腰を掴み強引にその動きを止める。
 そして一気に自分の腰を突き上げ、彼女の腰を叩き落とす。

 

「……………っはぁっ!!」

 

 自分の体内で炸裂する衝撃に声もないキーシャに、セリスは追撃の手を緩めない。
 彼は体を起こすと強引にメイド少女の体を回転させて、彼女を背後から抱きかかえられそのまま腰を動かす。

 

「は、反則ですよ。これは――」
「自分に有利な状況を作るのは兵法の基本でしょう」

 

 この体勢ではキーシャはろくに反撃も出来ない。
 セリスに抱きかかえられてされるがままに蹂躙されるしかないのだ。
 しかし、例え別の姿勢であったとしても、すでにキーシャの手足からは力が抜けており余力がないのは明らかだ。
 どちらにしろ結末は変わらなかったことだろう。
 
「はい、仕上げ♪」

 

 言葉と共に腰が突き上げられ、キーシャの最も奥深いところにセリスの物がぶち当たる。

 

「っあぁあぁぁああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああぁぁああぁああっ!!」

 

 絶叫と共に四肢が伸びきり、さらに数瞬後にキーシャの全身から力が抜けセリスの方に倒れ込む。
 次の瞬間、セリスの物から吐き出された液体がキーシャの中を埋め尽くした。

 

「ふふふ、また僕の勝ちだね」
「ふぁう――」

 

 達したばかりの粘膜を刺激され、呂律が回らないながらも悔しげに自分を見上げるキーシャに、セリスは勝利者の余裕を持って応対した。

 

「………………で、君は何をやっているのかな? メル」

 

 突然向けられた言葉に、今まで友達から仲間外れにされた子供のような表情でセリス達を見ていたメルの体が震える。
 彼女を見れば、その手が自らのスカートの中に潜り込んでおり、その下には小さな水溜まりが出来ていた。

 

「………………こ、これは――」
「…………続きは部屋でやるって言ってなかったっけ?」

 

 慌てて手を背後に隠すメルだが、そんなことでセリスの追求を逃れられる訳がない。

 

「ねぇ、メル怒らないから正直に言いなよ。君は今何をしていたの?」

 

 恐らく彼の主が聞いたら全力で後退るような猫撫で声を出すセリスに、メルは黙ったままだ。

 

「…………………」

 

いつまでも黙っているメルにセリスの方も無言でキーシャを押しのけて、ソファーから起き上がる。

 

「ねぇってば―――」

 

にこやかな笑顔でメルの眼前に立ったセリスは、そのブーツに包まれた足をスカートの中に滑り込ませた。

 

「あ、駄目っ―――」

 

 慌ててスカートを押さえるメルであるが、そんなことでセリスの動きを阻害されない。

 

「黙ってないで答えてよ」

 

 本当に無邪気な笑顔でセリスはブーツの靴底でメルの秘所を踏み付けた。

 

「っぁ、ああ!!」

 

 すでに濡れそぼっていたそこは、愛撫とは到底言えない乱暴な扱いにも反応する。

「一体君は何をしてたのかな? スカートの中に手を入れて、此処をこんなに濡らして―――ねっ!!」

 

 足に力を掛けて靴底の凹凸で一気に擦りあげると、メルの体は面白いように痙攣する。

 

「っ!!」
「何? ちゃんと言葉を喋ってくれないと僕には分からないんだけど―――それともずっとこうされていたいの?」

 

 無邪気な笑みのまま、セリスは足に力を込める。
 そして、口元を歪めてその小さな唇から一言の言葉を発した。

 

「変態」

「っ!?」

 

 セリスの言葉を聞いた瞬間、メルの体がそれまでとは明らかに違う震えを起こした。

 

「本当、君ってイヤらしいよね。何、これだけ恥ずかしいことさせられているのに、此処をこんなにして―――一」

「ち、違う。そんな事―――ひぃぐぅうっ!!」

 

