ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 湯煙の向こう側

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前編

真「ふぅ・・・ようやく今日の仕事が終わったのだわ」
軽く伸びをして、体の凝りをほぐす。結構疲れが溜まっている様だ。
ホ「お疲れ様です」
タイミング良く、ハーブのブレンドティを持ってくるホーリエ。
ホ「疲れを癒す効果が有ると聞いて淹れてみました」
真「ありがとう、頂くわ」
カップを手に取り、一口飲む。口の中に広がるハーブの香りが、確かに疲れを癒しそうだ。
真「とっても美味しいわ」
ホ「気に入ってもらって良かったです」
二人して微笑む。なんとも微笑ましい光景だった。
しかし、その雰囲気をぶち壊す者が現れた。

翠「真紅先生は随分疲れてる様ですぅ」
翠星石だった。しかも口調は少し芝居掛かっていて、わざとらしかった。
真「・・・・・・用件は何かしら?」
あきれた口調で質問する。誰かを何かに誘う時は小芝居を始める癖を知っていたからだ。
翠「話が早くて助かるですぅ。・・・じつは昨日、商店街のスーパーでこんな物を貰ったですぅ」
そう言って二人の前に紙切れを差し出す。
真「・・・えーと、『スパ有栖 入浴割引券』?」
紙切れにはそう書いて有った。
真「スパ有栖だなんて聞いた事無いのだわ。ホーリエ、貴女は知っている?」
ホ「そう言えば、私も昨日買い物をした時に貰いました。確か駅前で建設工事をしていた所じゃないでしょうか」
ホーリエに言われて、真紅もようやく思い出す。
真「言われてみれば、確かに工事をしていたわね。何かと思えばそんな物が建てられたのね。・・・それで、これがどうしたの?」
翠「ここまで言って分からないとは鈍い奴ですぅ」
真「物事はちゃんと口にしないと相手には伝わらない物よ。一緒に行きたいのなら、そう言うべきだわ」
翠「・・・・・・あぅ、お見通しだったですか」

真「それで、蒼星石先生は誘わないの?」
翠「部活から戻ってきたら当然誘うです。・・・って、噂をすればなんとやらですぅ」
職員室の外から蒼星石とレンピカの話し声が聞こえてくる。
ガラガラ・・・
レ「最近は1年も腕を上げてきたなぁ。ま、アタシらに勝つには1億万年早いけどね」
蒼「億万って単位は無いよ・・・さてと、汗をかいたしシャワーでも・・・」
翠「ちょっと待ったぁぁぁですぅぅ!!」
翠星石の大声に二人が驚いた。
蒼「ど、どうしたんだい?翠星石先生」
レ「いきなり大声出すから、驚いちまったじゃねーか」
翠「シャワーは後にするです」
レ「どうしてさ?汗臭いままで居ろってのか?」
少々語気が荒くなる。口より先に手が出るタイプなので、まだ冷静な方だ。
翠「落ち着くです。汗かいてるならむしろ好都合ですぅ」
蒼「どういう意味だい?」
蒼星石の問いに翠星石は経緯を説明する。
レ「なんだ、それならそうと早く言ってくれれば良いのに」
翠「言おうとする前に殺る気満々な目で睨みつけられたら、言いたくても言えないですぅ!」
レ「はっはっは、わりぃわりぃ」

蒼星石とレンピカが着替えに行き、暇を持て余してた頃、職員室にシンナーの様な匂いが充満してきた。
翠「な、なんですか?!この匂いは?!」
真「早く窓を開けなさい!」
慌てて窓を開き、匂いは霧散していく。
ホ「恐らく塗料の匂いだと思うのですが・・・」
真「何でそんな物がここに有るの?」
ガラガラ・・・
ドアが開き、雪華綺晶、薔薇水晶、雛苺、ベリーベル、柏葉巴、コリンヌ、オディールの7人が入ってきた。
真「どうしたの、貴女た・・・うっ!」
思わず鼻をつまむ。先程の匂いは彼女達からしたからだ。
薔「・・・やっぱり、匂うかな?・・・作業着は脱いできたんだけど」
翠「そもそも、何して来やがったですか?!」
雛「射撃部と合同でゴム銃作ってたの」
翠「ゴム銃?・・・あぁ、前持ってた奴ですか」
真「もしかして、それにペンキを塗っていたというの?」
巴「木工用の塗料をエアブラシで・・・」
薔「・・・私は買ってきたドム・トローペンの塗装を、彼女達と一緒に」
コ「日本のプラモデルの技術力は素晴らしいわ」
オ「ジオンの魂は私たちが必ず受け継いで・・・」
うっとりとガンダム話に華を咲かせようとする3人を止めて、翠星石が先程と同様に誘う。
薔「・・・それなら、この間・・・商店街でお買い物したときに」
巴「私も持ってます」
雛「ヒナも持ってるの。ベリーベルも一緒に行こう?」
ベ「うん♪」

