揃い始めた者たち

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  お菓子作りコンテストは何とか無事に終わった   ノアの作ったのはオーソドックスなクッキー   「何事も基本が大事ですから」   …それってさ、逆に言うと手加減なしってことなんじゃないですか?   まぁ問題を起こさないでいてくれるだけでもこいつらよりかはいいか……   「うぅ~私も出たかったよおぅ~~!!」   「アニキ、なんだよその冷ややかな目は……」   お前らが出たら問題どころか死人が出るかもしれんだろうが…   お菓子作りコンテストの結果は夕方に出るそうだ   そうとなれば今のうちに他の知り合いのブースにでも顔を出しておくかね   「あ・き・ひ・とっ!」   ブースを三つか四つ回ったところで後ろから声をかけられる   「ん? ああ、エリーか」   見慣れた少女を発見   「美子も優奈も凄い格好だねぇ…」   「アタシは嫌だったんだけどな…アネキがノリノリで、その道連れってところさ」   「だって可愛いじゃん!」   美子の言葉に苦笑いするエリーは右肩に神姫を乗せていた   「それがお前の神姫か?」   「あぁ四人とも、紹介しておくね。僕の神姫、ソレイユだよ。ほらソレイユ、挨拶して」   「そ、ソレイユです…」   ちょっと緊張してるんだろうな   ペコリとちいさくお辞儀をするソレイユ   「ああ、よろしくね」   ソレイユのタイプはフォートブラックだが武装はしていない   かわりにどこぞで見たことがあるような印象の服を着ている   白のブラウスの上から薄いブラウンのベスト、下は黒のスカートだ   「ん? かわいい? かわいい? スカートの中も見てみる~?」   「ちょ、エリー! や、やめてよぉ」   うりうりとソレイユのスカートに手をかけようとするエリー   セクハラ親父かお前は   「なぁエリー」   「ふぁにぃ?」   真っ赤になったソレイユに両頬を引っ張られているエリーはなんとも滑稽だった   「何?」という返事だと解釈して話を続ける   「この服って……もしかして“Electro Lolita”ってブランドか?」   「おお、よく知ってるねぇ~。そだよ、父さんに買って貰ったんだ。しかもこれって可愛いだけじゃないんだってさ。凄いでしょ」   あの親バカ博士め…   マイスターの作品は出来がいい分、値段もけして安くはないだろうに   「んで、お前もブース見学か」   「まぁね。ホントは父さんも一緒だったんだけど知り合いの人と話が弾んじゃってさ。そんな時に明人たちを見つけたから声をかけたんだよ。ちょっとお使い頼んでもいいかな?」   「お使い? なんだそら?」   「葉月とレイアに陣中見舞いってところさ」   「陣中見舞いって…差し入れでも持ってきたのか」   「そんなものかな。あ、明人にもあるんだよ?」   「俺にも?」   そう言ってエリーは黒いアタッシュケースを開き、中に入っていた二十センチほどの物体を俺に見せる   それはおそらく神姫の武装だろう   なんというか非常に言葉にするには難しい形をしていた   「…なんだこれ?」   「ふっふーん、新作だよ新作。えりぃじるし四作目、全領域兵器『マステマ』!」   マステマ……ああ、エヴァのゲームに出てきたやつか…   「カッチョよかったんで作ってみました!」   ぐっと親指を立てた拳を突き出すエリー   簡単に言いますねこのお子様は…   葉月に会うってことはまた本部まで行かなきゃならんのか…   エリーと分かれて本部に寄り、三人に増えた我がかしましシスターズをそれぞれの定位置に乗せた後、予選会に到着する   予選会場はほとんどのグループが四回戦まで突入していた   連戦を戦い抜いた実力派の神姫とそのマスターに、予選であるにもかかわらず多くのギャラリーが歓声をあげる   「ご主人様、葉月さんがいましたよ」   人探しのときに神姫が大勢いるってのは楽だよな~   葉月はアルと一緒に他グループの試合を観戦していた   「よぅ、選手がこんな所で油売っててもいいのか?」   