ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 同属亜種

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お題 『学園に二~三歳の男の子が紛れ込んだ。薔薇乙女たちは、誰かの隠し子ではないかと疑い、お互いの腹を探り合う。』

翠星石「ええい!泣くな!泣くなですぅ!!蒼星石ぃ…こいつ、どうにかしやがれですぅ…!!」
蒼星石「そ、そんな事…僕に言われても…」
?「びぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ある日の朝、職員室ではいつものように、教師たちのにぎやかな声が響いていた。
そんな声を聞きながら、遅れてやってきた水銀燈は誰に言うでもなくこう呟いた。
水銀燈「うるさいわね…。何で、あの子達は朝からあんなに元気なのよ…」
そんなに元気があるのなら、保健体育の担当も替わってくれればいいのに…と、自分に都合のいいことばかりを考えながら、職員室の前を通り過ぎようとする。
ここをまっすぐ行けば、彼女の『別宅』…つまり保健室がある。
いつもは皆に挨拶などせずに、そこへ直行する彼女だったが、今回は少し様子が違った。
職員室の中に、『見慣れないもの』がいたからである。
水銀燈「…夕べ、飲み過ぎたかしら…」
そう言いながら、思わず目をこすり、彼女はもう一度職員室の中を覗き込む。
…そこには、2歳ぐらいの男の子を抱いた、翠星石の姿があった。


水銀燈「え…?翠…え…嘘…よね!?」
思わず声を震わせながら、彼女は翠星石にそう質問する。
これに対し、翠星石は顔を赤らめながら、こう反論した。
翠星石「な、何を勘違いしてるですか!?翠星石は何もしてないですぅ!!勝手に、校舎内に迷い込んできやがったんですぅ!!」
水銀燈「ほ、ホントに…?」
思わず、素直にそう聞き返す彼女に、皆は「うん」と首を縦に振る。
その反応に、彼女は「なぁんだ、つまんないの…」と呟くと、指で男の子の頬をつつき始めた。
それを見て、翠星石は男の子を彼女に押し付け、こう言った。
翠星石「ほれ、そんなに珍しいのならくれてやるですぅ!うるせーから、早く泣き止ませやがれですぅ!」
その言葉に、彼女は男の子の首根っこをひょいと片手で掴みあげ、しげしげとそれを見つめながらこう言った。


水銀燈「ふぅん…。これが…ねぇ…」
どうやら、彼女はこの男の子に興味を持ったようで、「お前も1人なの?」などと語りかけながら、じっとその顔を見つめ続けた。
一方、男の子のほうも彼女に興味を持ったようで、同じようにしげしげと彼女の顔を見続けている。
そんな2人を見て、真紅は彼女にこう忠告した。
真紅「…まあ、泣き止んだのはいい事だけど、持つのならちゃんと抱っこしてあげなさいよ。可哀相でしょう?」
水銀燈「どう持とうが、私の勝手でしょう?ほら、もういらないから返…」
真紅「いいから、ほら…こうやってお尻の下に手を当てて…あら、なかなか様になってるじゃない。」
翠星石「ホント…まるで、夫を保険金目当てで殺した未亡人みたいで…きゃうっ!!何するですか!?」
水銀燈「一言余計なのよ…。ま…この分だと、親が引き取りにくるまで誰かが面倒見なきゃいけないみたいねぇ…」
そう言うと、彼女は辺りをキョロキョロと見回し、こう続けた。
水銀燈「ほら…この猿みたいな顔、真紅にそっくりだしぃ…あなたが責任を持って育てなさぁい♪」
そう言うと、彼女は男の子を地面に降ろし、真紅のほうへ押しやる。
しかし次の瞬間、彼は泣きながら水銀燈の所へ戻ってきた。
水銀燈「え…?」
真紅「…決まりね。」
薔薇水晶「うん…。じゃあ、そろそろ授業に…」
水銀燈「ちょっと!変な噂が立ったらどうするのよぉ!?こんなのいらないわぁ!!」
真紅「いいじゃない。その子もあなたのことが好きみたいだし、学校から出さえしなければ、変な噂も立たないはずよ。…あなたも授業に集中できるだろうし、一石二鳥だわ。」
そういうと、真紅たちはぞろぞろとそれぞれの教室へと向かっていく。
一方、職員室に取り残された水銀燈は、男の子に向かってこう質問した。
水銀燈「どうするぅ…?お前も出てみるぅ?」
その問いに、男の子は「おんも?おんも?」とだけ呟いた。


