ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 見かけによらない

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 有栖学園の女性教員の一人が、とある事で真剣に悩んでいた。
 それは、生徒の事についてである。
 自分が受け持つクラスで、一人の女子生徒が登校拒否になってしまったのだ。
 何度か、その女子生徒の家に赴いたが、良い反応は得られなかった。
 多分、その女子生徒の家を出た時の表情は、苦虫を潰した様な顔だと思う。
 生徒の力になれない、なんて無様で無力。
 力になりたいのになれない。
 歯をかみ締め、清々しい青い空を見上げて睨む事しかできなかった。

 何時もの朝。何時もの様に出勤。
 何時もの様に朝の会議を済ませ。
 何時もの様に自分が受け持つクラスへ行きSHRをする。
 SHR中、私は生徒たちをドコと無く見る。
 SHR中に、その女子生徒が登校拒否になった事を告げる。
 クラス全体から同様する様が見え、クラス全体から「どうしたんだ?」「なぜ?」
 等の小さな声が聞こえる。
 ……このクラスが原因ではない……
 頭の隅でそう呟いた。

 一日中考えていた。
 授業の時も生徒たちに、物事を教えながら。
 職員室で、授業の準備をしながら。
 職員室で、同僚たちと話をしながら。
 廊下で、歩きながら。
 お昼休みに、お昼ご飯を食べながら。
 帰りのSHRの時も……
 またあの女子生徒の家に赴くときも……
 一日中考えていた。

 しかし、考えはまとまらないし答えも出ない。
 出たとしてもそれは、不確定な答えでありただの予測でしかない。
 本当の答えは、登校拒否をした当事者である女子生徒しか知らない。
 苛々する。自分が、無力で無様な事に
 二度目の訪問。女子生徒とは会えなかった。
 女子生徒の母親も困った顔をしていた。母親も原因がわからないらしい。
 表面上は笑顔を浮かべ、女子生徒の母親と話をしているが……
 丁度、女子生徒の母親から死角になる場所で私は、手をきつく握った

 自室に篭っている女子生徒へ扉越しに「またくるから」と伝えた後。
 私は、女子生徒の家を後にした。
 ふと、手が痛い事に気がつく。
 握り締めていた手から、紅い水が流れていた。
 どうやら、きつく握り締めすぎて爪が皮膚を裂いていた様だ。
 痛いなぁ……だけど……こんな痛みより……
 私は、黄昏色に染まる空を見てまた歯をかみ締めた。

 幾つかの日が経過した。
 相変わらず登校拒否している女子生徒。
 毎日欠かさず女子生徒の家に訪れ、毎回毎回同じように「またくるから」と扉越しに告げて帰る。
 もう来ないでください。と、何度言われた事だろうか?
 だけど、私はよく言うタチが悪いタイプで、来ないでください。と、言われて行かない訳がない。
 何度も何度も何度も訪れては帰り。訪れては帰る。
 相変わらず登校拒否をしている女子生徒は、もう来ないでくださいと言った。
 力になれない自分が悔しい。

 幾つかの日が経過した。
 学園の屋上で、珍しく弁当を食べていたら数人の女子生徒が入ってくるのが見えた。
 何故かわからないけど、私は物陰に隠れてしまった。
 なぜだろう? でも、今思えばそれが正解だった。
 数人の女子生徒たちの会話を物陰で聞いていた。
 他愛のない雑談だったが、ふと話が変わった。
 「そういえば、アイツ登校拒否してるよねぇ~」
 「そうそう、退学しちゃえばいいのに」
 「んならさ、古風に不幸の手紙なーんて送ってみない?」
 「はははは! それ古い! 本当に古いって!!」

 ………気がついたら、私はその女子生徒たちの前に立っていた。
 何故か、その女子生徒たちは私の顔を見て一瞬で青ざめていた。
 その時、私はただ「ワラッテイタ」だけなのだが………

 『率直に言えば、地獄の死神も裸足で逃げ出すほど怖かった。
  もう二度とあのワラッタ顔は見たくない。
  もう二度と思い出したくない。
  怖い。怖い怖い怖いコワイコワイコワイコワイ………… 』
                とある女子高生の日記参照

 幾つかの日が経過して、やっと登校拒否をしていた女子生徒が登校した。
 その日一日は、校長に許可を貰って皆で復帰のお祝いをした。
 その登校拒否をしていた女子生徒は、泣いていた。
 そんな女子生徒の背中をさすってあげた。
 よかった。
 クラスの皆が騒ぐ中、私は騒ぎの端にいて終始笑顔だった。
 ふと、登校拒否をしていた女子生徒が私の所まで来てこう言った。
 「雛苺先生って、見かけによらない。を素で行きますね」
 その言葉に、私は小さく笑い声を漏らしてしまった。


 終わり。