ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

もしも小学校の教師だったら・・・真紅編

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生徒S「こうちゃの先生が来たー」
Sの言葉に教室内は俄かに騒がしくなった。
生徒達には前日に今日は高等部の先生が授業を行うという説明はされていたが、
誰が教えに来るかは知らされていなかった。
Sが言ったこうちゃの先生とは言うまでも無く、真紅の事であった。

真「皆、久しぶりね。元気だったかしら?」
生徒達「は~い」
皆の元気な返事に真紅は満足した。
これなのだ、高等部にはないこの元気の良さが真紅には堪らなかった。
真「良い返事ね。皆元気が良くて、私も嬉しいのだわ」
真紅は今日の説明をしていく。まず、何故自分が今日授業を行うのか。
次に、今日の連絡事項。最後に、今日行う授業の説明だった。
真「それで、授業についてなんだけれど・・・」
真紅はそう言って魔法瓶を取り出す。
真「私はいつも授業中、こうして紅茶を飲んでいるのだわ。前回はそうしなかったけれど、
   今日は飲ませてもらうのだわ」
生徒A「先生、本当にこうちゃが好きだね」
真「ええ、今すぐ飲みたいくらいに」
そう言って教室中で笑いが起こった。前回の授業参観でのやりとりと同じだったからである。

授業が始まり、真紅は紅茶を飲みながら授業を行っていく。
その様は勝手知ったるといった感じで淀みなく進めていく。
紅茶を飲みながらというのもあり、本来の調子が出ているようだ。
やがて午前の授業が終わり、給食の時間になった。
真紅はこの時間を待ち望んでいた。給食そのものも結構美味しかったが、何より牛乳が飲める。
給食係が全員に配膳して、日直の号令で食べ始めた。
それからしばらくして、真紅は立ち上がった。
真「そう言えば、今日は一人欠席していたのだわ」
芝居がかった言葉で真紅は続ける。
真「これでは牛乳が一本余ってしまうわ。戻してしまうのも勿体無いし、ここは私が飲んでおくのだわ」
如何にも余った牛乳が勿体無いから飲む、という形でもう一本を取りに行った。
廊下に置いてある箱の中にある牛乳瓶を取ろうとした時、真紅に声がかかった。
水「あぁ~ら?2本も牛乳飲むのぉ?」
真「・・・はっ!?」

迂闊だった。今日、初等部に来ていたのは自分だけではなかった事を失念していた。
そして、自分の最も見られたくない姿を、最も見られたくない相手に見られてしまった。
真「何で貴女がここに居るのかしら?貴女の教室は3階のはずでしょ?」
水「給食を食べていたら、何だか急に貴女の顔が見たくなったのぉ」
にやにやしながら水銀燈は真紅を見つめる。
真「な、何よ・・・」
水「相変わらず、涙ぐましい努力をしてるわねぇ」
目頭を押さえる振りをする。顔がにやけているので余計腹が立つ。
真「あ、あ、貴女には関係ない話なのだわ!」
焦りと苛立ちで少々語気が荒くなる。生徒達は何事だ?と廊下の方を見る。
水「あらあら、皆見てるわよぉ・・・怒っちゃいやぁん」
真「さっさと自分の教室へ戻りなさい・・・私の気が変わらないうちに」
水「そうねぇ・・・面白い物も見れたし、そうするわぁ」
そう言って踵を返す水銀燈。2,3歩進んだところで立ち止まって振り返る。
水「ま、世の中幼児体型の方が良いって男も居るし、焦る事はないわぁ」
真「な・・・な、なんですってぇ!!」
その後、キレた真紅は水銀燈を追い掛け回したが逃げられた。
舌打ちをする真紅のそばへ雛苺がやってきた。
雛「真紅先生何やってるの?」
真「あら雛苺先生、何でも無いのだわ」
雛「なら良いけど・・・皆ビックリしてたの」
雛苺の言葉に周りを見渡す真紅。どの教室の生徒も真紅たちに視線を注いでいた。
真「な、何でもないのだわ。さあ、早く給食を食べなさい」
多少、顔を赤くしながらも真紅は自分の教室へ戻り、牛乳を飲んだ。

生徒G「先生~」
真「あら、何かしら?」
午後の授業で、真紅は質問を受けた。
G「こうちゃっておいしいの?」
真「ええ、この世で最も美味しい飲み物ね」
もしこの場に水銀燈が居れば、ヤクルトが至高であると言い出したであろう。
G「ジュースとかしかのんだ事ないからのみたい」
Gの言葉にクラス中から飲みたいコールが沸き起こる。
真「あら、困ったわ。この中には皆が愉しむ分の紅茶は入っていないし・・・」
真紅はふと黒板の横に貼り付けられた時間割表を覗く。次の時間はいわゆる総合的な学習の時間だった。
この時間は基本的に教師の裁量で自由に使うことができる。当然、普通に授業を行う事ができるし、違う事を行う事もできる。
しばし考えた後、真紅は次の時間に行う事を決めた。
真「そうね、次の時間は皆に美味しい紅茶の淹れ方を教えるのだわ」
沸きあがる歓声を背に、真紅は廊下で携帯を取り出し電話をかける。
真「・・・あ、ホーリエ。仕事中で悪いのだけれど、1クラス分の紅茶の葉を用意してもらえるかしら。
   請求は校長にでも回しておけば良いのだわ」
ホ『分かりました。では、そちらの職員室の机に置いておきますね』
真「ええ、お願いね」
携帯の電源を切り、真紅は授業へ戻った。

