日記その二 〈後編) それぞれの恐怖


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 「……無残だな…」
  「……無残だねぇ~」
  イベント会場であるバトルシステムがある中央ホールではなにやらバトルがおこなわれていた
  片方は俺と同じく臨時神姫バトルレクチャー教室の先生役をしている雄也である
  となれば相手は生徒だよな?
  でもどう見たって…
  「おされてるよなぁ~」
  「おされてるよねぇ~」
  そうなのだ、俺の目から見ずとも明らかに裕也のほうが劣勢なんだわ
  「……手加減してんのか?」
  ほんとにそうならレクチャー教室の先生役としては尊敬物だな
  ………俺は嫌だけど
  「どうやらそうじゃないらしいよ?」
  そういいながら俺たちの後ろにやってきたのはユーナだった
  「あれ? ユーナ、久しぶり! どこいってたの?」
  「ほんと久しぶりだぜアネキ、今回も外で客の呼び込みかとヒヤヒヤもんで…」
  「なにいってんだ? おまえ。それよりそうじゃないってどういうことだ?」
  「おっとそうだった、確かにアニキの言うとおり、リャンさんのマスターは初めは手加減するつもりだったろうが……相手があれじゃな…」
  ユーナの意味深な言葉で相手の神姫をよく見てみると…(裕也とリャンの方の動きしか見てなかった)
  「! 『サイフォス』かよ…、確かまだ未発売の新型MMSだったよな? なんでもうバトルに出てんだよ… しかも初回販売限定のパーツ満載って、あれってば要するに…」
  「あぁ、ご明察どおりの成金野郎の金と権力に任せたスペシャルチェーンナップってところだろうよ・・・ケッ、感じ悪りぃゼ」
  「アーンヴァルのカッコでそのセリフを言うあなたも十分感じ悪いですよ? ユーナ」
  さらに後ろからはノアもやってきていた
  いつの間に…
  「姉さん…アタシのこれはいまに始まったことじゃないだろ? W」
  「……確かに私もああいったやり方に賛成はしませんが、あれもまた一つの強さに対する形なのではないでしょうか…」
  うん、まぁノア言うこともごもっともなんだけどね? 今回ばかりは俺も…
  「目障りだな…ああいうの」
  こういうの見てると昔の血が騒ぐんだよ
  いい加減引退したんだがなぁ…レスティクラムも、アキース・ミッドナイトも………死の恐怖-スケイス-なんて言われてたころの俺は
  俺は周りを見て近くに人がいないのを確かめるとミコの耳元に近寄った
  「来い、ミコ。神姫用素体に入れ替えるぞ」
  「そうこなくっちゃ! さすが私のごしゅじ…」
  「オホン!!」
  ノアの咳払いが一括
  「…じゃなかった、さすが私のお兄ちゃん!!」
  そして俺とミコはバトルのためにいったん休憩室へと戻っていった