その後、蒼星石たちも戻ってきて、雪華綺晶達も一緒に行く事になった事を伝える。
ドーン・・・!
遠くから爆発音が聞こえてくる。
翠「今度は何ですか?!」
しばらくしてドアが開き、全身煤まみれの金糸雀とピチカートが入ってきた。
金「ケホケホ・・・また失敗かしら~」
ピ「失敗は成功の父かしら~・・・母だったかな?」
雛「金糸雀先生また爆発させたの?」
金「今度こそ成功すると思ったかしら~・・・顔も服も汚れちゃったかしら」
翠「なんならおめーらも行くですか?」
ピ「どこに?」
再び説明するとすぐに参加すると言って来た。

翠「それじゃあ、早速行くで・・・」
薔「・・・ちょっと待って」
職員室を出ようとした翠星石に待ったをかける薔薇水晶。
翠「どうしたですか?」
薔「・・・水銀燈先生達も誘いませんか?」
いつものメンバーの中で水銀燈達だけ居なかった。仲間はずれはダメだと説得する。
真「でも、今ここに居ない者は仕方ないわ。どこに居るかも分からないし」
真紅が鬼気迫るといった表情で強硬に反対する。
薔薇水晶が直も食い下がろうとした時、突如として職員室のドアが開いた。
水「ちょっとぉ・・・何この匂い」
めぐ「頭がふわぁってして気持ち良い・・・」
メ「それはシンナーの中毒症状です。と言うか、症状が出るのが早すぎます」
水銀燈と柿崎めぐ、メイメイの3人組だった。
真「・・・ちっ」
こっそり舌打ちする真紅だったが、それ聞き逃す水銀燈ではなかったし、この集まりはなんなのか知りたかった。
水「で、一体全体この集まりは何なのぉ?」
薔「・・・実はね」
めぐ「ふわぁ・・・あ、お花畑が見える。きれー」
水「ちょ、ちょっと薔薇水晶、それ以上近づかないで!めぐが、めぐが何かやばいから!!」
薔「・・・・・・」

水「ふぅん、皆でお風呂ねぇ・・・」
メ「悪くありませんね」
めぐ(トリップ中)
思案顔の水銀燈に一緒に行きましょうと賛同するメイメイ、完全に向こうの世界に行っためぐであった。
真「別に無理して来る事は無いのだわ」
真紅の言葉に焦りを感じ取った水銀燈は即座にその理由を察する。
水「私は構わないわよぉ、どうせ今日は暇だったしぃ」
ニヤニヤしながら参加を承諾する水銀燈。その顔で何人かは真紅が嫌がっていた理由に思い至った。

翠「では、改めて・・・」
?「ふわぁ・・・良く寝たぁ」
全員が声の主の方に振り返った。そこには先程までの騒動を物ともせずに寝続けていたスィドリームが居た。
ス「あれ・・・?みんな、どうしたの~?」
めぐ以外(この状況で寝てたのか・・・)
めぐ「あ、おばあちゃんだ・・・あの時はごめんねぇ・・・」



一方、職員室の隣に在る校長室ではローゼンが聞き耳を立てていた。
暇だったので寝ていたのだが、流石にシンナーの匂いに目を覚まし出て行こうかと思ったが、面倒だったので狸寝入りを決めた。
そして一部始終を知る事になる。
ロ(皆でお風呂か・・・行こうかな)


また、この事を知ったのはローゼンだけではなかった。たまたま職員室前を通りがかった男子生徒がこれを知り、
瞬く間に全校(男子生徒のみ)に知れ渡った。
A「おい!写真部の奴はまだかよ?!」
B「今、防水用のカメラとフィルムの準備をしてるってさ」
C「桜田、お前だけが頼りだ。何としてでも、俺達は苦難に打ち勝ち秘宝を手に入れなければならん」
ジ「何で僕が居なきゃいけないんだ?!」
ポン・・・
Dがジュンの肩を叩く。
D「決まってるだろ・・・生贄」
ジ「絶対帰るぞ!何で僕がそんな目に遭わなくちゃならないんだ!」
E「なんか柏葉も一緒に行くんだってな」
ジ「え・・・?」
その後、なんだかんだあってジュンも行く事になった。ああ、哀しきは男のサガよ。


中編

の『あ、ジュンくん?お姉ちゃん、今日帰るの遅くなりそうなの~。夜ご飯はもう作ってあるから、チンして食べててね~』
ジ「・・・食べれたらね」
の『ジュンくん?どうかしたの?』
ジ「何でもない」
の『そう・・・なら良い子にお留守番しててね~』
携帯の通話が切れる。いつも通り、呑気な姉の声だった。
ジ(生きて帰れるかなぁ・・・何で行くって言っちゃったんだろう)
ジュンはほんの20分前の自分を恨めしく思った。
下心が全く無かったと言えばウソだ。柏葉も一緒に行くと聞いた時、柏葉の姿が脳裏に浮かび上がった事も事実だ。
だが、不用意な一言で茨の道を歩む事になるなんて・・・そう思うと、ジュンは気が重くなった。

