ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 花火 -Feuerwerk-

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「花火大会?」
「うん……今晩……あるの」

昼休み。それは昼食も終了してそろそろ授業、という時間帯。
蒼星石は薔薇水晶からある情報を聞いていた。
どうやら話によると、今晩花火大会が行われるらしい。
「しかもね……学校の近くでやるから……屋上で見れるの……」
「屋上って、この学校の?」
「うん……だから……皆に話して……今日集合する……とか」
つまり、教師達と一緒に花火大会を見たいということらしい。
薔薇水晶は、”まずは”と丁度近くにいた蒼星石にまずその話をしたのだ。

「いいね! 皆にも話をしてみようよ」
蒼星石はその花火大会の話が気に入ったらしく、楽しそうに微笑んだ。
”断られたらどうしよう”と少しだけ不安になっていた薔薇水晶だが、安心して自身も笑みを浮かべた。
「じゃあ今日の仕事が全部終わるまでに皆に話さないといけないね」
「うん……ちょっと大変だけど……」
「大丈夫だよ、ボクも真紅や翠星石達にも話すからさ」
「ありがとう……」
そして蒼星石は職員室を出て行った。授業がある為だ。
誰もいなくなった部屋の中で、薔薇水晶は一人椅子に座った。
「今日の5時間目は……私の授業……無いんだっけ……」
ぼうっと呆ける様に、椅子でじっとする。そのまま頭に花火の情景を思い浮かべていた。
と、突然扉が開く音がし、見ると真紅がドアの入り口にいる。彼女もこの時間は授業が無いのだろう。
”チャンス”と薔薇水晶は真紅の傍まで駆け寄っていった。

「……あの、真紅……今日ね……」



―――夜、学校の屋上。そこにはいつもの薔薇乙女フルメンバーが集合していた。
蒼星石の献身的な誘いと薔薇水晶の思いが実り、一つ空の下で彼女達は花火を待っているのだった。
「まだなのぉ? 早く見たいのにぃ」
「別に焦る事は無いわ、ゆっくり待ちましょう。それよりも……薔薇水晶?」
「………?」
薔薇水晶は小首を傾けながら、視線を夜空から真紅に移す。
見ると真紅は優しげに微笑んでいる。

「こんな素敵なイベントを教えてくれて、ありがとう」

突然の感謝の言葉―――薔薇水晶の顔が、紅くなった。


その刹那、響く爆音。


「お、おっきいの~!」
「蒼星石の言うとおりなのねぇ、本当に近いわぁ」
「凄く大きいですぅ!」
「ナイスよ薔薇水晶! まさに貴女の言ってた通りなのかしらー!」

夜空で、巨大な爆音と共に花火が空を彩っていた。
そして息つく暇も無く、今度は沢山の小さな花火達や複雑な形をした物まで、
見るものを飽きさせない―――否、飽きる事などありえない鮮やかなパレードが開幕していた。
「うにゅ~みたいに丸いのー!」
「チビ苺に言わせたら、世の中のものは全部それに例えられちまうですね……でも確かに凄い花火です!」
「でも確かに綺麗な形だね。ボクには想像出来ないくらい凄い職人技なんだろうなぁ」
彼女達が喚起の言葉を上げるのを花火は知ってか知らずか、更に美しい姿を夜空に描いていた。


「おおっ!皆さんご一緒で!」

暫し花火を堪能していると、突然そんな声が響く。
声のした方向を見ると、そこには両手に手提げ袋を持った白崎が立っていた。
「―――いたの?」
「あら、今日はそっちなのね」
「薔薇水晶先生にお呼ばれしたのですが……あー、リアクション薄いんだねー……」
雪華綺晶と真紅の素っ気無い言葉に白崎は苦笑する。
だがそのまま彼女達の元に到着すると、両手に持っていた手提げ袋から中身を取り出し始めた。
「お菓子とか飲み物とかいっぱい持ってきたわけで……ここは一つ、宴を」
「わーい! おっかしーなのー!」
「さっすが! こういう時はやるですね!」
白崎の言葉を遮って、雛苺と翠星石が手提げ袋の中身を物色し始めた。
”あまり散らかさないように”と白崎が断りを入れつつ、皆にお菓子を配っていく。
「そういや、校長はどうしたです?」
「伝えようかと思いましたが、やめました。収拾つかなくなるので」
「確かにあのヤローが来たら五月蝿いだけですぅ」
「まぁでも多分どこかで見てますよ。気づかないはずは無いでしょうしね」
翠星石と白崎は溜息交じりで呟く。そしてその横でお菓子を持っていく金糸雀。
そのまま定位置に戻ろうとした彼女だが、ふと疑問に思ったことを尋ねてみた。
「今日はなんでウサギモードじゃないのかしらー?」
「ああ……それは……皆さんと同じように”人として楽しみたい”と思いましてねぇ」
金糸雀の疑問に、今度は溜息や苦笑ではない”本当の優しげな微笑”を浮かべて白崎は答えた。
「っと、それよりも皆さん早く見ないと勿体無いですよ! お菓子も良いですが主役は花火ですからね!」

そうやって談笑しながら彼女達は飲み物や食べ物を拝借し、また夜空に視線を戻してみる。
―――空では相変わらず、美しい花々が咲き乱れていた。


fin