ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 本の行方

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真紅「ふぅ…次は何を読もうかしら…」
ある日の昼休み、誰もいない部屋に響く声…。
この日、真紅はいつものように図書室に本を借りに来ていた。
しかし、「趣味は読書」と自分で言うだけあって、読みたい本はもう大体読み終えてしまっている。
もし残っているとすれば、すでに誰かに借りられているものの中…
そう考えた彼女は、早速貸し出しカードの束を一枚一枚丹念に調べ始めた。
そこに現れたのは、今まで見たことの無い…そして普段なら興味の無いまま終わりそうなジャンルのタイトルの数々…。
それらから本の内容を想像するのも、なかなか楽しい作業だった。
そして、その中にあった一文に彼女は心を奪われる。
『思春期・青年期の理論と実像』…名前からして複雑と分かる、本のタイトル…。
しかし、教師を務める身としては、たまにはこういう本も読んでおいたほうがいいのではないか…
真紅「…しかし、物好きもいるものね…。こんな本を半年も借りている生徒がいるなんて…。」
半ば呆れながらそう言うと、彼女はその生徒の元に早くそれを返すよう、催促しに行った。


真紅「桑田さん、あなた4月からずっと借りている本があるでしょう?早く返して頂戴。」
ラウンジで他の女子たちと談笑する由奈の姿を見つけると、真紅は毅然とした態度でそう声をかけた。
対する由奈のほうはというと、少し戸惑った様子でこう答えた。
由奈「えっ!?は、はい…!えっと…なんていうタイトルですか?」
なんていうタイトル…?こういう場合、普通はそんな質問はしないはず…
大体、こんな難解な書物を高校生が読むはずは無い…
そして…こういった学術書は高値で売買されているはず…
その時、真紅の頭の中で何かが閃いた。
裏で…何か良からぬ事を企んでいる者がいる…。
そして、それが出来るのはこの学校で出納を担当する者だけ…
さらにこの生徒と繋がりがあり、こんなことを実行する人物はといえば…
真紅「…ありがとう、もういいわ。」
そう言うと、彼女はどこか脅えた様子を見せる少女を解放し、図書室へと戻っていった。


真紅「…メイメイ、ちょっといいかしら?あなたに聞きたいことがあるんだけど…。」
次の日、真紅は何か大掛かりな荷物を携え、彼女の元を訪れた。
その様子を、いつものように冷めた態度で眺めつつ、メイメイは呆れたようにこう言った。
メイメイ「…何ですか、そんな怖い顔して…。残念ですが、ここには水銀燈先生はいませんよ?まぁ、もしいたとしても…」
真紅「いいえ、今日はあなたに用があるの。あなた…去年から今年にかけて、図書の発注業務を行っていたわよね?」
メイメイ「…ええ。それが何か?」
真紅「実はね…ここの目録にあるはずの本が、何冊か無いことが分かったの。…かなり手の込んだ方法よ…。あたかも生徒たちに本を貸したように見せかけ、その差額を奪うという…ね。」
メイメイ「…そうですか。分かりました、今すぐ在庫を確認して…」
真紅「ええ…でも、その生徒たちが全員水泳部というのはあまりにも不自然じゃない?…秘密の漏洩を恐れるがあまり、新たな失敗を招いてしまったようね…!メイメイ…!!」
そう言うと、彼女は持ってきた荷物を広げ、厳しい口調でこう続けた。


真紅「さぁ、もう観念しなさい…!さっき言った本の代金…その額が、ゆうに100万を越えているんだけど、これは一体どういう事かしら!?」
持ってきた荷物…それは過去2年間に横領してきた代金の詳細をあらわすもの…。
そして、どこをどう見ても自分が犯人と分かるもの…。
それを見た瞬間、メイメイの透き通るほどの白い顔がどんどん青ざめていく。
もし、ここにあの方がいれば…彼女はそう思ったことだろう。
そう…彼女の本来の役割は、あくまで後方支援…
突破口を開き、致命傷を与えるのは全て『別の人物』に任せているのだから…。
そのため、彼女はこんな陳腐な言葉でしか反撃することが出来なかった。
メイメイ「あ、あくまで私が犯人だといいたいようですね…!いいでしょう…そこまで私を侮辱するのなら、名誉毀損の罪で…」
真紅「そう…なら、今あなたが言ったように、しかるべき手段に訴えて徹底的に調べてもらうわよ?それでもいいのね?」
その瞬間、メイメイは自分が策に嵌った事を自覚した。
そしてよろよろとその場にへたりこむと、彼女はさっきまでの態度を一変させ、さめざめと涙を流しながらこう言った。


メイメイ「ご…ごめんなさい…。どうしても欲しい物があって…。どんな処分も甘んじて受け入れます…。だから…だから…」
そんな彼女を優しく抱きしめると、真紅はこう声をかけた。
真紅「いい子ね…。でも、そうじゃないでしょう?」
その言葉の真意を理解した瞬間、メイメイは力いっぱい彼女を抱きしめた。
そう…それは『愛』と言っても過言では無いかもしれない…。
それは、純粋で穢れなきもの…。
真紅「ちょっと!離しなさい!!どうせ、真の首謀者は水銀燈でしょう!?早くあの子を捕まえないと…!!」
メイメイ「だめ…!お姉様のところにだけは、絶対に行かせるわけには…!!」
しかし…それは酷くいびつで、滑稽なもの…
他人から奇異の目で見られていることは、十分判っている…。そして、それが決して報われるものでは無いという事も…。
しかし、それでもなお、彼女はその細い腕に力をこめ続けた。
『そんなことがあっても、お姉様を守る』
…それが、自分に科せられた使命なのだから…。