A「諸君!今、我々に千載一遇の好機が訪れようとしている!諸君らも既に知っていると思うが、我らが教師、そして諸君らが
   敬愛する水銀燈先生が・・・」
G「水銀燈先生だけじゃないだろうが、この水銀党!」
真紅派である紅き親衛隊の隊員が野次を飛ばす。それをきっかけに各グループの男子達からの怒号が飛び交う。

U「なあT、蒼星石先生が番台で止められるかどうか賭けないか?」
T「俺を蒼き姫の騎士団の一員と知った上での発言か?」
U「何?!てっきり同じグリーンオブスターだとばかり・・・くっ、お前とは良いライバルになりそうだな」

S「雛苺先生はシャンプーハット絶対持参するだろうな」
I「それも重要事項だが、風呂で遊ぶ玩具を持ってくるかどうかも・・・」
S「アヒルの奴とかか・・・いかん、鼻血が・・・」

C「しかし、射撃部のお前が今回参加するとは思わなかったな」
F「俺の目標は教官ではなく、フォッセー姉妹だ。あの時の借りを返さなくてはな」
C「あの時って・・・射撃部のクーデターの時か?」
F「ああ・・・あの時は不覚を取ったが、今度はそうはいかん」
C(その復讐が覗きってのはどうかと思うってのは、こいつの名誉のために黙っておくか)

H「全く、どいつもこいつも先生先生・・・レンピカさんが最強だろうが!」
R「最強なのは腕力と胸だけだろ。究極はピチカートさんに決まってる」
E「あの人が究極とは笑わせる。なら至高はメイメイさんだな」
Y「お前らはスィドリームさんの寝顔を見た事無いからそんな事が言えるんだ」
等など、作戦本部と化した体育館のあちこちで各グループの雑談が行われる。ジュンはその様子を隅の方から溜息を吐く。
ジ「・・・帰りたい」

その時、壇上から携帯の着信音が聞こえる。どうやら壇上に居る男子生徒達(各グループのリーダー)の1人の携帯が鳴った様だ。
B「もしもし・・・何?真紅先生を見失った?・・・うん・・・うん、自宅に向かった?間違いないんだな?」
ここで、また1人の携帯に着信が入る。
D「もしもし?翠星石先生が自宅に到着した?蒼星石先生とスィドリームさんも一緒・・・分かった、引き続き尾行を頼む」
各教師の動向について逐一連絡が入る。報告を纏めた結果、各教師並びに事務員達は一度自宅へ戻って準備した後、
現地集合するという事が推測できた。
A「水銀燈先生が自宅に戻らず、柿崎の家に向かったと言うが、メイメイさんが代わりに水銀燈先生の自宅に向かったか」

再び連絡が入る。今度はスパ有栖前のハンバーガーショップの2階から入り口を監視している生徒からだった。
K「もしもし・・・雛苺先生とベリーベルさんの姿を確認した?所持品分かるか?・・・シャンプーハット、ワニのフロート?
   分かった、引き続き頼む」
シャンプーハットの言葉に雛苺見守り隊の歓声が上がる。中には喜びのあまり泣き崩れる者も居て、周りに抱きかかえられていた。
ジ(・・・うわぁ)

やがてスパ有栖前に集まる人数が半数に達した頃に男子達は移動を開始する。
直接向かわず、駅を挟んだ向かい側に集結する。そこで、購入部隊が事前に買っておいたタオルなどをグループごとに配布する。
ジュンにも配布されるが、確認すると紅き親衛隊と同じ物だった。
G「桜田は代金払わなくて良いぞ」
ジ「え・・・?どうしてさ?」
G「お前は生贄だからな。悔しいが真紅先生はお前には優しいからな」
ジ「見つかったら、確実に殺されるだろうけどな・・・」
この先の自分の運命を嘆き、うなだれるジュンだった。

その後、教師陣が中に入って行ったのを確認し、それから遅れる事数分で男子達は中へと入っていった。
この建物は4階建てになっていて、1階はレストランと宴会場、2階がプール、3階が大浴場、
4階がフィットネスジムとエステサロンになっていた。
集音マイクを用いて、全員が女湯の方に入った事を確認すると、ぞろぞろと男湯の方へと入っていく。
制服という事もあって脱ぐのは早く、女湯の更衣室とを区切る壁の方に全員で耳を当てていた。
A(く・・・聞こえそうで聞こえない)
B(結構分厚い壁だな)
C(この際、嗅覚を失っても構わん!全神経を耳に集中させろ!)
必死の形相で耳を澄ませるが、聴診器を持ってきたTが首を振ると一斉に溜息が漏れた。
R「まだか?そろそろ防犯カメラを無力化させるのが厳しいんだけど・・・」
防犯カメラに細工を施し、ダミーの映像を送るRに作戦終了の合図を送る。
ジ(・・・何やってんだか)

