ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

こうちゃの先生

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校内にホームルームの開始を告げるチャイムが流れる。
先程まで騒がしかった校舎内を1人の女性教師が歩いていく。
紅い服に身を包み、自慢の金髪をたなびかせて歩く・・・真紅である。
しかしその足取りはゆっくりで、まるで教室を一つ一つ確認しているかのようだ。
やがて彼女はある教室の前にたどり着き、中へと入っていった。
教室の扉に掛かっている表札にはこう書いてあった。
「2ねん4くみ」と。

話は数日前に遡る。
放課後、いつものように紅茶(ダージリン)を飲んでいる真紅の所へローゼンがやってきた。
ローゼン「真紅先生、今度の水曜日空いてるかなぁ?」
真「来週の水曜日?・・・・・・今度は一体何を企んでいるの?」
ローゼンの言葉に対して当然のように警戒する真紅。
ローゼン「相変わらず信用無いなぁ」
真「貴方にとって最も縁遠い言葉ね」
ローゼン「手厳しいなぁ。まあ、それはともかく空いてる?」
真「用件は一体何かしら?内容によっては考えない事も無いのだわ」
ローゼン「実はさぁ・・・」

ローゼンが言ってきた内容は、一日初等部のクラスを受け持って欲しいと言うものであった。
何でも、そのクラスの担任である柴崎マツ先生が親戚の法事にどうしても行かなければならず、
更にはその日は授業参観が行われると言う事も有って、自習という訳にも行かなかったのだ。
真「何故私が?初等部受け持ちの先生は他にも・・・」
ローゼン「授業参観の時間の授業が英語でねぇ」
最近は小学校でも英語教育が盛んに行われるようになり、それは有栖学園も例外ではなかった。
真「それなら中等部で空いている先生は・・・」
ローゼン「中等部も授業参観なんだ。どちらかと言うと、その後の懇談会がメインだけど」
要するに手が空いているのは高等部だけという事になる。
真「では、水曜日の私の受け持ちは・・・」
ローゼン「自習って事でさ、頼むよぉ」
校長の威厳とか全く無い(元々無いが)口調で頼み込む。
そんな姿を哀れに思ったのかどうかは分からないが、真紅はローゼンからの頼みを承諾した。

真「今日は柴崎先生の代わりに私が皆に授業を教えるのだわ」
黒板に自分の名前を書く・・・漢字で。
女子が手を挙げて発言する。
女子A「先生よめません」
真「あら、この漢字はまだ習っていないのかしら?ゆとりある授業という物も困ったものね」
そう言って振り仮名を書き足す真紅。ちなみに真も紅も小学2年生では絶対に習わないのだが・・・。
確かに他の教師と比べたら簡単な方ではある。
真「それでは、顔と名前を覚えるために出席を取るのだわ。呼ばれたらちゃんと返事をするのだわ」
名簿を片手に順番に読んでいく真紅。子供たちも元気良く返事をする。
真(・・・こういう所は素直で良いわ)

全員の出欠を確認すると、真紅は教卓前の席の男子にいつもの台詞を言った。
真「貴方、紅茶を入れてきて頂戴」
男子A「え?」
俄かに教室内が騒がしくなる。女子の1人が発言する。
女子B「先生、授業中に飲み物飲んでたらいけないんですよー」
しまったと真紅は後悔した。つい、いつもの癖で言ってしまった。
真紅は授業中に紅茶を飲んでいる。おかげで一日10杯近く飲む事もある。
毎年、有栖学園高等部に入学してくる生徒は真紅のこの授業の仕方に驚くが、最終的に納得させてきた。
しかし相手は小学生、若さゆえに無言の圧力というものは通用しなかった。

これは余談だが、有栖学園の教師たちの中で、授業中が最も変な教師は真紅だったりする。
優等生タイプである蒼星石と薔薇水晶は問題なし。金糸雀、翠星石、雛苺の三人もコントみたいな事を仕出かすが
問題はさほどない。雪華綺晶は授業ではむしろ真面目な方である。そして水銀燈と真紅だが、水銀燈は不真面目なだけで
それ自体は変わったことではない(問題ではあるが)。授業中に紅茶を飲む真紅が一番変わっているのだ。
子供たちから見れば、それはやはり変なわけで・・・。
真「そうね。先生が間違っていたのだわ・・・」
休み時間に飲もう・・・、と苦渋の決断を下した。

かくして、真紅の授業が始まった。
中学高校と違い、小学校の授業は基本的に担任が全て受け持つ。
とはいえ、所詮は小学2年レベル。算数や国語など、専門ではない科目も特に困るような事はなかった。
ただ、授業中禁断症状の様な兆候が真紅を苛み、授業が終わり次第職員室に駆け込んで紅茶を飲むという
ちょっとアブナイ人と化していたが。