 否定の言葉を放つ前にセリスの足に体重が掛かる。

 

「何が違うの? 普通こんな事されたら、怒るでしょう。それなのに何でそんな風に気持ちよさそうな顔してるの?」

 

 蔑みを込めた視線を向けながらセリスの言葉は続く。

 

「いつも、最後にはあんなに乱れるくせに今更清純ぶっているつもり? て言うかこうやって虐めて欲しいから君って否定しているんだったよね。ああ、そうなら存分に虐めてあげるから安心しなよ」

 

 セリスが足の動きを速くする。
 ブーツの靴底が秘所の突起をすりあげ、爪先が膣口にめり込むたびにメルの口から艶の混じった喘ぎが漏れる。

 

「毎回あれだけ人をオカズに自慰をしたら駄目って言ってるのに―――今度は椅子なの? その前はソファーだったよね。どうせまた顔を擦り付けて臭いを嗅いでいたんでしょう。それで興奮して自分で弄って、本当に節操がないね」

「……ひぃ…あぁ…ぁぁっ」

 

 セリスが蔑みの言葉を口にするたびに、彼女の秘所からは密が溢れ出し絨毯を汚す。
 そのままセリスが続ければメルは達する事が出来たであろうが、彼は唐突に足を止めた。
 そしてそのまま、スカートから足を引き抜く。

 

「……………」
「その物欲しそうな顔は何、そんなに足でされたのが良かった?」

 

 大好物のおやつを取り上げられた幼女のような表情のメルに、セリスは意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「でも駄目だよ。君だけ気持ちよくなるなんてね。自分の立場を分かっているでしょう」

 

 楽しげに突きつけられたその言葉に、メルの腕がピクリと反応する。
 二、三度迷ったように上げ下げされた腕だが、結局おずおずとセリスに伸ばされた。

 

「…………………」

 

 セリスの顔を見ないように、セリスに顔を見られないように俯きながらも、その腕は少年のズボンに掛かった。
 そこからはみ出たモノ手に取りゆっくりと口づける。

 

「う……みゅぅ……はぁあ」

 

 口に含み、舌でしゃぶり、舌を這わせる。
 初めはゆったりとしていた動きだったが、その動作は時間と供に早く激しくなっていく。

 

「…………………」

 

 顔の造形が崩れることも構わず、啜り上げ吸い上げる少女をセリスは特に面白くもなさそうに見下ろしている。
 その表情に気付いたのか、メルの奉仕が一層激しくなった。

 

「ふぁ……うちゅ……」

 

 いったん口からモノを出すと、白髪を巻き付け再び口にくわえ直した。
 虎の中で最も尊い証が唾液で汚されるが、メルはそのまま舌を動かす。
 舐め上げ、圧迫し、包み込む。
 くわえた物の感触を確かめながら、少しでも良くなるようにと動きを変化させる。

 

「…………まだ足りないね」

 

セリスの腕がメルの後頭部を鷲掴みにし、一気に押し込んだ。

 

「むぐぅっ!?」

 

 咽奥を突かれ、吐きそうになるがセリスはそれを許さない。
 まるで道具か何かを扱うように、前後に勢いよく動かす。

 

「舌を止めないでよ」

 

 苦しげに呻くメルに構わずセリスは頭を揺らし続ける。

 

「うぁふ……っぃ……ちゅっっ………」

 

 必死でセリスの要望に応えようと、メルは息苦しさに耐えて舌を動かす。
 そうする事により口の中の物は、だんだんと大きく固くなっていく。

 

「もう良いよ」

 

 セリスはそう言って掴んでいた頭を無造作に放り出す。
 当然、そうなればメルの体も床に放り出される事になるが、そんな事を放り出した本人は気にしない。

 

「…………………」

 起き上がったメルは、飼い主のお預けを解くのを待つ犬のような表情でセリスを見上げる。
 そんな、彼女を一瞥するとセリスは優しい笑みを浮かべる。

「さて、もう一度しようか」

 そしてその笑みが向けられるのは、メルではなくキーシャだ。

 