男子一同(神は我々を見捨てなかった・・・!)
大浴場へと入ってきた男子達の心の第一声はそれだった。男湯と女湯を仕切る壁が、天井にくっついていなかったのだ。
高さこそあるものの、声が聞こえるのはもちろん、よじ登る事さえ出来れば覗く事も不可能ではない。
が、世の中そんなに甘くは無かった。
元「おや、今日は随分沢山来るじゃないか」
一「騒がしいのは困るがな」
ロ「皆ヤッホー」
湯船の中に入っていたのは、校長のローゼンと用務員の柴崎元治、八百屋結菱の店主結菱一葉だった。
ジ「あ、校長、それに柴崎さん。来てたんですか」
ジュンは内心胸を撫で下ろす。これで馬鹿な真似が出来ないだろうと思ったからだ。
ロ「やっぱり、君たちも覗きに来たんだねぇ。いやぁ青春だなぁ」
さらっと教師、ましてや校長にあるまじき発言をするが、ジュンが引っかかったのはそこではなかった。
ジ「君たちも?まさか3人とも・・・」
一「私がそんな事をする訳がないだろう。今日は定休日だから、柴崎に誘われてここに来ただけだ」
元「私だって、普通にこうして銭湯とサウナを楽しみに来ただけじゃよ」
ロ「そしてそこに僕がやってきたんだ。そこで、3人しか居ないからこうして我慢比べをしていたのさ」
ジ「我慢比べ?」

良く見ると、じじいコンビは全身が軽く赤くなっている事に気付いた。恐る恐る湯船に手を入れてみる。
ジ「熱ッ!」
あまりの熱さに思わず手を引っ込める。その時、温度計を見つけたので見てみると48度だった。
ジ「こんなのに入ってるのかよ・・・」
ロ「いやぁ結構気持ち良いもんだよ」
涼しげな顔をしているローゼンを見て(まぁ、この人は人間辞めてるし)と納得する。
元「ジュン君、これくらいの湯に入れないようじゃまだまだじゃよ」
そう言って笑う元治。その間、男子達は如何にこの3人を追い出すか?の作戦会議を行っていた。

チャンスは意外なところでやってきた。女湯の方に動きがあり、教師達の声が聞こえたのだ。
雛「うわー、とっても広いのー」
ベ「泳げそう♪」
メ「泳いだらいけません」
雛・ベ「ブーブー」
見守り隊(雛苺先生最高!)

真「こんな所で貴女に会うとは思わなかったわ、のり」
の「私もよ~」
ジ(何でお前が居るんだよ?!まさか遅くなるってこれの事だったのか?!)
み「カナと一緒にお風呂に入れるなんて、もうサイコーーーー!!」
金「きゃぁ、みっちゃん全身がまさちゅーせっちゅー!!」(ブハッ!:金色の鳳凰隊員たちの鼻血の音)

薔「・・・どうしたのお姉ちゃん?」
雪「何か視線のような物を感じる」
コ「まさか覗き?!」
オ「今のところ、その様な物は見当たりません」
雪「第1種警戒警報発令、周囲の索敵を怠るな」
コ・オ「了解!」
F(来たか、フォッセー姉妹。今日こそお前たちに積年の恨みを・・・)

水「大げさねぇ・・・ま、もしめぐを覗こうとする奴が居たら、地獄を見てもらうけどぉ・・・」
め「あれ?・・・いつの間にか裸になってる・・・」
水「めぐ、ようやく正気に戻った?」
め「あ、水銀燈先生。え?何で裸・・・?やだ・・・私、まだ心の準備が・・・」
水「・・・何勘違いしてるのよぅ」
水銀党員(もう、死んでも良い・・・・・・)

ホ「やれやれ、同性ながら目のやり場に困りますねぇ」
巴「・・・その・・・ホーリエさんも・・・」
ホ「フフ・・・」
ピ「皆羨ましいかしら~真紅先生以外」
真「今何か言ったかしら?」
ピ「何も言ってません!」

翠「湯船に入っている途中で寝るんじゃねえですよ」
ス「さすがに寝ないよぅ・・・Zzz」
翠「言ったそばから寝るんじゃねえですぅ!」
バシバシッ!
ス「いったぁぁい、冗談なのにぃ」
翠「冗談に見えなかったですぅ」

