物語本編

基本的に本文コピペ。



女「おっはよー!!」
男「よぉ」
妹「おはようございます、女さん」
女「はぁ…妹ちゃん今日もかわいい…なでていい?なでていい?」
妹「うわっうわわわ」
男「毎朝毎朝、飽きないのかお前ら」
妹「あ、あの…じゃあ、私、今日、日直なので」
女「うんっ!また昼休みにね~」
男「………」
女「あ」
男「ん?」
女「…おはよう、男くん」
男「ようやく気がついたか」
女「え?う、ううんっ、そんなわけないよ?さ、最初から男くんもいるって知ってたよ…あははは」
男「………」


女「…ねぇ」
男「ん?」
女「妹ちゃん、かわいいわよねぇ」
男「………まぁ」
女「ちっちゃいし、ふにゃふにゃだし…」
男「…」
女「なんで、男くんの妹なんだろうねぇ」
男「…それって、どういう」
女「はぁ………」
男「………」


妹「おにいちゃんっ」
男「あ、ああ、昼メシか」
妹「はい」
女「あ、私もいっしょするー」
男「…ああ」


妹「ど、どうでしょう?お母さんに教わって作ったのです」
男「…ああ、うまいんじゃないか」
妹「よかったぁ…」
女「いいなー私もたべたいなーからあげー」
男「…ほら」
女「わぁい!妹ちゃんのからあげ~♪あ、かわりにタマゴ焼きをあげるね」
男「ああ」
妹「あっあ、あの、女さんっ!」
女「ん?なに?」
妹「あ、その、お兄ちゃんのお弁当のじゃなくてわたしのから、どうぞ」
女「え?なんで?」
妹「ほ、ほら、お兄ちゃん、たくさん食べますし」
女「そう?じゃあ、妹ちゃんのもらうね?はい、タマゴ焼き」
妹「あ、どうもです」
男「………」


妹「あ、あのお兄ちゃん、タマゴ焼きいりませんか?」
男「ん?」
女「あれ?妹ちゃんタマゴ焼きキライだった?だったら、ハンバーグと交換しようか?」
妹「あ、いえ、そうじゃなくて、こんなに食べられないから」
女「そっかぁ」
男「………」
妹「だから、お兄ちゃん、あの女さんのタマゴ焼きもらってください」
男「ああ、わかった」
女「タマゴ焼き、私の手作りだからね~。味わって食べてね」
男「…ああ」


男「………」
女「はぁ…なでなで」
妹「うゅぅ…」
女「なでなで」
妹「ぅぅぅ」

キーンコーンカーンコーン

女「あ…予鈴」
妹「あ、あの授業が始まるので、わたし教室に戻りますっ」
女「あ、あと5分」
男「ダメだ。遅刻する」
女「大丈夫っ!こう見えても走るのとくい」
男「妹が遅刻する」
女「うぅ………じゃあ、妹ちゃん、また放課後ね」
妹「は、はい…では」
男「…ほら、俺たちも行くぞ」
女「うん」


女「ふぅ…ようやく放課後かぁ。さあて、妹ちゃんと」
先生「おい、女」
女「はい?」
先生「悪いけど、放課後残って、修学旅行の冊子作るの手伝って」
女「えぇぇぇぇ!?」
先生「驚きすぎだ、委員長」


女「というわけで、先にかえってて」
妹「あ、じゃあ、私たちもお手伝い」
女「ううん、いいよ。遅くなっちゃうし」
男「…そうか。じゃあ、また、明日な」
妹「え?お兄ちゃん?だって、こんなに」
女「いいのいいの~。また明日ね」


妹「ただいまかえりましたー」
男「妹」
妹「はい?」
男「…わすれもの、したみたいだから」
妹「え?なにをです?」
男「………とにかく、もう一回学校行ってくる」
妹「…そう、ですか」
男「ああ」
妹「いってらっしゃい、お兄ちゃん」
男「…ああ」


女「………終わんない…ていうか、これ一人でやる量じゃないよ…うぅ」

女「…カッコつけないで、妹ちゃんたちに手伝ってもらえばよかった」

女「そしたら、夕陽の沈む教室で妹ちゃんと二人で…」

女「はじめてのきょうどうさぎょう………なんちゃって!!!」

女「………はやく終わらせよ」


女「よし…あとは、ほっちきす…ほっちきす…」
男「…よぉ」
女「え?男くん?」
男「ああ。終わったか?」
女「え?う、うん、あとは、ホッチキスでとめてくだけ…って何でココに?」
男「手伝う」
女「あ…うん、ありがと」
男「ああ」
女「………あ、あの、もしかして」
男「家に帰ったら忘れ物してて、取りに来たらお前がまだなんかやってるから」
女「あ、そなんだ………あはっ…そうだよねぇ、わざわざ手伝いに来てくれたりするわけないよねぇ」
男「…当たり前だ。そこまでヒマじゃない。そんな義理もない」
女「そだね………でも、ありがとね」
男「…ああ」


