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注:このお話は本編とはキャラ性能が違います。ご注意を。
今日も今日とて学園は平和だった。 金魚を吐いたり蝋燭消したり蝙蝠ふいたりペンキで塗ったり お店のカートで激走するパフォーマンス兎達がいたり 何やら廊下で箱シャコ教師やリーゼント虎不良が焦げていたり 何処からともなく爆発音や悲鳴や嬌声が聞こえてくるが、平和といったら平和なのだ。 それに文句があるのなら日常と言い直そう。 そんなある日の午前中。
校舎の裏側、やや北よりで僅かながらに日陰となっている場所に、制服を着た一人の目付きの悪いヒトが壁に背をあずけて座り込んでいた。 記憶喪失中に行き倒れた所を通りすがりの狐に拾われ、色々とあった挙句に学園に入学したカルトという名のヒトだ。 その辺りの事情は真面目に説明すると長くなるので割愛する事にする。 時間帯としては体育(水泳)の授業中のはずだが、着替えるのが面倒ということで絶賛サボり中である。 さすがに堂々とサボっているところを見られるのは都合が悪いようで、人目につかず尚且つ少しでも涼しい場所を探してここまで来たのだった。 そこまで考えるのなら素直にプールに入ったほうがマシだと思うのだが本人的にこだわりでもあるのだろう。 昔からこだわりは人生を豊かにすると言う。 この状況が豊かな人生なのかどうかは別として。
「……」
カルトがここに座ってからかれこれ二十分ほどたつが、ぼーっと雲を眺めたままピクリとも動かない。 目は開けているので起きてはいるはずだが、脳波測定を行えばきっと睡眠時と同じような波長が計測されるに違いない。 と。
「…ん?」
足音が聞こえる。 軽く小刻みだが、走っているほどではない。 聞こえる音から推定する体格的に、一瞬理事長や教頭の姿を思い浮かべるが、その場合は今更逃げても無駄なので放っておく。 それにこの足音は誰よりも聞き覚えがある。 足音は校舎の角、こちらが見える位置まで来て止まり
「おっと、サボり魔発見じゃな」「朱風か」
カルトを拾い、色々と手を尽くして特にやる気のなかった本人を半ば強制的に学園へと入学させた張本人(狐)だ。 本人もここの学生…の筈だが、どのクラスにいるのかは知らないし興味もない。
「さぁ…それはどうかのう?」
楽しげな口調と声音。 元々朱風の『楽しい』はカルトの迷惑を考慮に入れない。 どころかむしろカルトが不機嫌になりそうな事が(厄介な事にギリギリ本気で起こらない程度の事が)楽しくて仕方ないと考えている向きすら感じられる。 故にカルトに話しかける声は内容の如何に関わらずどこか楽しげである事が多い。 だが。
今回ばかりは、どこか違った。
「…誰だ?」
重心を気取られぬ程度に僅かずつ横にずらしていく。
「誰じゃと思う?」
気配を探るが朱風の気配としか感じ取れない。
「朱風…か?」
だが、どこか、何かがおかしい。
「さぁ…それはどうかのう♪」
声、口調、声音、雰囲気…全て朱風の筈なのに背筋が凍りそうになる。 僅かにずれてでもいれば、そこに違和感の理由を押し付ける事も出来る。 だがそれがない。 朱風から寸分も狂いなく、ずれていないのだ。
「ふざけるな」「何を怒っておる。冗談じゃよ、冗談。ほれ、こっちを見るがよい」
ダメだ。 見てはいけない。 自分の中の何か、何処か深い場所から警告が溢れ出る。
(ヒトは認識の多くを視覚に頼る)
何かの本で読んだフレーズが頭をよぎる。
(この世ならざる物を)(触れても)(戻れる)(聞いても)(戻れる)(嗅いでも)(戻れる)(味わっても)(戻れる)
(だが、見ればどうなる?)
