日記その十五 少年よ大志を抱きすぎるな。迷惑だから…


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「くっ……!!」
 「ほらほら!どったのランちん?」
 「ラン、焦るな!ミコちゃんのペースだぞ」
 「わ、わかっています…し、しかしこれでは…」
 ランは手にした愛刀コルヌの刀身でミコの撃ち出すアルヴォ PDW9の弾丸を防いでいた
 「みゃはは、そうは問屋がおろさないってね~。ランちんに近づかれたらしんどいし、私のスタイルじゃこの距離が一番なんだってさ。ご主人さまが言うにはね」
 「くっ……」
 ランはその身を右横に回転させた
 「おっと」
 すかさずミコの狙いも移動する
 「はぁああ!!」
 低い姿勢のまま真上へと飛びあがり両手でコルヌを頭上へ高々と構えたラン
 「うわっち!!」
 すかざずミコは振り下ろされる剣劇をバックステップでかわした
 「やるねぇランちんw」
 「ミコ姉様の弾幕を抜けるには多少の無茶も必要ですので…!」
 言うないなやミコとの距離を縮めるラン
 『三段突き!!』
 頭部・胸部・腹部に向かって素早い突きがミコを襲う
 そのミコはというと大きな二つの眼を怪しく光らせて…
 「うにゃにゃーーー!!」
 と叫びながら両の手に持ったモノですべて撃ち落としていた
 「なっっ!?」
 「にゅふふのふ~www」
 「そ、それはノア姉様の『干将・莫邪』ですか!?」
 「そだよ~~かりてきちったww」

 「あの子…いつの間に…」
 俺の横にいるインターフェイス姿のノアがあきれた目でバトル画面を見ている
 「ミコ、あなた何勝手に持ってきてるんですか」
 「いいじゃん。ちょっとだけかしてよ~」
 「ずりーぞアネキ!姉さんの武装なんて使いやがって!」
 「にゅふふ~うらやましいでしょユーナ。でもさ、ユーナだってノアねぇから赤丸クン借りてるじゃない」
 「あ、赤丸?…いや。まぁ確かにそうだけどさ…」
 「いいじゃない赤丸クン。ノアねぇと一緒に戦ってきてる経験は頼りになるし、かっわいいしねぇー」
 「や、まぁ頼りにはなるしイイ奴だけどさ…」
 「しかも最近二人で熱心にバトルの研究とかしてるみたいじゃないの~」
 「…アネキ、何が言いたいんだ?」
 「にゅふふふ。何がってそりゃ…」
 「ミコ、かがめ」
 「うに?」
 俺の指示通りかがんだ瞬間水平にミコの上をコルヌが空を切る
 「バトル中にのんきな奴だなお前らは…」
 「にはは…失敗失敗…w」

 「くは~~、どうにもこうにもならねぇな。射撃も接近戦もこなすミコちゃん相手ってのはどう戦っていいもんか…」
 「つかず離れずの距離感覚を保ち、たとえ割って入れたとしてもすぐさまその対処方を明人さんが指示しています。それに忠実に正確に動けるミコ姉様…ノア姉様の強さが目立ち過ぎているというのもありますが…ミコ姉様も強い!」
 「ミコちゃんは『強い』ことに含め…『上手い』んだ。戦い方が、その駆け引きがな…」
 「にゅふ~~伊達に『銃剣士(ガンブレイダー)』なんて呼ばれてないよん♪」
 そういえばそんな二つ名もあったなぁ…
 俺自身すっかり忘れてたけど…
 「うに!?ご主人さまヒドイー!!」
 「いいから前向けお前」
 「さて、どうしたもんかなランスロット?」
 「そこで私に聞いちゃうんですか!?」
 「実際に戦うのはお前だしな。指揮官としては現場の意見も聞き入れねばならんのだよ」
 「……はいはい」
 「マスターの意見をそんなあつかい!?」
 「ではお答えさせていただきますが…今の私のスキルではミコ姉様に太刀打ち出来るのは接近戦だけかと思います」
 「ふむ、へたに小細工するよりかは徹底的に一本筋を通すべきだと?」
 「はい。『銃剣士』であるミコ姉様の『剣士』の部分とも手合わせ願えるなら…」
 「ん~……ならやってみっか…」