女「…妹ちゃんは?」
男「家」
女「そっか…」


女「そういえばさ、今日の妹ちゃんのからあげ、おいしかったよね」
男「ああ」
女「きっといいお嫁さんになるだろーなー」
男「ああ………たまご焼き」
女「ん?」
男「…うまかった」
女「ありがと」


女「そういえばさぁ、妹ちゃんって部活入らないんだねぇ」
男「ああ」
女「ラクロスとか似合うと思うんだけどなぁ…ユニフォーム」
男「…あいつに、そんな運動神経はない」


女「妹ちゃんのさ」
男「ああ」


女「………おわったーーーー!!!!」
男「…ふぅ」
女「おつかれ」
男「おつかれ」
女「ホントにありがとね」
男「たいしたことはしてない」
女「…うわ、もう真っ暗」
男「とっとと帰るぞ」
女「うんっ」


女「…こんなに遅くまで学校に残ったのって文化祭以来?」
男「そうかもな」
女「あのときも、いっしょに帰ったっけ?」
男「妹もな」
女「うんうんっ!妹ちゃん疲れて寝ちゃってて、かわいかったなぁ」
男「徹夜二日目だったからな」
女「妹ちゃん心配してないかな…忘れ物にしては時間かかりすぎてるし」
男「…大丈夫だろ」
女「ん?…そういえばさ、忘れ物ってなんだったの?」
男「………俺の勘違いだったみたいだ」
女「そっかぁ…私もよくするんだよねぇ。辞書、学校におきっぱなしと思ってたら、ウチに持って帰ってたり」
男「ああ」
女「ふふっ…じゃあ、今日はさんざんだったねぇ。学校2往復して、私の手伝いまでして」
男「…そうだな」
女「よし、じゃあ、そんな今日の残念賞の男くんに私がジュースをおごってあげよう!」
男「…べつにいい」
女「まーまーそういわずに。けっこーのど渇いたしー。この自販機でいい?」
男「…」
女「えっと…おさいふおさいふ………私は紅茶ー。男くんは?」
男「…じゃあ、ウーロン茶で」
女「おっけー」


女「はい、感謝の印。120円」
男「ああ」
女「んくんくんくっ………ふぅ…いきかえるー」
男「…ごくごくっ」
女「さて、妹ちゃんも待ってるだろうし、さくさく帰ろう!」
男「そうだな」


女「じゃ、ここで」
男「………」
女「妹ちゃんによろしく~。また明日ね」
男「…暗いから、もう少し送っていく」
女「いいよ。そんな」
男「送ってく」
女「………じゃ、お願いしようかな」


妹「おかえりなさい、お兄ちゃん」
男「ただいま」
妹「…遅かったですね」
男「ああ、忘れ物のついでに冊子作るの手伝ってた」
妹「心配しました」
男「悪い。もう暗かったから、女送ってたりしてたら、こんな時間になった」
妹「しんぱい、しました」
男「…すまん」
妹「………まぁ、いいですけど。お兄ちゃんは私より女さんなんでしょうし」
男「な」
妹「ふふっ…ご飯できてますよ」
男「…お前な、兄貴をからかうなよ」
妹「ごめんなさい。お兄ちゃん待ってて、おなかペコペコだったから、つい」
男「…わかった。晩飯だな」
妹「はいっ」

妹(ねぇ…お兄ちゃん。私は女さんよりお兄ちゃんなんだよ…)


女「たっだいまー!」

女「…ただいまを言う相手もいない~………うわ、うわわわっ…なんて空しい」

女「とりあえず、ばんごはん~ばんごはん~♪」

女「…さみしいなぁ」

女「………」

女「む…ダメだダメだ。こんなときには、そう…妄想を」

女『たっだいまー』
妹『おかえりなさい、お姉ちゃん』
女『たっだいまー妹ちゃんっ!』
妹『ごはんにしますか?おふろにしますか?…それとも、その』
女『………ごくり』
妹『あのえと…わ、わた、私なんて…』

女「よっし!!晩ご飯つくるぞー!!」


女「そういえば、そろそろよね?」
男「…なにが?」
女「妹ちゃんの誕生日」
男「…ああ」
女「プレゼント、なにするの?」
男「………」
女「ほら、かぶったりしたら困るでしょ?」
男「…いや、まだ、決めてないんだ」
女「そなんだ。じゃあさ、いっしょに買いに行かない?」
男「なんで?」
女「だって、一緒に買いに行ったら、同じもの買うことってないでしょ?」
男「まぁ」
女「じゃあ、今度の日曜日ねっ」
男「あ、ああ」
妹「?…二人ともどうしたんですか?」
女「妹ちゃーんっ!!」
妹「わっ」
女「なでなで~よしよし~」
妹「わわわわわ」
女「なでなで~すりすり~」
妹「って、どこをっ!?」


男「ちょっと行ってくる」
妹「え?外、雨ですよ?」
男「…買い物に行くだけだから」
妹「それなら、あとから晩ご飯のお買い物に行くときについでに買ってきますけど?」
男「いや、そういうんじゃなくてだな」
妹「?」
男「と、とにかく行ってくる」
妹「?…はい、いってらっしゃい」


