修学旅行編(前編)

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修学旅行編(前編)」(2008/05/06 (火) 21:03:56) の最新版変更点

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基本的に本文コピペ。 ---- 妹「…修学旅行?」 男「ああ」 女「うん。五泊六日の京都奈良な古都探検」 妹「…しゅうがくりょこう?」 女「うんうん」 妹「………栞の27ページから各班の名簿があるんですけど」 女「あ…男くんといっしょの班だから?…やきもち?」 男「………」 妹「…いっしょの班とか、そういう問題じゃなくて」 女「なくて?」 妹「な、なんでっ!なんで京都奈良に五泊六日も“二人っきり”なんですかっ!!」 女「…あーそれはねぇ」 男「ウチの学校が修学旅行の行き先を自分達で選べるのは知ってるな」 妹「…はい」 男「今年は、北京・シドニー・苫小牧・京都奈良の四択だったんだ」 女「でね、みんなオリンピックがどーのこーので抗議の意味を込めてシドニー…っていう人がたくさんいて」 男「…京都奈良を選んだのが、俺たち二人だったと」 女「いちばん多かったのは苫小牧だったけどね~」 妹「………だいたい引率の先生も無しって」 女「…なんか、海外に行きたいんだって」 男「二人くらいなら、国内だし大した問題も起こさないだろう…と。  それより北京を希望する生徒をいろんな意味で引率する必要がある…と」 妹「だ、大問題じゃないですかっ!!…そ、そんな男女で二人きりで」 女「あ、部屋は別だし。大丈夫だよっ…心配しなくても」 妹「そ、それでもですね」 女「ただ、昼に古都ぶらぶらして、夜にマクラ投げするだけだよ?」 男「…二人でするのか?」 女「うんっ!西部劇みたいにこう…構えて」 妹「私も行きますっ!」 男「それはダメだ」 妹「………お兄ちゃんにとって、わ、私は…」 男「…そういう意味じゃなくて」 妹「だったらっ」 男「…平日は授業があるだろう」 妹「うぅ…」 女「妹ちゃんも来たらいいのに~。サボっちゃえば?」 妹「………あ、あの、お兄ちゃ」 男「ダメだ」 女「うぅ…」 女「わわ…新幹線だよっ!!男くんっ!!」 男「そうだな」 女「やっぱり、新幹線って初めて!!」 男「…それじゃないからな。今から乗るのは」 女「わ、わかってるって………こだまだっけ?」 男「…のぞみだ」 女「………で、でもさ、こだまの方が瞳がつぶらでかわいいし」 男「…なにが」 女「せっかくだし、こだまで…じゆうせきで………しかも座れなくて、2時間以上ずっと立って」 男「お前は、新幹線に何を求めているんだ…」 女「京都だよっ!!」 男「ああ」 女「さっすが速いねすごいね新幹線っ!!」 男「ああ」 女「って、あれ京都タワー?京都タワー?」 男「…たぶん」 女「京都タワー…って、あのてっぺんにうさんくさい手相見る機械が合ったり  地下にお風呂までついてるあの京都タワー?!すごいね!新幹線っ!!」 男「…なんで、そんなテンションなんだ」 女「楽しみだなぁ、帰りの新幹線…こんど妹ちゃんといっしょに乗ろうっと」 男「…とりあえず、ホテルに行かないとな」 女「…ホテル?」 男「ん?…ああ、ホテル・ザ・キャッスル・ゲートっていうところらしい」 女「そ、そんなっ」 男「?」 女「ふ、ふつう、京都で泊まるところって行ったら旅館じゃないの!?」 男「…そんなこと俺に言われてもな」 女「趣とか大事にしないと!古きよき日本の伝統文化の色が強く残ってる京都に何のために来たのか…」 男「…さっきまで、新幹線新幹線言ってたやつに言われたくない」 女「…なんかさ」 男「…ああ」 女「こういう風に、入り口に『高校ご一行様』って書かれるの今まで普通だと思ってたけど」 男「………」 女「ちょっと違和感」 男「…そうだな」 「はい。修学旅行でご予約の………2名様?」 男「…そうです」 「………301号室と302号室です」 男「はい…」 男「三階らしい…」 女「あ、うん」 男「………すごい不審な目で見られた」 女「…ま、まぁ、気にしない気にしない~」 妹(…お兄ちゃんたちは、そろそろむこうに着いたころかな) 妹(はぁ…やっぱりムリにでもついて行くんだったなぁ) 妹(でも、お兄ちゃんは………女さんと二人きりでいたいだろうし) 妹「…はぁ」 先生「私の授業でため息とはいい度胸ね…聞いてなかったんでしょ?  私の授業なんて全然聞いてなかったんでしょ!?どうせ私の授業なんて  そこらのカリスマ塾講師と比べたら大して受験対策になんてならないし  上の空で聞いてたって、定期テストは適当にやれば解けるし…とか思ってるんでしょ!!」 妹「え?