「ああ、君はもう部屋に行ってなよ。邪魔だから――」

 

 突き放すその言葉にメルの顔が泣きそうに歪む。

 

「や、やぁ―――意地悪しないで―――」
「君はここでするのが嫌なんでしょう。だったら、部屋に戻れば―――」
「ち、違う」
「何が―――さっき君が言ったんだよ。ここでしたくないって、言った事には責任を持たないとね」

 

 必死で食い下がるメルだが、セリスは野良犬でも追い払うかのように手を振る。

 

「違うのぉ、さっきのは違うの――――」
「ふ~ん」

 

 嗚咽すら混じり始めたメルの声に何を感じたのか、セリスは近くのソファーに腰掛けた。
 そして足を突き出し言う。

 

「舐めて綺麗にしてよ――――いつものようにね」
「こ、ここで?」

 

 さすがに抵抗の声を上げるメルだが、その顔にあるのは怒りでも嫌悪でもなく羞恥のみだ。
 しかし、セリスが無言で視線を向け続けると、ゆっくりと床に四つん這いになった。
 本質はともかく、見た目はヒトの少年である物の足下に這い蹲る姿は、とても一国の王女とは思えない。

 

「………………ん」

 

 セリスの履いている革製のブーツにメルは顔を寄せる。
 すんすんと、まるで地面に落ちている餌を喰らう前の犬のように、その形の良い鼻を動かし始めた。

 

「…………なに、臭いをかいでいるの?」

 

 上から降ってきた言葉にメルの体が傍目からも分かるように震える。
 恐る恐る上を見上げた彼女が見たのは機嫌の悪そうな魔王の表情だった。
 慌てて舌を伸ばしてブーツを舐め始める。
 ついさっきまで自分の秘所を嬲っていた物に舌を這わせ、付いた愛液をすするメルの顔は、真っ赤に染まりながらも、どこか嬉しそうだった。

 

「靴はもう良いから、脱がして――――――もちろん口以外使っちゃいけないよ」

 

 手を伸ばしてブーツの靴紐を解こうとしたメルにセリスが釘を刺す。
 仕方なく、メルは顔を突き出し靴紐を銜えて解いていく。
 紐を緩め終わると爪先を形の良い唇で銜え、引っ張れば、かすかな抵抗の後あっさりと靴は脱がされ黒い靴下が現れる。
 そうしたら今度はセリスの足指ごとその先を飲み込み、歯と唇を使って麺類をすするように靴下を脱がしていく。

 

「うちゅう、うぐ、じゅう」

 

 脱がし終わった靴下を脇に置き、本格的に足の指に舌を這わせ始める。
 まず親指から始め、指の間にも丹念に舌をねじ込んでいくと、セリスが心地よさそうに喉を鳴らした。

 

「そうそう、その調子だよ」
「ふ、ちゅう、ちぅう、ふぁああっ!?」
「っ!?」

 

 満足げにセリスがメルを見下ろしていると、突然彼女の歯が足の指に突き立てられた。
 一瞬、身を固くするセリスだが、次の瞬間にはメルの背後に抗議の視線を向ける。

 

「賭は僕の勝ちだったはずだけど―――」
「ふふ、良いじゃありませんか、私だけ仲間はずれなんて酷いですよ」

 

 メルの背後、そこにはいつの間にかキーシャが立っており、その手をメルのスカートの中に忍び込ませている。
 心底不快なセリスの心証を知ってなお、彼女はその視線を物ともせずにそう微笑む。

 

「………………………」

 

 セリスが視線をおろせば、メルが不安そうな視線で自分を見上げていた。

 

「………………まあいいや、好きにすればいいさ」

 

