ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

日本史のお時間

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薔「・・・それでは、今日から戦国時代に入ります・・・いつも通り、皆のイメージを聞かせて」
薔薇水晶の言葉に生徒達は次々と発言していく。薔薇水晶はそれらの言葉を黒板に書き留めていく。
これが彼女の授業スタイルだった。
まず新しい時代に入ったら生徒達からその時代のイメージ等を尋ねる。
次にそのイメージと本当に合っているのかという点に着目しながら、順に教科書を進めていく。
そしてその時代の最後の授業で、テーマを出して生徒にディスカッションやディベートを行わせていた。
テーマは授業で話した事に限らず、あらかじめ生徒達に調べさせるような物も出す。
例えば「源氏と平家どっちが好き?」とか「武士と貴族、なれるならどっち?」と言ったものや
「もし自分だったらこの時どうする?」等の硬い内容ではなかった。
確かに、大学受験のための勉強と考えると余計な事に時間を割きすぎているかも知れない。
しかし、薔薇水晶はテストで良い点を取る事よりも、皆に歴史の面白さを知ってもらいたいと思ってこの授業方式を取っている。
それに生徒の方も結構楽しんでこの授業に臨んでいる。おそらく全科目中最も予習してくる者の多い授業かもしれない。
ディベートをするにはそれ相応の知識が必要になる上に、教科書外の事も調べなくてはならない。
最近はインターネットで簡単に調べる事が可能になったため、ある分野においては薔薇水晶以上の知識を持つ生徒も居たりする。
彼女がこの方式を取っているのも、生徒達の知識を自分も吸収できるからという理由もあった。
ディベート中の彼女の役割は話が脱線しないようにする進行と、生徒達の知識の補助をする事だった。

そして、今回の授業から入る時代は室町後期から安土・桃山を経て江戸時代へと移り変わっていく戦国時代。
一番最初の授業で行った「どの時代が好きか」という質問で最も多かった時代である。生徒達のテンションも高かった。
話題は次第に好きな大名へと移っていく。
生徒A「やっぱ最後の勝者の家康だよなぁ」
生徒B「おいおいあんな狸親父かよ。時代は島津だろう」
生徒C「今川が最強だろうが」
生徒D「お歯黒デブに用はねえよ。姉小路最強」
生徒A・B・C「おいw」
生徒E「・・・・・・二階堂盛義と隈部親永」
生徒一同「ちょっと待てよ、おいw」
などと盛り上がっていく。教科書に載ってない大名ばかりなところも彼らの知識量が窺える。
そんな戦国大名や武将の名前も順次黒板へと書き込む薔薇水晶。そして、黒板が書ききれなくなった頃に話を切り出した。

薔「・・・皆、沢山知ってるね・・・先生もあまりよく知らない人も出てきて感心したよ」
生徒達は薔薇水晶の言葉に注意深く耳を傾ける。ちゃんと聞かないと教室の後ろまで届かないのだ。
薔「・・・それで、今回は早めにテーマを言うね・・・今度のテーマは・・・『自分がこの中の人物或いは家来だったら、どうするか』
   ・・・今回はディスカッション・・・というよりも研究発表という形でやるね」
薔薇水晶は細かいルールを決めていく。武士の場合は天下を取った秀吉と家康はその道筋をただ辿るだけではダメ、
その家臣団も同様。また武士以外の人物でも可。武士以外の職業でも構わない。要するに、この時代に生まれていたら自分は
どのような人生を生きていくのか、という事を纏めるという物であった。
薔「・・・次の時間から始めていくけど・・・武士の歴史は皆良く知っているみたいだから・・・武士以外の人たちの歴史を
   重点的に進めていくね。もし戦国武将以外の人を選ぼうと思ってる人はちゃんと聞いてね」
授業終了のチャイムが鳴る。号令の後、薔薇水晶は教室を出て職員室に向かった。

放課後、帰宅してから自分と姉の分の夕飯を作り、それが一段落着いた頃、リビングのテーブルに置かれた
大量の本に埋もれながら薔薇水晶は勉強をしていた。置いてある本の大半は戦国武将についての物であった。
恐らく有栖学園の教師の中で一番の勉強家は薔薇水晶だろう。昔から分からない事が有れば、本でよく調べていた。
同僚からは爪の垢を煎じて彼女の唯一無二の親友に飲ませてやりたいと言われるくらい真面目な性格のため、
今日の授業で出てきた知らない戦国武将の事を調べていたのだ。