そ、そんなことは」 先生「じゃあ、今、私が言った問題を言ってみてよっ!!」 妹「ヨーロッパにおいて封建社会の崩壊後に成立された国際法。  この成立に大きく寄与したオランダの法学者は誰か?です」 先生「………」 妹「…いちおう、答えはグロチウスです」 先生「………」 妹(…京都は遠いなぁ。今夜は家で一人かぁ) 先生「…こ、これで勝ったと思わないでよっ!!」 妹「………はぁっ」 先生「くぅぅぅぅぅぅっ!」 男(えっと…305…303…) 女「…あ」 男「ここか…」 女「私、こっち?」 男「ああ」 女「じゃ、とりあえず、荷物片付けてから、明日の予定とか考えたりしよ?」 男「わかった」 ガチャ 女「わ…広い。ちゃんと和室なんだ………修学旅行用なのかな?」 女「…うわぁ、中庭が見れるんだぁ………きれいだなぁ」 女「枕もいっぱいあるし…」 女「…広いなぁ」 ガチャ 男「………なんだこの部屋………4畳半?………」 男「…?………窓なし?」 男「…寝具は一揃いあるか」 男「………狭い、な」 トントン 女「男くん?」 男「ああ…開いてる」 女「わ………その、なんていうか、狭いね…」 男「…女の部屋は違うのか?」 女「うん。すっごく広いよ?」 男「………」 女「テレビもあるし」 男「…そうか」 女「ここ狭いし、机ないし、私の部屋で予定決めよ」 男「………そうだな」 男「明日と明後日奈良で…」 女「あとは京都を満喫かなー」 男「いいんじゃないか?」 女「うん」 男「…今日はどうする?」 女「時間も無いし…お土産屋さんとかちょっと見てみる?ほら、京都タワーのトコの」 男「………わかった」 女「男くんっ!ほらっ」 男「…木刀?」 女「うんうんっ」 男「………そんなの京都土産じゃなくても」 女「でもさ、京都の木刀ってよく切れそうじゃない?」 男「木刀は切れん」 女「…妹ちゃんに」 男「お前は、妹に何をさせる気なんだ…」 女「…なまやつはし」 男「………おい」 店員「ご試食どうぞー」 女「わぁい!………うんっ!やっぱりやつはしはナマだねっ!!」 男「…おい」 女「24個入りのください!!」 店員「はいはーい」 男「…土産なら、最終日に買えばいいだろ」 女「ううん。これは今夜のおやつ」 男「………」 女「あ、男くんの分もいるよね?…店員さんっ!もう一」 男「…べつにいい」 女「そう?おいしいのに…」 女「わ…きれい…」 男「………西陣織か」 女「うん。…こんなの着てみたいな」 男「………」 女「なんてね…どうせ似合わないだろうし、妹ちゃんに着せたいなー」 男「…そうか」 女「うんうんっ!十二単とか着せたりして」 男「………似合わないことはないんじゃないか?」 女「…なんかムリヤリ言わせたみたい」 男「…そうでもないが」 女「そっか………ありがとね」 男「…べつに」 女「…おなかすいたかも」 男「………朝飯・夕飯は広間に行くらしい」 女「ふぅん…京都のお料理ってどんなのだろうねぇ」 男「…さあ?」 女「おいしかったねー」 男「ああ、そうだな…」 女「このスレってもの食べるシーンあんまりないよね。お泊りのときも省いたし」 男「ああ、そうだな…」 女「なんでだろうねー」 男「ああ、そうだな…」 トントン 女「男くんっ」 男「…ああ」 女「お風呂いこー」 男「…べつに一緒に行くこともないだろ」 女「だって、そこはほら修学旅行だし」 男「いや、風呂場は男女別だろ?」 女「混浴とかないみたいだしねぇ…あ、でも家族風呂はあるらしいよ?」 男「………」 女「えへっ…冗談だよっ」 男「…当たり前だ」 女「と、いうわけで、おふろにゴー!」 男「どういうわけだ…」 女「じゃ、先におふろ上がったら、ここで待ってるっていうことで」 男「わかった」 男「…ふぅ………広い風呂はいいな………」 男(………ヒノキか………いいな…) 男「…ふぅ………」 男(………露天もあるのか…打たせ湯も外か………) 男「………」 男(…そろそろ上がるか………女は、けっこう風呂長い方だったか…) 男「さて…」 男(………浴衣か。…帯ってどうやって結ぶんだ?………適当でいいか) 男(…さて、牛乳でも飲んで、女を待つか) 女「男くんっ」 男「ん?………早いな」 女「うん。男くん待たせちゃ悪いかなーとか思ってたら、男くんより早かった」 男「………わるい」 女「ねね?見て見てっ…ゆかた、ほらウサギさんっ」 男「………ああ」 女「かわいいよねぇ…ピンクだし~」 男「………ああ」 女「あ、男くん、帯の結び方変だよ?…直してあげる」 男「………ああ」 女「…?」 男「………」 女「………なおしてあげるって」 男「………ああ」 女「なんで近づいたら離れるの?」 男「………なんでだろうな」 女「…むー」 トントントン 女「男くんっ!」 男「…なんだ?」 女「マクラ持って、すぐ部屋に来て!!」 