男(…べつに、黙って出てくることはなかったか)
女「男くんっ」
男「よぉ」
女「ごめんね、待った?」
男「いや、今来たところ」
女「………」
男「…ん?どうした?」
女「『そんなことより今日もかわいいね』」
男「…なにが?」
女「…みたいなこと言ったら、デートみたいだよねぇ」
男「………ありえん」
女「うわっ…それひっどーい」
男「…そんなことより」
女「え?」
男「さっさと買い物済ませるぞ。雨、強くなるらしいからな」
女「はぁい」


女「ちなみにさ」
男「ん?」
女「今まで、どんなプレゼントしてるの?」
男「………文房具とか」
女「は?」
男「いや、なにがいいか聞いたら、だいたいそういうものに」
女「去年は?」
男「………洗剤と石けんの詰め合わせだったな、確か」
女「…お歳暮?お中元?」
男「…俺も違うとは思ったんだが、本人が欲しいと」
女「一緒に買いに来て正解だった…」
男「う…」
女「で、今年は何を買うわけ?」
男「そ、そうだな…こう、消耗品じゃなくて残るようなものがいいかもな」
女「そね。それ最低限ね。それで?」
男「…どんなものがいいだろう?」
女「はぁ…。こんなのが兄だなんて…とりあえず予算はどれくらい?」
男「まぁ、だいたい…」 


男「…おい」
女「どしたの?」
男「…こんなところに入れるか」
女「…あ~ちょっと場違いな感じはするかもだけど妹ちゃんのためだよ」
男「ほかに」
女「なにも下着屋さんに入れって言ってるわけじゃないんだから」
男「そ、それはまぁ」
女「けっこう値段も手ごろらしいし。デザインも若者向けっぽいのがそろってるらしいし」
男「で、でもな」
女「ほらほら、入り口で止まってるとジャマになるよ~」
男「…う」
女「覚悟を決めなさい~」
男「………よ、よし」

ガチャ…カランカラン


女「だいたい、こんなところじゃないかな?」
男「ネックレス…って」
女「…まぁ、指輪でもいいんだろうけど」
男「まだ、妹には早いだろ…だいたい学校につけていけるわけじゃないし…」
女「早いって、男くん…。さいきんの女の子はデートとかしまくりなのよ?」
男「な」
女「妹ちゃんだって、だれか男の子に誘われたりしたら」
男「なな」
女「認めたくはないでしょうけど」
男「お、お前だって、こういうの持ってないだろ?」
女「そ、そりゃ、私にはこういうカワイイのは似合わないし」
男「そんなことないだろ」
女「え?」
男「え?」


妹「…うわ、雨つよくなってます」

妹「でも、おやすみのうちに冷蔵庫のなか補充しておきたいですし」

妹「………うん!」


店員「ありがとーございましたーまたのおこしをーおまちしてますー」

男「………えっとな」
女「な、なに?」
男「悪かったな、付き合ってもらって」
女「あ、いいのいいの~愛しの妹ちゃんのためなのだから~」
男「その…あ、ありが」
女「ん?…わきゃっ」
男「なっ」

女「………あれ?」
男「なんで、こんなところでこける…」
女「えっと…ちょっとすべっちゃって…」
男「…なんでそんな靴はいて来るんだよ」
女「だって…学校じゃはけないし…」
男「とりあえず、重い、どけ」
女「そ、そういう言い方って…ご、ごめん」
男「………」
女「うわ…びちゃびちゃだね…」
男「まぁ…プレゼントは無事だった」
女「そっか…」
男「ああ」
女「あの、ありがとね」
男「…いや、こっちこそ」


妹(…おにいちゃん?)

妹(おんなさんも?)

妹「あ…そっか、きょうって、デートだったんですね」

妹「そっか」

妹「そっかそっか」

妹「デート、か」


女「よし。私の分も買ったし…そろそろ帰ろっか」
男「ああ」

女「そういえばさ、男くん、妹ちゃんになんて言って家でた?」
男「…ただの買い物」
女「そっかそか。じゃあ、妹ちゃんは今日、おにーちゃんがプレゼント買ってきてくれてること知らないのか」
男「そうだろうな」
女「だったらさ、せっかくだから誕生日まで黙ってようよ」
男「…なんで?」
女「そりゃびっくりするし。きっと喜ぶよ」
男「………そういうもんなのか?」
女「うんうん。そーゆーもんだよっ」
男「そうか」
女「じゃ、そゆことで、ナイショの方向で」
男「わかった」


男「ただいま」
妹「おかえりなさい、お兄ちゃん」
男「ああ」
妹「…なにを買ってきたんですか?なにも持ってないみたいですけど」
男「………えっとな」
妹「はい」
男「………………その、あれだ」
妹「はい?なにか私に言えないモノでも」
男「か、買い物に行ったはいいが欲しいものがなくてとりあえずこの時間までぶらぶらしていたんだヨ」
妹「よ?」
男「…よ。」
妹「くすっ…へんなお兄ちゃんですね」
男「…」
妹「夕ご飯、もうすこしでできあがりますから」
男「ああ」


妹(…べつにウソつかなくてもいいのになぁ)

妹(女さん、いいひとだし)

妹(お兄ちゃん、ずっと女さんのこと好きだし)

