以下は古来より伝わるケンシ・タカダの伝説の一部である。
アイドル時代に売れ残ったケンシ・タカダのブロマイドは現在、
全国各地の小学校で無料配布され、
あらゆる外敵を寄せ付けない防犯グッズとして活躍している
楽器を破壊するパフォーマンスが人気であった60年代のロックシーンで、
創造の美学を貫く者がいた。ケンシ・タカダだ。
彼は会場にギターを持ち込まない。持ち込むのは木材と工具。
その場で一本のギターを作り上げるのだ。それ故ライブの大半は木を切る音である。
観客たちは恍惚とした表情でそれを聴くのだ。
日本のバラエティ番組を見ていたNASA職員は驚きの声を上げた。
ケンシ・タカダというタレントの左手薬指に輝くそれは、数日前、
宇宙空間から突如消失した土星の環だったのだ。
アイルランドに住む老婆の話によると、あるハロウィンの夜、
自宅に押し寄せた子どもたちは皆、
口々に「トリックオアトリート!」とお菓子を欲しがったというのに、
ケンシ・タカダという少年だけは妙に大人びていてブレスケアを欲しがったという
誕生日に欲しいものを聞かれた5歳のケンシ・タカダは、
おもむろに世界地図を取り出し、アメリカ大陸を大きな円で囲った