男「………なんで」 女「いいから早くっ!」 男「………」 トントン 男「…入るぞ」 女「うん…」 男「………なんだこれは?」 女「ざんごー。あまったお布団で今作ったの」 男「…で?」 女「ただいまより、第一回マクラ投げ大会をおこないますっ!!」 男「………」 女「ルールは簡単、たくさんぶつけた方が勝ち!…5泊あるから五回戦までね?」 男「…毎晩やる気か」 女「で、勝った方が妹ちゃんをげっと!」 男「…妹が賞品って。俺にメリットないだろ」 女「いいから、やるのやらないの?」 男「………なぁ、ちなみにさ、お前の横に積んであるマクラはなんだ?」 女「部屋にあったマクラ」 男「…俺の部屋にはこれ一個しかないんだが」 女「物量の差は、いつの時代の戦いにもあるものよ?」 男「………今日疲れたし」 女「…試合放棄するなら、さっき私の浴衣姿に見とれてたこと妹ちゃんに言ってやる」 男「な、ななな?」 女「………………ほんとに見とれてたんだ」 男「!?」 女「…勝ったら………その、賞品、私がいい?」 男「!!!????」 女「………ふふっ…なんてねっ……えいっ!!えいえいっ!!」 男「うをっ」 女「男くんっ、もう戦いは始まってるんだよっ!!」 男「…ひ、ひきょうなっ」 女「リメンバー・ハ○ールハーバーっ!!」 男「逆だろっ」 男(………なんという不毛な戦い) 女(くぅ…手ごわい) 男「そりゃ!!」 女「えいっ!!」 男(ていうか…女コントロール悪すぎ) 女(…うぅ…いつの間にか男くんのとなりにマクラの山が………このままじゃ) 男「そりゃ!!」 女「くぅ~~これでもっ!!」 男(思いっきり投げれば、それだけ、コントロールが落ちるな…) 女(…まっすぐとばない~) 男「…って………お、おい」 女「っ!!…隙あり!!」 男「むほっ!?」 女「やたっ!命中!!」 男「…って、そうじゃなくてだな…その」 女「なに?命乞い?残念だけど、戦いは非情なのよっ」 男「その………胸元」 女「え?…むなも………と……………きゃっ!」 男「………少しは気にしてくれ」 女「…う、うん」 男「…じゃ、じゃあ、もう遅いし、明日、朝早いから」 女「…う、うん」 男「…おやすみ」 女「…う、うん………あ、あの」 男「ん?」 女「お、おやすみ」 男「…ああ」 妹(…ひつじさんがいっぴき…ひつじさんがにひき…) 妹(………いまごろ、お兄ちゃんたち…なにしてるんだろ…) 妹(…きっと、女さんがまた無意識にお兄ちゃんを誘惑してたり…) 妹(…京都の旅館だし…浴衣とか………ねむれない…) 妹「はぁっ………ダメ…ダメです…もっと前向きに…そう楽しい方に考えて…そうです…前向きです…」 妹(………お兄ちゃんがひとり…お兄ちゃんがふたり…) 妹(………………お兄ちゃんがふたりで………私を) 妹「…そ、そんなの…困りますっ…うんうんっ………えっと…そういうのはまだ早いですし…」 妹(…ねむれない………) 女「東大寺だよ!!」 男「…ああ」 女「おっきいお寺だね!!」 男「そうだな」 女「…いつのまに奈良に着いたんだろ」 男「さあな…」 女「鹿さん~」 男「………ほら」 女「こ、これはまさか!?」 男「しかせんべい」 女「…は、話によると、しかせんべいをあげると鹿さんはおじぎをするらしいよっ?」 男「あぁ、聞いたことある」 女「で、では…やってみます!!」 男「…ああ」 女「ねぇ…男くん」 男「…なんだ?」 女「礼儀作法って廃れていくものなのかな」 男「………」 女「あげようと思ったら、いきなり手に持ってるの全部とられた…」 男「…また買ってくるか?」 女「…もういい」 男「…そうか」 女「…あかいひとだ」 男「国宝だ」 女「あうん?」 男「あうん」 女「あ?」 男「うん」 女「…大仏さんってさ」 男「ん?」 女「ホントにあんな髪型してたのかな」 男「…さあな」 女「…この柱の穴をくぐると賢くなれるらしいよ?」 男「…修学旅行っぽいな」 女「うんっ…じゃ、じゃあ…やってみる」 男「………ああ」 女「んしょ………あれ?」 男「…おい」 女「…とおれない?」 男「………」 女「………たすけて」 男「………ああ」 女「さて、大仏はみたし~古墳は明日以降見るとして…そろそろ帰ろっか?」 男「そうだな」 女「あ」 女「っと言う間に、JR奈良駅です」 男「…JR言う必要あるのか?」 女「だって近鉄の奈良駅と間違えられたりしたら…」 男「何か困るのかそれで」 女「…電車がくるまでちょっと時間があるね」 男「そうだな」 女「おみやげ物屋さんとか見てみよ?」 男「わかった」 ゴゴゴゴゴゴゴ 男「?」 女「…どうしたの?男くん?」 男「いや…」 女「ねぇねぇ、これなんか妹ちゃんに似合うかも」 ゴゴゴゴゴゴ 男「…な」 女「え?」 ¢くん「………」 男「………これがあの」 ¢くん「………」 女「………」 女「………」 男「…なんだったんだ、いったい」 女「………」 男「…おい?」 女「!?…あ、やっぱり、こういう大人っぽいのよりこっちのやつのほうが妹ちゃん向きかな?」 男「…?」 女「そ、それとも、もうちょっと、意表をついて、ご当地キャラクタのキーホルダとか」 男「大丈夫か?」 女「な、なにが?なんでもないよ?ぜんぜん、怖くなかったよ?」 男「…そうか」 女「あ、ああのね、男くん」 男「ん?」 女「京都、明日からまわらない?」 男「いいけど…古墳は?石舞台は?」 女「………今回はあきらめる」 男「…そうか」 女「さ、夕ご飯行こ?」 男「ああ」 トントン 女「お、男くん?」 男「ん、なんだ?」 女「こっちの部屋来ない?」 男「………また、マクラ投げか?」 女「あ、うん…それでもいいけど」 男「…お前な、昨日」 女「あ、ダメ。やっぱりマクラ投げナシ」 男「………で?」 女「…お話したりとか?トランプもあるよ?」 男「俺は眠い」 女「…そう。ならいいっ!おやすみ!」 男「…あ、ああ」 男(…なんだ?今のは…怒って?) 男(………まぁ、いいか。明日になったら機嫌も直ってるだろ) 男「…寝るか」 男「………」 男(………寝れん) 男「む…」 ガチャ 男(…カギ閉めてなかったか………って、誰が?) 女「…男くん?ねちゃった?」 妹(…そ、そんな………やっぱり、その、最初は普通がいいよね…その、そういうのも、あの) 妹「で、でも、お兄ちゃんが、そういうのが好きなのでしたら………」 妹(…でも、恥ずかしいし………) 妹(………こんなえっちなことばっかり考えてたら…嫌われちゃうかな…) 男「…いや、まだ起きてる」 女「そっか…よかった…あ、あのね、となりいい?」 男「………なにが?」 女「…その、となりで寝てもいい?」 男「………………なにが?」 女「あ、あのね、向こうの部屋、その広くって…一人でいるとその…怖くて」 男「…昨日は大丈夫だっただろ」 女「だって、今日、あれが…その………寝てる間に窓からとか考えただけで」 男「………お前な」 女「だ、だってぇ」 男「だいたい…この部屋にもう一組布団しけるスペースなんて」 女「…うん、マクラだけ持ってきた」 男「………いや、あのな」 女「…めいわく?私がそばにいるのは」 男「そういう言い方は」 女「きらい?」 男「………」 女「…言わなくていいから、嫌いだったら追い出して」 男「………お前な」 女「…ごめんね。やっぱり、私、自分に自信とか持てないし…」 男「………」 女「その、となり…行くね」 女「…ん」 男「………」 女「やっぱり、ちょっと狭いね」 男「…ああ」 女「ちょっと動くと触れちゃうね」 男「………ああ」 女「…男くん」 男「ん?」 女「背中、さわってもいい?」 男「…かってにしろ」 女「うん…」 男「………」 女「…男くんの背中、安心する」 男「…そうか」 女「…お父さんって、こういう感じなのかな」 男「…知らん」 女「…ねむくなってきた」 男「だったら、寝ろ」 女「…うん、おやすみ、男くん………ごめんね」 男「…ああ」 男(…女、寝たか?) 女「ZzzZzz」 男(………よっと………ようやく寝返りがうて) 女「ZzzZzz」 男(…また、なんて格好で……浴衣はだけてるし…相変わらず、寝相悪いな…) 女「ZzzZzzZzz」 男「…俺も一応というか、普通にオトコなんだが」 女「ZzzZzzZzz」 男「………」 女「ZzzZzzZzz」 男(はぁっ…オトコ相手に『安心』とかするなよな………) 女「ZzzZzzZzz」 男「…おやすみ」 女「………んぅ?」 男「ZzzZzzZzz」 女(…!?……なんで抱きしめられてるの?…ていうか、これって男くん夜這い?) 男「ZzzZzzZzz」 女(………………あ、夜這いしたの私だった) 男「ZzzZzzZzz」 女(…よく寝てる………男くん抱きグセがあるのかな?………全然取れない…こないだはそんなことなかったのに) 男「ZzzZzzZzz」 女「………我慢してくれてるんだよね…私のせい」 男「ZzzZzzZzz」 女「………ごめんね」 男「ZzzZzzZzz」 女「ね…もっと、ぎゅってしてくれないかな?」 男「ZzzZzzZzz」 女「してくれないなら、私がしてもいい?」 男「ZzzZzzZzz」 女「…ごめんね」 …朝起きると、掛け布団を丸くして抱いていることがよくある。 わりと小さい頃からある癖らしい。 その朝に抱いていたのは布団ではなく、自分のいちばん好きな人だった。 彼女は既に目を覚ましていて、こっちを見ていた。 『おはよ』 彼女の声。高めのアルト。心地よい音。 彼女の手が背中に回っていた。 …一方的に抱きしめているのではなく、抱き合っていた。 彼女が目を閉じて、唇をつきだす。 自然に、それが日常であるかのように、俺は自分のそれを重ねていた。