「おや、何故こちらを見ぬ。顔も見たくない、とでも申すつもりか?仮にも恩人に対してその態度は如何な物かと思うんじゃがな」「誰が恩人だ」
足音が近付いてくる。 一歩、また一歩。 軋みを上げそうなほど緊張している筋肉に一定の強さで命令を送り、何とか体勢を整える。 逃げるにしろ何にしろ、いつでも飛び起きられるように。
そこまで来たら行動に移ると決めた領域まであと4歩。
3歩
2歩
1……
「くふ♪」
『目』が、合った。
0
「ぐぅ…」
急速に覚醒した頭を振る。 何か…金色の何かを見た瞬間、意識が吹き飛ばされた記憶がぼんやりと甦る。 ふと気付けば先程の場所とはまったく違う。 屋内だ。 恐らくは体育倉庫。 狭い窓から入る太陽光と風とが、薄暗くひんやりとした空気に微妙な温さと不快な湿気を与えている。
「一体何が…?」
と、恐らくはマットの上に仰向けに寝かされていた体を起こそうとしたところで異変が起きる。 体が動かない。
無言で力を入れようとするが、手応えがない。 動かないと言うよりも体と意思とが繋がっていない感触がある。
「起きたかの?」
背後…と言うよりも頭上に近い方向から声が聞こえた。
「突然気を失うから驚いたぞ。まあこの暑い中、外で座り込んでいれば熱中症にもなるじゃろうがな」
朱風だ。 寸分の狂いもなく、しかしおかしな気配の朱風だ。
「感謝するがよい。涼しい場所で介抱してやっておるうえになんと膝枕じゃ。男の夢じゃろ?」「わけが解らん」
その姿は視界には入らない。 だが、以前ほどの恐怖は抱いていない。 そういうものではないのか、慣れたのか、それとももう『戻れない』からか。
「何か冷たい飲み物でも持ってきてやろうか?お代はいただくがの」「…面倒臭い」「なんじゃ突然」「戯言に付き合うのは面倒だ。一体何が目的だ?」
一瞬、時間が止まったかのような静寂が辺りを包んだ。
「…ふむ。やはりぬしは良いのう。単刀直入で面白い」
そっと頬に両手を添えて持ち上げられ、頭の下にあった足が抜かれマットに置かれた。 頭と首はまだ動かせるようなので首を捻って背後、と言うより頭上を見ようとする。 が、それより先にそれは前に回り込んでいた。
朱風だ。 その瞳が黒から金色になっている事と、一本だった狐色の尾が、雪のように白い四本尻尾になっている事を除けば、だが。
「朱風か」「なんじゃ、先程から誰だだのなんだのと文句を付けてきおってからに。むしろ今の方に吃驚するべきじゃろ普通」「いや…逆に安心した。何かおかしかったのはその所為か、と」「失礼な奴じゃな」
ぶわりと四本の尻尾が一斉に逆立つ。 一本の時も十分に分かりやすかったが、四本になって更に大げさに感情を反映するようになっているらしい。
「…そんな事はどうでもいい。とりあえずさっさと元に戻せ」「そう言われて素直に戻すとでも思うておるのか?」「何が目的かは知らないが、余程とんでもないものでなければ協力してやる」「ふむ…約束できるかの?」「……」「そこで黙るでない!」
思い返せば基本的に朱風の行動は常に「とんでもない」事に繋がっている。 ここで約束しても…まあ破る事にはならないが卑怯な気もする。 別に気にせず流してもいいのだが、それをすると後々の面倒臭さは今以上だろう。
「まあよいわ。どうせ身動きがとれんのじゃからわしの好きにさせてもらう」「後で覚えていろ」「う。お、脅しても無駄じゃぞ。ぬしの事なぞ恐くもなんともない!」
