レビューの書き方


 1回生、及び新規入会者向けのレクチャーです。必ず読んでおいて下さい。

・長篇のレビュー(通常)→サンプル
サンプル
 長篇のレビューは1ページ1本が原則です。1ページは縦書きで、31×31のニ段組という書式になります。これは絶対守って下さい。書き方は、まず最初の1行目にレビューのタイトル、1行開けてレビューの対象となる本の題名、更に1行開けて本文が始まります。本文で書くことは粗筋、その本の批評、の2つ。粗筋はレビュー全体の4分の1を越えない量ぐらいが適当です。本文の末尾には( )で括ってペンネームを沿え、完成です。

・長篇のレビュー(クロスレビュー)サンプル
 クロスレビューの場合は、また異なります。ページの書式は通常と同じですが、クロスレビューでは粗筋は書かないで下さい。1ページ丸々本の批評を書いて頂きます。

・クロスレビューのあらすじの書き方
 40字×20行の一段。本文のまえに「クロスレビュー『◯◯(作品名)』▲▲(出版社)」+一行開けて「あらすじ」と添えてください。本文はその後、二行開けです。執筆者のPNはいりません。
 クロスレビューではあらすじを担当するのは原則ひとりだけです。
 本編のあらすじだけで文字数稼ぐのは難しい場合があるので、その場合は「◯◯賞受賞」や「作者自身が◯◯と語った大作(どこからかのインタビューからの引用)」など、作品世界外の情報も十分に活用しましょう。
 ちなみに、ネタバレは絶対に避けるように。

・短篇のレビューサンプル
 単行本未収録短篇がある場合、短篇単独でレビューを書いてもらうことがあります。ページの書式は長篇に準じます。書き方は、最初の1行目が短篇のタイトル、次の行から本文、最後に( )にペンネーム。注意点は、長篇のようなレビューのタイトルは必要ないということです。分量は400〜500文字程度。粗筋も必要ですが、全体の3分の1程度が適量であろうと思います。

・短編集のレビュー
 短編集のレビューは、1冊を1人で担当し、短篇それぞれに書評を付してもらいます。書き方は「短篇のレビュー」と同じですが、違うのは短編集のレビューでは全体のタイトルをつけてもらう必要があることです。


  • 執筆上の心得(某OB執筆) なお、一部抜粋・編集してあります。

レビューのフォーマット(抜粋)
 粗筋と感想をくまなく網羅したレビューを書き上げること。なお、短編集の場合は総論書いて終わり、ではなく、各作品の粗筋と感想を書くこと。
 クロスレビューでは粗筋が用意されているので必要以上に触れないこと。
 短編集のレビューの場合1ページを超過する場合が少なくないが、最初の段階で無理に1ページに収めないように。長編のレビューも同様。要求される文字数はあくまで目安である。 
レビューを書くときの注意点(特に感想部分)。
 作家特集に於けるレビューは作品紹介という意味合いを持つので、以下の点を注意していただきたい。

→自分のことは書かない。
 例えば、「私はこの作家の作品を読むのは初めてだが……」と書いてある文書があるが、評者がその本を初めて読む人か否かは読者にとってはどうでも良い情報である(更に言うならどういう経緯でその本のレビューを書くことになった、と言うことも)。つまり、レビューの中に評者の情報を入れることは無用と言うことである。どうしてもその手の情報を入れないとレビューが成立しない(分量的な意味の、文字数稼ぎ以外の場合のみ)は註釈としてレビューの末尾に置くという手を使うこと(加えて複数の人に読んでもらい、意見を聞いてみること。9割5分は書かなくてもレビューは成立する)。

(とあるサイトからの引用)「書評は読書量の少ない一般読者に成り代わり、出版界の現況を踏まえた読書をして内容を紹介するものだから、コラムに徹しなければならないわけである」と言う一文があるが、これを特集用のレビューに置き換えると「レビューは該当作品を読んでいない読者に成り代わり、その本を読んだ上で内容を紹介するものだから、紹介に徹しなければならないわけである」。(引用終了)

