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わたしは、あなたが嫌いだった。 時おりやってきては、幼いあなたは興味本位でわたしにひどいイタズラをするから。 幼いわたしも、懲りずにあなたと戯れてはひどい目にあっていた。 そんなわたしの不幸を笑うあなたが、とても憎たらしく思えていた。 わたしは、たぶんあなたが嫌いだった。 成長した少年のあなたは、いつしかわたしを構わなくなった。 大人になったわたしも、わざわざイタズラをされるためにあなたを構うなんて愚行はしなくなった。 時おり頭を撫でようとしてきてくれるけど、またイタズラされると思ったわたしはその手から逃げていた。 わたしは、あなたが嫌いなんだろうか? もう少し年月が経って、あなたは立派な大人になった。 対するわたしはよぼよぼのおばあちゃんになっていて、あなたが来ても眠ってばかりいた。 あなたも疲れているのか、わたしの前ではよく眠っていた。 そんなあなたの小さいはずの背中が、わたしにはとても大きく見えていた。 わたしはたぶん、あなたが好きだったんだろう。 その大きな背中で眠るのが、大好きだったように。 無邪気に笑いかけてくれたあなたが、本当に大好きだったんだろう。 そんなことを思いながら、わたしはあなたの背中で今日もまどろむ。 わたしの声はあなたに届かないけれど、温もりなら届くと信じているから。 そして、あなたに伝えたい。 ありがとう、たった、その一言を……
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