短篇のレビューのサンプル


「最後の晩餐」
 警視庁特高課の小代刑事はスパイ疑惑の張り込みで『梟の家』の縁の下に居た。『梟の家』の主が怪しいと睨んだからである。早朝、『梟の家』から出た女、百代の後をつけ、ふとしたことから「グルマンの会」に関わり合いを持つことになる。そして、「グルマンの会」の最終日のこと。百代が行方不明になる。
 ゾルゲ・スパイ団の事件をモデルにし、山田風太郎得意の(?)ネタが炸裂し、その後にゾルゲ・スパイ団の解説をしている(百代は実在した人物らしい)。史実を巧みに用いて実在の人間を登場人物に配する所は明治ものの小説作法そのもの。明治ものの萌芽がここにもあったのか、と感服させられる。
                                                                               (ふじくぼ)