妹(………ずっと、好きだし)

妹(でも、私は、お兄ちゃんのいもうとで、いもうとでしかなくて)

妹(…私がいたら、ふたりのジャマかな)


女「たっだいまー!!」

女「あっめあめ~♪きょうのおてんきはずっとあめ~♪」

女「…うわっなにこのテンション」

女「まぁ…今日は妹ちゃんの誕生日プレゼント買えたし」

女「男くんからサプライズなプレゼントをもらう妹ちゃんを想像しただけで………じゅるり」

女「うふふふふふふ…そしてふたりは、きんだんのただれたかんけいに…」

妹『お兄ちゃん…私、その、お兄ちゃんにだったら…その………ぜんぶ、あげます』
兄『…俺も、お前になら』
妹『お兄ちゃんっ』
兄『妹っ』

女「―――っ!」

女(あれ?…たのしくない?)

女(………ていうか、あれ?なんだろ?)

女(いたい?)

女「…なんで、自分の妄想に嫉妬してるんだろ?おっかしいなぁ、今までこんなことなかったのに」

女「まぁ、いっか!とりあえず、ごはんごはん~」


男「…おはよう」
妹「あ、おはようございます、お兄ちゃん」
男「ああ」
妹「…今日は、私、先に学校行きますね」
男「なにか用事か?だったら、俺も」
妹「だいじょうぶですよ。ひとりで行けますし。それに、女さんと時間ずれちゃいますよ?」
男「………べつに、待ち合わせてるわけじゃない」
妹「だから、です。ちょうど同じ時間に登校してるんですから」
男「いや、それは女がお前に」
妹「せっかく、ふたりきりになれるチャンスなんですよ?」
男「………べ、べつに、ふたっふたりきりとかそういう」
妹「はいはい。早く、朝ごはん食べてくださいね。遅刻しちゃいますよ」
男「………」


女「さあて、朝ごはんも食べたし…ちょっと時間早いけど」

女「いってきま~す」

女(たまにはふたりきりにしてあげないとねぇ)


妹「…え?」
女「わわ」
妹「女さん…なんで」
女「妹ちゃん、だーーーー!!!」
妹「きゃっ……うゅ」
女「なでなで~…はぁぁぁぁ。くんくん、あ、シャンプー変えたんだ」
妹「え、あのその」
女「レモン?シトラス?」
妹「えっと」
女「ん~なんでもいいや。なでなでなで~」
妹「ぅぅぅぅぅぅぅ」


妹「あ、あの」
女「待って、あと20秒待って…なでなでなでなでなで」
妹「うぅぅぅぅぅぅぅ」
女「はぁはぁはぁ…」
妹「あの」
女「なに?そういえば、今日は早いのねぇ…男くんは?」
妹「あ、ちょっと用事あって早めに。お兄ちゃんは、いつもの時間です」
女「そなんだ」
妹「あ、あの」
女「うん」
妹「お、おはようございます」
女「うん、おはよう」
妹「えっと」
女「?」
妹「お、女さんも今日は早いんですね」
女「う、うん。ちょっと用事が…そう、用事があってね~」
妹「そうなんですね」
女「うんっ…そうなのそうなのよ。せっかくだから、いっしょに行こうか」
妹「…はい」


女「でね~、となりのお客さんがね、たくさんカキを」
妹「あ、あの、女さん」
女「ん?」
妹「きのう、マチでお買い物してました?」
女「え?」
妹「あの、偶然、晩ご飯のお買い物のとき見かけて」
女「………えっと」
妹「はい」
女「………………そのね」
妹「はい?…あ、もしかして聞いたらダメなことでしたか?」
女「か、買い物には行ったんだけど欲しいものがなくてウィンドウショッピングしてたのダ」
妹「………そうなんですね」
女「そ、そう、そうなのヨ。や、やだなぁ、見かけたんだったら声かけてくれたらいいのに」
妹「………」
女「…そ、それでね、となりのお客さんが」
妹「はい」

妹(…口裏、あわせてるのかな。なんでかくすんだろ)
女(………どうにか、ごまかせた?…あれ?男くんもいっしょだったのに見られてなかったのかな?)


男「いってきます」

男「…さて」

男「………」

男「………」

男「………」

キーンコーンカーンコーン

男「…少し急ぐか」


男「よぉ」
女「………」
男「よぉ!」
女「ラッパー?」
男「…ちがう」
女「………って、男くんっ?」
男「ああ」
女「お」
男「?」
女「…おはよう、今日は遅かったね」
男「ああ…家を出るのはいつもの時間だったんだが」
女「…途中で寄り道でもしたの?」
男「………そんなとこ。そっちは早かったみたいだな」
女「ちょっと用事があって」
男「…そうか」
女「うん」

妹(…だいじょうぶかなぁ。お兄ちゃん、女さん待って遅刻してたりして)


妹「お兄ちゃんっ」
男「あ、ああ…女も、昼一緒に食うだろ?」
女「…あ、うん」


妹「………」
女「………」
男「………」

妹(もしかして、私、ジャマだったかなぁ)
女(…なんで一緒に食べるとか言っちゃったんだろ。妹ちゃんのこと考えたら)
男(なんだ…なんなんだ…この空気)

