一戦終わりて

 

 終わった骸のとの戦いは、最後ボンゴレ医療チームの到着により幕を閉じた。

 

 怪我がないのは私とリボーンくらいで、他はほとんど重体だった。

 ツナは全身筋肉痛。

 獄寺は体を酷使し、尚且つ操られた事による腹部の傷口からの出血。

 武君はろっ骨を三本骨折と、腹部からの出血。

 ビアンキさんは顔の傷。

 雲雀さんは全身打撲と、貧血、ろっ骨を二本骨折。

 

 そして一度心を閉ざしたフゥ太をはじめ、皆、心に傷を負った。

 

 

「櫻。お前、無傷だったんだな」

『リボーン。学校に来ててもいいの?皆病院よ?』

 

 そう、ここは並盛中。

 私は屋上で景色を眺めていたのだが、そこにリボーンが来た。

 

「それはお前もだぞ」

『今、並盛中の風紀委員をまとめられるのは私だけでね。明日になったら草壁さんが退院する手はずだから、それからお見舞いに行こうかと。そうでもしないと、雲雀さんの顔を見るのが怖くってねぇ』

「確かに、雲雀なら並中を一番に考えているだろうからな」

 

 リボーンの丸っこい目がこちらを射抜く。

 

「お前はいつ言うつもりだ?」

『まだ言わない。これからやっとツナ達に試練が訪れる。私はその邪魔をしてはいけない』

「どういう事だ?」

『厄介な事に、もう敵の接触が始まってる。それも壮大な計画で』

「ちっ」

『舌打ちしたいのは私もだけど、仕方ないわ。今は流れに身を任せるしかない』

 

 ほんとはね。

 君の呪いも早く解いてしまいたいんだよ?

 

「じゃ、明日は必ずツナ達に顔出しに来い」

『了解です、リボーン』

 

 


 

 

 

 リボーンに言った通り、私は退院した草壁さんに一時期風紀委員を任せて病院へと顔を出すことにした。

 受付に行って、リストを差し出す。

 

『このリストの人達に面会に来たのですが』

「ちょっと待ってくださいね。えーっと、三〇五号室の相部屋に皆さま居ますよ」

『……え、っと。確かこの人だけ一人部屋とかそういうわけではないのですか?』

「ああ。そのお方でしたら、そこでよいと」

 

 ウソだろ?

 あの雲雀さんが、あの孤高が?!

 ツナ達と一緒に居るだと??!

 ……嫌な予感しかしない。

 

これ、ヤバいんじゃないかな?

「なにかおっしゃいましたか?」

『いえ、独り言です。では、失礼します。ありがとうございました』

 

 受付を後にし、病室に向かいながら差し入れを見る。

 

『足りるかしら……』

 

 

 ほどなくして三百五号室に着く。

 

 コンコン。

 

『お邪魔します』

 

「あ、櫻姉さん」

「櫻か」

 

 なぜか声がしたのはツナと雲雀さんだけ。

 

『あれ?獄寺君と武君は?あとビアンキさんも……』

「あー、獄寺君と山本はそこに倒れてる」

『マジか』

 

 あ、ほんとだ。

 床に倒れてる。

 

「ビアンキさんは……なんというかその……リボーンの傍に居たいからって無理やり退院を」

『まぁ、彼女は軽傷ですし。仕方ありませんね』

 

「櫻」

『ああ、ごめんなさいね。無視してて。はい、差し入れ』

「なにこれ」

『手作りのゼリーとプリン』

「学校どうしたの?」

『草壁さんがちょうど退院したから、一日だけ休みをいただいてきた』

「ならいいけど。ちなみに、なぜ君の弟君だけ噛み殺していないと思う?

『……狙いは私ですか』

「正解。だから相手をしてよ」

『雲雀さん、全治三か月でしょ?無茶はダメですよ』

「君は動いているのにかい?」

『私は無傷だからいいんです!勝負なら他のでしましょう』

「そ、そうだよ!雲雀さん。ほ、ほらリボーンが持ってきたトランプあるし」

「へぇ。そう」

 

 やばい。

 雲雀さんの目が無駄に怪しく輝いている。

 

『いえ、ツナ。こういう時はこれにしましょう』

 

 懐から別のカードを出す。

 

「なにこれ?いろんな絵が描いてある」

「花札だね」

「花札?」

『あー、ツナは知らないか。んじゃ、ここに説明書ありますから、それを読んでてください。雲雀さん一戦願えますか?』

「もちろん。容赦はしないからね」

「ええっ!櫻姉さん!」

 

 試合開始!

 

 三十分後。

 

『わーい。青たん!』

「……」

『はい!五光!』

 

 バフ

 

「もうやってられないよ」

 

 雲雀さんが負けてふて寝しました。

 

「嘘!櫻姉さん勝っちゃったの?!」

『イエーイ』

 

「くそ……」

 

『雲雀さん、もうちょっと上手くなったら勝負してね』

「櫻姉さんスゲー」

『んじゃ、そろそろやろうか、ツナ』

「ええ、俺?!」

『ルール分かったよね?』

「ちょっと待って!ほんと待って!」

『あー、じゃあ。そっちのトランプに変えます?』

「もちろん!」

 

 涙目で訴えてくるので、ツナとの勝負はトランプで行うことになりました。

 

 

 しかし、三十分後。

 

 

