ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki

人見知り翠と新米雛

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匿名ユーザー

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ある日の午後翠星石は頭を抱えて悩んでいた。

翠「うぅ~やっとテストの採点が終わったですぅ~。」
翠「まっ~たくあのチビチビ共ときたら家庭科はあまり勉強しないだろうと思って
せっかく簡単な問題にしたのにちっともできてねえです。」

翠星石はテストの採点をしながら一人ぼやいていた。
それは最近の家庭科で生徒達があまり点数を取れていないのが原因である。

生徒のやる気がないと言えばそれまでだが、しかし現実ではそう簡単に解釈はされない。
生徒の点数が取れないのは教師にも原因がある。

事実、蒼星石の担当している数学ではほぼ全ての生徒達が他校に比べて数学の点数が良い。
翠星石が不真面目というわけではない。むしろ努力している方だ。

しかし家庭科はどうしても他と異なり実習というものがある。
実習は今後の生徒達の生活で必ず役に立つ素晴らしいものだが、その分記述テストで点数をとるための授業時間が大幅に削られる。
しかも実習の準備等が忙しくあまり生徒一人一人に指導する時間があまり取れないのだ。

翠「まいったですぅ、このままじゃあの兎に駄目教師の烙印を押されてうるさく説教くらうですぅ。」

そんなことをぼやきながら家路に向かう翠星石。
この時翠星石は予想もしていなかった。一週間後に自分の一生物の友人であり、
最高?のパートナーと出会うことに・・・

それから一週間後
ラプラス「みなさんおはようございます。今日はみなさんに大切なお話があります。」
真「あら、校長がついにお亡くなりになられて新しい校長が赴任でもしてきたの?」
ローゼン「朝からキッツいな~ギャグで言ってるものとボクは信じてるよ。」
ラプラス「それはそれでありがたいのですが、赴任してくるのは校長ではなく新人教師です。どうぞ入ってください。」

新人教師!? その言葉にこの場にいた全員が緊張と期待を込めてトビラに目をやる。
ガラガラ・・・
全員が一斉に注目する。そして頭に?マークを浮かべる。
そう、教師と言われて入ってきたのにまるで中等部から迷い込んできたようなピンクが
似合う子供が入ってきたのだ。

雛「うっとぉ、雛苺っていうの・・いいます。よろしくお願いしますなの。」
水「へぇ~わざわざ有栖学園に赴任してくるって言うからどんな人間かと思ったらお子ちゃまじゃないの~。」
雛「う~雛子供じゃないの教師なの~。」
真「水銀燈、初対面なのに失礼だわ。気にしないでちょうだい雛苺先生。彼女性格が
  ネジリパンになってるから。」
水「なんですってぇ、このダルマ女。」
真「誰がダルマですって!誰が!」
蒼「まぁまぁ二人とも、先輩としてみっともないよ。ごめんね雛苺先生。」
蒼「本当は二人とも良い人たちだから、それとボクは蒼星石。よろしくね」
雛「ハイなの。」

ちなみに薔薇水晶と雪華綺晶とまだ赴任しておらず、金糸雀はこの物語の少し後に
赴任してくる設定です

蒼「あれ?翠星石は?」
翠「い、いいい今は翠星石は仕事が忙しいのです。かわりに蒼星石が挨拶しといてくれ
ですぅ。」

別にいまやる必要はないが、翠星石は極度の人見知りなのだ。
特に挨拶が苦手で、彼女も最初に来たときはかなり苦労した。
なので今も自分は忙しいふりをして後日蒼星石に紹介してもらい間接的に同僚として
仲良くするつもりだった。しかし・・・

ラプラス「いえ、今自己紹介してもらわないと困ります翠星石先生。彼女は美術担当であり、そして家庭科の教師として今日から一緒に仕事をしてもらいます。」
ラプラス「しっかり先輩として指導してあげてくださいね。」

翠「な!なんですとー」
雛「翠星石先生よろしくお願いしますなの!」
翠「かかか、かってに決めるなです!ななななんでまだ新米のチビの面倒みなきゃ
  ならんのですか!自惚れるなですぅ」

