初め

  

 

 どうしてこうなった!

 

 

「おめでとうございます!可愛い女の子ですよ」

 

 私はまだか細い目を開けずに、私を抱き上げ、そう言った看護婦にイラっとなる。

 

「ああ、本当可愛い。私の子」

 

 え、マジで。

 

 なんか知らない女の人の横に寝かされる。

 

 ああ、これで少ししたら別室に移されるんだっけ。

 と、知識をフル活用しちゃいけないか。

 うわー。

 マジでか。

 この状況、私はどうやら生まれ変わったらしい。

 

 うーん、私のこの自我ってずっとあるかなぁ。

 ほかの意志は、頭に響いてこないし……ま、私であることに変わりないんでしょうね。

 

 

 

 だが、この翌日。

 私は頭を抱えたくなった。

 生まれた日は新生児室で過ごしたのだが、二日目は母親の元に戻され、授乳手ほどきを母親が受けるのを聞いていた。

 その時に、一人の男性が入ってくる。

 

「奈々!生まれたのか!」

「ええ、あなた。ほら」

 

 うぉ!

 いきなり動かさないで!

 ちょいビックリするでしょーが!

 

「名前は付けたのか?」

「まだよ~。候補は二つあるのだけど、迷っちゃって……」

「ちなみにその二つは?」

「”櫻(さくら)”と”深見(ふかみ)”よ」

「……前者の方がいいな」

「そう?」

「ああ」

「じゃあ、そうするわ!これからあなたは、沢田櫻よ!」

 

 うわあ!

 あげるな!

 高い!!

 ……って、今”沢田”って言ったよね。

 ついでに、母親の名前が”奈々”って言ってたよね。

 

 ………………

 

 ウソでしょ。

 いやいや、これはまだ分からないって。

 大丈夫大丈夫。

 

 

 だが、その望みも五日後に退院して自宅に帰ることで砕け散った。

 

 普通の街並みの一角に建つ、その家。

 部屋の配置も、庭の大きさも、門や塀も寸分と変わらない。

 

 ウソでしょ。

 この世界って、REBORNの世界なの?!

 そりゃさ、家名と母親の名前でなんとなく思ってたけど、マジで?

 うわー、これ無理ゲーなんじゃ……。

 とりあえず、覚悟しとこ。

 

 ちなみにまだ綱吉は生まれていなかった。

 

 そうか、私は姉なのね。

 そう思いたい。

 成り代わりじゃない事を願っておこうか。

 

 

 とりあえず、体を鍛えておかないとリボーンと雲雀さんの登場が怖いです。

 

 

 


 

 

 まったく月日が経つのは意外と速い。

 私が沢田家の長女として生まれて四年。

 明日でちょうど四歳だ。

 

 長すぎるのではと思うほど、髪は腰まで伸びていた。

 お母さんである奈々さんが、女の子だからと伸ばさせているのだ。

 三つ編みやらハーフアップを私の髪で楽しんでいる。

 

 ……もう少ししたら切ろうか。

 って、私にはまだ主導権ないよな。

 とりあえず、今やれることは走ったり、飛び跳ねたりと運動する事だ。

 

 知識はもういらないかなってくらいあるので、そっちを伸ばす。

 今のうち基礎ができていれば、かなり後で楽になる。

 そうじゃないと、リボーンにかなり扱かれるからね。

 そりゃ、強くなったら強くなったで、雲雀さんという問題が来るが、それはそれでいいかもしれない。

 だって、彼は美形だよ?

 しかもかなりいい声だよ。

 イケメン・ボォイスだよ

 拒否する理由が見当たりません。

 動き回ってるからか、一応仲間外れにはならなかった。

 でも保育園じゃ、ちょい浮いた存在になっていた。

 だって難しいことをスラスラと答えているからね。

 よく保育園の先生が困ってます。

 

 

 さて、つい一年前に綱吉が生まれた。

 

 

 ということは、私がリボーンに会う時は高校生か。

 行く学校が違うわけだ。

 雲雀さんからの攻撃は回避できるかな?