休み時間、真紅が職員室へ戻ると確かに机の上に紅茶の茶葉が1クラス分置いてあった。
但し、ダージリン、アッサム、ニルギリ、ジャワなどが『それぞれ』1クラス分だった。
傍に置いてあったメモに目を通す。
『銘柄を聞いてなかったので、適当に買ってきました。
     P.S. 代金の方はローゼン校長の方へ請求しておきました。  ホーリエ』
と彼女独特の丸文字で書かれていた。
真(熱心なのは良いけど、どこか抜けてるのよね・・・あの子は)
軽く溜息を吐いていると、横から教頭がやってきた。
教頭「真紅先生、先程高等部の事務の人が貴女宛に茶葉を持ってきましたよ。
   いや~、紅茶がお好きだとは聞いていましたが、随分沢山飲まれるんですねぇ」
皮肉でも何でもなく、単純に驚いていた。ラプラスならこれだけで2時間はお説教できただろう。
真紅はそれに感謝しながら、教頭にお裾分けした。
教頭「え?良いんですか?いやぁお裾分けとは言え、女性から貰えるなんて嬉しいですよぉ」
真「いえ、流石にこんなに沢山は短期間で飲めませんので」
教頭「それじゃあ、有り難く頂きますよ。いやぁ、はっはっは・・・」
何が面白いのか知らないが笑いながら去っていく教頭。
真「さて、早く行かないといけないのだわ」
残った茶葉のうち、ダージリンとアッサムを持っていった。

真「あら?どうしたのかしら?」
家庭科室前に来たとき、自分のクラスの生徒が集まっていたからだ。
生徒C「あ、先生~。今、教室を5年生が使ってるみたいです」
外から教室の中を窺うと、確かに使っているようだ。
しかし、先程確認したがこの時間はどのクラスも使っていないはずだ。
それに、家庭科室を使うという事は当然調理実習という事になる。
給食を食べた後でまた何かを作るとは考えられなかった。
真「一体、何をやっているのかしら?」
真紅はドアを開けて中へと入り、黒板の方を見た。
翠「あれ?真紅先生どうしたですか?」
真「やっぱり貴女だったのね」
翠星石が受け持っていたクラスだった。

真紅はこの教室を使用する理由を問いただした。
普通に授業する事に飽きた翠星石は急に調理実習をやると言い出し、給食は食べたのでデザートにしたそうだ。
翠星石も逆に問い返す。
真「この子達に紅茶の素晴らしさを教えようと思って、コンロが有るこの部屋を使おうとしたのだわ」
翠「う~ん・・・でも、今は翠星石たちが使ってるです」
真「私は正式な授業としてここへ来たのだわ」
翠「・・・それなら、一緒にやらないか?ですぅ」
翠星石の提案は、デザートは5年生が作り、紅茶を2年生が作って、一緒に食べようという物だった。
それを聞いた途端、2年生は大はしゃぎし始めた。
真「こうなったら仕方ないわね。それも悪くないのだわ」
こうして、2年生と5年生の共同授業が始まった。
真(・・・あの茶葉が無駄にならなくて良かったのだわ)

翠星石は5年生の生徒達にアップルパイの作り方を教えていく。
包丁を使う部分は5年生が担当するが、簡単な所は2年生も一緒に手伝った。
下準備が終わり、後はオーブンで焼くだけといった状態になると、今度は真紅の番だ。
真「では、これから美味しい紅茶の淹れ方を教えるのだわ」
真紅は紅茶の説明をしていく。教師用のテーブルに置いた茶葉の袋を一つずつ取って種類を教え、
茶葉毎の最適な淹れ方を説明していく。
真「ダージリンはストレートティ、アッサムとニルギリはミルクティ、ジャワはアイスティに向いているのだわ」
次に、2年生に飲みたい種類の茶葉をそれぞれ分け与えていく。
真「そう言えば・・・翠星石先生、ミルクは有るかしら?」
翠「流石に全員分はねーです」
真「給食の牛乳は残っているかしら・・・」
翠「もう残ってねーですよ。お昼休みに雪華綺晶先生が給食室で残り物を全部食っちまったです」
真「・・・・・・どこに居ても、マイペースなのね彼女は・・・」

真紅は再び携帯を取り出し、ホーリエにかけた。
真「また用事で悪いのだけれど、ミルクを集めて欲しいのだわ」
ホ『どれ位の量が必要ですか?それと銘柄は?』
真「・・・一クラス分集めて欲しいの、中等部の給食で残った牛乳が有ると思うのだわ。もし無かったらスーパーで買ってきて頂戴」
ホ『分かりました。どこへ運びましょうか?』
真「家庭科室へ運んで頂戴」
ホ『それでは10分ほどでお届けします』
真「いつも悪いわね」
ホ『それは言わないお約束だよ、おっかさん』
お約束のやり取りが終わって携帯の電源を切る。10分なら丁度良い頃だ。

それからきっかり10分後、ホーリエが家庭科室へやってきた。
両腕には一クラス分の牛乳瓶が抱えられていた。
ホ「お待たせしました・・・あれ?翠星石先生も一緒だったんですか?」
真「ご苦労様。皆、ミルクが届いたのだわ」
受け取った真紅はミルクティを希望した生徒に牛乳瓶を渡していく。
ホ「では、私はこれで・・・」
真「待ちなさい」
帰ろうとしたホーリエを真紅は止めた。
真「一緒にティータイムを愉しまない?30分ぐらいなら問題無いでしょう?」
翠「アップルパイも食って行きやがれです」
ホ「・・・良いですねぇ、私アップルパイ大好きなんです」

かくして、焼きあがったアップルパイと紅茶を皆で愉しみながら本日の授業は終了した。

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