女「あ、あの」
妹「はい?」
女「えっと、私、ちょっと、そういえば、あの用事があったの」
男「なんの?」
女「あ…と、とにかく、あの、妹ちゃんとふたりでごゆっくり~」
妹「ま、待ってください。そ、それなら、私がどこかに行きますからっ」
女「なんでそうなるの?」
妹「だ、だって、どう考えても私がおジャマですし」
男「…そんなことはないだろ」
女「うんうん」
妹「だ、だって…だって、ふたりはお付き合いしているんでしょうっ!」
男「………」
女「………」
妹「…あれ?」


男「…なるほど、昨日の見てたのか」
妹「はい…すいません、黙ってて」
女「…あれね、デートじゃないのよ?」
妹「でも、ふたりでアクセサリショップに」
女「それは…」
男「…お前の誕生日、近いだろ」
妹「…へ?………そういえば。でも、それと何の関係が」
男「俺がよくわからんから、女にどんなのがいいか相談に乗ってもらってたんだ」
妹「………え?ちょっと待って下さい。それじゃ、私、勝手に勘違いして」
男「いや、黙ってた俺が悪い」
女「妹ちゃん、びっくりさせようと思って」
妹「………うぅ、はずかしいです」
男「まぁ…何を買ったのかは、まだ秘密だ」
妹「はい…すいません…」
女「しっかし、なんで私と男くんがデートしてるなんて思ったのやら、全然そんな感じじゃないのにねぇ~」
男「………そうだな」
妹「だ、だって…お兄ちゃ」
男「妹、とりあえず、昼メシを食おう」
妹「………はい」
女「うんうん。食べよ~」


女「さて、じゃ、そろそろ教室にもどろっか」
男「ああ」
妹「お兄ちゃん、先に戻ってください」
男「…なんで?」
妹「女さんとちょっとお話があります」
女「わ、私と?ふたりっきりで?」
妹「はい」
男「………わかった」


妹「…あの」
女「なぁに?」
妹「私、女さんのこと好きです」
女「………そ、そそそそれってもしかして」
妹「でも、お兄ちゃんのことがもっと好きなんです」
女「…わたしって、きりんさん?」
妹「初めて会ったときから、…ずっと、好きなんです」
女「…知ってる」
妹「女さんも、お兄ちゃんのこと好きですよね」
女「うん。まぁ…わ、私はそれより妹ちゃんの方が」
妹「お兄ちゃん、女さんのこと好きですよ」
女「………す?」
妹「…私なんかよりずっと」
女「ちょ、ちょっと、そんな…だって男くんは友達だし、私はこんなだし」
妹「…正直、ちょっと妬ましいです」
女「いや、それおかしいよ。だって、男くん、そんなそぶりとか見せたことないし、だいたい私なんか…ウソでしょ?」
妹「はい、ウソです」
女「………ウソよね?」
妹「はい。ほら、お兄ちゃんが女さんのこと好きだったら、きれいな三角関係になるじゃないですか」
女「…まぁ」
妹「…それで、ちょっとウソついちゃいました」
女「ウソなのよね?」
妹「はい、もちろん、ウソですよ」
女「………」
妹「ウソ、です」
女「…うん」


女「………」
男「なに話してたんだ?」
女「へ?………男、くん?」
男「ん?…ああ」
女「わ」
男「わ?」
女「わー」
男「は?」
女「…なんでもない、なんでもないの」
男「いや、なんでもないって」
女「ち、ちなみに男くん、好きな人とかそういうのいる?」
男「…なんでそんなこと聞く。妹に何を言われた」
女「い、いいからっ!いるの?いないの?」
男「………………いることは、いる」
女「妹ちゃん?」
男「なんで、そこで妹が出てくる」
女「そそそれはほらあんなにかわいいんだからよくじょうとかしないのかなって」
男「お前じゃないか…それは」
女「あ、あははははーそうだねーわたしだねーあはははー」
男「ていうか、昼間から欲情とか言うな」
女「そ、そうだねーあはははははははは」
男「………」


女(…なんで動揺してるのよ)

女(男くんはともだち、ただのともだち…うんうん)

女(よく考えてもみなさい…妹ちゃんはちっちゃくて、かわいいし、ふにふにしてるし)

女(それにひきかえ、男くんなんておっきいし、かわいいって感じじゃないし、ごつごつしてるし)

女(すね毛とか生えてるし、たまにぶしょーひげも生えてるし、妹ちゃんのプレゼントに洗剤贈ったりするし)

女(口数少ないし、表情あんまり変わらないし、相談とかにはのってくれるけど、役に立たないし…でも一生懸命考えてくれるし)

女(困ってたら、よく手伝ってくれるし、優しいし…いや、妹ちゃんにも優しい…みんなに優しい?)

女(…ちがうちがう。ここは、男くんの嫌なところをあげてキライにならないと………)

女(あれ?なんで?キライにならないといけないの?…キライに、なる?じゃあ、今の私の気持ちは?)

