ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 形容詞 -Adjektiv-

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―――夜。それは私が「教師」ではなく「水銀燈」として生きる時間。
ベッドに横たわる私は、いつもの私らしくも無く学校での出来事を思い出していた……。


『いい事思いついた。明日生徒に教師全員の人気投票して、一位だった人に給料ボーナスね』


あの校長がこんな事を言ったのが今日の帰り際。
職員室で全員が固まっていたことは記憶に新しい。
あまりのショックに雪華綺晶も食べ物を落としそうになる始末。
そりゃ誰だってショック受けるわよね。雛苺も苺大福持ってポカーンとしてたし。
……いや、それはいいのよ。そんなのはどうでもいいのよ。


問題は私が一位になれるか。


私のこの魅力は今更自慢する事でもない。
けれどそれだけで果たして今の自分は頂点に立てるのか。

蒼星石は男女ともに人気だし、悔しいけど真紅もカリスマ性がある。
薔薇水晶だってあの守って下さいオーラが生徒には眩しいはず。
雪華綺晶はあの射撃部という強力なバックがある。
金糸雀はきっと多種多様な部員の票を受け取るはず。
翠星石はあのツンデレが一部の人にはきっと人気なのかもしれない。
雛苺も薔薇水晶と似たようなもので、こう……母性を疼かせると言うか。

……いや、何を弱気になっているのよ私は。
落ち着きなさい。そうよ、私を誰だと思っているの? 水銀燈よ?
そんなレベルの障害なんて簡単に跳ね除けられる。
そう、私は水銀燈……最も素晴らしい教師なのよ。
大丈夫、絶対に大丈夫。大丈夫だから休日のショッピングは安泰よ。
あのブランドのバッグは私のものよ。そう、大丈夫。

……私は最も美しく素晴らしい教師。
さぁ皆、私を見て! 私に投票をして私を頂点に立たせて頂戴!


真紅よりも聡明で
雛苺よりも愛らしく
蒼星石よりも知的で
翠星石よりも気高くて
雪華綺晶よりも強く
薔薇水晶よりも勤勉で
金糸雀よりも……金糸雀より、も……。


金糸雀より……何?
ん? 金糸雀? 金糸雀より……私は何?
賢い? いや、あの子はドジっ子よ。じゃあ普通に「金糸雀よりドジっ子」?
……いや、いやいやいや馬鹿みたいじゃないそれじゃ。
金糸雀は一体何なの……? ってのも失礼な話だけど。

……もぉ。何だかスッキリしないじゃない。


私はベッドから体を起こして冷蔵庫に向かい、ヤクルトを取った。そして一気に飲み干す。
そのまま空の容器を捨てて再びベッドに横になった。私のこの銀色の脳細胞で金糸雀の見事な形容詞を思い浮かべる為に。
いや、形容詞って言うか褒め言葉なんだけど。

……って、何で他人の褒め言葉を私は必死に考えているの?
何だか馬鹿馬鹿しくなってきた。そうよ、どうでも良いのよ! よし、もう寝よう。


……。

………。

…………。

……………。


ああもぅ! 眠れない!
そうよ! なまじ六人分をパッパと思いついたからあと一人分が気になっちゃうのよ!
ああもう私のお馬鹿さぁん! こうなったらとことん考えてあげるわよぉ!

うん、金糸雀はそうねぇ。部活とかいっぱい顧問やってるし……「経験豊富」?
いや、あれは経験じゃ無くて自分が好きでやってるというか……でも例えばあの子は楽器出来るし……。
そういえば何であの子あんなに部活持ってるのよ。ってああもうまた疑問が増えたぁ!
じゃ、じゃあ……「愛嬌」とか? って、雛苺と被ってるじゃない! 「策士」って程でもないし……。
あ、「ズル」? って、最悪のイメージじゃない。何で自分で落としてるのよ、イメージを。
じゃ、じゃあ「自慢げ」……も普通にマイナスだし、うぅーん……やっぱり一番それっぽいのは「策士」?

ちょっと一回通してみよう。



……私は最も美しく素晴らしい教師。
さぁ皆、私を見て! 私に投票をして私を頂点に立たせて頂戴!

真紅よりも聡明で
雛苺よりも愛らしく
蒼星石よりも知的で
翠星石よりも気高くて
雪華綺晶よりも強く
薔薇水晶よりも勤勉で
金糸雀よりも策士……。



わぁお。

いや、本当「わぁお」よ。ここまでしっくりこないなんて。どうするのよこれ。
「策士」の線は無しね。だってこんな駄目駄目だとは思わなかったしぃ……。
ああ、もうどうするのよこれぇ……。

結局私は中々寝付けず、更には金糸雀の形容詞なんて全く思い浮かばなかった。
今度からあの子にもちょっと目を向けてみよう……うん、なんだか悔しいしぃ……。






因みに、一位は蒼星石だった。