ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 裏山の主?

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男「いやぁ、今日は本当に良い天気だね馬子さん」
女「ほんと・・・・絶好のハイキング日和ね鹿夫さん」
山道を歩く二人。どうやらデートでハイキングに来たらしく、手を繋ぎながら歩いていく。
女「でも、大丈夫かしら?この辺、なんだか物騒な所だって聞いたけど・・・」
男「はっはっは、その時は僕が命に代えても君を守るよ馬子さん」
女「まぁ、うれしいわ鹿夫さん」
などと、人ごみだったら相当うざがられそうな会話をしながら登っていく。
・・・ガサ・・・

女「・・・あら?今何か音がしたような・・・」
男「そうかい?僕には何も聞こえなかったよ?」
女「気のせいかしら?」
男「気のせいだよ気のせい。さ、早く行こうよ」
再び歩き出す二人。それでも気になるのか、女はキョロキョロと辺りを見回す。
そして、林の中に浮かび上がる一対の光と目があう。
女「・・・・・・・・・鹿夫さん」
男「どうしたんだい馬子さん?」
女「あ、あれ・・・」
女は林の中を指差す。男はその指の方向を見つめ、硬直する。
光は少しずつ大きくなっていった。それと同時に葉擦れの音がしてくる。要するに近づいてきている。
男「・・・あ、あ、あ・・・・・・」
光はやがて5mくらいまで近づいてきた。木々の間からの木漏れ日を受けて、シルエットが少しずつ浮かび上がる。
男「・・・うわぁぁぁぁ!!熊だぁぁぁぁ!!」
男は女を置いて今来た道を走り出した。
女「え?!ちょっと鹿夫さん、私を置いていく気!?」
女はそんな男に悪態をつきながら走りだす。
振り返ると、さっきの熊(?)は山道を横切っていた。
女(あれ?熊って・・・あんなに尻尾が長かったかしら・・・?)
そんな事を考えつつも、とりあえずは男を後でド突き回そうと駆け下りていく女だった。

真「おはよう・・・あら?皆揃ってテレビの前で何をしているの?」
朝、いつもの時間にやってきた真紅は職員全員(水銀燈以外)がテレビの前に集まっているのを見て、何事かと訊ねる。
翠「おめー知らねぇんですか?何でも怪獣が現れたって話ですぅ」
翠星石の言葉に真紅は溜息を吐く。
真「朝から何を言うのかと思えば・・・大体、怪獣なんてこの世に存在するわけ無いのだわ」
翠「それが見つかったらしいですぅ。今ニュースでやってるですぅ」
真「全く・・・そんな事をしているヒマが有ったら1時間目の準備を・・・」
そう言いながらテレビを見てみる。
そこには林を背景に1人のレポーターが映っていた。右下のテロップには『熊?怪獣?謎の生物出没!?』と書いてある。
レポーター「・・・え~昨日、この山にハイキングに来た男女が、この林の奥に光る目を見たというのです」
画面はそこから再現VTRへと切り替わる。
男女二人組が山道をハイキング中、脇の林の中に光っている物を見つけ、それが近づいてきたため逃げ出したという。
真「別に熊かどうかも分からないままね・・・」
翠「怪獣かも知れねーですよ?」
真「それは無いのだわ」
翠「夢のねー奴ですぅ」
やがてVTRが終わり、今度は第一発見者のインタビューが流れる。
蒼「凄い怪我だね。もしかしてあの怪物に・・・」
真「近づいて来た時に逃げ出したのだから、それは有り得ないのだわ。それにあの頬の傷は人の引っかき傷よ」

