ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

全ては水銀燈を中心に

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匿名ユーザー

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真紅「次に、明日の創立記念日についてだけど…聞いてるの?水銀燈…!?」
いつもの、朝7時半からの定例会議…。
この日、水銀燈は朝からたいそう機嫌が良かった。
もうすでに会議の事などどうでもいいといった様子で、彼女はスケジュール帳を開きながら1人自分の世界に入っている。
そんな彼女に、真紅はこう付け加えた。
真紅「…言っておくけど、明日の創立記念日は休みでは無いわよ?地域の方々に感謝を示すという意味で、それぞれの教師が学校で何か出し物をしなければいけないって、去年も言ったでしょう?」
その言葉を聞いた瞬間、水銀燈の顔から笑みが消えた。
そして、ある人物のほうへ振り返ると、キッと睨みながらこう叫んだ。
水銀燈「メイメイ…!」
その声に、「ご、ごめんなさい…!」とメイメイは必死に頭を下げる。その様子を見て、真紅は呆れたようにこう言った。


真紅「…人のせいにするのは良く無いわ。大体、あなたが学校に来ないのがいけないんでしょう?わざわざ、手紙まで入れてあげたのに。…とにかく、明日何をするのか早く決めなさい。もう時間が無いんだから。」
その言葉に、何を言い返そうかと考える彼女にある名案が浮かぶ。
そして、思い切り人の悪い表情でこんな事を言い出した。
水銀燈「そうねぇ…じゃあ、メイメイをモデルにしたヌードデッサン教室でも開こうかしら?これなら、みんなも喜んでくれそうだしぃ…♪」
先ほどまで冷然と彼女に接していた真紅も、これには仰天した。
真紅「そ、そんなの許されるわけ無いでしょう!?…メイメイ!!あなたも黙ってないで何か言いなさい!!」
その言葉に、メイメイは声を震わせながらこう言った。
メイメイ「お…お姉様がそれを望むのなら…私は…別に…」
真紅「ちょっと!あなたが水銀燈を慕っているのは分かるけど、嫌な時は嫌ってはっきり言いなさい!!でないと、この人本気で…」
水銀燈「…冗談よ、冗談。何熱くなってるのよ、みっともない…♪」
そう言うと、彼女はいつになく真剣な顔つきで何かを考え始めた。
それが「明日何をするか」ではなく「明日どうやって逃げるか」を考えていることは、明白であった。


水銀燈「…ま、起こってしまったことは仕方ないわ…。それより、今大切なのは『明日何をするか』ね…。でも、薔薇水晶が監視のために、今日家に泊まりに来るとか言ってるし…」
昼休み、彼女は未だに謝り続けるメイメイにそう言うと、頭を抱えながら大げさにため息をついた。
その様子を見て、メイメイは必死に打開策を考え続ける。
確かに起こってしまったことは仕方が無い…でも、その責任だけは取らないと…
その時、彼女の頭に思わぬ妙案が浮かんだ。
この方法なら、お姉様の手を煩わせずに済む…。いや、上手くすればこの私にもメリットがあるかもしれない…!
しかしそれは、本来考えてはならぬもの…
だが、彼女はどうしてもその衝動が抑えられなかった。
言葉に気をつけながら、彼女は慎重にこう切り出す。
メイメイ「あの…活け花くらいなら、私出来ますけど…」
親友のその言葉に、水銀燈の顔は一気に明るくなる。
水銀燈「そう…!じゃあ、それで構わないわぁ♪その間に私は…」
メイメイ「あ、あの…!!」
水銀燈「…?」
メイメイ「あの…もし良かったら、お姉様も一緒にやってみませんか…?かなり難しいですけど、お姉様にならきっと出来ると思いますし…それになかなか経験できないことですし…。あと…」
怒らせない程度に、メイメイは思いつく限り彼女のやる気を引き出す言葉を言い続けた。
それは彼女が長年望んでいた夢…しかし、水銀燈が人に物を教わるのを嫌う性格なため、今までそれを言い出せずにいた。
信頼する人に策を講ずるのは胸の痛む行為であったし、怖いことでもあった。
もし、これが元で嫌われてしまったら…
そんな彼女の心内を知ってか知らずか、水銀燈は少し考えた後にこう答えた。
水銀燈「…ま、あなたが言うように何かの役には立つかもしれないわね…。いいわよぉ、捕まるの気にしながらお買い物するのも疲れるだけだし…」
その言葉に、メイメイは思わず飛び跳ねたくなるぐらい嬉しかった。