レ「ふぅ・・・ようやく汗を流せるぜ」
蒼「背中洗ってあげようか?」
レ「お?良いねぇ・・・じゃあ、アタシも洗ってやるよ」
翠「何勝手にうらやましそうな話をしてるですかぁ!?蒼星石の背中を流すのは翠星石の役目ですぅ!」
蒼星石の名前に反応したか、元治がいきなり立ち上がった。
元「か、かずきぃぃぃ・・・」
ぐら・・・
元「あ・・・」
ロ「よっと」
既にのぼせているような状態で急に立った事で立ちくらみを起こしてしまい、そこをローゼンに支えられる。
元「うぅぅ・・・かずきぃ・・・」
ロ「あーあ、完全にのぼせちゃった。頼めます?」
一「そろそろ私も出る理由が欲しかったところだ。では、これで失礼する」
一葉は元治を連れて浴場を出て行った。

男子達はそれを見送った後、ローゼンの方へと振り返る。
ロ「それじゃあ、良い大人も居なくなった事だし、始めようか。あ、薔薇ちゃんはダメだよ。僕だけが見るんだから」
男子達は後半の言葉を無視して、それぞれ作戦の準備に取り掛かった。
ジ(はぁ・・・誰か止めろよな)
女性陣(何だろう・・・?何か嫌な予感がする)
雪「不審者に対しての発砲を許可する」
コ・オ「了解」

そして、スパ有栖の大浴場にて学園史上最大級の作戦が始まろうとしていた・・・。


後編

A「今、我々の前に立ちはだかるジェリコの壁・・・如何に突破するかが問題だ」
腕を組み、忌々しげに壁を眺めながら呟くA。
壁の高さはおよそ3.5メートル、その上の隙間は2メートルほど・・・決して飛び越えられない高さではなかった。
しかし、ただ侵入したのでは自ら死地に飛び込むような物だ。
桶や石鹸なんかが飛んでくるならまだ良い、鉄拳から鉛玉果ては手榴弾すら飛んで来かねない。
その為、作戦は如何に相手に気付かれずに遂行するかが焦点となる。

一方、女湯では・・・
コ「ようやく、これの実践が出来るわ」
オ「使用可能な場所が限定されてしまいますからね」
二人は一度脱衣所に戻り、筒状の物を持ってきた。色はグレイでトリガーが銃口のすぐ下にあり、反対側には肩に乗せるための
肩当てとスコープが取り付けられていた。
翠「それは何ですぅ?」
薔「・・・あれはスーパースコープ・・・実物を見たの初めて」
め「それで何が出来るの?」
めぐの質問にコリンヌが答えようとする前にピチカートが口を開く。
ピ「あれは科学部と射撃部が共同で開発したウォーターバズーカかしら~」
蒼「ウォーターバズーカ?」
ピ「小型のエアーコンプレッサーを内蔵させてあって、それで圧縮した空気を使って水を飛ばすものかしら」
蒼「へぇ~」
レ「面白そうだな。ちょっと撃たせてくれよ」
コ「結構威力が有りますから、注意してください」
コリンヌはレンピカにウォーターバズーカを渡す。

レ「結構重いな。えーっと、このカプセルに水を入れれば良いんだな」
湯船にカプセル(フィルムケースを大きくしたような物)を入れて、中に湯を入れて蓋をする。
バズーカは散弾銃の様に真ん中で折れる様になっていて、そこにカプセルを装填する。
レ「あれを狙ってみるか」
スコープを覗いて、桶の山に狙いを定める。そしてトリガーを引く。
ドンッ!ガラガラ・・・
積まれていた桶の山がバズーカの直撃を受けて崩壊する。
レ「ヒュ~・・・すげぇ威力」
撃った本人が一番驚いていた。
金「有効射程は14m、最大射程距離は17mかしら。それと肩当ての上にモード切り替えのスイッチがあるかしら」

レ「これか?」
スイッチを切り替えるが、特に何かが変化したようには見えなかった。
金「そのモードを使うにはこれを取り付ける必要があるかしら」
ホースをレンピカに渡し、バズーカに取り付ける。
金「このホースの先端をお風呂に入れて、トリガーを引いてみるかしら」
言われたとおりにしてトリガーを引く。すると今度は水が断続的に噴出してきた。
金「これは放水モードかしら。でも、水がある所じゃないと碌に使えないのが欠点かしら~」
蒼「へぇ~すごいなぁ」
素直に感心する蒼星石と感心するあまり金糸雀に飛びつくみっちゃんだった。
み「ホントにカナは天才!私感動しちゃったー!!」
金「苦しいかしら~!」