ビクッ! と身体を振るわせる雛苺。どうやら嫌われてしまったと勘違いしたらしい。
雛「えと…うとぉ…ごめんなさいなの。」
フルフルとアイフ○の某犬みたいに怯えている雛苺は逃げるように一時限の美術の授業に行ってしまった。
ちなみに家庭科はこの日4時間目の授業である。

翠(あ・・・またやってしまったですぅ本当は同じ家庭科教師として仲良くしたい
だけなのに)

そう、翠星石にとってこのことは現状から考えて喜ばしいことなのだが
思ってることと逆のことを言ってしまうのは彼女の内気な性格上仕方のないこと。
恥ずかしさからかいつも思いと逆の言葉を吐いてしまうのである。
みんなもそれを知ってか知らずか、“頑張ってね”とだけ言うと各々のクラスに行ってしまう。

翠星石はというとまた頭を抱えて悩んでいた。
翠「あぁ~憂鬱ですぅ。絶対怖い先輩と思われたですぅ。こうなったら今日の調理実習でいいところを見せていっちょうチビチビのハートをガッチリ掴んで、翠星石の魅力にイチコロメロメロノックダウンさせてやるです!」

結局翠星石は一日中落ち着かない様子で授業していたので生徒達に
「何かあったんですか?」等と聞かれていた

翠(あぅ・・生徒達に感づかれるようじゃまだまだなのですぅ)

そして運命の家庭科がやってきた。

翠(こんなに緊張するのは始めての授業のときだけですぅ。今朝のこともあるから
  教室に入りづらいのです。)

トビラを空けようとしたとき急に教室のトビラが開いた。

雛「あ~、翠星石先生遅いの~生徒達が待ってるのよ」

どうやら朝のことは忘れてるらしい。

翠「わ、わかってるですぅ。さっさとはじめるですよ。」

今日の料理はりんごを沢山使ったアップルパイ。
サクサクとした表面に中はふっくらりんごの人気洋菓子メニューの一つである。
生徒達もこれを前々から楽しみにしていたし、翠星石の得意料理であるので、まだ雛苺に緊張しつつもそれを悟られないよう熱心に生徒に指導した。
雛苺も生徒の質問に答えるが翠星石ほど上手くできず、もう雛苺の翠星石を見る目は憧れの眼差しに変わっていた。

そして各班ごとに綺麗な形のアップルパイが出来上がっていた。
一方翠星石はまだ緊張のためか雛苺に「教えるの下手ですぅ」と若干毒を吐いていたが
雛苺の方もギクシャクとしながら先輩として翠星石に指導されていて順調に事は進んでいった。

翠(ふぅ…上手くいったです。)
翠(これで後は焼成を終えて試食のときに雛苺に教師になったキッカケは?とか
  普段何してるのですか?なんて生徒といっしょに小話でもすれば万事OKです。
  幸い試食のときは生徒も一緒なので二人きりじゃないし、きっとうまくいくですよ。)

翠星石は成功を信じて疑わなかった。なので最後の仕上げを雛苺に任せて生徒達に片付け
の指示を出していた。

雛「じゃあ最後に焼成するからみんなのアップルパイを雛のところに持ってきてなの。」

焼成は火加減が難しいから教師がやることになっている。
雛苺は事前に今日の料理について聞かされていたので教育実習生だったころのメモ帳を
何度も読み返し、特に焼成については入念にチェックしていた。

しかしこれが誤算だった。
雛苺は以前教育実習生として県立高校に通っていたので、家庭用オーブンを使って練習
していたのだ。
だがここは名門私立有栖学園である。
使うオーブンはプロが実際に使っている本格派であり、火力も今まで雛苺が使っていた
ものとは雲泥の差である。
本来なら火力を変えるか、逆算して焼成時間を短くするのが正しい。
しかし新米の雛苺はそこまで考えが回っておらずいつも通りに火力を強にして
いつも通りに焼いてしまったのだ。
焼いてる間はキッチンの後片付けをしていて翠星石もミスに気づかなかった。

