橋の……

 

 事がひと段落し、里への帰還を迎えたのは数日後であった。

​ その短い間に、ガトー・カンパニーは解体され、波の国を中心に波乱が巻き起こったのは当然の結果だった。

​ その混乱に紛れ、いろいろ暗躍したがそれはまた別の話である。

 

​ カカシ班と威守班はその混乱の中で、一つの橋が完成されるのをただただ見守っていた。

 

​「やー、こうもすんなりと橋の完成をみられるとは……」(タズナ)

​『そうねぇ、まだバカ風情はいるみたいだけど』(威守)

「ガトーのような悪党はいないようだな」(カカシ)

 

 まったりと話しながら、最後の工事部分を進ませていく。

​ ガトーの嫌がらせにより不足していた資材は、私が忍術で補い取り出した。

 木材はもちろん、鉄もだ。

​ まぁ、釘くらいは楽勝。

​ ネジの溝でさえばっちり再現させて、術を行使してある。

 これにはカカシはびっくりしていたし、他のメンバーはあんぐりと口を開けていた。

 それはそうであろう。

​ 本来失われたはずの忍術ばかりである。

​ いや、知られれば他の国から狙われる可能性もあるのだから。

​ それ程にレアな、喉から手が出るほど欲しがるものばかりである。

 

 

​ 波の国を去る直前。

 橋の名前が決定され、とある人物は一気に笑顔だった。

 

​ ナルトである。

 

​ 自分の名前を付けてもらい、少し感動しているのか、その付けた人物の心のありようが変わったのがうれしいのか。

​ どちらもではあろうが、彼が喜んだのは事実だった。

 

​ 行きとは違い、警戒心のかけらもない子供たち(威守班は別)。

​ そんな純真な子たちの度肝を抜かせる二人が一行の前に現れた。

 

​「まったく、君らもう少し警戒してくださいよ」(白)

​「……だな」(再不斬)

 

​「「「えええええええ!!!​」」」カカシ班)

 

​「……お前ら」(カカシ)

 

​ カカシが警戒して、クナイを抜く。

 

​『カカシ君、ストップ。彼らは既にターゲットじゃない』(威守)

​「だが、抜け忍だ」(カカシ)

​「殺気がまるでないね、ルイ姉ぇ」(レイスケ)

​『別の目的でしょうか』(上居)

 

​ 短気になりがちなカカシを威守班でいさめながら、本体である威守上忍姿の私はため息をついた。

 

​「説明してもらおうか、威守上忍」(カカシ)

​『まー、とりあえず移動しながら話しましょう。ああ、情報は洩れませんよ。結界を常に張っています』(威守)

​「ルイねぇちゃんの特別なあのことも教えてくれるかってば?」(ナルト)

​「……確かにあの術の継承者たちは血が途絶えたはずだ。教えてもらわねぇと遺恨が残る」(サスケ)

​『……よく、遺恨なんて言葉知っていたね、サスケ君。そこらへんも教えるよもちろん。どちらにしろ、知られてしまう事ですし、君の失ったはずのものの事もかかわってきますから、ね』(威守)

​「っ!何を隠している!」(サスケ)

『そう怒らずに。私は拾えるものを拾ったまで。悪いようにはしておりません』(威守)

 

 そう言うと、私は分身である上居を消した。

 

​「「「「!?」」」」(サスケ、ナルト、サクラ、レイスケ)

 

​『彼女は私の分身でね。常に出しておくことが可能な特殊な術で分身として存在させていたからね。今は意図的に消したけど』(威守)

 

 私は苦笑して、歩き始めた。

 

​『とりあえず、里の近くまで行きましょうか』(威守)

 

​ ショックに止まってしまった一同をせかして。

 


 

 

 帰り道の途中。

 里のテリトリーに入る直前で、街道から逸れ樹々の間を歩いていく。

 

​「こんなところを……」(カカシ)

​『カカシ君じゃ、知らないのも仕方ない。ここからは本来、下忍はもちろん表の者が知ることのできぬ暗部のテリトリー』(威守)

​「俺らを引き連れて行ってもいいのかよ、そんなとこに」(サスケ)

​『心配無用。ま、カカシ君は知っているけど、そこの最高責任者は私でね』(威守)

「木の葉には……」(カカシ)

​『連絡しておいた。我々がこちらから里へ帰っても、何も問題はない』

 

 皆が気づかぬよう、伝令用の術式を火影に向け送っておいた。

​ 今頃猿飛さんがため息をつきながら、何かしら手を打ってくれてはいるだろう。

 

 とある樹の前で立ち止まり、模様をなぞる。

 するとそこに扉が現れ、地下への通路が開いた。

 

​「「「うそ!?」」」(サスケ、ナルト、サクラ)

「まさかこういうところがあるとは」(カカシ)

​「ほう、元暗部のお前がそう言うか」(再不斬)

​「再不斬さん、言い過ぎですよ」(白)

​「え、カカシ先生。暗部だったの?!」(サクラ)

​「サクラ、それは当然と考えるべきだろう。この里のシステム的に一度はそういう任務に就かねばならぬ時が必ず来るんだ。俺の兄みたいにな」(サスケ)

​「サスケ……」(ナルト)

​『あー、しんみりしているとこ悪いけれど。サスケ君の家族はまだ間に合うわよ?と、いうよりもう見えるでしょ。ほら』

 

 かなり深いとこまで下りたとこで、私は前方に指をさす。

 

 そこには、水晶に入った状態のうちは一族の者が二人と、女性が一人。

 

​ その光景に、そこに居る者ははからずともショックを受けた。

 その中でも愕然としたのは、サスケとカカシだった。

 

​「イタチ!てめぇ何でここに居るんだよ!」(サスケ)

​「オビト?リン?!」(カカシ)

 

​ 二人の動揺に、サクラとナルトは珍しいものを見たというような表情であった。

 

​「ルイ姉ぇ。三人とも死んではいないよね?」(レイスケ)

​『もちろん、死んではいませんよ。今は治療中でね。三人とも重症だから、特製の水晶の中に入れて、治療をしているの。普通にベッドに寝かせて治療しても、栄養やエネルギーが足りなくてね』(威守)

​「まさか、木の葉がここまで治療技術が高いとは……」(白)

​「白、ちげぇだろう。これは常人が見たら非道だぞ」(再不斬)

 閉じ込めての治療だ。

 非道にしか見えまい。

 

​「ルイねぇちゃん」(ナルト)

『まぁ、話すと長いからね……』(威守)

 

 

​「まったく、しゃーねーな」(???)

 

 

​ まるで洞窟のような空間の左側から声がした。

​ 私は誰だかわかっているだけにため息しかつけない。

 

​「おい、ルイ。さっさと話してやれよ。俺は協力すると言っているんだからな」(???)

『言われなくとも。とりあえず、奥の部屋に行ってくれるかしら?ああ、他のメンバーも呼んでおいてください』(威守)

​「大半いねぇぞ。俺を含め、五人しかいねぇ」(???)

​『それでいいから、早急によろしく』(威守)

 

​ 気配がなくなり、静かにこちらをうかがっていた一行に声をかけ、奥へと進んでいく。

​ 水晶は三つだけではなく、規則正しく、三つずつ列で並んでいる。

 これは私がばらばらにしたくなかっただけ。

​ あくまで治療用の水晶もどきであり、あのオカマ蛇のような研究用ではない。

 

 奥には水晶で作った扉があった。

 もちろん、私が作ったものだ。

 

​『さて、入りなさいな。真実を知るために』

 

​ 扉を開け、神妙な顔をしている面々を促した。

 

 

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