その台詞は毛が逆立って二倍程度の太さになっている四本尻尾を何とかしないと説得力がない。 などと考えているうちに突然朱風が腹の上に馬乗りになり、そしてなぜか制服を脱ぎ始めた。 心情的には目を向けにくいが、頭が動くとは言え体の自由がなく、また目を閉じれば何をされるか把握できないという状況なので仕方なく見ていたが、幸いにも下着や裸が見えた わけではないので少しだけ安堵する。 その代わりに見えたのは黒…よりは紺に近い、ざらざらとした質感の…水着か何かだろうか? 本人に言わせればスレンダーな体のラインが強調され…否、むしろ平坦さが強調されているような気がする。 水の抵抗は少ないだろう。そのやたら大きな尻尾さえなければ。
「ほれほれ、旧タイプじゃぞ?いまだに大人気じゃぞ?」「…何がだ?」「その記憶も無いのか!難儀な奴じゃのう」
難儀と言われても困る。 そもそも拾われた当初は日常生活にこそ支障はきたさなかったものの、学術的な部分では子供に劣るレベルだったのは知っている筈だ。 この学園に入るのも一体どれだけ苦労した事か。 それでも何となくその水着の事を指しているのだろうとは思うが、新旧がどうの人気がどうのなど解る筈がない。
「まあ、本題は別にあるから今はよかろ。教育する時間はたくさんあるでな」「するな。と言うかさっさと開放しろ」「用事が終わればすぐに開放してやるから、そう焦るでない」
と、今度はこちらの制服を脱がし始める。 胸元からボタンを一つ一つ外され、そしてベルトに手がかか…
「おい」「ん?なんじゃ」「何故脱がす」「脱がさんと出来んじゃろ」「何をだ」「まぐわい」
何を言い出すこのバカ。
「『何を言い出すこのバカ』という顔じゃが、仕方なかろ。したくなったのじゃから」「それが『用事』か?」「うむ」
と言いながらこちらの胸に指を這わせつつゆっくりと倒れ込んで来る。
「くふふ…相変わらず鍛えておるようじゃな。何処もかしこも固いのう」「く…」
こちらの耳の下辺りの首筋を舌が這い、手が頬をなぞり、胸板から脇腹までの範囲をさする。 くすぐったさに身を捩ろうとしても動けないままだ。 また体が触れている部分は、水着のざらりとした触感とわずかに伝えられる体温が奇妙な感覚を与えてくる。
「ほれ、口を開けい」「……」
嫌な予感がするので無視する。 と言うより言う事を素直に聞ける状況ではない。
ちょんちょん、としばらくこちらの唇を指でつついていたが、諦めたのかそのまま顔を寄 せて舐められた。 唇どころか頬や瞼の辺りまでぴちゃりと湿った音を立てながら舌がなぞって行く。 …正直な話、心地良い。
「して欲しくなったら口を開ければしてやってもよいぞ?」「……」「強情じゃのう。まあ良い。また後でな」
すり、と体全体をこちらに擦り付けながら下へと少しずつずれていく。 同時に水着の触感が少しずつ移動し、手や舌がこちらの体を這い回り、その感触を上書きしていく。
「ぅ…」「気持ち良いのじゃろう?気にせず声を出せ。その方がもっと気持ち良くなるぞ」「いい、加減に…」「ココはそうは言うておらぬようじゃがな?」
下着の上から掴まれた。
「体だけではなくココまで硬いのは、鍛えておるからか?それとも興奮しておるからか?」
にやり、といつもの顔で笑う。 猫が小動物をいたぶり遊ぶ時とよく似ている笑顔だ。
「答えずとも良い。コチラに聞くだけじゃ」「う…」
爪を立てたり強く握り締められたりするが、下着の上からなので強すぎない程度の微妙な刺激が来る。 だがさすがに先端に爪がめり込むほど強く立てられた時、つい呻き声をあげてしまった。 その瞬間
「キスありっ!」「っ!?」
飛び掛るように伸び上がった朱風がこちらの口に舌を潜り込ませてきた。 咄嗟に歯を閉じようとしたが間に合わず、口内の奥まで侵入される。 さすがに噛む訳にもいかず
「んっ…ちゅ…ぴちゃ…」