  「よう、お嬢さん、なかなか良い腕してるじゃないか」
  「あったりまえですわ!! それにしても…こぉんな貧相な神姫ごときでセカンドにいるなんて、まったく道化にも程がありますわね! オホホホホホ!!」
  「…スイマセン先輩、俺ちょっと油断して……」
  「なぁ~にが油断なモノですか!! 鶴畑家の末娘である鶴畑 和美とその美しき騎士であるジャンヌの前には今の結果、必然でございましてよ?」
  はっはぁ~、なぁ~んか気にいらねぇと思ったらあの興紀、大紀と同じ鶴畑サンちのボンボンでしたか…
  なるほどねぇ…あの兄貴達と同じ血が流れてりゃあ話は早いわ
  いや、DNAって怖いね
  マジで
  違う人なのに同じにみえらぁ…
  「それはそれはお嬢さん、こんなヤツ相手でさぞかし退屈なされたでしょう? かわりに私目がお相手いたしましょうか?」
  「あら、あなた意外と良い男じゃないの? やはり類は友を呼ぶのね。ワタクシの美しさも罪だわ、オホホ、よろしくってよ。一つ遊んであげようじゃないの。ジャンヌ?」
  「イエス・マスター!!」
  そういいながらセットアップに入る和美嬢、お~お~いってくれるねぇ?
  おかげで雄也だけじゃなくうちのマスター思いの神姫たちまでヒートアップしちまってるぜ?
  ミコは俺の肩の上でぷんすか怒ってる……ってまだコレは可愛いほうなんだよ
  ギャラリーの生徒達の裏、さっき立ち話してた所からユーナが物凄い顔で睨んでるんですけど…ありゃ「なんでガツンといかねーんだよアニキ!!」とおしゃっていますな、目で
  一見冷静そうなノアも額にクッキリと青筋浮かべてるよ…(それが一番怖えぇ~ってば;)
  「先輩……」
  「なぁに心配すんな雄也、お前は良い先生役を演じてたんだ…すぐにどっちが道化だか、あの雌子豚にレクチャーやるよ。くっくっく、」
  「先輩……なんだか昔の顔に戻ってません?」
  おっといけねぇ、悪やく面が癖になってるのかもな…
  何はともあれ俺もセットアップにはいる
  対戦モードは先に二本先取すればいい三本勝負の制限ナシ、電脳戦でのフリーバトルだ
  「ホホホ、ワタクシ、あなたのこと気に入りましてよ? この遊びでもし善戦なさればランカーデビュー後に作られるワタクシの親衛隊の隊長さんにしてあげないこともないですわよ?」
  「それはそれは恐れ多い、しかしですね、 和美嬢…」
  “ビーーー”
  「遊びにもなりませんから。」
  「え?」
  “ドギュュュュン!!!”
  “ビーーー”
  「…………え?」
  一発分の銃声が響く
  続いて終了のブザー
  文字通りの瞬殺である
  試合開始と同時に物陰から接近したミコの俺特製、対MMSビームランチャーによる近接戦ゼロ距離射撃がジャンヌの額を見事に貫いていた
  しーーーーんと静まり返ったギャラリーから少しづつ歓声が聞こえてくる
  「……す、スゲぇ~」
  「キャー!! 明人先生、ミコちゃんカッコイィー!!」
  「ウッシャア! 流石だゼ! アネキ!!」
  「ま、当然でしょうね…」
  やんや、やんやと賑わうギャラリー
  まぁ…悪い気はしないなw
  「ちょ、いまのなんなんですの? あんなの反則なんじゃ…」
  「ん? あぁこの程度なら問題ありませんよ、油断してるそっちの問題で…それよりセカンド、始まりますよ?」
  「え? えぇ……行きますわよ! ジャンヌ!!」
  「い、イエス・マスター!!」
  “ビーーー”
  二本目の開始のブザーが鳴る
  さっきと同じじゃつまんねぇよなぁ~
  ここはジックリ責めてやろうか
  「今度はこちらが先手必勝!! ジャンヌ! 全火力装填、フルスロットルですわ!!」
  「イエス・マスター!!」
  あらら、さっきと武装が違うよ…って、なんだありゃ!!
  「おいおい、両手にヘビーマシンガンと対神姫大型ライフル、手にバズーカと3連ロケットランチャー。背中にはサブアームを装備、さらにその肩にはミサイルランチャーと長距離砲って…どんな近代的な騎士様だよありゃ…アネキ、大丈夫かな?」
  「ミコなら大丈夫よ。明人さんもついてるし…でも、まさにあなたの言う通りね…成金全開で見苦しいわ…」
  「ジャンヌ、フルスロットル、ファイヤーーー!!!」
  どががががががががががががががががが!!!!!っと乱れ撃ちだよ乱れ撃ち
  ここまで忠実に再現できるものかねぇ~乱れ撃ちを…
  対するうちのミコの装備は脚部武装とヘッドユニット、あとはシッポ以外はなんもなし
  武器はさっきと同じく対MMSビームランチャーが一丁
  いくら俺の特製でもコレじゃあ火力は歴然だな………
  だ・け・どw