そしてインタビューも終わり、再び中継の映像が映し出される。
レポーター「今の所、この謎の生物に関する発見報告は見つかっておりません。ですが、大きさが熊に近いとの事なので、今後も警戒が必要です」
真「・・・結局、発見情報はこの一件だけなのね。全く・・・朝から下らないものを放送するものね」
『そんな事ならくんくんの放送を・・・』などと文句を言いながら紅茶を飲もうとした真紅を無視して、レポーターは言葉を続けた。
レポーター「以上、桃種市ローゼン山から中継をお伝えしました」
真「ぶはっ!・・・げほげほ・・・気管に紅茶が」
翠「うわ、きったねぇですぅ!!」
蒼「大丈夫ですか教頭先生」
ラ「・・・・・・・・・」
噴き出した紅茶で騒いでる中、タイミング良く水銀燈が入ってきた。
水「・・・ふわぁ・・・なんか、裏山の方が騒がしいけどぉ、何かあったのぉ?」
という訳で、1時間目は急遽自習となり、緊急の職員会議が行われた。

『裏山怪獣問題対策本部』
蒼星石の達筆で書かれた半紙が貼られた会議室では、今回の問題に関しての対策が協議されていた。
水「とにかく今日はお休み、という事で・・・」
真「そういう訳には行かないわ。事実、その謎の生物の存在は確認されていないのだわ」
水「そうは言うけどぉ・・・それで、もしその謎の生物の所為で生徒が怪我したらどう責任取るつもりぃ?」
真「くっ・・・こういう時だけ正論を・・・」
ロ「それで、あの山に関しては雪華綺晶先生が一番詳しいと思うけど・・・どうだい?」
雪「少なくとも、部の活動中に遭遇したという報告は受けていない。仮に居たとして、つい最近やってきたのか、あるいは使用しない区域に生息していたのか・・・」
雛「山全部を使ってるわけじゃないの?」
雛苺の質問に、雪華綺晶はスクリーンに裏山周辺の地図を表示させる。
雪「これは射撃部が独自に測量して作成した地図だが、主に学校側にあたる南側しか使用していない」
蒼「それじゃあ北側が現在どうなっているかまではわからないんだね?」
雪「詳細な情報は・・・あの辺りは斜度も高く、訓練を行うには不向きだから」
ロ「という事は、その生物が北側を寝床にしている可能性があるって訳か・・・金糸雀先生どうしたの?顔色悪いけど」
金「え・・・!?な、何でもないのかしら・・・もし、そんな生き物がご飯を求めて山を降りてきたらと思うと・・・」
雛「怖いの~」

その後も情報を収集したが、どれも可能性の域を出ず、会議は長引いた。
水「それで?もう2時間目に突入してるけど、授業はどうするのよぉ?」
ラ「確かに・・・このまま会議を長引かせた所で何の解決にもならないでしょうし」
真「それなら、少なくとも決めるべき事は決めなくてはならないのだわ」
雛「決めること?」
真「ええ、今日はそのまま授業を続けるか、それとも休校にするか?そして、射撃部のしばらくの活動自粛についてよ」
ラ「参考ですが、初等部は今回の件を受けて休校になりました。中等部は午前の授業だけにしたそうです」
雪「部活に関して裏山での訓練はともかく、活動そのものの自粛の理由は?」
真「かいつまんで話せば、射撃部の実態を全国に放送される可能性があるのだわ」
雪「それのどこに問題が?」
全員(大有りだよ!!)
不思議そうに周りを見回す雪華綺晶に対して、全員が心の中で突っ込む。
結局、授業は午前中のみで部活動も休みということで決着した。

金「大変かしら~~!!」
不慣れな山道を金糸雀は走っていた。何度か転んだが、それでもめげずに目的地へと向かう。
しばらくして、目的地に到着する。そして、そこに在るはずの物を探す。
金「無い!無い!どこにも無いかしら~!!」
金糸雀は顔面が蒼白になった。

