砂の里

 

 宣言通り、夜通し分身は見張りを果たした。

 そして私も宣言通り、砂への移動手段を行使していた。

 

 

「すげぇ!」(ディダラ)

「はしゃぎすぎだ」(サソリ)

『ん~♪ふ~ん♪』(威守)

 

 砂へと向かう三人は、水晶で出来た皿みたいなもので空を移動していた。

 空気抵抗など、色々計算したらこの形状がしっくりと来るのだ。

 まぁ、一部から”うえ〇の法則じゃん!”と言われそうだが、あちらは編み笠。

 あれよりも深くはなく、本当に丸い平皿のような形状。

 水晶で造った為、下はちゃんと見えるが、地上からは見えないよう光学系の技術は取り入れてた。

 まぁ、感知タイプの忍びが来たら一発でわかる仕様になってしまった為、ある程度の高度をとり、なおかつ結界を施している。

 チャクラを使いまくってしまっているが、今のところ大丈夫そうだ。

 それに、高度を上げたおかげか、あまり避けるモノもなく、夜が明ける前に砂隠れへと到達してしまった。

 

「……予定よりもかなり早く着いたな」(サソリ)

「うん、ルイ。疲れてないか?」(ディダラ)

『余裕ですね。さて、どうしたものかしら?一応友好関係にはあるのだけれど……』(威守)

「素直には話を聞かねぇだろう。特に今の風影はな」(サソリ)

『先代よりも頑固なのか?』(威守)

「ああ、だから息子にああなんだろう?ディダラ、てめぇにもあそこで泣いている奴が見えるだろうが」(サソリ)

 

 砂隠れの真上にいるため、広場や家の屋根はくっきりと見えている。

 先ほどの移動手段のまま、里の上空で浮いているだけだが。

 

「お、見えるぜ、うん。あれか?あの屋根の上にいる赤い髪……」(ディダラ)

「ああ。俺と同じ血族の血を引いたな。あの髪はまさしくそうだろう」(サソリ)

『で、サソリはどうしたい?一応聞くんだけどさ』(威守

「もちろん、今の長の顔面を殴り飛ばしたい。あれを見ていると無性にそう思う」(サソリ)

「……」(ディダラ)

 

 ディダラはデジャヴを感じるのか、無言だ。

 それもそうだろうなぁ。

 この中で一番若いディダラ君も、あんな感じだったんだから。

 

『ディダラ、君はどうだい?あれを見過ごすか、それとも』(威守)

「見過ごすわけねぇだろ、うん!」(ディダラ)

「そうこなくちゃな。ルイもそれでいいか?」(サソリ)

『もちろん、異存はありませんよ。それをするために、ここに来たと言っても過言ではない』(威守)

 

 まぁ、問題はどう里へ侵入するかだが。

 

『サソリ、この位置をとれていることを幸運と思ってくれ。ここならどちらでも直行だ』(威守)

「それは好都合。俺は……あちらに行く。ディダラ、てめぇはどうする?」(サソリ)

「オイラも旦那に同行する。うん、あれはいただけねぇ」(ディダラ)

『なら、私は一人先に行っているわね』(威守)

 

 私は微笑み、二人を見やる。

 サソリも、ディダラも真剣そのものだ。

 

『では、行きましょうか』(威守)

 


 

 サソリ・ディダラside

 

 

 空中へと飛び出し、重力に身を任せ懐かし故郷へと侵入を果たす。

 同じように落下するディダラの顔はやけに真剣だ。

 視界の片隅に入ったが、ルイのやつは加速をかけて風影のいる建物へと突っ込んでいった。

 

 おかしな奴だ。

 ルイの表情は……笑っていた。

 こんな状況下でその表情ができるとは、な。

 

「?!誰だ」(???)

「やっと会えたな。我が同胞よ」(サソリ)

 

 同じ赤い髪をした少年の前に降り立つ。

 建物の屋根の上に静かに降り立つのに、少しばかりチャクラやら体術を使ってしまった為見つかるのも時間の問題だ。

 

「旦那」(ディダラ)

「おまえも言いたいだろうが、後だ。そこの坊主。おまえ、大丈夫か?」(サソリ)

 

 色々と言いたいことはあるが、それが一番心配だ。

 

「何が」(???)

「おまえ、自覚すらないか。いや、体の方が正直だな。言葉と行動が別物だぞ」(サソリ)

「だな、うん。お前泣いてるぞ」(ディダラ)

「?泣いてなんて」(???)

「「……」」(サソリ、ディダラ)

 

 ため息をつき、俺とディダラは泣いているそいつに手を差し伸べた。

 

「行こう」(ディダラ)

「どこへ」(???)

「行くべき場所へ」(サソリ)

 

 俺たちはそのまま移動した。

 その後に里の者が来るだろうが、遅い。

 

 サソリ・ディダラside end

 


 

 

 「誰だ?!」(???)

 

 風影の居場所へ突っ込んだら、いきなり大声を出された。

 まぁ、そうなるよねぇ。

 

『こんばんわ、いい月夜ですね』(威守)

 

 壁を突き破った為、直ぐに大ごとになるだろう。

 ま、防音の結界を張ってるから朝になるまでは大丈夫か。

 暗部が真っ先に駆けつけてくるとは思うが……。

 

「名を名乗れ」(???)

 

 どうやら臆したのは一瞬だったようだ。

 

『そう警戒しないでください。私は瑠威。貴方に伝言があり、それをお伝えにまかり越しました。風影様』(威守)

「ほう、伝言。どちらからだ?」(風影)

『私自身からです。ただし、この伝言は木の葉、岩にも伝わっているという事を踏まえてください』(威守)

「……信用ならぬな。お前自身はどこの所属だ」(風影)

『所属ですか。一応木の葉です。ちなみに貴方よりかは年上でしょう』(威守)

「いったい何を企んでいる」(風影)

『企みを阻止するが為、この伝言を伝えに来ているのです。ちなみに、この伝言を貴方が真摯に受け止めない場合、貴方自身寿命が来るとお考え下さい』(威守)

「どういうことだ……」(風影)

 

 流石に自分に命に関わると聞いて、風影は戸惑ったらしい。

 

『しかし、貴方だけにのみ伝えても意味がありません。今からほかの人にも来てもらうため、結界を解きましょう』(威守)

 

 ノーモーションで結界を解く。

 すると砂の暗部が五名ほど入ってきた。

 まぁ、合格点だなぁ。

 ワンテンポずれてサソリとディダラも到着する。

 

「!貴様は!!」(暗部その1)

『手出しはしないでいただきたい。彼は今や私の私兵。もう犯罪には手を染めることもない』(威守)

 

 人の目には追えぬ速さで瞬身し、サソリに手を出そうとした暗部たちを押さえつける。

 

「速い!」(暗部その2)

「ルイ、いいのか?手を出して」(サソリ)

『一応、遺書にはありましたからねぇ。貴方を守って欲しいと』(威守)

「覚えてたんだな」(サソリ)

『忘れるようなことはしませんよ』(威守)

 

 

「なにがどうなっておるのだ」(風影)

 

 その場にいるにとびとの意見を代言するかのように、風影がつぶやく。

 

「ルイ」(ディダラ)

『わかったわ。とりあえず、座って話しましょうか』(威守)

 

 

 次ページ:遺書と残されたもの

 

 

最終更新:2018年02月18日 23:07
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