『上がりぃ―!』

「負けた……完膚なきまでに」

『ツナはもうちょっとポーカーフェイス使おうね』

「うう、どうせ俺は顔に出るよ」

 

 

 その後、獄寺君と武君が起きて、やはり勝負しましたが……私の一人勝ちでした。

 君ら弱すぎ。

 

 

「面白い事してんな。櫻」

『リボーン。ツナが弱すぎて相手になりません。他の人にも勝っちゃって』

「俺とやるか?」

『いいの?!』

「ああ」

『もちろんやります!』

 

 

 ということで、リボーンと花札をする。

 

 

 

 三十分後。

 

 

 

 勝てるかと思ったが、ギリギリのところでリボーンに奪われた。

 

 

「俺の勝ちだな」

『く、あと一歩のところで!はー、久しぶりに負けた。私が負けたのはリボーン含めて三人ですからね』

「ほぅ」

『悔しいわ。また今度勝負してもらってもいい?』

「いいぞ」

 

 

 


 

 

 

 

 病室を退出し、そのまま病院を出て商店街へと向かう。

 

『今日の夕飯なににしようかしら?』

 

 夕飯も作るようにしようと考えて、商店街を目指す。

 

 

 商店街に着いて、八百屋をのぞいていると袖を引っ張られた。

 ふと下を見れば六歳くらいの子がいた。

 屈んで目線を合わせる。

 

『どうしました?』

「くふふ、お久しぶりです」

 

 ……

 骸でした。

 子供に憑依するなよな

 

『って、貴方ですか』

「おや?驚きませんね」

『どんな反応を期待していたかは知りませんが、とりあえず移動しましょう。どうせその子の親からは離れて行動してきたのでしょうし』

「おやおや。お見通しですか」

 

 周りを見渡して、花屋さんのところにベンチがあるのを見つけてそこへと誘導する。

 ちなみにここの花屋は、店舗を敷地の半分にし、本来駐車スペースとなる部分を簡易なカフェにしていた。

 

『それで、今さら何をしに来たのです?』

「貴方と話がしたくて」

『……嘘じゃなさそうね』

「そう言えば貴女も直系でしたか」

『この能力は微かにしかないから、相続なんぞ出来はしないけどね』

「……貴女と対面した時。正直寒気を感じました」

『………………』

「ご存知の通り、僕は闇を持っていますが……。貴女は、僕以上に闇が深そうですね」

『……まぁ、貴方なら悟られてしまうと思っていたわ。私も一度は世界を憎んだのでね』

「ほぅ?貴女の方を狙うべきでしたか」

『いいえ。それは得策じゃないわ。貴方の場合、その眼に刻み込まれた闇の影響ですが……私の場合は魂に刻まれた闇ですから』

「……僕よりも、貴方の方が反逆してくれそうですね」

『しないわよ?こんなに面白い世界だもの』

「面白い?」

『この世界はね。私が知る他の世界より争い事が少ないの。だから、面白くて好き』

「……そうですか。弟には話していないので?」

『話すタイミングが今じゃないの。既に貴方の敵ともなる標的が接触してきているからね。それを排除するか否かでしか、話せないの』

「?敵?僕にとってもですか」

『ええ。あ、あと貴方にお願いがあるの』

「なんでしょう?」

『多分、貴方の方が私より先に私のお父さんに会うわ。その人に侮られずに、そして私の事を話さずに、流れに身を任せて欲しいの』

「貴方のお父さんですか……。僕がそれを承諾するとでも?」

『してもらわないと、色々支障が出そうなの。今後、すべての人に悪影響が出るわ』

「それは僕も含まれるのでしょうね。しかし、そのような情報。どこから?」

『私自身の知識から。私には、三つの世界の記憶がある。一つはこの世界、もう一つは娯楽と争いの世界、最後の一つは殺戮の世界』

「よいので?僕のような者に教えて」

『どうせ、五十歩百歩ですよ。それに今のうちに教えておかないと、貴方とあまり接触する機会がないはずなのでね

「……まぁ、いいでしょう。黙っておいてあげますよ」

 

 会話を断ち切るように、骸がベンチを下りた。

 

「そろそろ時間切れです。Arrivederci.La vedi di nuovo

 

 そう言うと、骸の気配がなくなる。

 

 去り際にイタリア語にする辺り、気障だね。

 

「ここ、どこ?まま~?」

 

 きょろきょろと辺りを探し始める子供。

 

『はぐれたの?』

「おねぇちゃんは、だれ?」

『私?櫻っていうの。君は?』

「……」

 

 そう言えば、このごろの子供は警戒心高いのだった。

 とりあえず、近くにいた警官に話を通し、いっしょに探してもらうことにした。

 

「おねぇちゃん、おまわりさんとなかよしなの?」

『まぁね』

 

 雲雀さん繋がりで、この街の警官や警察には一目置かれる存在となってしまっているので、否定はできない。

 まぁ、仲良しというより流れに身を任せてたら尊敬された感じだね。

 夜まわり中学生から始まった筈なのに、既に街の標準警備員だよ。

 

 程なくして母親を見つけ、子供を引渡し、警官にも感謝を述べてからその場を立ち去る。

 

 

『あ、夕飯の買い物忘れた。……家にあるもので何か作るか』

 

 

 ちなみにこの日の夕食は、冷蔵庫にあったものでシチューです。

 ……今度こそ、ちゃんとした夕飯作ろう。

 

 

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