護送

 

 一人、砂上にて事の成り行きを見守る。

 

 分身の方はレイスケと共に予選に参加しているだろう。

 ま、余裕だろうがね。

 

「ふふふ。ここで死んでもらうわ」(大蛇丸)

「させない」(サソリ)

 

 サソリが変化した状態で大蛇丸の攻撃を受け止め、反撃する。

 大蛇丸も、目の前のポニーテールの美女がサソリだとは思わないだろう。

 他のメンバー、キサメと飛段も変化しているので早々ばれないだろう。

 ……飛段は例の獲物を使わないように言っておいたので、ますます何だろうが。

 

「生意気ねぇ。貴女のような美人ならこの職業じゃなくてもいいでしょうに」(大蛇丸)

「口説くのは、やめておけ」(飛段)

 

 飛段は肉体こそ変わらず筋肉質だが、顔は武骨な中年の男性。

 キサメは、オレンジ色の髪をした少年。

 まぁ、どれも私がイメージを送ったもので、いわゆる別の異世界の主人公キャラやその取り巻きのキャラたちだ。

 

『大蛇丸殿、貴殿との交渉は既に決裂した。立ち去れ』(威守)

「交渉は、ね。でも貴方には用があるのよ」(大蛇丸)

 

 で、私は風影に変化しているわけだ。

 本物は既にあのショートカットをの術式を使用して、木の葉へ行く手前で待機中。

 

『……。貴殿にもはや用はない。さらばだ』(威守)

 

 煙玉と砂煙、そして幻術を使用して全力で4人とも逃走したのだった。

 

 


 

 

「何もわざわざ大蛇丸の目の前に変化して出てこなくてもよかったのでは?」(風影)

 

 風影達と合流後、私は火影室にて会合を開いていた。

 メンツは、まず木の葉が、猿飛さん率いる今年の受験者の上忍。

 雨隠れからは長門、小南。

 岩隠れからは一班のみの受験となる為、その上忍一名と私のところからディダラ。

 砂隠れは砂影と受験班の上忍一名。

 そして、私が率いる曲者集団だ。

 

「瑠威殿にも何か案があっての事と思われますが……」(猿飛)

 

 木の葉の上忍ともども鋭い視線を飛ばしてくる。

 

『大蛇丸のやつに悟られないようにする為よ。いくら安全なルートを確保していてもそれを悟られれば意味ないでしょう。逆手に取られる可能性があるわ。ならどうすればいいか。本来敵が信じているであろうルートを見せつけてやればいい。そしたら、人って案外気づかないものなのよねぇ』(威守)

「雨隠れは既にいっぱい大蛇丸の一派とやりあっているわ。それはそこに居るサソリ、ディダラの二人も一緒でしょう?」(小南)

「ああ、あいつは気をつけなきゃな」(サソリ)

「オイラだってあいつには気を付けていかないと本気でやられるぜ、うん。大体、大蛇丸自身が使い捨てみたいな身体しやがるんだよな」(ディダラ)

 

 ディダラの言葉に猿飛さんたち木の葉と岩の上忍、砂一同が眉をひそめた。

 

「どういうことですかな?ディダラ殿」(風影)

「うーん、オイラを含めてルイに力を貸しているやつらは知ってるんだがな。って、大体木の葉を抜けたときのやつの目的を顧みたら見当がつくぜ、うん」(ディダラ)

「ルイ殿!説明をくれませんか」(バキ)

 

 単刀直入に聞きたいのか、バキが聞いてくる。

 

『火影様なら知ってるでしょう。と、いうより大蛇丸がまだこの里に居た頃の時代を知るものなら知っているはず。彼が何をしていたか』(威守)

「……人体実験」(カカシ)

『そ、カカシ君の言いう通り。彼は人体実験をしていた。それがばれて抜け忍になったのは、言うまでもないけれど……正直怖いのはその実験の目的』(威守)

「……」(猿飛)

『彼の目的はただ一つ、不老不死。人が決して超えてはならないその一線を飛び越える事。何が切っ掛けでそんなけったいなモノになろうとしたのかは分かりかねるけれど……』(威守)

「そうでしたな。威守殿はこの里の守護を裏から担っているのだからそのような情報を知っているも同然。確かに、あやつの目的は不老不死とみて間違いない」(猿飛)

 

 神妙な顔をして猿飛さんは答えているが、内心顔を歪めているはずだ。

 それもそうだろう。

 敵はかつての愛弟子なのだから。

 

「雨隠れは数人既に連れ去られている。つい数年前に里の若者数名が班ごと襲われる事態が起きた。方々に散っていた所を襲われた為、各個撃破され何とか救出が間に合ったものはその半数だけであった」(長門)

「おそらくは人体実験の被験者としてだと思う。秘密裏に救出も急いでいるけれど、それには情報が必要だから、人海戦術で情報収集をしているわ。入ってきた情報はどれもまちまちだけれど、共通することはただ一つ。攫われたであろう者達は、皆貴重な属性や体質を持っていたという事」(小南)

「そうだ。それでルイは俺達に情報周知をした。此処には希少な者達が多いからと、な」(飛段)

「それにしても。まさか瑠威の仲間に有名な仲間がこんなにいるなんて……」(紅)

『色々と彼らには制約を付けて私の私兵として動いてもらっているのよ。ここに居る者はすべて、もう無駄な殺生はしない。厳密には出来ないようにしてあるのだけれど。飛段、貴方が一番気をつけなさい。私に次いであなたも狙われる可能性があるわ』(威守)

「ああ。そこはさっき変化した奴の幼少時代とかに変化しておく。それでいいだろう?」(飛段)

「おい、例の獲物は使うなよ?」(サソリ)

「分かってるって。流石にあれを使えば一発で見破られちまう」(飛段)

 

 

 口々に話す彼らにため息をつきながら、私はほかの者たちに目を向けた。

 

 

『当分の間は、うちはサスケ君中心で狙われるでしょうけど。各々方も狙われ可能性は十二分にあるわ。中忍試験時間以外でも警戒を怠らないで欲しい。そして本腰を入れてくるのは……中忍試験の本戦。レアな人も含めてターゲット全員が一堂に会する機会はそこしかないでしょう』(威守)

「俺も同意見だ」(風影)

「わしもじゃ」(猿飛)

「それしかあるまい」(長門)

「ディダラ殿の意見も考慮し、同意見だ」(岩の上忍)

 

 

 ここに全会一致で、大蛇丸と相対する隊が結成された。

 情報は今後、この5名を中心に統制をとっていく。

 

 

 

 次ページ:本選前予選

 

 

最終更新:2018年02月19日 00:23
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