 その言葉に足下に這いずっていたメルの顔が、主人にご褒美を貰えたペットのごとく輝いた。
 そしてその喜びを表すかのようにセリスに対する奉仕にも熱が入るが、足の指をくわえるたびにキーシャの指がメルの体を滑り、奉仕の邪魔をする。
 メル自身必死で集中しようとしているが、それでもセリスの足に何度も歯を立ててしまう。
 彼女が泣きそうな顔で背後を振り返れば、キーシャはあらか様に顔を背けて知らんぷりをする。

 

「あっちを向いて―――」
「ふ、ふぁい」

 

 いつまでたってもろくな奉仕が受けられない状況に苛立ったのか、セリスがそう指示するとメルが待ち侘びていたとばかりに体を方向を反転させる。
 スカートを捲り上げられたそこは、何物にも隠されず無防備に紅潮した白肌をさらしていた。
 そして、セリスはゆっくりとそこに指を這わす。
 まるで年代物の骨董品を鑑定するかのように、先程までの荒々しい扱いとは違い、ゆっくりと丁寧に触れる。
 しかし、メルはその扱いに満足していなかった。
 高められた性感は少しの刺激では上り詰める事は出来ず、火で炙られるようなもどかしさを感じさせられるだけだ。

 

「はぁあ、やぁあ―――焦らさないで」

 

 友達に意地悪された幼女のように今にも泣きそうな顔でセリスに懇願するが、彼の腕はその動きを全く変えない。
 自分で慰めようにもメルの両腕はキーシャに押さえられている。
 彼女に出来る事は、セリスの興味を引くために尻を振る事と、哀願の言葉を呟くだけだ。

 

「もう少し、言葉を考えてよ。いつもの君みたいにね」
「…………………………………」

 

 いつもの自分、その言葉を聞いた途端、これ以上赤くなる事など不可能に思えたメルの顔の赤みがさらに増す。

 

「わ、私のイヤらしいあそこにセリスのを入れて――――」
「足りないね」

 

 メルの懇願をセリスは即座に切り捨てる。

 

「いつもの君はもっと恥じ知らすだよ。恥ずかしい言葉を大声で叫びながら、自分で開いているじゃないか――――」
「ひゅぅっ!?」

 

 膣内への入口を軽く爪で引っ掻かれメルの体がびくりと痙攣するが、それ以上の刺激をセリスは与えない。
 さらなる刺激を求めるメルだが、そんな事に構わずセリスは入口の部分弄り続ける。
 並の男ならばメルほどの美少女に哀願されれば、どんな無茶な望みでも叶えようとするであろうが、セリスは微動だにせず小さな刺激を与えるだけに留めているのだ。
 メルが顔を向ければ、ペットの芸を評価する飼い主のような瞳で見つめ返してくるだけだった。

 

「わ、私のイヤらしい汁を垂れ流す。恥知らずのオ○ンコをセリスのぶっといち○ぽで栓をしてくださああああああっっ!!」

 

 一国の姫としてはあり得ない卑猥な言葉を放つとほぼ同時に、何の予告もなしに膣内に突き入れられる。
 突然の刺激にメルは為す術もなく絶頂を味わわされた。
 しかし、セリスの動きは止まらない。

 

「ふぁぃ、ひ、ふぁあっ!?」
「誰が休んで良いと言ったの?」

 

 そう言うと絶頂が終わり脱力しようとしたメルの体を無理矢理起こして続行する。
 キーシャもメルが崩れ落ちないように支え、そのまま愛撫を開始した。
 体を押さえつけられ、力を逃がす事が出来ずその衝撃は全て結合部で発散される上に、キーシャの手によってもたらされる乳房や脇腹への愛撫がカンフル剤のような役割を果たし、快感を倍加させる。
 一突きするごとに出来損ないのブリキ人形のように跳ねるメルの体に構わずセリスは動き続ける。

 

「気持ちいい? そうだよね。メルは変態だから、こんなところで床に四つん這いにされて犯されると興奮するでしょう」

 

 小動物を虐める子供のように、メルを嘲るその時だけはセリスの目に嗜虐という名の感情がこもっている。

 

「そ、そんな事ない」

 