女「…もう!!なんなのよっ!!」
先生「す、すいません」
女「え?」
先生「え?」

男(…なにやってるんだ、あいつ)


女「………」
男「?」
女「………」
男「なんだ?」
女「な、なにが?」
男「いや、さっきから、ずっと見られてるような気がした」
女「…そ、そんなわけないよ?」
男「む」
妹「お兄ちゃんっ」
女「い、妹ちゃーーーんっ!!」
妹「きゃっ!」
女「会いたかったーーー!!!!」
妹「え?きゃ?わっ?」
男「む」


妹「ただいまかえりましたー」
男「ただいま」
妹「あれ?お母さんは、また、どこかにおでかけなのでしょうか?」
男「…なぁ」
妹「はい?」
男「女になに言ったんだ?」
妹「…ちょっと、ウソをついただけです」
男「嘘?」
妹「はい」
男「なんか様子が変だったんだが」
妹「…そうですか」
男「お前、どんな嘘を」
妹「お兄ちゃん」
男「ん?」
妹「私はお兄ちゃんに幸せになってほしいんです」
男「なんだ、いきなり」
妹「お兄ちゃんのおかげで私は幸せだから」
男「な、なんだ、いきなり」
妹「それだけ、です」
男「いや、それだけって」
妹「ふふっ…それだけ、ですよ」


女「ただーいまーぁ…」

女「うぅ…なに意識してるんだろ…」

女「ダメだ…自分で意識してるって意識してることがダメダメだ」

女「だいたいなんでこんなことに」

    『お兄ちゃん、女さんのこと好きですよ』

女「………って、私は思春期の乙女かっ」

女「…思春期の乙女じゃん」

女「で、でも、妹ちゃんウソだって言ってたし…男くんが私のことほんとにどう思ってるかなんて」

女「どう、思われてるんだろ…妹に手を出す変態女?………だよね、うんうん」

女「よく考えなくても、そうじゃん…迷惑がられてても好かれてるってそんなわけないし…」

女「な、なに浮かれてるんだかぁ!…よっし、晩ごはん~晩ごはん~」


女「おっはよー!!」
男「…よぉ」
妹「おはようございます、女さん」
女「はぁ…妹ちゃん今日もかわいい…なでていい?なでていい?」
妹「え、あの、その」
男「いつもどおり、だな」
女「…あ、男くんおはよー」
男「…ああ」
妹「あ、あの…女さん、お願いがあるんですけど」
女「なになに?妹ちゃんのお願いならなんでも聞いちゃうよ?」
妹「今度の日曜日、私の誕生日なんですけど」
女「うんうん」
妹「一緒に、動物園に行きませんか?」
女「いいよー動物園好きだしー」
妹「三人で」
男「な」
女「え?」
妹「だめ、ですか?」
男「…まぁ、いいが」
女「…まぁ、いいけど」


女「………あ、おっはよー」
妹「おはようございます、女さん。すいません、お待たせしてしまって」
女「ううん、今来たところだから。そんなことより、私服の妹ちゃんもかわいいなぁ」
妹「え、そ、そうですか?…な、なんかデートっぽいです」
女「うんうん、デートみたいなもの」
男「………」
女「あ、男くん、おはよー」
男「…ああ」
女「さあて、いいお天気だし。動物園をたのしもー!!」
妹「はいっ」
男「ああ」


女「ほら、妹ちゃんっ!ゾウさんだよー」
妹「わぁ」
男「…なぁ」
女「なに?どうしたの?」
男「鼻がないんだが」
女「あるじゃん」
男「いや、なんていうか…短いっていうか…俺の知識の中にあるゾウとは微妙にというか全然ちがうっていうか」
妹「あ、このゾウさん種類が違うみたいですね…ぱれおますとどん?っていうらしいです」
女「らしいよ」
男「…そうか」


女「ほら、妹ちゃんっ!キリンさんだよー」
妹「わぁ」
男「…なぁ」
女「なに?どうしたの?」
男「首がないんだが」
女「あるじゃん」
男「いや、なんていうか…短いっていうか…俺の知識の中にあるキリンとは微妙にというか全然ちがうっていうか」
妹「あ、このキリンさん種類が違うみたいですね…ぱれおとらぐす?っていうらしいです」
女「らしいよ」
男「…オカピじゃないのか」
女「オカピはけっこう珍しいから、こんな地方の動物園にはいないよー」
男「…こいつらもかなり珍しい気がするんだが」


女「ほら、妹ちゃんっ!パンダさんだよー」
妹「わぁ」
男「…なぁ」
女「なに?どうしたの?パンダにまで文句があるの?」
男「…もうリンリンはいないんだな」
女「あ…」
妹「りんりん…」
男「…わるい」
女「ううん」


女「…ふぅ、市立動物園にしては結構見ごたえがあったわねぇ」
妹「はいっ」
男「…俺は、本当にここが市立動物園なのかが疑わしい」
女「もうちょっとで閉園だし、帰ろっか」
妹「あ、あの」
男「ん?」
妹「あれ、乗りたいです」
女「…かんらんしゃ?」
妹「はい」
男「結構、並んでるぞ」
妹「そ、それでも」
女「いいじゃない、ならぶくらいー」
男「…わかった」
妹「ありがとうございます」