 

 


 

 

 早いですが、五歳になりました。

 うん、退屈なんだよ。

 一応リボーンが来るまでは、平凡な一般市民だからね。

 

「櫻~。今から空港行くぞぉ!」

 

 家光さんがすりすりしながら言う。

 

 痛い痛い痛い!

 髭剃れよ!

 一応ボンゴレ№2だろ?!!

 身だしなみくらいちゃんとしろっての!!

 しかもあんま帰ってこないし、手紙だってそうそう送ってこないし。

 お母さんが可哀想だよ。

 一目惚れなのか?

 そうだったのか??

 あう、私が男性で家光さんと張り合えるくらいの年代に生まれてたら、マジで奪ってるよ。

 その方が、フツーの人生だったんじゃないかな、奈々お母さん。

 

 って、さっき空港って言ってたよね。

 なんか引っかか――あ!

 見た目優しくて実は腹黒のおじいちゃんか!!

 

 来ちまったか。

 いやー、これって死亡フラグ?

 綱吉は二歳だから、大丈夫まだかなり純粋だよ。

 でも私は純粋じゃない。

 かなり大人的な思考が入ってる。

 この歳になって部屋を割り振ってもらった。

 家具はまだ無かったから、奈々さんと選んだんだけど、絶対に子供の部屋じゃないインテリアになりました。

 木の暖かみのある部屋を目指していたら、かなりカントリーとか喫茶店的な部屋に……。

 所々にエアープランツとか、観葉植物をおいてるので空気は淀んでいない。

 でもなー、そこに住んでいる人物が淀んでんのよね~。

 まるで、コナン君だからさ、私。

 思考のみ大人って怖いよね。

 

 

 とりあえず、家光さんの手から脱出して、部屋に戻りパパッと服を着直してお出かけだけに使っている鞄(かばん)にハンカチとティッシュ、櫛(くし)と飴(あめ)を入れて、玄関に行く。

 

「おお、早いな~」

「櫻ちゃんは何でも一人でできるものね~」

 

 うわお、やっぱ早すぎか。

 でもこの二人って、ほんとのほほんとしてるよな。

 家光さんは少なくとも”表の世界では”だけど。

 

 駅まで行き、電車を乗り継いで空港へと向かう。

 その間に奈々さんは私の髪をいじり出した。

 

 やっぱりね。

 私はため息をついて鞄から櫛を取り出す。

 その櫛を見て奈々さんは目を輝かせて、櫛を受け取り、髪を三つ編みにして後ろで交差させた。

 おいおい、かなり凝った髪型にしたね。

 と、思った瞬間綱吉が泣きだした。

 あちゃー。

 今度は飴を取り出して、綱吉の口に突っ込む。

 飴といっても棒付きだから、タイミングを間違わなければ喉に詰まる事は無いだろう。

 

 よかったね、特別席で。

 一般席ならかなり周りに迷惑だよ。

 

 

 こういうことがあったが、とにかく空港についた。

 

 ゲートの前で待っていると、なぜかアロハシャツを着た老人がこちらへと歩いてきた。

 おお~、あれが九代目か。

 確かに優しそうなおじいさんだね。

 ん?

 ということは、十二歳かザンザス。

 ぎりぎりのとこかな……。

 

 笑顔で出迎えて、家に戻る。

 

 その日一日は、おじいさんと遊びましたよ。

 ただし、オセロとレゴでね。

 綱吉は触れ合っただけで、なんかかなり早い時間から寝てしまった。

 

 あ、そっか一時的に力を抑えたんだっけ、九代目が。

 まぁ綱吉の為を思えば、その方がいいんだけどさ。

 

「しかし、櫻ちゃんはいろいろ知ってるね」

『お母さんに、たくさん本を買ってもらったから!』

 

 部屋に来た九代目がそう言うのを、何とか子供らしい(?)口調にして答えた。

 ちなみに家光さんは奈々さんと買い物に出かけた。

 今日はごちそうを作るらしく、荷物係が必要なんだとかで。

 

「そうか。それはよかった」

『えへへ……』

「でも、君はそうじゃなさそうだね?」

『??』

 

 え、なにこれ。

 分からないふりをしたが、九代目は――ティモッテオさんは全てを見透かす目で見ていた。

 

 うわー、これがあの超直感か。

 マジこわ!

