『んじゃ、ツナ。改めてお昼にしよ』
「一体何がどうして、気絶?!」
『んー、秘密』
「櫻姉さん!(どうして教えてくれないんだよ!)」
「流石お強いっす!櫻さん!」
「面白かったぜ。でも、なんで秘密なんだ?」
『私も女の子ですからね。秘密の二つや三つは持っておくと、どんどん美人になるていうから』
「そうね。確かにそう言うわ。私だって、隼人に話していない事もあるもの」
「あ、姉貴?」
「……それとも、寝る前に私の秘密(リボーンへの愛の言葉集)を囁かれたいのかしら?」
「「え、遠慮します」」
ビアンキのフォローにより少しホッとする。
「でも、櫻姉さんが喧嘩ランキングの一位って……」
『まぁ雲雀さんに辛くも勝てた時点で、一位確定してましたしねぇ』
「勝ったの?!あの雲雀さんに?!!」
『ギリギリだったわ。雲雀さんに二ヶ所、傷を負わせていなかったら勝てたかどうか』
とりあえず、何か言いたそうな老人を無視して、寿司をたいらげる。
『ん、ご馳走様』
「はやっ!」
「『食事は戦争だから』」
「そろってゆーな!」
「そうですね。ここは敵のど真ん中です、十代目。出来る限り早めに食事を済ましておいた方がよろしいかと」
「だな」
「そ、そうだね。二人とも」
遅ればせながら、他の人達も完食した。
『で、何を言いたいのかな?そこの爺さん?』
「え?」
ギギギッ、と音を立てそうな感じでツナが私の目線へと振り向いた。
「ひぃぃひひ。強欲のМ.Мがやられるとは、実に愉快だ」
『そのセリフを言うためだけに待ってたんですか。かなり暇人ですね』
「うるさい!さぁ、これを見てください!」
手元のリモコンを操作する爺さん。
映し出されたのは、ハルと京子。
「京子ちゃん!ハル!」
『へぇ、そうきたか。でもさ、さっきのタイムロスで君の作戦はおじゃんだよ』
「なに?!」
そう、彼女達の後ろで。
変なキモい双子は、ハルの方をランボとイーピンが、京子の方はシャマルが、それぞれ倒して縄でぐるぐる巻きにした。
わざわざ彼女たちに気付かれずとも、タイミングさえあれば、ちゃんと秘密裏に倒すことは可能なのだ。
「げ、シャマル」
「凄げー、イーピン!流石は将来有望ヒットマンランキング・ベストスリーの十年後!」
『ね?ああ、この二人は後でじっくりお仕置きしてあげるから。君はこの場でしますけど。ね?獄寺君?』
「もちろんっす!このやろ!果てろ!」
相変わらずダイナマイトを放る獄寺。
「なっ!」
声を上げて逃げる爺さんだが、間に合わず、そこで黒焦げになった。
「一発で伸びちまった」
「こいつ何のために出てきたんだ?」
『時間稼ぎでしょう。とりあえず、お二人とも無事でよかったです』
「よかったな、ツナ。困った時に助けてくれるファミリーがいて」
「あ、うん。って、ファミリーじゃないだろ!」
「でも、こいつらなんだったの?」
「たしか、骸たちの計画に便乗して脱獄した奴らだ」
「ちょっと待てよ!骸たち三人以外にも脱獄囚いたの?!」
「ああ。どうやら最初っから仲間で、ここで落ち合う計画だったようだな」
「なんでそう言わなかったのさ、リボーン!」
「だって~、ディーノの奴が”こいつらは関係ネェな”っていってたんだもん~」
「いい子ぶるなよ!あ、もういないよな?」
『そろそろ出てきたら?フゥ太そこにいるんでしょ?』
「櫻ねぇ」
横の茂みからフゥ太が出てくる。
その目はまだ沈んだまんま。
……赦さないわ、骸。
「ツナにぃ、櫻ねぇ。僕そこに戻れない。さよなら」
そう言って、彼は再び森の奥へと引き換えしていった。
「待てよ!フゥ太!」
ツナが追いかけて森の中へと入ってゆく。
「十代目!」
「ツナ!」
「危ない!」
山本たちが追いかけようとしたところを、ビアンキの声によって、二人は背後から来た攻撃をかわす。
ちなみに私は気配を消して気づかれていなかった為、狙われなかった。
二人に当るはずの物は鉄柱だった。
当たれば、重傷間違いなしである。
振り向けば、そこには新たなる刺客が立っていた。
「新たな敵か」
『やれやれ、ツナは人気者ね』
さぁ、余興とか言われてる輩は目の前の――ランチアだけだ。
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