 快楽に惚けた顔で口の端から涎を垂らしながら、喘ぎ声の合間にそう呟いたところで誰も信用しないだろう。
 そして力なく否定するメルに、セリスは一言―――

 

「止めるよ」
「あ、や、気持ちいいから止めないで」

 

 セリスの一言であっさりメルは前言を撤回する。
 それに応えるかのようにセリス達の愛撫も激しくなっていく。

 

「変態だね。本当に―――」
「め、メルは変態なの、虐められて恥ずかしい格好させられると興奮する変態なの」

 

 二度目の言葉をメルは否定しない。
 まるでこの快楽が終わってしまう事を恐れるかのように、絶叫に近い叫びを上げる。
 そして、自身の言葉にさらに興奮していく。

 

「そう言えば絨毯が汚れているね。君の物で汚れたんだから綺麗にしてよ。君のその恥知らずな口で」
「するからぁ、するからぁ止めないで」

 

 自らの愛液と尿で染みになった最高級絨毯に舌を這わせ齧り付き吸い付く。
 そんな事をしたところで、唾液の染みが広がるだけで染み込んだ恥ずかしい液体が吸い取れる訳がないのだが、メルは必死で絨毯をすする。
 その姿があまりにも滑稽で、セリスは心底可笑しそうに笑う。

 

「やっと素直になったね。じゃあ、ご褒美を上げよう」
「ひぃぐっぅうっ!!」

 

 セリスの手が、背中と腹側に回り、本来なら排泄に使われる穴、すなわち尿道と肛門に突き入れられる。
 前の方には小さな小指が強引にねじ込まれ、後ろの方には数本の指が進入してくる。
 下腹部の穴を全て塞がれ、本来ならば違和感と苦痛に悶えるべきなのであろうが、メルが悶えているのは快楽のためだった。
 快楽に飛ばされた意識の中で前と後ろからの新しい刺激を歓迎しもっと得ようと、貪欲に、イヤらしく自ら腰を動かす。

 

「メル様、私の方も気持ちよくしてくださいよ」

 

 突然髪を掴まれ強制的に絨毯から顔を上げさせられば、そこにはスカートを捲り上げたキーシャが立っている。

 

「ほらここ、メル様の大好きな物が一杯詰まっているんですよ」

 

 太股を開き、股間の秘裂を自らの指で開くと、先程セリスに注ぎ込まれた物が溢れだしてくる。

 もはや何も言わず、何の躊躇いもなくメルはそこに口付けて溢れ出す物を啜り出す。

 

「んぁ、そうですよ。もっと強くしてください」

 

 飢えた犬のようにがっつくメルの痴態に興奮した表情でキーシャは股間を押しつける。
 次の瞬間、一際強くセリスの物が打ち込まれ、彼女の体内に彼女が口から摂取している物と同じ物が注入される。

 

「うちゅううぁあぁっっ!!」

 

 一際大きく痙攣しメルの全身から力が抜けて床に倒れ込む。
 そして水音、
 緩んだ股間から尿が溢れ出し再び絨毯に染みが広がる。
 絨毯に突っ伏し、口からキーシャから啜りだした物と唾液の混合物を垂らしながら、メルは気を失った。

 

 

 

 

 

 


 メルが目を覚ましたのは自分の寝室だった。
 屋敷一つが収まりそうな広大な広さの部屋の中心に、これもまた像が何匹も横になれそうな巨大なベットが置かれ、彼女はその上にいた。

 魔法によって空を映し出す天井からは、月と星の光が降り注ぎ辺りを照らしている。
 メルはすぐに辺りを見回し目当て人物を見つけ安堵の息を漏らした。
 目当ての人物、シーツにくるまれ静かに寝息を立てているセリスにメルはそっと手を伸ばす。
 穏やかな寝顔のまま、年相応のあどけない表情で眠っているセリスの髪にそっと触れる。
 先程まで、自分をまるで玩具のように扱い犯した当の本人だと言うのに、メルが向ける表情はどこまでも優しい。