基本的に本文コピペ。 ---- 妹「…修学旅行?」 男「ああ」 女「うん。五泊六日の京都奈良な古都探検」 妹「…しゅうがくりょこう?」 女「うんうん」 妹「………栞の27ページから各班の名簿があるんですけど」 女「あ…男くんといっしょの班だから?…やきもち?」 男「………」 妹「…いっしょの班とか、そういう問題じゃなくて」 女「なくて?」 妹「な、なんでっ!なんで京都奈良に五泊六日も“二人っきり”なんですかっ!!」 女「…あーそれはねぇ」 男「ウチの学校が修学旅行の行き先を自分達で選べるのは知ってるな」 妹「…はい」 男「今年は、北京・シドニー・苫小牧・京都奈良の四択だったんだ」 女「でね、みんなオリンピックがどーのこーので抗議の意味を込めてシドニー…っていう人がたくさんいて」 男「…京都奈良を選んだのが、俺たち二人だったと」 女「いちばん多かったのは苫小牧だったけどね~」 妹「………だいたい引率の先生も無しって」 女「…なんか、海外に行きたいんだって」 男「二人くらいなら、国内だし大した問題も起こさないだろう…と。  それより北京を希望する生徒をいろんな意味で引率する必要がある…と」 妹「だ、大問題じゃないですかっ!!…そ、そんな男女で二人きりで」 女「あ、部屋は別だし。大丈夫だよっ…心配しなくても」 妹「そ、それでもですね」 女「ただ、昼に古都ぶらぶらして、夜にマクラ投げするだけだよ?」 男「…二人でするのか?」 女「うんっ!西部劇みたいにこう…構えて」 妹「私も行きますっ!」 男「それはダメだ」 妹「………お兄ちゃんにとって、わ、私は…」 男「…そういう意味じゃなくて」 妹「だったらっ」 男「…平日は授業があるだろう」 妹「うぅ…」 女「妹ちゃんも来たらいいのに~。サボっちゃえば?」 妹「………あ、あの、お兄ちゃ」 男「ダメだ」 女「うぅ…」 女「わわ…新幹線だよっ!!男くんっ!!」 男「そうだな」 女「やっぱり、新幹線って初めて!!」 男「…それじゃないからな。今から乗るのは」 女「わ、わかってるって………こだまだっけ?」 男「…のぞみだ」 女「………で、でもさ、こだまの方が瞳がつぶらでかわいいし」 男「…なにが」 女「せっかくだし、こだまで…じゆうせきで………しかも座れなくて、2時間以上ずっと立って」 男「お前は、新幹線に何を求めているんだ…」 女「京都だよっ!!」 男「ああ」 女「さっすが速いねすごいね新幹線っ!!」 男「ああ」 女「って、あれ京都タワー?京都タワー?」 男「…たぶん」 女「京都タワー…って、あのてっぺんにうさんくさい手相見る機械が合ったり  地下にお風呂までついてるあの京都タワー?!すごいね!新幹線っ!!」 男「…なんで、そんなテンションなんだ」 女「楽しみだなぁ、帰りの新幹線…こんど妹ちゃんといっしょに乗ろうっと」 男「…とりあえず、ホテルに行かないとな」 女「…ホテル?」 男「ん?…ああ、ホテル・ザ・キャッスル・ゲートっていうところらしい」 女「そ、そんなっ」 男「?」 女「ふ、ふつう、京都で泊まるところって行ったら旅館じゃないの!?」 男「…そんなこと俺に言われてもな」 女「趣とか大事にしないと!古きよき日本の伝統文化の色が強く残ってる京都に何のために来たのか…」 男「…さっきまで、新幹線新幹線言ってたやつに言われたくない」 女「…なんかさ」 男「…ああ」 女「こういう風に、入り口に『高校ご一行様』って書かれるの今まで普通だと思ってたけど」 男「………」 女「ちょっと違和感」 男「…そうだな」 「はい。修学旅行でご予約の………2名様?」 男「…そうです」 「………301号室と302号室です」 男「はい…」 男「三階らしい…」 女「あ、うん」 男「………すごい不審な目で見られた」 女「…ま、まぁ、気にしない気にしない~」 妹(…お兄ちゃんたちは、そろそろむこうに着いたころかな) 妹(はぁ…やっぱりムリにでもついて行くんだったなぁ) 妹(でも、お兄ちゃんは………女さんと二人きりでいたいだろうし) 妹「…はぁ」 先生「私の授業でため息とはいい度胸ね…聞いてなかったんでしょ?  私の授業なんて全然聞いてなかったんでしょ!?どうせ私の授業なんて  そこらのカリスマ塾講師と比べたら大して受験対策になんてならないし  上の空で聞いてたって、定期テストは適当にやれば解けるし…とか思ってるんでしょ!!」 妹「え?そ、そんなことは」 先生「じゃあ、今、私が言った問題を言ってみてよっ!!」 妹「ヨーロッパにおいて封建社会の崩壊後に成立された国際法。  この成立に大きく寄与したオランダの法学者は誰か?です」 先生「………」 妹「…いちおう、答えはグロチウスです」 先生「………」 妹(…京都は遠いなぁ。