 

「別に家光には言わないよ」

『……ほんと?』

「ああ」

『男に二言はないよね?ないんだよね?』

「ああ」

『んじゃ、いいかな。で、何から聞きたい?』

「君はいったい何者だい?」

『わー、直球だね。でもいいか。そうだね、前世にも人間の女の子だった子だよ。その時はただの二十四歳の会社員だった』

「そうか。死因は?」

『え、そこまで聞く?うーんとね、確か癌(がん)だったかな。日本人の一番死亡原因一位の。いつの間にかなってて、いきなり余命宣告受けてんだよね、これが。んで、医者は病院に入院することを勧めたけど、幾ばくも無い命だからって私が拒否して、フツーの生活を最後までやり遂げて死んだ。あ、でも最後は母親が世話してくれたよ。私が植物大好きだからって、色々な植物を部屋に飾ったりとかしてくれた』

 

「そうか」

 

 

 死因をスラスラ答えた後、ティモッテオさんは少し考え込んでしまった。

 

『えーっと、なんか疑問あります?』

「いいや、疑問はないよ。そうか……。櫻ちゃん。すまないが、一つだけ頼みごとを頼まれてはくれないだろうか?」

『ちゃんと私の秘密を守ってくれるなら』

「ああ、それは守ろう。それにそれだけでは私の方が有利になるようなことになりかねない」

『へぇ。ということは、貴方の養子の問題とかかな?』

「!?どうして――」

『どうしてそれを、でしょ?前世ね。多分この世界とは違う世界。つまり平行世界から来たようなんですよ。その世界では綱吉にまつわる話が本として存在していましてね。大半のことを知ってしまっているんですよ。だれがどうなるとか、どこがどうなるとか。でも危害は加えないつもりだよ。嫌だし。綱吉可愛いし、この街かなり色々整備されてるし、あまり争いごと少ないし。私がいた世界じゃ、年がら年中地球上のどこかで戦争してたからね』

「君は争いが嫌いかね?」

『嫌だね。そりゃ、売られた喧嘩は買うけどさ、欲を満たす為だけの争いなんてまっぴらごめんだよ。災害で起きる悲劇もあるってのに、そんなことまでしていられるかっての』

「意外と、シビアな子だね」

『そう?でも出る釘は打たれるってのが世界の理でしょ?』

「……そうだね。で、確か昨日から夏休みだろう?一緒にイタリアに来ないかね?」

『というより、来てほしいんでしょう?拒否権なしだろうし。あまり看過できる状況じゃなさそうだね。それほどに酷いのかい?』

「まだ……そうまだ何も、起きてはいないよ」

『それは下火があるという事だね。それなら一時的でもちゃんと話をするべきだよ。そうじゃなきゃ、かなりの犠牲が出る。たしか彼は、自分のうっ憤を上手く発散できるほど器用な子ではないからね』

「……よく、わかっているね」

『まぁ、前世で色々あったんですよ。で、明日の帰国に私も付き添っていくという形にすればいいのですか?』

「ああ」

『うーん、そうすると……家光さんが不審がる気がするのよねぇ。どうしたものか……』

「そこは私に考えがある」

 

 

 家光さんが買い物から帰るまでに、ティモッテオさんから耳打ちされたことを脳内で何度もシュミレーションし、帰ってきたと同時にそれを実行した。

 すなわち飛びついたのである。

 といっても飛びついたのはその足で、荷物を落とさせるように胸には飛び込まなかった。

 それから上目づかいで、ねだり始める。

 自分でやっといてなんですが、かなりハズいです。

 二時間粘って、家光さんは落ちました。

 うわー、さすがティモッテオさん。

 こうなること分かってた?

 というか、後方でアイコンタクトしてたでしょ??

 

 

 

 

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