舌をこちらの舌で追い出そうとするが、巧みに逃げられ逆に絡め取られた。 それどころか強制的にあちらの口中に引きずり込まれ、舌同士で表面を扱かれ歯で軽く甘噛みされる。 唾液にいたっては交換どころではなく互いのそれがどろどろに溶け合ったものを啜られ注ぎ込まれる。 十数秒、下手をすれば数十秒もそうされ、息が切れそうになった頃にようやく離れた。
「もとい、スキありじゃ♪ 若い男(おのこ)の精気はたまらぬのう」「妖怪か…何かか…」
口の周りが涎でべとべとだが、体が動かせず拭う事も出来ない。 が、朱風がこちらの口の周りを舐めとり始めたので慌てて口を閉じる。 もう一度同じ事をされれば理性が飛んでしまいそうだからだ。
「ん…ほれ、綺麗になったぞ。感謝せい」「…汚したのはそちらだ」「何を言う。わしとぬしの共同作業じゃろ。じゃから、ほれ」
と顔を寄せられる。 どうやら自分にも舐めとれと言っているようだが
「断る」「強情じゃのう…ま、仕方ない。次のお楽しみに移るだけじゃな」
と口のまわりをこちらの脱げかけの制服で拭いながら楽しげに告げる。 嫌な予感が止まらないが、かと言って素直に言う事を聞いても結局は同じ事だろう。
「腹筋♪ 腹筋♪ 割れとる腹筋♪」
壊れている。 明らかに壊れている。 普段の朱風も相当おかしいが、今の朱風はテンションを上げすぎてどこかの螺子が吹き飛んでいるらしい。 人の腹筋に指を這わせては楽しそうにくすくす笑っているのはもはや兇気すら感じる姿だ。 しかしそれも数秒の事。 とうとう人の下着に手をかけ、一気に引きおろす。
「…む」
が、何故か口篭り、心持ち尻尾が膨らんでいた。 位置的にもう尻尾以外は朱風が身を起こさない限りほとんど見えないので逆に尻尾が良く見える。
「何か…先程よりスゴいんじゃが。いや見てはおらんかったが、こう、迫力的に。キスで興奮したかの?」「うるさい黙れ」
確かに意識はしてしまったが。
「ん…」「う、くぅっ!」
突然、根元から舐め上げられた。
「熱い…火傷するかと思うたぞ」「なら離せ…!」「駄目じゃ」
ちろ、ちろりとこれまでとは違い何処か遠慮がちに舌を這わせ始める。
「んっ…熱い…ふぁ…それに、ま、まだ固くなるのか…」「う、あ、ぐ」
それでもかなりの快感を与えられる。 気を抜けば暴発しかねない上に、こちらから見る事が出来ないので予測がつかない。 更に最初とは違い動きがどんどん激しく、そして大胆になって来た。
「ん…痙攣しておるぞ。気持ち良いのか?ああ、いや、言わずとも良い。ぬしよりコチラのほうが正直じゃからな」「ぐ…こ、の…っ」「じゃがまあ、お預けじゃ」
唐突に舌が離れる。 なんだか良く解らないが助かった…ような気はしない。 どう考えても状況が好転する要素がないからだ。 その辺りに不安を感じていると、朱風が体を上にずらし、貧相ではあるがぴっちりとした水着に包まれている今はむしろ張りを強く感じさせる胸の辺りを押し付けてきた。 ぞくりと背筋が震える。
「ふぁ…水着越しじゃのにこんなに熱が伝わってくるとは…」
とそれこそ熱に浮かされたような声で呟きながら体を擦り付けてくる。 荒い生地の感触と中の体の熱さ、柔らかさを感じ、それらに責められる。 舌で弄ばれていた時とはまた別種の快感が襲い掛かってきた。
「ビクビクしておるのが分かるぞ。気持ち良いのじゃな?」「うる、さい…っ」「まったく。意地を張るのもいい加減にせい」
更に激しく胸を押し付けてくる。 薄いとは言え確かにある胸の柔らかさが更にはっきりと感じられ、嫌でも中身を想像させられる。 一段強くなった刺激に歯を食いしばって耐えるが、身動きが取れない以上すでに時間の問題だ。 だが、ここに来て何故か朱風の息が荒くなってきていた。
「んむぅ…これは…マズイかのう…」「何、がだ。くっ」「いや、その…き、気持ちよくなってきてしもうた」「ぐ、うっ」
上目遣いの朱風と目が合った瞬間、とうとう我慢の限界を超える。