「ん、作戦タイムは終了か?」
「おうよ、作戦名は…」
昴が話す中ランは『牙突』のような構えをとる
「『ガンガン行くぜ!』だ」
ダッシュとともに鋭い突きを繰り出すラン
「にゃあ!」
右手に持った干将でいなすミコ
「はああぁぁ!!」
 ランはそのまま止まることなく体を一回転させて逆胴を打ちにいく
 「にゃんのぉぉ!!」
 二人の白熱した剣はバトルアリーナを踊るように舞っていた…



 「で、結局はアネキの勝ち…か」
 ここは近くの神姫センター
 今日はエルゴは休みだったので久しぶりに来てみたんだが
 今はひとバトル終えてティールームで休憩中
 「やはりまだミコ姉様にはかないませんね」
 「でもランちんなっかなかのもんだったよ?」
 「そ、そうですか?有難う御座います!」
 「ふむ、確かにいいレベルなんだけどな…」
 俺から見てランに足りないもの…
 「そうだな、ランも何か自分専用の武器を持ってみたらどうだ?」
 「私専用…ですか?」
 「ああ、ノアの《クロノスベル》やミュリエルの《アポカリプス》、レイアの《マステマ》みたいな…な」
 実際武装の良し悪しで勝負が決する……とまでは言わないがその割合が大きいのは確かだ
 武装を使いこなせるだけの実力があればそれに見合うだけの名刀、名機が必要となってくる
 「俺が思うにランは今の『コルヌ』で戦うのはつらいだろ?」
 特に接近戦型の神姫となると獲物の重要性は高い
 「確かにそうですが…」
 「なら私のお下がりになりますがあれを使ってみてはどうですか?」
 紅茶の入った缶をテーブルの上に置いたノアはそう言った
 「あれって…『紅蓮』のことか?」
 「『紅蓮』?」
 「ちょっと待ってろ。確か『紅蓮』の入ったボックスは……あ、あったあった」
 俺は武装関係の入ったアタッシュケースの中から桐の箱を取り出す
 「なんだそりゃ?」
 「ノアが《クロノスベル》を使うまで愛刀としていた龍刀【紅蓮】だ」
 桐箱を開けると中には『紅蓮』の名の通りの紅色の刀が入っていた
 「しかしこりゃ……刀と言う割には神姫サイズならちとでかくないか?」
 「そうだ。正確に言うと大太刀と言ったほうがいいだろうか」
 「刀だからな…ランは騎士だから扱いには馴れないだろうが…使ってみるか?」
 「は、はい!!」
 「では向こうのトレーニング用媒体で私が扱い方を教えましょう」
 「はい、ノア姉様。お願いします」
 「うにゃ!私も行く~」
 「アタシも!」
 三人はノアに連れられて席を立ちトレーニング用媒体のほうへと向かった
 「すまねぇな明人」
 「なに、気にすんな。あれはなかなかの名刀だからな。桐箱の中に入れとくよりもランに使ってもらった方がいいのさ」
あいつもそれを望むだろうしな…
 「んじゃ有り難く使わせてもらうな。いやぁ丁度よかったぜ、最近香憐ねぇと孫一だけじゃなくて葉月とレイアまで実力付けてきてるからなぁ…うちらの周りの女性達は強くてならんねぇ」
 「ははっ、まったくだ」
 実際のところ俺達元八相のメンバーのうち半数が女性であるというこの事実
 うん、全くもって女性は逞しくなったと思う
 「いやはや葉月も我が妹ながら逞しくなっちまってなぁ…兄としては喜んでいいものなのかどうか…」
 「あ、そういや葉月のことでお前に伝えとかなきゃならんことがあった」
 「ん?」
 「あいつ、大学にファンクラブが出来てるらしいぞ?しかもかなり大規模の」
 …………はい?
 「ちょっとまて、ファンクラブ?」
 「いや、前からそれなりに人気はあったみたいだがな。なんてったって鳳条院っつうめちゃめちゃ良家の御嬢様なのに誰にでも分け隔てないあの性格だろ?顔だってそこらのアイドルグループなんかよりは上のレベルだ。ありゃ世の健全なる男どもがほったらかしにしとくわけねぇわ」
 「いや、まぁ、そりゃ……」
 確かに兄の俺からしてみても葉月がモテるという話は納得のいくものではあるんだが…
 「それがこの前の鳳凰杯でかなり目立ったろ?いや、勇ましいのなんのって男どもだけならず後輩の女の子にも慕われちゃって大変なんだとさ」
 「……はぁ、そりゃお気の毒様だわな…」
 後輩の女の子って…あれか、「御姉様ステキ!」的なスイッチでも入っちゃったってことか…
 「んで問題が…だな」
 …なんかやな予感
 「来週葉月の大学であるイベントが行われるらしい…」
 「あるイベント?」
 「ああ、なんでもそのファンクラブのやつらを中心にかなりの数の学生が武装神姫を始めたらしくてな?まぁ元からやってるやつもいたんだそうだが…それを好機と武装神姫サークルのやつらが主催で大学全体の神姫バトルロイヤル大会を行うんだと」
 「ふーん。でもそれがどうしたよ?発端はどうであれいたって普通だと思うぜ?」
 「話は最後まで聞けって、こっからなんだよ問題は」
 いやに焦らすなこいつは…
 「この武装神姫サークルの連中、葉月がレイアを神姫にし始めてから何度か勧誘してきたらしいんだがな、その度に断られてるんだ。それでもこいつらは未だ諦めてないらしくてな。それに今回の騒ぎだ。葉月をサークルに入れればそれにつられて大量に入ってくるであろうやつらを狙ってんだと」
 なんじゃそりゃ…
 「大量に会員集めて入会費をふんだくろうって狡いマネしようとしてるんだわなぁ」
 「んなやつらほっとけばいいじゃねぇか…現に葉月はそのサークルには入らねぇんだろ?じゃあこの話もチャラになるんじゃねぇか」
 「それがな…そうもいかねぇんだ」
 「?」
 「やつら、葉月がしつこい勧誘を迷惑がってるけれど強く断れない性格に付け込んで賭けを持ち出してきたらしいんだよ」
 「…賭け?」
 「ああ、なんでも葉月に対する勧誘を今後一切行わない代わりとしてバトルロイヤルの優勝者特典として『葉月に一つだけお願いを叶えてもらえる権利』を付ける事を交換条件にしてきたんだと」
 「…おいおいおい、ちょっと待てよ」
 そんなもん激しく向こうに有利じゃねぇか…
 サークルメンバーが勝てばもちろんその特典を使い葉月にサークル入りをさせて目標達成を狙うだろう
 腐ってもサークルメンバーだ、葉月の追っかけで始めた初心者程度には負けないだけの自信があるのだろう
 加えて特典につられてその追っかけ初心者どもも大勢参加する
 バトルロイヤルの性質上、いくら葉月とレイアが鳳凰杯決勝リーグまで進んだ実力者でも優勝するには圧倒的に不利だ
 「んで、やっぱり葉月はその条件…」
 「ああ、受けちまった」
 「………やっぱりそうなるか」
 今日も俺の予感は冴えていた



