(人間の意識は3(老人では5)秒ごとに切り替わる、という第2章に関連した4章の部分) (『一年は、なぜ年々速くなるのか』竹内薫、青春新書 p161~)
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スケーリング仮説 時計の振り子のように、
われわれの「体内時計」の時の刻みも、身体の大きさに比例する。
(比例というのは対数目盛りのグラフ上で)
この仮説は、身近な動物(※例えばペット)を見ていても正しいように思われる。 実際、生きものといえども、物理のスケーリングの法則にしたがうほうが自然だ。
身体が小さい子供の「体内時計」は チクタク であり、
身体の大きな大人の「体内時計」は チークターク と時を刻む。子供は大人の支配する世界で生きているため
チクタクの自分は チークターク の環境に合わせる必要があり、
周囲の大人たちがスローモーションのように見え、イライラし、我慢できず、時間はたっぷりある。子供の一年は決して速くない。
長ずるにしたがい、われわれの体内時計は、周囲と同じペースになってしまう。
それまでたっぷりあったはずの時間はどこかに消えてしまい、大人の一年は、子供のころとちがって速く終わるようになる。
この仮説は、あくまでも「周囲との比較」において感じる時の流れについて語っていることに注意してほしい。
ペッペル仮説 若者の「今」は3秒くらいだが、歳をとるとともに「今」は間延びして
5秒くらいになる
検証というと大げさだが、歳とともにネッカー立体が反転するまでの時間が長くなる傾向は確認できた。
無論、ペッペル博士自身が、数多くの検証を行っており、この「3秒から5秒へ」という変化は充分に信ずるに足るものだ。
(では、子供では2秒なのか、という疑問は残るが!)
これはつまり、大人になってからのチークタークが、歳とともにさらに間延びして
チーークターークになる、ということだろう。
だとしたら、スケーリング仮説と同様、働き盛りの人々の中で、年老いてゆく自分は、
周囲がクイックモーションの世界に感じられ、あっという間に、一年が過ぎてゆくように感じられるにちがいない。
この仮説も「周囲との比較」によって初めて意味を持つようになる。
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(引用終わり)
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