B「なんか、とんでもない物を装備してるみたいだな」
E「これは上空から侵入しようとしたら打ち落とされるな」
Y「あるいは熱湯放水か・・・いきなり王手かよ」
男子達は口々に不満を漏らす。1人ずつ飛び越えようとすれば、バズーカモードで打ち落とされ、被害を省みず全員で突入を
かけても熱湯風呂の湯を利用した放水モードでなぎ払われるのが関の山だ。
H「壁の方はどうだ?」
Hの呼びかけに、超音波厚さ計とシュミットハンマーで壁の厚さと強度を測定していたWが振り向く。
W「厚さは20センチ程だな。強度の方も普通のコンクリートにタイルを貼っているだけ・・・時間が掛かる上に騒音で気付かれるな」
U「静かに穴開けられないのか?」
W「時間が掛かり過ぎるな。全員が長風呂でも無い限り出てしまうな」
H「そっか・・・正攻法は諦めた方が良いな。科学部の奴が居て助かったよ」
科学部は普通そんな事をしないと思うが、顧問が顧問なので誰も疑問に思わなかった。

こうして正攻法による覗きは不可能と言う結論に達し、ファンクラブ連合の期待は金色の鳳凰に集まった。
各ファンクラブの母体はそれぞれ顧問の部になりやすいからだ。
その期待に答えるためか、科学部が母体である彼らは数々の機械を持ち込んできていた。
W「まずはこの潜望鏡だな。普通の奴だと上にしか伸びないが、これは前後左右にも動かせる多関節タイプだ」
実際に潜望鏡を操作して伸ばしていく。まずは上に、その後折り曲げて左右に伸ばしていく。
C「左右に伸ばす理由って何だ?」
W「見つかった時に居場所を特定されない。ただ、1人で支えられなくなるのが難点だが」
C「なるほど・・・」
そしてセッティングが終わり、試しに覗いてみる。
W「湯気で曇って見えない・・・失敗だな」
その後、ラジコンや風船を利用した小型カメラなどを繰り出すがどれも悉く失敗し、全員から役立たず扱いを受けていた。

S「く・・・やはり強行突入をするしかないのか」
ジ(諦めるって選択肢はないのか・・・?)
ジュンは1人湯船に浸かって眺めていた。最初は止めようかとも思ったが、言って聞くような連中じゃないし、
それで自分の状況が悪化しても困るから傍観を決め込んでいた。
その時、ジュンの近くであわ立つ音が聞こえてきた。いつの間にか誰かが潜っていたようだ。
ジ(湯船に潜るなよな・・・)
内心そう思っていても口には出さない、彼なりの処世術だ。
やがてそこから1人の男子が顔を出す。その顔は満面の笑みだった。
K「おい、ここ繋がってる」
Kの一言で静かな歓声に包まれる。Kが言うには男湯と女湯の湯船は底の方で繋がっていて、鉄格子さえ何とかできれば
入れるかもしれないという事だった。
G「鉄格子か・・・力で何とかなるもんじゃないな」
R「けど、起死回生のチャンスになるね・・・誰か鉄を切れる物持ってない?」
辺りを見回すが、流石に誰も持ってなさそうだ。
R「やっぱ無いか・・・壁側に来てくれる事を祈るしか・・・」
だが諦めかけたその時、手を挙げた者が居た。Fである。
F「金属鑢を持ってきている。これは使えないか?」
再び歓声が上がる。Fは一度脱衣所に戻り、鑢を持って湯船に入っていく。
F(待っていろよフォッセー姉妹、今に吠え面をかかせてやる・・・)

大きく息を吸い込み湯船の中へと潜る。確かに鉄格子で仕切られているだけで女湯と繋がっている。
早速作業に取り掛かる。鑢を使って1本ずつ削っていく。途中で苦しくなる度に顔を出して再び潜る。
それを繰り返す事5分、ついに全ての鉄格子を取り外す事に成功する。
F「では、潜入を試みる」
A「我らの悲願は君の双肩に掛かっている・・・頑張ってくれ」
F「任務了解」
Fは再び潜り、女湯への侵入を開始する。
しかし、肩の辺りまで入ったところで詰まってしまう。
F(・・・ん・・・ん!!う、動けん!!!)
足をジタバタ動かして脱出を試みるがそれでも動かなかった。
F(ちょっ!マジでやば・・・がはっ)

雛「男湯の方で、バタ足している音がしてるの。きっと泳いでるのね」
ベ「良いなぁ~泳ぎたいなぁ」
メ「ですから、湯船で泳いではいけません」
雛「メイメイはイジワルなの」
ベ「イジワル~・・・あれ?音しなくなっちゃった」
メ「きっと怒られたからですね。さ、早く頭を洗いましょう」
雛・ベ「は~い」
呑気な女湯とは対照的に男湯は軽く修羅場だった。
C「おい!しっかりしろ!死ぬな!!」
D「誰か人工呼吸しろよ!」
M「とりあえず、腹踏んづけとけ」
ピュー・・・・・・
飲み込んだ湯を強制的に吐き出させられ、Fは九死に一生を得た。
F(・・・おのれ・・・フォッセー・・・)

