その次の日。
私の目が覚めると、なぜか目の前にザンザスがいた。
…………はい?
なんで、横にザンザスの寝顔があるのか分からない。
身を起して周りを見ると、広い部屋の中心にあるソファにスクアーロらしき銀髪が見えた。
どーいう状況ですか?
誰か、説明を下さい。
呆然としていると、スクアーロが目を覚ましたらしく、ゆっくりとこちらへ歩いてきた。
「起きたようだな」
『それは、君もだね。で、これはいったいどういう状況?』
「昨日。お前は一週間後に帰ると言ったそうだな」
『うん。言った』
「それに動揺してた」
『……マジか』
「意外か?だが、お前はそれほどの事をしてるんだ。いきなり現れて、いきなり確信を当てられて、問題を解決しちまった」
『やっぱり、唐突しすぎた?』
「まぁな。俺らのような普通じゃない奴らには免疫があるが……」
『……こんな唐突に出てきた人物なんだけどなぁ』
「だが、ザンザスはお前を大切だと思っていやがる。……もう少し引き延ばせねぇか?」
『出来なくもない。ただ、その間にお母さんの身の安全が』
「そこは大丈夫だ。考えてもみろぉ。お前は門外顧問の娘だ。で、その母親ということは――」
『あ、既に秘密裏に護ってるって事か』
「そーいうこった。んで、どうする?ボスはお前を嫁にもらう気だぞ?」
『へ?マジで?七歳くらい歳離れてるんだけど』
「成長したら、お似合いじゃねーか」
『うわー、もう未来予想図で語ってるのね……』
こんな会話をしていても起きる気配のないザンザスを見る。
それほどに眠りは深いらしい。
『そこまで、考えてなかったよ』
「だろーな。もっともザンザスは考えていたようだがな」
『とりあえず、起きて身だしなみ整えようかな?それからでいいかな、考えるの』
「そーしろ。お前は考えすぎると知恵熱が出るからな」
『……本当は出ないはずなんだけど。この姿になってから出たから、体の年齢に関係してるんだと思う』
言いながらベッドを下りて、着替えを取り出す。
スクアーロとはつい立を隔てているので、居ても別に大丈夫だ。
「まったく、てめーは変わってるな」
『まぁ、精神年齢は二十四歳だし。本来、死んでもうこの世にいないはずの人物ですから』
「ザンザスの怒りがおさまった」
『でも、強さはそのまま。怪我もしてないし、心も壊れていない』
「もし……もしだ。あのまま進んでいたらどうなっていやがった?」
『……もう分かってるんじゃない?』
「ちっ、予測通り、あのじじいとやらが死んでたか」
『違う。もっと彼らにとって酷な未来になっていたよ。ザンザスは氷の中に閉じ込められ、時と自由を奪われる。ティモッテオおじいちゃんはそれをして後悔しながら、生きながらえなければならない。双方たくさんの仲間を失って』
「……最悪のシナリオか。知ってるか?俺が奴とあったのはここで催したパーティーだ」
『うん。それも知ってるよ。スクアーロってさ、ザンザスの事好き――』
「おい俺は男色じゃね―ぞ?」
『って、そういうことじゃないって。でもさ、気にいってしまったんだろ?』
「わかってるじゃねぇか。……マーモンから聞いた。忠告ありがとな」
つい立越しに着替えを終えて、スクアーロの反対側のソファに座る前に紅茶の用意をする。
朝は喉が渇くのだ。
『スクアーロもいる?』
「……俺は珈琲派だ」
『んじゃ、それもいれよう。モカ?』
「いやグアテマラだ」
『えっと、あった。んじゃ、いれとく』
部屋に用意されていたそれらの嗜好品を、それぞれ最適にいれていく。
身長が足りていないから、椅子を使ってだが。
『はい、どうぞ』
「……大丈夫なようだな」
彼は珈琲を渡すと一度匂いを嗅いでから、飲みはじめる。
『?』
「ああ、こりゃあ癖だ。こういう仕事をしていると、毒を盛られることもあるからな」
『職業病みたいなものだね』
「んで、お前はラベンダーアールグレーか?」
『あら、鼻がいい。そうだよ』
そうして、二人で飲み物を飲みながら、ザンザスが起きるのを待った。
結局、ザンザスが起きたのはそれから一時間後だった。
現在の時間、十時ちょいすぎ。
『おはよう』
「起きたかぁ~?」
「……俺は」
『って、寝ぼけてる?……ザンザスも、珈琲いる?』
「もらう。キリマンジャロ」
ああ、タンザニア産の野性味あふれるコーヒーか。
なんか納得。
スクアーロのグアテマラは酸味とコクに優れ、香気も良好で全体的に華やかさとキレのいい後味である。
が、ザンザスが注文したそれは強い酸味とコクが特徴だ。
今入れているのは中煎りだが、深煎りだと上品な苦み主体なものとなる。
『中煎りのだけど、どうぞ』
「ああ」
受け取ると、彼もスクアーロのように一度嗅いでから飲みはじめる。
ヴァリアーメンバーは皆こんな感じかな?
確かあの家庭教師はエスプレッソだったよ~な……。
あ、やばい。
今のうちにエスプレッソマシンとか買っておかなくちゃ。
十二年後の事を考えて、脳内の買い物リストにそれを書きこんだ。
この日。
私はずっとザンザスの膝で過ごすことになった。
この状態を見たティモッテオおじいちゃんが、目を丸くしていた。
……いろいろフラグが立ってる気がするが、害無いからいいよね。
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