 

 セリスは他者に無断で触れられる事を極端に嫌う。

 

 例え今のように寝ていようとも、誰かがその髪の一筋にでも触れよう物ならば他人なら容赦なく殺し、例え彼女の主であろうともかなり手痛い報復を食らうだろう。
 それ以前に他人の前で無防備に寝たりはしない。
 そう言う意味ではメルが今無造作に髪を梳いているのは奇跡に近いのだろう。

 しかし、ある意味それは当然なのかもしれない。

 セリスにとって他人に触られるのは不快だが、人間ではなく物が偶然触れる分には構わないのだから―――
 そして人間以前の玩具ならば、自分のもっとも無防備な姿を見られてもそれは家具や置物に見られるだけであって気にする必要はないのだから―――

 

 メルにとってセリスは所有者だった。
 セリスにとってメルは駒であり同時に玩具だった。

 友でも仲間でも弟子でも部下でも無く、主どころか只の物としてしか見ていない。
 セリスがこの国を影から動かすための大切な駒、そしてその一時の退屈を紛らわせるための玩具―――
 エリスや他の娘達と違い、誰でも代用が利くもっとも価値の低い駒。
 それがセリスにとってメルの存在価値だった。

 

 もうすでにメルの体はセリスの姿を見ただけで疼き、その臭いをかげばはしたなく下着を濡らし、中に注がれれば無条件で絶頂するまで仕込まれている。
 例え本人が居なくとも毎日何度となく、切なくなる身体を慰める必要すらある程に――

 そして今日のように求められれば、どこでもその身体を差し出させられる。
 まるで子供が常にどこでもお気に入りの玩具で遊ぶようにそれは時と場所を選ばない。
 それに応えるメルにしかしセリスに対する嫌悪や憎悪はない。

 

 羞恥どころか痛みすら快楽の原料にするマゾヒストに調教されながら、彼女は玩具という立場を受け入れていた。
 なぜなら彼女はセリスを守りたかったから――――

 常に飄々とし、全ての事に通じており、あらゆる物を持っているように見えるセリスは決して完全ではない。
 それどころか薄皮一枚剥けばとても脆いのだ。

 その弱さを知っている物がどれだけ居るかは知らないし、知ろうとは思わない。
 肝心なのはセリスの気を紛らわせる事、その痛みを癒す事だった。
 そのためには自分はどんな玩具にでも成り下がる覚悟がある。
 たった一時、いや刹那でも目の前の少年の心を満たせるならば自分はどんな恥辱を受けようが構わない。

 それが彼女の誓い。
 自らの心を癒してくれた者達と同じく、彼女がこの世界で護りたい存在――――

 

「う…あ……」

 

 それまで安らかに寝息を立てていたセリスの顔が歪む。
 悪夢にさいなまれる幼子そのままに、その小さな体が丸まっていく。

 

「…………姉様……」

 

 眼前の魔王をさいなむ悪夢の根源をメルは知らない。
 原因を知りたいとは思うが、聞こうとは思わない。
 セリスが必要だと思えば話してくれる事だろう。
 それを話さないという事は、彼がそれを望んでいないという事だ。

 玩具として認められている事が嬉しく誇らしく、その傷を癒せずそこまで信頼されていない事が情けなく悲しかった。
 ゆっくりとセリスに手を伸ばし背中をさする。
 そのぐらいの事しか今のメルには出来ない。
 手から伝わってくる感触にさえ、はしたなく興奮しまう体だが彼女はその衝動を無理矢理抑えつける。
 玩具が遊ばれるのは持ち主が遊びたい時だけ、玩具の都合で持ち主を煩わせる訳にはいかないのだ。

 

(……………また、泣いている)

 

 ふと、気付けばセリスは涙を流していた。
 見ている悪夢が余程怖いのか、顔をさらに歪ませその頬を水滴が伝う。
 その涙をメルはただただ拭い続けた。

 

 

 


 

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