男子A「あ!水銀燈先生、おはようござ…」
1時間目の保健の時間…普段来るはずの無い先生の登場に、教室のドアの前にいた生徒は少し驚きながらそう挨拶をした。
しかし、この日はそれ以上に『あるはずの無いもの』を彼女が抱えていたことに、彼は言葉を失ってしまう。
そして戸惑いを隠せぬまま、彼はこう質問した。
男子A「ま、まさか先生の…」
その言葉を全て言い終わるよりも早く、水銀燈は彼の腹部めがけて回し蹴りを叩き込んだ。
彼女の思わぬ一撃に、その男子生徒は「グエッ!?」と声にならない声を上げて、その場に倒れこむ。
彼女は、そんな不幸な男子生徒の体に片足を乗せ、皆を睨みつけながらこう言った。
水銀燈「今見たようにぃ…私に対して失礼なこと言うお馬鹿さんは、例外なくこうなるわぁ…。無論、変な噂を広めようものなら…どうなるか分かってるでしょうね!?」
その言葉に、生徒たちの顔に畏怖が翳りを広げていく。
だが、それも長くは続かなかった。教室中に、妙な臭いが充満したからである。
最初にその異変に気がついたのは、他でもない水銀燈だった
水銀燈「…何?この臭い…それに、この感触…!まさか…!!」
そう言うと、彼女は男の子を高くかかげ、クンクンとにおいをかぎ、そして…怒った。
水銀燈「こ、このガキ…!この私に向かってなんて事を…!!…巴!コレ、どうにかしなさい!!」
巴「え…!?は、はい…!!」
そう言うと、巴は急いで男の子を受け取りに行く。
しかし、水銀燈の手を離れた瞬間、その男の子はまたも大きな泣き声を上げた。
水銀燈「何なのよ!もう…!!」
彼女はそう呻くと、男の子を手に、ものすごく嫌そうな顔をしながら教室を後にした。


真紅「…で、かれこれ4時間以上経ってる訳だけど、あの子…大丈夫かしら?」
昼休み、ラウンジでは水銀燈と放送部の集まりに出ていた薔薇水晶以外の面々は、今日の朝のことについて話し合っていた。
雪華綺晶は、不安そうにそう言う真紅に対し、落ち着いた様子でこう答える。
雪華綺晶「大丈夫…。さっき保健室覗いたけど、上手にあやしてたよ…?」
真紅「あの子が…?」
思わずそう言う真紅に対し、翠星石は少し考えた後、静かにこう呟いた。
翠星石「…案外、あいつ子供好きなんじゃねぇですか?翠星石のことはよくいじめるくせに、おバカ苺には特に何もしねぇし…」
蒼星石「…それは、君がいつも余計なことをするからでしょ?」
雛苺「そうよ!それに、雛苺はもう子供じゃないのよ!?…あ、マポロ食べ終わっちゃったの…」
そう言って彼女が席を立とうとしたとき、会議を終えた薔薇水晶が、急ぎ足でこちらへやってきた。
そんな彼女に対し、真紅がねぎらいの言葉をかける。
真紅「お疲れ様。どうしたの?そんなに急いで…」
薔薇水晶「あの…あの子の父親だと名乗る方が見えたんだけど…銀ちゃん知らない?」
真紅「また、保健室じゃない?…でも、何故今頃、父親が現れたのかしら…。警察等への連絡は、朝一番でメイメイにお願いしておいたはずなのに…」
その言葉に、顔を見合わせる一同。
そして次の瞬間、皆は急いで保健室へと向かった。