の「それにしてもお隣は賑やかね~」
真「なんだか聞いた事あるような声がちらほら聞こえているような・・・」
水「そんな事よりぃ、お酒飲みたくなってきたわぁ・・・」
め「私も飲みたいなぁ」
ホ「未成年の飲酒は・・・」
水「ダメよめぐ、甘酒でも泥酔するぐらいアルコールに弱いんだから」
め「ちぇ・・・」

レ「たまにはこうして皆で風呂ってのも良いもんだなぁ」
蒼「そうだね・・・今日は気持ちよく眠れそうだよ」
ス「いつも気持ちよく眠れたら幸せよねぇ~」
翠「寝っぱなしでも困るですぅ」

コ「今度、先生たちの家にお邪魔しても宜しいでしょうか?」
薔「・・・良いかな?」
雪「私は構わない。でも何の用?」
オ「是非ともガンダムを見せてもらおうと思いまして」
コ「私達の家では見させて貰えそうにありませんから・・・宜しいでしょうか」
薔「・・・良いよ・・・皆で見よう・・・ご飯も一緒に食べようね」
コ・オ「はい!」

み「ねぇカナ、一緒にサウナに行かない?」
金「行くかしら~。ピチカートも一緒にどうかしら?」
ピ「私も行きたいかしら~」
み「それじゃあ、善は急げよ!」
金「両腕でカナ達を抱きかかえるなんて、みっちゃん力持ちかしら~・・・」

ロ「皆楽しそうだねぇ・・・でも、そろそろ僕の出番かな」
男子達のやり取りを湯船の中から眺めながらローゼンは作戦を練っていた。
男子達の言うとおり、直接飛び越えて行ってはただの闖入者に過ぎない。
ならば、不可抗力だったら?例えば誰かに投げ飛ばされて・・・
ロ「そうなったら被害者だよねぇ・・・それでもしも、女湯に飛んで行っても不可抗力だよねぇ」
彼なりに勝算は有った、薔薇水晶ならきっと信じてくれると。
そうと決まれば早速実行。ローゼンは生徒達の中で体格の良さそうな男子に声を掛ける。
ロ「あぁ君、ちょっと良いかい?」
L「うっす、何でしょう?」
ロ「悪いんだけどさぁ、ちょっと僕を投げてくれないかな?」
L「・・・別に良いですけど・・・」
ロ「それじゃ、頼むね。思いっきりでよろしく!」
L「・・・うっす」
ローゼンは投げられ易いように体をくつろげる。Lはローゼンの腕を取って投げ飛ばした・・・『床』に。
バンッ!!
ロ「・・・!!!」

腰から思いっきり叩きつけられ悶絶する。それでもすぐに復活して、Lに詰め寄る。
ロ「投げろって言ったよねぇ!?」
L「・・・え、だから、その・・・投げました」
ロ「床じゃない、上だよ上、上に投げ飛ばして」
L「あ、はい・・・じゃあ」
Lは再びローゼンの腕を取って、投げ飛ばした。今度は『真上』に。
ロ「よ~し、後は・・・って、前に進んでない!」
空中で必死に平泳ぎして前に進もうとするも、今度は顔面から落下する。
ジ(あれは流石に死んだかな?)

顔中タイルの痕を付けながら再びLに詰め寄る。
ロ「君に最後のチャンスをあげよう・・・、向こう側に投げ飛ばして。失敗したら留年ね」
L「え・・・そんなぁ」
公私混同・職権濫用も良い所なのだが、目が本気だった。
L「わかりました・・・一応頑張ります」
Lはまたローゼンの腕を取って投げ飛ばした。今度は狙い違わず女湯の方へと向かっていく。
B「あ!校長の奴抜け駆けしやがった!」
ローゼンは壁を飛び越えてもなお勢いが止まらずに飛んでいく。
ロ(そろそろ止まらないと・・・って、止まらない!?)
の「ふぅ・・・ちょっと熱くなったから、少し窓を開けるね」
のりは窓を開けて、再び湯船に戻ろうとしたときに、ローゼンが開いた窓の外へと飛び出していく。
ロ「うそおぉぉぉぉ・・・」
の「え・・・?何?今の何?え?えぇ?!」
慌てて窓の下を覗いてみる。眼鏡を外しているので良く見えないが、人らしき物がトラックの荷台に寝そべっているのが分かった。
そしてトラックはそのまま行ってしまった。
の「ふえぇぇん、ジュンくん~~~~!!」
全員(今のって・・・校長・・・?)