男「…そろそろか」
妹「お兄ちゃん」
男「ん?」
女「どうしたの?」
妹「ちょっとトイレに行ってきます」
男「…お前」
妹「生理現象です」
女「だ、だったら、また後から乗れば」
妹「もう閉園ですし、せっかくだから二人で乗ってきてください」
男「ふたりでって」
妹「あ、ちなみに、ここの観覧車カップルで乗ると永遠に結ばれるっていう噂があります」
男「!?」
女「!?」
妹「じゃあ、そういうことなので」
男「ま、待て」
妹「待てません。…もれちゃいます」
女「もれ!?」
妹「では、ごゆっくり」


男「…女」
女「え、なに?男くん?ハンカチ?」
男「…鼻血を拭け」
女「………ごめん」
男「いや…」


男「…で、どうする」
女「ど、どうって?」
男「乗るのか、乗らないのか」
女「…男くんは、乗りたい?」
男「…お前はどうなんだ」
女「わ、わたしは…その」
男「………」
係員「はい、次のお客様~」
女「………」
男「………乗るか」
女「うん…」


妹「…乗っちゃいました」

妹「………」

妹「………トイレにでも行きますか」


女「わわ」
男「ん?」
女「実は観覧車って初めて」
男「…そうか、俺もだ」
女「そなんだ…初めてどーしだねっ」
男「………そうだな」


女「…けっこう高くのぼるんだねぇ。外から見ると小さいのに」
男「ああ」
女「人がたくさんいるねー」
男「そうだな」
女「妹ちゃんいるかな?」
男「…トイレじゃないのか?」
女「…そっか」


女「あ」
男「きれい、だな」
女「…だね。夕陽がきれいだと明日は晴れなんだっけ?」
男「…どうだったかな」


女「…そろそろ、一番上だね」
男「そうだな」


男「………」
女「あ、あのね」
男「ん?」
女「間違いだったら…ていうか、たぶん違うと思うんだけど」
男「?」
女「私のこと好き?」
男「………………なんだ、いきなり」
女「あ、その、違うのっ…えっと自意識過剰とかそういうんじゃなくてその妹ちゃんがこの前」
男「妹が?」
女「う、うん、好きだって…でもウソだって」
男「………」
女「そ、それで、ホントのところはどうなのかなぁって」
男「………で?」
女「え?」
男「それを聞いたら何か変わるのか?どっちにしろ、お前は妹のことが好きなんだろ」
女「な、なんで知ってるのっ!?」


男「…そこは驚くところじゃないだろ」
女「そ、そりゃ妹ちゃんのことはお嫁さんにしたいくらい好きだけど」
男「…やらん。お前にだけはやらん」
女「ひどいっ!」
男「ひどくないだろ…」
女「ひどいよぅ…いつか、いつかお義兄さんって呼んでやるんだからっ」
男「法律上無理だ」
女「事実婚よっ!」
男「俺の目の黒いうちは許さん」
女「…だったら、男くんを殺して、妹ちゃんを――」
男「…冗談だよな?」
女「うん」
男「………」
女「ふふっ…ねぇ、男くん、私、おとこのこの中だったら男くんが一番好きだよ」
男「………そうか」
女「うん」
男「…悪いけどさ、俺は、妹も含めて今まで会った人全ての中でお前が好きだ」
女「………………え?」


男「…すまん」
女「なんであやまるの?」
男「…困るだろ。好きでもないやつにこんなこと言われても」
女「そんな…男くんのこと」
男「訂正。一番好きじゃないやつ、だな」
女「…なんで」
男「そりゃ、今「付き合ってください」って言われたら断るだろ?」
女「…それは」
男「…『あなたの他にあなたより好きな人がいますけどつきあってやってもいい』っていう考えもあるのかもしれないけどさ」
女「それでいいの?」
男「…俺は、それでもいい」
女「…そう」
女「ねぇ…男くん」
男「ん?」
女「両方ともが両方を一番好きじゃないとダメなの?片方の一番好きは認めてもらえないの?」
男「…」
女「男くんは、妹ちゃんが好きな私に、妹ちゃんはどこかの誰かさんのことが大好きだからあきらめろって言う?」
男「…そうだな」
女「でしょ?」
男「………女々しくて悪いんだけどさ、お前のこと、一番好きなままで良いか?」
女「いいよ」
男「…悪い」
女「正直ね。今は妹ちゃんが一番好き。たぶん男くんより。だから、男くんとは付き合えない」
男「…それでもいいさ」
女「ごめんね」
男「いままでどおりでいよう…ってことだよな?」
女「うん」


女「おまたせー」
妹「あ…」
男「悪いな、待たせた」
妹「いいえ」
男「すまんが、ついでにもうちょっと待っててくれ」
妹「え?」
男「トイレに行ってくる」
妹「あ、はい…わかりました」


女「はい、これ」
妹「え?」
女「お誕生日のプレゼント」
妹「あ、ありがとうございます」
女「うん」
妹「…あの、なか見てもいいですか?」
女「どうぞ」
妹「わ…オルゴール?」
女「うん」
妹「…ありがとうございます」
女「いえいえ。お誕生日おめでとう、妹ちゃん」


