ローゼンメイデンが教師だったら@Wiki 王の帰還

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翠星石「さ、今日の授業はスコーン作りに挑戦ですぅ!みんな、せいぜい頑張りやがれですぅ♪」
その声と共に、沸き立つ家庭科室。しかし、その理由は調理実習だからというものだけではなかった。
女子A「先生…。何で、水銀燈先生がここにいらっしゃるんですか?しかも、エプロンまで付けて…。」
翠星石「ん?何か、この辺にある店のメニューのほとんどを制覇しちまったから、今日は自分で作るらしいですぅ♪ま、ほっときやがれですぅ♪」
その声に、さらに沸き立つ男子一同。それを見て、翠星石は思わずほくそ笑んだ。
そう、これでいい…この調理実習と、水銀燈の頼みをわざわざ聞いてやったという寛容な心に皆は感動して、この翠星石の人気はさらにUPするはず…。
そして、今年も『生徒が選ぶ、尊敬する先生ランキング』の1位になってやる…!
そんなことを考えながら、スコーンの材料を用意する翠星石。
しかし、生徒の心はそんな単純なものではなかった。


女子B「水銀燈先生…これ、何ですかー?」
水銀燈「んー?アスパラとエビのキッシュよぉ…。で、こっちがポットパイって言って、パイの中にシチューをいれたやつでぇ…今そこで冷やしてるのがヨーグルトのムースよぉ。」
手際よく作業をこなしながら、ぶっきらぼうにそう説明する水銀燈。
その腕は、家庭科担当である翠星石に勝るとも劣らないのものであった。
男子たちは、その普段見れない水銀燈の一面に心を奪われ、女子たちもその料理の美しさに、思わず目を奪われた。
その光景に、水銀燈本人も心を良くしたのか、思わず作業にのめりこんでしまう。
そして、あることに気がつき、こう言った。
水銀燈「…ちょっと多く作りすぎちゃったわね…。誰か食べるぅ?あと、生地も余ってるから、欲しい人は勝手に持っていきなさぁい。」
その声に、さらに群がる一同。
もはやそこに、翠星石の出番は無かった。


雛苺「それにしても、水銀燈は凄いね…。何でも出来ちゃうの…!」
授業を終え、食堂でしきりに水銀燈を褒める雛苺に対し、翠星石は未だにふくれっ面のままだった。
それを心配して、雛苺は翠星石に優しく声をかけた。
雛苺「翠星石…大丈夫?」
翠星石「…別に翠星石は、水銀燈の事なんてお構いなしのへーきのへーざですけどー…ちったー、翠星石のメンツというものも考えて欲しいですかもぉー…」
イライラした様子で翠星石はそう答えると、気晴らしに金糸雀とゲームでもしようと職員室へと向かった。
しかし、そこで翠星石はとんでもないものを見てしまった。
翠星石「な、何ですか!?この人だかりは!?」
翠星石の目に映ったもの…それは、水銀燈の周りに集まる女子生徒たちの姿だった。


翠星石「おい…これはどういうことですぅ!?おめーら、前の生徒会選挙の時、散々水銀燈に罵声を浴びせてたじゃねぇですか!?何でこんな事になってるですぅ!?」
集まっている女子の何名かを捕らえると、翠星石は事の真相を問いただした。
それに対し、生徒たちはこう言った。
女子C「だって…よーく考えれば、水銀燈先生ならいつやってもおかしく無い事件だったし…」
女子D「そうそう、むしろよく今まで耐えたって感じですし…」
女子E「それに、あれだけのことが出来るんだから、それだけ男の気持ちとか恋愛事情とかに詳しいってことだと思うんですよ。だから、ちょっと相談に…」
女子F「あと、飽きちゃった本とかCDとかを売りにいくのが面倒くさいらしくって、それを気前良くくれるんですもん♪」
そう笑顔で答える生徒たち。
水銀燈本人はといえば、あまり経験したこと無い事に多少戸惑ってはいたが、悪い気はしていないらしい。
その時、その中の女子の1人が、こんなことを水銀燈に聞いた。


女子F「せんせーい、倖田來未の新譜とかってまだあったりしますー?」
水銀燈「倖田來未?ああ…それなら、3年A組のGって子にあげちゃったわよぉ?だから、その子に貸してもらいなさぁい。」
女子F「えー…。私、あの子苦手なんだよなー…」
水銀燈「何言ってるのぉ。ちょっと内気だけど、根はいい子よぉ?それに、趣味が絵を描くことって言ってたから、あなたと合うんじゃなぁい?」
女子F「…へー、そうなんだ…。じゃあ、ちょっと行ってこようかな…。あ、先生!ありがとうございます!」
水銀燈にとっては、それはなんでもない行為だったのかもしれない。
しかしこの対応を見て、他の生徒たちが水銀燈に向けて何か尊敬にも似た視線を送っているのが翠星石には分かった。
翠星石「…きぃぃぃぃぃ…!」
そう怒りをあらわにすると、翠星石は何かを取りに倉庫へと向かった。