生徒達『いただきまーす!』
日直の号令にあわせて、全員でいただきますを言う。
昼食は真紅も教室で一緒に給食を食べる事になった。
真(最近の給食は結構種類が豊富なのだわ・・・それに・・・)
真紅の瞳にある物が映っていた。牛乳瓶である。
周知の通り、真紅の胸は貧ny・・・もとい控えめな大きさである。
その為、朝な夕な牛乳を飲んでいるのだが、それでも大きくならない。
『もしかしたら、三食きちっと飲んだ方が良いのではないか?』
そう考えていたのだが、職員室で牛乳なんて飲んでいればどうなるか・・・。
その為、ミルクティーという形で牛乳を飲んでいた。しかし、給食という形で堂々と飲めるのだ。
できる事なら他のクラスの欠席した子の分まで欲しかったが、流石にそれは躊躇われたが。
それでも、真紅は引き受けて良かったと心から思った。

真「今日は担任の柴崎先生の代理として授業を行っている真紅です」
教室にやってきた父兄に説明する真紅。子供達の方を見ると流石に緊張しているのか、午前中に比べて大人しい。
真「普段は高等部の生徒達を相手に英語の授業をしているから、皆がどれぐらい英語ができるか分からないのだわ」
真紅は目の合った男子に尋ねる。
真「それでは、貴方に英語で自己紹介してもらいましょうか」
男子C「え~と・・・My name is C」
真「Excellent」
同様にして何人かの生徒に幾つか質問をした。
真「なるほど・・・皆がどれくらい英語ができるか分かったのだわ」

真紅は教卓に置いてあったカードの束を取り出す。
カードはB4ぐらいの大きさで、カードには動物や乗り物、食べ物などが描かれていた。
真「今日は物の名前とその数え方を教えるのだわ」
1枚目のカードにはライオンが描かれていた。
真「これは何かしら?」
真紅の質問に元気良く手を挙げる子供達。
真「はい、Eさん」
女子E「ライオンです」
真「そうね、これはライオンなのだわ。アルファベットで書くとこう書くのだわ」
黒板にlionと書き込む。
真「ちなみに、英語に1匹、2匹という直接的な表現はなく、この場合はa lionやone lion、two lionsと言ったりするのだわ」
続いて2枚目のカードを掲げる。2枚目には自動車が描かれていた。真紅は手を挙げた生徒を指名した。
男子D「carです」
真「数え方は?」
男子D「え、その・・・分かりません」
家族の前で答えられなかったのが恥ずかしいのだろう、少し赤くなっていた。
真「分からないという事は、決して恥ずかしい事では無いのだわ。大切なのは知る事、そしてそれを忘れない事だわ。
   ちなみに、日本語では自動車は1台、2台と数えるけれども、これもone car、two carsと数えるのだわ」

同様にして3枚目、4枚目を見せて質問していく。
数え方は基本的に同じで、英語の名前さえ分かれば良いだけなので手を挙げる子供は多かった。
そして5枚目のカードを掲げる。そこには水が描かれていた。
真「さあ、これは何かしら?それでは、A君に答えてもらうのだわ」
男子A「それは水だからぁ・・・water!」
真「では、その数え方は?」
男子A「one waterです」
真「今までずっとそうだったから、そう答えたくなるのは分かるけれども残念ながら違うのだわ」
カードを置いて、黒板に先程の水の絵を描く。
真「今までのライオンや自動車は1、2と数える事が出来たのだわ。でも、水は数える事が出来るかしら?」
子供たちは押し黙ってしまう。確かに水そのものを数える事は出来ない。
では、一体どうやって数えるというのだろうか?

真「少し難しかったようね。では、水をこうしたらどうなると思う?」
そう言って、今度は黒板に円筒を描き、その中を青いチョークで塗りつぶした。
真「こうすれば、水を1杯、2杯と数える事が出来るのだわ」
教室のあちこちで「おぉ・・・」という声が聞こえてくる。
真「英語でも同じ事が言えるのだわ。だからこの場合、a glass of waterと数えるのだわ。
   ちなみに、紅茶の場合はa cup of teaと言うのだわ」
男子C「先生って、ホントにこうちゃ好きだね」
真「ええ、今すぐ飲みたいくらいにね。さ、続けるわよ」
その後、普通数える事が出来ない物の数え方を教え、授業参観は無事終了した。
翌日、柴崎元治からお礼だという事で法事の引き出物の饅頭を真紅は貰った。

しかし、それから1週間程、高等部での授業の張り合いの無さと給食や牛乳飲みたさに、
また初等部に行きたいなぁと愚痴をこぼす真紅の姿が有ったとか。

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