女「さっきね、観覧車で告白されちゃった」
妹「…そう、ですか………あ、あの」
女「ふっちゃったけどね」
妹「え」
女「『他に好きな人がいますから』って」
妹「えぇぇぇ!?い、いるんですか?!」
女「…そこ、そんなにおどろくとこかな」
妹「それって、クラスの人とか?」
女「妹ちゃん」
妹「はい」
女「妹ちゃんが一番好き」
妹「………え?」
女「もちろん、妹ちゃんが男くんのことを好きっていうのと一緒の意味で」
妹「…冗談ですよね?いつもの」
女「………本気だよ。いつもの」
妹「…あの」
女「大丈夫だって、付き合ってーとか結婚してーとか言わないし」
妹「はぁ…」
女「ただね、知っていて欲しくて。私はあなたのことが好きなんだって」
妹「…それで、お兄ちゃんの断ったんですか?」
女「うん」
妹「………お兄ちゃんのこと好きなんですよね?」
女「うん」
妹「…困ったお姉ちゃん、ですねぇ」
女「うん」


男「ん?女は?」
妹「先に帰っちゃいました。トイレに行くそうです」
男「…そうか」
妹「はい。あと、誕生日プレゼントを貰いました。オルゴールです」
男「ああ」
妹「お兄ちゃんは?」
男「家にある」
妹「そうですか…じゃあ、帰りましょうか」
男「そうだな」


妹「お兄ちゃんフラれたんですよね」
男「………………まぁな。女から聞いたのか?」
妹「はい。女さんも目がダメダメですねぇ」
男「…まぁ、わかってたしな。あいつには他に好きなやつがいるって」
妹「…そうですか」
男「ああ」
妹「…お兄ちゃん、初失恋ですね」
男「………お前な、ひとの傷口を」
妹「私がなぐさめてあげましょうか?」
男「は?」
妹「女さんのかわりに、私とつきあいませんか?」


男「…なにが?」
妹「おつきあいしませんか?」
男「………はぁっ…なんで失恋して、いもうとと付き合わなくちゃ」
妹「お兄ちゃん」
男「ん?」
妹「好きです」
男「………」
妹「お兄ちゃんが女さんを好きっていうのと…女さんが私を好きだっていうのと、同じ感情です」
男「―――!?」
妹「…そんなに驚くことですか?」
男「あ、いや………そっか…あいつ、言ったのか」
妹「いつも冗談だとばかり思ってました」
男「…なにげにひどいな、それは」
妹「お兄ちゃんだって、いま冗談だと思ったでしょう?ひどいです」
男「そ、それは………悪い」
妹「お兄ちゃん」
男「…」
妹「好きです」
男「すまん」
妹「…好き、です」
男「…俺には好きなやつがいる」
妹「………好き、なの、お兄ちゃん」
男「悪い…」
妹「…お兄ちゃんのばか」
男「悪い…」


妹「…お兄ちゃん、私のこと嫌い?」
男「そんなことはない」
妹「私がダメなのは『いもうとだから』じゃないんだよね?」
男「…違う。ただ、俺が馬鹿なだけだ。お前がダメなわけじゃない」
妹「そう」
男「ああ」
妹「…さて、帰りましょうか?お兄ちゃん」
男「…ああ」
妹「プレゼント楽しみです」
男「………期待していい」


女「おっはよー!!」
男「よぉ」
妹「おはようございます、女さん」
女「はぁ…妹ちゃん今日もかわ………目のまわり、ちょっとはれてる」
妹「…あ、ちょっと…その」
女「…男くん」
男「な、なんだよ」
女「私の妹ちゃんを泣かせるとは…ふられた腹いせ?」
男「…お前だってふられてるだろ」
妹「お兄ちゃんっ!そういうこと言うのはダメです」
女「そうだそうだー」
男「…悪い」


女「………しかし、全員玉砕とは…ひとりくらい妥協してもいいのにねぇ」
妹「ですねぇ」
男「………なんで俺を見る」
女「でもまぁ、いつもどおりだし、いいよね」
男「まぁ、見た目、今までと変わらないし」
妹「でも、わかりやすくなりましたね。ね?お兄ちゃんっ」
男「ん?…なんだ?」
女「男くん…妹ちゃんと腕を組む?………私の目の前で?」
男「いや…これは、こいつがしがみついてるだけ」
妹「腕組むくらいはいいですよね?」
女「…だったら、私は、妹ちゃんとっ」
妹「わわっ…」
男「おい………」
妹「お兄ちゃんも女さんと腕を組んだらいいんですよ」
女「いいよ?男くんだったら」
男「………………歩きにくいだろ」
妹「つれませんねぇ」
女「つれないなー」
男「俺が悪いのか…?」




べつにさ二人一組のカップルじゃなくてもいいじゃない?

そうですか?

3人いっしょじゃ不満?三人一組ダメ?

そんなことはありませんけど…

私たちなら3人で楽しくやっていけるよ

…そうですね

だよね?

…ああ


最終更新:2008年05月06日 21:03