 なお、言うまでもないが、「自分のことは書かない」のであって、「自分の意見を書かない」と言うわけではないので勘違いしないように。

→内輪受けの文章は書かない
 この場合の内輪受けとはミス研内部でしか通用しないもののこと(ものすごーくあからさまな場合のみ)。例えば、その作家(或いは作品)を読んでいればわかるネタならばその限りではない(寧ろ推奨)。

→未読の人の興味をそがない
 ネタバレが禁止なのは言うまでもないが、未読の人の興味をそぐ書き方にその作品がつまらない、と書くこともある。これも禁止。一読してその作品の良いところが見つからなかったら再読三読して良いところを見つけること。見つからなかったら「捏造」も可。

 →→あらすじを書くときのネタバレについての詳細(10年8月追記)
 ネタバレを極端におそれて筋を何も明かさないのも、読者の興味を削ぐおそれがあるので、基本的にはオチをぼかす程度で。
 特に注意したいのがミステリの謎を構成する5W1Hの部分のネタバレ。
 「誰が(犯人)?」「どこで(トリック)?」「何をした(トリック)?」「なぜ(動機)?」「いつ(トリック)?」「どうやって(トリック)?」
 要するに、犯人と動機とトリックはバラすな、ということ。
 もちろん、犯人が最初から割れている倒叙ものというパターンもあるため、ある程度は自主的な判断も求められる。

→作品そのものに関係ないことを書かない
 と言うのは言うまでもなく、加えて、なるべくミステリ的なところを中心にして書く。時折あまりないように踏み込みたくないから、と周辺的な所でお茶を濁すものがあるが、作家特集のレビューが作品紹介と言う意味合いを持つ以上或る程度内容に踏み込むこと。

→なるべく一般化する。
 どういうことかというと、例えば「私はこの本を読んで驚いた」と書くより、「この本を読んだ人間は驚くだろう」と書く方が良いと言うこと。なるべく自分のことを書かないためのスキルである。

 以上の点を注意してレビューを書いていただきたい。

 他に付け加えることは特にありませんが、重要なことは面白いと思った、つまらないと思った、とだけ書くのではなく、何故そう思ったかをある程度万人の理解できる根拠に基づいて論理的に示して欲しいと思います。レビュー担当者は、レビューを書く者としての責任を自覚して頂きたい。過去に、書き直しを依頼せざるを得ない結果になったこともあります。レビューを書くときは理性的に批評するという態度をお忘れなく。
 と言っても、ここを読んでいる人は執筆初心者も多いでしょうから、最初は注意書きに留意しながら気軽に書いてみて下さい。そしてこちらに提出して頂ければ、それなりの対応もできますから。
 では、宜しくお願いします。

追記:文章の基本
基本的にレビューというのは基礎演なり研入なりで教えられるであろう、レポートの作法に則っていれば結構です。要するに、
△カッコの最後に句点「。」は入れない。(会話文の引用以外)
△文体は統一する。(「ですます」体と「である」体を混在させない。どちらを使用するかは各自の判断)
△数字は特別な場合を除き、すべて漢数字。次のいずれかに統一する。
  1. 単位語(十、百、千)を入れて表記(二千四百九十六)
  2. 横書きの数字を漢数字に直して表記(二、四九六)
  3. 万以上の数字の場合にのみ単位語を用い、あとは2で。(一〇億)
  例外: 固有名詞に近い場合は算用数字をそのまま使う。(アポロ13号)
△(文末の)「!」や「?」のあとは一文字分のスペースを必ず空けてから次を書く。
△余韻を持たせる意味の「……(三点リーダ)」や「――(ダッシュ)」はなるべく使わない。創作などで「…」を使う場合は、「……」や「――」と必ず二の倍数置く。ちなみに「・・・(中黒)」は間違い。中黒は羅列などの区切りのためのもの。

※……参考文献:小笠原喜康『新板 大学生のためのレポート・論文術』(講談社新書)←レポート作成などに便利。書いてあることが必ずしもすべてレビューにもそのまま適用できるわけではない。

オリジナル版作成:2005年
第二版(あらすじについて):2010年8月
第三版(追記:文章の基本):2012年5月
最終更新:2013年04月21日 17:36