今夜は家で一人かぁ) 先生「…こ、これで勝ったと思わないでよっ!!」 妹「………はぁっ」 先生「くぅぅぅぅぅぅっ!」 男(えっと…305…303…) 女「…あ」 男「ここか…」 女「私、こっち?」 男「ああ」 女「じゃ、とりあえず、荷物片付けてから、明日の予定とか考えたりしよ?」 男「わかった」 ガチャ 女「わ…広い。ちゃんと和室なんだ………修学旅行用なのかな?」 女「…うわぁ、中庭が見れるんだぁ………きれいだなぁ」 女「枕もいっぱいあるし…」 女「…広いなぁ」 ガチャ 男「………なんだこの部屋………4畳半?………」 男「…?………窓なし?」 男「…寝具は一揃いあるか」 男「………狭い、な」 トントン 女「男くん?」 男「ああ…開いてる」 女「わ………その、なんていうか、狭いね…」 男「…女の部屋は違うのか?」 女「うん。すっごく広いよ?」 男「………」 女「テレビもあるし」 男「…そうか」 女「ここ狭いし、机ないし、私の部屋で予定決めよ」 男「………そうだな」 男「明日と明後日奈良で…」 女「あとは京都を満喫かなー」 男「いいんじゃないか?」 女「うん」 男「…今日はどうする?」 女「時間も無いし…お土産屋さんとかちょっと見てみる?ほら、京都タワーのトコの」 男「………わかった」 女「男くんっ!ほらっ」 男「…木刀?」 女「うんうんっ」 男「………そんなの京都土産じゃなくても」 女「でもさ、京都の木刀ってよく切れそうじゃない?」 男「木刀は切れん」 女「…妹ちゃんに」 男「お前は、妹に何をさせる気なんだ…」 女「…なまやつはし」 男「………おい」 店員「ご試食どうぞー」 女「わぁい!………うんっ!やっぱりやつはしはナマだねっ!!」 男「…おい」 女「24個入りのください!!」 店員「はいはーい」 男「…土産なら、最終日に買えばいいだろ」 女「ううん。これは今夜のおやつ」 男「………」 女「あ、男くんの分もいるよね?…店員さんっ!もう一」 男「…べつにいい」 女「そう?おいしいのに…」 女「わ…きれい…」 男「………西陣織か」 女「うん。…こんなの着てみたいな」 男「………」 女「なんてね…どうせ似合わないだろうし、妹ちゃんに着せたいなー」 男「…そうか」 女「うんうんっ!十二単とか着せたりして」 男「………似合わないことはないんじゃないか?」 女「…なんかムリヤリ言わせたみたい」 男「…そうでもないが」 女「そっか………ありがとね」 男「…べつに」 女「…おなかすいたかも」 男「………朝飯・夕飯は広間に行くらしい」 女「ふぅん…京都のお料理ってどんなのだろうねぇ」 男「…さあ?」 女「おいしかったねー」 男「ああ、そうだな…」 女「このスレってもの食べるシーンあんまりないよね。お泊りのときも省いたし」 男「ああ、そうだな…」 女「なんでだろうねー」 男「ああ、そうだな…」 トントン 女「男くんっ」 男「…ああ」 女「お風呂いこー」 男「…べつに一緒に行くこともないだろ」 女「だって、そこはほら修学旅行だし」 男「いや、風呂場は男女別だろ?」 女「混浴とかないみたいだしねぇ…あ、でも家族風呂はあるらしいよ?」 男「………」 女「えへっ…冗談だよっ」 男「…当たり前だ」 女「と、いうわけで、おふろにゴー!」 男「どういうわけだ…」 女「じゃ、先におふろ上がったら、ここで待ってるっていうことで」 男「わかった」 男「…ふぅ………広い風呂はいいな………」 男(………ヒノキか………いいな…) 男「…ふぅ………」 男(………露天もあるのか…打たせ湯も外か………) 男「………」 男(…そろそろ上がるか………女は、けっこう風呂長い方だったか…) 男「さて…」 男(………浴衣か。…帯ってどうやって結ぶんだ?………適当でいいか) 男(…さて、牛乳でも飲んで、女を待つか) 女「男くんっ」 男「ん?………早いな」 女「うん。男くん待たせちゃ悪いかなーとか思ってたら、男くんより早かった」 男「………わるい」 女「ねね?見て見てっ…ゆかた、ほらウサギさんっ」 男「………ああ」 女「かわいいよねぇ…ピンクだし~」 男「………ああ」 女「あ、男くん、帯の結び方変だよ?…直してあげる」 男「………ああ」 女「…?」 男「………」 女「………なおしてあげるって」 男「………ああ」 女「なんで近づいたら離れるの?」 男「………なんでだろうな」 女「…むー」 トントントン 女「男くんっ!」 男「…なんだ?」 女「マクラ持って、すぐ部屋に来て!!」 男「………なんで」 女「いいから早くっ!」 男「………」 トントン 男「…入るぞ」 女「うん…」 男「………なんだこれは?」 女「ざんごー。あまったお布団で今作ったの」 男「…で?」 女「ただいまより、第一回マクラ投げ大会をおこないますっ!!」 