なぜ、彼女がこんなに慌てているのか?それは1ヶ月ほど前に遡る。
彼女は授業がない時などによく実験や開発を行っている。
別に世界的な発明をしようとか、発見をしようとか考えているわけではなかった。
全ては『楽してズルして○○するため』という彼女の行動原理の下に行われ、それは料理や絵を描く事と同じ感覚であった。
その為、失敗することも多々有り、その度に失敗作の処分に困っていた。
そこで思いついたのが、この裏山にこっそり捨てる事であった。
当初は罪悪感に苛まれた事も有ったのだが、普通に処分しようとすると費用も掛かるし、皆に責められる。
それに比べればこっちの方が幾分マシだったからだ。
以前、この裏山が取り壊されようとした時、彼女は積極的に反対側に周り、署名活動などを通じて最終的に取り止めとなった。
その動機に関しても、この不法投棄がバレる事を恐れたためだ。

金「カナ特製のダイエット食品と栄養ドリンクが無いかしら・・・他は有るのに・・・」
その二つを入れた容器はすぐに見つかった。どちらも何者かが封を開けた形跡が有った。
金「・・・まさか、これを食べたのかしら・・・?・・・ダイエット食品なんて名ばかりなのに・・・」
彼女の言うとおり、ダイエット食品ではなく、食べると逆に体が巨大化するという作用になったため廃棄したのだ。
また栄養ドリンクに関しても効き目が強すぎて、1瓶飲むだけで1週間は眠れなくなるという代物であった。
金「・・・まさかとは思ってたけど・・・謎の生物って・・・」
頭の中に最悪の光景が浮かび上がる。
動物がこれを食べればどうなるか・・・。通常では考えられない大きさの動物ができてしまう。
それが今回の騒動の原因・・・そう考えれば全ての辻褄が合う。
金「・・・・・・カナは何も見てないかしら~・・・・・・何も聞いていないし、何も知らないかしら~」
一歩、二歩と後ずさる。
金(そう、これは夢、夢かしら。きっと本当のカナはまだお布団の中ですやすや眠っているのかしら。早く起きて欲しいかしら)
そして三歩下がった時に何かにぶつかった。
金(こんな所に何か有ったかしら?でも柔らかいかしら。それに毛みたいな物も・・・・・・毛?)
恐る恐る振り返る・・・そして声にならない悲鳴をあげた。

雛「金糸雀先生一体どこに行ったんだろう・・・?」
雛苺は校内を回りながら金糸雀を探していた。別段用は無いのだが、姿を見かけないのが気になったからだ。
雛「今朝は顔色悪かったし、もし倒れてたりしたら大変なの」
つい2週間ほど前の自分を思い浮かべる。あの時の辛さは今でも怖かった。
そして、その時自分を助けてくれた皆のありがたさを改めて思い出す。
雛「今度はヒナが助ける番なの!」
既に金糸雀はどこかで倒れていると脳内で変換されたようだ。
雛「待ってて、金糸雀先せ・・・」
その時、遠くから叫び声が聞こえてきたような気がした。
雛「え?今の何なの?」
キョロキョロと辺りを見回すが、どこにも姿は見えない。
再び叫び声が聞こえてくる。先程よりも大きな声でこちらに近づいていく。

金「たぁすぅぅけてぇぇぇ、かしらぁぁぁぁ~!!」
金糸雀は走っていた。山道を登る時よりも更に速く、まさ飛ぶが如くである。
その後ろを何かが追いかけていた。
雛「あ、金糸雀先生・・・って、後ろから追いかけているのは何なの?」
首を傾げる雛苺の脇を物凄い速さですり抜けていく金糸雀。その速さで土煙があがり、雛苺は咳き込んだ。
雛「けほっ・・・えほっ・・・一体何が・・・」
そこで雛苺は自分の周りが日陰になっている事に気付く。
見上げてみると、影になった大きな物体の上の方に一対の光と左右に伸びた針金の様な物が見えた。
?「ん゛な゛ぁ~~~」
それは大きな口を開けて一鳴きする。
かくして、雛苺も金糸雀と一緒に逃げ回る事になった。

真「一体何の騒ぎ・・・はぅ・・・」
蒼「真紅先生しっかりして!」
翠「一体どうしたですか?!・・・って、なんですかアレは?!」
水「あら、大きいわねぇ。アレが謎の生物?」
薔「・・・大きな猫さん・・・かわいい」
雪「・・・・・・あんなのが裏山に居た事に気付かないとは・・・不覚だ」
ロ「良かったねぇ、熊とかじゃなくて」
ラ「ある意味、熊以上に厄介な存在ですがね。全長は3m程ですか」
金・雛「そんな所で呑気に話してないで、早く助けて欲しいかしら~(の~)!!」