「ふぁ、あ、つっ」
突然の事に驚いた朱風が体を持ち上げたが、その瞬間に出した分が朱風の顎から頬へとかかる。
「な、な、うぁ」
呆然と体を持ち上げかけた姿勢で固まる朱風。 出した物の大半は朱風の顔に飛んだ物を除けば水着の胸から首のあたりに飛び散っていた。
「あ…これ、カルト、の…?」
ぼんやりと驚愕から覚めていない目で自分の胸元を見下ろし、手で恐る恐ると言った感じで触れる。 そして無意識に唇の周りに付着していた分を舌で舐め取り
「んぁ、苦い…じゃが」
しばらくそうして胸元にぬるぬると手を滑らせ、顔についていた物を舐め取っていたが、ふと顔を上げる。 …危険だ。
「カルト?」
金色の瞳。 その瞳にやけに力が入っている。
「…なんだ」「本当はこれで終わりにするつもりだったんじゃが」「ならさっさと開放」「もはや我慢ならん!」「がふっ」
どすん、と音を立てて再度馬乗りにのしかかって来る。 体重が軽いとは言え、受け止める事ができないためその衝撃はダイレクトに伝わってきた。 正直苦しい。
「一体何を」「ぬしの精気が濃すぎなんじゃ!」「何の事だかよくわからんが俺のせいにするのは理不尽にも程があるぞ!」
そんな会話をまったく気にかけず、朱風は自分の水着の股布の部分を無理やり横にずらす。 そして一息に
「くああっ!」
腰を落として一気に飲み込みながら、甲高い声…悲鳴を上げる。 朱風の中は狭かった。 狭いと言うよりもキツい。 十分に濡れてはいるようだが、それでもなお削ってしまいそうなほどの摩擦がある。
「あ、くぅ…ふぁっ」「ぐ…無茶を、するな」
朱風は腰を落としたまま、しばらく動かない。 いや、動けないのだろう。 その証拠に尻尾はこれまでで最大限に膨らみ根元から奇妙な動きでくねっている。 …尻尾の動きと連動して締め付けられているが。
「無茶など…しておらぬわ…っ」「いや、どう考えてもこっちの経験は少ないだろう」「ぬぅ…」
ちぐはぐだ。 手や胸でこちらを責めてきていた時は妙に手馴れていたような気がするが、何故か今は初心…ではないにしろ、あまり経験がなさそうに思える。
「辛いならさっさと抜け」「な、めるで、ないわっ」
…思わず気遣ってしまったが、そんな事をすれば挑発になるという事に気付けなかったのは失敗だった。
「く、ふふ…そんな事を言うても、ぬしも気持ち良いのじゃろう?」「…ああ」「急に素直になった、のう? く、あっん!」
動き方もつたない。 が、元々の狭さと自分から動けない事で加減が出来ないという事が否応にも昂ぶらせてくる。 また、何故かはわからないがその紺色の水着と紅潮した肌の対比が妙に興奮をもたらして来ているような気が…
「く、はっ、うぁ…あつ、あついぞ、カルト…」「お互い、様だ…っ」
腰の動きが激しくなり、尻尾がくねりながら少しずつ痙攣を始めている。 どうやら限界が近いようだ。 それはこちらもだが。
「は、早く、早く出せ!」「くぅ…」「うあ、あ、あ、あ…っ」
突然朱風が前に状態を倒し、そしてこちらの首筋を
かぷり と 噛んだ。
ぞくりとした感覚と共に最後の箍が外れる。
「んううっ!?」
朱風も同時に達したのか中が強烈にうねり、尻尾が一直線に突き立つ。 頭の上の耳すら細かく震えている。
「く、は、ああ…灼け、てるぅ…」
倒れこんだままこちらの胸に顔を埋めて何やら呟いている。 さすがにこちらも快感で一瞬気が遠くなりかけるが、それよりも
「終わったならさっさと開放しろ」「少しは余韻を味わわせいバカ者…いくらわしでもいたした直後にその態度は泣くぞ」「知るか。次は他の誰かを襲え。俺を巻き込むな」「…なに?」
朱風の雰囲気が変わった。 主に怒り方面に移行したような気がする。
