ひときわ里の中で存在感のある建物。
それが火影邸だ。
一階は受付兼事務所。
二階は資料室や財務室。
で、三階が火影室である。
火影とは、確かこの里における最高責任者にして結構強い忍者のはず。
なのだが……。
「失礼します」
『……』
で、その火影の前にいるのだが。
翠が堂々と深夜にもかかわらず入っていき、俺はそれに続いて部屋に入った。
「翠殿か?」
「それ以外に何に見えます?ああ、私の偽物とかかしら?そういうのが出たら早めに行ってくださいよ?すぐに消してきますから」
「いや、わしも本当に衰えたのぅと思っての。明日引退じゃし……」
「次の火影は若い方でしたね。ああ、今回の任務は成功。で、新しく入った人を紹介します。狼です」
『狼と申します。今日から暗部にて任務を務めさせていただいております』
魔王にしてはしっかりした挨拶だと?
当たり前だ。
ゴマをすりながら相手の裏をかくのは得意だったからな。
こういう対応はできる。
「そうか。これから色々迷惑をかける」
「今日は報告と顔見せだけだから。狼、今日は解散して」
『畏まりました』
俺は瞬身の術を使ってその場から去った。
威守瑠威side
「まさか、今頃になって仲間を増やすとは」(火影)
「あら。まぁ私は、君の弟子のように変わってはいないわね」(瑠威)
「……なぜ、ワシは見抜けなかったのだろうな」(火影)
「人は、話さないと分からないから。私とて、一人止めきれなかったのよ?猿飛さん?」(瑠威)
「そう……でしたな。それで、彼をなぜお入れに?」(猿飛)
「彼も私と同じ運命を背負うもの。彼も選んだのよ。ま、私と違って歳は順調にとることはできるでしょう」(瑠威)
私はそう言いながら、どこか遠くを見るような目で老人を見つめた。
「瑠威殿、本当にすみませぬ」(猿飛)
「謝るのは早いわ。それに、相手は私じゃない。私は使命を果たしているだけ。それに、それを現役どうのこうのっていうなら……普通に接してね。私まだ人でいたいから」(瑠威)
その言葉にハッとしたらしい猿飛さんはとても複雑な顔をした。
「そうね……。嫌ってもいいけど、人間不信にはなってはダメよ?純粋な子もたくさんいるから」(瑠威)
「そうじゃのぉ」(猿飛)
瑠威side end
次ページ:四代目へ
*やっと最初の主人公出てきました。
ここでなんとなーくくらいしか分からなかったのですが、たぶんこの状態で初代がなくなってから最低でも二十年は立っているでしょう。
綱手さんが二十代にはなっているでしょうからねぇ。
で、もう三代目が引退宣言。大蛇丸はもう裏切ってる状態。
瑠威はやっと十五歳くらいになれたかな。
十年で一年分の成長って、ほんと悲しいね。
その代わりガロがどんどん渋いあの魔王様に……