日記その十四 〈前編〉 彼女たちの宿命


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  「………増えてる」
  この前来店した時の話をした後、香憐ねぇを連れて行こうかと考えていたことを思い出して…来ちゃいましたよアキハバラ
  お目当ての“ALChemist”についたのはいいものの………なんか前に来たときより神姫が増えている……
  これはどうしたことかいなと晶ちゃ…マイスターから二人について一通りの話を聞いて、改めて二人と自己紹介

  「は~、んじゃこの子は“あの”猪刈の神姫だったってか?」
  「有無、アルマと言う…ほれ、アルマ……」
  マイスターに促された彼女はというと…ロッテちゃんの後ろにオズオズと身を隠しながら半分だけ顔を出してこちらを伺っている
  「アルマお姉ちゃん、大丈夫ですの。明人さんは優しい方ですの♪」
  「う、うん…あ、アルマです…」
  少し怯えたような瞳が俺を見ている
  …なるほど、『AIPTD』の影響か
  あのいけ好かねぇ豚のとこにいたんだ…マイスターに救われてよかったぜ
  「…ちなみに前の名前は?」
  「む、“あくまたん”だ」
  ……………ほんとここに来て良かったな
  寒気がするネーミングセンスだ
  「にゃは~私はミコ♪ よっろしくね~」
  と、なんとも気が抜けるミコのお気楽ボイスとともに神姫たちによる自己紹介&交流会がスタートしたのだった



  「アルマちゃんにクララちゃんね…それにしてもオーバーロードとAIPTDとはな…」
  「……何か言いたげだな」
  レジの椅子に腰掛けながら見上げるように薄目で睨まれる
  「明人、まさかとおもうが…お前であろうと彼女らを見くびるものなら私は“姉”として…」
  「んなつもりはねぇよ。俺をそこらの三流マスターと一緒にすんな」
  「む…そうか。すまぬな…」
  やっぱりこの人は神姫をとても大切に思っているんだな
  「ちょと思ったんだよ。ウチの奴らと似てるかなってさ…」
  「ミコたちとか?」
  俺とマイスターは少し離れたところで楽しそうに話している六人を眺める(ちなみにノアは前“ALChemist”に来た時はインターフェイスだったので、今は俺のコートのポケットに潜伏ミッション中だ)
  「…あの子達にも何かあるのか?」
  「…まぁ、な」
  ノア、ミコ、ユーナに孫市…ここにはいないがランだって…
  あいつ等も『普通』とは違う…生まれた時から『宿命』を持った存在…
  「だからってあいつらはけして不幸なんかじゃないと俺は思ってる。先天的なことはどうにもならないが…人間も神姫も生きる価値は『どう生まれたか』じゃない。『どう生きたか』ってこった」

  そう、だから俺はもがいた
  鳳条院の長男に生まれたことは思春期の俺には正直息苦しかった
  なんでこんな家に生まれたのかと、普通の家に生まれたかったと嘆いたこともあった
  それからアルとの事があって自分に嫌気がさして本家を出た
  親父の旧姓である『橘』の名乗り、平凡な生き方に憧れた
  今からどう生きるかは俺の自由だと……ずっと信じていたから

