ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

オープン・ウォーター

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真紅「信じられない!あの子、一体何考えてるの!?」
ある日の朝、真紅は送られてきたFAXの用紙を見るなり、その怒りを爆発させた。
その様子を見て、ある者が心配そうに声をかけた。
薔薇水晶「一体…どうしたんですか?生徒が…問題を起こしたとか…?」
その問いに対し、真紅はイライラした様子でこう答えた。
真紅「生徒じゃないわ!水銀燈よ!!この紙になんて書いてあったと思う!?『本日、4月18日から5月8日まで、有給をとらせて頂きま~す♪』よ!?最近やけに大人しいと思ったら、こんな事を企んでいたのね…!!」
薔薇水晶「え…!?でも、私には頭が痛いからお休みするって…」
真紅「そんなの嘘に決まってるじゃない!!20連休だなんて、今まで聞いたことが無いわ!!あの子、本当は馬鹿なんじゃ…金糸雀!!今から会議だというのに、一体どこに行こうとしているの!?」
その声に、慌てて荷物を抱えて逃げるも、時すでに遅し。数十秒ののち、彼女は真紅に引きずられながら職員室に戻ってきた。
その金糸雀の行動に「愚かね」と呟くと、真紅は職員室にいる全員に向かってこんなことを言い出した。


真紅「…とにかく、居なくなってしまったものは仕方が無いわ。忙しいところ悪いんだけど、みんなで手分けして生徒の面倒を見てあげて頂戴。薔薇水晶…まだ慣れていないところ悪いけど、あなたも手伝ってくれる?」
薔薇水晶「うん…でも…」
そんなどこか心配そうな様子を見せる彼女に対し、真紅は優しくこう言った。
真紅「…大丈夫。あの子はちゃんと帰ってくるわ。あなたがここにいる限り…。それに…」
薔薇水晶「…それに…?」
真紅「…もし帰ってこなかったら、あの真っ黒な服を全部剥ぎ取って、学校中を引き回してやるわ…!!」
その迫力に、思わずすくみ上がる一同。
…こうして、学園では久しぶりに水銀燈のいない生活が、その幕を開けた。


水銀燈「…つまらない所ね…。」
それから一週間後…。そんなやり取りがなされているとは露知らず、彼女は1人、海を見ながらそう呟いた。
『セレブリティクルーズ』と銘打った、アメリカからイギリスまでの豪華客船の旅…
最初は心躍らせて参加したのだが、1週間もすればその暮らしに飽きが生じてきた。
船という閉鎖された空間…元々、自由奔放に行動するのが好きな彼女にとって、それはまさに監獄に入れられたような気分だった。
もうカジノもエステもショッピングもやり尽くした…。なのに、時間だけはたっぷりある…。
こんな事なら、大人しく世界遺産を見てまわったほうが面白かったのかもしれない…。
そんな想いからか、「はぁ…」と珍しくため息をつく彼女に、ある者が声をかけてきた。
?「…久しぶりだね…。まさか、こんなところで君に会えるとは思ってもいなかったよ…。」
振り返ると、そこには車椅子に座った初老の男性の姿があった。


水銀燈「あらぁ…?随分、懐かしい人に出会えたものね…。久しぶりに実業界に戻った感想はどう?結菱“社長”…?」
その言葉に、『社長』と呼ばれた男は付添の者に席をはずすよう命令し、彼女の問いに対しこう答えた。
一葉「…私自身は何もしていないから、なんとも言えんよ。部下が全てやってくれるからね…。その代わり、君は随分と真面目に働くようになったそうじゃないか。蒼星石から、話は色々と聞いているよ。」
水銀燈「ふん…。本当に真面目なら、こんなところにいる訳がないでしょう?…ところで、あなたはこんなところで一体何をしてるの?見たところ、そんなに楽しんでるようには見えないけどぉ…」
その言葉に、一葉は少し言葉を溜め、海を指差しながらこう言った。
一葉「…この下にはね。弟の魂が眠っているんだ…。昭和32年に沈没したダイナ号と共にね…。今まではここに来る勇気もなかったんだが、君たちのおかげでやっとその決心がついたんだ…。そう言う意味では、君にも本当に感謝しているよ。」
水銀燈「…大切な姪っ子さんがあんな事になったのに、その『犯人』に向かってそんなことが言えるなんて大したものね。」
そう…それは、2人にとって忘れられない過去…。
かつて、水銀燈…そして一葉の2人は、己の野望のために彼の姪…つまり蒼星石を利用し、そして傷つけた。
そんな事を踏まえたうえで、なおも自虐的な言葉を返す水銀燈に、一葉は続けてこう言った。