「と、いうわけで来週の金曜日、そのバトルロイヤルに参加することになった」
「……いや、まぁそりゃいいんだが」
「うにゃ、大体はわかったんだけど…」
「……相も変わらず妹さん想いですね、ご主人さま」
「うっ……しょうがねぇだろ、認知しちまったんだ。兄貴としてはほっとけるかよ・・・」
 ここで見捨てたら男がすたるってなもんだ
 「しょうがないですね…で、その大会の参加者は何人ぐらいの規模なんですか?」
 ……一番いい辛い所を聞いてくるノア
 「んと…それがな…」
 「…ご主人さま?」
 「?どうしたんだアニキ」
 「バトルロイヤルなんでしょ?こっちは味方が私、ノアねぇ、ユーナ、ランちんに孫いっちゃん、レイアっちにミュリエルんだから計7人だね。あ、冥夜んも手伝ってくれれば八人になるよ」
 「んじゃぁこれだけいれば50人位相手でもなんとかなるよな。なんたって『緑色のケルベロス』に『黒き狼』、『ガンブレイダー』まで揃ってるんだ。もしかしたら70人ぐらいでも大丈夫なんじゃねぇ…」
 「……………150人」
 「………へ?」
 「………あ、アニキ?い、今何て?」
 「………だから…150人同時プレイのバトルロイヤル」
 「「は、はあああああぁぁぁぁぁぁっっ!!??」
 「………ご主人さま…」
 うん、えっと、いや、なんかもう…ゴメンナサイ…
                       続く

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