そのうち生徒の一人が異変に気づいた。
生徒「先生なんか焦げ臭いんですけど。」
翠「えっ?」

急いでオーブンを空けてみるとそこには見るも無残に焼け焦げちぢんでしまった
アップルケーキの残骸があった。

生徒「あ~これは酷い。」
生徒「え~せっかく楽しみにしてたのに~。」
生徒「俺これだけを楽しみに頑張ってきたんですよ。」
雛「あぅ~ごめんなさいなの…」
雛苺は責任を感じてか酷く落ち込んでいる。

本当なら雛苺だけが悪いわけじゃないし、翠星石だって自分の注意力が無かったと
普段なら気づくだろう。
しかし今日は一日中緊張しっぱなしで、雛苺をかばう余裕は無かった。

雛「翠星石先生ごめんなさいなの…雛がうっかりしてたから…」

俯いて謝る雛苺。だが…

翠「・・・ですか」
雛「え・・・」
翠「せっかく生徒達が一生懸命作ってくれたのにどう責任とってくれるんですか!」
翠「これだからチビチビのお守りは嫌だったんです!」
翠「家庭科教師は翠星石一人で十分です!チビチビは必要ないです!」

翠「あ・・・」

言ってしまってから気づいた。事実上の教師失格宣言。
言葉に出さずに想ってるだけならなんともないのだが、一度放たれたその言葉は
呪いとなり雛苺を蝕んでいく。

翠(ち、違う…雛苺は悪くないのです。全ては翠星石の注意力不足だったんです。)

しかし放たれない想いは決して相手に届かない。

ダッ!!ガラ!!ピシゃン!!

雛苺は思わず教室を飛び出した。
キーコーンーカーンそれと同時に授業終了の合図が響く。
こうして今日の調理実習は最悪の形で終了した。
それは同時に雛苺の最初の授業が最悪の形で終了したのと同じである。

結局この日雛苺は戻ってこなかった。

翠星石はその日の夜自室で落ち込んでいた。
翠(なんでこんなことになっちゃうんだろう?翠星石はただ今日の授業を通して
  雛苺と仲良くなりたかっただけなのに…)
翠(明日謝ってみよう。でもどうやって?また自分の考えと逆の言葉が出たら
  そのときはもうお終いです…)
翠(こうなったらもうあの手でいくしかないですぅ)

翌日雛苺は学校に来ていなかった。
当然みんな心配している。

真「雛苺先生はまだなのかしら?」
ローゼン「う~んまいったなぁ まさか一日で来なくなるなんて。」
水「サボりじゃないのぉ?」
真「あなたと一緒にしないであげてちょうだい。」
蒼「翠星石先生、雛苺先生に何かあったのかい?」
翠「実は昨日の授業でカクカクじかじかだったのですぅ。」
蒼「じゃあ僕は次の時間授業ないから雛苺先生を探してくるよ。」
翠「あぅ…だめですぅ、それは翠星石の役目ですよ。」
蒼「でも…」
翠「大丈夫です…絶対絶対雛苺先生は翠星石が学校に連れ戻すですぅ。だって…
翠星石の始めての後輩ですから…」

そういうと蒼星石は微笑みながら
蒼「うん、分かったよ。雛苺先生のことよろしくね。」
翠「ガッテンですぅ。」

そして放課後昨日の生徒達を調理室に招いた。
翠「みんな放課後残してしまって申し訳ないですぅ。でもでも翠星石は今
  みんなの協力が必要なのです。協力して欲しいです。」
生徒「じゃあ先生僕達のお願いも聞いてもらえますか?」

そして小一時間後。
翠「それじゃあ後は任せたですぅ。教えた通りやるですよ。すぐに戻ってくるです。」

そうして翠星石は休む間もなく町を徘徊しに行った
翠「まったく雛苺のやつはどこに行ったですかぁ?」
翠「ん?あれは」

そこには一人公園で俯いている雛苺の姿があった。
それはまるで仲間はずれになって寂しい思いをしている子供のよう。
おそらく学校に行こうとして家を出たが勇気が出ないで途中の公園で足が止まってしまったようだ。