  ジャンヌとの距離は25…20…速度は落ちない

  「な、なんでかわせるのですか!?ちゃんと隙間なく弾幕は張っているに!!」
  「そんだけの重装備じゃ小回りの利くミコのスピードには照準合わすのも一苦労だろ?確かに高くてレア、強い武装の方が勝つ確率は高い…でもそれは操る物の実力があってこそなんだ」
  「そ、そんな理屈!」
  「物より思い出、レア装備より実戦経験と自己鍛錬…俺からのレクチャーはそんぐらいです。ご理解いただけましたか和美譲?」
  「あ、あなたはいったい…」
  「さて、それじゃあ……決めるぞミコ!!」
  「OK、ご主人様!」
  「くっ、こんなに近いのよ!?ジャンヌ!しっかり狙いなさい!!」
  「し、しかしマスター…」
  俺の指示もなしにひょいひょい弾幕を掻き分けて前進するミコ
  「乱れ撃ちって確かに怖いんだけどねぇ~、それってば生半可な射撃より予測できないだけって言う感じなわけで…そんなのよりも……」

  距離は15……10……

  俺との意思疎通はほぼ完璧
  俺が思ってたところ、嵐のような弾幕の切れ目を縫うようにジャンヌの懐に飛び込むミコ
  和美・ジャンヌ「「!!!」」
   俺・ミコ「「十兵衛ちゃんのスナイピングのほうが何十倍怖いってね!!」」

                      0!

  “ ドギュュュュン !!!”
  “ビーーー”



  「しっかし疲っかれたなぁ~」
  時間は少し飛んで帰り道、すっかり空も茜色である
  あの後ギャラリーに囲まれて鶴畑の嬢ちゃんがどうなったのかはわからん…
  まぁコレで懲りてくれりゃあいいんだが…鶴畑一家だもんなぁ…そうそう簡単にはいかねぇか
  「でも楽しかったよ? あんな乱れ撃ち、そうそう体験できないもんw」
  「いいよな~アネキはバトルできて…アニキィ~そろそろアタシも……」
  「ん~? ん~そうだなぁ~まぁそろそろ大丈夫だと思うが…」
  「え? うそ、マジ!? ホントだなアニキ!? 男に二言はねぇよな!?」
  「ただぁし!!」
  「え?」
  「ノアから一本でも取れたらな~」
  「げええええぇぇぇ!!! マジかよ!? 姉さんからなんて無理に決まってんじゃん!!」
  「そんなことないぞ? ミコだってノアから一本とってからデビューにしたんだから、なぁミコ?」
  「マジで!? ほんとか? アネキ!」
  俺とユーナはミコの方を見る
  「………嫌だよもうアレは……もう二度とやりたくないよ…怖いよノアねぇ…ゆるして……いやぁあぁぁあ…」
  あれ? なんかトラウマになってません?
  いや確かに「私に任せてください」と言われたんで見てはいなかったが…なにしたんッスか、ノアールさん?
  「ふふふふふ、また私の出番ですか…そうですねぇ…今度はどのように…」
  わろてるで…
  「うん、まぁ…何と言うべきかなぁユーナ……」
  「……なんかいいたい事がわかる気がするんだが…なんだい?アニキ……」
  「まぁ……ガンバッテクレ!!」
  「絶対イヤァァァァァァ!!!」
  イヤァァァァァ
  イヤァァァ
  ヤァァ
  ↑(エコー)

  追記
  「ノアよ、結局なにやったんだ?」
  「……知りたいですか?」
  「うっ……まぁあいつらのマスターとしては…あまりに酷いことはなぁ…」
  「大丈夫ですよ、『始めて』までは奪ってませんから(ニッコリ)」
  「そうか…大丈夫そうなら……って!! おい、ノア!! どいうことだ!? ってもういねぇし!!」
  続く

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