雪「ただいまー」
薔「・・・・・・」
反応が無い。いつもなら満面の笑顔で「・・・お帰り、お姉ちゃん」と出迎えてくれるのに・・・。(姉バカ)
まさか、と雪華綺晶は玄関の状況を確認しながら、ホルスターから銃を抜く。
雪(ばらしーの靴はある・・・。キッチンから美味しそうな匂いがする、今日はビーフシチューか・・・
   ばらしーの気配は・・・リビング。他に誰か・・・居ないようだ。だが、あの男なら気配を隠すぐらい造作も無い)
迂闊だった。不注意に帰宅してしまったから、相手に自分の居場所を知らせてしまった。
しかし、相手にとって不運なのはここが勝手知ったる我が家だと言う事だ。どこに隠れていたとしても、即座に対応できる。
雪(ばらしーはきっとあいつに脅され声も出せない状態なんだ。もしかしたら・・・・・・)
雪華綺晶の脳裏にあんな事やこんな事が展開されていく。恥らう妹の姿に少し鼻血が出かけたが、頭を振って気持ちを切り替える。
雪(ローゼンめ・・・今度こそ殺す)
気配を完全に殺して音も無く歩き出す雪華綺晶。靴を履いたまま家にあがる。
まずはユニットバスのドアを音も無く開け、銃を構え中を確認する。・・・ここには居ないようだ。
次に物置部屋のドアを開ける。泥棒対策のトラップだらけなので薔薇水晶も雪華綺晶が居ない時には中に入らない。
ここにも居ないようだ。そして、リビングのドアを開けた。

雪「ばらしー!大丈夫か?!」
薔「・・・!!」
後ろからの大声に薔薇水晶が驚いて振り向くと、銃を構えた姉が居た事に更に驚いた。
薔「お、お姉ちゃん」
雪「奴はどこだ?!」
薔「え?」
雪「あの馬鹿校長はどこだ?」
薔「・・・お姉ちゃん、今度は何を勘違いしてるの?」
雪「・・・ん?勘違い?」
ここで薔薇水晶は雪華綺晶が靴を履いたままだと言う事に気付く。
雪華綺晶への事情説明(お説教とも言う)と薔薇水晶とのお約束条項に
『家に帰ってきた時に出迎えが無くてもすぐに泥棒と決め付けない』『家には靴を履いたまま踏み込まない』が付け加えられた。

雪「・・・ばらしーはいつも勉強熱心だな」
毎度の事ながら良く出来た妹だと雪華綺晶は思う。
夕飯のビーフシチューを食べながら何か手伝える事は無いだろうかと考える。そしてある事を思い出した。
雪「そうだ、良い物がある」
薔「良い物?」
雪「ああ、射撃部の部員から借りた物なんだが、きっとばらしーの役に立つと思う」
けどその前に、と皿を薔薇水晶に渡す。
雪「おかわり」
薔「・・・はい」

雪「これだ」
そう言って薔薇水晶に見せたのは一本のゲームだった。
雪「これは戦国時代の人物を操作して、戦争や任務を遂行して昇進を目指すゲームだ。
   軍人以外の人物も選べるから、参考になると思う」
ゲームを起動して始める雪華綺晶。セーブしてあったのは伊達政宗だった。
薔「・・・お姉ちゃん、このゲームってその人の史実は分かるの?」
雪「簡単な奴なら」
それなら、とリストにしておいた武将を順番に見ていく。
もちろん後でちゃんとした物を調べるが、大雑把でも分かっていれば足掛かりになる。
薔「・・・えと、次は二階堂盛義」
雪「分かった」
コントローラーで二階堂盛義を選択した瞬間、二人は可笑しさのあまり悶絶した。
同様に隈部親永を選んだ時も二人は肩を震わせていた。

薔「・・・ありがとうお姉ちゃん・・・助かったよ」
雪「・・・この程度でよければ、大したことではない」
リビングに戻った薔薇水晶は再び本に目を通す。
しかし、あの二人の欄を読もうとするたびに笑いがこみ上げてまともに読む事が出来なかった。
そして、それから数日が経った。

薔「・・・今日は以前言っていた通り・・・皆に発表してもらうね」
戦国時代最後の授業は当初言っていた通り、テーマに関する発表をしてもらう事になった。
生徒達はそれぞれ独自の理論で天下統一の夢を語っていく。
桶狭間や長篠の戦で如何に織田軍を撃退するかを力説したり、商人として堺で大儲けすると言ったり、
忍びとなって闇に生きると言って受けを狙ったり、鉄砲の三段撃ち以上に効率的な射撃方法を立案する射撃部員など、
授業は大いに盛り上がった。薔薇水晶も生徒達の頑張りを大変喜んだ。
しかし、あの二人をテーマにした発表を見た時、堪えきれずに教室を飛び出し、
何事だと慌ててやってきた雪華綺晶も発表を見た途端、納得して戻っていってしまい、
その場の全員が?を浮かべる一幕が有ったが、授業そのものは大成功だった。

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