男「………」 女「ルールは簡単、たくさんぶつけた方が勝ち!…5泊あるから五回戦までね?」 男「…毎晩やる気か」 女「で、勝った方が妹ちゃんをげっと!」 男「…妹が賞品って。俺にメリットないだろ」 女「いいから、やるのやらないの?」 男「………なぁ、ちなみにさ、お前の横に積んであるマクラはなんだ?」 女「部屋にあったマクラ」 男「…俺の部屋にはこれ一個しかないんだが」 女「物量の差は、いつの時代の戦いにもあるものよ?」 男「………今日疲れたし」 女「…試合放棄するなら、さっき私の浴衣姿に見とれてたこと妹ちゃんに言ってやる」 男「な、ななな?」 女「………………ほんとに見とれてたんだ」 男「!?」 女「…勝ったら………その、賞品、私がいい?」 男「!!!????」 女「………ふふっ…なんてねっ……えいっ!!えいえいっ!!」 男「うをっ」 女「男くんっ、もう戦いは始まってるんだよっ!!」 男「…ひ、ひきょうなっ」 女「リメンバー・ハ○ールハーバーっ!!」 男「逆だろっ」 男(………なんという不毛な戦い) 女(くぅ…手ごわい) 男「そりゃ!!」 女「えいっ!!」 男(ていうか…女コントロール悪すぎ) 女(…うぅ…いつの間にか男くんのとなりにマクラの山が………このままじゃ) 男「そりゃ!!」 女「くぅ~~これでもっ!!」 男(思いっきり投げれば、それだけ、コントロールが落ちるな…) 女(…まっすぐとばない~) 男「…って………お、おい」 女「っ!!…隙あり!!」 男「むほっ!?」 女「やたっ!命中!!」 男「…って、そうじゃなくてだな…その」 女「なに?命乞い?残念だけど、戦いは非情なのよっ」 男「その………胸元」 女「え?…むなも………と……………きゃっ!」 男「………少しは気にしてくれ」 女「…う、うん」 男「…じゃ、じゃあ、もう遅いし、明日、朝早いから」 女「…う、うん」 男「…おやすみ」 女「…う、うん………あ、あの」 男「ん?」 女「お、おやすみ」 男「…ああ」 妹(…ひつじさんがいっぴき…ひつじさんがにひき…) 妹(………いまごろ、お兄ちゃんたち…なにしてるんだろ…) 妹(…きっと、女さんがまた無意識にお兄ちゃんを誘惑してたり…) 妹(…京都の旅館だし…浴衣とか………ねむれない…) 妹「はぁっ………ダメ…ダメです…もっと前向きに…そう楽しい方に考えて…そうです…前向きです…」 妹(………お兄ちゃんがひとり…お兄ちゃんがふたり…) 妹(………………お兄ちゃんがふたりで………私を) 妹「…そ、そんなの…困りますっ…うんうんっ………えっと…そういうのはまだ早いですし…」 妹(…ねむれない………) 女「東大寺だよ!!」 男「…ああ」 女「おっきいお寺だね!!」 男「そうだな」 女「…いつのまに奈良に着いたんだろ」 男「さあな…」 女「鹿さん~」 男「………ほら」 女「こ、これはまさか!?」 男「しかせんべい」 女「…は、話によると、しかせんべいをあげると鹿さんはおじぎをするらしいよっ?」 男「あぁ、聞いたことある」 女「で、では…やってみます!!」 男「…ああ」 女「ねぇ…男くん」 男「…なんだ?」 女「礼儀作法って廃れていくものなのかな」 男「………」 女「あげようと思ったら、いきなり手に持ってるの全部とられた…」 男「…また買ってくるか?」 女「…もういい」 男「…そうか」 女「…あかいひとだ」 男「国宝だ」 女「あうん?」 男「あうん」 女「あ?」 男「うん」 女「…大仏さんってさ」 男「ん?」 女「ホントにあんな髪型してたのかな」 男「…さあな」 女「…この柱の穴をくぐると賢くなれるらしいよ?」 男「…修学旅行っぽいな」 女「うんっ…じゃ、じゃあ…やってみる」 男「………ああ」 女「んしょ………あれ?」 男「…おい」 女「…とおれない?」 男「………」 女「………たすけて」 男「………ああ」 女「さて、大仏はみたし~古墳は明日以降見るとして…そろそろ帰ろっか?」 男「そうだな」 女「あ」 女「っと言う間に、JR奈良駅です」 男「…JR言う必要あるのか?」 女「だって近鉄の奈良駅と間違えられたりしたら…」 男「何か困るのかそれで」 女「…電車がくるまでちょっと時間があるね」 男「そうだな」 女「おみやげ物屋さんとか見てみよ?」 男「わかった」 ゴゴゴゴゴゴゴ 男「?」 女「…どうしたの?男くん?」 男「いや…」 女「ねぇねぇ、これなんか妹ちゃんに似合うかも」 ゴゴゴゴゴゴ 男「…な」 女「え?」 ¢くん「………」 男「………これがあの」 ¢くん「………」 女「………」 女「………」 男「…なんだったんだ、いったい」 女「………」 男「…おい?」 女「!?…あ、やっぱり、こういう大人っぽいのよりこっちのやつのほうが妹ちゃん向きかな?」 男「…?」 