  「だからあの子達も幸せになれるはずさ。晶ちゃんがそう願えば……な」

  だから俺は手に入れた…とても平凡とはいえない、騒がしくて、自由じゃないかも知れないけど…多分、俺が望んでいた日常を…

  「明人……貴様……」
  「ん? 俺の言葉に感動した……うおぉ!」
  「チッ! またかわしおったな!!」
  最後まで言い切る前に俯いていたハズのマイスターはさっきまで俺の顔があった所に正確無比な飛び膝蹴りをかましやがった
  「あっぶねぇな、またいきなりかよ!!」
  「五月蝿いわこの戯けが!! またしてもこの私を『晶ちゃん』呼ばわりしおって!!」
  「あの流れならスルーする所だろ!?」
  「貴様…確信犯であろう…」
  「………ご明察。流石はマイスター」
  「マイスターは関係ないわ! 今日こそ貴様に我が必殺の“ハンマー飛び膝蹴り”をかましてやる!!」
  「ちょ、ブレイクブレイク! そういや博士から預かってきた物があったんっだ!」
  「む…フェレンツェめからか?」
  どうやら話を逸らせたようだ…
  「(相変わらず女性を誤魔化すのはお見事ですね、ご主人様…)」
  ノアがポケットでボソボソと何か言ってるけど…って静かにしてなさい!!
  「ほら、これだ」
  俺はノアがいる反対側のポケットから百円玉ぐらいの大きさの機械を取り出してマイスターに渡した
  「これは…」
  「俺もなんだがわからんけど…なんだそれ?」
  何かの装置らしいことは解るんだが…
  「有無、見ておれ」
  マイスターは装置の後ろを弄くりだしたかと思うと“ヴィーン”と音を立てて表側から光が出てくる
  光は形を作り出してあっという間にフェレンツェ博士になった
  「3Dホログラムだな」
  「マジかよ…こんな小っさい機械でか?」
  「アヤツとて伊達や酔狂で天才科学者の看板を背負ってはおらんわ」
  …どちらかと言うと伊達や酔狂でオタクの看板背負いまくってる人だと思う

  『あ~聞こえるかな?』
  「お、喋った」
  『槇野君、いや…009よ。コレを聞いているということは001と接触したのだな?』
  001って…俺か?
  「…誰が009だ、戯けめが」
  もしかしてこのパクリ丸出しのコードネームって
  「001から008までは八相のメンバー順なのかも…」
  「単純すぎるわ、バカモノ」
  フンと鼻で笑うマイスター
  ちなみに博士は神姫ぐらいの大きさなのでマイスター思いっきり見下してます
  この人は神姫をそういう目で見ないから…こういう絵は凄くレアかも
  『……言っておくがコレは通信機ではなくてデータ再生装置。言うなれば留守電みたいなものだ。こっちに向かって喋ってたら恥っずかしいぞ~w』
  椅子をつかんで装置を叩き割ろうとするマイスターを止める俺
  マイスター、マジでマジギレ五秒前…

  『さて、冗談はこの辺でおいといて…009よ、君に任務を伝える!』
  「……任務?」
  『うむ』
  返事してるじゃねえか…
  『明日の午後、私の研究所に来てくれたまえ。内容はその時にでも追って伝えるとしよう……』
  「なんだと? 何かと思えば偉そうに…お前が来れば良いだろう」
  『私は研究所にカンヅメなのだよ……………ぶちゃけ、へるぷ み~;』
  偉そうな声から情けない声へと一気に変わり俺とマイスターはどっと気が抜けた
  『オホン! なお、この装置は機密保持のため三十秒後に消滅するのであしからず…』
  「「な、なにぃ!!!??」」
  しょ、しょ、消滅!?
  仕方ねぇ、とりあえず窓からぶん投げ…ってここ地下じゃねぇか!?
  『ちなみにこの装置で一番大変だったのがこの自動消去システムだ』
  世界で一番いらない豆知識だなオイ…
  「なんでこんな機能をつけてんだあのオヤジ!?」
  『だって某情報部っポイじゃん?』
  「「このエセ英国紳士が!!」」
  『それでは皆の衆、Adios!!』
  やっぱりエセじゃねぇか!!
  つうか装置がカタカタと変な動きでゆれ出しますけど!?
  なんかちょっと煙出てますけど!?
  「伏せろ!!」
  俺はマイスターを庇うように床に伏せる
  爆発する~~~っと思いきや…


  ぽん!