A「よもや、我々に残された手段は後一つしかない」
重々しい口調で全員に告げる。皆も覚悟を決めたようだ。
A「ことここに至っては仕方ない・・・我らはこれより修羅へと入る!」
右腕を高々と挙げる。その様子はどこかの政治家のようだった。
A「神と会っては神を斬り、鬼に会ったら鬼を斬る・・・我らが力を見せつけ・・・」
?「全員そこまでだ」
上から突如掛かった言葉に全員が振り返る。そこには雪華綺晶、コリンヌ、オディールの3人が顔を出していた。
B「うわ、覗き!」
C「まさか逆の立場になるとは・・・」
蒼「君たち、何をそんなに騒いでいるんだい?」
レ「まさかアタシらを覗こうなんて、考えてるんじゃないだろうねぇ・・・」
雪華綺晶の後ろの方から蒼星石たちの声も聞こえてくる。
ジ(・・・ふぅ、これでようやく終わるな)

オ「あら?ジュン様じゃありませんか」
の「え?ジュンくんも来てたの~?皆と一緒にお風呂に入る様になるなんて、お姉ちゃん嬉しい~」
ジ「べべべ、別に一緒に来たわけじゃ!!」
真「ジュンも来ているの?全く、こういう事にだけ興味を持つのは感心しないのだわ」
水「誰も真紅の貧相な体なんて見たくないわよぅ」
め「あははw」
真「だ・・・誰が貧相ですって!?」
しばし口論が続く。一方ジュン以外の男子達はというと・・・。
A「く・・・ここまで来て計画が失敗に終わるなんて・・・」
Y「元々計画らしい計画も無かったけどな」
B「どうする?この状況だと、桜田を生贄にするって手は使えないぞ・・・」
A「こうなったら・・・やるしかあるまい・・・」
N「そうだ・・・やらなきゃやられる」
D「惨めな生より、誇り高き死をって奴か」

集団心理というのは恐ろしい物で、この状況下でなおも反抗しようという空気を作り出していた。
蒼「とにかく、君たちも早くあがって・・・」
A「全軍!かかれー」
男子「応!!」
雪「?!く、発砲しろ」
コ・オ「りょ、了解!」
すぐさま砲撃が行われる。トリガーを引く度に1人また1人と吹っ飛んでいくが、多勢に無勢であった。
また、上からの砲撃のために放水モードで応戦できず、壁に取り付かれると排除が困難になった。
雪華綺晶はスタングレネードを取り出すが、今度は逆に科学部の男子達がバズーカで牽制しはじめ、
次第に混戦へと変わっていった。


ジ「・・・水着・・・着てたんだ・・・」
巴「・・・・・・うん」
の「ここ2階がプールでしょ~。だから水着で入れるんだけど・・・もう来れないかも~」
真「毎度の事ながら、どうしてこううちの学校の教師も生徒も騒動を起こすのかしら」
ス「元気が有り余ってるからかなぁ?」
翠「修理費、どうするですか?」
メ「弁償そのものは何とかなるでしょうけど・・・教頭先生からの厳重注意は半日は覚悟しないといけませんね」
雛「物凄い音でまだ目がまわるの~」
ベ「ううぅ・・・目がまだチカチカするぅ」
め「これが青春の1ページってやつなのかなぁ?」
水「絶対違うわぁ。でも、早く逃げた方が良いんじゃなぁい?」
薔「・・・あの人、大丈夫かな」

ジュンたちは一緒の湯船に入っていた。なぜなら、男湯と女湯を仕切る壁そのものが崩壊したからだ。
生徒達の攻勢に業を煮やした雪華綺晶が『つい』火薬の量を減らしたグレネードを使ってしまい、
レンピカがその壁を本気で殴ったために脆くなり、更に大人数が壁によじ登ろうとしたためである。
その為、近くに居た蒼星石やホーリエなども巻き込み、大半が瓦礫の中に埋もれていた。


翌日
ラ「3ヶ月間は有栖学園関係者は出入り禁止という事になりました。全く、貴女方が居ながら一体何をしていたのかと・・・」
朝からラプラスの説教が始まる。しかも、1時間目のチャイムが鳴っても止まることが無かった。どうやら本気らしい。
ロ「まぁまぁ、良いじゃないの。皆元気が有り余ってるって事で・・・」
ラ「貴方にも言ってるんです。全裸のまま仙台までトラックに運ばれてるような貴方にもね」
ロ「これでも頑張って帰ってきたんだよ・・・初夏とは言え夜は寒かった」
全身包帯姿で涙ぐむ。胃がキリキリ痛むのを感じつつ、ラプラスは教師達に向き直る。
ラ「後は放課後にまた行います。それと修繕費は皆さんの給料から引いておきましたので」
その言葉にうなだれて職員室を出て行く教師達だった。

ラ「なかなか気持ちの良い湯だったのですが・・・」
ロ「その姿で入ってたの?毛とか詰まったり・・・ぎゃああぁぁぁ!!」
それぞれの思いを知ってか知らずか、今日も一日が始まっていった。