ナルトとサスケもやっと木登りができるようになり、修行六日目から護衛となった。
原作より一日ほど早いが、まぁ、大丈夫だろう。
修行途中の夕飯の席で、無理やり食べていた二人には説教しておいた。
全く、もう少しコントロールをしてほしいものだ。
自分がその日に食べれる量くらい、把握しておいてくれ。
修行が終わったことにより、護衛の人数を増やせたと思ったのだが、ナルトが起きなかった。
木登りに体力を使ってしまったらしい。
こうして、ナルトはツナミさんとイナリ君に預けたまま、護衛に着くこととなった。
と、いうわけがなかろう!
私は威守上忍としてカカシ君のサポートに分身を置き、上居バージョンの分身はナルトにつけてある。
で、本体の私はというと、再不斬たちのところにいたりする。
『で、今言っていた方法でいくから。ちゃんと隠れているように』
「……」(再不斬)
「……」(白)
『納得いかない?』
「ああ」(再不斬)
「ええ」(白)
生存ルートにもっていくつもりで、彼らには隠れていてもらうつもりなのだが……
やはり止めとか、ケジメとかちゃんとしたいらしい。
「仕留めるのはこちらでやる」(再不斬)
『だと、思いましたよ。まーそういうことしたいと思ったからねぇ。一応プランは用意したけど……』
「そっちにしろ、今すぐ」(再不斬)
『了解しました。一応、危険レベルは低レベルですし、死亡フラグは立っていないでしょう』
立っていたら困る。
「では——」(白)
『死なない程度に、ガトーが出かけたら仕掛けておくから、ガトーの始末だけよろしく。ま、後から追いつくのだけど』
結局、頑固な二人に原作沿いルートをとらざるを得ず、私は一人でガトーカンパニーの幹部を暗殺していた。
「ぎゃ!」(幹部1)
「うぁ……」(幹部2)
淡々と仕留め、さっさと会社を後にし、橋へと向かう。
到着すれば、ちょうど白くんがナルトに吹っ飛ばされるとこだった。
おいおいおいおい!
こういう事になるんじゃないかって思ったから、行かせたくなかったんだよ原作ルート!
『ナルト!!待ったぁ!』(上居)
上居の分身で二人に割り込む。
「上居!」(ナルト)
『事情が変わったわ!その子と一緒に来て!』(上居)
「でもサスケが!!」(ナルト)
『大丈夫、そこの白くん。彼は死んでないでしょ?』(上居)
「……バレていましたか」(白)
「え……」(ナルト)
『味方に対しても、あんな方法で庇ったくらいです。少し遠くから観察していましたが、あなたの攻撃に殺気はありませんでした。おそらく、仮死状態にしただけでしょ』(上居)
「それで、状況が変わったというのは……」(白)
「そう、それだってば!」(ナルト)
『ガトーの会社が実質的に倒産しました。ガトー自身はまだ知りませんが、ね』(上居)
「!」(白)
「それどういうことだってば?」(ナルト)
『ガトー本人に依頼料を望めないということですよ。つまり依頼は自然消滅です。さて、カカシさんたちも止めてしまいましょう』(上居)
「あ!でも」(ナルト)
『サスケくんならば、サクラさんに任せましょう。それに、カカシさんたちを止めれば、大人の手も借りれてサスケ君の救命処置をもっと早く出来ます』(上居)
「じゃぁ急ぐってば!俺先にサクラちゃんのとこ行く!」(ナルト)
『では、私は白くんとカカシさんたちの方へ』(上居)
「ええ」(白)
うなずき合い、二手に分かれる。
ナルトはサクラとタズナさんのところへ。
私と白はカカシさんたちのところへ。
「あなたはなぜ、ここまで!」(白)
『全ては一件落着してから!とりあえず、二人を止めないと!』(上居)
驚きを隠せない白の横で、瞬身で飛ぶ。
原作ならば、彼がするであろう技をこちらが使うのだが、私はカカシには貫かれていない。
なぜなら、彼はまだ雷切を発動する前であり、二人とも組み合っている最中であったのだ。
そして、瞬身して私のとった行動は、二人のバランスを崩すというもの。
一方的に状況を悪くするわけでもなく、味方もしなければ敵にもしないという立ち位置。
「「なにっ!」」(カカシ、再不斬)
バランスを崩された二人は、身体能力がもともと良いこともあり、すぐに体勢を立て直した。
『二人とも止まって!この任務の意味が別物になった!』(上居)
「どういうことだ、お前は裏切ると?!」(カカシ)
『あほカカシ!ガトー・カンパニーは潰れたんだ!』(上居)
「やられた借りは返さなければ」(カカシ)
『お前は、子供か!ちゃんと自制しろっての!大体が、この任務はおとりだってことわかってくれよ!』(上居)
カカシをそうして止めている間に……
「フハハハハハ!情けない!いまだにやっていないというのか、再不斬よ」(ガトー)
哀れなバカ社長が来た。
もちろん、優秀な護衛をたーくさんつけてだ。
『もう来たか』(上居)
私の言葉にカカシが振り向く。
遅いっての。
「なるほど、俺は捨て駒だったというわけか」(再不斬)
「ふん!お前くらいの手練れ、金さえあればいくらでも雇えるのでな!」(ガトー)
さて、割り込むか。
『おあいにく様。先ほど、情報が入ってきたわ。ガトー、あなたの会社は事実上倒産したわ。お前のほうが捨て駒だったわね、経済という名の世界での』(上居)
「上居、お前」(カカシ)
「ほう、餓鬼がずいぶんなことを……」(ガトー)
ガトーの言葉を遮り、足音が近づいてくる。
それは、私がわざと残した生き証人(一般社員の一人)だ。
「社長!幹部がすべて息絶えて!」(一般社員)
「なんだとっ!?」(ガトー)
『言ったでしょう。倒産だと』(上居)
「この餓鬼がぁ!」(ガトー)
『餓鬼ごときにムキになるなよ、このバカ社長』(威守)
上忍姿の私(本体)に再不斬の目の前現れて、ガトーの頭をはたいた。
「がっ!」(ガトー)
『まったく。カカシ君も、もう少し落ち着いてくださいよ。マジで倒産していました。上居、サスケ君の回復よろしく』(威守)
『了解しました』(上居)
分身の方には、ナルトたちを見ていてもらう。
「ここは俺にやらせろ」(再不斬)
「……ああ」(カカシ)
『異存はありません』(威守)
「ハハハハ!こちらには手練れが控えているのだ、行けい!!」(ガトー)
『もういないわよ、君の味方なんて』(威守)
命じるガトーの背後にはもう誰もいなかった。
先ほど知らせに来た一般社員でさえ、どこかに消え失せている。
「なぜだぁ!」(ガトー)
「誰も、倒れる塔の中に居たくはないでしょう」(白)
「共倒れどころか、死ぬからな」(再不斬)
抜け忍の彼らは交互にそう言い、ガトーに迫る。
ガトーはどうやら運動などしていないようで、すぐに足をもつれさせてその場に倒れこんだ。
明らかなメタボだもんなぁ。
すぐに決着がつき、抜け忍の彼らはその場を去った。
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