それから10分ほど追いかけっこした後、大猫は疲れたのか飽きたのかグラウンドの真ん中で寝そべって毛繕いを始めた。
その仕草はまさに猫そのもので、薔薇水晶は頬を緩ませながらその様子を眺めていた。
しかし、気絶した真紅と薔薇水晶以外の教師は金糸雀に事情説明を求めた。
金「え、えと、あの・・・知的好奇心から謎の生物というのを見てみたいと・・・」
蒼「それでその謎の生物がこの猫だと・・・」
翠「なんか前にもこんな事無かったですか?」
ラ「確か以前、金糸雀先生の作った薬品が原因で巨大化したゴキブリが校内を蹂躙した事件がありましたね」
雛「あの時は大変だったの・・・今思い出すだけでも恐ろしいの~」
雪「今思えば良い思い出・・・にはならないな」
などと、それぞれが当時の記憶を辿っていく。皆の視線が逸れた事を確認した金糸雀はこっそり抜け出そうとする。
しかし、回り込まれてしまった。

蒼「どこに行くんだい?」
金「え?!・・・あの、その、走り回ってのどが渇いたから・・・」
翠「まだまだ聞きたいことがあるですぅ」
ロ「ちゃんとカツ丼出してあげるから、お兄さんに話してごらん?」
雛「ホントの事を話して欲しいの」
囲まれて進退窮まった金糸雀は、ついに観念して真相を話した。

当然皆から怒られた。
「ばっかじゃねーですかぁ!?信じられねぇですぅっ!」
「今回ばかりは許せないかな」
「射撃部が危うくなった・・・」
「それに、怒られるだけじゃすまないのだわ。」
「・・・・怒ってる・・・」
「本当におばかさぁんねぇ~」
「ひ・・・ひどいの金糸雀!!? 」
特に親友の雛苺は署名活動も手伝ったのもあって本気で怒った。
そのあまりの剣幕に周りが抑える程であった。
金糸雀にとってもそれはショックだったらしく、心の底から反省した。
ロ「さて、これ以上は可哀相だから後で始末書提出って事で」
そう言ってローゼンはどこから取り出したのか、1枚のプリントをお札のように金糸雀の顔に貼り付けた。
ロ「でさ、どうする?この大猫・・・って、薔薇ちゃん何やってるの?」
全員が猫の方を見ると、薔薇水晶はどこから持ってきたのか猫じゃらしで大猫と遊んでいた。
薔「・・・ふふふ・・・かわいい」

その後、復活した真紅も交えて大猫に関する協議が行われた。
その結果、ダイエット食品の効果は1ヶ月程で切れて元の大きさに戻ることが分かり、それまでの世話を金糸雀が行うことになった。
マスコミに関しては、ローゼンの謎の人脈によって誰も取材には来なかった。
しかし、今回の事件で一番の被害者は真紅だった。
元々飼い猫だったらしく、人懐っこい性格で登校してきた真紅を追い掛け回したりしたため、1週間は登校拒否をしていた。
また、不法投棄されていたごみはちゃんと回収されることになった。
最初はその費用を給料天引きでという話になったが、大猫の食費が馬鹿にならない額なので見送られた。
こうして今回の事件は幕を下ろした。

ちなみに世話を任された金糸雀だが、はじめは間違って食べられそうになったり、前足で踏み潰されそうになったりしたが、
数日すると背中に乗って一緒に散歩に行くほどにまで仲良くなり、有栖学園のちょっとした名物になったとか。
金「もう不法投棄はこりごりかしら。でも、この猫とも後ちょっとでお別れというのも悲しいかしら・・・また食べさせようかしら?」
騒動はまだまだ続きそうである。