次の日、メイメイは目に見えてやる気に満ち溢れていた。
家からわざわざ持参した着物を身に纏い、少しでも水銀燈に楽しんでもらえるように説明にも工夫を凝らす。
メイメイ「…というわけで、花型法には、真(しん)・副(そえ)・控(ひかえ)という基本があるのですが、ここではあまりそう言うことは考えず、自分の気持ちを素直に植物に託して下さい…。花は、あちらにあるものをご自由にお使いになって…」
その言葉と共に、その場に集まった者たちはわいわいと花に群がり、思い思いのものを手にとっていく。
それにやや遅れて、水銀燈も残っている花の中から好きなものを適当に選び、自分の席へと帰っていった。
「お姉様…何か質問とか聞いてきてくれないかな…」
そんなことをぼーっと考えるメイメイに対し、1人の女性が声をかけてきた。
中年女性B「それにしても、あなた若いのに偉いわねぇ…。あなたみたいな人が増えるといいんだけど、今の人ってみんなあんな感じじゃない?」
そう言うと、彼女は水銀燈の方をちらりと見て、さらにこう続けた。
中年女性B「全く、今時の人は礼儀もなってないし、なんていうか下品なのよねぇ…ほら、あんな風にすぐ髪染めちゃうし…」
古来より、自分が心から慕う者を罵倒されて、怒らぬ者など誰もいない。
ましてや、その人が目の前にいるのなら、なおさら…
「あの…失礼ですが…」と拳を握り締めながら、メイメイは彼女に迫る。
その時、ある者が2人に近づき、こう言った。


水銀燈「ほら、これでいいのぉ…?」
そう言って彼女が差し出したもの…それは彼女が先ほどから作っていたもの…
独創的で気品漂うその作品は、どこかの展覧会に出品されていてもなんらおかしく無いほどの素晴らしさであった。
想像以上の出来栄えに、メイメイは思わず感嘆の声を上げた。
メイメイ「凄い…!しかも、あんな短時間で…!!」
水銀燈「私を誰だと思ってるのよ…。で、散々言ってくれてたみたいだけど、あなたのはどぉれ?」
そう言って先ほどの女性の作品を見たとき、水銀燈は低く笑いながらこう言った。
水銀燈「信じられない…。美的センスのかけらも無いじゃなぁい。それで私に喧嘩を売ろうだなんて、何て恥知らずなの…?」
水銀燈の『GOサイン』を受けて、メイメイも反撃に転じる。
メイメイ「ええ…。先ほど、自分の気持ちを素直に託せと言いましたが、この方にはそれが顕著に現れていますね…。傲慢で、中身の無い…醜いもの…」
…この時、この中年女性は3つの愚を犯した。
1つは、この学園最凶といわれる者に喧嘩を売ってしまったこと…
次に、その彼女を最も慕う者を敵に回してしまったこと…
そして…この2人がそろうと、気心の知れた他の教師たちですら、彼女たちを容易には止められなくなるという事実を知らなかったこと…
絶えず浴びせられる厭味や皮肉…そして、2人が言葉巧みに婦人たちをも味方につけた時、彼女はようやく自分の置かれている立場を理解した。
恥も外聞もなく、涙を流しながらその場から逃げ出す中年女性。
それが引き金となるかのように、午前の部の活け花教室はその幕を閉じた。


メイメイ「ごめんなさい…!私が余計なことを提案したばっかりに、不快な思いをさせてしまって…!!」
昼休み、彼女はそう言って何度も頭を下げ続けた。
元々、この企画は自分が提案したこと…昨日の失態も併せれば、二重の不忠である。
そんな彼女に、水銀燈は持参したパンをほおばりながらこう答えた。
水銀燈「別に気にする必要は無いわぁ…。ああいうお馬鹿さんは、いつの世にだって必ずいるものだもの…」
その言葉に「でも…」と言葉を返すメイメイを制止させると、彼女は何かを指差しこう言った。
水銀燈「それに、反省するのはまだ早いかもしれないわよぉ?ほら…」
彼女の指差す先…そこにはメイメイのよく知る人物の顔があった。


メイメイ「あら…?皆さんは休みのはずですよね…?なのに何故…?」
その問いに、1人の少女がこう答える。
由奈「オディールさんが行くって言うから、私たちも一緒についてきたんです。こんな機会、めったに無いし…。」
その声を遮るように、1人がため息混じりにこう言った。
オディール「本当に綺麗…。これが日本の『イケバナ』なんですね…。あの…もしよろしければ私にも教えてくれませんか?」
めぐ「ね、いいでしょう?少しだけでいいから…」
そうせがむ2人に対し、ある者の興味は別のところに向けられていた。
女子A「すごーい!着物まで持参しちゃうなんて!!あ…ねえ、メイメイさん!こういうポーズしながら、『お逝きなさい』って言ってみてくれませんか!?」
メイメイ「え?な、何…!?」
3人の若い力に押され、たじろぐメイメイに対し、水銀燈はこう叫んだ。
水銀燈「ほら、いいから中に入りなさぁい。また変なのが来られたら、たまったもんじゃないわぁ…。」
巴「変なのって…もしかして真紅先生のことですか?」
その問いに声を上げて笑うと、彼女はこう返答した
水銀燈「ま、似たようなものねぇ…♪さ、早く入りなさぁい。今日はあなたたちの貸し切りよぉ♪」
その声に、少女たちは歓声を上げながら室内へ入る。
ある者は活け花を学ぶため、そしてある者はその者たちと触れ合うために…
そこには先ほどとは違う、ゆったりとした空気が流れていた。


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