ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 受験勉強

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男子A「はぁ…どうしよ…。」
黒く厚い雲が空を覆う中、その生徒は教室で1人、1枚の紙切れを見ながら静かにため息をついた。
見るとその紙には、赤い字で小さく『57点』と書かれている。
実は今日、今回の中間試験の結果が返ってきたのだが、その結果が予想以上に悪かったのだ。
来年は受験があるというのに、この点数はかなりまずい…。
しかも、センター試験ではこの英語が大きなウエイトを占めているはず…
男子A「…もう、諦めて専門一本に絞ろうかなぁ…。」
誰に言うでもなく、その生徒は小さくそうつぶやく。
その時、まるでその声を待っていたかのように、ある者が喜々としてこう声をかけてきた。
水銀燈「やっぱり、真紅が担当じゃその程度よねぇ…♪仕方ない…この私が格の違いってものを見せてあげるわぁ♪」
そう言うと、彼女は強引に彼の答案用紙を取り上げた。


水銀燈「…ふぅん。構文がまるでなってないじゃなぁい。それに、この世に無い単語を勝手に生み出してくれてるし…。」
男子A「は…はぁ…。スイマセン…。」
ばつの悪そうな顔を浮かべる生徒に対し、何故か彼女の表情は明るいままだった。
そう…ここで生徒の評価を勝ち取っておけば、ゆくゆくは私が真紅に代わり、英語を教えることになるはず…。
そうすれば、あの子はお払い箱。解雇を言い渡された時、どんな顔をするのだろう…。
そんなことを考えると、自然と笑みがこぼれてくる。
一方、生徒のほうはというと複雑な心境だった。
そりゃあ、学園一といっていい程の美貌を持つ彼女に個人授業をしてもらえるチャンスなどめったに無いし、それは嬉しい…。
しかし…去年、彼女が日本史や政治経済を教えていた時のスパルタぶりは半端なものではなかった。
しかも今回は、明らかに一番仲の悪い真紅先生を標的にしている…。ということは、それ以上の…。
水銀燈「…何、ボーっとしてるのよ。遊んでる暇は無いのよぉ?ほら、早く席につきなさぁい♪」
その言葉に、彼は大人しく従うしか方法がなかった。


水銀燈「何で、Mayが入るのよ!?後ろに『主語+助動詞の過去形+動詞の原形』が来てるでしょう!?だから、仮定法に決まってるじゃない!!」
男子A「は…はい…。スイマセン…。」
その煮え切らない反応に、水銀燈はさらにイライラした様子で、頭ごなしに彼を叱る。
あれから1週間経過したが、彼の成績は一向に上がることはなかった。
それどころか、むしろ小さなミスが目立つようになり、生徒の方にも『頑張ろう』という生気が全く感じられなくなっていた。
そんな様子を見て、彼女は彼に対しこんな言葉を投げかけた。
水銀燈「…こんな有様で、よくこの学校に入ってこれたわね…。もしかして、スポーツ推薦か何か?だったら、大学受験なんか諦めて手に職つけたほうがいいんじゃないのぉ?」
男子A「い…いや、とりあえず大学ぐらいは…」
その言葉に水銀燈は彼の胸ぐらをつかみ、不満を爆発させる。
水銀燈「…だったら、もっと真剣にやりなさいよね…!この私の顔に泥を塗るような真似だけは…」
真紅「…!?ちょっと!!あなた、一体何をやっているの!?」
その様子を見て、たまたまその部屋の横を通りかかった真紅は、慌ててそれを止めに入った。


真紅「なるほど…大体の話の流れはつかめたわ。…それにしても、あなたも懲りないわね…。去年はそれで失敗したくせに…」
呆れたようにそう言う真紅に対し、水銀燈はこう答えた。
水銀燈「ふん…あれは失敗なんかじゃないわ…。みんながお馬鹿すぎるから、ついていけなかっただけ…。言葉に気をつけなさい…!」
真紅「…ま、とにかく英語の担当は私なんだから、これからは私に任せて頂戴。いいわね?」
男子A「え…でも…。」
その提案に、戸惑う生徒。それに対し、水銀燈は真紅に向かってこう言った。
水銀燈「いいわよぉ…。私だって、いつまでもこんなお馬鹿さんのために大切な時間を割くわけにはいかないしぃ…。ま、お馬鹿さん同士、仲良くしなさぁい♪」
そう言って立ち去る彼女を見て、真紅は彼にこう声をかけた。
真紅「…負け犬の遠吠えよ、気にしなくていいわ。…それで成績に関する話だけど、いきなり60点を100点に引き上げるのは無理よ。まずは、60点を65点に引き上げる努力をしなさい。方法はあなたに任せるわ。」
生徒「え…でも俺…勉強の仕方とか分からないし、それにそんな余裕かましてる暇は…」
真紅「『千里の道も一歩から』と言うでしょう?いいから、2週間続けてみなさい。その際、不定詞なら不定詞だけをやるの。諦めて他のところに目を奪われてはダメよ?そして、その中で、自分にあった勉強方法を見つけなさい。」
優しく諭すようにそう言うと、彼女はその場を立ち去った。
「分からないところがあったら、遠慮なく聞いて頂戴。…大丈夫、あなたならきっと出来るわ。」
という言葉を残して。


それから2週間後、彼の成績は60点が65点、65点が70点という具合にみるみると上がっていった。
男子A「ありがとうございます!ホントに何て言っていいか…」
わざわざ職員室に立ち寄り、そうお礼を述べる生徒に対し真紅は優しくこう言った。
真紅「あれはあなた1人で成し遂げたことよ。私はその手助けをしただけ…。だから、これからも自信を持って勉学に励みなさい。いいわね?」
「はい!」と元気よく答える生徒。それに対し、少し離れた席でその会話を聞いていた者は、読んでいた雑誌から目を離すことなく、さらりとこう言った。
水銀燈「…私の下地があったおかげでしょう?…ま、お馬鹿さん同士、気が合うみたいだしぃ…これからもその方法で頑張ればぁ…?」
その意外な言葉に、ある種の安堵感を得る2人。
どうやら彼女は、今回のことに少しも気に留めていないようだ。
しかし…


配送員「すいませーん。Amazonさんから届けものなんですが…。ハンコを…」
水銀燈「そう…じゃあ、玄関の前に置いておきなさい…。」
配送員「いや…あの…ハンコか何かをいただかないと、この量では…」
水銀燈「…聞こえなかったの!?早く、それを置いて立ち去りなさい…!!」
そう言って宅急便の配送員を追い返すと、彼女は玄関の前に置かれた荷物を急いで開け始めた。
中に入っていたもの…それは、『生徒を伸ばす100の方法』と書かれた本や、心理学の本、それに経営管理に関する本の数々…。
彼女は己のメンツを守るために、顔を見られる心配の無い『通販』という方法で、それらを大量に手に入れた。
そう…全てはこの雪辱を晴らすためだけに…。
彼女にとって、努力など一番嫌いなこと。周りもそれを熟知している…。
だからこそ、その行為は絶対に表に出すわけにはいかないし、バレてしまえばそれこそ真紅に…
水銀燈「…それでも、負けるわけにはいかないのよ!真紅ごときに…!!」
蛍光ペンを走らせながら、恨みがましくそう呟く彼女。
彼女にとって、今一番重要な事…それは真紅とは別の方法で生徒の成績を上げてやる事…。
そして、こんな屈辱を味あわせてくれた真紅を屈服させ、今度こそ孤立させてやる事…。
大好きな夜遊びを中止させるだけの価値が、そこにはあった。