「あ、兄さん!」   振り向いた葉月が笑顔だったことでなんとなく次の言葉を予測している俺   昼のときとパターン変わらんなコイツは…   「私達、勝ったよ! 決勝リーグだよ!? 夢みたいだよぉ~!」   俺の前まで来てレイアの快挙を報告する葉月   「あぁ、良かったな。おめでとう葉月、レイア」   「ありがとうございます明人さん!」   葉月は感極まって泣き出しかねん勢いだな…   だけどさ、葉月…おまえなんか忘れてない?   「で、そちらさんも…無論?」   口癖を先に言ってやった   してやってりな気分でアルティの方を見る   「む…そうだ。無論私達も決勝進出を果たしたぞ」   「そか…おめでとうなアル、ミュリエル」   「……ぶい…」   ビッ! と俺に向けブイサインをするミュリエル   と、言うことはな……   「決勝の一戦目はおまえらのバトルってことじゃねぇか」   「うぅ、それは言わないでよ兄さん…」   「御主人様、気を確かに!」   がっくり肩を落とす葉月にそれをはげますレイア   「葉月には悪いが負ける気はないぞ?」   「……ミュリエル…頑張る」   不敵に笑うアルティと淡白ながらもやる気満々のミュリエル   こりゃ葉月とレイアには分が悪いですかな…   「葉月、そんなお前にお兄ちゃんからのお助けアイテムだ」   ホントはエリーからなんだけどな…   「え?」   「なに?」   アタッシュケースのひとつを葉月に渡す   もうひとつは俺用だ   「次の対戦相手がいるのにここで開けるのもなんだから中身は後で確認してくれ。使い方は同封の取り扱い説明書を見るように」   「あ、ありがとう兄さん!」   さっきまでの落ち込み具合が嘘のように目を丸くしてアタッシュケースを抱きしめる   「これぐらいのハンデはありだろ?」   俺は自分のアタッシュケースに小さく描かれていたエンブレムをアルにだけ見せた   「…なるほど、あいつのしわざか」   だってお前もエリーのパーツ使ってるもんな~   文句は言えねぇよなぁ~   「私は構わんが…明人、なんだその顔は」   「べつにぃ~。そういえば昴と香憐ねぇはどうした?」   「あ…昴兄さんとランちゃんは三回戦で…」   「香憐と孫市も四回戦まで行ったんだが…」   そうか、負けたか…   それでもまだ日の浅い二人にしては大健闘と言ってもいいだろうな   「それで先に兄さんを呼びに言ってくれたんだよ。すれ違いになっちゃったのかな?」   そういえば携帯の電源を切ったままだった   本部で美子と優奈を素体に交換してやったから多分そのときにすれ違ってしまったんだろう   「おや、明人さんじゃないですか…」   携帯の電源を入れようとした手を止める   聞いたことのある声、しかしできるならあまり聞きたくない声だった   「…興紀」   「どうも。お久しぶりです」   いかにも好青年な笑顔を見せる目の前の男は 鶴畑興紀   鶴畑コンツェルンの社長、鶴畑千代氏の長男でランキング54位のファーストランカーである   後ろには見事に丸まった体つきの二人を連れてのご登場だ   右は次男、鶴畑大紀   ファーストランカーだが実力は兄には及ばず、ランキングは144位   この前の全国大会で静香ちゃんとココちゃんに負けてた子だな   さっきエルゴに挨拶しに行ったところだったからやけに印象的だ   兄とは違って周りからの評判はあまりよくない   まぁどっちが良いかといわれても困るが…   左は長女、まぁこっちのには比較的最近会ってるんだけど   和美嬢だ   「…俺はあまり会いたくなかったがな」   興紀と大紀はファーストランカーなので俺との面識がある   それに付け加えて、もとより俺は鳳条院グループの総帥の孫だ   過去に鶴畑コンツェルンとの関わりも多少はあったのさ   と、言っても俺が鳳条院にいたころの和美嬢はまだ小さかっただろうから彼女だけは前の時が初対面だ   「ははは、つれないこと言わないで下さいよ。