翠「なーに学校サボってやがるですかぁ?ちょっと来るです。」
雛「あ…」
雛「でも…雛みんなとあわせる顔がないの…それに翠星石先生にも迷惑かけちゃったし…」
雛「生徒にも嫌われちゃっただろうし…雛はいらない先生だから」
翠「いいから来るですよ。」

翠星石は無理やり腕を引いて雛苺を連れて行く。
じゃないとまた酷いことを言ってしまいそうで怖かったのだ。

雛「ここは…」
学校に無理やり連れてこられた雛苺は抵抗するがズルズルと引きずられていく。
そして調理室に入っていく翠星石と雛苺。
中からは甘い香りが漂ってくる。
雛「これってもしかして…?」

トビラを空けると生徒達がアップルパイを持って雛苺のところに向かってくる。
生徒「先生ごめんなさい昨日は勝手なことばかり言っちゃって。」
生徒「誰にでも間違いはありますしね。だから先生改めて試食してみてください。」
翠「みんなに火力の大切さを分からせるために生徒達に焼成をさせたのですぅ。」
翠「教育プログラムに載ってないことですけど、今回の件でみんなが自分達で
やりたいって言うので生徒達にやらせたのです。」
生徒「雛苺先生の失敗で僕達もっと調理実習に興味を持てたんです。」
翠「まぁ怪我の功名ってやつですかね?」

雛苺は嬉しさのあまり泣きそうになった。
自分は生徒達に嫌われてなかったのだ。

雛「うん!みんなありがとうなの。とっても美味しいの!みんな満点なの」
生徒達は雛苺の喜ぶ顔を見てとてもうれしそうだ。

翠「えーコホン。」
翠「雛苺先生は採点があまいですね。翠星石が本当のアップルパイを教えてやるです。」

目の前には翠星石お手製のアップルパイとても美味しそうだ。

雛「貰っても良いの?」
翠「あったりめぇですぅ。わざわざ作ってやったのですよ。ありがたくいただくですぅ。」
雛「わーいなの!じゃあいっただきますなの~」

そして“キラーン”という擬音語が聞こえるかのごとく翠星石の目が光ったが誰も気づいていない。そして
ガブ!!
雛「 視yうぇgふぉあしゅsdうふじふぁwこ!!」

声にならない叫びをあげる。

翠「ひーひっひっ、ひっかかったですぅ。」

翠星石はとても楽しそうに声をあげて笑っている。

そう、これは翠星石お手製のカラシたっぷりアップルパイなのだ。
匂いでばれない様工夫するのは流石といえる。

雛「なっなにするのー。」
翠「あーんまり幸せそうな顔しているからついつい悪戯してやりたくなったのですよ。」
翠「次からはせいぜい気をつけるですよ。」
雛「もー酷いなのー翠星石先生もこれをたべるのよー。」
翠「へへーん 誰がそんなの食べるものですか。悔しかったら捕まえてみやがれですー。」
雛「もー待てーなのー。」

このとき既に翠星石と雛苺にギクシャクとした他人行儀なとこはなくなっていた。
その後生徒達も参加し大鬼ゴッコ大会になってしまった。

翠(本当は翠星石が腕によりをかけて作った真心たっぷりの美味しいアップルパイも
  あるのですよ。)
翠(でも今はやっぱり恥ずかしいから渡すのは今度にするです。)
翠(いつか悪戯しないでも腹を割って話せる親友になれると良いですね雛苺。)

翠星石は心の中でそう呟いた。
しかしその想いは放たないでいる。
いつか話さなくとも想いが通じるような仲になるように願いながら。

翌日から雛苺はしっかり通勤し、授業も上手くこなしていく。
翠星石とも仲良くやっているようだ。

そしてこの日から翠星石の悪戯が始まることになったがまたそれは別のお話。
とっても不器用で、とっても優しい彼女の素晴らしい日常のゼンマイは今巻かれたのだ。

                           ~~fin~~

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