真紅「水銀燈!その子のお父様がお見えになったわよ!早くその子を返しなさい!!」
水銀燈の姿を確認すると、彼女は大声を張り上げた。
予想通り、彼女は保健室にいた。
しかし、間の悪いことにメイメイまで一緒の部屋に…
嫌な空気が、真紅たちと水銀燈の間に流れる。
そして、不敵な笑みを湛えつつ、彼女はこう答えた。
水銀燈「やぁよぅ…。大体、この子があなたの子供だって証拠がどこにあるって言うのぉ?ねぇ…そこの人ぉ…」
その言葉に、1人の気弱そうな男性が前に躍り出る。
そう…この子の父親だ。
その顔を見た瞬間、男の子は「ぱは、ぱぱ!」と体を前に乗り出した。
その思わぬ行動に、危うく男の子を落としそうになる水銀燈に、真紅が声を上げる。
真紅「ほら、一目瞭然よ…!それに…あなた、自分が何をしているか分かっているの!?今回あなたが奪おうとしてるのは、いつものようなお金や物なんかじゃない…!人そのものよ!?その意味が…」
水銀燈「うるさい!!」
すさまじい勢いで真紅を一喝すると、彼女はこう続けた。


水銀燈「私は今、この人と話してるの…。今度邪魔をしたら、ただじゃおかないわよぉ…?さて…なるほどぉ…随分慕われているようねぇ…。でも、そんなに大切なものなら、何で目を離したのぉ?」
父親「そ…それは、うちの子が投げたボールを捜している時に…」
水銀燈「ふぅん…」
そういいながら、彼女は父親の事を眺めやった。
確かに、服のそこかしこに汗のあとが見て取れる。どうやら嘘は言っていないようだ。
しかし、彼女は男の子を手放すことなく、さらにこう続けた。
水銀燈「でもぉ…私、欲しいものは何でも手に入れないと気がすまないのよねぇ…。そこで提案があるんだけどぉ…」
そう言うと、彼女は財布からカードを取り出し、こう言った。
水銀燈「…あげる。暗証番号は8528(箱庭)…。900万は入ってるはずよぉ?」
父親「えっ…!?」
水銀燈「だからぁ、戸籍はあなたたちのところのままでいいから、この子をうちで育てたいって言ってるの。…もしかして、まだ足りない?じゃあ、まだあるわよぉ!?ほら、ほら、ほらぁ…♪」
そう言いながら、キャッシュカードをあたりにばら撒く彼女に対し、彼は静かにこう言った。
父親「いや…悪いけど、これはお金の問題じゃないんだ…!君がうちの子を愛してくれているように、僕らもこの子を愛している…。だから、これだけは…」
水銀燈「なるほど…どうしても手放したくないわけねぇ…」
そう言うと、彼女は目じりを吊り上げ…そして…
水銀燈「…やぁめた。」
そう言うと、彼女はそのまま男の子を彼に手渡し、メイメイにこんな指示を出した。
水銀燈「…メイメイ、そこのビデオカメラとICレコーダー…もう電源切って、しまってくれるぅ?」
その言葉に、メイメイは手際よく隠してあった機材を片付け始める。
それを見て、翠星石はわずかに眉を動かし、こう言った。
翠星石「お前…こいつが自分の子供より金を選んだら、育てる資格なしとみなして…」
その言葉に、水銀燈は口に出しては何も答えようとはしなかった。
ただ、少し笑いながら彼にこう耳打ちしただけである。
「…今回は、あなたのわが子に対する思いに免じて許してあげる。…でも、次は無いわよぉ?」
と。
その行動は、翠星石の言葉をはっきりと肯定するものだった。