一葉「…その事だが、君は去年、随分と大変な思いをしたそうじゃないか。その時、蒼星石は言っていたよ。『ああなる前に、自分を頼って欲しかった』ってね。…あの子は、もう過去の事なんか気にしていない…。私や蒼星石が変われたように…そして君自身が変わろうと望むのなら、もっと学校が楽しく…」
水銀燈「…余計なお世話よ。壊すより、創るほうがはるかに難しい…。それは社長であるあなたのほうがよく知って…」
その言葉に彼女はハッとしたように一葉を見ると、踵を返しこう言った。
水銀燈「…少し喋りすぎたわね。私はそろそろ失礼するわぁ…。」
その言葉に、一葉は慌てて彼女を引きとめようとする。その時、彼の元へ先ほどの従者が慌ててやってきた。
どうやら、誰かから電話がかかってきたらしい。
気持ちを切り替え、電話に集中する一葉。しかし、その内容はかなり深刻なものらしかった。


一葉「…もしもし…。ああ、君か。…何?…分かった、派遣のほうへ連絡しておく。お金は私が出しておくから、君はそのまま病院にいるといい…。大丈夫…じゃ、失礼するよ。」
水銀燈「…だぁれ?病院とか、物騒な事言ってたけど…」
興味本位でそう尋ねる彼女に、彼は心配そうな顔でこう告げた。
一葉「…蒼星石からだ。どうも、新任の薔薇水晶という子が過労というかなんというか…体育のサッカーのしすぎで倒れてしまったらしい。幸い、命に別状は無いみたいだが…」
水銀燈「…何で、体育ごときで倒れるのよ?全く…これだからお馬鹿さんは…」
そう言うと、彼女は近くのベンチに座り、何かを考え始めた。
私の代わりに、彼女が授業を受け持っていたというの…?それも過労で倒れてしまうほどに…?
まあ、あの子は根が真面目だから考えられなくもないが…でも…
その様子に、彼は水銀燈に対しこんな提案をした。
一葉「そんなに心配かね…?もしよかったら、今すぐヘリと飛行機を用意させるが…」
水銀燈「ふっ…そんなので借りを作られちゃ、たまったもんじゃないわ。それに、命に別状は無いんでしょう?だったら…」
口元を手で隠しながらそう言う彼女に、一葉は「ふぅ…」と少しため息をつくと、こんな話をし始めた。


一葉「…前に聞いた事があるかもしれないが、あえてもう一度聞いてくれるかね…。その昔…私はつまらない事に縛られ、弟だけでなく最愛の人までも傷つけようとした…。そして、それに気がつくまでに私は十分すぎるほどに歳をとってしまったが、君は違う…。君は私のようになっては…」
それは、彼にとって一番辛い出来事…。もう終わったことと分かっていても、ついつい伏し目がちになってしまう…。
そんな彼の態度に、水銀燈は呆れた様子でこう言った。
水銀燈「あのね…いくら自分が不幸だったからって、それを私に当てはめるのはやめてくれる?…ま、いいわ…。この船にも飽きてきたところだしぃ…ちょっと早めに帰ろうかしら…。ほら、気が変わらないうちに早くヘリを用意しなさい。」
その言葉に、一葉は少し微笑みながらどこかへ電話をかけた。
まもなくその場に到着するヘリ…水銀燈はそれに落ち着いた様子で乗り込むと、去り際にこんなことを一葉に告げた。
水銀燈「そうそう…あなたのところのAって課長…。あいつ、かなり経費をごまかしてるわよぉ…。それと、女遊びは程々にって注意してあげたほうがいいんじゃなぁい?」
その言葉に、一葉は慌てて本社に電話をかけ始める。
かつて恐怖の象徴として君臨し、皆から疎まれ、そして避けられ続けた者…
彼女は今、別の形で皆の前に現れようとしていた。
全てを破壊する漆黒の悪魔としてではなく、人を教え導く守護天使として…


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