「瑠威さん?あのー、もうっちと分かりやすく説明してくんないかなぁ」(カカシ)
ガロが自由すぎるから、マジでややっこやしくなってしまったじゃないか。
いや、私にも原因あるか。
『あーうん。そうだね、今まで話したことは本当の事だけど……私の出自については話していなかったでしょ。ガロ、そこに紙とペンあるから取って』
「魔王である俺を使うとはいい度胸だな」(ガロ)
『……それはいいから、ほれ。ちゃんと説明しないと、この世界では生きづらいんだから。特に、闇属性持ちは、ね』
「チッ、仕方ねぇ」(ガロ)
いちいち舌打ちするのがマダラっぽいなぁっと思えてしまう。
どちらも悪の筆頭になっていたしな。
『さーて、じゃ説明しますか』
ガロからペンと紙を受け取り、さらさらと書いていく。
『えーっと、まず私から!って、三人ともなんだけど、こことは違う世界の出身でね。その時の職業は学生。こちらに来るきっかけは、いじめによる人間不信の果ての自殺。当時19歳。両親などの個人的な環境は、この里でいけばいろいろと厳しいうちはに似ているかな?勉強優先の生活だった』
「俺らの中では前世が一番普通な人物だな。」(ガロ)
『一番普通じゃない君に言われたくはない。で、ガロは先ほども言ったが魔王様。と言ってもいわば分身体のほうだけらしい』
「本体に次元の狭間に送られただけだ。破れてしまったからな」(ガロ)
『正義も味方に負けたってわけだ。ちなみに三人の中で元から強く、長生きと言えばこのガロだ。ま、本人にはその自覚はないかも知れぬが』
「何度も生まれ変わるというのだ。記憶を保持するのも無理がある」(ガロ)
『私が知る限りではトータルで10回は生まれ変わっては倒されるっていう無限ループだからね。ああ、でもガロが飛ばされた時間軸では4回くらいだね』
「そうか。だが俺としては長生きというものでもないと思うぞ。30代で死ぬのだからな」(ガロ)
『ああ、倒されるのそれくらいか。ま、それでもトータルで120歳以上ってことだ』
「……解せぬ」(ガロ)
『自覚がないから仕方ないでしょ』
「「「「……」」」」(一同)
『えーっと、こんな感じだね。さて、最後のレイスケは彼もある意味、元一般人だよ』
「但し、元神候補でもある」(ガロ)
『神になる事ができる殺し合いの途中で、脱落してこちらに飛ばされた5歳児だ』
「何が何だか……」(紅)
「情報が一気に来すぎだ」(シカク)
「あーうん、何とかわかったわ」(カカシ)
「カカシよくわかるな」(アスマ)
「三人とも同じ世界だという事を思っちゃいけないんだろ?ということは、世界観も違うんだろう。それこそ、童話や絵本の書かれているような想像でしかない世界観もあると思う」(カカシ)
『さっすが、カカシ君。その通り世界観が違うよ。ついでに文明のレベルも違う。この世界の文明に近いのは、ガロのとこだけ。私とレイスケはもっと文明的に発展したとこだったからね。木の葉くらいじゃん、下水道が昔から整備されてたとこって。あれ、私が頑張って作ったんだぞ?いきなり病気で死にたくなかったからな』
「そうだったの?」(カカシ)
『下水道がちゃんとしてないと、マジでバタバタ死ぬんですよ。しかも子供ばかり。んなの、私が受け入れるわけないじゃないですか。始まりの二人に頼まれたッってぇのに』
「へぇ~。律儀に守ってるってわけ?」(カカシ)
『ま、そういうことだね』
馴れ馴れしく、いや、怖がらずに話しかけてくるカカシはまだ疑っているのだろうか。
『まだ何か聞きたい?』
「いや、今はいい」(カカシ)
彼は扉に手をかけた。
「でも、話してくれてありがとう」(カカシ)
そう言って出て行った。
気配が遠ざかっていく。
『……やはり、カカシ君は疑い深いな。ガロ、そろそろ護衛にもどれ』
「ああ」(ガロ)
ガロは真っ黒になると、はじけて消えた。
「!」(シカク)
「え?」(紅)
「おいおい」(アスマ)
『いつ見ても心臓に悪い……。ま、彼らしいがね』
紅茶を一飲みして、天井を見上げた。
『どうか、平穏な日々が長く続きますようにと、願うだけ』
その呟きを残された上忍三人が見ている。
本来この地位にいたダンゾウなら、こんなことしない。
あいつは野心にあふれてたからなぁ。
さて、送ってくか。
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