僕は明人さんを尊敬してるんですから」   自分よりランクが上の者に会ったら誰にでも言うセリフなんだろうが   「世辞はいらねぇよ」   とは言ったものの、コイツの場合…世辞とはちょと違うかもしれねぇな   あえて言うなら自分が相手よりも上に立ったときに相手をどん底まで叩き付ける為の布石というかフラグというか、それに近い感じだ   悪いが俺は簡単にお前の仮面に騙されてやるほどお人好しじゃねぇんだよ…   「あ、あの…」   「ん?」   先まで兄の後ろにいた和美嬢がオドオドと俺の前まで来る   この前の威勢が良かったときとは大違いだ   「こ、この前は…どなたか存じ上げず…ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした!」   この前のことを詫びてくれているんだろう   「うちの妹がご迷惑をお掛けしたようで……」   微笑を浮かべながらぽんと和美嬢の肩に手をやる興紀   興紀が手を置いた瞬間、和美嬢がびくりと反応したのを俺は見逃さなかった   「いいよ、彼女もわかってくれただろうし…」   怖い兄貴から十分お説教されただろうしな   まぁ、お説教の内容が迷惑を掛けたことに対してなのか、それとも簡単に負けたことで鶴畑の名を落としたことに対してなのかは別として…   「ここにいるってことは…エントリーしてるのか」   「ええ、鳳条院と鶴畑の付き合いもありますし…これから弟はE、妹はOの四回戦でして…僕は決勝まで進みましたよ。グループはMですね」   「M…だと?」   香憐ねぇと同じ…   「そういえば予選の最後の相手は鳳条院さんの使用人さんでしたっけ?いや、なかなかの相手でした。それよりも…明人さんには本戦で解説していただけるようなので楽しみにしていますよ。それでは僕らはこの辺で…」   そう言い残して鶴畑三兄妹は去っていった   「……なかなかだと? ふざけるな!」   三兄妹のいなくなった後、アルが我慢していたものを吐き出すように一喝した   「……レイア、バトルの内容は?」   この四人の中では一番冷静に話してくれそうなのはレイアだからな   「は、はい。バトル開始直後からの一方的な展開でした。孫市さんも見事なたちまわりでしたが…力の差は歴然…開始から五分とかからずに…」   「…そうか…」   「もともと格上相手の戦いですので負けたこと自体は仕方がありません。ただ、バーチャルでなかった時のことを考えるとゾッとしてしまいます…」   なるほどな…アルが熱くなっている原因はそこか…   「葉月! どちらが勝ったとしてもあいつだけには優勝させるんじゃないぞ!」   ガッチリと葉月の両肩を掴むアルティ   「え、あ、う、うん!」   よほど腹が立ったのか熱血気味ですよアルティさん   葉月、ちょっとびびってるじゃないか…   追記   「あの子、女の子じゃなかったんだってよ! マジでビックリしたぜ!」   「その子に見とれてて私への指示が遅れたんですよね。それで負けたんですよね。昴さんわかってますか?」   「そ、それは悪かったって言ってるだろ?」   「昴さんはホントに節操なしなんですから…明人さんを見習って下さいよ」   「明人から学ぶことなんかねぇよ。むしろアイツはもうちょっと俺を見習うべきだ」   「なに無茶苦茶言ってるんですか…」   「それより香憐ねぇ、まだ明人と連絡取れねぇのか?」   「はい…例の事件に巻き込まれていなければ良いのですが…」   「例の事件ってなんですか?」   「い、いえ、何でもありませんよ」   「姫君殿、若君殿と入れ違いになっているやもしれませぬぞ。一度、葉月姫殿の処へ戻られてはいかがかと…」   「そ、そうですね。戻りましょうか昴様、ランさん」   「ん…あ、ああ……」                       続く ---- [[メインページへ>橘明人とかしまし神姫たちの日常日記]] #right{このページの訪問者:&counter()}   

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