翠星石「あった…!これです!これですよ!!」
洗車用の高圧ジェットホースを手に、翠星石は思わず歓声をあげた。
確かこの後、水銀燈はお昼寝タイムのはず…ならそこで一気に…
そんなことを考えながら、翠星石はこう呟いた。
翠星石「…こうなったら全面戦争ですぅ!!私を怒らせるとどうなるか、たっぷり教えてやるですぅ!!」
…しかし、翠星石は忘れていた。
高校生の時、水銀燈がいじめにあっていた頃、彼女はその関係者一同を逆にいじめ返し、もれなく転校や自主退学にまで追い込んだこと…
その後、彼女が『ゲーム』と称した『無差別いじめ』に自分も標的にされ、相当悩んでいたこと…
そして、そんな強大な力を持つ彼女が、例の『学校のっとり未遂事件』のせいで薔薇水晶の監視下にあり、長らくストレスの発散が出来ていなかったことを…
手近な蛇口にホースをセットすると、保健室で就寝中の水銀燈の顔でめがけて、翠星石は勢いよく水を発射した。
そして数十秒後…彼女の悲鳴が、学校中にこだました。


蒼星石「何!?今の悲鳴は!?」
親友の悲鳴にいち早くその場に到着すると、そこには全身ずぶ濡れの水銀燈と、それに引きずられて泣き叫ぶ翠星石の姿があった。
相当派手にやられたようで、翠星石のスーツの袖の片方は剥ぎ取られ、頭も酷い有様になっている。
蒼星石「す、水銀燈!何をされたのか大体検討がつくし、気持ちも分かるけど、もうこれだけやったら十分だろ!?許してあげなよ!?ね!?」
水銀燈「許す?何言ってるのぉ?私は翠星石の夢を叶えてあげようとしてるだけよぉ?」
蒼星石「ゆ…夢って…?」
水銀燈「ん~?なんかこの子、みんなの人気者になりたいんですって。だから、その願いを叶えてあげようと思ったの♪」
蒼星石「…翠星石…君って人は何て馬鹿なことを…。で、どうする気だったの…?」
水銀燈「簡単よぉ…。みんなの前で裸にしちゃえばいいだけだもぉん…♪よかったわねぇ翠星石…みんなにかわいがってもらえるわよぉ?」
その言葉に、なおいっそうの悲鳴をあげる翠星石。もはや、その顔も涙や鼻水まみれになっている。
その後、蒼星石は遅れて到着した真紅、薔薇水晶、そして雪華綺晶の力を借り、4人がかりで水銀燈を落ち着かせると、事の真相を問いただした。


翠星石「だって…水銀燈が姑息な手を使って生徒たちの人気を独り占めにしてて…それが翠星石には羨ましかったんですぅ…」
氷嚢で殴られた頭を冷やしながら、伏し目がちに翠星石はそう答えた。
それに対し、水銀燈は冷ややかな視線を送りながら、こう言った。
水銀燈「馬鹿じゃない?そんな事考えてやってても、続くわけないでしょう?何か貰えるのならまだしも、何でこの私が生徒に気を使わなきゃいけないのよ?」
翠星石「え…じゃあ、あれは…」
ふぅ…とため息をつくと、水銀燈はこう返した。
水銀燈「…ま、私を倒したいと思うのなら、いつでもかかってきなさぁい。方法はあなたに任せるわぁ…。つまり、あなたがマトモな方法で勝負を挑んでくるのなら、私もそれに合わせてあげる。でも…」
翠星石「…で、でも…?」
水銀燈「それ以外なら…私のやり方で、かわいがってあげる…♪」
その言葉に、思わず震え上がる翠星石。
以来、彼女は水銀燈には手を出すことを控え、授業の内容に集中するようになった。
そして、そんな翠星石の生徒への考えが教師の皆に知れると、彼女らも気持ちを引き締め直し、授業や学校行事に力を入れるようになった。
こうして、多少遠回りにはなってしまったが、学園には一応の平和が訪れた。
その平和は、もろく壊れやすいものではあったが、生徒たちはいつまでもその喜びを享受したという。




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