  っと機械から出てきたのはひらひらと宙を舞うカラフルな紙吹雪……
  「…………」
  「…………」
  ベタだなー、あのオヤジ……
  「何してるんですか?明人様……」
  「いや、香憐ねぇ…これはまた博士が…って」
  むくりと起き上がりながら今まで奥で“Electro Lolita” を見ていた香憐ねぇを見ると
  「若君殿~助けてくだされ~;」
  ものの見事なフリフリ衣装の孫市が俺に助けを求めている……
  「ど、どうしたんだ? 孫市のその格好…」
  「いや、この店は良いですね~。可愛いお洋服がいっぱいで楽しくなっちゃいますよ。葉月様、最近こういう服は着てくださいませんから…」
  あ~、そういえばそうだった
  香憐ねぇ、こういう可愛い服は好きだけど自分に似合わないの解ってるもんだから(ホウジョーホワイトの衣装とか)昔から葉月を着せ替え人形にしてたなぁ~
  でも流石に葉月が着てくれなくなったから孫市が次の犠牲者なわけか
  それにしてもよく最近まで我慢してきたな葉月…
  「姫君殿~いくらなんでも手前にコレは…」
  「フフッ、大丈夫。似合ってるわよ」
  「有無、似合っているぞ」
  え!?マイスターも同意ですか!?
  「若君殿~;」
  「あ~その、スマンが………ガンバッテクレ!!」
  「そんなぁ~;」
  いつもと違い情けない声を出す孫市
  なんか今日は珍しい物が見れる日だな…
  「アニキ、そろそろ用事は済んだか?」
  ユーナとミコが俺の元にやってくる
  「ん? お前その服どうした」
  見るとユーナは上は黒のパーカー、下は青のジーンズと神姫にしてはなんともボーイッシュな服装をしていた
  似合ってるけど…どこぞのラッパーですか君は…
  「これか? へへっ、アタシ用だってロッテが持って来てくれたんだぜ?」
  「これって…まさかマイスターが?」
  「有無、前回はこやつ、あまり私の“Electro Lolita”が気に入らんと見えたからな」 
  「それでわざわざ…」
  「言ったであろう。全力で客のニーズに応えるとな」
  やっぱりカッコいいな、このチ…げふんげふん
  「……貴様、今前と同じオチにしかけたであろう」
  鋭!!
  「そ、そんなことはないさ……とりあえず代金を」
  「かまわん、迷惑かけた罰としてフェレンツェのヤツから貰っておく」
  「あ~、んじゃそれで……明日、頼むぜ?」
  「貴様は行かぬのか?」
  明日はファーストでノアの試合があるからな…
  「パス、俺の任務はここで完了だ。じゃな」

  「「「ありがとうございました~」」」
  と三人に増えた看板娘に見送られて俺たちは“ALChemist”を後にした…


  追記
  「やっと出てこれました…私も任務完了ですね」
  とノアが俺のポケットから顔を出す
  結構長い間入っていたので少し不機嫌だなコイツ…
  「ご苦労さん」
  「やはり面倒です…素体とインターフェイスの二人の自分と言うものは…」
  帰り道、ノアが珍しくインターフェイスのことでぼやく
  心なしか台詞の最後辺りが赤い人の様だったな…
  「ノア…」
  「わかっていますよ、生きる価値はどう生きたか…ですよね?フフッ、私はちょっと感動しましたよ」
  「あ~そうですか…」
  いや、赤い人みたいだなと言いたかったんだが…
  なんか今さらそうは言えない…
  「ご主人様~せっかくアキハバラまで出てきたんだからさ、どっか寄ってこうよ~」
  「アニキ! アタシ例のアレを試してみたいんだ」
  「あれって…べつに今でなくてもエルゴで試せるだろ?」
  「エルゴはアタシ達にとってホームグランドみたいなもんだろ。お披露目は完全な形でやりたいんだよ~」
  「ん~それもそうだな…いいか? 香憐ねぇ」
  「どこへでもお供しますよ」
  「うっわ~、香憐サンって執事の鑑だね~」
  何はともあれアキハバラの神姫センターに向かうことにしよう
  混んでなきゃいいんだが…
                            続く

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