「今、なんと言うた?」「俺を巻き込むな。面倒臭いから他の適当な奴を襲え」「…き、貴様、言うに事欠いてそれか!?」「…何かおかしな事を言ったか?」
怒気が更に強くなった。 何故だ。
「く、くふふ…もう良い。少しは気を許してやろうかと思うたが…」「っ…!?」
おかしい。 あの時の、ここに連れて来られる直前の朱風の違和感だ。 それが唐突に
「では…また、後でな」
金色の瞳が 目が合
意識が
・ ・ ・
「…―ぃ。カルト?起きぬか。おい」「う…」
暑い。 蒸し暑い空気に包まれ、汗が体中に滲んでいるのが不快な感触だ。
「何をしておるんじゃこんな所で。熱中症で倒れるぞ」「朱、風…?」
校舎の裏だ。 あの体育倉庫に行く前の…いや待て。 おかしい。 太陽の位置が変わっていない。
「うむ。もう昼休みじゃぞ。早ういつもの場所まで来い」「…朱風?」「なんじゃ、さっきから」「いや…先程までと姿が違うが」「はぁ?」
黒い瞳。一本の尻尾。 いつもの朱風の姿だ。
「まあ確かに水泳の授業じゃったが、ぬしは見ておらんじゃろ。プールに近寄っておれば無理やり参加させられると言うておるぐらいじゃし」「いや、そうじゃなく…」
…夢、か。 確かに良く考えてみれば微妙に現実味がない。 何故朱風が出てきて尚且つああいう事になったのかはあまり分析したくないが、まあ一番親しいと言えなくもない相手なので不思議と言うほどでもないのかもしれないと自分を納 得させる。
「…?何が言いたいのか解らんがわしは腹が減ったぞ。さっさと起きて準備せい」「ああ、わか」「あーけーかーぜー!!」
突如叫び声が聞こえ、廊下をかなりの迫力で駆け寄ってくるのがいる。
「…しつこいのう」「一体何をした」「いや、昼のおかずを賭けたんじゃが、負けたのを根に持っておるようでな」「あんなの無効ニャ!」
猫だ。 朱風とよく遊んで…遊ばれている灰色の毛色の猫で、たまに俺も会話する。 朱風に負けず劣らずハイテンションだが頭の中身が少々弱いのが欠点だろうか。
「しっかりと条件を説明したじゃろう。それを受けたのはぬしじゃぞ?」「普通向こう岸に先にたどり着いたほうが勝ちって言われたら泳ぐニャ!朱風みたいにプールサイドを走らないニャ!」「まあ世の中には水面を走る者もおるし、それを考えればたいした事はあるまい」「…そ、そう言われるとそんな気もするけど絶対おかしいニャよ!」「ふう…やれやれ。そこまで言うならば勝負するかの?今度は先に屋上に辿り着いた方の勝ちという事で。走ろうが飛ぼうが壁を登ろうが純粋に先に着いたほうの勝ちじゃ」 「むー…受けるニャ!」「ではスタートじゃ」「うにゃあああああっ!」
爆走だ。 凄まじい勢いで階段を跳び上がっていく。
「…行かなくていいのか?」「ん?別に勝利時の景品は決めておらぬし、あやつも教室に弁当を置き忘れておるし、まあどうとでもなる」「……」
朱風はくつくつと笑いながら屋上を仰ぎ見る。 これは猫が騙されやすいだけなのか、それとも…
「まあ、なるべく早くぬしも来い。わしはあやつの弁当を回収しながら行くでな」「わかった」
立ち上がり校舎の中に入るために歩き出す。 と、そこで
ぞくり、と背筋に寒気が走った。 この言葉は、あの時の最後の…と振り返る。 だが、そこには既に誰もいない。
まるで最初から誰もいなかったかのように。
「…面倒臭い」
ため息を吐く。 盛大に疲れた。
「…次は逃げるか殴るか、考えておくか」
まずは朱風と自分の弁当を持って屋上へ。 その後は適当に行こう。 ああ、学園生活とはなんとも面倒臭いものだ。 何処か遠くで狐の鳴き声が聞こえたような気がした。
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