砂への道

 

 三手に分かれ、それぞれの目的地へと向かう。

 

 一番近いのは、すぐ隣りの木の葉。

 カカシ班とレイスケ、私の分身の上居、スイレンが向かっている。

 スイレンを付けたのは、彼女が感知タイプの忍びだから。

 カカシ君も、気配は読めるが時々鈍いことがある。

 それに、他の皆がそれぞれの里から帰るまでの間、気が抜けないと思っているからだ。

 シナリオを知っている私としては、なんとしてでも防ぎたい。

 

 逆に一番遠いのは、岩隠れ。

 長門、再不斬、白が向かったのだが、一番落ち着いている一行だ。

 まぁ、このメンバーならば岩隠れも素直に用件を聞き、冷静に判断を下してくれよう。

 三人とも強いし、危険はない。

 草原から山へ行くような地形だから、そうそう危険も少ないだろう。

 

 で、微妙な距離が私とディダラ、サソリの三人が向かっている砂隠れだ。

 此処の問題は砂漠であるという事。

 寒暖の差が激しいのだ。

 移動するならば、凍てつく夜の方がいい。

 だから一日で移動する距離が限られるのだが、普通の上忍クラスの忍びならば5日程かけてこの砂漠を渡り切るだろう。

 だが、私達ならば3日で渡り切るつもりだ。

 

「うん、さすがは砂漠。夜でもかなり厳しいねぇ、うん」(ディダラ)

「口を動かすなら手足を動かせ。なんとしてでも間に合わせるんだ」(サソリ)

『ま、この移動方法なら速いっしょ』(威守)

 

 私達はディダラの起爆粘土の鳥に乗って移動していた。

 徒歩やラクダよりも、砂漠の起伏を無視できるため、かなり速い。

 

「本来一人乗りだからな、うん。三人もいるなんてかなり定員オーバーだ、うん」(ディダラ)

「しゃーねぇだろう。とにかく時間がねぇ。中忍試験まで後一週間しかねぇんだぞ」(サソリ)

『ディダラ、頑張って。明日は私が交代するから』(威守)

「ルイに空飛ぶような術あんのかよ?!うん!」(ディダラ)

「初耳だな」(サソリ)

『あー、言ってないからなぁ。出来る事はできるが……ま、見てからのお楽しみだ。とにかく今日は頑張って急げ』(威守)

 

 一日目はこんな感じでディダラに頑張っていただきましたよ。

 ディダラに鞭打つのがサソリって、やっぱこの芸術家コンビはおもろいわぁ。

 

 

 夜通しで移動し、日が昇るころ岩場へと着き土遁を使用して日陰を作る。

 

「ん、うまいなこれ」(サソリ)

『そう?まぁ、ただの煮物なんだけどね』(威守)

「うん。おいしいぞ。普通じゃねえんだが、うん。食堂開けるぞ、うん」(ディダラ)

 

 一番簡単と思ってちゃんと用意していた煮物料理、肉じゃがである。

 鍋や具材、調味料などは巻物を経由して保存しておいた。

 煙もわからないよう、ここは少し洞穴みたいにしてある。

 まぁ、さすがに肉は干し肉たけど。

 

『二人に褒められるほどだとは思っていなかったよ。いつも通り作っていただけだし』(威守)

「引退したら、次は食堂の店主だな」(サソリ)

「うん、それいいな。そうなったらオイラ、ずっと通うぞ?うん、常連になるぞ、うん」(ディダラ)

「むしろ、そうしておけ。で、俺に出前を持ってこい」(サソリ)

『……もう、決まりですか。まぁ、考えておきますよ。とりあえず、これを食べたら寝ましょうか』(威守)

「そうだな、見張りはどうする?うん」(ディダラ)

「ディダラ、てめぇがやれ」(サソリ)

「だ、旦那そんなぁ」(ディダラ)

『無茶ぶりだろう?サソリ。ディダラ、君は今日ずっとチャクラ使っていたんだ。お前も休め。見張りは私の分身にやらせておく。そうすれば、私自身も寝ることは可能だしね』(威守)

「さすがルイ!うん!」(ディダラ)

「……ルイ、分身作ってチャクラを消費して、明日にさしつかえは」(サソリ)

『ああ、大丈夫。私は人柱力よりもチャクラ多いから』(威守)

「うん?!まじか」(ディダラ)

「…………俺たちに隠し事か?ルイ、お前は謎が多い。カカシ班のこともそうだ。あいつら、まだお前を信じてはおらぬだろうに」(サソリ)

 

 ですよねぇ。

 

『いつかは聞かれる事と思っていた。チャクラが異常な数値を示しているのは、私がこの世界において異端だから』(威守)

 

「それは人でなくなっている俺からしてもか?」(サソリ)

「オイラだって、手に口ついてるしなぁ」(ディダラ)

『それを除いてもだ。私は本来この世界の者ではない。生みの親も別の世界にいる。この世界に連れてこられた存在。だから、色々規格外』(威守)

「にわかには信じがたい話だが、ルイ。お前のチャクラの性質を聞いていたから、妙に納得した」(サソリ)

「旦那?」(ディダラ)

「ディダラ、てめぇも聞いただろう。ルイと最初にあった時に」(サソリ)

「ああ、あのせつめいか。うん?」(ディダラ)

「それだ。その時に違和感があったろ?俺と少し毛色が違うが、お前も天才と言われた忍だ。あの違和感は”全ての属性チャクラを扱うことができる”という一文だ」(サソリ)

「カッコつけかと思っていたんだがな、うん」(ディダラ)

「普通は、な。俺はそれで納得するつもりはなかった。だから直ぐにチャクラの性質を調べた。まぁ、チャクラ紙じゃないんだがな」(サソリ)

「……で、結果は?うん」(サソリ)

『…………』(威守)

「結果は、全属性のチャクラが反応していた。普通は、自分のチャクラの属性は三つまで。大体それでも今や希少な存在。二つでも狙われるほどの希少価値だ。それだというのに、ルイにはそれ以上の価値となること請け合いだ」(サソリ)

「旦那が言うんだから、うん。嘘じゃなさそうだな。ならば、ルイの言葉は信用価値が上がるんだな、うん」(ディダラ)

『この事実を知っても、お前らは私を人間と思うか?』(威守)

「今更っしょ、うん!」(ディダラ)

「俺たちの方が、この世界では異端だ。お前はまだ人間だよ。カラクリになった俺よりも、な」(サソリ)

「うん、そうそう。って、よく考えればこの一行おかしくね?うん。ルイ襲われるぞ?」(ディダラ)

『ほう、死にたいと?結界術の腕においては私の方が上だ。と、いうことでそこから出てくるな』(威守)

 

 結界を張り、とっとと寝る支度をしてしまう。もちろん、分身も出して見張りに行かせた。

 二つに分かれた空間。

 私がいない、男子部屋となった方ではディダラがサソリに殴られていたのは言うまでもない。

 

 

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最終更新:2018年02月18日 23:06
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