女「そ、それとも、もうちょっと、意表をついて、ご当地キャラクタのキーホルダとか」 男「大丈夫か?」 女「な、なにが?なんでもないよ?ぜんぜん、怖くなかったよ?」 男「…そうか」 女「あ、ああのね、男くん」 男「ん?」 女「京都、明日からまわらない?」 男「いいけど…古墳は?石舞台は?」 女「………今回はあきらめる」 男「…そうか」 女「さ、夕ご飯行こ?」 男「ああ」 トントン 女「お、男くん?」 男「ん、なんだ?」 女「こっちの部屋来ない?」 男「………また、マクラ投げか?」 女「あ、うん…それでもいいけど」 男「…お前な、昨日」 女「あ、ダメ。やっぱりマクラ投げナシ」 男「………で?」 女「…お話したりとか?トランプもあるよ?」 男「俺は眠い」 女「…そう。ならいいっ!おやすみ!」 男「…あ、ああ」 男(…なんだ?今のは…怒って?) 男(………まぁ、いいか。明日になったら機嫌も直ってるだろ) 男「…寝るか」 男「………」 男(………寝れん) 男「む…」 ガチャ 男(…カギ閉めてなかったか………って、誰が?) 女「…男くん?ねちゃった?」 妹(…そ、そんな………やっぱり、その、最初は普通がいいよね…その、そういうのも、あの) 妹「で、でも、お兄ちゃんが、そういうのが好きなのでしたら………」 妹(…でも、恥ずかしいし………) 妹(………こんなえっちなことばっかり考えてたら…嫌われちゃうかな…) 男「…いや、まだ起きてる」 女「そっか…よかった…あ、あのね、となりいい?」 男「………なにが?」 女「…その、となりで寝てもいい?」 男「………………なにが?」 女「あ、あのね、向こうの部屋、その広くって…一人でいるとその…怖くて」 男「…昨日は大丈夫だっただろ」 女「だって、今日、あれが…その………寝てる間に窓からとか考えただけで」 男「………お前な」 女「だ、だってぇ」 男「だいたい…この部屋にもう一組布団しけるスペースなんて」 女「…うん、マクラだけ持ってきた」 男「………いや、あのな」 女「…めいわく?私がそばにいるのは」 男「そういう言い方は」 女「きらい?」 男「………」 女「…言わなくていいから、嫌いだったら追い出して」 男「………お前な」 女「…ごめんね。やっぱり、私、自分に自信とか持てないし…」 男「………」 女「その、となり…行くね」 女「…ん」 男「………」 女「やっぱり、ちょっと狭いね」 男「…ああ」 女「ちょっと動くと触れちゃうね」 男「………ああ」 女「…男くん」 男「ん?」 女「背中、さわってもいい?」 男「…かってにしろ」 女「うん…」 男「………」 女「…男くんの背中、安心する」 男「…そうか」 女「…お父さんって、こういう感じなのかな」 男「…知らん」 女「…ねむくなってきた」 男「だったら、寝ろ」 女「…うん、おやすみ、男くん………ごめんね」 男「…ああ」 男(…女、寝たか?) 女「ZzzZzz」 男(………よっと………ようやく寝返りがうて) 女「ZzzZzz」 男(…また、なんて格好で……浴衣はだけてるし…相変わらず、寝相悪いな…) 女「ZzzZzzZzz」 男「…俺も一応というか、普通にオトコなんだが」 女「ZzzZzzZzz」 男「………」 女「ZzzZzzZzz」 男(はぁっ…オトコ相手に『安心』とかするなよな………) 女「ZzzZzzZzz」 男「…おやすみ」 女「………んぅ?」 男「ZzzZzzZzz」 女(…!?……なんで抱きしめられてるの?…ていうか、これって男くん夜這い?) 男「ZzzZzzZzz」 女(………………あ、夜這いしたの私だった) 男「ZzzZzzZzz」 女(…よく寝てる………男くん抱きグセがあるのかな?………全然取れない…こないだはそんなことなかったのに) 男「ZzzZzzZzz」 女「………我慢してくれてるんだよね…私のせい」 男「ZzzZzzZzz」 女「………ごめんね」 男「ZzzZzzZzz」 女「ね…もっと、ぎゅってしてくれないかな?」 男「ZzzZzzZzz」 女「してくれないなら、私がしてもいい?」 男「ZzzZzzZzz」 女「…ごめんね」 …朝起きると、掛け布団を丸くして抱いていることがよくある。 わりと小さい頃からある癖らしい。 その朝に抱いていたのは布団ではなく、自分のいちばん好きな人だった。 彼女は既に目を覚ましていて、こっちを見ていた。 『おはよ』 彼女の声。高めのアルト。心地よい音。 彼女の手が背中に回っていた。 …一方的に抱きしめているのではなく、抱き合っていた。 彼女が目を閉じて、唇をつきだす。 自然に、それが日常であるかのように、俺は自分のそれを重ねていた。 ----

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